JP2007314845A - 窒化処理装置、および窒化処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】窒化処理装置1では、加速電源22が、加速用陰極18および加速用陽極19にパルス電圧を印加することにより、パルス状の電子ビームを反応室49内に出力し、反応室49内に窒素プラズマを生成する。そして、窒化処理装置1では、プラズマ集束コイル24に電流を流して、窒素イオンや電子を試料台25に導くように磁界を発生し、さらに、正電圧と負電圧とが交互に切り替わるバイアス電圧を印加する。これにより、正電圧が印加されている期間には、試料台25に保持された加工材料70の表面に、電子が衝突し、負電圧が印加されている期間には、窒素イオンが衝突する。したがって、活性化状態を維持したまま、窒化膜が形成される。
【選択図】図1
Description
また、電子ビーム出力部は、請求項2に記載のように、電子ビーム出力部から出力されるパルス状の電子ビームのデューティー比を設定する設定手段を備えていても良い。
本発明の窒化処理装置によれば、加速室を生成室よりも低圧にすることで、生成室で生成されたプラズマが加速室に流動しやすくなり、効率よく電子ビームを生成することができる。
特に、本発明の窒化処理装置の電子ビーム集束手段では、請求項7に記載のように、反応室での電子ビームの進行方向における上流の位置に配置された第一コイルが、電子ビームを試料台に導く磁界を発生し、反応室での電子ビームの進行方向における下流の位置に配置された第二コイルが、電子ビームを試料台に導く磁界を発生する。
そして、プラズマ集束手段は、窒素プラズマを特定領域に集束する磁界を発生するように配置された複数のコイルからなるものでもよい。
本発明の窒化処理装置によれば、試料台にバイアス電圧を印加することにより、窒素プラズマ中の窒素イオンを試料台に引き寄せるため、試料台に保持された加工部材に衝突する窒素イオンの量が多くなり、窒化処理に必要な時間を短縮することができる。
このようなバイアス電圧を印加する場合、加工材料には、電子と窒素イオンが交互に衝突することになる。つまり、図8に示すように、0Vを中心にして振幅が正負に振れる正弦波状のバイアス電圧が印加された場合、正電圧が印加される期間では、加工材料に電子が衝突して加工材料の表面が活性化され、負電圧が印加される期間では、加工材料に窒素イオンが衝突する。
本発明の窒化処理装置によれば、加工材料の窒化処理を施したい部位を電子ビームの照射領域内に移動させることにより、加工材料にムラが生じること無く窒化処理を施すことができる。
また、本発明の窒化処理装置では、請求項14に記載のように、検知手段が反応室内に生成される窒素プラズマの状態を検知し、制御手段が検知手段での検知結果に基づき、予め定められた窒化膜が加工材料に形成されるために最適な窒素プラズマの状態となるように、電子ビーム出力部、または反応部のうち、少なくとも一つを制御することが望ましい。
つまり、本発明の窒化処理装置では、上述された各手段を制御することで、予め定められた窒化膜を加工材料に形成するために最適な反応室の状態(即ち、反応室内の窒素プラズマの状態)とする。このため、本発明の窒化処理装置によれば、常に、所望の窒化処理を行うことができ、所望の窒化処理が施された加工材料を得ることができる。
本発明の窒化処理方法によれば、試料台にバイアス電圧を印加することで、窒素イオンまたは電子が試料台に引き寄せられ、試料台に保持された加工材料に窒素イオン等が衝突するため、窒化処理の進行を促進させることができる。
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明を適用し、加工材料に窒化処理を施す窒化処理装置の概略構成を示す模式図である。
〈電子ビーム出力部について〉
そして、電子ビーム出力部2は、希ガスプラズマを生成する生成部5と、生成部5で生成された希ガスプラズマから電子を抽出し、電子ビームとして導出する加速部6と、を備えている。
この生成部5では、アルゴンガス導入ポート11を介して放電室46に流入したアルゴンガスは、電圧が印加されたフィラメント14から放出された熱電子が衝突することにより、プラズマ化してアルゴンイオンと電子とを生成する。
〈プラズマ反応部について〉
プラズマ反応部3は、反応室49内に配置され、加工材料70を保持する試料台25と、反応室49内のプラズマを集束するプラズマ集束コイル24と、試料台25にバイアス電圧を印加するバイアス電源30と、反応室49内に発生する窒素プラズマの状態、または加工材料70の状態を測定する測定機器群32と、窒素ガスを供給するための窒素ガス導入ポート29と、反応室49の内圧を調整するための反応室排気ポート28と、測定機器群32の一部が接続される測定用ポート31と、を備えている。
