JP2007314063A - 電動パワーステアリング制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】過電流を確実に検出する。
【解決手段】バッテリ電圧検出値VBが電圧低下判定しきい値VDOWNを下回ったとき操舵補助制御処理を停止させ(ステップS1〜S4)、その後電圧復帰判定しきい値VUPを上回ったとき(ステップS5)過電流チェック処理を行い(ステップS7)、モータ駆動回路24を構成する電界効果トランジスタのうち、下段側を開放状態、上段側をデューティ制御させ、この状態でモータ駆動回路24に電源電流が流れたならば下段側の電界効果トランジスタが異常と判定し、逆に上段側を開放状態、下段側をデューティ制御させ、この状態で電源電流が流れたならば上段側の電界効果トランジスタが異常と判定する。上段及び下段共に電界効果トランジスタが異常と判定されないとき過電流は発生していないと判定し、操舵補助制御処理を再開させ、操舵アシストを再開させる(ステップS9)。
【選択図】 図3

Description

本発明は、操舵系に対し、電動モータにより操舵補助力を付与する電動パワーステアリング制御装置に関する。
この種の電動パワーステアリング制御装置として、電動モータに流れるモータ電流を監視し、このモータ電流が予め設定した過電流を検出するためのしきい値を上回ったとき異常が発生している可能性があると判断し、この状態が予め設定した規定時間以上継続したとき、電動モータがロックしている、或いは過電流が流れたと判断し、電源と電動モータの駆動回路との間に設けたリレーを開放状態に切り換えることにより、電動モータへ電流供給を遮断するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、電動モータに電力供給を行っている電源の、電源電圧の低下に伴う電動モータの動作異常を回避するために、電源電圧を監視し、この電源電圧が予め設定したしきい値を下回ったときに、電源電圧異常として操舵アシストを停止して電動モータの駆動を停止し、電源電圧が規定電圧まで回復したときに操舵アシストを再開するようにしたものも提案されている。
特許平11−059464号公報
しかしながら、上述のように、電動モータへの過電流を監視し、過電流を検出したときに操舵アシストを停止する制御と、電動モータへ電力供給を行う電源の電源電圧を監視し、この電源電圧がしきい値を下回ったときに操舵アシストを停止する制御とを共に行うようにした場合、過電流が発生している状態であっても、過電流が実際に検出されるまでに時間がかかり、運転者に違和感を与える可能性があった。
つまり、例えば、直列に接続した2つの電界効果トランジスタを、3つ並列に接続した公知の3相ブリッジ回路からなるモータ駆動回路で電動モータを駆動制御する場合に、ある相の上段側の電界効果トランジスタ例えばFET1とその下段側の電界効果トランジスタFET2とのうち、上段側の電界効果トランジスタFET1にショート異常が発生した場合、電源から上段側の電界効果トランジスタFET1、その下段側の電界効果トランジスタFET2、接地からなる電流経路に貫通電流が流れる可能性がある。
この貫通電流は、基本的に過大電流であるため、バッテリライン等のハーネスインピーダンスの電圧降下等のため、電源電圧検出回路で検出される電源電圧が低下することになる。
例えば図13の各部の状態を表すタイミングチャートに示すように、時点t1で上段の電界効果トランジスタにショート異常が発生し(図13(a))、これに伴ってモータ駆動回路を流れる電源電流が増加し(図13b))、時点t2で電源電流がその過電流しきい値を上回ると、電源電流が過電流しきい値を上回った状態の継続時間の計測が開始される。そして、この継続時間が予め設定した規定時間に達したとき過電流異常と判定される。
しかしながら、図13に示すように、過電流の発生によりバッテリ電圧が低下し(図13(c))、電源電流が過電流しきい値を上回る状態の継続時間mが、過電流判定のための規定時間に達する以前の時点t3で電圧低下判定しきい値まで低下すると、この時点で操舵補助制御処理を停止し(図13(d))、モータ駆動回路を構成する各電界効果トランジスタを開放状態に切り換える。
このため、モータ駆動回路に流れる電源電流が略零となることから、バッテリ電圧が回復し、時点t4でバッテリ電圧が電圧復帰判定しきい値に達すると、通常の操舵補助制御処理を再開し、上段及び下段の電界効果トランジスタをそれぞれデューティ比50%でデューティ制御する(図13(e)、(f))。このとき上段及び下段の電界効果トランジスタを相補的にデューティ制御し、上段及び下段の電界効果トランジスタに対するデューティ比の和が100%とならなければ直列に接続された上段及び下段の電界効果トランジスタを介して貫通電流が流れることはない。
そして、操舵補助制御処理を再開することにより、ショート異常が発生した上段の電界効果トランジスタを介して貫通電流が流れる状態となると、再度バッテリ電圧が低下する。そして、貫通電流が過電流しきい値を上回る状態が規定時間継続する以前の時点t5でバッテリ電圧が電圧低下判定しきい値まで低下すると、再度操舵補助制御処理が停止され、モータ駆動回路を構成する各電界効果トランジスタが開放状態に制御される。以後、この動作が繰り返し行われることになって、実際には電界効果トランジスタのショート異常のために過電流が発生しているにも関わらず、この過電流が検出されるまでに時間がかかる可能性がある。
これを回避する方法として、前記過電流が流れていると判断するための規定時間をより短い値に設定することも考えられるが、このように、規定時間を短くすると、一時的に過電流しきい値を上回る電源電流が流れた場合であっても過電流が流れていると誤判断する可能性がある。
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題点に着目してなされたものであり、過電流をより確実に検出することの可能な電動パワーステアリング制御装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電動パワーステアリング制御装置は、操舵系に対して操舵補助力を付与する電動モータと、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、複数のスイッチング素子を含んで構成される前記電動モータを駆動するブリッジ回路と、前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて前記ブリッジ回路を介して前記電動モータを駆動制御する操舵補助制御手段と、前記電動モータに電力供給を行う電源の電源電圧を検出する電源電圧検出手段と、当該電源電圧検出手段で検出した電源電圧検出値が予め設定した電圧低下判定しきい値を下回るとき前記操舵補助制御手段による操舵補助制御を停止する操舵補助制御停止手段と、前記ブリッジ回路における過電流の発生の有無を検出する過電流検出手段と、を備えた電動パワーステアリング制御装置において、前記過電流検出手段は、前記電源電圧検出値が前記電圧低下判定しきい値を下回るとき前記ブリッジ回路のスイッチング素子を、過電流検出用のチェックモードで動作させるチェック動作制御手段と、前記チェックモードで前記スイッチング素子を動作させたときの、前記ブリッジ回路に流れる電源電流を検出する電源電流検出手段と、当該電源電流検出手段で検出される電源電流検出値に基づいて過電流の発生の有無を判定する過電流判定手段と、を備え、前記操舵補助制御手段は、前記操舵補助制御停止手段により前記操舵補助制御が停止された後、前記過電流検出手段で過電流が生じていないことが検出され且つ前記電源電圧検出値が予め設定した電圧復帰判定しきい値を上回る状態となったとき前記操舵補助制御を再開することを特徴としている。
この請求項1記載の発明では、電源電圧検出手段で検出される電源電圧検出値が電圧低下判定しきい値を下回り、電源電圧が低下したと判定されるときには、操舵補助制御が停止され、電動モータによる操舵トルクに応じた操舵アシストが停止される。そして、電動モータを駆動制御するためのブリッジ回路を構成するスイッチング素子が、過電流検出用のチェックモードで動作するよう制御され、このときブリッジ回路に流れる電源電流に基づき過電流の発生の有無が検出される。過電流の発生の有無が確定する以前に操舵補助制御が再開される等、過電流の発生の有無を検出している途中でこれが停止されることはないから、的確に過電流の発生の有無を検出することが可能となる。
また、本発明の請求項2に係る電動パワーステアリング制御装置は、前記チェック動作制御手段は、前記ブリッジ回路を構成するスイッチング素子のうち、上段側及び下段側のうち何れか一方の側をチェック対象としてそのスイッチング素子全てを開放状態にし且つ他方の側のスイッチング素子を、デューティ比の小さい状態からこれを増加させつつデューティ制御するデューティ制御手段を有し、前記過電流判定手段は、前記電源電流検出値が予め設定したその判定用しきい値を上回るとき前記チェック対象のスイッチング素子が異常であると判定し、前記上段側及び下段側のスイッチング素子それぞれを前記チェック対象として前記判定を行った結果、何れか一方で異常を検出したとき過電流が生じていると判定することを特徴としている。
この請求項2に係る発明では、ブリッジ回路を構成する上段側及び下段側のスイッチング素子のうち、一方の側がスイッチング対象としてそのスイッチング素子全てが開放状態に制御され、他方の側はそのスイッチング素子が、デューティ比の小さい状態からこれが増加されつつデューティ制御される。このとき、チェック対象側のスイッチング素子は開放状態であることから、他方をデューティ制御したとしても、本来ブリッジ回路へ電源電流が流れることはない。よって、電源電流検出手段での電源電流検出値がその判定用しきい値を上回るときにはスイッチング素子が異常、つまり、ショート異常が発生しているか、或いはチェック動作制御手段による制御とは異なる動作を行っている等の状態であってすなわちこれに起因して過電流が発生していると推測することができる。チェック対象を替えて同様に処理を行うことによって、もう一方の側のチェック対象のスイッチング素子についても、その異常を検出することができる。
