JP2007321109A - ポリエステル樹脂成形品およびポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

ポリエステル樹脂成形品およびポリエステル樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】薄肉成形に適した流動性が良好なポリエステル樹脂組成物で、得られるポリエステル樹脂成形品が難燃性、耐トラッキング性、耐衝撃性の良好となるようなポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリエステル樹脂(A)15〜50質量%、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ系化合物(b1)、エポキシ基含有エチレン系共重合体(b2)、ポリエステルエラストマー(b3)、およびエポキシ基との反応性を有する官能基を2つ以上有する化合物(b4)をあらかじめ溶融混練した難燃剤組成物(B)10〜30質量%、分子量が1000以下の臭素化エポキシ系化合物(C)5〜20質量%、アクリルゴム系グラフト共重合体(D)5〜40質量%、並びに無機充填剤(E)30〜50質量%を含有し、メルトボリュームフローレイト(MVR)が5cm/10分以上であるポリエステル樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、難燃性、機械的強度、耐トラッキング性に優れたポリエステル樹脂成形品およびポリエステル樹脂組成物に関する。
ポリブチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂は、各種の物性に優れることから、成形体や包装用フィルム、繊維等の幅広い用途に使用されている。中でも、特に耐熱性、剛性、耐衝撃性等が優れていることから、ポリエステル樹脂は、家電製品分野や自動車分野の用途へ幅広く採用されている。
これら自動車分野や家電製品分野においては、小型化、軽量化が進められており、樹脂部品を薄肉化しようとする場合、流動性、難燃性、耐トラッキング性などの要求性能のバランスをとることができないという問題がある。
この問題を解決するために、薄肉部品に適したポリエステル系難燃材料(例えば、特許文献1参照)や、耐絶縁破壊性に優れたポリエステル系樹脂材料(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
特許文献1には、ポリエステル樹脂にポリエステルエラストマーと臭素化エポキシ化合物とを配合した薄肉部品に適したポリエステル材料が記載されている。また、特許文献2には、ポリエステル樹脂にメタクリル系樹脂と金属硼酸塩のような無機充填剤を配合した耐トラッキング性に優れたポリエステル材料が記載されている。
しかし、ポリエステル樹脂とこれらの化合物とを単に組み合わせただけでは、薄肉部品に適した流動性、難燃性、耐衝撃性および耐トラッキング性を同時に満足させるには至っていなかった。
特開平11−310692号公報 特開平10−130474号公報
本発明の目的は、薄肉樹脂部品に適した流動性の良好な樹脂組成物および難燃性、耐衝撃性、耐トラッキング性の良好な樹脂成形品を提供することにある。
本発明は、ポリエステル樹脂(A)15〜90質量%、並びに、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ系化合物(b1)、エポキシ基含有エチレン系共重合体(b2)、ポリエステルエラストマー(b3)、およびエポキシ基との反応性を有する官能基を2つ以上有する化合物(b4)をあらかじめ溶融混練した難燃剤組成物(B)10〜85質量%を含有し、メルトボリュームフローレイト(MVR)が5cm/10分以上であるポリエステル樹脂組成物に関するものであり、厚さ0.8mmでV−1以上の難燃性を有し、シャルピー強度が10J/m以上、耐トラッキング性が300V以上であるポリエステル樹脂成形品に関するものである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特定の難燃剤組成物を用いることで、薄肉成形品を成形する際の流動性が良好であり、さらにこの熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形品は、難燃性、耐トラッキング性、耐衝撃性の良好である。従って、小型化、軽量化が要求される家電製品分野や自動車分野に好適に用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)および難燃剤組成物(B)を含有する。
ポリエステル樹脂(A)の含有量は、ポリエステル樹脂組成物中、15〜90質量%である。
(A)成分の含有量が15質量%以上である場合に、流動性が良好となる傾向にあり、また(A)成分の含有量が90質量%以下である場合に、難燃性、耐トラッキング性が良好となる傾向にある。
