JP2007321198A - 表面硬化遷移金属及びその製造方法 - Google Patents

表面硬化遷移金属及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来の技術では得られない新規な表面硬化ステンレス材料、チタン又はチタン合金等の表面硬化遷移金属材料を提供する。
【解決手段】 ステンレス鋼を含む合金鋼、チタン又はチタン合金等の遷移金属又はその合金の表面部又は表面部及び内部に、窒素Nを0.01〜5%(質量%)含有し、さらに焼入れ・焼もどし、焼なまし、溶体化処理又は時効処理の熱処理が施されてなる表面硬化遷移金属。
また、その表面部が超強加工処理により結晶粒が超微細化され、そしてさらに焼入れ・焼もどし、焼なまし、溶体化処理又は時効処理の熱処理が施されてなることが好ましい。
ステンレス鋼を含む合金鋼、チタン又はチタン合金の表面部又は表面部及び内部に、窒素(N)をN2ガス又はNH3ガスなどのN含有物質を用いて固相拡散により含有させ、次いで同金属に焼入れ・焼もどし、焼なまし、溶体化処理又は時効処理の熱処理を施すことによって製造される。

Description

本発明は、高窒素濃度のナノ結晶層形成により表面硬化したステンレス鋼、合金鋼、チタン又はチタン合金等の表面硬化遷移金属並びにそれらの製造方法に関する。
合金鋼、チタン及びチタン合金などの遷移金属材料の強さ及び硬さは、窒素(N)、炭素(C)などの侵入型元素の固溶によって大きく増大し、このような固溶による効果は、特にクロム・ニッケル系ステンレス鋼等において著しい。
一方、またステンレス鋼を含めた合金鋼、チタン及びチタン合金などの一般の実用金属の強さ、硬さはホール・ペッチの関係式が示すように、結晶粒径dが小さくなるほど増大し、このような強さの粒径依存性は、ナノメートルサイズレベルの結晶粒径になってもdが50〜100nm付近までは同様に成立するので、結晶粒径をナノメートルサイズレベルまで超微細化することは、金属材料の表面硬化手段としてもきわめて重要である。
しかし、溶解法で製造されている多くの金属材料の結晶粒径dは、通常数十ミクロン程度であり、後処理によってもdをナノメートルオーダーにすることは難しく、例えば鋼の結晶粒微細化プロセスとして重要な制御圧延の場合でも、その到達できる粒径の下限は4〜5μm程度であり、このような通常の方法では、金属材料の表面部をナノメートルサイズレベルまでに粒径を微細化した材料は得られない。
また、高窒素濃度の材料は、オーステナイト系ステンレス鋼の場合のように、通常窒素ガス雰囲気中での溶解・凝固法などによって製造されているが、このような方法も金属の表面部の窒素の高濃度化に適用することは不可能である。
現在、ステンレス鋼を含めた合金鋼、チタン合金などの表面を硬化する方法については、前記のものとは別の視点から関係各方面において種々研究が進められて来ているが、満足できる材料の提供はなされていない。
本願発明は上記課題を解決するものである。
本願発明は基本的には、ステンレス鋼を含む合金鋼、チタン又はチタン合金の表面部又は表面部及び内部に侵入型元素の窒素(N)を固溶させた上、適宜な熱処理を施して表面硬化処理を行うことにより、従来の技術では達成できなかった新規な表面硬化材料を提供することである。
まず、表面硬化処理を施す金属材料の表面部をショットピーニングなどを用いた超強加工により、ナノメートルサイズレベルの微細結晶粒組織となし、次いでこれを1000〜1200℃のNガス雰囲気中にて、1〜10時間保持して同表面部にNを固相拡散させ、Nを0.1〜2%(質量%)程度固溶させることによって新規な表面硬化材料とその製造方法を提供する。
本願発明は、またクロム系ステンレス鋼では、前記のような結晶粒超微細化と窒素などの侵入型元素の固溶化処理技術に加え、焼入れ・焼もどしのような熱処理を施して、その表面部に従来の合金鋼組織にみられる炭素系マルテンサイトに比べ、より硬く、より高い温度まで安定な窒素系マルテンサイトを形成させ、表面部がナノ結晶層からなる超高硬度で優れた耐食性を有する表面硬化材料の製造方法を提供するものである。
また、チタン又はチタン合金についても、多種金属の表面部に上記と同様のNの固相拡散処理・結晶粒微細化処理・熱処理による表面硬化処理技術を適用することによって、その表面硬化材料を提供するものである。
すなわち、本願発明は下記構成の表面硬化遷移金属及びその製造方法である。
[請求項1] ステンレス鋼を含む合金鋼、チタン又はチタン合金等の遷移金属又はその合金の表面部又は表面部及び内部に、窒素Nを0.01〜5%(質量%)含有し、さらに焼入れ・焼もどし、焼なまし、溶体化処理又は時効処理の熱処理が施されてなることを特徴とする表面硬化遷移金属。
[請求項2] ステンレス鋼を含む合金鋼、チタン又はチタン合金等の遷移金属又はその合金の表面部又は表面及び内部に、窒素Nを0.01〜5%(質量%)含有し、またその表面部が超強加工処理により結晶粒が超微細化され、そしてさらに焼入れ・焼もどし、焼なまし、溶体化処理又は時効処理の熱処理が施されてなることを特徴とする表面硬化遷移金属。