〈窒化処理装置の制御系について〉
次に、窒化処理装置1の制御系について説明する。
制御ユニット80は、少なくともCPU81、ROM82、及びこれらを接続するバスからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、測定機器群32で測定した結果に基づき、電子ビーム出力部2、およびプラズマ反応部3の各部(具体的には、放電電源13、加速電源22、アルゴンガス導入ポート11、窒素ガス導入ポート29、拡散防止コイル21、プラズマ集束コイル24、加速室排気ポンプ86、反応室排気ポンプ87、試料台25、バイアス電源30)を制御する。
〈窒化自律制御処理について〉
次に、制御ユニット80のCPU81が実行する窒化自律制御処理について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。
この窒化自律制御処理が起動されると、まず、S510において、測定機器群32に集束領域での窒素イオンの密度を測定させ、その測定結果を取得して、取得した窒素イオンの密度(以下、測定結果とする)が、窒化処理を行うために最適なものとして予め規定された窒素イオン密度(以下、規定窒素イオン密度とする)の範囲内か否かを判定する。そして、判定の結果、測定結果が規定窒素イオン密度の範囲外であるものと判断した場合には、S520へと進む。
さらに、S540では、測定機器群32に集束領域での窒素イオンの密度を測定させ、その測定結果を取得して、測定結果が規定窒素イオン密度の範囲内か否かを判定する。そして、判定の結果、測定結果が規定窒素イオン密度の範囲外であるものと判断した場合には、S550へと進む。
そして、S570では、測定機器群32に集束領域での窒素イオンの密度を測定させ、その測定結果を取得して、測定結果が規定窒素イオン密度の範囲内か否かを判定する。そして、判定の結果、測定結果が規定窒素イオン密度の範囲外であるものと判断した場合には、S580へと進む。
その後、S510へと戻る。なお、S510、S540、S570、S600における判定の結果、測定結果が規定窒素イオン密度の範囲内であるものと判断した場合にも、S510へと戻る。
〈本実施形態の効果〉
以上説明したように、本実施形態の窒化処理装置1では、加速用陰極18、加速用陽極19にパルス電圧を印加することにより、パルス状の電子ビームを反応室内に出力し、反応室内に窒素プラズマを生成する。そして、窒化処理装置1では、プラズマ集束コイル24に電流を流して、窒素イオンや電子を試料台25に導くように磁界を発生し、さらに、正電圧と負電圧とが交互に切り替わるバイアス電圧を印加することで、窒素イオンと電子とが交互に加工材料70に衝突するようにされている。
ここで、図4、図5に、本発明の発明者らが行った実験の結果をグラフに示す。
[第二実施形態]
次に、第二実施形態における窒化処理装置について説明する。
そして、プラズマ集束コイル24の作動方法として、第一コイル24aには、第一実施形態の第一コイルと同様に、荷電粒子をチャンバー部42の底部へと導くための磁力線を有した磁界を発生するように電流が流され、第二コイル24bには、第一コイル24aに印加される電流と正負極性を逆転させた電流が流される。
〈第二実施形態の効果〉
以上説明したように、第二実施形態の窒化処理装置によれば、窒素プラズマの集束領域を変更することができ、この結果、加工材料70の形状に関わらず、効率よく窒化処理を行うことができる。
〈その他の実施形態〉
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において様々な態様にて実施することが可能である。
Claims (17)
- パルス状の電子ビームを出力する電子ビーム出力部と、
少なくとも窒素を含む気体が封入された反応室を有し、前記電子ビーム出力部から出力された電子ビームが照射される前記反応室内の位置に加工材料を保持する試料台が配置された反応部と、
を備え、
前記反応室内の窒素をプラズマ化して、前記試料台に保持された加工材料の表面に窒化膜を形成することを特徴とする窒化処理装置。 - 前記電子ビーム出力部は、前記電子ビーム出力部から出力されるパルス状の電子ビームのデューティー比を設定する設定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の窒化処理装置。
- 前記電子ビーム出力部は、
プラズマを生成する生成室と、
前記電子ビームの出射方向に沿った電界を発生する電極を有し、前記生成室で生成されたプラズマ中の電子を加速させる加速室と、
