JP2015062409A - 水耕栽培装置及び水耕栽培方法 - Google Patents

水耕栽培装置及び水耕栽培方法 Download PDF

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Abstract

【課題】育苗時における植物の徒長現象を防いで、品質の良い植物を栽培することができる植物の水耕栽培方法及び水耕栽培装置を提供する。
【解決手段】育苗時の植物を培養液を用いて水耕栽培する水耕栽培装置1であって、前記培養液の水温を測定する水温測定部5と、前記培養液の水温を調整する水温調整部6と、前記水温測定部5の測定した測定温度が、予め定めた徒長抑制水温となるように前記水温調整部6を制御し、育苗時の前記植物の徒長を抑制する制御部7とを備える水耕栽培装置1。
【選択図】図1

Description

本発明は、植物の栽培を行う水耕栽培装置及び水耕栽培方法に関する。
水耕栽培装置として例えば特許文献1に記載されたものがある。この水耕栽培装置は室内で植物を栽培するものであって、室内の気温等を制御するとともに、根部が培養液に浸漬された植物に発光ダイオード等の人工光を照射して植物を栽培するものである。
特開2012−055202号公報
しかし、室内の気温を確実に制御することは非常に難しく、空調のあたり具合や人工光の照射具合等によって室内の気温がバラついて安定的に植物を生育することができなくなる場合や、気温がより高温になる場所では、植物の茎部の組織が軟弱化して極端に草丈が伸びる徒長現象が発生する場合がある。
特に育苗時の植物に徒長現象が発生すると、育苗後の栽培時において、茎が折れたり、他の株と絡まることで定植時の作業性が悪化したり、直立性の悪化から受光環境が悪くなったりして生育不良が起こり、品質の良い植物を効率よく栽培できなくなるという問題が生じる。
本発明は、上記問題に鑑み、育苗時における植物の徒長現象を防いで、品質の良い植物を栽培することができる水耕栽培装置及び水耕栽培方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明に係る水耕栽培装置は、育苗時の植物を培養液を用いて水耕栽培する水耕栽培装置であって、前記培養液の水温を測定する水温測定部と、前記培養液の水温を調整する水温調整部と、前記水温測定部の測定した測定温度が、予め定めた徒長抑制水温となるように前記水温調整部を制御し、育苗時の前記植物の徒長を抑制する制御部とを備えることを特徴とする。
この構成により、培養液の水温を予め定めた徒長抑制水温にして、育苗時の植物の徒長を抑制するとともに育苗時の徒長に起因する生育不良を防ぎ、品質の良い植物を栽培することができる。これは、培養液の水温を適切に管理することによって、育苗時における植物の徒長現象を防ぐことができるという、本願発明者が鋭意研究を重ねて得た発見に基づくものである。
また、育苗時における気温が多少ばらついていても、培養液の水温を管理するだけで徒長現象を防ぐことができるので、室内の気温を確実に制御する場合と比べて、簡便に育苗時における植物の徒長を抑制することができる。
本発明の水耕栽培装置の具体的な一態様としては、前記徒長抑制水温が、前記水耕栽培装置内の気温よりも低いものを挙げることができる。
例えば、室内で行われる水耕栽培は、熱が室内にこもりやすく、人工光(LED)から発せられる熱によって室温が上昇することと、植物の生育に伴い栽培空間が狭まることによって植物周囲の空気対流が阻害され、植物周囲の気温が上昇することとにより、十分に植物を生育し難い気温にまで上昇してしまうことがある。しかしながら、上述したように構成することによって、十分に植物が生育し難い気温であっても、徒長を抑制しながら植物を生育することができる。
