JP2018012209A - インサート成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の目的は、耐ヒートショック性、難燃性、及び、耐加水分解性に優れ、かつ流動性を損なわない樹脂部材と、インサート部材とを備えるインサート成形品を提供することである。【解決手段】 (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と、(B)ハロゲン化エポキシ化合物と、(C)酸化アンチモン化合物と、(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体と、(E)エラストマーとを含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から構成される樹脂部材とインサート部材とを備えるインサート成形品。【選択図】 なし
Description
本発明は、耐ヒートショック性、難燃性、及び耐加水分解性、さらには流動性に優れた樹脂部材と、インサート部材とを備えるインサート成形品に関する。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、機械的性質、電気的性質、物理的、化学的性質等種々の優れた性質を有し、且つ、加工性が良好であることから、自動車部品、電気・電子部品等の種々の用途に使用されている。ポリブチレンテレフタレート樹脂は、ガラス繊維等の繊維状充填剤を配合することにより耐熱と強度とを向上させることができるため、繊維状充填剤により強化されたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物として使用されることが多い。
このようにポリブチレンテレフタレート樹脂は優れた性質を有するものであるが、ポリエステル樹脂であるため加水分解に起因する物性の低下を起こしやすいという欠点も有する。このため、ポリブチレンテレフタレート樹脂にカルボジイミド化合物を配合して、耐加水分解性を向上させることが広く知られている。
このように繊維状充填剤やカルボジイミド化合物を配合して物性を改良されたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、特に自動車分野で、電気制御に使用されるセンサーやエンジンコントロールユニットのハウジング材料として使用されることが多い。かかる用途に使用される製品がインサート成形品である場合には、自動車エンジンルーム等の温度昇降の激しい環境で使用されることから、金属インサートとポリブチレンテレフタレート樹脂との線膨張差から生じる歪によりクラックが発生しやすい。このため、かかる用途に使用される製品には激しい温度差によりクラックが発生しにくい耐ヒートショック性が要求されている。また、かかる用途に使用される製品には高い難燃性が要求される場合がある。
以上の事情から、激しい温度昇降によるヒートショックに起因するクラックの発生を抑制する検討が行われており、例えば、アクリル系ゴム、エポキシ化合物、ペンタエリスリトールエステル、及び繊維状補強剤と共にカルボジイミド化合物を添加されたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物(特許文献1)が提案されている。
しかし、特許文献1に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物では、耐ヒートショック性や耐加水分解性は改善されているが、難燃性は改良されていない。このため、カルボジイミド化合物を含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の難燃化が望まれるが、例えばブロモ化フタルイミド等の難燃剤とカルボジイミド化合物とを組み合わせて使用しても、所望の耐ヒートショック性の改良効果は得られない。また、ブロモ化ポリカーボネートとカルボジイミド化合物とを組み合わせて使用しても、カルボジイミド化合物の高い反応性に起因し何らかの副反応が生じ、所望の耐ヒートショック性の改良効果は得られない。それらを改善するため、特定のハロゲン化エポキシ化合物とカルボジイミド化合物を組み合わせ、耐ヒートショック性、難燃性、および耐加水分解性に優れた樹脂を用いたインサート成形品が提案されている(特許文献2)。しかし、特許文献2では、カルボジイミド化合物とポリブチレンテレフタレート樹脂との高い反応性により組成物の粘度が上昇しやすく、流動性が低下する場合がある。インサート成形品では、形状により樹脂部には非常に薄肉の部分が存在する場合もあり、このときに充填不足が発生したり、無理に充填しようとした結果、圧力が増大し、インサート品が変形したりする可能性も考えられる。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は耐ヒートショック性、難燃性、及び、耐加水分解性に優れ、かつ流動性を損なわない樹脂部材と、インサート部材とを備えるインサート成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、インサート成形体の樹脂部材が、ポリブチレンテレフタレート樹脂に、ハロゲン化エポキシ化合物、酸化アンチモン化合物、及び、グリシジル基含有スチレン系共重合体、エラストマーを配合したポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から構成されることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
[1] (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と、(B)ハロゲン化エポキシ化合物と、(C)酸化アンチモン化合物と、(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体と、(E)エラストマーとを含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から構成される樹脂部材とインサート部材とを備えるインサート成形品。
[2] 前記(B)ハロゲン化エポキシ化合物が、数平均分子量2000以上15000以下であり、下記式(1)で表されるブロモ化エポキシ化合物である、[1]に記載のインサート成形品。
[2] 前記(B)ハロゲン化エポキシ化合物が、数平均分子量2000以上15000以下であり、下記式(1)で表されるブロモ化エポキシ化合物である、[1]に記載のインサート成形品。
(式(1)中、xは1〜5の整数である。)
[3] 前記(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体が、グリシジル基を1分子あたり2個以上含有し、重量平均分子量が1000〜10000であり、かつ99〜50質量部のスチレン系単量体、1〜30質量部のグリシジル(メタ)アクリレート、および0〜40質量部のその他のアクリル系単量体からなる共重合体である[1]または[2]に記載のインサート成形品。
[4] 前記(E)エラストマーが、酸変性エラストマー、コアシェル系エラストマーから選ばれる1種のエラストマーおよび/またはポリエステルエラストマーである[1]〜[3]のいずれかに記載のインサート成形品。
[5] 前記(E)の酸変性エラストマーが、酸変性されたオレフィン系エラストマーおよび酸変性されたスチレン系エラストマーから選ばれる少なくとも1種の酸変性エラストマーである、[4]に記載のインサート成形品。
[6] さらに、(F)充填剤を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載のインサート成形品。
[7] 前記(F)充填剤が、ガラス繊維である[6]に記載のインサート成形品。
[4] 前記(E)エラストマーが、酸変性エラストマー、コアシェル系エラストマーから選ばれる1種のエラストマーおよび/またはポリエステルエラストマーである[1]〜[3]のいずれかに記載のインサート成形品。
[5] 前記(E)の酸変性エラストマーが、酸変性されたオレフィン系エラストマーおよび酸変性されたスチレン系エラストマーから選ばれる少なくとも1種の酸変性エラストマーである、[4]に記載のインサート成形品。
[6] さらに、(F)充填剤を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載のインサート成形品。
[7] 前記(F)充填剤が、ガラス繊維である[6]に記載のインサート成形品。
本発明によれば、インサート成形品の樹脂部材が、ハロゲン化エポキシ化合物、酸化アンチモン化合物、及び、グリシジル基含有スチレン系共重合体、エラストマーを配合したポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から構成されており、上記樹脂部材は耐ヒートショック性、難燃性に優れ、かつ流動性を損なわないため、薄肉部への成形性にも優れる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
以下、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、(B)ハロゲン化エポキシ化合物、(C)酸化アンチモン化合物、(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体、(E)エラストマー、(F)充填材、その他の成分、インサート部材、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法、及びインサート成形品の製造方法について順に説明する。