(A)成分の含有量の下限値は、17質量%以上が好ましく、20質量%以上が特に好ましい。また、(A)成分の含有量の上限値は、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましく、35質量%以下が特に好ましい。
ポリエステル樹脂(A)としては、特に限定されないが、例えば、芳香族ポリエステルが挙げられる。
芳香族ポリエステルとしては、例えば、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとの重縮合物であるポリブチレンテレフタレート、テレフタル酸とエチレングリコールとの重縮合物であるポリエチレンテレフタレート、2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとの重縮合物であるポリエチレンナフタレート、2,6−ナフタレンジカルボン酸と1,4−ブタンジオールとの重縮合物であるポリブチレンナフタレート等が挙げられ、これらの中では、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
ポリエステル樹脂(A)の製造法については、特に制限されず、通常用いられる直接エステル化法あるいはエステル交換法によるエステル化反応、これに続く重縮合反応により製造することができ、さらに固相重合により高分子量化することも可能である。
ポリエステル樹脂(A)の固有粘度(〔η〕)については、特に制限されないが、25℃の雰囲気で1,1,2,2−テトラクロロエタンとフェノールとの等質量混合液で測定した固有粘度が0.5〜2dl/gであることが好ましい。固有粘度が0.5dl/g以上の場合に、十分な強度の成形品が得られる傾向にあり、2dl/g以下の場合に、流動性が良好となり、充填性が十分となる傾向にある。この固有粘度の下限値は0.7dl/g以上がより好ましく、0.8dl/g以上が特に好ましい。また、固有粘度の上限値は1.7dl/g以下がより好ましく、1.5dl/g以下が特に好ましい。
難燃剤組成物(B)は、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ系化合物(b1)、エポキシ基含有エチレン系共重合体(b2)、ポリエステルエラストマーを含有するポリエステル樹脂(b3)、およびエポキシ基との反応性を有する官能基を2つ以上有する化合物(b4)をあらかじめ溶融混練したものである。
ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ系化合物(b1)の数平均分子量は、特に制限されないが、成形時の流動性の面から、500〜20000であることが好ましい。(b1)成分の数平均分子量の下限値は、700以上がより好ましく、またこの上限値は15000以下がより好ましい。
また、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ系化合物(b1)は、その末端にエポキシ基を有することが好ましい。流動性などを調整する目的で末端のエポキシ基を封鎖する場合は、封鎖率が90%以下であることが好ましい。
末端エポキシ基を封鎖する場合、化合物は特に限定されるものではなく、例えば、t−ブタノール等の単官能のアルコール類、酢酸などの脂肪族カルボン酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸等の単官能性活性水素含有化合物が使用できる。
具体的には、反応性、安定性の面から、フェノール、ナフトール、アルキルフェノール(クレゾール、ターシャリブチルフェノール等の炭素数1〜10のアルキルフェノール)、ハロゲン化フェノール(トリブロモフェノール、トリクロロフェノール等)などのフェノール類を使用することが好ましい。特に好ましい封鎖剤としては、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂のハロゲン含有量を高める点から、ジブロモフェノール、トリブロモフェノール、テトラブロモフェノール、トリクロロフェノール等のモノ乃至ペンタハロゲン化フェノール類(特にブロモフェノール類)が挙げられる。
(b1)成分の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、(1)ハロゲン化ビスフェノールとエピクロルヒドリンとを反応させてハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂を生成させ、このエポキシ樹脂と封鎖剤としての単官能性活性水素含有化合物とを反応させることにより製造する方法、(2)ハロゲン化ビスフェノールとエピクロルヒドリンとを反応させてハロゲン化ビスフェノールAジグリシジルエーテルを生成させ、このエポキシ樹脂とハロゲン化ビスフェノールおよび前記単官能性活性水素含有化合物とを反応させることにより製造する方法、(3)ハロゲン化ビスフェノールとエピクロルヒドリンとを反応させてハロゲン化ビスフェノールAジグリシジルエーテルを生成させ、このエポキシ樹脂とハロゲン化ビスフェノールAとを反応させてハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂を生成させ、末端エポキシ基を封鎖する場合は、このエポキシ樹脂と前記単官能性活性水素含有化合物とを反応させることにより製造する方法が挙げられる。
