JP2007313935A - 腰部拘束装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイクロガスジェネレータ(MGG)等の小型のインフレータを使用可能とし、装置全体のコスト低減に寄与する構造を提供すること。
【解決手段】本発明に係る腰部拘束装置は、衝撃発生時に膨張ガスを供給するガス供給手段と;前記シートの着座部(以下、「シートクッション」と称する)下部に圧縮状態で収容され、前記膨張ガスによって上方に膨張展開するガス膨張手段と;前記シートクッションの下部に配置され、前記ガス膨張手段の展開によって上方に移動し、前記シートクッションを押し上げて乗員の骨盤付近を拘束するフレーム部材とを備えている。そして、前記フレーム部材は、開放部分が車両前方側を向いたコの字状に成形され、前記開放部分と反対側の辺が前記乗員の骨盤付近に位置するように構成されている。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る腰部拘束装置は、衝撃発生時に膨張ガスを供給するガス供給手段と;前記シートの着座部(以下、「シートクッション」と称する)下部に圧縮状態で収容され、前記膨張ガスによって上方に膨張展開するガス膨張手段と;前記シートクッションの下部に配置され、前記ガス膨張手段の展開によって上方に移動し、前記シートクッションを押し上げて乗員の骨盤付近を拘束するフレーム部材とを備えている。そして、前記フレーム部材は、開放部分が車両前方側を向いたコの字状に成形され、前記開放部分と反対側の辺が前記乗員の骨盤付近に位置するように構成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両衝突など衝撃発生時に乗員の腰部を拘束する乗員拘束装置に関する。
車両が前方衝突した場合、乗員は、慣性により前方へ移動しようとする。乗員がシートベルトを着用しているときは、シートベルト装置の肩ベルトや腰ベルトの拘束作用によって、乗員の前方への移動がある程度抑えられる。これを更に確実なものとするために、車両が前方衝突によって急減速した場合に、瞬時にシートクッションの前端部を上昇させて、乗員の前方移動を制限する技術を適用した腰部拘束装置が提案されている。例えば、下記特許文献1に開示された腰部拘束装置においては、金属製のバッグをインフレータにおいて発生されるガスによって膨張展開させている。そして、膨張展開した金属製バッグがシートクッションの前端部を押し上げることにより、乗員の腰部(骨盤)の前方移動を拘束している。
特開2005−297580号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された装置においては、金属製のバッグを膨張させるために容量(火薬量)の大きなインフレータが必要となり、コストが高くなっていた。また、大容量のインフレータにより、装置自体も大型化してしまい、シート下部の限られた空間における収容性に問題があった。
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、マイクロガスジェネレータ(MGG)等の小型のインフレータの使用を可能とし、装置全体のコスト低減に寄与する構造を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、腰部拘束装置の小型化に寄与する構造を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、車両内のシートに着座した乗員の腰部を拘束する腰部拘束装置において、衝撃発生時に膨張ガスを供給するガス供給手段と;前記シートの着座部(以下、「シートクッション」と称する)下部に圧縮状態で収容され、前記膨張ガスにより上方に向かって膨張展開するガス膨張手段と;前記シートクッションの下部に配置され、前記ガス膨張手段の展開によって前記シートクッションを押し上げて乗員の前方移動を拘束するフレーム部材とを備えている。そして、前記フレーム部材は、開放部分が車両前方側を向いたコの字状に成形され、前記開放部分と反対側の辺が前記ガス膨張手段の展開によって上方に移動する構成である。
ガス供給手段としては、周知の小型インフレータであるMGG(マイクロガスジェネレータ)等を使用することができる。
フレーム部材は、開放部分が車両前方側を向いた「コの字状」に成形されるが、「U字状」とすることもできる。フレームの前方(車両進行方向)が開放し、その反対側の辺が閉じており、閉じた辺に対応する部分が乗員の骨盤からの圧力を受け、吸収可能な構造とする。