[(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂]
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において用いる(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂は、少なくともテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体(C1〜C6のアルキルエステルや酸ハロゲン化物等)を含むジカルボン酸成分と、少なくとも炭素原子数4のアルキレングリコール(1,4−ブタンジオール)又はそのエステル形成性誘導体を含むグリコール成分とを重縮合して得られるポリブチレンテレフタレート系樹脂である。ポリブチレンテレフタレート樹脂は、ホモポリブチレンテレフタレート樹脂に限らず、ブチレンテレフタレート単位を60モル%以上(好ましくは75モル%以上、より好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上)含有する共重合体であってもよい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において用いる(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂は、少なくともテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体(C1〜C6のアルキルエステルや酸ハロゲン化物等)を含むジカルボン酸成分と、少なくとも炭素原子数4のアルキレングリコール(1,4−ブタンジオール)又はそのエステル形成性誘導体を含むグリコール成分とを重縮合して得られるポリブチレンテレフタレート系樹脂である。ポリブチレンテレフタレート樹脂は、ホモポリブチレンテレフタレート樹脂に限らず、ブチレンテレフタレート単位を60モル%以上(好ましくは75モル%以上、より好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上)含有する共重合体であってもよい。
本発明において用いる(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、本発明の目的を阻害しない限り特に制限されない。
また、本発明において用いる(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)は、0.60dL/g以上1.2dL/g以下であるのが好ましい。さらに好ましくは0.65dL/g以上0.9dL/g以下である。かかる範囲の固有粘度のポリブチレンテレフタレート樹脂を用いる場合には、得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が特に成形性に優れたものとなる。また、異なる固有粘度を有するポリブチレンテレフタレート樹脂をブレンドして、固有粘度を調整することもできる。例えば、固有粘度1.0dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂と固有粘度0.7dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂とをブレンドすることにより、固有粘度0.9dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂を調製することができる。(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)は、例えば、o−クロロフェノール中で温度35℃の条件で測定することができる。
本発明において用いる(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂において、テレフタル酸及びそのエステル形成性誘導体以外のジカルボン酸成分(コモノマー成分)としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル等のC8〜C14の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のC4〜C16のアルキルジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等のC5〜C10のシクロアルキルジカルボン酸;これらのジカルボン酸成分のエステル形成性誘導体(C1〜C6のアルキルエステル誘導体や酸ハロゲン化物等)が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのジカルボン酸成分の中では、イソフタル酸等のC8〜C12の芳香族ジカルボン酸、及び、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のC6〜C12のアルキルジカルボン酸がより好ましい。
本発明において用いる(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂において、1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分(コモノマー成分)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−オクタンジオール等のC2〜C10のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール;シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA等の脂環式ジオール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール;ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等の、ビスフェノールAのC2〜C4のアルキレンオキサイド付加体;又はこれらのグリコールのエステル形成性誘導体(アセチル化物等)が挙げられる。これらのグリコー成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのグリコール成分の中では、エチレングリコール、トリメチレングリコール等のC2〜C6のアルキレングリコール、ジエチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール、又は、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール等がより好ましい。
以上説明したコモノマー成分を共重合したポリブチレンテレフタレート共重合体は、何れも(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂として好適に使用できる。また、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂として、ホモポリブチレンテレフタレート重合体とポリブチレンテレフタレート共重合体とを組み合わせて使用してもよい。
[(B)ハロゲン化エポキシ化合物]
本発明におけるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、難燃剤として(B)ハロゲン化エポキシ化合物を含有する。本発明におけるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、(B)ハロゲン化エポキシ化合物と、後述する(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体を組み合わせて用いることにより、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に高い難燃性を付与しつつ、顕著な耐ヒートショック性の改善効果を示し、かつ樹脂組成物の流動性を阻害しない。つまり、本発明のインサート成形品の樹脂部材は、上記成分の組み合わせにより、難燃性に優れると共に、耐ヒートショック性、流動性にも優れる。
本発明におけるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、難燃剤として(B)ハロゲン化エポキシ化合物を含有する。本発明におけるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、(B)ハロゲン化エポキシ化合物と、後述する(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体を組み合わせて用いることにより、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に高い難燃性を付与しつつ、顕著な耐ヒートショック性の改善効果を示し、かつ樹脂組成物の流動性を阻害しない。つまり、本発明のインサート成形品の樹脂部材は、上記成分の組み合わせにより、難燃性に優れると共に、耐ヒートショック性、流動性にも優れる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に含まれる(B)ハロゲン化エポキシ化合物は、難燃剤として使用できるものである。(B)ハロゲン化エポキシ化合物としては、ハロゲン含有化合物(例えば、テトラブロムビスフェノールA)とエポキシ基含有化合物(例えば、エピクロルヒドリン)を原料とした重合体が好ましい。ハロゲン含有化合物を過剰にしたり、または末端封鎖剤を添加するにより、重合体の構造にエポキシ基が存在しない場合でも、原料としてエポキシ基含有化合物を用いているため、このような重合体(化合物)は、一般的にハロゲン化エポキシ化合物と称される。