なお、上記(1)〜(3)の各方法においては、原料各成分の使用割合を調整することにより、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ系化合物における封鎖率、分子量を調整することができる。
(b1)成分の中でも、臭素化ビスフェノールA型エポキシ系化合物が特に好ましい。
(b1)成分の含有量は、特に制限されないが、難燃剤組成物(B)中、15〜89質量%であることが好ましい。(b1)成分の含有量が、15質量%以上の場合に難燃性となる傾向にあり、89質量%以下の場合に押出し性が良好となる傾向にある。(b1)成分の含有量の下限値は、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上が特に好ましい。また、この含有量の上限値は、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下が特に好ましい。
エポキシ基含有エチレン系共重合体(b2)としては、特に制限されないが、例えば、エポキシ基を含有するフェニルグリシジルメタクリレート単位を共重合成分として含有するエチレン系重合体が挙げられ、商品名としては住友化学社製のボンドファーストなどが挙げられる。また、その他の共重合成分としては酢酸ビニル、アクリル酸メチルなどが挙げられる。
(b2)成分の含有量は、特に制限されないが、難燃剤組成物(B)中、5〜84質量%であることが好ましい。(b2)成分の含有量が、5質量%以上の場合に機械強度が良好となる傾向にあり、84質量%以下の場合に流動性が良好となる傾向にある。(b2)成分の含有量の下限値は、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。また、この含有量の上限値は、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下が特に好ましい。
ポリエステルエラストマー(b3)としては、特に制限されないが、例えば、ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体およびポリエステル−ポリエステルブロック共重合体が挙げられ、ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体が好ましい。
ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体は、アルキレンテレフタレート単位から構成されるポリエステルセグメントをハードセグメントとし、アルキレンオキサイド単位から構成されるポリ(アルキレンオキサイド)グリコールセグメントをソフトセグメントとするブロック共重合体である。
ハードセグメントを構成するポリエステルセグメントは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、炭素数2〜10の脂肪族グリコールを主たるジオール成分とするポリマーセグメント、または上記以外のジカルボン酸あるいはグリコールを任意の組合せで20モル%以下の範囲で共重合させたポリマーセグメントである。
ソフトセグメントを構成するポリ(アルキレンオキサイド)グリコールセグメントとしては、特に制限されないが、例えば、ポリ(エチレンオキサイド)グリコールセグメント、ポリ(プロピレンオキサイド)グリコールセグメント、ポリ(テトラメチレンオキサイド)グリコールセグメント等の単一ポリグリコール類のセグメント、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダム共重合またはブロック共重合のポリグリコール類のセグメント、20モル%以下の範囲で他の共重合成分を共重合させたポリグリコール類等のセグメントが挙げられる。これらのソフトセグメントは、単独あるいは2種以上のソフトセグメントを併用することができる。
ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体の具体例としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート−ポリエチレンオキサイドブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンオキサイドブロック共重合体等が挙げられる。中でも、衝撃吸収性の面から、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体が好ましい。
(b3)成分の含有量は、特に制限されないが、難燃剤組成物(B)中、5〜84質量%であることが好ましい。(b3)成分の含有量が、5質量%以上の場合に機械強度が良好となる傾向にあり、84質量%以下の場合に難燃性が良好となる傾向にある。(b3)成分の含有量の下限値は、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が特に好ましい。また、この含有量の上限値は、75質量%以下がより好ましく、65質量%以下が特に好ましい。