前記加速室の電極にパルス電圧を印加する加速電源と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の窒化処理装置。 - 前記加速電源は、前記電極に印加するパルス電圧のパルス幅、またはパルスの印加周期のうち、少なくとも一つを設定する条件設定手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の窒化処理装置。
- 前記加速室の内圧が前記生成室の内圧よりも低くなるように、前記加速室の内圧を設定する圧力設定手段を備えることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の窒化処理装置。
- 前記反応部は、前記反応室内に導入された電子ビームの拡散を防止する電子ビーム集束手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の窒化処理装置。
- 前記電子ビーム集束手段は、
前記反応室での電子ビームの進行方向における上流の位置で、前記電子ビームを前記試料台に導く磁界を発生するように配置された第一コイルと、
前記反応室での電子ビームの進行方向における下流の位置で、前記電子ビームを前記試料台に導く磁界を発生するように配置された第二コイルと、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の窒化処理装置。 - 前記反応部は、前記反応室内で生成された窒素プラズマを、前記反応室内の予め規定された特定領域に集束するプラズマ集束手段を備え、
前記試料台は、前記加工材料が前記特定領域内に位置するように配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の窒化処理装置。 - 前記プラズマ集束手段は、
前記反応室での電子ビームの進行方向における上流の位置で、前記電子ビームを前記試料台に導く第一磁界を発生するように配置された第一コイルと、
前記反応室での電子ビームの進行方向における下流の位置で、前記第一磁界と同一方向の磁界、および前記第一磁界の向きを反転させた第二磁界を発生するように配置された第二コイルと、
を備え、
前記反応室内での前記第一コイルと前記第二コイルとの間の領域を前記特定領域とすることを特徴とする請求項8に記載の窒化処理装置。 - 前記反応部は、直流かつ負極性、またはパルス状かつ負極性のバイアス電圧を、前記試料台に印加する電圧印加手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の窒化処理装置。
- 前記反応部は、予め定められた周期で正負極性が切り替わるバイアス電圧を、前記試料台に印加する電圧印加手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の窒化処理装置。
- 前記反応部は、前記試料台を移動させる移動手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の窒化処理装置。
- 前記試料台は、前記加工材料が軟化する軟化温度未満、かつ前記加工材料が活性化する活性化温度以上となるように、加工材料を加熱する加熱手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の窒化処理装置。
- 前記反応室内に生成される窒素プラズマの状態を検知する検知手段と、
前記検知手段での検知結果に基づき、予め定められた窒化膜が加工材料に形成されるために最適な窒素プラズマの状態となるように、前記電子ビーム出力部、または前記反応部のうち、少なくとも一つを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の窒化処理装置。 - 少なくとも窒素を含む気体が封入された反応室に向けて電子ビームを出力する電子ビーム出力過程と、
前記電子ビームが照射されることで前記窒素がプラズマ化し、前記反応室内に配置された加工材料の表面に窒化膜を形成する最終処理過程と、
を備えた窒化処理方法において、
前記加工材料を前記電子ビームが照射される領域に配置し、
前記電子ビーム出力過程では、パルス状の電子ビームを出力することを特徴とする窒化処理方法。 - 前記最終処理過程では、前記加工材料を保持する試料台にバイアス電圧を印加することを特徴とする請求項15に記載の窒化処理方法。
- 前記反応室に希ガスを封入し、その希ガスに電子ビームを照射することで希ガスプラズマを生成し、前記希ガスプラズマを用いて前記加工材料の表面をエッチングするエッチング過程を備えること特徴とする請求項15または請求項16に記載の窒化処理方法。
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