(B)ハロゲン化エポキシ化合物の数平均分子量は2000以上15000以下であることが好ましく、より好ましくは2500以上14000以下である。この数平均分子量が2000より小さい場合には、(B)ハロゲン化エポキシ化合物がエポキシ基を有するとき、そのエポキシ当量が大きくなり、ポリブチレンテレフタレート樹脂との反応による成形加工性の低下を抑制することが困難になることがあり、(B)ハロゲン化エポキシ化合物がエポキシ基を持たないとき、分子量が小さいゆえに加工時、成形時の熱による分解に伴い難燃性の低下、さらには樹脂組成物の強度低下等を引き起こす要因となり得る。また、数平均分子量が15000より大きい場合には、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の流動性の低下や、耐ヒートショック性の効果が得られ難くなることがある。
(B)ハロゲン化エポキシ化合物の数平均分子量は2000以上15000以下であることが好ましく、より好ましくは2500以上14000以下である。この数平均分子量が2000より小さい場合には、(B)ハロゲン化エポキシ化合物がエポキシ基を有するとき、そのエポキシ当量が大きくなり、ポリブチレンテレフタレート樹脂との反応による成形加工性の低下を抑制することが困難になることがあり、(B)ハロゲン化エポキシ化合物がエポキシ基を持たないとき、分子量が小さいゆえに加工時、成形時の熱による分解に伴い難燃性の低下、さらには樹脂組成物の強度低下等を引き起こす要因となり得る。また、数平均分子量が15000より大きい場合には、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の流動性の低下や、耐ヒートショック性の効果が得られ難くなることがある。
(B)ハロゲン化エポキシ化合物としては、ブロモ化エポキシ化合物が好ましく、下記式(2)で表されるポリ(テトラブロム)ビスフェノールA型エポキシ化合物が好ましい。末端のエポキシ基は、末端封鎖剤で封鎖されても構わない。
(B)ハロゲン化エポキシ化合物としては、特に下記式(1)で表されるポリ(テトラブロム)ビスフェノールA型エポキシ化合物が好ましい。
(式(1)中、xは1〜5の整数である。)
(式(1)中、xは1〜5の整数である。)
上記式(1)のハロゲン化エポキシ化合物は、上記式(2)のハロゲン化エポキシ化合物をブロモフェノール(好ましくは、トリブロモフェノール)で末端封鎖することで得られる。このような式(1)のハロゲン化エポキシ化合物を用いることで、難燃性に優れると共に、流動性を顕著に優れたものとすることができる。
本発明における(B)ハロゲン化エポキシ化合物の使用量(含有量)は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に制限されない。(B)ハロゲン化エポキシ化合物の使用量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下が好ましく、15質量部以上40質量部以下がより好ましく、15質量部以上30質量部以下がさらに好ましい。(B)ハロゲン化エポキシ化合物の使用量が10質量部未満の場合には、所望の難燃性が得られない場合があり、50質量部を超える場合には、引張り強度や曲げ強度等の機械的性質が低下しやすく、溶融時の熱安定性の低下が起こりやすくなる。また、上記範囲の量の(B)ハロゲン化エポキシ化合物を用いることにより、難燃性及び耐ヒートショック性に加え、機械的性質に優れるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を調製することができる。その結果、本発明のインサート成形品の樹脂部材は、難燃性、ヒートショック性、機械的性質に優れる。
ハロゲン化エポキシ化合物の製造は、公知の製造方法が用いられる。例えばテトラブロムビスフェノールAとエピクロルヒドリンを反応させて得られるテトラブロムビスフェノールAジグリシジルエーテルに、さらにそのエポキシ基1当量に対して、テトラブロムビスフェノールAをその水酸基が0〜0.96当量になるように混合し、塩基性触媒、例えば水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、トリブチルアミン等の存在下に100〜250℃で加熱反応させることにより得ることができる。上記式(1)のハロゲン化エポキシ化合物は、さらにブロモフェノールで末端を封鎖することで得られる。
[(C)酸化アンチモン化合物]
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、難燃助剤として(C)酸化アンチモン化合物を含有する。本発明において用いる(C)酸化アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、又はアンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、難燃助剤として(C)酸化アンチモン化合物を含有する。本発明において用いる(C)酸化アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、又はアンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。
(C)酸化アンチモン化合物の使用量(含有量)は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に制限されない。(C)酸化アンチモン化合物の使用量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好ましく、2質量部以上20質量部以下がより好ましく、5質量部以上15質量部以下がさらに好ましい。(C)アンチモン化合物の使用量が1質量部未満の場合には、所望の難燃性が得られない場合があり、30質量部を超える場合には、引張り強度や曲げ強度等の機械的性質が低下しやすく、耐ヒートショック性の低下が起こりやすくなる。かかる範囲の量の(C)酸化アンチモン化合物を用いることにより、難燃性が特に優れるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を調製することができる。
[(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体]
本発明で用いられる(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体とは、グリシジル基含有アクリル系単量体及びスチレン系単量体を含有する単量体混合物を重合して得られるもの、或いはグリシジル基含有アクリル系単量体、スチレン系単量体及びその他のアクリル系単量体を含有する単量体混合物を重合して得られるものである。
グリシジル基含有アクリル系単量体として、例えばグリシジル(メタ)アクリレートやシクロヘキセンオキシド構造を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルグリシジルエーテル等が挙げられる。グリシジル基含有アクリル系単量体として好ましいものは、反応性の高いグリシジル(メタ)アクリレートである。なお、グリシジル(メタ)アクリレートとは、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタアクリレートを指す。他の類似の表記も同様である。
スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等が用いられる。
本発明で用いられる(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体とは、グリシジル基含有アクリル系単量体及びスチレン系単量体を含有する単量体混合物を重合して得られるもの、或いはグリシジル基含有アクリル系単量体、スチレン系単量体及びその他のアクリル系単量体を含有する単量体混合物を重合して得られるものである。
グリシジル基含有アクリル系単量体として、例えばグリシジル(メタ)アクリレートやシクロヘキセンオキシド構造を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルグリシジルエーテル等が挙げられる。グリシジル基含有アクリル系単量体として好ましいものは、反応性の高いグリシジル(メタ)アクリレートである。なお、グリシジル(メタ)アクリレートとは、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタアクリレートを指す。他の類似の表記も同様である。
スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等が用いられる。