[請求項3] 遷移金属の表面部又は表面部及び内部に、窒素Nと炭素Cとを合せて0.01〜5%(質量%)含有し、かつその炭素の質量Cmと窒素の質量Nmの質量比Cm/Nmが0.3〜1.0であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属。
[請求項4] 表面硬化合金鋼の表面部又は表面部及び内部が、窒素元素又は窒素元素と炭素元素を含む、(1)焼戻しマルテンサイト組織、(2)その他の焼戻し組織、又は(3)焼なまし組織あるいは(4)時効処理組織からなるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属。
[請求項5] 遷移金属の表面部又は表面部及び内部に含有されている窒素(N)が、N2ガス、NH3ガスなどのN含有物質から選ばれる1種又は2種以上の物質中のNが固相拡散されてなるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属。
[請求項6] 超強加工処理がショットピーニング(shot peening)によるものであることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属。
[請求項7] 表面硬化処理を施す合金鋼が、板、棒、線、条などの所定の形状を有する(1)フェライト系ステンレス鋼、(2)オーステナイト系ステンレス鋼、(3)マルテンサイト系ステンレス鋼、(4)フェライト・オーステナイト系又はオーステナイト・マルテンサイト系2相ステンレス鋼、(5)高マンガン・炭素鋼オーステナイト鋼、又は(6)一般の合金鋼から選ばれるいずれか1種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属。
[請求項8] 表面硬化処理を施すチタン又はその合金が、板、棒、線、条などの所定の形状を有する(1)純チタン、(2)α型チタン合金、(3)β型チタン合金、又は(4)α−β型チタン合金からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属。
[請求項9] 表面硬化処理が施された遷移金属が、更に塑性加工され、一層強化されてなるものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属。
[請求項10] ステンレス鋼を含む合金鋼、チタン又はチタン合金の表面部又は表面部及び内部に、窒素(N)をN2ガス又はNH3ガスなどのN含有物質を用いて固相拡散により含有させ、次いで同金属に焼入れ・焼もどし、焼なまし、溶体化処理又は時効処理の熱処理を施して表面硬化処理をすることを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
[請求項11] ステンレス鋼を含む合金鋼、チタン又はチタン合金の表面部又は表面部及び内部に、窒素(N)をN2ガス又はNH3ガスなどのN含有物質を用いて固相拡散により含有させ、次いで同表面部に超強加工による結晶粒超微細化処理を施して表面硬化処理をすることを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
[請求項12] ステンレス鋼を含む合金鋼、チタン又はチタン合金等の表面部又は表面部及び内部に、窒素(N)をN2ガス又はNH3ガス等のN含有物質を用いて固相拡散により含有させ、次いで同表面部に超強加工による結晶粒超微細化処理を施した後、同金属に焼入れ・焼もどし、焼なまし、溶体化処理又は時効処理の熱処理をして表面硬化処理をすることを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
[請求項13] N含有物質がN2ガス又はNH3ガス等のN含有ガス状物質であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属の製造方法。
[請求項14] 超強加工による結晶粒超微細化処理が、ショットピーニングによるものであることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属の製造方法。
[請求項15] 請求項10〜14のいずれか1項に記載の表面硬化処理を施すことにより、合金鋼の表面部又は表面部及び内部に、窒素元素又は窒素元素と炭素元素を含む、(1)焼もどしマルテンサイト組織、(2)他の焼もどし組織、(3)焼なまし組織、又は(4)時効処理組織から選ばれるいずれか1種又は2種以上の組織を形成させて表面硬化させることを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
[請求項16] 請求項10〜14のいずれか1項に記載のチタン又はチタン合金に表面硬化処理を施すことにより、同金属の表面部又は表面部及び内部に、窒素元素、窒素元素と炭素元素又は窒素、炭素、酸素の3元素を含む(1)焼なまし組織、(2)溶体化処理組織、又は(3)時効処理組織、又は(4)焼いれ・焼もどし組織から選ばれるいずれか1種又は2種以上の組織を形成させて表面硬化させることを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