前記徒長抑制水温は15℃以上30℃以下、好ましくは20℃以上28℃以下、さらに好ましくは22℃以上23℃以下である。培養液の水温を15℃以下にすると、植物によっては生育しない場合があり、培養液の水温を30℃以上にすると、育苗時の植物に徒長現象が発生する場合があるが、徒長抑制水温を上述の範囲とすれば、植物の生育を妨げることなく、徒長を抑制することができる。
特に、培養液の水温を22℃以上23℃以下とすると、十分に植物を生育し難い気温であっても、徒長を抑制しながら品質のよい植物を生育することができる。
加えて、培養液の水温を28℃以上にすると、液中の溶存酸素濃度が著しく低下して、病原菌の増殖等を促すおそれがあるが、徒長抑制水温を28℃以下とすることで、溶存酸素濃度の低下を防止することもできる。
前記水温測定部は、前記植物の根部に近接するように配置されることが好ましい。このように構成すれば、水温測定部が培養液の水温を正確に測定することができるので、培養液の水温を予め定めた徒長抑制水温により精密に近づけることができる。
本発明の水耕栽培方法としては、育苗時の植物を培養液を用いて水耕栽培する水耕栽培方法であって、前記培養液の水温を調整することにより、育苗時の前記植物の徒長を抑制することを挙げることができる。
本発明によれば、少なくとも水温を適切に管理することにより、育苗時における植物の徒長現象を防いで、品質の良い植物を栽培することができる。
第1実施形態における水耕栽培装置を示す概略図。 第2実施形態における水耕栽培装置を示す概略図。 実験1、2における植物栽培ステップを示す概略図。 同実験1における気温と収穫時の生体重の関係を示すグラフ。 同実験1における水温と収穫時の生体重の関係を示すグラフ。 同実験1における水温と定植時の生体重/茎長の関係を示すグラフ。 同実験1における水温、収穫時の生体重及び茎長を示すグラフ。 実験2のグリーンウェーブにおける水温と定植時の生体重の関係を示すグラフ。 同実験2のフリルアイスにおける水温と定植時の生体重の関係を示すグラフ。 同実験2のグリーンウェーブにおける水温と定植時の生体重/茎長の関係を示すグラフ。 同実験2のフリルアイスにおける水温と定植時の生体重/茎長の関係を示すグラフ。
本発明に係る水耕栽培装置1の第1実施形態について説明する。
第1実施形態に係る水耕栽培装置1は、図1に示すように、室内で育苗時の植物(苗)の栽培を行うものであって、苗の根部が培養液に浸漬された状態で植え付けられる栽培槽2と、苗に人工光を照射する光源部3と、水耕栽培装置1内の気温を調整する気温調整部4と、培養液の水温を測定する水温測定部5と、培養液の水温を調整する水温調整部6と、水温測定部5の測定した測定温度が、予め定めた徒長抑制水温となるように水温調整部6を制御し、苗の徒長を抑制する制御部7と、を備える。
栽培槽2は、一面が開口する筐体で構成されたものであり、該開口内には培養液が貯留されて、この培養液には、育苗時の植物(苗)の根部が浸漬するように植え付けられている。
光源部3は、平板状の基板の一方の面に複数のLEDを多数敷設したもので、LEDから照射される光が苗の方を向くように設置してある。このLEDとしては例えば砲弾型のものを使用することができる。
気温調整部4は、水耕栽培装置1内の気温と湿度を測定する気温センサ(気温測定部)4aと、水耕栽培装置1内の気温を調整する図示しない空調機器とを有する。気温センサ4aは栽培槽2の周囲に配置されて、栽培槽2内に植え付けられた苗の周囲の気温を測定する。
水温測定部5は、培養液の水温を測定する水温センサ5で構成され、培養液に浸漬するように栽培槽2内に配置されるものである。
水温調整部6は、培養液の水温を調整するものであり、栽培槽2に両端が接続されて、一端から培養液を導出させるとともに他端から培養液を栽培槽2に導入させる配管6aと、配管6aの周囲に配置されて、配管6aを加熱又は冷却して配管6a内の培養液の水温を調整する加熱冷却機器6bと、配管6aの加熱冷却機器6bの下流側に設けられて、加熱冷却機器6bで水温を調整された培養液を栽培槽2に戻すポンプ6cとを備える。