その他のアクリル系単量体は、グリシジル基を含有しないアクリル系単量体であり、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル等の炭素数が1〜22のアルキル基(アルキル基は直鎖、分岐鎖でもよい)を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸フェノキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸イソボルニルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシシリルアルキルエステル等が挙げられる。(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルジアルキルアミドも使用可能である。これらは、一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。
本発明における(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体は、グリシジル基含有スチレン系共重合体100質量部とした時に、99〜50質量部のスチレン系単量体、1〜30質量部のグリシジル(メタ)アクリレート、及び0〜40質量部のその他のアクリル系単量体からなる共重合体であることが好ましい。各単量体の比は、順に、95〜50質量部、5〜20質量部及び0〜40質量部がより好ましく、93〜60質量部、7〜15質量部及び0〜30質量部が更に好ましい。
スチレン系単量体の含有量が50質量部未満では、ポリブチレンテレフタレート樹脂との混和性が劣り、ゲル化しやすくなる傾向があり、組成物の剛性を低下させる恐れがある。また、グリシジル(メタ)アクリレートの含有量が30質量部を超えると、ゲル化しやすくなる。
(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体の具体例として、スチレン/グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、スチレン/グリシジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン/グリシジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸ブチル共重合体などを例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。
スチレン系単量体の含有量が50質量部未満では、ポリブチレンテレフタレート樹脂との混和性が劣り、ゲル化しやすくなる傾向があり、組成物の剛性を低下させる恐れがある。また、グリシジル(メタ)アクリレートの含有量が30質量部を超えると、ゲル化しやすくなる。
(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体の具体例として、スチレン/グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、スチレン/グリシジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン/グリシジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸ブチル共重合体などを例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いられる(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体は、1分子鎖当りグリシジル基を平均で2個以上含有することが好ましく、2〜4個含有することがより好ましい。1分子鎖当りグリシジル基数が2未満では増粘が不十分となり、1分子鎖当りグリシジル基数が4を超えると組成物のゲル化などが起こりやすくなり組成物の滞留安定性が劣る場合がある。
グリシジル基の濃度をエポキシ価で示すと、300〜1400当量/106gであることが好ましく、より好ましくは400〜1300当量/106gであり、さらに好ましくは500〜1200当量/106gである。
エポキシ価が300当量/106g未満であると、ポリブチレンテレフタレート樹脂との反応性が不足して増粘効果が不十分になることがある。一方、1400当量/106gを超えるとゲル化等が発生し、成形品外観、成形性に悪影響をおよぼすことがある。
グリシジル基の濃度をエポキシ価で示すと、300〜1400当量/106gであることが好ましく、より好ましくは400〜1300当量/106gであり、さらに好ましくは500〜1200当量/106gである。
エポキシ価が300当量/106g未満であると、ポリブチレンテレフタレート樹脂との反応性が不足して増粘効果が不十分になることがある。一方、1400当量/106gを超えるとゲル化等が発生し、成形品外観、成形性に悪影響をおよぼすことがある。
(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体の重量平均分子量は、1000〜10000であることが好ましく、より好ましくは3000〜10000、さらに好ましくは5000〜10000である。重量平均分子量が1000未満であると、未反応の反応基アクリル系共重合体が、成形品表面にブリードアウトし成形品表面の汚染をひきおこすことがある。一方、10000を超えるとポリブチレンテレフタレート樹脂との相溶性が悪くなり、相分離及びゲル化等が発生し成形品外観に悪影響をおよぼすことがある。
(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体の配合量(含有量)は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体の配合量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して0.1〜3質量部となる量が好ましく、0.3〜2当量が特に好ましい。最適配合量はエポキシ価により変化し、エポキシ価が高ければ添加量は少なくてよく、エポキシ価が低ければ添加量を多くする必要がある。前記エポキシ価の範囲であれば、(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体の配合量(含有量)として0.1質量部未満であると増粘効果が低く、3質量部を超えると樹脂組成物の粘度が上がり流動性が低下するため、成形品外観、成形性に悪影響をおよぼしたりする。
[(E)エラストマー]
本発明におけるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、上記の(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、(B)ハロゲン化エポキシ化合物、(C)酸化アンチモン化合物、及び、(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体に加え、(E)エラストマーを含む。エラストマーを配合(含有)することにより、より高い耐ヒートショック性の改善効果が得られる。エラストマーを配合する場合、後述の(F)充填剤を共に配合してもよい。
本発明におけるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、上記の(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、(B)ハロゲン化エポキシ化合物、(C)酸化アンチモン化合物、及び、(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体に加え、(E)エラストマーを含む。エラストマーを配合(含有)することにより、より高い耐ヒートショック性の改善効果が得られる。エラストマーを配合する場合、後述の(F)充填剤を共に配合してもよい。
本発明において使用できる好適な(E)エラストマーとしては、本発明の目的を阻害しない範囲において、特に制限されない。(E)エラストマーは、酸変性エラストマー、コアシェル系エラストマーから選ばれる1種のエラストマーおよび/またはポリエステルエラストマーであることが好ましいが、本発明の効果をより発現できる点で、(E)エラストマーとしては、酸変性エラストマーおよびポリエステルエラストマーを含むことが、より好ましい。
[酸変性エラストマー]
酸変性エラストマーの好ましい例としては、酸変性されたオレフィン系エラストマー、酸変性されたスチレン系エラストマー等が挙げられる。特に、酸変性されたスチレン系エラストマーが好ましい。
酸変性エラストマーの好ましい例としては、酸変性されたオレフィン系エラストマー、酸変性されたスチレン系エラストマー等が挙げられる。特に、酸変性されたスチレン系エラストマーが好ましい。
オレフィン系エラストマーとしては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ポリブテンゴムなどを挙げることができる。
スチレン系エラストマーとしては、ポリスチレンブロックとポリオレフィン構造のエラストマーブロックとで構成されたブロック共重合体が好適に用いられる。スチレン系ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)等が挙げられる。