[請求項17] 請求項10〜16のいずれか1項に記載の表面硬化処理として、窒素の固相拡散(窒素の固溶化)処理に加えて、(1)超強加工処理、(2)焼入れ・焼もどし、焼なまし、溶体化処理又は時効処理の熱処理又は(3)超強加工処理及び焼入れ・焼もどし、焼なまし、溶体化処理又は時効処理の熱処理をして表面硬化処理を施すことにより当該金属の表面部又は表面部及び内部を硬化させることを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
[請求項18] 請求項10〜17のいずれか1項に記載のN含有物質を用いた窒素の固相拡散により、当該金属の表面部又は表面部及び内部に窒素を0.2〜1.5%(質量%)含有させることを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
[請求項19] 請求項10〜17のいずれか1項に記載のN含有物質を用いた固相拡散により、当該金属の表面部又は表面部及び内部に窒素を0.2〜1.5%(質量%)含有させ、かつ超強加工により、同金属の表面部又は表面部及び内部の結晶粒の大きさを10〜1500nmレベルまで超微細化させることを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
[請求項20] 請求項10〜19のいずれか1項に記載の窒素の固相拡散処理を0.02〜5MPaのN2ガス又は同圧力のNH3ガス等のN含有ガス状物質雰囲気中にて300〜1300℃の温度において、0.06ks〜360ks保持して行うことを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
[請求項21] 表面硬化処理を施す金属がステンレス鋼を含む合金鋼であり、当該金属に請求項11〜15,17〜20のいずれか1項に記載の窒素の固相拡散処理、超強加工処理を施してから、750〜1300℃の温度にて空気中、酸化抑制剤雰囲気中、真空中又は減圧中に保持した後、同温度から水、油、空気などによる室温付近の温度までの冷却又は液体窒素などの冷媒による室温以下の温度までの冷却による焼入れ処理を施し、次いで直ちに100〜700℃の温度に焼もどしを施して、更に水、油などの冷媒を用いて急冷することをを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
[請求項22] 表面硬化処理を施す金属がステンレス鋼を含む合金鋼であり、当該合金鋼に請求項11〜15、17〜20のいずれか1項に記載の窒素の固相拡散処理、超強加工処理を施してから400〜1250℃の温度にて、0.3ks〜10.0ksの時間、焼なましを施した後、直ちに水、油などの冷媒を用いて急冷することをを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
[請求項23] 表面硬化処理を施す金属が、チタン又はチタン合金であり、当該金属に窒素の固相拡散処理、超強加工処理を施してから(1)焼なまし〔(500℃〜950℃)×(0.03〜8h),空冷又は除冷〕、(2)溶体化処理〔(750℃〜1050℃)×(0.15〜2h),水冷〕、又は(3)時効処理〔(400℃〜700℃)×(1〜60h),空冷〕から選ばれるいずれか1種又は2種以上の熱処理を施すことを特徴とする請求項11〜14、16〜20のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属の製造方法。
[請求項24] 請求項10〜23のいずれか1項に記載の表面硬化処理を施した遷移金属に、更に塑性加工処理を施すことにより一層強化することを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
本願発明によれば、ステンレス鋼を含む合金鋼、チタン又はチタン合金などの遷移金属の表面部にショットピーニングのような超強加工によって、ナノサイズの微細結晶層を形成させると、このような超微細結晶層は、他のナノ結晶組織のものと異なり、温度を上げても結晶粒の成長を起こしにくい性質を有しているので、同表面部に更に1000〜1200℃のN2ガスを用いた窒素(N)の固相拡散による固溶化処理を施すと、極度な固溶硬化が発現され、このような固溶硬化を上記の結晶粒微細化による硬化との相乗効果によって、溶解法のような従来の技術では達成できない表面硬化材料を製造できる。
また、本発明によれば、Fe−Cr−Moベースのフェライト系ステンレス鋼に前記の結晶粒微細化処理と窒素(N)の固相拡散処理による固溶化技術を適用し、更に焼入れ・焼もどし処理を施すと、内部はフェライト組織にとどまっているが、その表面部はビッカース硬さ(Hv)で700をも超えるほど極端に硬い上、次項に記載のような極めてすぐれた特性を有するN系マルテンサイト組織となることから、従来の技術ではその製造が不可能な新規な表面硬化ステンレス材料を製造できる。
すなわち、マルテンサイト組織において、炭素(C)原子はクラスタリング(clustering、同種原子同士の集合体形成)に導く傾向が極めて高いのに対して、窒素(N)原子はマルテンサイト相内での原子の短範囲の規則化(short range ordering、SRO)、すなわちマルテンサイト相を構成する各原子の分布状態の均一化(各構成原子がかたよりなく空間的に均質に分布すること)を促進し、より強固な金属結合状態が醸成されるので、鋼の焼入れ・焼もどし組織に通常みられるC系マルテンサイト組織のものに比較して、N系マルテンサイト組織のものは、より硬く強靱であるばかりでなく熱的にもより安定で更にすぐれた耐食性を有している点で重要である。