しかして、制御部7は、水温測定部5の測定した測定温度が、予め定めた徒長抑制水温となるように水温調整部6を制御するものであって、構造的には、CPU、内部メモリ、I/Oバッファ回路、ADコンバータ等を有した所謂コンピュータ回路である。そして、内部メモリの所定領域に格納したプログラムに従って動作することで情報処理を行い、水温測定部5が測定した測定信号を用いて、水温調整部6を制御するものである。
具体的には、水温センサ5が測定した測定温度を示す測定信号を受けて、この測定信号と予め入力した徒長抑制水温を示す設定信号との偏差を算出し、この偏差に比例動作や微分動作等の演算処理を施して駆動信号を生成し、この駆動信号を加熱冷却機器6bに入力するフィードバック制御を行う。そして、配管6aを流れる培養液の水温が徒長抑制水温となるように加熱冷却機器6bを制御する。この徒長抑制水温とは、15℃以上30℃以下、好ましくは20℃以上28℃以下、より好ましくは22℃以上23℃以下である。
また、制御部7は、加熱冷却機器6bで水温調整された培養液を配管6aから栽培槽2内に戻すようにポンプ6cを制御する。
なお、第1実施形態の制御部7は、上記水温調整部6の制御に加えて、光源部3及び気温調整部4も制御して、水耕栽培装置1内の気温及び培養液の水温を一元管理するものである。具体的には、気温センサ4aが測定した気温を示す測定信号を受けて、空調機器をフィードバック制御するとともに、光源部3の光量や波長域を制御するものである。
上述した水耕栽培装置を用いて植物の生育を行った場合に、生育環境が植物に与える影響を調べるため、以下の2つの実験を行った。
[実験1]
<実験準備>
実験に供する植物を、図3に示すように生長した。
・発芽ステップ
リーフレタス“グリーンウェーブ”をウレタンスポンジの上に播種して昼白色蛍光灯の下で、7日間発芽生長させる。
・育苗ステップ
発芽ステップを経た苗を、本発明に係る水耕栽培装置1に移し、その根部が培養液に浸漬するように栽培槽2に植え付けて、昼白色の光強度125μmol/m/sのLEDを光源に用いて、水耕栽培装置1内の気温及び培養液の水温を以下の表1に示すように設定したサンプル群1〜9を12日間育苗する。
なお、上記気温は、光源が点灯している間の気温であり、光源が消灯している間の気温は22.5℃とする。
・栽培ステップ
育苗ステップを経たサンプル群1〜9を栽培床に定植し、気温24℃〜26℃、水温24℃〜26℃の一定環境下で14日間栽培を行い収穫する。
<実験結果>
栽培ステップを経て収穫されたサンプル群1〜9について、収穫時の生体重(g)を計測してそれぞれのサンプル群の平均値を求め、そのうち、最も値が大きかったもの(サンプル群1)を100%としたときの相対値で表した結果を表2に示す。また、収穫時の茎長(mm)を計測してそれぞれのサンプル群の平均値を求め、そのうち、最も値が大きかったもの(サンプル群6)を100%としたときの相対値で表した結果を表3に示す。さらに、定植時の生体重(g)と茎長(mm)を計測してこれらの結果を基に茎長1mmあたりの生体重を算出し、その結果を表4に示す。
<収穫時の生体重>
<収穫時の茎長>
<定植時の生体重/茎長>
<育苗時の気温又は水温が植物に与える影響について>
上記実験結果から、育苗時の生育環境のパラメータである気温及び水温が、植物に与える影響について以下に述べる。
・気温について
気温が育苗時の植物に与える影響について調べるため、表2の結果をもとに、気温を横軸、生体重を縦軸にプロットした折れ線グラフを図4に示す。
図4に示すように、10℃の気温変化による生体重の差は、水温22℃〜23℃の範囲で一定にした場合においては、20.5%(サンプル群1からサンプル群7を引いた値)、水温27℃〜28℃の範囲で一定にした場合においては、24.7%(サンプル群2からサンプル群8を引いた値)、水温32℃〜33℃の範囲で一定にした場合においては、20.5%(サンプル群3からサンプル群9を引いた値)であり、20.5%から24.7%程度となっている。
・水温について
