JP2007313936A - 腰部拘束装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】マイクロガスジェネレータ(MGG)等の小型のインフレータを使用可能とし、装置全体のコスト低減に寄与する構造を提供すること。
【解決手段】本発明に係る腰部拘束装置は、衝撃発生時に膨張ガスを供給するガス供給手段と;前記シートの着座部(以下、「シートクッション」と称する)下部に圧縮状態で収容され、前記膨張ガスによって上方に膨張展開する織物製バッグと;前記シートクッションの下部に配置され、前記織物製バッグの展開によって上方に移動し、前記シートクッションを押し上げて乗員の骨盤付近を拘束するフレーム部材とを備えている。そして、前記フレーム部材は、開放部分が車両前方側を向いたコの字状に成形され、前記開放部分と反対側の辺が前記乗員の骨盤付近に位置するように構成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、車両衝突など衝撃発生時に乗員の腰部を拘束する乗員拘束装置に関する。
車両が前方衝突した場合、乗員は、慣性により前方へ移動しようとする。乗員がシートベルトを着用しているときは、シートベルト装置の肩ベルトや腰ベルトの拘束作用によって、乗員の前方への移動がある程度抑えられる。これを更に確実なものとするために、車両が前方衝突によって急減速した場合に、瞬時にシートクッションの前端部を上昇させて、乗員の前方移動を制限する技術を適用した腰部拘束装置が提案されている。例えば、下記特許文献1に開示された腰部拘束装置においては、金属製のバッグをインフレータにおいて発生されるガスによって膨張展開させている。そして、膨張展開した金属製バッグがシートクッションの前端部を押し上げることにより、乗員の腰部(骨盤)の前方移動を拘束している。
特開2005−297580号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された装置においては、布製のバッグ自体で乗員を拘束させるために、容量(火薬量)の大きなエアバッグが必要となり、コストが高くなっていた。また、大容量のエアバッグにより、装置自体も大型化してしまい、シート下部の限られた空間における収容性に問題があった。
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、マイクロガスジェネレータ(MGG)等の小型のインフレータの使用を可能とし、装置全体のコスト低減に寄与する構造を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、腰部拘束装置の小型化に寄与する構造を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、車両内のシートに着座した乗員の腰部を拘束する腰部拘束装置において、衝撃発生時に膨張ガスを供給するガス供給手段と;前記シートの着座部(以下、「シートクッション」と称する)下部に圧縮状態で収容され、前記膨張ガスにより上方に向かって膨張展開する織物製バッグと;前記シートクッションの下部に配置され、前記織物製バッグの展開によって前記シートクッションを押し上げて乗員の前方移動を拘束するフレーム部材とを備えている。そして、前記フレーム部材は、開放部分が車両前方側を向いたコの字状に成形され、前記開放部分と反対側の辺が前記織物製バッグの展開によって上方に移動する構成である。
ガス供給手段としては、周知の小型インフレータMGG(マイクロガスジェネレータ)等を使用することができる。
フレーム部材は、開放部分が車両前方側を向いた「コの字状」に成形されるが、「U字状」とすることもできる。フレームの前方(車両進行方向)が開放し、その反対側の辺が閉じており、閉じた辺に対応する部分が乗員の骨盤からの圧力を受け、該圧力を吸収可能な構造とする。
織物製バッグは、ナイロン系の素材を使用し、織込まれた布地を車両横方向に長辺を持たせた「長方体状」に縫製し形成されるが、「円筒状(長円状または、楕円状でも可)」とすることもできる。更には、膨張展開方向に対し直角方向に前記布地を使用し、横方向への無駄な膨張とそれに伴う、必要膨張展開高さ寸法を保持させる為に、1箇所または、複数個の突っ張り(テザー)を縫製等により設けることが可能である。
