JP2007319047A - 苗木または採穂母樹の作成方法 - Google Patents

苗木または採穂母樹の作成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
樹木苗や挿し木用採穂母樹を安定的に健全かつ大量に生産できるシステムを提供する。
【解決手段】
(1)樹木から得られる挿し穂を固定培地に植え付け、発根させた後、根部が水に漬かるようにして水耕栽培することを特徴とする植林用苗木の作成方法。(2)樹木の当年枝または萌芽から得られた挿し穂を水耕栽培することを特徴とする採穂母樹の作成方法。
また、各手段において、水耕栽培に用いる養液のpHを経時的に測定し、pH調整液を自動的に添加し、一定範囲の設定pH値を維持し、電気伝導度を径時的に測定し、設定電気伝導度値を下回った場合、肥料養液を自動的に添加し、設定電気伝導度値を維持することが好ましい。これらの方法は、ユーカリ属またはアカシア属の樹木に好適に適用される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、主として、ユーカリやアカシアなどの植林に使用される挿し木苗を作成する方法に関する。また、挿し木苗を採取するための母樹の作成方法に関する。
造林用の樹木苗は、たね、挿し木、接ぎ木などから移植に適するように育成したものであり、培地としては土壌が用いられている。これらは移植後の環境に適応できるように、地上部が頑健であり、根系が充実していることが重要視され、樹種によって異なるが、数ヶ月から数年間の育成期間が必要となる。
通常、造林用の樹木苗は造林地への移植が前提で、根部の土壌量を抑制しているため、少量の土壌中に保持可能な水分や養分が限定される。このため、苗木の育成においては、定期的な灌水および施肥が不可欠で、場合によっては移植後の灌水・施肥が必要となる場合もある。通常ではこれらの施行制御が難しいために、健全な樹木苗を安定的に大量に生産することは困難であった。
挿し木法は、親である樹木の遺伝形質をそのまま受け継ぐという利点を持ち、遺伝的、形質的にも優良で、形質がそろった樹木苗を増殖できる方法として、広く用いられている。例えば、建材用の材木、製紙用のチップなどを目的として、成長性が良く、容積重が大きいというような遺伝的に優れた資質を有するエリート木を親とし、そこから挿し穂を採取して植えつける所謂クローン植林が実用化し始めている。
その際に、エリート木から採取した挿し穂を直接植林せずに、当該挿し穂を固体培地に挿し付けて一定期間育成し、それを採穂用の母樹として、そこから植林用の苗木を採取して植えつける方法が知られている。以下、本明細書おいては、そのような採穂用の母樹を採穂母樹または単に母樹と称する。
挿し木法において重要なことの一つとして、挿し木用採穂母樹が十分な栄養状態でないと、採穂可能数や挿し木苗の歩留まりが減少する。しかし一方において、栄養だけ与えられて早く成長しても、挿し穂が柔軟であると、挿し木後に病虫害による被害を受け、挿し木苗の発根率が低下することから、充実した枝を有する挿し木用採穂母樹が必要となる。
また、徒長した枝も発根率が低いため、樹木苗と同様、定期的な施肥および、病虫害予防を行う等、適切な施行が必要となる。挿し木用採穂母樹も土耕栽培しか行われておらず、採穂母樹の適切な栄養維持管理は大変困難であった。
特に、成長が早いため製紙用原料として植林に良く使用されるユーカリ・グロブラスは、挿し木における発根率が低いことが問題であることが知られており、発根率を向上させるための各種の手法が提案されている。
特許文献1には、ユーカリの挿し穂を植物ホルモン含有液に浸してから高湿度下で発根させる方法が開示されている。
特許文献2には、採穂母樹を予め植物成長調節剤により処理してから挿し穂を採取する方法が開示されている。
特許文献3には、採穂母樹を予めアルミニウム塩含有水溶液により処理してから挿し穂を採取する方法が開示されている。
特許文献4には、挿し穂に炭酸塩等でpHが調製された炭酸水を供給して挿し穂を発根させる方法が開示されている。