したがって、上側及び下側の何れかに対する判定の結果、異常が生じているときには過電流が発生していると推測することが可能となる。また、デューティ制御を行う際には、そのデューティ比を小さい状態から増加させつつ行っているから、すなわち電源電流が流れる状況にあるときには電源電流検出値がデューティ比の増加に伴って増加することになる。したがって、電源電流検出値がその判定用しきい値を上回るまでの比較的小さな電源電流を流すだけで、過電流の発生の有無を検出することが可能となる。
また、請求項3に係る電動パワーステアリング制御装置は、前記デューティ制御手段は、予め設定した最大デューティ比を上限としてデューティ比を増加させ、前記最大デューティ比は、前記過電流判定手段で前記チェック対象のスイッチング素子が異常であると判定されるときの、前記電源電流の想定される電流経路の抵抗値と前記過電流判定手段で用いる前記判定用しきい値とに基づいて設定することを特徴としている。
この請求項3に係る発明では、過電流判定手段でチェック対象のスイッチング素子が異常であると判定されるときの、前記電源電流の想定される電流経路の抵抗値と、過電流判定手段での電源電流検出値の判定用しきい値とに基づいて最大デューティ比を設定しているから、これらに基づき、スイッチング素子が異常と判定される状態において電源電流検出値の判定用しきい値を越える電源電流が流れるデューティ比を算出し、このデューティ比を最大デューティ比として設定すれば、この最大デューティ比のときに判定用しきい値を越える電源電流が流れなければスイッチング素子は正常とみなすことが可能となる。よって、最大デューティ比に達した時点でスイッチング素子の異常の有無を確定することで、より短時間で過電流の発生の有無を確定することが可能となる。このため、電源電圧検出値がその電圧復帰判定しきい値を上回った時点で速やかに操舵補助制御が再開されることになり、操舵補助制御が停止される時間の短縮を図ることが可能となる。
また、請求項4に係る電動パワーステアリング制御装置は、前記デューティ制御手段は、前記デューティ比を段階的に変化させることを特徴としている。
この請求項4に係る発明では、デューティ制御手段は、デューティ制御を行う際に、デューティ比を段階的に変化させるから、ブリッジ回路へ流れる電源電流を段階的に変化させることが可能となり、過電流が発生している場合に、ブリッジ回路へ流れる電源電流の検出値がその判定しきい値を越えるまでの所要時間を短縮することが可能となる。
また、請求項5に係る電動パワーステアリング制御装置は、前記チェック動作制御手段は、前記ブリッジ回路を構成するスイッチング素子のうち上段側及び下段側のうち何れか一方の側を第1のチェック対象とし、この第1のチェック対象のスイッチング素子全てを開放状態に制御すると共に他方の側を第2のチェック対象とし、この第2のチェック対象のスイッチング素子を、デューティ比が予め設定した100%近傍の規定値に達するまでデューティ比を増加させつつデューティ制御する第1のデューティ制御手段と、当該第1のデューティ制御手段で前記スイッチング素子を動作させたときの前記電源電流検出値が予め設定したその判定用しきい値以下であるときに、前記第1のデューティ制御手段による制御終了後、前記第1のチェック対象のスイッチング素子を、デューティ比が前記規定値から50%に達するまでデューティ比を減少させつつデューティ制御すると共に、前記第2のチェック対象のスイッチング素子を、デューティ比が50%に達するまでデューティ比を増加させつつ前記第1のスイッチング素子と相補的にデューティ制御する第2のデューティ制御手段と、を有し、前記過電流判定手段は、前記電源電流検出値が予め設定したその判定用しきい値を上回るとき前記第1又は第2のチェック対象のスイッチング素子は異常であると判定し、前記第1及び第2のチェック対象のそれぞれに対する判定結果のうち、何れか一方で異常を検出したとき過電流が生じていると判定することを特徴としている。
この請求項5に係る発明では、上段側及び下段側のうち何れか一方の側を第1のチェック対象、他方の側を第2のチェック対象とし、第1のデューティ制御手段では、第1のチェック対象のスイッチング素子全てを開放状態に制御し、第2のチェック対象のスイッチング素子を、デューティ比が100%近傍の規定値に達するまでデューティ比を増加させつつデューティ比を制御する。第1のチェック対象、つまり、上段側及び下段側の何れか一方のスイッチング素子は開放状態に制御されているから、第2のチェック対象のスイッチング素子をデューティ制御したとしても本来電源電流が流れることはない。よって、電源電流検出値がその判定用しきい値を上回り、電源電流が流れていると判定されるときには、第1のチェック対象のスイッチング素子は異常、つまり、ショート異常が生じているか或いはチェック動作制御手段による制御とは異なる動作を行っている状態であるとみなすことが可能となる。
一方、第2のデューティ制御手段では、第1のデューティ制御手段によりスイッチング素子を動作させたときの電源電流検出値がその判定用しきい値以下であるときに、デューティ比が規定値に制御された前記第2のチェック対象のスイッチング素子を、デューティ比が前記規定値から50%に達するまでデューティ比を減少させつつデューティ制御すると共に、前記第1のチェック対象のスイッチング素子を、デューティ比が50%に達するまでデューティ比を増加させつつ、前記第1のチェック対象のスイッチング素子と相補的にデューティ制御する。
このとき、第1のデューティ制御手段によりスイッチング素子を動作させたときの電源電流検出値がその判定用しきい値以下であって第1のチェック対象のスイッチング素子は正常であると判定されており、また、第1のチェック対象のスイチッング素子と第2のチェック対象のスイッチング素子とは相補的にデューティ制御されているから、第1のチェック対象のスイッチング素子をデューティ制御したとしても、本来電源電流が流れることはない。よって、電源電流検出値がその判定用しきい値を上回り電源電流が流れていると判定されるときには、第2のチェック対象のスイッチング素子は異常とみなすことが可能となる。また、第1のチェック対象のスイッチング素子はそのデューティ比を、第2のチェック対象のスイッチング素子と相補的に増加させるようにしているから、ブリッジ回路に、比較的大きな電源電流が流れる以前の電源電流値がより低い段階で過電流の発生の有無を検出することが可能となる。
また、請求項6に係る電動パワーステアリング制御装置は、前記第1のデューティ制御手段及び前記第2のデューティ制御手段は、前記デューティ比を段階的に変化させることを特徴としている。
この請求項6に係る発明では、第1及び第2のデューティ制御手段は、デューティ制御を行う際に、デューティ比を段階的に変化させるから、ブリッジ回路へ流れる電源電流を段階的に変化させることが可能となり、過電流が発生している場合に、ブリッジ回路へ流れる電源電流の検出値がその判定しきい値を越えるまでの所要時間を短縮することが可能となる。
また、請求項7に係る電動パワーステアリング制御装置は、前記過電流検出手段は、前記電源電圧検出値が前記電圧低下判定しきい値を下回った直後又はその近傍の時点で前記過電流検出を行うことを特徴としている。
この請求項7に係る発明では、電源電圧値検出値が、電圧低下判定しきい値を下回った直後又はその近傍の時点で過電流検出を行っているから、過電流が原因ではなく、一時的に電源電圧が低下した場合等には、電源電圧の回復を待っている間に過電流検出が行われることになって、電源電圧が回復した時点で操舵補助制御を再開することが可能となり、操舵補助制御が停止される時間を短縮することが可能となる。
さらに、請求項8に係る電動パワーステアリング制御装置は、前記電源電圧検出値が前記電圧低下判定しきい値を下回るまでの過程における、前記電源電圧検出値が前記電圧低下判定しきい値を下回る前の所定期間に前記ブリッジ回路に流れた電源電流値を検出する電圧低下前電流検出手段と、当該電圧低下前電流検出手段で検出した電源電流値に基づいて、前記電源電圧の低下の要因が、前記操舵補助制御手段での操舵補助制御によるものかどうかを推測する電圧低下要因推測手段と、を備え、前記過電流検出手段は、前記電圧低下要因推測手段で前記電源電圧の低下の要因が前記操舵補助制御によるものと推測されるときにのみ過電流検出を行い、前記操舵補助制御手段は、前記電源電圧の低下の要因が、前記操舵補助制御以外の要因によるものと推測されるときには、前記操舵補助制御停止手段により前記操舵補助制御が停止された後、前記電源電圧検出値が前記電圧復帰判定しきい値を上回る状態となったとき前記操舵補助制御を再開することを特徴としている。
この請求項8に係る発明では、電源電圧検出値が電圧低下判定しきい値を下回る前の、電源電圧検出値が電圧低下判定しきい値を下回るまでの過程における所定期間に、ブリッジ回路に流れた電源電流値に基づいて、電源電圧の低下の要因が、操舵補助制御手段の操舵補助制御によるものかどうかが推測され、操舵補助制御が要因であると推測されるときにのみ過電流検出手段による過電流検出が行われ、クランキングによる電圧低下時等、ブリッジ回路に電源電流が流れておらず、操舵補助制御が要因ではないと推測されるときには過電流検出は行われない。よって、電源電圧の低下が、操舵補助制御が要因ではない状態で、不要な過電流検出が行われることを回避することが可能となり、その分、操舵補助制御が停止される時間を短縮することが可能となる。
本発明の請求項1に係る電動パワーステアリング制御装置によれば、電源電圧検出値が電圧低下判定しきい値を下回ったときには操舵補助制御を停止して、ブリッジ回路を構成するスイッチング素子を過電流検出用のチェックモードで動作させ、このときブリッジ回路に流れる電源電流に基づき過電流の発生の有無を検出するから、過電流の発生の有無が確実に確定した時点で、操舵補助制御が再開されることになり、過電流の発生の有無が確定する以前に過電流検出が中止されるようなことが生じることはなく、確実に過電流検出を行うことができる。
また、本発明の請求項2に係る電動パワーステアリング制御装置によれば、ブリッジ回路を構成する上段側及び下段側のスイッチング素子のうち、一方の側をチェック対象としてそのスイッチング素子全てを開放状態に制御し、且つ他方の側はそのスイッチング素子をデューティ制御し、この状態でブリッジ回路に電源電流が流れたときチェック対象のスイッチング素子が異常と判定し、且つこれを上段側及び下段側のそれぞれについて行うから、スイッチング素子の異常を的確に検出することができ、このスイッチング素子の異常に起因して過電流が発生しているかどうかを容易且つ確実に検出することができる。また、このとき、デューティ比を小さい状態から増加させつつデューティ制御を行うから、ブリッジ回路に電源電流が流れる状況にある場合には、電源電流がその判定用しきい値を上回るまでの比較的小さな電源電流を流すだけで、過電流の発生の有無を検出することができる。