さらにまた、本発明によれば、クロム−ニッケル系又はクロム−モリブデン系ステンレス鋼において、その肉厚が1〜2mm程度のものであれば、前記の各処理技術を効果的に適用することによって、高温高圧での溶解・凝固法のような従来技術ではその製造がむずかしい引張強さ2000〜2500MPa、破断伸び15〜30%級のすぐれた耐食性を有する超強靱ステンレス鋼の製造も可能である。
チタン又はチタン合金についても、上記と同様の結晶粒微細化処理・窒素(N)の固相拡散による固溶化処理技術の適用による表面部への高N濃度のナノ結晶層の形成に加え、時効処理などの各種熱処理を効果的に施すことによって、チタン又はチタン合金の従来材では実現できないより優れた表面硬化材料を製造することが可能である。
本発明では、オーステナイト系ステンレス鋼又は高マンガン−炭素系オーステナイト鋼の試料板(板厚:2mm)の両面に、直径600μmのショットを用いてショット圧力5.5kgf/cmにてショットピーニング処理を施す。
ショットピーニング処理された表面部は、本処理により付加される機械的衝撃エネルギーにより表面から約0.3〜0.5mmの深さまでおおよそ20〜100nmの結晶粒径に容易に超微細化される。
次いで、このようなショットピーニング処理板をN2ガス中で1000〜1200℃の温度にて5〜10h保持して、窒素(N)を固相拡散によって表面部に0.2〜0.9%(質量%)程度固溶させ、さらにこれに10〜30%程度の塑性加工(冷間圧延など)を施すと、表面部のビッカース硬さ(Hv)が450〜600レベルのオーステナイト系ステンレス鋼又は高マンガン−炭素系オーステナイト鋼の表面硬化材料を容易に製造することができる。
本発明では、前項に記載のショットピーニング処理及び窒素(N)の固相拡散処理をFe−Cr−Moベースのフェライト系ステンレス鋼の板材に適用し、その表面部にNを0.4〜0.7%(質量%)含有させ、次にこれを焼入れ・焼もどし処理(焼入れ1075℃、油冷/焼もどし450℃、2時間保持、水冷)を施すと、内部はビッカース硬さ(Hv)が200程度のフェライト組織にとどまっているのに対して、表面部はHv値が600以上の極めて硬いマルテンサイト相の微細結晶組織からなる表面硬化ステンレス材料を容易に製造することができる。
また、本発明では、クロム−ニッケル系又はクロム−モリブデン系の低合金鋼をN2ガス中で1200℃にて5〜10h保持して、その表面部に窒素(N)を固相拡散により固溶させ、更に焼入れ・焼もどし処理を施すと、同表面部のビッカース硬さ(Hv)600以上の値を示す表面硬化合金鋼材料を製造することができる。
本発明では、オーステナイト系ステンレス鋼板(厚さ:2mm)をNH3ガス中に750〜800℃の温度にて30〜40h保持して、窒素(N)の固相拡散処理を施す。次いで1100〜1200℃の温度にて15〜30分焼なまし処理を施すと、このような低い温度での固相拡散処理でも、N2ガスを用いる場合と同様、その表面部においてNの固溶による極度の固溶硬化が起こり、オーステナイト系ステンレス鋼のすぐれた表面硬化材料を製造することができる。
本発明では、Fe−Cr−Moベースのフェライト系ステンレス鋼の板材(厚さ0.6mm)にN2ガス中1200℃の温度での10h保持による窒素(N)の固相拡散処理を施す。
次いで、このようなNの固相拡散処理鋼板を焼入れ・焼もどし処理(焼入れ1075℃、油冷/焼もどし450℃、2時間保持、水冷)してから、その表面部にショットピーニング処理を施し、さらに10%圧延加工(塑性加工)を行うと、表面部、内部とも一様な高N濃度の高硬度で強靱な表面硬化マルテンサイトステンレス鋼材料を製造することができる。
また、Fe−Cr−Niベースのフェライト系ステンレス鋼の板材(厚さ0.6mm)についても、上記と同様のNの固相拡散処理・ショットピーニング処理・塑性加工処理技術の適用によって、同ステンレス鋼材料の表面部、内部とも一様な高N濃度の高硬度で強靱な優れた耐食性を有する表面硬化オーステナイトステンレス鋼材料を容易に製造することができる。
本発明では、純チタン又はチタン合金の板材(厚さ:2mm)に前項に記載のショットピーニング処理及び窒素(N)の固相拡散処理を施す。
次いで、焼なまし(500〜950℃、0.03〜8h保持、空冷又は徐冷)、溶体化処理(750〜1050℃、0.15〜2h保持、水冷)又は時効処理(400〜700℃、1〜60h保持、空冷)の各熱処理を効果的に施すことによって、同金属の従来材ではその実現がむずかしい高硬度で強靱な優れた表面硬化材料を製造することができる。
実施例1:
(a)Fe−20Cr−8Ni−0.05C 及び(b)Fe−17Cr−12Ni−0.04C(質量%)の試料板(板厚:2mm)を、N2ガス中で1200℃の温度にて10時間保持して、同試料板の表面部へ窒素(N)を固相拡散(solution nitriding)させたものの表面部及びその内部のビッカース硬さ(Hv)は表1の通りである。