特許文献5には、液体培地で湿潤した発根床に挿し穂を挿し付けて、培養容器内の炭酸ガス濃度を制御して発根させる方法が開示されている。
これらの方法は一定の条件下で、ある程度の効果を発揮するが、別の条件下では効果が低い場合もあり、まだまだ発根性の改善は求められている。
その他、ユーカリを組織培養によりクローン植林する方法が提案され、その際にも発根性を改善する方法が提案されている。(特許文献6、7参照)
一方、植物に必要な栄養素を溶解した水溶液(以下「養液」という)を用いて植物を育成する水耕栽培は、土壌条件とは無関係に作物作成が可能であり、土耕栽培で必要な耕起、畝作り、施肥散布、除草などの作業を省略できるという特徴がある。また、水耕栽培は植物に与える栄養素組成のコントロールが土壌に比べて容易であり、さらに、土壌病害や、塩類集積など一連の連作障害を回避しやすいことから、安定した作物生産が可能であるといえる。国内では主に、ミツバ、ネギ、トマト、キュウリ、イチゴ、レタス、シソなど幅広い種類の作物で栽培が行われている。土壌やロックウールなど固形培地を用いない水耕栽培システムは多数の文献(「養液栽培の新マニュアル」(日本施設園芸協会編)など)に詳しく述べられているが、現在、市販されている主要な水耕栽培方式はM式水耕、協和式ハイポニカ、新和式NS水耕、積水スイコウメイト、カネコEK式ハイドロポニック、JT楽農次郎などである。これらはいずれも、前述の野菜等の栽培に特化したものであり、樹木苗もしくは挿し木用採穂母樹を対象としていないし、これまでに、造林を目的とした樹木苗、挿し木用採穂母樹の水耕栽培事例は全くない。
特許文献8では、水耕栽培装置で栽培している植物体にセンサーを貼付し、積極的に付与した外部刺激による応答をもとに植物育成条件の最適化を行う装置が開示されている。これは、新規なセンサーを付加し、外部からの様々な刺激に対する植物応答を制御に利用するものであるが、生育ステージとの連携で制御しているものではない。
特許文献9にはフレームに沿って花菜類を栽培する水耕装置が開示されているが、果菜類を対象としたものであり、樹木苗の生産方法には適用しがたいといえる。
樹木苗や挿し木用採穂母樹と前述作物における栽培の相違点としては、特に施肥管理に違いがあることがあげられる。野菜の栽培では、早期出荷による生産量増大を目的として大量施肥を行うのに対し、樹木苗は移植後の環境に適応できることを目的として徒長させない為、過剰に施肥を与えることをしない。しかし、これは一方で樹木苗の成長速度を抑制させることになり、この為、移植可能な樹木苗や採穂可能な挿し木用採穂母樹になるまでに長期間の育成期間が必要となる問題があった。また、これらの多くは木質化が完了していないために、病虫害に対する抵抗性が成木より低く、土壌細菌による根腐病などの対策を講じる必要もある。
特開平6−98630号公報、特許請求の範囲、請求項1 特開2001−231355号公報、特許請求の範囲、請求項1 特開2002−10710号公報、特許請求の範囲、請求項1 特開2005−333854号公報、特許請求の範囲、請求項4 特開2001−186814号公報、特許請求の範囲、請求項1 特開2005−102516号公報、特許請求の範囲、請求項1 特開2000−217458号公報、特許請求の範囲、請求項1 特開平9−56258号公報、特許請求の範囲 特開平7−327515号公報、特許請求の範囲
樹木苗、挿し木用採穂母樹の大量生産は林業経営の経済性向上のためにも必要なことであるが、これらの生産は土耕に限定され、さらには、成長促進と徒長状態の防止という、相反する条件を求められるため、生育量増大並びに生産性向上を目的とした技術開発が十分であるとはいえない。このため、樹木苗や挿し木用採穂母樹を安定的に健全かつ大量に生産できるシステム開発が求められている。
本発明は、上記の課題を解決するため、以下の(1)〜(7)の構成を採用する。
(1) 樹木から得られる挿し穂を固定培地に植え付け、発根させた後、根部が水に漬かるようにして水耕栽培することを特徴とする植林用苗木の作成方法。