また、請求項3に係る電動パワーステアリング制御装置によれば、過電流判定手段でチェック対象のスイッチング素子が異常であると判定されるときの、前記電源電流の想定される電流経路の抵抗値と、過電流判定手段での電源電流検出値の判定用しきい値とに基づいて設定した最大デューティ比を上限としてデューティ比を増加させつつデューティ制御を行っているから、不必要にデューティ比を増加させることなく的確なタイミングで過電流の発生の有無を検出することができ、その分、操舵補助制御を停止する時間を短縮することができる。
また、請求項4に係る電動パワーステアリング制御装置によれば、デューティ制御を行う際に、デューティ比を段階的に変化させるから、ブリッジ回路へ流れる電源電流を段階的に変化させることができ、過電流が発生している場合に、ブリッジ回路へ流れる電源電流検出値がその判定しきい値を越えるまでの所要時間を短縮することができる。
また、請求項5に係る電動パワーステアリング制御装置によれば、第1のチェック対象のスイッチング素子全てを開放状態に制御し、第2のチェック対象のスイッチング素子を、デューティ比が100%近傍の規定値に達するまでデューティ比を増加させつつデューティ比を制御するから、本来流れることのない電源電流を検出することによって、第1のチェック対象のスイッチング素子の異常を容易に検出することができる。また、第1のチェック対象のスイッチング素子に異常がないときに、デューティ比が規定値に制御された第2のチェック対象のスイッチング素子を、デューティ比が前記規定値から50%に達するまでデューティ比を減少させつつデューティ制御すると共に、前記第1のチェック対象のスイッチング素子を、デューティ比が50%に達するまでデューティ比を増加させつつ、前記第1のスイッチング素子と相補的にデューティ制御するから、本来流れることのない電源電流を検出することによって、第2のスイッチング素子の異常を容易に検出することができる。また、第1のチェック対象のスイッチング素子はそのデューティ比を、第2のチェック対象のスイッチング素子と相補的に増加させるようにしているから、大きな電源電流が流れる以前の電源電流値がより低い段階でその異常を検出することができる。
また、請求項6に係る電動パワーステアリング制御装置によれば、デューティ制御を行う際に、デューティ比を段階的に変化させるから、ブリッジ回路へ流れる電源電流を段階的に変化させることができ、過電流が発生している場合に、ブリッジ回路へ流れる電源電流検出値がその判定しきい値を越えるまでの所要時間を短縮することができる。
また、請求項7に係る電動パワーステアリング制御装置は、過電流検出手段は、電源電圧検出値が前記電圧低下判定しきい値を下回った直後又はその近傍の時点で前記過電流検出を行うから、電源電圧の回復を待っている間に過電流検出を行うことができ、一時的に電源電圧が低下した場合等には、電源電圧が回復した時点で速やかに操舵補助制御を再開することができる。よって、その分操舵補助制御が停止される時間を短縮することができることから、電動モータによる操舵アシストをより長い期間実行することができ、使い勝手をより向上させることができる。
さらに、請求項8に係る電動パワーステアリング制御装置は、電源電圧の低下の要因が、操舵補助制御手段の操舵補助制御によるものであると推測されるときにのみ過電流検出手段による過電流検出を行うから、クランキングによる電圧低下時等、操舵補助制御が要因ではない電源電圧の低下時に、不要な過電流検出を行うことを検出することができ、その分、操舵補助制御が停止される時間を短縮することができるため、使い勝手を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
まず、第1の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す概略構成図であって、図中、1はステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力がステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aと出力軸2bとを有し、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は操舵トルク検出手段としての操舵トルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
そして、出力軸2bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント4を介してロアシャフト5に伝達され、さらにユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。
このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ8を介してタイロッド9に伝達され、図示しない転舵輪を転舵させる。ここで、ステアリングギヤ8は、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8aとこのピニオン8aに噛合するラック8bとを有するラックアンドピニオン機構に構成され、ピニオン8aに伝達された回転運動をラック8bで直進運動に変換している。
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助力を出力軸2bに伝達する減速ギヤ10が連結されており、この減速ギヤ10には、操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータ12の出力軸が連結されている。
操舵トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、例えば、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を例えばポテンショメータで検出するように構成されている。この操舵トルクセンサ3から出力されるトルク検出値Tは、コントローラ20に入力される。
このコントローラ20は、図2に示すように、操舵トルクセンサ3から出力されるトルク検出値Tや、車速センサ21からの車速検出値V、前記電動モータ12のロータの回転位置を検出するホール素子、レゾルバ等で構成されるロータ位置検出回路13で検出されたロータ回転角θ、モータ電流検出回路22で検出されるモータ駆動電流に基づいて、公知の操舵補助制御処理を実行し、入力されるトルク検出値T及び車速検出値Vに応じた操舵補助力を電動モータ12で発生させ運転者の操舵アシストを行うためのモータ電流指令値を算出する制御演算装置23と、前記電動モータ12を駆動するためのモータ駆動回路24と、制御演算装置23からのモータ電流指令値に応じてモータ駆動回路24を制御するFETゲート駆動回路26と、モータ駆動回路24と電動モータ12との間に接続された遮断回路27と、バッテリ28aの電圧を検出するバッテリ電圧検出回路28と、モータ駆動回路24に流れる電源電流を検出する電源電流検出回路29と、を備えている。
前記モータ電流検出回路22は、電動モータ12の各相コイルに供給されるモータ駆動電流Iu、Iv及びIwのうち、何れか2つ、例えば、Iu及びIwを検出し、これをモータ駆動電流Iud、Iwdとして制御演算装置23に出力する。
なお、ここでは、モータ駆動回路24と電動モータ12との間を流れる電流を検出しこれをモータ駆動電流として用いているが、これに限らず、前記電源電流検出回路29で検出される電源電流をモータ駆動電流として流用するようにしてもよい。
前記モータ駆動回路24は、図2に示すように、直列に接続された2つの電界効果トランジスタQua及びQub、同様に直列に接続された2つの電界効果トランジスタQva及びQvb、及び直列に接続された電界効果トランジスタQwa及びQwbが、並列に接続されたブリッジ回路で構成される。このブリッジ回路の電界効果トランジスタQua及びQubの接続点、電界効果トランジスタQva及びQvbの接続点並びに電界効果トランジスタQwa及びQwbの接続点が電動モータ12の各相コイルに接続される。そして、上段の電界効果トランジスタQua〜Qwaのドレイン側に、前記電源電流検出回路29での電源電流検出用のシャント抵抗29rが接続され、このシャント抵抗29rを介してバッテリ28aのバッテリ電圧VBATが、上段の電界効果トランジスタQua〜Qwaのドレイン側に印加される。また、下段の電界効果トランジスタQua〜Qwaのソース側は接地されている。
なお、ここでは、電源電流検出用のシャント抵抗29rを上段の電界効果トランジスタとバッテリ28aとの間に接続しているが、これに限らず、下段の電界効果トランジスタQub、Qvb、Qwbと接地との間に接続してもよい。
FETゲート駆動回路26は、モータ駆動回路24の各電界効果トランジスタを、制御演算装置23から出力されるモータ電流指令値Iut、Ivt及びIwtに基づいて決定されるデューティ比Du、Dv及びDwのPWM(パルス幅変調)信号によってON/OFFさせ、これによって、実際に電動モータ12に流れる電流の大きさが制御される。また制御演算装置23からの、各電界効果トランジスタをオンオフ制御するための制御信号が入力されたときこれに応じて指定された電界効果トランジスタをオンオフ制御する。
遮断回路27は、モータ駆動回路24の電界効果トランジスタQuaとQub、QvaとQvb、QwaとQwbの各接続点と、電動モータ12の各相コイルとの間に個別に介挿された、リレー回路RLY1、RLY2及びRLY3で構成され、異常発生時や後述の過電流チェック処理実行時にこのリレー回路RLY1、RLY2及びRLY3を開放状態に切り換えることにより、電動モータ12への電力供給を遮断する。
そして、制御演算装置23は、前述のように、電動モータ12を駆動制御するためのモータ電流指令値を生成しこれをFETゲート駆動回路26に出力すると共に、バッテリ電圧検出回路28で検出されるバッテリ28aのバッテリ電圧検出値VB及び電源電流検出回路29で検出される電源電流検出値IBに基づいてバッテリ28aのバッテリ電圧VBAT及びモータ駆動回路24に流れる電源電流を監視し、バッテリ電圧VBATの低下異常や過電流の発生を検出したとき操舵補助制御処理を停止し、電動モータ12による操舵アシストを停止する。