水温が育苗時の植物に与える影響について調べるため、表2の結果をもとに、水温を横軸、生体重を縦軸にプロットした折れ線グラフを図5に示す。
図5に示すように、10℃の水温変化による生体重の差は、気温22.5℃で一定にした場合においては、28.9%(サンプル群1からサンプル群3を引いた値)、気温27.5℃で一定にした場合においては、30.2%(サンプル群4からサンプル群6を引いた値)、気温32.5℃で一定にした場合においては、28.9%(サンプル群7からサンプル群9を引いた値)であり、28.9%から30.2%程度となっている。
つまり、図4及び図5のグラフから、育苗時に水温を管理した方が気温を管理するよりも、収穫時の生体重に与える影響が小さい。したがって、育苗時の水温を厳密に管理することで、比較的安定した生産が実現でき、かつ、高品質な植物を提供することが可能となる。
<育苗時の最適な水温範囲について>
次に育苗時において、育苗時の培養液の水温において、どの範囲が徒長抑制に最も効果的であるかを以下に述べる。
図6は、横軸に水温、縦軸に定植時の生体重/茎長をプロットしたグラフである。図6に示すように、気温一定の場合、水温32℃〜33℃の範囲では、水温22℃〜23℃の範囲及び水温27℃〜28℃の範囲に比べて値が小さくなっていることが分かる。このことから、水温32℃〜33℃の範囲では、育苗時において徒長が発生していると考えられる。
次に、横軸に水温、縦軸に、育苗時に水温22℃〜23℃の範囲で生育したサンプル群1、4、7の収穫時の生体重及び茎長の平均値、育苗時に水温27℃〜28℃の範囲で生育したサンプル群2、5、8の収穫時の生体重及び茎長の平均値、育苗時に水温32℃〜33℃の範囲で生育したサンプル群3、6、9群の収穫時の生体重及び茎長の平均値、をプロットした折れ線グラフを図7に示す。なお、生体重については、最も値が大きかった水温22℃〜23℃のときの値を100%としたときの相対値で、茎長については、最も値が大きかった水温32℃〜33℃のときの値を100%としたときの相対値で表す。
図7に示すように、収穫時の生体重は、育苗時の水温が32℃〜33℃の範囲、育苗時の水温が27℃〜28℃の範囲、育苗時の水温が22℃〜23℃の範囲の順で大きくなっている。
また、収穫時の茎長は、育苗時の水温が27℃〜28℃の範囲、育苗時の水温が22℃〜23℃の範囲、育苗時の水温が32℃〜33℃の範囲の順に大きくなっている。
育苗時の水温が22℃〜23℃の範囲では、茎長が育苗時の水温が27℃〜28℃の範囲よりも長いものの、その生体重は最も大きくなった。
ここで、図6において、定植時の生体重/茎長が大きくなっていることからも、茎長は徒長しておらず、収穫時において茎長が伸びたのは徒長によるものではなく、栽培ステップで植物の生育が促進され、その結果、収穫時の茎長が伸びるとともに生体重が大きくなったと考えられる。そのため、育苗時の水温が22℃〜23℃の範囲では、徒長を抑制することができるとともに、植物の生育を促進させることが出来ると考えられる。
育苗時の水温が27℃〜28℃の範囲では、収穫時の茎長が最も小さくなり、その生体重は、育苗時の水温が22℃〜23℃の範囲の次に大きいものであった。
このことから、育苗時の水温が27℃〜28℃の範囲では、徒長を抑制することができるとともに、生育不良を発生させることなく植物を生育することが出来ると考えられる。
育苗時の水温が32℃〜33℃の範囲では、収穫時の茎長の長さが最も大きく、その生体重が最も小さいものとなった。
ここで、図6において、定植時の生体重/茎長が小さくなっていることからも、育苗時に徒長が発生して栽培ステップにおいて植物に生育不良が起こり、収穫時の茎長が長くなるとともに収穫時の生体重が小さくなったと考えられる。そのため、育苗時の水温が32℃〜33℃の範囲では、育苗時において徒長が発生し、栽培ステップにおいて植物に生育不良が起こると考えられる。
<実験1のまとめ>