(2) 樹木の当年枝または萌芽から得られた挿し穂を水耕栽培することを特徴とする採穂母樹の作成方法。
(3) 水耕栽培に用いる養液のpHを経時的に測定し、pH調整液を自動的に添加し、一定範囲の設定pH値を維持することを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の苗木または採穂母樹の作成方法。
(4) 水耕栽培に用いる養液の電気伝導度を経時的に測定し、設定電気伝導度値を下回った場合、肥料養液を自動的に添加し、設定電気伝導度値を維持することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の苗木または採穂母樹の作成方法。
(5) 水耕栽培に用いる養液を少なくとも1回、全量もしくは任意量を交換することを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の苗木または採穂母樹の作成方法。
(6) 水耕栽培に用いる養液中の酸素濃度を自動的に制御することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の苗木または採穂母樹の作成方法。
(7) 樹木がユーカリ属またはアカシア属植物である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の苗木または採穂母樹の作成方法。
本発明により、樹木苗や挿し木用採穂母樹における生産性向上を求めながら、徒長抑制を行うことが可能とし、土壌細菌などによる病虫害を著しく抑制する樹木苗用の水耕栽培システムを提供することが可能となった。即ち、水耕栽培により、植林用の樹木苗や挿し木用採穂母樹を安定的に効率よく生産することが可能となった。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の(1)で言う樹木から得られる挿し穂とは、樹木の当年枝または萌芽から、当業者に周知の方法で得られるものである。または、本発明の(2)のような採穂母樹から切り取られるものでも良い。当業者に周知の方法とは、例えば、「Eucalypt Domesticationand Breeding」Oxford University Press Inc., New York, 1993)の237〜246ページに詳しく記されている。すなわち、台切りなどによって切り株から萌芽した枝から1〜4節、2〜8枚の葉を含む穂木を切り出し、一般的には葉の一部を切除して挿し穂を調製する。挿し穂はベンレートなどの殺菌剤溶液に浸漬したのち、基部に発根促進剤であるインドール酪酸などのホルモン粉剤をつけるかあるいはホルモン溶液に基部を浸す。その後挿しつけ穴を開けた挿し木培地に挿し穂を挿し付ける。
本発明の(1)で言う固定培地とは、育苗ポット、プラグトレーなどに充填して使用され、材質としては、バーク、砂、木屑、ピートモス、バーミキュライト、パーライト、くん炭などとその混合物が挙げられるが、適度な透水性と保水性を有する素材であればこれらのいずれでも良い。通気と保湿のバランスが発根の成否を左右する。挿し穂が腐敗することを避けるためには、有機物は含まない方が良く、殺菌処理した培地を用いることが好ましい。必要であれば挿し付け後の殺菌剤散布も行う。施肥は通常行わないかあるいは緩効性の粒状のものを培地に混ぜておくか、液肥として潅水の時に与える。発根のためには、適度な温度、高い湿度、空気の循環が必要であるため、ミストスプレー、細霧、ポリエチレンシートなどでの覆い、日覆、ボトムヒートなどの技法が組み合わされて用いられる。
ここにおいて、樹木がユーカリやアカシアなどの植林木である場合、固定培地で栽培する期間は、おおむね1〜3ヶ月である。
本発明の(2)で用いる水耕栽培の養液は以下に説明する通りであるが、挿し穂を直接水耕栽培しても良いし、上記(1)と同様な方法で固定培地等で栽培し発根してから、根が養液に浸されるようにして水耕栽培しても良い。