図3は、制御演算装置23で実行される、バッテリ電圧の監視及び過電流検出を行うための監視処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。制御演算装置23では、公知の手順で操舵補助制御処理を実行して電動モータ12を駆動し、入力される操舵トルクに応じた操舵補助力を発生させると共に、前記監視処理を予め設定した周期で実行する。
この監視処理では、まず、電圧低下フラグFが“1”に設定されているかどうかを判断する。この電圧低下フラグFは、バッテリ電圧検出値VBが電圧低下判定しきい値VDOWNを既に下回った状態であるかどうかを表すフラグである。なお、この電圧低下フラグFは起動時には“0”に設定される。
電圧低下フラグがF=1でない場合にはステップS2に移行し、バッテリ電圧検出値VBが、電圧低下判定しきい値VDOWNを下回ったかどうかを判断する。この電圧低下判定下しきい値VDOWNは、電動モータ12を的確に駆動制御することの可能なバッテリ電圧VBATの最低値に設定される。
バッテリ28aに電圧低下が生じておらず、バッテリ電圧検出回路28で検出されるバッテリ電圧検出値VBが電圧低下判定しきい値VDOWN以上である間は、バッテリ電圧VBATは正常であって電動モータ12を的確に駆動制御することが可能であるとしてそのまま処理を終了する。
一方、何らかによってバッテリ28aに電圧低下が生じ、バッテリ電圧検出値VBが低下しこれが電圧低下判定しきい値VDOWNを下回ると、ステップS2からステップS3に移行し、電圧低下フラグをF=1に設定し、次いでステップS4に移行してバッテリ電圧低下時の処理を行う。具体的には、操舵補助制御処理を停止して操舵アシストを停止すると共に、モータ駆動回路24の各電界効果トランジスタQua〜Qwbを開放状態に切り換え、電動モータ12が誤動作することを回避する。
そして、この監視処理の、次の実行周期では、電圧低下フラグがF=1に設定されていることからステップS1からステップS5に移行し、バッテリ電圧検出値VBが電圧復帰判定しきい値VUPを上回り、正常なバッテリ電圧範囲に復帰したかどうかを判断する。
バッテリ電圧検出値VBが電圧復帰判定しきい値VUP以下である間、すなわち、バッテリ電圧VBATが正常な電圧範囲に復帰していない間は、ステップS5からそのまま処理を終了し、バッテリ電圧検出値VBが電圧復帰判定しきい値VUPを上回り正常な電圧範囲に復帰したとき、ステップS5からステップS6に移行し、電圧低下フラグをF=0に設定する。次いでステップS7に移行し、モータ駆動回路24に過大電流が流れていないかどうかを検出するための過電流チェック処理を行う。その詳細は後述する。
このステップS7での過電流チェック処理の結果、過電流が発生していない場合にはステップS9に移行し、バッテリ電圧VBATが正常な電圧範囲に回復しており、また、過電流も発生していないことから、電動モータ12を正常に駆動制御可能として、操舵補助制御処理を再開させる。
一方、ステップS7の過電流チェック処理の結果、過電流が発生している場合には、ステップS8からステップS10に移行し、過電流発生時の処理を行う。具体的には操舵補助制御処理の実行を禁止し、モータ駆動回路24の各電界効果トランジスタを開放状態に制御する。また、過電流が発生していることを外部に通知する等の処理を行い、以後、この監視処理は行わない。
前記ステップS7での過電流チェック処理は、図4のフローチャートに示す手順で行う。
まず、ステップS21で、モータ駆動回路24の電界効果トランジスタQua〜Qwbのうち、下段の電界効果トランジスタQub、Qvb、Qwbをチェック対象とし、これらを開放状態に制御するための制御信号を出力する。また、遮断回路27を開放状態に切り換えるための制御信号を出力する。
次いでステップS22に移行し、上段の電界効果トランジスタQua、Qva、Qwaをデューティ制御する。このときデューティ比が0%から連続的に増加するようにデューティ比を変更しつつデューティ制御する。
次いで、ステップS23に移行し、電源電流検出回路29で検出される電源電流検出値IBが予め設定した電流しきい値I1を上回るかどうかを判定する。
ここで、上述のように、ステップS21の処理で下段の電界効果トランジスタQub、Qvb、Qwbを開放状態に制御しているため、ステップS22の処理で上段の電界効果トランジスタQua、Qva、Qwaをデューティ制御したとしても、電界効果トランジスタQub、Qvb、Qwbが正常に動作していれば、上段及び下段の電界効果トランジスタを貫通する貫通電流が流れることはないため、電源電流検出回路29で検出される電源電流検出値IBは略零となる。
しかしながら、下段の電界効果トランジスタQub、Qvb、Qwbの何れかにショート異常等が発生している場合、例えば、U相の電界効果トランジスタQubにショート異常が発生している場合には、バッテリ28a、デューティ制御される上段の電界効果トランジスタQua、ショート異常が発生し導通状態となっている下段の電界効果トランジスタQub、及び接地からなる電流経路に貫通電流が流れることになり、電源電流検出回路29でこれが検出されることになる。
したがって、前記電流しきい値I1は、上段の電界効果トランジスタが何らかの異常によって導通状態になったときに、このときの電源電流検出値IBから、貫通電流が流れていると判定することの可能な値に設定される。
前記電源電流検出回路29で検出される電源電流検出値IBが電流しきい値I1よりも大きいときには、ステップS23からステップS25に移行し、下段の電界効果トランジスタQub、Qvb、Qwbが導通状態に誤動作しており、この誤動作により過電流が発生したためバッテリ28aの電圧低下が生じている状態であると推測されることから、過電流異常と判定する。
一方、ステップS23で、電源電流検出値IBが電流しきい値I1以下であって、電源電流が流れていないと判定されるときには、ステップS23からステップS24に移行し、デューティ制御を行っている上段の電界効果トランジスタQua、Qva、Qwaに対するデューティ比が予め設定したデューティ比の最大値Dmax1に達したかどうかを判定する。デューティ比がその最大値Dmax1に達していない場合には、ステップS22に戻って引き続きデューティ比を増加させこのときの電源電流検出値IBが電流しきい値I1以下であるかどうかを判定する。
ここで、前記デューティ比の最大値Dmax1は、下段の電界効果トランジスタQub、Qvb、Qwbが、誤動作により導通状態となったときの、電源電流の想定される電流経路のショート抵抗値と、電界効果トランジスタが導通異常と判定するための前記電流しきい値I1とに基づいて設定することが望ましい。つまり、想定されるショート抵抗値と、導通異常と判定するための電流しきい値I1とが決まれば、この導通異常が発生したときに、このショート抵抗値相当の抵抗を有する電流経路において、ここを流れる電源電流IBが、電流しきい値I1を越えることの可能な、デューティ比を算出することができる。
つまり、この算出したデューティ比で上段の電界効果トラジスタをデューティ制御したときに、その電源電流検出値IBが電流しきい値I1を越えない場合には、下段の電界効果トランジスタQub、Qvb、Qwbには、導通異常は発生していないと確定することができる。したがって、このようにして算出したデューティ比を、その最大値Dmax1として設定することによって、デューティ比を最大値Dmax1まで増加させた時点で電源電流検出値IBがその電流しきい値I1を越えていない場合には、下段の電界効果トランジスタQub、Qvb、Qwbは正常であると確定することができ、デューティ比を100%まで増加させなくても、下段の電界効果トランジスタが正常に動作しているかどうかを確定することができる。このため、その分、下段の電界効果トランジスタが正常に動作しているかどうかすなわち過電流が発生しているかどうかの判定に要する処理時間の短縮を図ることができる。
一方、デューティ比が最大値Dmax1に達した場合には、下段の電界効果トランジスタQub、Qvb、Qwbに対するチェックを終了し、ステップS24からステップS31に移行し、次に、上段の電界効果トランジスタQua、Qva、Qwaをチェック対象とし、これらに対するチェックを行う。
このチェックは、下段の電界効果トランジスタQub、Qvb、Qwbに対するチェックと同様の手順で行い、まず、上段の電界効果トランジスタQua、Qva、Qwaを開放状態に制御する。
次いで、ステップS32に移行し、下段の電界効果トランジスタQub、Qvb、Qwbをデューティ制御する。このときデューティ比が0%から連続的に増加するようにデューティ比を変更しつつデューティ制御する。
次いで、ステップS33に移行し、電源電流検出回路29で検出される電源電流検出値IBが予め設定した電流しきい値I2を上回るかどうかを判定する。なお、この電流しきい値I2は、下段の電界効果トランジスタをチェック対象としたときの電流しきい値I1と同一であってもよく、また、前記電流しきい値I1と同様の手順で設定してもよい。
そして、電源電流検出回路29の電源電流検出値IBが電流しきい値I2以下であるときにはステップS34に移行し、デューティ比がその最大値Dmax2に達したかどうかを判定し、デューティ比がその最大値Dmax2に達していなければステップS32に戻って引き続きデューティ比を増加させ、電源電流検出値IBが電流しきい値I2を上回ったかどうかを判定する。なお、デューティ比の最大値Dmax2も、前記最大値Dmax1と同様の手順で、上段の電界効果トランジスタQua、Qva、Qwaが、誤動作により導通状態となったときに想定されるショート抵抗値と、電界効果トランジスタが導通異常と判定するための前記電流しきい値I2とに基づいて設定すればよい。
そして、電源電流検出回路29の電源電流検出値IBが電流しきい値I2を上回ったときには、ステップS33からステップS35に移行し、上段の電界効果トランジスタQua、Qva、Qwaの何れにショート異常が発生しているか導通状態に誤動作しており導通異常が発生していると判断する。