上述したように、本発明においては、コの字状に成形されたフレーム部材をガス膨張手段の膨張によって上昇させて、乗員の骨盤付近を拘束する構成である。質量の小さなコの字状フレームを上昇させるだけなので、前記ガス膨張手段に膨張ガスを供給するガス供給手段として小型のもの(例えば、火薬量の量が少ないもの)を使用することが可能となる。また、フレーム部材の開放部分と反対側の辺が乗員の骨盤付近に位置するように構成されているため、当該閉じた辺に対応する部分が乗員の骨盤からの圧力を受けたときに、フレーム部材自体が変形することにより衝撃を吸収することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施例を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施例に係る腰部拘束装置21の構造及び、車両シート(シートクッション省略)の下部における配置を示す平面図である。図2は、実施例に係る腰部拘束装置21の構造及び、車両シート内部における配置を示す側面図であり、正常状態(装置非作動時)を示す。図3は、実施例に係る腰部拘束装置21の構造及び、車両シート内部における配置を示す側面図であり、衝撃発生時の状態(装置作動時)を示す。
本実施例に係る腰部拘束装置21は、車両内のシートに着座した乗員Mの腰部を拘束するものであり、衝撃発生時に膨張ガスを供給するガス供給手段としてのインフレータ(MGG)27と;シートの着座部17(以下、「シートクッション」と称する)下部に圧縮状態で収容され、インフレータ27から放出される膨張ガスによって上方に膨張展開する金属製バッグ(メタルベローズ)24と;シートクッション17の下部に配置され、金属製バッグ24の展開によって上方に移動し、シートクッション17を押し上げて乗員Mの骨盤付近を拘束するフレーム部材22とを備えている。ここで、フレーム部材22は、開放部分が車両前方側を向いたコの字状に成形され、前記開放部分と反対側の辺が前記乗員Mの骨盤付近に位置するように構成されている。
金属製バッグ24は円筒状に成形され、収容時には蛇腹状に圧縮される構造である。この金属製の円筒状バッグは、一般にメタルベローズと呼ばれるもので、通常使用される金属材料や金属板等で形成されている。
フレーム部材22は、車両前方への外力によって変形することにより、乗員Mへの衝撃を吸収する構造であり、例えば、塑性変形し易いアルミニウム製とすることができる。
図1〜図3に示すように、シートクッション17は右側シートフレーム12と左側シートフレーム13とに取り付けられている。また、シートクッション17の底部はシートパン15により全面的に支持されている。本実施例に係る腰部拘束装置21は、シートフレーム12,13の前側(車両前方側)に配置される。左右のシートフレーム12,13は、後方において後部フレーム部材(リアクロスメンバ)14に連結されている。
本実施例の腰部拘束装置21は、シートパン15の前端部に形成された切欠き部分に配置され、当該シートパン15に干渉することなく作動するようになっている。すなわち、シートパン15における切欠き部分(くりぬき部分)は、腰部拘束装置21の動作に影響が出ない大きさ及び形状に加工される。腰部拘束装置21は、シートパン15の前方においてシートフレーム12,13を跨ぐ様に配置され、当該シートフレーム12,13の上部又は後部に直接固定される。
シートパン15は、図1に示すように、金属製の所定の厚さを持った板状部材が、例えば、一体的に凹形状に加工されている。さらに、強度を向上させるために、部分的に凹凸形状をした複数の出張りを設けて、座面用シートクッション17を下から覆う様に配置される。座面用シートクッション17は、シートフレーム12,13に対してボルトなどにより固定される。シートパン15上側面に固定された座面用シートクッション17は、乗員Mの体重によって変形し、全体が下に凸となるように撓み、これによって乗員の快適性(座り心地の向上)を図っている。
本実施例に係る腰部拘束装置21においては、インフレータ27から放出される高圧ガスにより金属製バッグ24が斜め上方に向かって膨張展開し、フレーム部材22を回転軸29を支点として回動(スイング)させる構造である。図2に示すように、展開する前の状態では、金属製バッグ24はコンパクトにシートクッション17の下部に収容される。一方、図3に示すように、インフレータ27の作動により金属製バッグ24が展開すると、フレーム部材22が上昇し、シートクッション17が盛り上がり乗員Mの腰部(骨盤)を拘束する。