前記(1)(2)の発明いずれにおいても、樹木がユーカリやアカシアなどの植林木である場合、水耕栽培の期間は4〜10週間程度が好ましく、養液の水温は18〜25℃程度が好ましい。
養液の成分としては、硝酸、アンモニア、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫酸、ホウ酸、鉄、マンガン、亜鉛、銅、モリブデンなどのイオンを含むものが良い。
本発明に用いる水耕栽培装置の一例としては、フレーム上に維持された1:栽培ベッド内の養液が2:循環ポンプにより循環され、養液の均一化が図られるよう設計された基本構造を持つ。植物の水利用により低下した水位は8:水位センサーにより検知され、5:給水電動弁が開になることにより、速やかに補充される。養液の電気伝導度、pHは9:センサーで常時測定しており、植物の栄養吸収による電気伝導度変化や、有機酸の放出によるpH変化が検知された場合、速やかに所定の7:養液送付ポンプが作動することにより補充・補正される。本システムは、従来の水耕栽培装置とは異なり、複数の6:養液タンクを有し、pHもしくは電気伝導度のどちらかおよび両方を連続的に制御可能なシステムであり、制御プログラムの変更により任意に設定可能である。また、一定期間経過後、3:排水電動弁が開になることにより、養液の一部もしくは全量を自動的に系外に排出させ、3:排水電動弁が閉になった後に、5:給水電動弁が開になり給水し、8:水位センサーにより満水を検知後、9:センサーによって電気伝導度やpHをモニターしながら新規に養液を作成すれば、植物の育成ステージごとに最適な養液組成を変更することが可能となる。養液温度は9:センサーで常時測定し、設定温度以上になった場合に4:冷却電動弁が開となり、17:調温水送液ポンプにより冷却管内を調温水が流れることによって養液を冷却する。調温は冷却を主目的としているが、18:調温水タンクの温度を設定することにより、加温も可能である。溶存酸素濃度も9:センサーで常時測定し、根の呼吸によって溶存酸素濃度が低下すれば13:バブリング電動弁が開くことによって、14:バブリング装置によって養液に空気もしくは酸素が供給される。徒長の抑制は養液組成もしくは、溶存酸素濃度の少なくとも一つを変更することによって可能であり、養液組成だけで調整する場合は13−15で示される装置は省略が可能である。その際の酸素供給は2:循環ポンプによる攪拌だけでも十分な酸素濃度が供給される。
上述の各設定値および制御プログラムは10:制御装置に記憶されているが、装置に隣接した12:タッチパネルや11:データ収集パソコンから設定値を変更することが可能なシステムとなっている。11:データ収集パソコンには、常時モニターしている9:センサーの測定値を連続的に保存することによって長期間における測定値の履歴を閲覧も可能で、測定値だけでなく、3,4,5,13:各電動弁や7:養液送付ポンプの動作時間なども記憶することにより、本システムが正常に動作制御しているかを確認できる。さらに11:データ収集パソコンがインターネットに接続することにより、遠方からの制御や動作状況の確認など設備の無人化も行うことができる。
また、6:養液タンク内には16:渇液センサーを設置することにより、ストック養液が枯渇した場合や、一定時間8:水位センサーに反応がない場合(=1:栽培ベッド内の養液が枯渇状態)、水温が上限値を超えた場合などに制御を停止し、11:データ収集パソコンや12:タッチパネル上に警報を表示し、栽培者に異常を知らせるシステムトラブルによる樹木苗の枯死を防止する安全装置を備える。
pHの調整は重要であり、前記したpHセンサーで常時測定し、所定の範囲よりpHが低くなってきたら水酸化カリウム(KOH)もしくは水酸化ナトリウムを自動的に添加し、高くなってきたらリン酸もしくは塩酸などの酸を自動的に添加するようにすることが好ましい。所定の範囲とは、樹木がユーカリやアカシアなどの植林木である場合、5.5〜7.5である。