表1からみて、Nの固相拡散処理のみで本試料の内部はオーステナイト組織のままであるのに対して、表面部にはNが高濃度に固溶し、同表面部は極度に固溶硬化されていることが解る。
実施例2:
(a)Fe−20Cr−8Ni−0.05C 及び(b)Fe−17Cr−12Ni−0.04C(質量%)の試料板(板厚:2mm)の表面部にショットピーニング(shot peening)処理(ショット径:φ600μm/ショット圧力:5.5kg/cm)を施した後、同試料板をNガス中で1200℃の温度にて10h保持して、その表面部へ窒素(N)を固相拡散(solution nitriding)させたものの表面部及び内部のビッカース硬さ(Hv)は表2の通りである。
以上、実施例1及び実施例2からみて、本発明によれば、窒素(N)の固相拡散処理の前に、ショットピーニングによる表面部の結晶粒の微細化処理を施しておくと、Nによる固溶硬化と結晶粒微細化硬化との相乗効果によって内部が強靱で表面部が極めて優れた耐食性を有する表面硬化材料が得られることが解った。
実施例3:
クロム−マンガン系オーステナイト系ステンレス鋼の(a)Fe−18Cr−15Mn−3Mo−0.3C 及び(b)Fe−15Cr−17Mn−0.4Si−0.04C並びに高マンガン−炭素系オーステナイト鋼の(c)Fe−30Mn−5Cr−0.8C及び(d)Fe−14Mn−5Cr−1.1C(質量%)の試料板(板厚:2mm)の表面部に実施例2と同様のショットピーニング処理及び窒素(N)の固相拡散処理に加え、さらに20%冷間圧延(塑性加工)を施したものの表面部及び内部のビッカース硬さ(Hv)は表3の通りである。
実施例4:
(a)Fe−16Cr−1Mo−0.08C 及び(b)Fe−13Cr−0.1Ni−0.32C(質量%)の試料板(板厚:2mm)を、N2ガス中で1200℃の温度にて10時間保持して、同試料板の表面部へ窒素(N)を固相拡散(solution nitriding)させた後、焼入れ・焼もどし処理を施したものの表面部及びその内部のビッカース硬さ(Hv)は表4の通りである。
(試料(a):焼入れ1075℃、油冷/焼もどし450℃×2時間、水冷)
(試料(b):焼入れ1000℃、油冷/焼もどし500℃×60分、水冷)
表4からみて、本発明によればフェライト系のFe−16Cr−1Mo−0.08C(質量%)ステンレス鋼では、Nの固相拡散処理と焼入れ・焼もどし処理を施すと、その内部はフェライト組織にとどまっているのに対して、表面部には極めて硬いマルテンサイト組織が形成されるので、表面部が高硬度でかつ優れた耐食性を有する表面硬化ステンレス材料を容易に製造できることが解った。
また、マルテンサイト系のFe−13Cr−0.1Ni−0.32C(質量%)ステンレス鋼では、Nの固相拡散、焼入れ・焼もどし両処理を施した後の表面部のビッカース硬さ(Hv)が内部に比較して著しく高い値を示すのは、表面部へのNの固溶によるものであることは明らかである。
実施例5:
(a)Fe−5Cr−1.5Mo−1Si−0.4Nb−0.35C 及び(b)Fe−0.9Cr−0.45Mo−1.9Ni−1.6Si−0.07Nb−0.40C(質量%)の試料板(板厚:4mm)を、N2ガス中で1200℃の温度にて10時間保持して、同試料板の表面部へ窒素(N)を固相拡散(solution nitriding)させた後、焼入れ・焼もどし処理を施したものの表面部及びその内部のビッカース硬さ(Hv)は表5の通りである。
(焼入れ930℃、油冷/焼もどし500℃×60分、水冷))
表5からみて、本発明によれば、(a)、(b)の低合金鋼材料においても、これらの材料にNの固相拡散処理と焼入れ・焼もどし処理を施すと、表面部では内部に比べて際だったビッカース硬さ(Hv)の上昇がみられ、上記の処理法により優れた表面硬化低合金鋼材料を容易に製造することができることが解った。
実施例6:
(a)Fe−20Cr−8Ni−0.05C 及び(b)Fe−17Cr−12Ni−0.04C(質量%)の試料板(板厚:2mm)を、NH3ガス中で750℃の温度にて36時間保持して、同試料板の表面部へ窒素(N)を固相拡散(solution nitriding)させた後、焼きなまし処理(1150℃×30分、水冷)を施したものの表面部及びその内部のビッカース硬さ(Hv)は表6の通りである。
実施例6、表6からみて、本発明によれば、オーステナイト系ステンレス鋼では、750℃の温度にて、NHガスを用いてその表面部へのNの固相拡散処理を施すと、同表面部にはビッカース硬さ(Hv)が500レベルの値を示すオーステナイト組織の表面硬化層が形成され、このようなNH3ガスを用いた固相拡散処理により、比較的低い温度においても表面硬化オーステナイト鋼材料を効果的に製造できることが解った。
実施例7:
(a)Fe−20Cr−8Ni−0.05C 及び(b)Fe−16Cr−1Mo−0.08C(質量%)の試料板(板厚:0.6mm)を、N2ガス中で1200℃の温度にて10時間保持して、同試料板の表面部へ窒素(N)を固相拡散(solution nitriding)処理を施し、同試料板の表面部、内部とも均一組織となした後、同試料板に次に示す処理を施したものの引張り強さ(σB)、破断伸び(δ)、ビッカース硬さ(Hv)及び窒素の含有量は表7の通りである。