本発明における酸変性とは、環状酸無水物基を導入しうる化合物、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸等の環状酸無水物などで共重合体側鎖に環状酸無水物基やカルボン酸基を導入することを意味する。
環状酸無水物基を側鎖に導入する方法は、通常行われる方法、例えば、上記共重合体に、通常行われる条件、例えば、加熱下での撹拌等により環状酸無水物をグラフト重合させる方法で製造してもよく、また市販品を用いてもよい。
市販品としては、例えば、LIR−403(クラレ社製)、LIR−410A(クラレ社試作品)などの無水マレイン酸変性イソプレンゴム;LIR−410(クラレ社製)などの変性イソプレンゴム;クライナック110、221、231(ポリサー社製)などのカルボキシ変性ニトリルゴム;日石ポリブテン(新日本石油社製)などの無水マレイン酸変性ポリブテン;ニュクレル(三井デュポンポリケミカル社製)などのエチレンメタクリル酸コポリマー;ユカロン(三菱化学社製)などのエチレンメタクリル酸共重合体;タフマーM(MA8510(三井化学社製))、TX−1215(三井化学社製)などの無水マレイン酸変性エチレン−プロピレンゴム;タフマーM(MH7020(三井化学社製))などの無水マレイン酸変性エチレン−ブテンゴム;HPRシリーズ(無水マレイン酸変性EEA(三井・デュポンポリケミカル社製))、ボンダイン(無水マレイン酸変性EEA(アトフィナ社製))、タフテック(無水マレイン酸変性SEBS、M1943(旭化成社製))、クレイトン(無水マレイン酸変性SEBS、FG1901X(クレイトンポリマー社製))、タフプレン(無水マレイン酸変性SBS、912(旭化成社製))、セプトン(無水マレイン酸変性SEPS(クラレ社製))、レクスパール(無水マレイン酸変性EEA、ET−182G、224M、234M(日本ポリオレフィン社製))、アウローレン(無水マレイン酸変性EEA、200S、250S(日本製紙ケミカル社製))などの無水マレイン酸変性ポリエチレン;アドマー(QB550、LF128(三井化学社製))などの無水マレイン酸変性ポリプロピレン;等が挙げられる。
市販品としては、例えば、LIR−403(クラレ社製)、LIR−410A(クラレ社試作品)などの無水マレイン酸変性イソプレンゴム;LIR−410(クラレ社製)などの変性イソプレンゴム;クライナック110、221、231(ポリサー社製)などのカルボキシ変性ニトリルゴム;日石ポリブテン(新日本石油社製)などの無水マレイン酸変性ポリブテン;ニュクレル(三井デュポンポリケミカル社製)などのエチレンメタクリル酸コポリマー;ユカロン(三菱化学社製)などのエチレンメタクリル酸共重合体;タフマーM(MA8510(三井化学社製))、TX−1215(三井化学社製)などの無水マレイン酸変性エチレン−プロピレンゴム;タフマーM(MH7020(三井化学社製))などの無水マレイン酸変性エチレン−ブテンゴム;HPRシリーズ(無水マレイン酸変性EEA(三井・デュポンポリケミカル社製))、ボンダイン(無水マレイン酸変性EEA(アトフィナ社製))、タフテック(無水マレイン酸変性SEBS、M1943(旭化成社製))、クレイトン(無水マレイン酸変性SEBS、FG1901X(クレイトンポリマー社製))、タフプレン(無水マレイン酸変性SBS、912(旭化成社製))、セプトン(無水マレイン酸変性SEPS(クラレ社製))、レクスパール(無水マレイン酸変性EEA、ET−182G、224M、234M(日本ポリオレフィン社製))、アウローレン(無水マレイン酸変性EEA、200S、250S(日本製紙ケミカル社製))などの無水マレイン酸変性ポリエチレン;アドマー(QB550、LF128(三井化学社製))などの無水マレイン酸変性ポリプロピレン;等が挙げられる。
酸変性エラストマーは、酸変性の度合いとして、酸価が1〜15mgCH3ONa/gのものを用いることが好ましく、酸価が2〜10mgCH3ONa/gのものを用いることが更に好ましい。
酸変性エラストマーが酸変性スチレン系エラストマーの場合について、さらに説明する。酸価が1mgCH3ONa/g未満の酸変性スチレン系エラストマーを用いた場合は、機械的強度が低下する場合がある。また、酸価が15mgCH3ONa/gを超える酸変性スチレン系エラストマーを用いると、樹脂組成物の溶融粘度が高くなりすぎて、成形性に支障をきたす場合がある。
さらに、酸変性スチレン系エラストマーはポリブチレンテレフタレート樹脂との相溶性を向上させるためには230℃×2.16kgfで測定されるメルトフローレート(以下、「MFR」という)は、3〜10g/10minであることが好ましく、4〜9g/10minであることが更に好ましい。MFRが3g/10min未満であると溶融時の流動性が低いため、ポリブチレンテレフタレート樹脂と均一に分散しにくく、また、MFRが10g/10minを超えると溶融時の流動性が高すぎるために、ポリブチレンテレフタレート樹脂と均一に分散しにくくなる傾向がある。
さらに、酸変性スチレン系エラストマーはポリブチレンテレフタレート樹脂との相溶性を向上させるためには230℃×2.16kgfで測定されるメルトフローレート(以下、「MFR」という)は、3〜10g/10minであることが好ましく、4〜9g/10minであることが更に好ましい。MFRが3g/10min未満であると溶融時の流動性が低いため、ポリブチレンテレフタレート樹脂と均一に分散しにくく、また、MFRが10g/10minを超えると溶融時の流動性が高すぎるために、ポリブチレンテレフタレート樹脂と均一に分散しにくくなる傾向がある。
酸変性スチレン系エラストマーは、既存のスチレン系エラストマーを酸変性したものであり、スチレン、エチレン、ブタジエンの各ブロック単位を共重合して得られたスチレン系エラストマーに対し、無水マレイン酸等を用いて分子鎖中に少なくとも一個のカルボキシル基を導入したものであり、市販品としては酸変性スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体(旭化成ケミカルズ社製タフテックM1911:酸価2mgCH3ONa/g、MFR4.5g/10min、旭化成ケミカルズ社製タフテックM1913:酸価10mgCH3ONa/g、MFR5.0g/10min、旭化成ケミカルズ社製タフテックM1943:酸価10mgCH3ONa/g、MFR8.0g/10min)等が好ましい。
[コアシェル系エラストマー]
コアシェル系エラストマーは、コア層(コア部)と、このコア層の表面の少なくとも一部を被覆するシェル層とで構成される多層構造を有する。コアシェル系エラストマーのコア層は、ゴム成分(軟質成分)で構成されるのが好ましく、ゴム成分としてはアクリル系ゴムが好適に用いられる。コア層に用いるゴム成分は、ガラス転移温度(Tg)が0℃未満(例えば−10℃以下)であるのが好ましく、−20℃以下(例えば−180℃以上−25℃以下)であるのがより好ましく、−30℃以下(例えば−150℃以上−40℃以下)であるのが特に好ましい。
コアシェル系エラストマーは、コア層(コア部)と、このコア層の表面の少なくとも一部を被覆するシェル層とで構成される多層構造を有する。コアシェル系エラストマーのコア層は、ゴム成分(軟質成分)で構成されるのが好ましく、ゴム成分としてはアクリル系ゴムが好適に用いられる。コア層に用いるゴム成分は、ガラス転移温度(Tg)が0℃未満(例えば−10℃以下)であるのが好ましく、−20℃以下(例えば−180℃以上−25℃以下)であるのがより好ましく、−30℃以下(例えば−150℃以上−40℃以下)であるのが特に好ましい。
ゴム成分として用いるアクリル系ゴムは、アルキルアクリレート等のアクリル系モノマーを主成分として重合して得られる重合体が好ましい。アクリル系ゴムのモノマーとして用いるアルキルアクリレートは、ブチルアクリレート等のアクリル酸のC1〜C12のアルキルエステルが好ましく、アクリル酸のC2〜C6のアルキルエステルがより好ましい。
アクリル系ゴムは、アクリル系モノマーの単独重合体でもよく、共重合体でもよい。アクリル系ゴムがアクリル系モノマーの共重合体である場合、アクリル系モノマー同士の共重合体でも、アクリル系モノマーと他の不飽和結合含有モノマーとの共重合体であってもよい。アクリル系ゴムが共重合体である場合、アクリル系ゴムは架橋性モノマーを共重合したものであってもよい。
シェル層には、ビニル系重合体が好ましく用いられる。ビニル系重合体は、例えば、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、メタクリル酸エステル系単量体、及びアクリル酸エステル単量体の中から選ばれた少なくとも一種の単量体を重合あるいは共重合させて得られる。かかるコアシェル系エラストマーのコア層とシェル層は、グラフト共重合によって結合されていてもよい。このグラフト共重合化は、必要な場合には、コア層の重合時にシェル層と反応するグラフト交差剤を添加し、コア層に反応基を与えた後、シェル層を形成させることによって得られる。グラフト交差剤として、シリコーン系ゴムを使用する場合は、ビニル結合を有したオルガノシロキサンあるいはチオールを有したオルガノシロキサンが用いられ、好ましくはアクロキシシロキサン、メタクリロキシシロキサン、ビニルシロキサンが使用される。
[ポリエステルエラストマー]
ポリエステルエラストマー(ポリエステル系エラストマー)は、曲げ弾性率が1000MPa以下、好ましくは700MPa以下のものであれば特に制限されず、種々のものを使用でき、ポリエーテル型、又はポリエステル型の何れも使用できる。