同じ養液で水耕栽培を4週間続けると、鉄イオン、アンモニウムイオン、硝酸イオンの欠乏が観察されるので、少なくとも一回、概ね4〜6週間経過後には、養液を交換することが好ましい。この場合全部を交換することが好ましいが、費用、他の養液との共用などの条件次第で、例えば全量の50パーセント程度を交換しても良い。
また、前記した電気伝導度のセンサーで経時的に電気伝導度を測定し、設定電気伝導度値を下回った場合に、肥料を添加する方式により、養液更新までの期間を延長することが可能となる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例では、親樹木として、10年生のユーカリ・グロブラスであり、成長性、発根性が優れているエリート木を採用し、以下の手法で、第1世代の苗を作成した。
その年の春以降新しく伸長成長して固くなった枝を切り出し、下葉を除去して穂先に対となる2枚の葉のみを残した長さ6〜10cmの挿し穂を調製した。挿し穂が含む2枚の葉の先端側約半分を切除して、挿し穂の基部をナイフで切り返した。挿し穂は600本用意し、各基部をショ糖の濃度が2%、ベノミル[メチル−1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンゾイミダゾールカーバメート]水和剤(商品名:ベンレート、デュポン社)の濃度が500倍である水溶液に24時間浸漬した。それらの挿し穂を予めプラスチック製ポットに詰めて湿らせておいたバーミキュライトへ挿し付けた。
ポットを温度(23〜25℃)と照度(15,000ルクス)を制御した部屋内のベンチに置き、ポット全体をアクリル製の容器で覆って高い湿度を保った。潅水は2日に1回15分間の底面給水で行った。挿し付け後2ヶ月が経過した時点で生存と発根の状況を観察した。良好に生存しているもので、高さ太さなどが平均的な苗を150本選び、実施例1の試料とした。
<実施例1>
前記苗を以下のようにして、土耕と水耕で栽培した場合の生長量比較を行い、栽培後の樹木苗を圃場に植栽し、半年後の活着率を算出した。
水耕栽培は図1に示す水耕栽培装置で栽培を行った。本装置により、養液組成は初期育成段階で1/2Hoagland-Arnon培地組成(培地A:硝酸態窒素120ppm、アンモニア態窒素9ppm、リン21ppm、カリウム78ppm、カルシウム121ppm、マグネシウム25ppm、ホウ素0.25ppm、マンガン0.22ppm、亜鉛0.025ppm、銅0.01ppm、モリブデン0.005ppm)で作成し、作成後に0.1M KOHでpHを6.0に調整した。この場合、電気伝導度は0.5mS/cmであった。栽培中の養液pHはKOH添加により、6.0で維持されるように制御し、養液電気伝導度は400倍濃度の培地Aを添加することにより、0.5で維持されるように制御した。
初期段階で6週間栽培後、養液自動更新プログラムにより、移植直前段階として培地組成を変更(培地B:硝酸態窒素110ppm、カルシウム121ppm、ホウ素0.25ppm)で作成し、作成後に0.1M KOHでpHを6.0に調整した。この場合、電気伝導度は0.5mS/cmであった。栽培中の養液pHはKOH添加により、6.0で維持されるように制御し、養液電気伝導度は400倍濃度の培地Bを添加することにより、0.3で維持されるように制御した。2週間栽培した苗Aを50本得た。
同様に水耕栽培装置を用いて培地Aで8週間栽培した苗Bを50本作成した。この場合も電気伝導度、pHはそれぞれ0.5mS/cm、6.0に制御して栽培を行った。
また、ポットからバーミキュライトを除去し、1ポットに対し5gの緩効性肥料(「ハイコントロール650」チッソ旭肥料(株)社製)を添加した土壌Dにより8週間土耕栽培した苗Cを50本調整した。
苗ABC夫々について、樹高および、半年後の活着率を、表1に示す。水耕栽培により栽培した苗AおよびBは土耕栽培の苗Cよりも生長量が速く、苗Aに関しては土耕栽培と同程度の活着率を示した。
Figure 2007319047