以上の結果から、育苗時においては、水温が植物に与える影響は気温よりも大きく、育苗時の培養液の水温を管理することで、高品質な植物を生育することができる。また、育苗時における最適な培養液の水温範囲としては、徒長発生を抑制しつつ生育が促進される22℃〜23℃が最も好ましく、32℃〜33℃の範囲では、徒長が発生する。
[実験2]
次に、グリーンウェーブ以外の品種についても水温管理が植物に与える影響を調べるとともに、さらに好ましい水温範囲を調べるために以下の実験を行った。
<実験準備>
実験に供する植物を、図3に示すように生長した。
・発芽ステップ
リーフレタス“グリーンウェーブ”及び“フリルレタス”をウレタンスポンジの上に播種して昼白色蛍光灯の下で、7日間発芽生長させる。
・育苗ステップ
発芽ステップを経た“グリーンウェーブ”及び“フリルレタス”の苗を、本発明に係る水耕栽培装置1に移し、その根部が培養液に浸漬するように栽培槽2に植え付けて、昼白色の光強度200μmol/m/sのLEDを光源に用いて、水耕栽培装置1内の気温及び培養液の水温を以下の表5に示すように設定したサンプル群10〜24を12日間育苗する。
各サンプル群は、同一気温及び同一水温で育苗した12株のサンプルで構成されており、サンプル群として以下に示す値は、12株のサンプルの平均値を表している。
なお、上記気温は、光源が点灯している間の気温であり、光源が消灯している間の気温は22.5℃とする。
<実験結果>
育苗ステップを経た“グリーンウェーブ”及び“フリルレタス”それぞれのサンプル群10〜24について、生体重(g)、茎長(mm)を計測し、生体重/茎長(g/mm)を算出した。なお、生体重については、サンプル群10〜24のうち、最も値が大きいものを100%としたときの相対値を記載している。
<グリーンウェーブ定植時の生体重>
表6では、サンプル群12の生体重が最も大きい値となったので、この値を100%としたときの相対値を記載している。また、表6をグラフに表したものを図8に示す。
<フリルアイス定植時の生体重>
表7では、サンプル群12の生体重が最も大きい値となったので、この値を100%としたときの相対値を記載している。また、表7をグラフに表したものを図9に示す。
<グリーンウェーブ定植時の生体重/茎長>
生体重と茎長の計測結果を基に茎長1mmあたりの生体重を算出して、これを表8に示す。また、表8をグラフに表したものを図10に示す。
<フリルアイス定植時の生体重/茎長>
生体重と茎長の計測結果を基に茎長1mmあたりの生体重を算出して、これを表9に示す。また、表9をグラフに表したものを図11に示す。
<生体重について>
グリーンウェーブ及びフリルアイスの生体重の結果を示す表6及び表7、又は図8及び図9を以下に比較する。
まず、気温について着目すると、グリーンウェーブ、フリルアイスのいずれにおいても、気温が低くなるにつれて生体重が大きくなっていることが分かる。
次に、水温について着目すると、グリーンウェーブ、フリルアイスのいずれにおいても、気温に関わらず、水温22℃〜23℃の場合に最も生体重が大きくなり、水温32℃〜33℃の場合では、水温22℃〜23℃のときの生体重と比較すると半分以下の生体重となっていることが分かる。
また、従来の水耕栽培装置では、気温が37.5℃まで上昇してしまうと、十分に植物を生育し難くかったが、育苗時における培養液の水温を22℃〜23℃の範囲にすることによって、気温が37.5℃の場合であっても、植物を生育することができるとともに、他の水温領域のものと比較して生体重を向上させることができることが分かる。
<生体重/茎長について>
上述した生体重の結果が、徒長抑制効果によるものか否かを調べるために、グリーンウェーブ及びフリルアイスのそれぞれについて、生体重/茎長を算出した。この生体重/茎長は、茎長1mm辺りの生体重の重さを表すので、この値が大きいほど生育が促進され、徒長を抑制できることが分かる。
グリーンウェーブ及びフリルアイスの生体重/茎長の結果を示す表8及び表9、又は図10及び図11を以下に比較する。