試料(a):ショットピーニング*+20%冷間圧延(塑性加工)
試料(b):焼入れ(1075℃、油冷)/焼もどし(450℃×2h、水冷)+ショットピーニング*+10%冷間圧延(冷間圧延)
*ショット径:Φ600μm/ショット圧力5.5kgf/cm
実施例7、表7からみて、本発明によれば、試料(a)のクロム−ニッケル系オーステナイト鋼の板材(厚さ0.6mm)をN2ガス中で1200℃の温度にて10h保持して同試料板の表面部へNを固相拡散させた後、更にショットピーニング処理および20%冷間圧延処理を行うと、同板材の表面部、内部とも一様な高N濃度の高硬度で強靱かつ優れた耐食性を有する表面硬化オーステナイトステンレス鋼材料を容易に製造できることが解った。
また、表7からみて、試料(b)のクロム−モリブデン系フェライトステンレス鋼の板材(厚さ:0.6mm)については、Nの固相拡散処理・焼入れ焼もどし処理・ショットピーニング処理・10%冷間圧延処理技術を適用することによって、同ステンレス鋼板材の表面部、内部ともマルテンサイト組織をもち、かつ一様な高N濃度の高硬度強靱で優れた耐食性をもつ表面硬化マルテンサイト鋼材料を製造できることが解った。
実施例8:
(a)純チタン、(b)Ti−4.3Fe−6.9Cr、(c)Ti−4.2Fe−7.0Cr−3Al 及び(d)Ti−15Mo−5Nb(質量%)の試料板(板厚:2mm)を、N2ガス中で1200℃の温度にて10時間保持して、同試料板の表面部へ窒素(N)を固相拡散(solution nitriding)させた後、溶体化処理(900℃×1時間、水冷)及び時効処理(450℃×20時間、水冷)を施したものの表面部及びその内部のビッカース硬さ(Hv)は表8の通りである。
実施例8、表8からみて、本発明によれば純チタン又はチタン合金の板材(厚さ:2mm)の表面部にNの固相拡散処理を施した後、溶体化処理又は時効処理の各熱処理技術を効果的に適用することによって、チタン又はチタン合金の従来材では実現がむずかしいその表面部が極めて硬くかつ強靱な表面硬化材料を製造できることが解った。
また、本発明によれば、高価なバナジウム(V)などの合金元素を含有しないβ型チタン合金として、現在大きな期待がよせられているTi−Fe−Cr−(Al)系合金においても、上記の各処理技術の効果的な適用によって、表面部のビッカース硬さ(Hv)が500以上の値を示すものが容易に製造できることが解った。
次に、前記本発明で得られた表面硬化遷移金属材料の用途例について紹介する。
2ガスなどの雰囲気中で、窒素(N)の固相拡散処理を施した鉄、チタンなどの実用合金の表面部は固溶したNによる著しい硬化(強化)を起こし、これに更にショットピーニングなどによる結晶粒のナノサイズレベルまでの超微細化処理を加えると、同表面部の硬さ(強さ)は極端に大きく増加するので、このような材料の特性を利用すると、著しく表面硬化した大小さまざまの、しかも種々の形状の板材、肉厚材まどを容易に製造することができる。
また、注目すべき重要なことは、オーステナイト系ステンレス鋼SUS304鋼相当組成の0.9%(質量%)程度のNを含む本発明の一例の高窒素超微細結晶ステンレス鋼では、その表面部は硬さが同304ステンレス鋼の従来材の約4倍(高炭素鋼のマルテンサイト組織以上の硬さ)という非常に高い値を示す(表2参照)上、このような材料は非磁性であるという物理的特性をもっている。
さらにまた、SUS304相当組成のフェライト系ステンレス鋼では、上記の固相拡散処理によりNを0.3〜0.6%(質量%)程度表面部に固溶させ、これに焼入れ・焼もどし処理を施すと、内部は強靱なフェライト組成をもっているのに対して、表面部は極めて硬いN系のマルテンサイト組織をもった種々の形状の表面硬化材料とすることができる(表4参照)。
一方また、軽量・高強度で生体親和性にも優れ、夢の金属ともいわれているチタン又はチタン合金についても、上記の表面化処理技術を適用すると、より優れた同金属の表面硬化材料を製造することが可能である。
従って本発明による表面硬化遷移金属材料は、以上のようなその特性から、磁気浮上列車(リニアモーターカー)や装甲車の車体はじめ、例えば、次のような機械類の部品や熱間加工用の各種の金属類の材料として好適に広く用いることができる。
(1)磁気浮上列車(リニアモーターカー)及び関連部材類
21世紀の陸上輸送手段としてその実現が近い磁気浮上列車(リニアモーターカー)に用いる車体などには、磁気をおびない(非磁性な)軽くて強い材料が求められているが、この車体部に本発明の一部の窒素(N)の固相拡散処理を施したオーステナイト鋼(非磁性鋼)を用いると、同鋼板の両表面から厚さ方向に合わせて1mm相当の部分は、内部に比べて、強さが5倍程度に増大しているので、これにより同列車自体の大幅な軽量化が実現できる。
(2)装甲板、耐弾材、耐弾チョッキ類
前項のように、本発明の一例の窒素(N)の固相拡散処理を施した高Nオーステナイト鋼を装甲板、耐弾チョッキ等に用いると、大きな軽量化が可能となる。
(3)ベアリング(軸受)、歯車、金型類