エポキシ基との反応性を有する官能基を2つ以上有する化合物(b4)としては、特に制限されないが、アミノ基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、およびヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するイソシアヌル酸が挙げられる。
(b4)成分の含有量は、特に制限されないが、難燃剤組成物(B)中、0.01〜10質量%であることが好ましい。(b4)成分の含有量が、0.01質量%以上の場合に機械強度が良好となる傾向にあり、10質量%以下の場合に流動性が良好となる傾向にある。(b4)成分の含有量の下限値は、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が特に好ましい。また、この含有量の上限値は、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
難燃剤組成物(B)は、前記(b1)〜(b4)成分を基本成分として含有するものであるば、必要に応じて、他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、ポリエステル樹脂が挙げられる。
他の成分の含有量は、特に制限されないが、難燃剤組成物(B)中、1〜75質量%であることが好ましい。他の成分の含有量の下限値は、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上が特に好ましい。また、この含有量の上限値は、70質量%以下がより好ましく、65質量%以下が特に好ましい。
難燃剤組成物(B)は、前記(b1)〜(b4)成分、および必要に応じて他の成分を、あらかじめ溶融混練したものである。あらかじめ溶融混練することによって、耐衝撃性、難燃性が向上する。溶融混練に用いる装置としては、特に制限されず、例えば、押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等を挙げることができ、押出機による溶融混練が好ましい。押出機については、単軸押出機、二軸押出機があるが、短時間で混練を行うために二軸押出機であることが好ましい。
難燃剤組成物(B)の含有量は、ポリエステル樹脂組成物中、10〜85質量%である。
(B)成分の含有量が10質量%以上である場合に、難燃性および耐衝撃性が良好となる傾向にあり、また(B)成分の含有量が85質量%以下である場合に、十分な流動性が得られる傾向にある。
(B)成分の含有量の下限値は、12質量%以上が好ましく、14質量%以上が特に好ましい。また、(B)成分の含有量の上限値は、60質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、上述したポリエステル樹脂(A)および難燃剤組成物(B)を基本構成成分として含有するものであるが、必要に応じて、分子量が1000以下の臭素化エポキシ系化合物(C)、アクリルゴム系グラフト共重合体(D)、無機充填剤(E)、およびその他の添加剤を含有してもよい。
分子量が1000以下の臭素化エポキシ系化合物(C)は、前記難燃剤組成物(B)とあいまって、難燃性を向上させる成分である。臭素化エポキシ系化合物の分子量が1000以下の場合に、臭素化エポキシ系化合物の分散が良好になり、少ない添加量で難燃性を発揮する傾向にある。臭素化エポキシ系化合物(C)の分子量の下限値は、特に限定されないが、500以上が好ましい。
本発明においては、難燃剤として、難燃剤組成物(B)と分子量が1000以下の臭素化エポキシ系化合物(C)の2種類の難燃剤を併用することが好ましい。薄肉成形品において十分な難燃性を発現させるためには、樹脂自身の難燃レベルを上げる必要があるが、単に難燃剤を増量すると耐衝撃性が低下する。そこで、難燃性と耐衝撃性を両立させようとする場合、難燃剤とポリエステルエラストマーの組み合わせあるいは高分子量難燃剤を使用することが考えられるが、ポリエステルエラストマーを単独で使用すると熱分解が激しいため難燃性が悪化し、また高分子量の難燃剤を使用すると流動性の悪化および分散が均一にならないために過剰に難燃剤の添加を要するという問題がある。難燃剤組成物(B)と分子量が1000以下の臭素化エポキシ系化合物(C)の2種類の難燃剤を組み合わせることによって、十分な難燃性と耐衝撃性を両立させることができる傾向にある。
臭素化エポキシ系化合物(C)の含有量は、特に制限されないが、ポリエステル樹脂組成物中、5〜20質量%が好ましい。(C)成分の含有量が5質量%以上である場合に、難燃性が十分となる傾向にあり、また(C)成分の含有量が20質量%以下である場合に、耐衝撃性が良好となる傾向にある。