まず、気温について着目すると、グリーンウェーブ、フリルアイスのいずれにおいても、生体重の結果と同様に、気温が低くなるにつれて生体重/茎長の値が大きくなることが分かる。この結果から、気温が低くなるほど、徒長の発生が抑制されていることが分かる。
次に、水温について着目すると、グリーンウェーブ、フリルアイスのいずれにおいても、水温22℃〜23℃の場合の生体重/茎長の値が最も大きくなっていることが分かる。また、水温が、22℃〜23℃よりも低くなるにつれて、生体重/茎長の値が小さくなるとともに、22℃〜23℃よりも高くなるにつれて生体重/茎長の値が小さくなっていることが分かる。これは、水温が22℃〜23℃よりも低くなるにつれて、徒長を防ぐことはできるものの植物の生育の促進が阻害されてしまうことが原因であると考えられる。逆に、水温が22℃〜23℃よりも高くなるにつれて、徒長そのものを抑制することができなくなることが原因であると考えられる。
<実験2のまとめ>
以上の結果から、グリーンウェーブ以外のフリルアイスにおいても、実験1の結果と同様に、育苗時の培養液の水温を管理することによって、徒長を抑えながら生育を促進することができる。このことから、葉菜類においても、育苗時の水温を管理することによって、徒長を抑制した品質のよい植物を生育できると考えられる。
また、育苗時の徒長を抑えながら植物の生育を促進することができる水温領域(徒長抑制水温)は、15℃以上30℃以下の範囲、好ましくは20℃以上28℃以下の範囲であり、さらに22℃以上23℃以下の範囲とすることで、徒長を防ぐとともに、植物の生育を促進することができる。
さらに、室内の気温が十分に植物を生育し難い気温(例えば37.5℃程度)であっても、育苗時の培養液の水温を22℃〜23℃にすることによって、植物を生育することができるとともに、徒長を抑制した品質のよい植物を生育することができる。
以上のように構成した本実施形態の水耕栽培装置1によれば、次のような効果を有する。
培養液の水温を予め定めた徒長抑制水温とすることができるので、育苗時の植物の徒長を抑制するとともに育苗時の徒長に起因する生育不良を防ぎ、品質の良い植物を栽培することができる。
また、育苗時における気温が多少ばらついていても、培養液の水温を管理するだけで徒長現象を防ぐことができるので、室内の気温を確実に制御する場合と比べて、簡便に育苗時における植物の徒長を抑制することができる。
徒長抑制水温が、水耕栽培装置内の気温よりも低いものであれば、十分に植物が生育し難い気温であっても、徒長を抑制しながら植物を生育することができる。
このような徒長抑制水温としては、15℃以上30℃以下、好ましくは20℃以上28℃以下、さらに好ましくは22℃以上23℃以下とすると、植物の生育を妨げることなく徒長を抑制することができる。
特に、培養液の水温を22℃以上23℃以下とすると、十分に植物を生育し難い気温であっても、徒長を抑制しながら品質のよい植物を生育することができる。
さらに、培養液の水温を28℃以上にすると、液中の溶存酸素濃度が著しく低下して、病原菌の増殖等を促すおそれがあるが、徒長抑制水温を28℃以下とすることで、溶存酸素濃度の低下を防止することもできる。
水温測定部5は、植物の根部に近接するように栽培槽2内に配置されるので、培養液の水温をより正確に測定することができ、制御部7が、培養液の水温を予め定めた徒長抑制水温により精密に近づけることができる。
また、制御部7は、水耕栽培装置1内の気温及び培養液の水温を一元管理するものであるので、気温及び水温を別々に制御する場合に比べて、簡便に装置の制御を行うことができる。
<第2実施形態>
次に、本発明に係る水耕栽培装置1の第2実施形態について説明する。
なお、第2実施形態における水耕栽培装置1は、栽培槽20、水温調整部60及び制御部70が第1実施形態と異なるが、それ以外の部分については、第1実施形態と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