実施例1において、水耕栽培の略図を図1に示したが、ポットと水槽の位置関係は図2に示すように、ポットの下部から延び出した根が養液に漬かるように水位を調節した。
また、ポットが安定するように、発泡スチロール板に穴を開け、その穴にポットがスッポリと嵌るような構造とした。
<実施例2>
水耕と土耕で栽培した場合の採穂数および発根率を比較するため下記の実験を行った。
前記実施例1の苗ABC夫々について、平均的な成長のものを8本づつ選択し、それらを採穂母樹とした。母樹Aは8本の合計で、穂を100個採取することができ、これを下記の土壌Eを充填した新たなプラスチック製ポット100個に挿し付けた。
同様に、母樹Bは8本の合計で、穂を140個採取することができ、これを下記の土壌Eを充填した新たなプラスチック製ポット140個に挿し付けた。
同様に、母樹Cは8本の合計で、穂を85個採取することができ、これを下記の土壌Eを充填した新たなプラスチック製ポット85個に挿し付けた。
土壌E:ココピート/パーライト=4/6、肥料9g/L、ホルモン処理なし
これらの全てを23℃、湿度63〜70%の環境下で栽培を8週間継続し、苗A,B,Cの発根率の比較を行った。それぞれの採穂数および発根率を表2に示す。水耕栽培により栽培した挿し木用採穂母樹AおよびBは土耕栽培の採穂母樹Cよりも採穂可能数が多く、採穂母樹Aから取り出した挿し穂の発根率が最も高い結果を示した。
Figure 2007319047
以上の例から解るように、水耕栽培において、pHを一定の範囲に保つこと、および、水耕栽培溶液の電気伝導度を維持し、特に硝酸イオン、アンモニウムイオン、鉄イオンの濃度低下を補うこと、さらに徒長を抑制するために少なくとも一回は養液を更新することが、苗木の生長の点においても、採穂母樹からの穂の発根率を向上させる点においても重要であることが判明した。
本発明の方法を実施する装置の一例を示す概略模式図 ベッド内における、苗、ポット、養液などの関係を示す模式図
符号の説明
1:栽培ベッド
2:循環ポンプ
3:排水電動弁
4:冷却電動弁
5:給水電動弁
6:養液タンク
7:養液送付ポンプ
8:水位センサー
9:EC,pH, 温度,DO センサー
10:制御装置
11:データ収集パソコン
12:制御用タッチパネル
13:バブリング電動弁
14:バブリング装置
15:気体供給装置
16:渇液センサー
17:調温水送液ポンプ
18:調温水タンク
30:ポット
31:バーミキュライト
32:養液
33:水面

Claims (7)

  1. 樹木から得られる挿し穂を固定培地に植え付け、発根させた後、根部が水に漬かるようにして水耕栽培することを特徴とする植林用苗木の作成方法。
  2. 樹木の当年枝または萌芽から得られた挿し穂を水耕栽培することを特徴とする採穂母樹の作成方法。
  3. 水耕栽培に用いる養液のpHを経時的に測定し、pH調整液を自動的に添加し、一定範囲の設定pH値を維持することを特徴とする、請求項1または2に記載の苗木または採穂母樹の作成方法。
  4. 水耕栽培に用いる養液の電気伝導度を径時的に測定し、設定電気伝導度値を下回った場合、肥料養液を自動的に添加し、設定電気伝導度値を維持することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の苗木または採穂母樹の作成方法。
  5. 水耕栽培に用いる養液を少なくとも1回、全量もしくは任意量を交換することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の苗木または採穂母樹の作成方法。
  6. 水耕栽培に用いる養液中の酸素濃度を自動的に制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の苗木または採穂母樹の作成方法。
  7. 樹木がユーカリ属またはアカシア属植物である請求項1〜6のいずれかに記載の苗木または採穂母樹の作成方法。

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