図4は、実施例に係る腰部拘束装置21の構造を示す分解斜視図である。図5は、実施例に係る腰部拘束装置21の要部の構造を示す部分側面図である。図6は、実施例に係る腰部拘束装置21の要部の構造を示す部分断面図であり、正常状態(装置非作動時)を示す。図7は、実施例に係る腰部拘束装置21の要部の構造を示す部分断面図であり、衝撃発生時の状態(装置作動時)を示す。
図4において、下部ブラケット25は、左右方向の側部を固定ボルト34によってシートフレーム12,13に固定される。なお、図4において、下部ブラケット25の左側部分は分解状態、右側部分は組立て状態で示している。下部ブラケット25の上面のほぼ中央部には、金属製バッグ24が収納される円形の凹部25aが設けられている。また、凹部25aの中央底部には、インフレータ27を保持する円筒状のインフレータケース26を組み込むための貫通穴25bが形成されている。図6に示すように、インフレータ27を収容したインフレータケース26は、金属製バッグ24の底面にねじこまれ、キャップ28によって固定される。
金属製バッグ24の上部には、図4に示すように、ブラケット24aが固定されており、2本の固定ボルト35によってフレーム部材22に固定される。2本の固定ボルト35は、フレーム部材22のほぼ中央に形成された二つの穴52にねじこまれる。
本実施例においては、屈曲自在な補助ストラップ40を採用している。この補助ストラップ40は、展開時に乗員による前方への負荷を補助して支えるものである。補助ストラップ40は、金属製のワイヤーロープの両端に固定用穴あきブラケットを一体的にカシメることによって成形される。そして、一端を下部ブラケット25の前方に設けられた回転軸29に共締めして固定し、他端は下部ブラケット25の後方に設けられた固定部に、固定ボルト41によって固定される。
なお、補助ストラップ40に換えて鉄板などの補助ブラケットを採用することもできる。補助ストラップ40を採用することの1つのメリットは、他の構造に比べて、組立て作業の向上を図れることにある。補助ストラップ40の後方端部は、下部ブラケット25ではなくシートフレームなどに固定することもできる。
補助ストラップ40を使用することにより、乗員拘束時にフレーム部材22を介して左右2つの回転軸29及び下部ブラケット25に対して加わる前方への負荷を補助的に支えることができる。
図5は、図2及び図3の円で囲った部分100を拡大して示す。図5と図2及び図3とでは、左右が反転している。この例では、フレーム部材22の前方に設けられた回転軸29を直接的に補助して支える構造となっている。回転軸29を固定する下部ブラケット25と回転軸29との間には、下部ブラケット25と一体的に構成された補助ブラケット42が設けられている。補助ブラケット42のフレーム部材22側の上部断面形状は、非展開状態のフレーム部材22aの端部と干渉しないようになっている。一方、展開時のフレーム部材20bの端部は、補助ブラケット42の切欠き部42aとかみ合い(当接し)、フレーム部材22に対するストッパーとして機能する。すなわち、補助ブラケット42が乗員による前方(図5の右側)への負荷を補助して支えることになる。
図8は、実施例に係る腰部拘束装置21の構造を示す斜視図であり、(A)が正常状態(装置非作動時)、(B)が衝撃発生時の状態(装置作動時)を示す。図9は、実施例に係る腰部拘束装置21のシミュレーション結果を示す説明図である。
車両の正面衝突などが発生した場合には、図示しない周知のセンサーによって異常事態を検出し、インフレータ27を作動させる。インフレータ27の作動により発生した高圧ガスが金属製バッグ24内部に放出されると、図6及び図8(A)の状態から、図7及び図8(B)に示す状態に遷移する。すなわち、金属製バッグ24が膨張ガスにより斜め上方に展開する。すると、図8(B)に示すように、ブラケット24aによって金属製バッグ24に連結されたフレーム部材22が、左右2カ所の回転軸29を支点として回転(回動、スイング)して立ち上がる。これにより、シートクッション17の前方部分が盛り上がり、乗員Mの前方移動を拘束する。このとき、乗員Mの骨盤Maからの力がフレーム部材22の後側に加わり、図9に示すように変形することにより乗員Mへの衝撃を吸収又は緩和する。