その他、円筒状のバッグの場合は、前記突っ張り(テザー)の代用として、外周部にコイル状のカバーを設けることにより、横方向への無駄な膨張と、それに伴う、必要膨張高さ寸法を保持・確保させることが可能となる。外周部のコイル状のカバーは、金属、樹脂または、布地の材質を使用することができる。
バッグ容量は、小容量になるほど、バッグ内圧が高くなり、膨張展開スピードが上昇して望ましいが、該布地の耐圧力性には、限界があるため小型インフレータMGGを採用した場合、その圧力は、250KPa以下、バッグ容量は、2L以下が望ましい。
また、織物製バッグの正常状態の組み込み形状(装置非作動時)、つまり、折り畳み方法は、膨張展開方向に対して屈曲させたジャバラ状とすることにより、膨張展開時の抵抗を最小限にとどめることができる。
ここで、「織物」とは、経糸と緯糸とを組み合わせて機にかけて織った布を示すものとし、布、布地も含まれる。本発明の織物製バッグに使用される素材は、上述したようにナイロンを使用することができるが、気密性を向上させるためにナイロン表面にシリコンコーティングしたものを使用することもできる。
上述したように、本発明においては、コの字状に成形されたフレーム部材を織物製バッグの膨張によって上昇させて、乗員の骨盤付近を拘束する構成であるため、織物製バッグを小型にすることができ、当該バッグに膨張ガスを供給するガス供給手段として小型のもの(例えば、火薬量の量が少ないもの)を使用することが可能となる。また、フレーム部材の開放部分と反対側の辺が乗員の骨盤付近に位置するように構成されているため、当該閉じた辺に対応する部分が乗員の骨盤からの圧力を受けたときに、フレーム部材自体が変形することにより衝撃を吸収することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施例を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施例に係る腰部拘束装置21の構造及び、車両シート(シートクッション省略)の下部における配置を示す平面図である。図2は、実施例に係る腰部拘束装置21の構造及び、車両シート内部における配置を示す側面図であり、正常状態(装置非作動時)を示す。図3は、実施例に係る腰部拘束装置21の構造及び、車両シート内部における配置を示す側面図であり、衝撃発生時の状態(装置作動時)を示す。
本実施例に係る腰部拘束装置21は、車両内のシートに着座した乗員Mの腰部を拘束するものであり、衝撃発生時に膨張ガスを供給するガス供給手段としてのインフレータ(MGG)27と;シートの着座部17(以下、「シートクッション」と称する)下部に圧縮状態で収容され、インフレータ27から放出される膨張ガスによって上方に膨張展開する織物製バッグ30と;シートクッション17の下部に配置され、織物製バッグ30の展開によって上方に移動し、シートクッション17を押し上げて乗員Mの骨盤付近を拘束するフレーム部材22とを備えている。ここで、フレーム部材22は、開放部分が車両前方側を向いたコの字状に成形され、前記開放部分と反対側の辺が前記乗員Mの骨盤付近に位置するように構成されている。
フレーム部材22は、車両前方への外力によって変形することにより、乗員Mへの衝撃を吸収する構造であり、例えば、アルミニウム製とすることができる。フレーム部材22として、例えば、直径14mmの丸棒状に成形したアルミニウム合金A2014を使用する。これをU字部の横幅331mm、奥行き160mmに成形する。フレーム部材22の材質としては、アルミニウムの他にマグネシウムやそれらの合金を使用するのが最も好ましい。なお、これらと同程度の塑性変形特性を有する材質であれば、他の材質も使用可能である。
図1〜図3に示すように、シートクッション17は右側シートフレーム12と左側シートフレーム13とに取り付けられている。また、シートクッション17の底部はシートパン15により全面的に支持されている。本実施例に係る腰部拘束装置21は、シートフレーム12,13の前側(車両前方側)に配置される。左右のシートフレーム12,13は、後方において後部フレーム部材(リアクロスメンバ)14に連結されている。
本実施例の腰部拘束装置21は、シートパン15の前端部に形成された切欠き部分に配置され、当該シートパン15に干渉することなく作動するようになっている。すなわち、シートパン15における切欠き部分(くりぬき部分)は、腰部拘束装置21の動作に影響が出ない大きさ及び形状に加工される。腰部拘束装置21は、シートパン15の前方においてシートフレーム12,13を跨ぐ様に配置され、当該シートフレーム12,13の上部又は後部に直接固定される。