(C)成分の含有量の下限値は、6質量%以上がより好ましく、7質量%以上が特に好ましい。また、(C)成分の含有量の上限値は、17質量%以下がより好ましく、15質量%以下が特に好ましい。
なお、(C)成分の末端エポキシ基については、封鎖されていても封鎖されていなくてもどちらでもよい。末端エポキシ基を封鎖する場合の化合物、および(C)成分の製造方法については(b1)成分と同様の化合物および方法が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、耐トラッキング性の面から、アクリルゴム系グラフト共重合体(D)を含有することが好ましい。
アクリルゴム系グラフト共重合体(D)は、ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴムに、ビニル系単量体がグラフト重合されてなるものである。
ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴムを構成する成分としては、2−エチルヘキシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、n−ブチルアクリレートが挙げられ、n−ブチルアクリレートを必須成分とすることが好ましい。
またグラフトを構成するビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等の各種のビニル系単量体が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上併用して用いてもよい。
アクリルゴム系グラフト共重合体(D)の含有量は、特に制限されないが、ポリエステル樹脂組成物中、5〜40質量%が好ましい。
(D)成分の含有量が5質量%以上である場合に、耐トラッキング性が十分となる傾向にあり、また(D)成分の含有量が40質量%以下である場合に、十分な難燃性が得られる傾向にある。
(D)成分の含有量の下限値は、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上が特に好ましい。また、(D)成分の含有量の上限値は、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が特に好ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物は、耐トラッキング性の面から、無機充填剤(E)を含有することが好ましい
無機充填剤(E)としては、特に制限されないが、繊維状、粉粒状、板状の無機充填剤が挙げられる。
繊維状充填剤としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化珪素繊維、窒化硼素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維などが挙げられる。特に代表的な繊維状充填剤はガラス繊維である。
板状充填剤としては、マイカ、ガラスフレーク等が挙げられる。
また、粉粒状充填剤としては、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、ウォラストナイト等の硅酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等の金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの等の金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの等の金属の硫酸塩、その他炭化硅素、窒化硅素、各種粉末等があげられる。
繊維状充填剤は、耐衝撃性の点で有効であるが過剰に添加すると流動性が著しく低下する傾向にあるため、板状充填剤あるいは粉粒状充填剤と併用して用いることが好ましい。
無機充填剤(E)の含有量は、特に制限されないが、ポリエステル樹脂組成物中、30〜50質量%が好ましい。
(E)成分の含有量が30質量%以上である場合に、耐トラッキング性が十分となる傾向にあり、また(E)成分の含有量が50質量%以下である場合に、流動性が良好となる傾向にある。
(E)成分の含有量の下限値は、32質量%以上がより好ましく、35質量%以上が特に好ましい。また、(E)成分の含有量の上限値は、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が特に好ましい。
その他の添加剤としては、特に制限されないが、アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモン等の難燃助剤、加工安定剤、離型剤等が挙げられる。
ポリエステル樹脂組成物のメルトボリュームフローレイト(MVR)は、5cm/10分以上である。なお、本発明において、MVRは、ISO1133に準じて250℃、49Nで測定したものである。
MVRが5cm/10分以上である場合に、薄肉部品での流動性が良好となる傾向にある。MVRの下限値は、7cm/10分以上が好ましく、10cm/10分以上が特に好ましい。