上述した実施例においては、フレーム部材22は角部や前方端部が屈曲した形状となっているが、図10に示すフレーム部材122のようにコの字状とすることができる。なお、表現の仕方及び角部の屈曲具合によっては、U字状ということもできる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲に示された技術的思想の範疇において変更可能なものである。
21 腰部拘束装置
22 フレーム部材
24 金属製バッグ
27 インフレータ(MGG)
29 回転軸
22 フレーム部材
24 金属製バッグ
27 インフレータ(MGG)
29 回転軸
Claims (7)
- 車両内のシートに着座した乗員の腰部を拘束する腰部拘束装置において、
衝撃発生時に膨張ガスを供給するガス供給手段と;
前記シートの着座部(以下、「シートクッション」と称する)下部に圧縮状態で収容され、前記膨張ガスにより上方に向かって膨張展開するガス膨張手段と;
前記シートクッションの下部に配置され、前記ガス膨張手段の展開によって前記シートクッションを押し上げて乗員の前方移動を拘束するフレーム部材とを備え、
前記フレーム部材は、開放部分が車両前方側を向いたコの字状に成形され、前記開放部分と反対側の辺が前記ガス膨張手段の展開によって上方に移動する構成であることを特徴とする腰部拘束装置。 - 前記フレーム部材は、前記開放部分側の端部2カ所を支点として前記反対側の辺が回転するように上昇する構造であることを特徴とする請求項1に記載の腰部拘束装置。
- 前記ガス膨張手段は、断面が円形、長円形又は楕円形の金属製ベローズで構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の腰部拘束装置。
- 前記フレーム部材は、車両前方への力によって変形することにより、前記乗員への衝撃を吸収する構造であることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の腰部拘束装置。
- 前記フレーム部材は、アルミニウム製であることを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の腰部拘束装置。
- ガス供給手段は、MGG(マイクロガスジェネレータ)であることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5に記載の腰部拘束装置。
- 前記ガス膨張手段の下端を支持するとともに、前記フレーム部材の前記開放部分側の端部支点が形成された下部ブラケットと;
前記下部ブラケットの左右両側において、一端が前記支点に連結され、他端が当該支点より後方の前記下部ブラケットの一部に連結され、展開時の乗員による前方への負荷を補助して支える補助ストラップとを更に備えたことを特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6に記載の腰部拘束装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006142751A JP2007313935A (ja) | 2006-05-23 | 2006-05-23 | 腰部拘束装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009035090A (ja) * | 2007-08-01 | 2009-02-19 | Autoliv Development Ab | 腰部拘束装置 |
JP2014121924A (ja) * | 2012-12-20 | 2014-07-03 | Toyota Motor Corp | 車両用乗員拘束システム |
Citations (3)
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JP2001146127A (ja) * | 1999-09-07 | 2001-05-29 | Daihatsu Motor Co Ltd | 自動車用シート |
JP2004058808A (ja) * | 2002-07-29 | 2004-02-26 | Tachi S Co Ltd | 車両用シート構造 |
WO2005068265A1 (ja) * | 2004-01-14 | 2005-07-28 | Autoliv Development Ab | 腰部拘束装置 |
-
2006
- 2006-05-23 JP JP2006142751A patent/JP2007313935A/ja active Pending
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