シートパン15は、図1に示すように、金属製の板状部材を一体的に凹形状に加工される。さらに、強度を向上させるために、部分的に凹凸形状をした複数の出張りを設けて、座面用シートクッション17を下から覆う様に配置される。座面用シートクッション17は、シートフレーム12,13に対してボルトなどにより固定される。シートパン15上側面に固定された座面用シートクッション17は、乗員Mの体重によって変形し、全体が下に凸となるように撓み、これによって乗員の快適性(座り心地の向上)を図っている。
本実施例に係る腰部拘束装置21においては、インフレータ27から放出される高圧ガスにより織物製バッグ30が上方に向かって膨張展開し、フレーム部材22を回転軸29を支点として回動(スイング)させる構造である。図2に示すように、展開する前の状態では、織物製バッグ30はコンパクトにシートクッション17の下部に収容される。一方、図3に示すように、インフレータ27の作動により織物製バッグ30が展開すると、フレーム部材22が上昇し、シートクッション17が盛り上がり乗員Mの腰部(骨盤)を拘束する。
図4は、実施例に係る腰部拘束装置21の構造を示す分解斜視図である。図5は、実施例に係る腰部拘束装置21の要部の構造を示す部分側面図である。図6は、実施例に係る腰部拘束装置21の要部の構造を示す部分断面図であり、衝撃発生時の状態(装置作動時)を示す。
図4において、下部ブラケット25は、左右方向の側部を固定ボルト34によってシートフレーム12,13に固定される。なお、図4において、下部ブラケット25の左側部分は分解状態、右側部分は一部組立て状態で示している。下部ブラケット25の上面のほぼ中央部には、織物製バッグ30が収納される傾斜取付面25bが形成されている。また、傾斜取付面25bの中央底部には、インフレータ27を保持した円筒状のインフレータケース26を組み込むための貫通穴27aが形成されている。
図6に示すように、インフレータ27を収容したインフレータケース26は、織物製バッグ30の底面にねじこまれ、キャップ28によって固定される。また、織物製バッグ30の内部には図示しないボルト付リテーナが挿入されており、傾斜取付面25bの底側(裏側)から4個の固定ナット39によって固定するようになっている。
織物製バッグ30が傾斜した取付面25b上に配置されることにより、当該バッグ30が直線的に展開することが可能となる。なお、図6の他に図2−4にも示すように、下部ブラケット25はシートクッション下部において水平方向から傾斜して配置されているため、傾斜取付面25bは概ね水平となる。従って、傾斜取付面25bは下部ブラケット25に対して傾斜することにより、水平な状態を保っていると言える。
織物製バッグ30の上部には、図4に示すように、ブラケット30aが固定されており、2本の固定ボルト35によってフレーム部材22に固定される。2本の固定ボルト35は、フレーム部材22のほぼ中央に形成された二つのねじ穴52にねじこまれる。
図5は、図2及び図3の円で囲った部分100を拡大して示す。図5と図2及び図3とでは、左右が反転している。この例では、フレーム部材22の前方に設けられた回転軸29を直接的に補助して支える構造となっている。回転軸29を固定する下部ブラケット25と回転軸29との間には、下部ブラケット25と一体的に構成された補助ブラケット42が設けられている。補助ブラケット42のフレーム部材22側の上部断面形状は、非展開状態のフレーム部材22aの端部と干渉しないようになっている。一方、展開時のフレーム部材20bの端部は、補助ブラケット42の切欠き部42aとかみ合い(当接し)、フレーム部材22に対するストッパーとして機能する。すなわち、補助ブラケット42が乗員による前方(図5の右側)への負荷を補助して支えることになる。
図7は、実施例に係る腰部拘束装置21の構造を示す斜視図であり、(A)が正常状態(装置非作動時)、(B)が衝撃発生時の状態(装置作動時)を示す。図8は、実施例に係る腰部拘束装置21のシミュレーション結果を示す説明図である。