一方、デューティ比が、その最大値Dmax2に達するまでの間に、電源電流検出値IBが電流しきい値I2を上回らないときにはステップS36に移行し、上段及び下段の電界効果トランジスタが共に、ショート異常や導通異常等が生じておらず正常な状態であって、すなわち過電流は発生していないと判定し、遮断回路27を導通状態に切り換える制御信号を出力する。以上の手順で、過電流が発生しているかどうかの判定を行ったならば過電流チェック処理を終了し、図3に戻ってステップS8に移行する。
次に、上記第1の実施の形態の動作を図5及び図6のタイムチャートを伴って説明する。なお、図5及び図6において、(a)はバッテリ電圧検出値VB、(b)は上段の電界効果トランジスタQua、Qva、Qwaに対するデューティ比、(c)は下段の電界効果トランジスタQub、Qvb、Qwbに対するデューティ比、(d)は電源電流検出値IBである。
制御演算装置23では、公知の手順で操舵補助制御処理を実行し、入力される操舵トルクTや車速検出値Vに応じて各電界効果トランジスタを駆動制御して電動モータ12への駆動電流を制御する。これによって、電動モータ12が駆動制御されて、操舵トルクTや車速検出値Vに応じた操舵補助力が付与されて操舵アシストが行われ、運転者の操舵負荷の軽減が図られる。
この操舵補助制御処理と共に図3に示す監視処理が実行されるが、バッテリ電圧検出回路28で検出されるバッテリ電圧検出値VBが電圧低下判定しきい値VDOWN以上であって、バッテリ電圧VBATが正常な電圧範囲内にあるときには、図3のステップS1からステップS2を経てそのまま処理を終了し、引き続き操舵補助制御処理を実行する。
この状態から、何らかによって、バッテリ28aのバッテリ電圧が低下し、図5の時点t11でバッテリ電圧検出値VBが電圧低下判定しきい値VDOUNを下回ると、監視処理では、図3のステップS2からステップS3に移行し、電圧低下フラグFを“1”に設定し、操舵補助制御処理を停止させると共に、モータ駆動回路24の各電界効果トランジスタQua〜Qwbを開放状態に制御する。
これによって、電動モータ12への電力供給が停止されることから電動モータ12が意図しない動作を行うことはない。
そして、バッテリ電圧VBATが低い間はステップS1及びステップS5の処理を繰り返し行って操舵補助制御処理を引き続き停止させ、この操舵補助制御処理の停止に伴って、バッテリ28aの電力消費量が減少すること等によりバッテリ電圧が回復し、時点t12で、バッテリ電圧検出値VBが電圧復帰判定しきい値VUPを上回ると、図3のステップS1から、ステップS5、ステップS6を経てステップS7に移行し、電圧低下フラグをF=0に設定した後、過電流チェック処理を行う。
まず、下段の電界効果トランジスタに対するチェックを行い、下段の電界効果トランジスタを開放状態に制御し、また、遮断回路27を開放状態に制御し(ステップS21)、上段の電界効果トランジスタをデューティ制御する(ステップS22)。このとき上段の電界効果トランジスタに対するデューティ比を、図5(b)に示すように、0%から連続的に増加させる。つまり、モータ駆動回路24に、仮に貫通電流が流れた場合には、この貫通電流が徐々に増加するようにデューティ比を制御する。
ここで、下段の電界効果トランジスタにショート異常等が発生しておらず正常に動作している場合には、下段の電界効果トランジスタは開放状態に制御されていることから、上段の電界効果トランジスタをデューティ制御したとしてもモータ駆動回路24に電源電流が流れることはなく、電源電流検出値IBがそのしきい値I1を上回ることはない。したがって、デューティ比を徐々に増加させ、時点t13でデューティ比がその最大値Dmax1に達したとき、下段の電界効果トランジスタは正常に動作していると判定し、図3のステップS24からステップS31に移行し今度は上段の電界効果トランジスタのチェックを行う。
つまり、上段の電界効果トランジスタを開放状態に切り換え(ステップS31)、下段の電界効果トランジスタをデューティ制御する(ステップS32)。このとき、図5(c)に示すように、下段の電界効果トランジスタに対するデューティ比が0%から連続的に増加するようにデューティ制御を行う。つまり、仮に貫通電流が流れたときにはこの貫通電流が徐々に増加するようにデューティ制御を行う。
ここで、上段の電界効果トランジスタは、ショート異常等が発生しておらず、正常に動作していると判定されている。よって、これら上段の電界効果トランジタは開放状態に制御されており且つ正常に動作しているため、下段の電界効果トランジスタをデューティ制御したとしてもモータ駆動回路24に電源電流が流れることはなく、電源電流検出値IBがその電流しきい値I2を上回ることはない。したがって、デューティ比を徐々に増加させ、時点t14でデューティ比がその最大値Dmax2に達したとき、上段の電界効果トランジスタは正常としてステップS34からステップS36に移行し、最終的に上段及び下段の電界効果トランジスタにはショート異常等の導通異常は発生しておらず、すなわち過電流は発生していないと判定し、遮断回路27を導通状態に切り換える。
そして、図3のステップS8からステップS9に移行し、この時点で操舵補助制御処理を再開させ、操舵アシストを再開する。
したがって、バッテリ28aのバッテリ電圧VBATが何らかの要因によって低下した場合には、バッテリ電圧VBATが低下している間は操舵補助制御処理を停止し、電動モータ12を駆動制御しないようにしているから、バッテリ電圧VBATが低い状態で電動モータ12を駆動制御することによって電動モータ12が意図しない動作を行い、意図しない操舵補助力が付与されることによって、運転者に違和感を与えたり、また、バッテリ電圧VBATがさらに低下することにより車載機器各部が動作不可となったりすることを回避することができる。
そして、このように各部が正常に動作している状態から、モータ駆動回路24を構成する電界効果トランジスタのうちの何れか、例えば、U相の上段の電界効果トランジスタQuaでショート異常が発生した場合、操舵補助制御処理によって各電界効果トランジスタがオンオフ制御されると、電界効果トランジスタQuaが導通状態であることから、バッテリ28a、電界効果トランジスタQua、Qub、接地からなる電流経路が形成され、貫通電流が流れる可能性がありすなわち過電流が流れる可能性がある。
このため、バッテリライン等のハーネスインピーダンスの電圧降下等により、バッテリ電圧VBATが低下し、図6の時点t21でバッテリ電圧検出値VBが電圧低下判定しきい値VDOWNを下回ると、図3のステップS2からステップS3に移行し、電圧低下フラグをF=1に設定した後、ステップS4に移行して、操舵補助制御処理を停止させると共に、モータ駆動回路24の全電界効果トランジスタを開放状態に制御する。
このとき、前記電界効果トランジスタQuaはショート異常のため導通状態となっているが、他の電界効果トランジスタは全て開放状態となっていることから、モータ駆動回路24には電源電流が流れない。このため、バッテリ電圧VBATが回復し始め、時点t22でバッテリ電圧検出値VBが電圧復帰判定しきい値VUPを上回ると、ステップS5からステップS6を経てステップS7に移行し、電圧低下フラグをF=0に設定し、過電流チェック処理を実行する。
まず、下段の電界効果トランジスタをチェック対象とし、下段の電界効果トランジスタを開放状態にし、上段の電界効果トランジタを、デューティ比を増加させつつデューティ制御する。このとき、上段の電界効果トランジスタQuaはショート異常が発生しているため導通状態であるが、下段の電界効果トランジスタは開放状態であるから電源電流は流れない。このため、時点t23で、上段の電界効果トランジスタに対するデューティ比がその最大値Dmax1に達した時点で、下段の電界効果トランジスタは正常と判定される(ステップS21〜ステップS24)。
次に、上段の電界効果トランジスタをチェック対象とし、上段の電界効果トランジスタを開放状態にし、下段の電界効果トランジスタを、デューティ比を増加させつつデューティ制御を行う。
この場合、上段の電界効果トランジスタは開放状態に制御されているため、本来ならばこの状態では電源電流は流れないが、電界効果トランジスタQuaはショート異常によって導通状態となっているから、電界効果トランジスタQua、Qubの電流経路で貫通電流が流れる。
このとき、デューティ比を徐々に増加させていることから貫通電流、つまり電源電流は徐々に増加し、時点t24で電源電流検出値IBが電流しきい値I2を上回ると、ステップS33からステップS35に移行し、上段の電界効果トランジスタに導通異常が生じており、この導通異常により過電流が発生しバッテリ電圧の低下が生じていると判定する。そして、図3に戻ってステップS7からステップS8を経てステップS10に移行し、過電流発生時の処理を行う。つまり、操舵補助制御処理の実行を禁止し、モータ駆動回路24の各電界効果トランジスタを開放状態に制御すると共に、過電流異常が発生していることを外部に通知する。また、以後、この監視処理を実行しない。
ここで、前述のように、電源電流検出回路29で検出される電源電流検出値IBに基づいて過電流が流れているかどうかを判定するようにした場合、モータ駆動回路24の電界効果トランジスタにショート異常等が発生しこれによって過電流が生じていても、場合によっては、過電流を検出するまでに時間がかかる可能性がある。
しかしながら、上記第1の実施の形態に示すように、バッテリ電圧VBATが低下した後、バッテリ電圧検出値VBが電圧復帰判定しきい値VUPを上回った時点であり且つ操舵補助制御処理を再開する前の時点で過電流チェック処理を行っているから、過電流チェックを行っている最中であり過電流の発生の有無が確定していないときに、過電流チェック処理が中止されることはない。よって、電界効果トランジスタのショート異常や動作異常等による導通異常を確実に検出することができ、これに伴う過電流の発生を確実に検出することができる。
また、過電流チェック処理は、バッテリ電圧VBATが回復し、且つ操舵補助制御処理を停止させた状態で、モータ駆動回路24の各電界効果トランジスタを過電流検出するために駆動制御することで、過電流の発生の有無を検出しているから、他の制御処理の影響等を受けることなく的確に検出することができる。
また、上述のように、過電流チェック処理を行う場合には、電界効果トランジスタをデューティ制御する際のデューティ比を徐々に増加させ、予め設定した最大値Dmax1又はDmax2に達した時点で異常の有無を確定している。そして、この最大値Dmax1、Dmax2は、導通異常の有無を的確に検出することの可能なデューティ比の最小値を設定しているから、導通異常の有無を的確に検出しつつ、この判定に要する所要時間を短縮することができる。