ポリエステルエラストマー(ポリエステル系エラストマー)は、曲げ弾性率が1000MPa以下、好ましくは700MPa以下のものであれば特に制限されず、種々のものを使用でき、ポリエーテル型、又はポリエステル型の何れも使用できる。
ポリエーテル型のポリエステル系エラストマーとは、芳香族ポリエステル単位をハードセグメントとし、オキシアルキレングリコールの重合体とジカルボン酸からなるポリエステルをソフトセグメントとするポリエステルエラストマーである。
ハードセグメント中の芳香族ポリエステル単位は、ジカルボン酸化合物とジヒドロキシ化合物との重縮合物、オキシカルボン酸化合物の重縮合物、又は、ジカルボン酸化合物とジヒドロキシ化合物とオキシカルボン酸化合物との重縮合物に由来する単位である。ハードセグメントの具体例としては、ポリブチレンテレフタレートに由来する単位が挙げられる。
ソフトセグメントは、ポリアルキレンエーテルとジカルボン酸化合物の重縮合により生成した化合物により、ポリエステル系エラストマー中に導入される。ソフトセグメントの具体例としては、例えば、テトラヒドロフランから誘導されるポリオキシテトラメチレングリコールのエステル化合物に由来する単位が挙げられる。
ポリエーテル型のエステル系エラストマーは、合成したものを用いてもよく、市販のものを用いてもよい。ポリエーテル型のエラストマーの市販品としては、例えば、東洋紡(株)製のペルプレンP−30B、P−70B、P−90B、P−208Bなどが挙げられる。
ポリエステル型のエステル系エラストマーとは、芳香族ポリエステル単位をハードセグメントとし、非晶性ポリエステル単位をソフトセグメントとするポリエステルエラストマーである。ハードセグメント中の芳香族ポリエステル単位は、ポリエーテル型エラストマーと同様である。ソフトセグメント中の非晶性ポリエステル単位としては、ラクトンの開環重合体、又は、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとの重縮合物に由来する単位が挙げられる。
ポリエステル型のエステル系エラストマーは、合成したものを用いてもよく、市販のものを用いてもよい。ポリエステル型エラストマーの市販品としては、例えば、東洋紡(株)製のペルプレンS−1002、S−2002等が挙げられる。
(E)エラストマー成分の配合量(含有量)は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、0.5〜25質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、さらに好ましくは2〜16質量部である。0.5質量部より少ないと、耐ヒートショック性の向上効果が小さく、25質量部を超えると、耐ヒートショック性が低下する傾向があるだけでなく、流動性、強度が低下する傾向がある。
[(F)充填剤]
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、(B)ハロゲン化エポキシ化合物、(C)酸化アンチモン化合物、(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体、及び(E)エラストマーに加え、さらに(F)充填剤を含むものであってもよい。(F)充填剤は、目的に応じて繊維状、非繊維状(粉粒状、板状)等の各種充填剤が用いられる。これらの充填剤は2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、(B)ハロゲン化エポキシ化合物、(C)酸化アンチモン化合物、(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体、及び(E)エラストマーに加え、さらに(F)充填剤を含むものであってもよい。(F)充填剤は、目的に応じて繊維状、非繊維状(粉粒状、板状)等の各種充填剤が用いられる。これらの充填剤は2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
かかる充填剤のうち繊維状充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、シリカ繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、金属繊維、有機繊維等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
一方、粉粒状充填剤としては、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、珪酸カルシウム、カオリン、珪藻土、ウォラストナイトの如き珪酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナの如き金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き金属の硫酸塩、その他炭化珪素、窒化珪素、窒化硼素、各種金属粉末が挙げられるがこれに限定されるものではない。
また、板状充填剤としてはマイカ、ガラスフレーク等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
これらの(F)充填剤の中では、得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の機械的性質が優れることから、繊維状充填剤を用いるのがより好ましい。繊維状充填剤の中では、機械的性質の改良効果とコストのバランスの点で、ガラス繊維を用いるのが好ましい。
本発明において用いるガラス繊維は、繊維径、断面形状(例えば、円形、繭形、長円等)等により制限されず、公知のガラス繊維が何れも好ましく使用できる。また、ガラス繊維は、チョップドストランド、ミルド繊維、ロービング等の種々の形態のものを使用することができる。本発明において、ガラス繊維を構成するガラスの種類は特に限定されないが、品質上、Eガラスや、ジルコニウム元素を含む耐腐食ガラスが好ましく用いられる。
本発明において、(F)充填剤を用いる場合、充填剤と樹脂マトリックスの界面特性を向上させる目的で、アミノシラン化合物やエポキシ化合物等の有機処理剤で表面処理された充填剤を用いるのが好ましい。有機処理剤で表面処理された充填剤を用いる場合、有機処理剤の使用量は、表面処理された充填剤の質量に対して0.03質量%以上5質量%以下が好ましく、0.3質量%以上2質量%以下がより好ましい。有機処理剤の使用量は、表面処理された充填剤の加熱減量値を測定することにより知ることができる。本発明において、充填剤の表面処理に用いる有機処理剤は特に制限されず、従来、充填剤の表面処理として使用されている種々の表面処理剤を用いることができる。
本発明におけるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物における(F)充填剤の使用量(含有量)は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に制限されない。(F)充填剤の使用量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、20質量部以上100質量部以下が好ましく、20質量部以上90質量部以下がより好ましく、30質量部以上80質量部以下がさらに好ましい。(F)充填剤の使用量をかかる範囲の量とすることにより、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の機械的性質や表面特性を改良しつつ、耐ヒートショック性を優れたものとすることができる。
[その他の成分]
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、さらにその目的に応じて、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料、顔料、潤滑剤、可塑剤、離型剤、結晶化促進剤、結晶核剤、エポキシ化合物等の種々の添加剤を含んでいてもよい。
本発明におけるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、(B)ハロゲン化エポキシ化合物、(C)酸化アンチモン化合物、(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体、(E)エラストマー、及び(F)充填材の合計で80質量%以上占めることが好ましく、90質量%以上を占めることがより好ましく、95質量%以上を占めることがさらに好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、さらにその目的に応じて、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料、顔料、潤滑剤、可塑剤、離型剤、結晶化促進剤、結晶核剤、エポキシ化合物等の種々の添加剤を含んでいてもよい。
本発明におけるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、(B)ハロゲン化エポキシ化合物、(C)酸化アンチモン化合物、(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体、(E)エラストマー、及び(F)充填材の合計で80質量%以上占めることが好ましく、90質量%以上を占めることがより好ましく、95質量%以上を占めることがさらに好ましい。
[インサート部材]