車両の正面衝突などが発生した場合には、図示しない周知のセンサーによって異常事態を検出し、インフレータ27を作動させる。インフレータ27の作動により発生した高圧ガスが織物製バッグ30内部に放出されると、図7(A)の状態から、図6及び図8(B)に示す状態に遷移する。すなわち、織物製バッグ30が膨張ガスにより上方に展開する。すると、図7(B)に示すように、ブラケット30aによって織物製バッグ30に連結されたフレーム部材22が、左右2カ所の回転軸29を支点として回転(回動、スイング)して立ち上がる。これにより、シートクッション17の前方部分が盛り上がり、乗員Mの前方移動を拘束する。このとき、乗員Mの骨盤Maからの力がフレーム部材22の後側に加わり、図8に示すように変形することにより乗員Mへの衝撃を吸収又は緩和する。
上述した実施例においては、フレーム部材22は角部や前方端部が屈曲した形状となっているが、図9に示すフレーム部材122のようにコの字状とすることができる。なお、表現の仕方及び角部の屈曲具合によっては、U字状ということもできる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲に示された技術的思想の範疇において変更可能なものである。
図1は、本発明の実施例に係る腰部拘束装置の構造及び、車両シート(シートクッション省略)の下部における配置を示す平面図である。 図2は、実施例に係る腰部拘束装置の構造及び、車両シート内部における配置を示す側面図であり、正常状態(装置非作動時)を示す。 図3は、実施例に係る腰部拘束装置の構造及び、車両シート内部における配置を示す側面図であり、衝撃発生時の状態(装置作動時)を示す。 図4は、実施例に係る腰部拘束装置の構造を示す分解斜視図である。 図5は、実施例に係る腰部拘束装置の要部の構造を示す部分側面図である。 図6は、実施例に係る腰部拘束装置の要部の構造を示す部分断面図であり、衝撃発生時の状態(装置作動時)を示す。 図7は、実施例に係る腰部拘束装置の構造を示す斜視図であり、(A)が正常状態(装置非作動時)、(B)が衝撃発生時の状態(装置作動時)を示す。 図8は、実施例に係る腰部拘束装置のシミュレーション結果を示す説明図である。 図9は、本発明の他の実施例に係る腰部拘束装置に使用されるフレームの構成を示す平面図である。
符号の説明
21 腰部拘束装置
22 フレーム部材
30 織物製バッグ
27 インフレータ(MGG)
29 回転軸

Claims (6)

  1. 車両内のシートに着座した乗員の腰部を拘束する腰部拘束装置において、
    衝撃発生時に膨張ガスを供給するガス供給手段と;
    前記シートの着座部(以下、「シートクッション」と称する)下部に圧縮状態で収容され、前記膨張ガスにより上方に向かって膨張展開する織物製バッグと;
    前記シートクッションの下部に配置され、前記織物製バッグの展開によって前記シートクッションを押し上げて乗員の前方移動を拘束するフレーム部材とを備え、
    前記フレーム部材は、開放部分が車両前方側を向いたコの字状に成形され、前記開放部分と反対側の辺が前記織物製バッグの展開によって上方に移動する構成であることを特徴とする腰部拘束装置。
  2. 前記フレーム部材は、前記開放部分側の端部2カ所を支点として前記反対側の辺が回転するように上昇する構造であることを特徴とする請求項1に記載の腰部拘束装置。
  3. 前記シートクッション下部において、少なくとも前記織物製バッグ及び前記フレーム部材を支持する下部ブラケットを更に備え、
    前記下部ブラケットには、前記織物製バッグが収容される位置に傾斜面が形成され、当該織物製バッグが直線的に展開可能としていることを特徴とする請求項1又は2に記載の腰部拘束装置。
  4. 前記フレーム部材は、車両前方への負荷によって変形することにより、前記乗員への衝撃を吸収する構造であることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の腰部拘束装置。
  5. 前記フレーム部材は、アルミニウム、マグネシウム又はそれらの合金製であることを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の腰部拘束装置。
  6. ガス供給手段は、MGG(マイクロガスジェネレータ)であることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5に記載の腰部拘束装置。
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