したがって、操舵補助制御処理を再開するまでの所要時間の短縮を図ることができ、操舵アシストを速やかに再開し、運転者の操舵負荷の軽減をより図ることができる。
また、過電流チェックを行う際には、デューティ比を徐々に増加させているから、導通異常により貫通電流が流れるときには、貫通電流がその電流しきい値I1又はI2を上回った時点で、異常の有無を確定することができすなわち貫通電流がより小さい電流値である段階で異常の有無、つまり、過電流の発生の有無を確定することができる。したがって、過大電流を流さなくとも比較的電流値の低い電源電流を流すことで過電流の発生の有無を確定することができる。したがって、その分、バッテリ28aの消費電力を削減することができ効率よく過電流チェックを行うことができ、また、過電流発生時には、モータ駆動回路24に過電流検出用の大電流が流れる以前の時点で過電流を検出することができる。
なお、上記第1の実施の形態においては、デューティ比をその最大値Dmax1又はDmax2まで増加させた時点で過電流の発生の有無を確定する場合について説明したが、デューティ比を最大値Dmax1又はDmax2よりも大きな値、例えば100%程度まで増加させて、過電流の発生の有無を確定することも可能であることはいうまでもない。
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、過電流チェック処理の処理手順が異なること以外は同一であるので同一部の詳細な説明は省略する。
図7は、第2の実施の形態における過電流チェック処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
この第2の実施の形態における過電流チェック処理では、上記第1の実施の形態における過電流チェック処理と同様に、まず下段の電界効果トランジスタのチェックを行う。この処理は、上記第1の実施の形態と同様であって、遮断回路27を開放状態に制御し、下段の電界効果トランジスタを開放状態に制御し、デューティ比を徐々に増加させつつ上段の電界効果トランジスタをデューティ制御し、このときの電源電流検出回路29で検出される電源電流検出値IBが、その電流しきい値I1を上回るかどうかを判定する(ステップS21〜ステップS23)。
電源電流検出値IBがその電流しきい値I1を上回るときにはステップS23からステップS25に移行し、下段の電界効果トランジスタに導通異常が生じていると判定する。
一方、電源電流検出値IBがその電流しきい値I1以下であるときには、ステップS23からステップS24aに移行し、デューティ比が100%又はその近傍に設定した上限値に達したかどうかを判定し、デューティ比が上限値に達していないときには、ステップS22に戻って引き続きデューティ比を増加させつつ、デューティ制御を行う。
電源電流検出値IBがその電流しきい値I1以下の状態で且つ、デューティ比が100%に達した場合には、下段の電界効果トランジスタは正常と判定し、ステップS41に移行して、今度は上段の電界効果トランジスタのチェックを行う。
この上段の電界効果トランジスタのチェックを行う場合には、上段の電界効果トランジスタについてはそのデューティ比が100%またはその近傍の値に設定した規定値から徐々に低下するようにデューティ制御を行い、下段の電界効果トランジスタについてはそのデューティ比が0%から徐々に増加するようにデューティ制御を行う。なお、このとき上段及び下段の電界効果トランジスタに対するデューティ比を相補的に変化させ、上段及び下段の電界効果トランジスタが同時に導通状態とならないようにデューティ制御を行う。
次いで、ステップS42に移行し、電源電流検出値IBがその電流しきい値I3を上回っているかどうかを判定し、電源電流検出値IBがその電流しきい値I3を上回るとき、ステップS45に移行し、上段の電界効果トランジスタの導通異常と判定する。一方、電源電流検出値IBがその電流しきい値I3以下であるときにはステップS43に移行し、上段及び下段の電界効果トランジスタに対するデューティ比が50%に達したかどうかを判定し、50%に達していなければステップS41に戻って引き続きデューティ比を変更してデューティ制御を行い、デューティ比が50%に達したとき、上段の電界効果トランジスタは正常として、ステップS43からステップS44に移行し、上段及び下段の電界効果トランジスタは全て正常であって、過電流は発生していないと判定し、遮断回路27を導通状態に切り換える。
なお、前記電流しきい値I3は、上段の電界効果トランジスタが何らかの異常によって導通状態になったときに、上述のように、上段及び下段の電界効果トランジスタをデューティ制御した場合に、その電源電流検出値IBから、貫通電流が流れていると判定することの可能な値に設定される。
したがって、図8のタイムチャートに示すように、何らかによってバッテリ電圧VBATが低下し、時点t31で電源電圧検出値VBが電圧低下判定しきい値VDOWNを下回ると、この時点で操舵補助制御処理が停止され、且つモータ駆動回路24の全電界効果トランジスタが開放状態に制御される。
なお、図8において、(a)はバッテリ電圧検出値VB、(b)は上段の電界効果トランジスタに対するデューティ比、(c)は下段の電界効果トランジスタに対するデューティ比である。
この状態から、バッテリ電圧VBATが回復し、時点t32でバッテリ電圧検出値VBが電圧復帰判定しきい値VUPを上回ると、図7の過電流チェック処理が実行される。
まず、下段の電界効果トランジスタのチェックが行われ、下段の電界効果トランジスタは開放状態、上段の電界効果トランジスタはデューティ比を徐々に増加させつつデューティ制御され、下段の電界効果トランジスタに導通異常が生じていなければ、モータ駆動回路24に電源電流は流れないから、下段の電界効果トランジスタは正常と判定される。逆に下段の電界効果トランジスタに導通異常が生じていれば、上段の電界効果トランジスタをデューティ制御することで貫通電流が流れることから電源電流検出値IBがその電流しきい値I1を上回った時点で導通異常が検出される。
そして、導通異常が検出されないまま時点t33でデューティ比が100%近傍の規定値に達すると、次に、上段の電界効果トランジスタのチェックを行い、上段の電界効果トランジスタはそのデューティ比を100%近傍の規定値から徐々に減少させ、且つ下段の電界効果トランジスタはそのデューティ比を、0%から徐々に増加させ、且つこれらを相補的にデューティ制御する。
ここで、上段及び下段の電界効果トランジスタが共に導通状態とならないようにデューティ制御を行っていることから、上段の電界効果トランジスタに導通異常が生じていなければ、下段の電界効果トランジスタをデューティ制御したとしても電源電流が流れることはない。このため、デューティ比が50%に達した時点で、上段の電界効果トランジスタは正常と判定し、この時点で、過電流は発生していないと判定して過電流チェック処理を終了し、操舵アシストを再開する。
したがって、上段の電界効果トランジスタのチェックを行う際には、デューティ比を100%まで増加させることなく、50%に達した時点で導通異常の有無を確定しているから、その分、過電流チェック処理に要する所要時間の短縮を図ることができる。したがって、導通異常、すなわち過電流が発生していない場合には速やかに操舵補助制御処理を再開することができるから、より的確に操舵アシストを行うことができる。
また、仮に上段の電界効果トランジスタに導通異常が発生している場合には、電源電流検出値IBがその電流しきい値I3を上回った時点で導通異常と判定されることから、電源電流がより小さい段階で導通異常を検出することができる。つまりより早い段階で、導通異常、すなわち過電流を検出することができるから速やかに過電流に対する対処を行うことができる。
また、上段の電界効果トランジスタのチェックを行う際には、下段の電界効果トランジスタのデューティ比を0%から増加させつつデューティ制御を行うと共に、このとき、上段の電界効果トランジスタのデューティ比は100%から徐々に減少させるようにし、上段及び下段の電界効果トランジスタを相補的にデューティ制御しているから、ある程度デューティが開いた状態、つまり、ある程度電流が流れている状態で過電流が流れないことを判定することができるため、制御開始までの時間を短縮することができる。
また、デューティ比が比較的小さい段階で電界効果トランジスタの導通異常の有無を確定することができすなわち、異常検出のためにモータ駆動回路24に流す電流量を低く抑えることができ、その分消費電力の低減を図ることができると共に、過電流が発生し得る状態で、モータ駆動回路24に大電流を流すことを回避することができる。
なお、上記第2の実施の形態においては、下段側の電界効果トランジスタのチェックを行った後、上段側の電界効果トランジスタのチェックを行い、その際に、上段側及び下段側の電界効果トランジスタを、デューティ比が50%となるまで共に変化させて相補的にデューティ制御を行っているが、上段側の電界効果トランジスタのチェックを先に行ってもよく、この場合には、下段側の電界効果トランジスタのチェックを行う際に、上段側及び下段側の電界効果トランジスタを、デューティ比が50%となるまで共に変化させて相補的にデューティ制御を行えばよい。
なお、上記第1及び第2の実施の形態においては、図5(b)、(c)或いは図8(b)、(c)に示すように、電界効果トランジスタのチェックを行う際に、上段側及び下段側の電界効果トランジスタをそれぞれデューティ比を連続的に直線的に変化させているが、例えば、図9に示すようにデューティ比を段階的に変化させるようにしてもよい。
このように段階的に変化させ且つその変化の割合を適切に設定することによって、デューティ比が、その最大値Dmax或いは100%近傍に達するまでの所要時間を短縮することができる。前記デューティ比の変化の割合は、例えば、1、2、4、8、16、……〔%〕というように、前回の倍の値を設定し、且つ、それぞれ電流が流れるために十分な時間セットする(例えば電気的時定数以上)。このように設定することによって、前回の略倍の電流が流れていくため、急激に過剰な電流が流れることなく検出時間の短縮を図ることができる。
なお、デューティ比の変化の割合は均一でなくてもよい。例えば、貫通電流相当の電源電流を流し得るデューティ比近傍では、比較的小さな変化割合で変化させ、このデューティ比近傍に達するまでは比較的大きな変化割合で変化させるようにしてもよく、任意に設定することができる。