高窒素ステンレス鋼の焼入れ・焼もどし材の表面部に形成される窒素(N)系マルテンサイト組織の部分は、硬さが極度に高いだけでなく約500℃の温度付近までは熱的にも安定である(前記発明の効果[0016]〜[0020]参照)ので、各種のベアリング、歯車、金型類としてその優れた特性を発揮できる。
(4)医療器具類その他
汎用のクロム−ニッケル系オーステナイトステンレス鋼は、使用時に極微量に溶出されるニッケルイオンが、人体に有害であることから、ニッケルを含まない(ニッケル・フリーの)高窒素(N)濃度の表面硬化クロム−マンガン系オーステナイトステンレス鋼は、例えば外科医が用いるメス、医療用器具類などの材料として有望と言える。
またチタンについては、高価なバナジウム(V)を含有しないTi−Fe−Cr(−Al)合金が現在注目されているが、このような材料の表面部に本発明の硬化処理を施すことにより、さらに優れた特性を具備したβ型チタン合金の表面硬化材料の実現が可能となる。

Claims (24)

  1. ステンレス鋼を含む合金鋼、チタン又はチタン合金等の遷移金属又はその合金の表面部又は表面部及び内部に、窒素Nを0.01〜5%(質量%)含有し、さらに焼入れ・焼もどし、焼なまし、溶体化処理又は時効処理の熱処理が施されてなることを特徴とする表面硬化遷移金属。
  2. ステンレス鋼を含む合金鋼、チタン又はチタン合金等の遷移金属又はその合金の表面部又は表面及び内部に、窒素Nを0.01〜5%(質量%)含有し、またその表面部が超強加工処理により結晶粒が超微細化され、そしてさらに焼入れ・焼もどし、焼なまし、溶体化処理又は時効処理の熱処理が施されてなることを特徴とする表面硬化遷移金属。
  3. 遷移金属の表面部又は表面部及び内部に、窒素Nと炭素Cとを合せて0.01〜5%(質量%)含有し、かつその炭素の質量Cmと窒素の質量Nmの質量比Cm/Nmが0.3〜1.0であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属。
  4. 遷移金属の表面部又は表面部及び内部が、窒素元素又は窒素元素と炭素元素を含む、(1)焼戻しマルテンサイト組織、(2)その他の焼戻し組織、又は(3)焼なまし組織あるいは(4)時効処理組織からなるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属。
  5. 遷移金属の表面部又は表面部及び内部に含有されている窒素(N)が、N2ガス、NH3ガスなどのN含有物質から選ばれる1種又は2種以上の物質中のNが固相拡散されてなるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属。
  6. 超強加工処理がショットピーニング(shot peening)によるものであることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属。
  7. 表面硬化処理を施す合金鋼が、板、棒、線、条などの所定の形状を有する(1)フェライト系ステンレス鋼、(2)オーステナイト系ステンレス鋼、(3)マルテンサイト系ステンレス鋼、(4)フェライト・オーステナイト系又はオーステナイト・マルテンサイト系2相ステンレス鋼、(5)高マンガン・炭素系オーステナイト鋼、又は(6)一般の合金鋼から選ばれるいずれか1種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属。
  8. 表面硬化処理を施すチタン又はその合金が、板、棒、線、条などの所定の形状を有する(1)純チタン、(2)α型チタン合金、(3)β型チタン合金、又は(4)α−β型チタン合金からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属。
  9. 表面硬化処理が施された遷移金属が、更に塑性加工され、一層強化されてなるものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属。
  10. ステンレス鋼を含む合金鋼、チタン又はチタン合金の表面部又は表面部及び内部に、窒素(N)をN2ガス又はNH3ガスなどのN含有物質を用いて固相拡散により含有させ、次いで同金属に焼入れ・焼もどし、焼なまし、溶体化処理又は時効処理の熱処理を施して表面硬化処理をすることを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
  11. ステンレス鋼を含む合金鋼、チタン又はチタン合金の表面部又は表面部及び内部に、窒素(N)をN2ガス又はNH3ガスなどのN含有物質を用いて固相拡散により含有させ、次いで同表面部に超強加工による結晶粒超微細化処理を施して表面硬化処理をすることを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
  12. ステンレス鋼を含む合金鋼、チタン又はチタン合金等の表面部又は表面部及び内部に、窒素(N)をN2ガス又はNH3ガス等のN含有物質を用いて固相拡散により含有させ、次いで同表面部に超強加工による結晶粒超微細化処理を施した後、同金属に焼入れ・焼もどし、焼なまし、溶体化処理又は時効処理の熱処理をして表面硬化処理をすることを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