本発明のインサート成形品が備えるインサート部材は、従来からインサート成形体に用いられる一般的なものを使用することができる。具体的には、インサート部材は、金属、無機材料、有機材料の何れであってもよい。例えば、鋼、鋳鉄、ステンレス、アルミ、銅、金、銀、真鍮等の金属、熱伝導性のセラミックや炭素材等が挙げられる。また、表面に金属の薄膜が形成された金属等もインサート部材として使用可能である。金属の薄膜としては、例えばメッキ処理(湿式メッキ処理、乾式メッキ処理等)により形成される薄膜を例示することができる。なお、インサート部材とは金属、無機材料等の単体のみならず複数の金属や樹脂等を有する複合体のことを言う場合もある。
本発明のインサート成形品が備えるインサート部材は、従来からインサート成形体に用いられる一般的なものを使用することができる。具体的には、インサート部材は、金属、無機材料、有機材料の何れであってもよい。例えば、鋼、鋳鉄、ステンレス、アルミ、銅、金、銀、真鍮等の金属、熱伝導性のセラミックや炭素材等が挙げられる。また、表面に金属の薄膜が形成された金属等もインサート部材として使用可能である。金属の薄膜としては、例えばメッキ処理(湿式メッキ処理、乾式メッキ処理等)により形成される薄膜を例示することができる。なお、インサート部材とは金属、無機材料等の単体のみならず複数の金属や樹脂等を有する複合体のことを言う場合もある。
インサート部材を構成する材料は、例えば、用途等を考慮して、適宜好ましい材料を選択することができる。
インサート部材を製造するための成形方法は特に限定されないが、例えば、金属の場合には、従来公知の工作機械による切削加工等の加工、ダイキャスト、射出成形、プレス打ち抜き等の型鋳造等の方法により、所望の形状のインサート部材を製造することができる。
[ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法]
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、従来、熱可塑性樹脂組成物の製造方法として知られる種々の方法によって製造することができる。ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法として好適な方法としては、例えば、1軸又は2軸押出機等の溶融混練装置を用いて、各成分を溶融混練して押出し、ペレットとする方法が挙げられる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、従来、熱可塑性樹脂組成物の製造方法として知られる種々の方法によって製造することができる。ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法として好適な方法としては、例えば、1軸又は2軸押出機等の溶融混練装置を用いて、各成分を溶融混練して押出し、ペレットとする方法が挙げられる。
[インサート成形品の製造方法]
インサート部材を金型に配置して、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を金型内に射出することで、本発明のインサート成形体を製造することができる。
インサート部材を金型に配置して、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を金型内に射出することで、本発明のインサート成形体を製造することができる。
以上のようにして得られた本発明のインサート成形品は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる樹脂部材が耐ヒートショック性、難燃性、及び耐加水分解性に優れるため、インサート部品等の種々の用途に好適に用いられる。特に、激しい温度昇降を受けた場合であっても、ヒートショックによるクラックが発生しにくいことから、自動車用途のインサート成形品の材料として好適に使用される。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<実施例1〜7、及び比較例1〜4>
実施例1〜7、及び比較例1〜4において、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の成分として、以下の材料を用いた。
実施例1〜7、及び比較例1〜4において、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の成分として、以下の材料を用いた。
〔ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)〕
A−1:ポリブチレンテレフタレート(東洋紡社製 IV=0.83dl/g、酸価=30eq/t)
〔ハロゲン化エポキシ化合物〕
B−1:ブロモ化エポキシ化合物 プラサームXT−600((株)DIC社製 臭素含有量57.6質量%、数平均分子量2600、上記式(1)の構造を有する)
B−2:ブロモ化エポキシ化合物 プラサームEP−100L((株)DIC社製 臭素含有量52質量%、数平均分子量13500、上記式(2)の構造を有する)
〔アンチモン化合物〕
C−1:三酸化アンチモン(日本精鉱(株)製 PATOX−MK)
A−1:ポリブチレンテレフタレート(東洋紡社製 IV=0.83dl/g、酸価=30eq/t)
〔ハロゲン化エポキシ化合物〕
B−1:ブロモ化エポキシ化合物 プラサームXT−600((株)DIC社製 臭素含有量57.6質量%、数平均分子量2600、上記式(1)の構造を有する)
B−2:ブロモ化エポキシ化合物 プラサームEP−100L((株)DIC社製 臭素含有量52質量%、数平均分子量13500、上記式(2)の構造を有する)
〔アンチモン化合物〕
C−1:三酸化アンチモン(日本精鉱(株)製 PATOX−MK)
〔グリシジル基含有スチレン系共重合体〕
D−1、D−2:後述の製造例にて作製したものを用いた。
D−1、D−2:後述の製造例にて作製したものを用いた。
〔エラストマー〕
E−1:ポリエステルエラストマー;東洋紡(株)製 ペルプレンP−70B
E−2:酸変性されたスチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ社製 タフテックM1943(無水マレイン酸変性水添SEBS))
E−3:酸変性されたオレフィン系エラストマー(三井化学社製 タフマーMH7020(無水マレイン酸変性EBR))
E−4:コアシェル系ポリマー[コア:ポリブチルアクリレート、シェル:ポリメチルメタクリレート](ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製 パラロイド EXL2620)
E−1:ポリエステルエラストマー;東洋紡(株)製 ペルプレンP−70B
E−2:酸変性されたスチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ社製 タフテックM1943(無水マレイン酸変性水添SEBS))
E−3:酸変性されたオレフィン系エラストマー(三井化学社製 タフマーMH7020(無水マレイン酸変性EBR))
E−4:コアシェル系ポリマー[コア:ポリブチルアクリレート、シェル:ポリメチルメタクリレート](ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製 パラロイド EXL2620)
〔ガラス繊維〕
F−1:ガラスファイバー(日本電気硝子製 T−127H)
〔カルボジイミド化合物〕
日清紡ケミカル社製 脂肪族カルボジイミド(カルボジライトLA−1)
F−1:ガラスファイバー(日本電気硝子製 T−127H)
〔カルボジイミド化合物〕
日清紡ケミカル社製 脂肪族カルボジイミド(カルボジライトLA−1)
[グリシジル基含有スチレン系共重合体の製造方法]
〔(D−1)の作製例〕
オイルジャケットを備えた容量1リットルの加圧式攪拌槽型反応器のオイルジャケット温度を、200℃に保った。一方、スチレン(以下、Stという。)89質量部、グリシジルメタクリレート(以下、GMAという。)11質量部、キシレン15質量部及び重合開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド(以下、DTBPという。)0.5質量部からなる単量体混合液を原料タンクに仕込んだ。一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給し、反応器の内容液質量が約580gで一定になるように反応液を反応器の出口から連続的に抜き出した。その時の反応器内温は、約210℃に保たれた。反応器内部の温度が安定してから36分経過した後から、抜き出した反応液を減圧度30kPa、温度250℃に保った薄膜蒸発機により連続的に揮発成分除去処理して、揮発成分をほとんど含まない重合体(D−1)を回収した。
得られた重合体(D−1)は、GPC分析(ポリスチレン換算値)によると重量平均分子量8500、数平均分子量3300であった。エポキシ価は670当量/106g、エポキシ価数(1分子当りの平均エポキシ基の数)は2.2であった。
〔(D−1)の作製例〕