また、上記各実施の形態においては、デューティ比を0%から増加させる場合について説明したが、電界効果トランジスタに異常が発生したときに、このときの電源電流値IBから電界効果トランジスタの異常を検出することの可能なデューティ比が既知である場合には、この既知のデューティ比近傍の値から増加させるようにしてもよい。
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
この第3の実施の形態は上記第1の実施の形態において、監視処理の処理手順が異なること以外は同一であるので同一部の詳細な説明は省略する。
この第3の実施の形態では、図10に示す手順で監視処理を行う。
図10においてステップS51からステップS54の処理は、上記第1の実施の形態のステップS1からステップS4の処理と同様であって、まず、電圧低下フラグがF=1に設定されているかどうかを判定し(ステップS51)、電圧低下フラグがF=1でなければステップS52に移行し、バッテリ電圧検出値VBが電圧低下しきい値VDOWNを下回っているかどうかを判定する。バッテリ電圧検出値VBが電圧低下しきい値VDOWN以上であるときにはバッテリ電圧VBATは正常な電圧範囲であると判定しそのまま処理を終了する。
一方、バッテリ電圧検出値VBが電圧低下しきい値VDOWNを下回る場合にはステップS53に移行し、電圧低下フラグをF=1に設定した後、ステップS54に移行し、バッテリ電圧低下時の処理を行って、操舵補助制御処理を停止させると共に、モータ駆動回路24の各電界効果トランジスタを開放状態に制御し、電動モータ12への電力供給を遮断する。
次いでステップS55に移行し、過電流チェック処理を行う。この過電流チェック処理は、上記第1の実施の形態或いは第2の実施の形態で説明した過電流チェック処理の何れであっても適用することができる。
そして、過電流チェック処理の結果、過電流が発生していなければそのまま処理を終了し、引き続き操舵補助制御処理を継続させるが、過電流が発生していると判定されるときにはステップS56からステップS57に移行し、過電流発生時の処理を行い、操舵補助制御処理の実行を禁止すると共に、モータ駆動回路24の各電界効果トランジスタを開放状態に切り換え、過電流異常が発生していることを外部に通知する。
一方、ステップS51の処理で、電圧低下フラグがF=1に設定されているときには、ステップS51からステップS58に移行し、バッテリ電圧検出値VBが電圧復帰判定しきい値VUPを上回ったかどうかを判定し、バッテリ電圧検出値VBが電圧復帰判定しきい値VUP以下である間は、バッテリ電圧が回復していないとしてそのまま処理を終了し、バッテリ電圧検出値VBが電圧復帰判定しきい値VUPを上回ったとき、バッテリ電圧VBATが正常な電圧範囲に回復したと判定し、ステップS59に移行して、電圧低下フラグをF=0に設定した後、ステップS60に移行し、操舵補助制御処理を再開させ、操舵アシストを再開する。
このように、この第3の実施の形態では、バッテリ電圧検出値VBが電圧低下判定しきい値VDOWNを下回った時点で過電流チェック処理を行っている。
つまり、バッテリ電圧の回復を待っている待ち時間の間に、過電流チェック処理を行っているから、バッテリ電圧が正常な電圧範囲に回復した時点では既に過電流チェック処理が終了しているか、ある程度処理が進んでいる状態であるから、過電流チェック処理の結果、正常と判定されていれば、バッテリ電圧が正常な電圧範囲に回復した時点で直ちに、操舵補助制御処理を再開することができる。
したがって、操舵補助制御処理が停止される時間をより短縮することができ、また、これはすなわち操舵アシストが停止される時間を短縮することができるということであるから、使い勝手をより向上させることができる。
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
この第4の実施の形態は上記第1の実施の形態において、監視処理の処理手順が異なること以外は同一であるので同一部の詳細な説明は省略する。
この第4の実施の形態では、図11に示す手順で監視処理を行う。
まず、ステップS1で、電圧低下フラグがF=1に設定されているかどうかを判定し、電圧低下フラグがF=1に設定されていなければステップS1aに移行し、電源電流検出回路29で検出される電源電流検出値IBの記憶処理を行う。
この記憶処理では、今回のサンプリング周期における電源電流検出値IB及び前回から所定周期前のサンプリング周期までの間の電源電流検出値IBを、所定の記憶領域に記憶する処理を行う。つまり、電源電流検出値IBを読込む毎に、前記記憶領域に格納している電源電流検出値を順次更新記憶し、最新の所定期間分の電源電流検出値IBを記憶領域に記憶させる。
次いでステップS2に移行し、ステップS2からステップS4の処理は上記第1の実施の形態と同様であって、バッテリ電圧検出値VBが電圧低下判定しきい値VDOWN以上であるときにはそのまま処理を終了するが、バッテリ電圧検出値VBが電圧低下しきい値VDOWNを下回っているときには、電圧低下フラグをF=1に設定し、バッテリ電圧低下時の処理を行って、操舵補助制御処理を停止させると共に、モータ駆動回路24を構成する全ての電界効果トランジスタを開放状態に切り換える。
次いで、ステップS4aに移行し、ステップS1aの処理で所定の記憶領域に記憶した、一周期前から所定数のサンプリング周期における各電源電流検出値IBに基づいて、例えばその平均値を算出すること等により、バッテリ電圧検出値VBが電圧低下判定しきい値VDOWNを下回ったことを検出した時点より前の電源電流の代表値を算出し、これを電圧低下前電流値として設定する。そして処理を終了する。
次のサンプリング周期では、電圧低下フラグがF=1に設定されていることからステップS1からステップS5に移行し、バッテリ電圧検出値VBが電圧復帰判定しきい値VUPを上回ったかどうかを判定し、上回っていなければそのまま処理を終了する。そして、バッテリ電圧検出値VBが電圧復帰判定しきい値VUPを上回ったとき、バッテリ電圧VBATは正常の電圧範囲に復帰したとしてステップS6に移行し、電圧低下フラグをF=0に設定する(ステップS6)。
次いで、ステップS6aに移行し、ステップS4aで設定した電圧低下前電流値が予め設定したしきい値を上回るかどうかを判定する。このしきい値は、バッテリ電圧検出値VBがその電圧低下判定しきい値VDOWNを下回る状態に至るまでの直前の所定期間に、モータ駆動回路24に電源電流が流れており、モータ駆動回路24を駆動制御したことによってバッテリ電圧VBATの低下が生じたのか、或いは、クランキング等、モータ駆動回路24への電力供給とは別の要因でバッテリ電圧VBATの低下が発生したかを判別することの可能な値に設定され、例えば、正常に制御しているときに流れる電流値以上の値に設定される。
そして、電圧低下前電流値がそのしきい値以下であるときには、バッテリ電圧VBATの低下は、クランキング等、モータ駆動回路24への電力供給とは別の要因で発生したものであって、過電流の発生の有無をチェックする必要はないと判定し、ステップS9に移行して、操舵補助制御処理を再開させる。
一方、電圧低下前電流値がそのしきい値を上回っているときには、バッテリ電圧VBATが電圧低下判定しきい値VDOWNを下回る直前に、モータ駆動回路24に電源電流が流れており、バッテリ電圧の低下がモータ駆動回路24への電力供給を行ったことに起因すると予測されるときには、ステップS7に移行し過電流チェック処理を行う。この過電流チェック処理は、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態の何れの手順でもよい。
そして、過電流チェック処理の結果、正常であればステップS9に移行して、操舵補助制御処理を再開させ、異常である場合にはステップS10に移行し、過電流発生時の処理を行って、操舵補助制御処理の実行を禁止すると共に、モータ駆動回路24を構成する各電界効果トランジスタを開放状態に切り換え、また、過電流の発生を外部に通知する。
このように、第4の実施の形態では、バッテリ電圧VBATが低下した原因が、モータ駆動回路24への電力供給を行ったことに起因すると予測されるときにのみ過電流チェック処理を実行し、バッテリ電圧VBATが低下した原因がクランキング等その他の要因によるものと予測されるときには、過電流チェック処理を行わない。
したがって、バッテリ電圧VBATが低下した原因がクランキング等モータ駆動回路24以外の要因に起因するときには、バッテリ電圧検出値VBが電圧復帰判定しきい値VUPまで復帰した時点で速やかに操舵補助制御処理を再開することができる。よって、操舵補助制御処理が停止される時間をより短縮することができ、すなわち使い勝手をより向上させることができる。
なお、前記図11のステップS1aの処理では、バッテリ電圧検出値VBが電圧復帰判定しきい値VUPを下回った時点の直前から所定期間における電源電流値をもとにその代表値を算出しているが、これに限るものではなく、バッテリ電圧検出値VBが電圧復帰判定しきい値VUPを下回る直前よりも前の、所定期間における電源電流値をもとにその代表値を算出するようにしてもよく、要は、バッテリ電圧VBATの低下が、モータ駆動回路24への電源電流の供給を行っていることに起因するものであるかどうかを判定することができればどの期間の電源電流値を用いても良い。
なお、この第4の実施の形態においては、上記第1の実施の形態に適用した場合について説明したがこれに限らず、上記第3の実施の形態に適用することも可能である。
なお、上記各実施の形態においては、過電流チェック処理を行う際に、上段側及び下段側の電界効果トランジスタを個別に駆動している。これを実現するためには、上段側及び下段側の電界効果トランジスタに対するPWM信号を個別に設定可能に構成すればよい。また、上段側及び下段側の電界効果トランジスタを相補的に駆動するように構成されている場合、つまり、上段デューティ比DUに対し、下段のデューティ比DLがDL=100−DUとして自動的に設定されるように構成されている場合には、上段側電界効果トランジスタと下段側電界効果トランジスタとをそれぞれ個別に開放状態に制御できるようにハード的に構成しておけばよい。例えば、図2に示すコントローラ20の構成において、さらに図12に示すように、制御演算装置23とFETゲート駆動回路26との間に、モータ駆動回路24を構成する各電界効果トランジスタへの制御演算装置23からのPWM制御信号の供給を遮断するための上段FETON/OFF許可回路32及び下段FETON/OFF許可回路33を設け、これら上段FETON/OFF許可回路32及び下段FETON/OFF許可回路33を、制御演算装置23により相補的にオンオフ制御すればよい。前記上段FETON/OFF許可回路32は、例えば、制御演算装置23からFETゲート駆動回路26への上段の電界効果トランジスタに対応するPWM制御信号の供給ラインのそれぞれに接続されるダイオードとNPNトランジスタとで構成され、NPNトランジスタのコレクタ側がダイオードのカソード側と接続され、NPNトランジスタのエミッタ側が接地される。下段FETON/OFF許可回路33も同様に構成される。