また、このMVRの上限は、特に制限されないが、100cm/10分以下が好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、前記(A)成分および(B)成分、並びに、必要に応じて前記(C)成分〜(E)成分、およびその他の添加剤成分を溶融混練して製造することができる。溶融混練に用いる装置としては、特に制限されず、例えば、押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等を挙げることができ、押出機による溶融混練が好ましい。押出機については、単軸押出機、二軸押出機があるが、短時間で混練を行うために二軸押出機であることが好ましい。押出されたストランドの冷却方法は、特に限定されず、水槽を使用した水冷によるあるいはスクリーンコンベアを使用した空冷あるいは水冷あるいは空冷と水冷の併用による冷却を挙げることができる。
次に、本発明のポリエステル樹脂成形品について説明する。
本発明のポリエステル樹脂成形品は、厚さ0.8mmでV−1以上の難燃性を有し、シャルピー衝撃強度が10J/m以上、耐トラッキング性が300V以上である。
本発明において、難燃性は、アンダーライターズ・ラボラトリーズのサブジェクト94(UL94)の方法に準じ、試験片の厚みが0.8mmで測定したものである。厚さ0.8mmでV−1以上の難燃性を有する場合に、十分な難燃性を発現する傾向にある。本発明のポリエステル樹脂成形品の難燃性は、V−0であることが特に好ましい。
本発明において、シャルピー衝撃強度とは、ISO179により測定したノッチなしでの強度である。
シャルピー衝撃強度が10kJ/m以上である場合に、成形工程あるいは組み付け工程での衝撃強度が十分となり、本発明の樹脂成形品を薄肉部品に用いても破損しない傾向にある。
本発明のポリエステル樹脂成形品のシャルピー衝撃強度の下限値は、15kJ/m以上が好ましく、17kJ/m以上がより好ましく、20kJ/m以上が特に好ましい。
また、このシャルピー衝撃強度の上限は、特に制限されないが、100kJ/mが好ましい。
本発明において、耐トラッキング性とは、Internatioal Electro−technical Committee IEC112 A液法(0.1%-NHCl水溶液法)に準じて測定した。
耐トラッキング性が300V以上である場合に、絶縁性が良好となる傾向にある。耐トラッキング性の下限値は、500V以上が好ましい。また、この耐トラッキング性の上限は、特に制限されないが、600V以下が好ましい。
本発明のポリエステル樹脂成形品は、本発明のポリエステル樹脂組成物を成形することによって得ることができる。
成形方法としては、特に制限されない。例えば、射出成形、押出成形による板状、棒状、中空状、シート状への成形、真空成形、ブロー成形などが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)樹脂組成物および樹脂成形品の評価方法
樹脂組成物および樹脂成形品の評価については、次に述べる方法にしたがって測定した。
(1−1)難燃試験(UL−94)
アンダーライターズ・ラボラトリーズのサブジェクト94(UL94)の方法に準じ、5本の試験片(厚み:0.8mm)を用いて、難燃性および樹脂組成物の燃焼に伴う滴下特性について試験し、燃焼レベルを評価した。
(1−2)シャルピー強度
ISO179に準拠してノッチなしでのシャルピー強度試験を行い、シャルピー強度を求めた。
(1−3)耐トラッキング性
耐トラッキング性IEC112 A液法(0.1%-NHCl水溶液法)に準じて、湿式比較トラッキング指数(CTI)を測定した。
(1−4)メルトボリュームフローレイト(MVR)
ポリエステル樹脂組成物を150℃で2時間乾燥した後、ISO1133に準じて250℃、49Nで測定した。
(2)使用した原料
(2−1)ポリエステル樹脂(A)
(A−1)ポリブチレンテレフタレート:ノバデュラン5007(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 ポリブチレンテレフタレート)
(A−2)ポリエステルエラストマー:ペルプレンGP300(東洋紡績社製 ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体)
(2−2)難燃剤樹脂組成物(B)
・臭素化ビスフェノールA型エポキシ系化合物(b1):坂本薬品工業 SRT2040 (分子量4000 50%末端封止タイプ)
・エポキシ基含有エチレン系共重合体(b2):住友化学社製 ボンドファースト−7L(エチレン/グリシジルジメタクリレート/アクリル酸メチル 70/3/27)
・ポリエステルエラストマー(b3):東洋紡績社製 ポリエステルエラストマー ペルプレンGP300(ポリエステルポリエーテルブロック共重合体)
・化合物(b4):四国化成工業社製 シアヌル酸
・その他の成分(b5):長春人造樹脂社製 ポリブチレンテレフタレート 1200−211E
(2−3)臭素化エポキシ系化合物(C)
(C−1)坂本薬品工業社製 SR−BSP(分子量700 両末端エポキシタイプ)