栽培槽20は、図2に示すように、直方体形状をなす筐体であり、その一面が開口するように構成されている。そして、ポンプ20aで圧送することによって、内部に貯留された培養液を、筐体の長手方向の一方から他方に向かって流れるように構成している。また、栽培槽20の上流側の一端から下流側の他端まで流れた培養液が、図示しない配管等によって再度栽培槽20の上流側の一端に戻されて、栽培槽20内を循環するように構成されている。
水温測定部5は、図2に示すように、栽培槽20内に植え付けられた植物の根部の近傍であって、栽培槽20の長手方向に等間隔になるように複数配置されている。そして、配置された位置の培養液の水温を測定して、この測定温度を示す測定信号を制御部70へ送信するものである。
水温調整部60は、図2に示すように、栽培槽20の底面に近接するように配置されるとともに、栽培槽20の長手方向に向かって等間隔に配置される複数の加熱冷却機器6bで構成され、各加熱冷却機器6bが栽培槽20を加熱又は冷却することにより、栽培槽20内の培養液の水温を調整するものである。
制御部70は、栽培槽20内の培養液が予め定めた徒長抑制水温となるように、各加熱冷却機器6bを制御するものである。この具体的な制御については第1実施形態で説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。この制御部70は、水温調整部60のみを制御するものであり、光源部3や気温調整部4等は、光源部3又は気温調整部4内に設けられた図示しない制御機構によって水温調整部60とは別に制御される。
第2実施形態の水耕栽培装置1においては、培養液が循環する循環型の水耕栽培装置であっても、培養液の水温を徒長抑制水温となるように制御することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限られたものではない。
上記実施形態において、育苗時は室内で苗の栽培を行うものであるが、例えば室外で太陽光により苗の栽培を行うようなものであっても構わない。
上記実施形態において、栽培槽内に例えば水位センサ、pHセンサ等のセンサが設けられていてもよい。これにより、培養液のpHを適宜調整して、植物の育苗を促進することができる。
上記実施形態において、例えばこの光源部の光強度を変化させたり、光源部の波長を青色波長領域の光を多くするように構成させたりしてもよい。
このように構成することで、光源部の光強度を植物に合わせて変化させることにより植物の育苗を促進するとともに、青色波長領域の光で徒長を抑制して、さらに高品質の植物を生育することができる。
本発明は、その趣旨に反しない範囲で様々な変形が可能である。
1・・・水耕栽培装置
5・・・水温測定部
6・・・水温調整部
7・・・制御部

Claims (5)

  1. 育苗時の植物を培養液を用いて水耕栽培する水耕栽培装置であって、
    前記培養液の水温を測定する水温測定部と、
    前記培養液の水温を調整する水温調整部と、
    前記水温測定部の測定した測定温度が、予め定めた徒長抑制水温となるように前記水温調整部を制御し、育苗時の前記植物の徒長を抑制する制御部とを備える水耕栽培装置。
  2. 前記徒長抑制水温が、前記水耕栽培装置内の気温よりも低いものであることを特徴とする請求項1記載の水耕栽培装置。
  3. 前記徒長抑制水温は、15℃以上30℃以下、好ましくは20℃以上28℃以下、さらに好ましくは22℃以上23℃以下である請求項1又は2記載の水耕栽培装置。
  4. 前記水温測定部は、前記植物の根部に近接するように配置される請求項1乃至3のいずれかに記載の水耕栽培装置。
  5. 育苗時の植物を培養液を用いて水耕栽培する水耕栽培方法であって、
    前記培養液の水温を調整することにより、育苗時の前記植物の徒長を抑制する水耕栽培方法。
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