ここで、上記実施の形態において、制御演算装置23及びFETゲート駆動回路26が操舵補助制御手段に対応し、バッテリ電圧検出回路28が電源電圧検出手段に対応している。
また、図3において、ステップS4の処理が操舵補助制御停止手段に対応し、ステップS7の処理が過電流検出手段に対応している。また、図10において、ステップS54の処理が操舵補助制御停止手段に対応し、ステップS55の処理が過電流検出手段に対応している。
また、図4のステップS21及びS22、ステップS24、ステップS31及びS32、ステップS34の処理がチェック動作制御手段及びデューティ制御手段に対応し、ステップS23、ステップS33の処理が電源電流検出手段に対応し、ステップS25、ステップS35、ステップS36の処理が過電流判定手段に対応している。また、ステップS24、ステップS34のデューティ比の最大値Dmax1、Dmax2が最大デューティ比に対応している。
また、図7のステップS21及びS22、ステップS24aの処理が第1のデューティ制御手段に対応し、ステップS41及びステップS43の処理が第2のデューティ制御手段に対応している。
また、図11において、ステップS1a及びステップS4aの処理が電圧低下前電流検出手段に対応し、ステップS6aの処理が電圧低下要因推測手段に対応している。
本発明の一実施形態を示す概略構成図である。 図1のコントローラの具体的構成を示すブロック図である。 図1のコントローラで実行される監視処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図3の過電流チェック処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の動作説明に供するタイムチャートである。 本発明の動作説明に供するタイムチャートである。 第2の実施の形態における過電流チェック処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第2の実施の形態の動作説明に供するタイムチャートである。 デューティ比のその他の変更方法を説明するための説明図である。 第3の実施の形態における監視処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第4の実施の形態における監視処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 コントローラのその他の構成を示すブロック図である。 従来の動作説明に供するタイムチャートである。
符号の説明
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 操舵トルクセンサ
12 電動モータ
20 コントローラ
21 車速センサ
22 モータ電流検出回路
23 制御演算装置
24 モータ駆動回路
26 FETゲート駆動回路
28 バッテリ電圧検出回路
28a バッテリ
29 電源電流検出回路

Claims (8)

  1. 操舵系に対して操舵補助力を付与する電動モータと、
    操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
    複数のスイッチング素子を含んで構成される前記電動モータを駆動するブリッジ回路と、
    前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて前記ブリッジ回路を介して前記電動モータを駆動制御する操舵補助制御手段と、
    前記電動モータに電力供給を行う電源の電源電圧を検出する電源電圧検出手段と、
    当該電源電圧検出手段で検出した電源電圧検出値が予め設定した電圧低下判定しきい値を下回るとき前記操舵補助制御手段による操舵補助制御を停止する操舵補助制御停止手段と、
    前記ブリッジ回路における過電流の発生の有無を検出する過電流検出手段と、を備えた電動パワーステアリング制御装置において、
    前記過電流検出手段は、前記電源電圧検出値が前記電圧低下判定しきい値を下回るとき前記ブリッジ回路のスイッチング素子を、過電流検出用のチェックモードで動作させるチェック動作制御手段と、
    前記チェックモードで前記スイッチング素子を動作させたときの、前記ブリッジ回路に流れる電源電流を検出する電源電流検出手段と、
    当該電源電流検出手段で検出される電源電流検出値に基づいて過電流の発生の有無を判定する過電流判定手段と、を備え、
    前記操舵補助制御手段は、前記操舵補助制御停止手段により前記操舵補助制御が停止された後、前記過電流検出手段で過電流が生じていないことが検出され且つ前記電源電圧検出値が予め設定した電圧復帰判定しきい値を上回る状態となったとき前記操舵補助制御を再開することを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  2. 前記チェック動作制御手段は、前記ブリッジ回路を構成するスイッチング素子のうち、上段側及び下段側のうち何れか一方の側をチェック対象としてそのスイッチング素子全てを開放状態にし且つ他方の側のスイッチング素子を、デューティ比の小さい状態からこれを増加させつつデューティ制御するデューティ制御手段を有し、
    前記過電流判定手段は、前記電源電流検出値が予め設定したその判定用しきい値を上回るとき前記チェック対象のスイッチング素子が異常であると判定し、前記上段側及び下段側のスイッチング素子それぞれを前記チェック対象として前記判定を行った結果、何れか一方で異常を検出したとき過電流が生じていると判定することを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング制御装置。
  3. 前記デューティ制御手段は、予め設定した最大デューティ比を上限としてデューティ比を増加させ、
    前記最大デューティ比は、前記過電流判定手段で前記チェック対象のスイッチング素子が異常であると判定されるときの、前記電源電流の想定される電流経路の抵抗値と前記過電流判定手段で用いる前記判定用しきい値とに基づいて設定することを特徴とする請求項2記載の電動パワーステアリング制御装置。
  4. 前記デューティ制御手段は、前記デューティ比を段階的に変化させることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の電動パワーステアリング制御装置。
  5. 前記チェック動作制御手段は、前記ブリッジ回路を構成するスイッチング素子のうち上段側及び下段側のうち何れか一方の側を第1のチェック対象とし、この第1のチェック対象のスイッチング素子全てを開放状態に制御すると共に他方の側を第2のチェック対象とし、この第2のチェック対象のスイッチング素子を、デューティ比が予め設定した100%近傍の規定値に達するまでデューティ比を増加させつつデューティ制御する第1のデューティ制御手段と、
    当該第1のデューティ制御手段で前記スイッチング素子を動作させたときの前記電源電流検出値が予め設定したその判定用しきい値以下であるときに、前記第1のデューティ制御手段による制御終了後、前記第1のチェック対象のスイッチング素子を、デューティ比が前記規定値から50%に達するまでデューティ比を減少させつつデューティ制御すると共に、前記第2のチェック対象のスイッチング素子を、デューティ比が50%に達するまでデューティ比を増加させつつ前記第1のスイッチング素子と相補的にデューティ制御する第2のデューティ制御手段と、を有し、
    前記過電流判定手段は、前記電源電流検出値が予め設定したその判定用しきい値を上回るとき前記第1又は第2のチェック対象のスイッチング素子は異常であると判定し、前記第1及び第2のチェック対象のそれぞれに対する判定結果のうち、何れか一方で異常を検出したとき過電流が生じていると判定することを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング制御装置。
  6. 前記第1のデューティ制御手段及び前記第2のデューティ制御手段は、前記デューティ比を段階的に変化させることを特徴とする請求項5記載の電動パワーステアリング制御装置。
  7. 前記過電流検出手段は、前記電源電圧検出値が前記電圧低下判定しきい値を下回った直後又はその近傍の時点で過電流検出を行うことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置。
  8. 前記電源電圧検出値が前記電圧低下判定しきい値を下回るまでの過程における、前記電源電圧検出値が前記電圧低下判定しきい値を下回る前の所定期間に前記ブリッジ回路に流れた電源電流値を検出する電圧低下前電流検出手段と、
    当該電圧低下前電流検出手段で検出した電源電流値に基づいて、前記電源電圧の低下の要因が、前記操舵補助制御手段での操舵補助制御によるものかどうかを推測する電圧低下要因推測手段と、を備え、
    前記過電流検出手段は、前記電圧低下要因推測手段で前記電源電圧の低下の要因が前記操舵補助制御によるものと推測されるときにのみ過電流検出を行い、
    前記操舵補助制御手段は、前記電源電圧の低下の要因が、前記操舵補助制御以外の要因によるものと推測されるときには、前記操舵補助制御停止手段により前記操舵補助制御が停止された後、前記電源電圧検出値が前記電圧復帰判定しきい値を上回る状態となったとき前記操舵補助制御を再開することを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置。
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