(2−4)アクリルゴム系グラフト共重合体(D)
・三菱レイヨン社製 メタブレン W−450A:メタクリル酸アリル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸メチルを成分として含有するグラフトゴム重合体
(2−5)メチルメタクリレート樹脂(D’)
・三菱レイヨン社製 アクリペット VH
(2−6)無機充填剤(E)
(E−1)日本電気硝子社製 チョップドタイプガラス繊維 ECS03 T−187(カット長3mm、集束剤:アミノシラン、エポキシ1%、繊維径13ミクロン)
(E−2)林化成社製 タルク UPN HS−T(平均粒径2.8ミクロン)
(2−7)その他
・アンチモン酸ナトリウム:日本精鉱社製 SA−A
・三酸化アンチモン:鈴裕化学社製 ファイヤカット AT−3
・加工安定剤:チバスペシャリティーケミカルズ社製 イルガノックスB220FF(リン系加工安定剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤のブレンド物)
・離型剤:クラリアントジャパン社製 Licomont Wax−OP(モンタン酸の部分ケン化エステル)
実施例1
二軸押出機(池貝製作所製PCM−45)を用いて、表1に示す質量割合の成分を樹脂フィーダーから供給し、樹脂温度270℃で溶融混練して難燃剤組成物(B)のペレットを得た。なお、ここで、押出機の中間に設けられたベント口より減圧し水分を除去している。
Figure 2007321109
二軸押出機(池貝製作所製PCM−30)を用いて、ポリブチレンテレフタレート、難燃剤組成物(B)のペレット、臭素化エポキシ系化合物(C−1)、アクリルゴム系グラフト共重合体(D)、粉粒状無機充填剤(E−2)、アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモン、加工安定剤、および離型剤を表2に示す質量割合で樹脂フィーダーから供給し、繊維状無機充填剤(E−1)をサイドフィーダーから供給して、樹脂温度280℃の温度で溶融混練して、ポリエステル樹脂組成物のペレットを得た。なお、ここで、押出機の中間に設けられたベント口より減圧し水分を除去している。
次いで、このペレットを150℃で2時間の熱風による乾燥をし、射出成形機(日本製鋼所(JSW)製75T射出成形機J75SSII)を用いて、樹脂温度260℃、金型温度80℃の温度条件で各種試験片を成形した。成形品の評価結果を表2に示す。
実施例2〜3および比較例1
用いる原料を表2のように変更すること以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂組成物を得て、成形品を得た。評価結果を表2に示す。
比較例2
難燃剤組成物(B)のペレットの代わりに、表1に示す(b1)〜(b5)成分のドライブレンド物(溶融混練していない混合物)を用いること以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステル樹脂組成物を得て、成形品を得た。評価結果を表2に示す。
Figure 2007321109
本発明のポリエステル樹脂組成物は流動性に優れ、また得られるポリエステル樹脂成形体は難燃性、耐トラッキング性および耐衝撃性に優れることから薄肉の電気電子部材として好適に使用することができる。

Claims (2)

  1. ポリエステル樹脂(A)15〜90質量%、並びに、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ系化合物(b1)、エポキシ基含有エチレン系共重合体(b2)、ポリエステルエラストマー(b3)、およびエポキシ基との反応性を有する官能基を2つ以上有する化合物(b4)をあらかじめ溶融混練した難燃剤組成物(B)10〜85質量%を含有し、メルトボリュームフローレイト(MVR)が5cm/10分以上であるポリエステル樹脂組成物。
  2. 厚さ0.8mmでV−1以上の難燃性を有し、シャルピー強度が10J/m以上、耐トラッキング性が300V以上であるポリエステル樹脂成形品。
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JP2009292887A (ja) * 2008-06-03 2009-12-17 Teijin Fibers Ltd 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
JPWO2014069489A1 (ja) * 2012-10-29 2016-09-08 ウィンテックポリマー株式会社 ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
JP2018044113A (ja) * 2016-09-16 2018-03-22 アロン化成株式会社 熱可塑性エラストマー組成物
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