オイルジャケットを備えた容量1リットルの加圧式攪拌槽型反応器のオイルジャケット温度を、200℃に保った。一方、スチレン(以下、Stという。)89質量部、グリシジルメタクリレート(以下、GMAという。)11質量部、キシレン15質量部及び重合開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド(以下、DTBPという。)0.5質量部からなる単量体混合液を原料タンクに仕込んだ。一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給し、反応器の内容液質量が約580gで一定になるように反応液を反応器の出口から連続的に抜き出した。その時の反応器内温は、約210℃に保たれた。反応器内部の温度が安定してから36分経過した後から、抜き出した反応液を減圧度30kPa、温度250℃に保った薄膜蒸発機により連続的に揮発成分除去処理して、揮発成分をほとんど含まない重合体(D−1)を回収した。
得られた重合体(D−1)は、GPC分析(ポリスチレン換算値)によると重量平均分子量8500、数平均分子量3300であった。エポキシ価は670当量/106g、エポキシ価数(1分子当りの平均エポキシ基の数)は2.2であった。
〔(D−2)の作製例〕
St74質量部、GMA20質量部、アクリル酸ブチル6質量部、キシレン15質量部、DTBP0.5質量部からなる単量体混合液を用いた以外は、重合体(D−1)の製造と同じ方法にて、重合体(D−2)を製造した。
得られた重合体は、GPC分析(ポリスチレン換算値)による質量平均分子量9700、数平均分子量3300であった。エポキシ価は1200当量/106g、エポキシ価数(1分子当りの平均エポキシ基の数)は3.8であった。
St74質量部、GMA20質量部、アクリル酸ブチル6質量部、キシレン15質量部、DTBP0.5質量部からなる単量体混合液を用いた以外は、重合体(D−1)の製造と同じ方法にて、重合体(D−2)を製造した。
得られた重合体は、GPC分析(ポリスチレン換算値)による質量平均分子量9700、数平均分子量3300であった。エポキシ価は1200当量/106g、エポキシ価数(1分子当りの平均エポキシ基の数)は3.8であった。
表1に示す成分を、表1に示す含量(質量部)の比率でドライブレンドし、2軸押出機((株)日本製鋼所製TEX−30)を用いて、シリンダー温度260℃、吐出量15kg/hr、スクリュー回転数150rpmの条件で溶融混練してポリブチレンテレフタレート樹脂組成物のペレットを作製した。得られたペレットを用いて試験片を作製し、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の耐ヒートショック性、燃焼性、及び流動性を測定した。実施例1〜7のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の耐ヒートショック性、流動性、及び難燃性の測定結果を表1に記す。
また、比較例1〜4のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の耐ヒートショック性、流動性及び難燃性の測定結果を同様に表1に記す。なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の各物性は以下の方法に従い測定した。
また、比較例1〜4のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の耐ヒートショック性、流動性及び難燃性の測定結果を同様に表1に記す。なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の各物性は以下の方法に従い測定した。
<耐ヒートショック性>
縦110mm、横60mm、高さ6mmの角柱内部に縦100mm、横50mm、高さ3mmの鉄芯をインサートする金型にて、一部の樹脂部の最小肉厚が1mmとなるようにインサート成形品を射出成形して試験片を製造した。得られたインサート成形品について、冷熱衝撃試験機を用いて120℃にて1時間加熱後、−20℃に降温して1時間冷却後、さらに120℃に昇温する過程を1サイクルとする耐ヒートショック試験を行い、成形品にクラックが入るまでのサイクル数を測定し、耐ヒートショック性を評価した。
縦110mm、横60mm、高さ6mmの角柱内部に縦100mm、横50mm、高さ3mmの鉄芯をインサートする金型にて、一部の樹脂部の最小肉厚が1mmとなるようにインサート成形品を射出成形して試験片を製造した。得られたインサート成形品について、冷熱衝撃試験機を用いて120℃にて1時間加熱後、−20℃に降温して1時間冷却後、さらに120℃に昇温する過程を1サイクルとする耐ヒートショック試験を行い、成形品にクラックが入るまでのサイクル数を測定し、耐ヒートショック性を評価した。
<流動性評価>
幅10mm、厚み1mmの流路を有する流動長評価金型を用い、射出圧力100MPa、シリンダー温度265℃、金型温度60℃にてサイクル30sで連続して20ショット射出成形を実施し、20ショット目の流動長を測定した
幅10mm、厚み1mmの流路を有する流動長評価金型を用い、射出圧力100MPa、シリンダー温度265℃、金型温度60℃にてサイクル30sで連続して20ショット射出成形を実施し、20ショット目の流動長を測定した
<難燃性>
試験片(0.75mm厚み)について、アンダーライターズ・ラボラトリーズのUL−94規格垂直燃焼試験により実施した。
試験片(0.75mm厚み)について、アンダーライターズ・ラボラトリーズのUL−94規格垂直燃焼試験により実施した。
表1より、本発明の実施例1〜7のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を、インサート成形品の樹脂部材とした場合に、樹脂部材が耐ヒートショック性、難燃性、耐加水分解性に優れ、かつ、流動性も損なわれていないことが分かる。よって、樹脂部分が薄肉、大型の場合でも、良好なインサート成形品を得ることができる。
本発明のインサート成形品は、その樹脂部材が耐ヒートショック性、難燃性、耐加水分解性に優れ、かつ、流動性も優れており、特に自動車分野で、温度昇降の激しい環境に曝される部材に好適に使用することができる。
Claims (7)
- (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と、(B)ハロゲン化エポキシ化合物と、(C)酸化アンチモン化合物と、(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体と、(E)エラストマーとを含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から構成される樹脂部材とインサート部材とを備えるインサート成形品。
- 前記(B)ハロゲン化エポキシ化合物が、数平均分子量2000以上15000以下であり、下記式(1)で表されるブロモ化エポキシ化合物である、請求項1に記載のインサート成形品。
(式(1)中、xは1〜5の整数である。) - 前記(D)グリシジル基含有スチレン系共重合体が、グリシジル基を1分子あたり2個以上含有し、重量平均分子量が1000〜10000であり、かつ99〜50質量部のスチレン系単量体、1〜30質量部のグリシジル(メタ)アクリレート、および0〜40質量部のその他のアクリル系単量体からなる共重合体である請求項1または2に記載のインサート成形品。
- 前記(E)エラストマーが、酸変性エラストマー、コアシェル系エラストマーから選ばれる1種のエラストマーおよび/またはポリエステルエラストマーである請求項1〜3のいずれかに記載のインサート成形品。
- 前記(E)の酸変性エラストマーが、酸変性されたオレフィン系エラストマーおよび酸変性されたスチレン系エラストマーから選ばれる少なくとも1種の酸変性エラストマーである、請求項4に記載のインサート成形品。
- さらに、(F)充填剤を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のインサート成形品。
- 前記(F)充填剤が、ガラス繊維である請求項6に記載のインサート成形品。
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WO2020166444A1 (ja) * | 2019-02-12 | 2020-08-20 | 東洋紡株式会社 | ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物 |
-
2016
- 2016-07-19 JP JP2016141511A patent/JP2018012209A/ja active Pending
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WO2020166444A1 (ja) * | 2019-02-12 | 2020-08-20 | 東洋紡株式会社 | ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物 |
JPWO2020166444A1 (ja) * | 2019-02-12 | 2021-12-16 | 東洋紡株式会社 | ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物 |
JP7400743B2 (ja) | 2019-02-12 | 2023-12-19 | 東洋紡エムシー株式会社 | ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物 |
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