  13. N含有物質がN2ガス又はNH3ガス等のN含有ガス状物質であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属の製造方法。
  14. 超強加工による結晶粒超微細化処理が、ショットピーニングによるものであることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属の製造方法。
  15. 請求項10〜14のいずれか1項に記載の表面硬化処理を施すことにより、合金鋼の表面部又は表面部及び内部に、窒素元素又は窒素元素と炭素元素を含む、(1)焼もどしマルテンサイト組織、(2)他の焼もどし組織、(3)焼なまし組織、又は(4)時効処理組織から選ばれるいずれか1種又は2種以上の組織を形成させて表面硬化させることを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
  16. 請求項10〜14のいずれか1項に記載のチタン又はチタン合金に表面硬化処理を施すことにより、同金属の表面部又は表面部及び内部に、窒素元素、窒素元素と炭素元素又は窒素、炭素、酸素の3元素を含む(1)焼なまし組織、(2)溶体化処理組織、又は(3)時効処理組織、又は(4)焼いれ・焼もどし組織から選ばれるいずれか1種又は2種以上の組織を形成させて表面硬化させることを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
  17. 請求項10〜16のいずれか1項に記載の表面硬化処理として、窒素の固相拡散(窒素の固溶化)処理に加えて、(1)超強加工処理、(2)焼入れ・焼もどし、焼なまし、溶体化処理又は時効処理の熱処理又は(3)超強加工処理及び焼入れ・焼もどし、焼なまし、溶体化処理又は時効処理の熱処理をして表面硬化処理を施すことにより当該金属の表面部又は表面部及び内部を硬化させることを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
  18. N含有物質を用いた窒素の固相拡散により、当該金属の表面部又は表面部及び内部に窒素を0.2〜1.5%(質量%)含有させることを特徴とする請求項10〜17のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属の製造方法。
  19. N含有物質を用いた固相拡散により、当該金属の表面部又は表面部及び内部に窒素を0.2〜1.5%(質量%)含有させ、かつ超強加工により、同金属の表面部又は表面部及び内部の結晶粒の大きさを10〜1500nmレベルまで超微細化させることを特徴とする請求項10〜17のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属の製造方法。
  20. 窒素の固相拡散処理を0.02〜5MPaのNガス又は同圧力のNHガス等のN含有ガス状物質雰囲気中にて300〜1300℃の温度において、0.06ks〜360ks保持して行うことを特徴とする請求項10〜19のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属の製造方法。
  21. 表面硬化処理を施す金属がステンレス鋼を含む合金鋼であり、当該金属に請求項11〜15、17〜20のいずれか1項に記載の窒素の固相拡散処理、超強加工処理を施してから、750〜1300℃の温度にて空気中、酸化抑制剤雰囲気中、真空中又は減圧中に保持した後、同温度から水、油、空気などによる室温付近の温度までの冷却又は液体窒素などの冷媒による室温以下の温度までの冷却による焼入れ処理を施し、次いで直ちに100〜700℃の温度に焼もどしを施して、更に水、油などの冷媒を用いて急冷することをを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
  22. 表面硬化処理を施す金属がステンレス鋼を含む合金鋼であり、当該合金鋼に請求項11〜15,17〜20のいずれか1項に記載の窒素の固相拡散処理、超強加工処理を施してから400〜1250℃の温度にて、0.3ks〜10.0ksの時間、焼なましを施した後、直ちに水、油などの冷媒を用いて急冷することをを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
  23. 表面硬化処理を施す金属が、チタン又はチタン合金であり、当該金属に窒素の固相拡散処理、超強加工処理を施してから(1)焼なまし〔(500℃〜950℃)×(0.03〜8h),空冷又は除冷〕、(2)溶体化処理〔(750℃〜1050℃)×(0.15〜2h),水冷〕、又は(3)時効処理〔(400℃〜700℃)×(1〜60h),空冷〕から選ばれるいずれか1種又は2種以上の熱処理を施すことを特徴とする請求項11〜14、16〜20のいずれか1項に記載の表面硬化遷移金属の製造方法。
  24. 請求項10〜23のいずれか1項に記載の表面硬化処理を施した遷移金属に、更に塑性加工処理を施すことにより一層強化することを特徴とする表面硬化遷移金属の製造方法。
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