JP5655797B2 - 車両用サイドエアバッグ装置 - Google Patents
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また、特許文献2は、展開状態のエアバッグにおいて、乗員の腕部の位置に対応して非膨張部であるシームを設けたサイドエアバッグを開示している。
シーム付きサイドエアバッグでは、乗員の肘や腕に対応する位置に、エアバッグ展開時に窪みとなるシームを作ることで、胸部とラップする肘や腕を介してエアバッグから胸部に過度の入力が入ることを抑制できる。
第1に、シーム部は乗員の肘や腕を拘束しないため、厚み規制分、エアバッグの拘束エネルギ吸収量が低下してしまう。
第2に、乗員の体格差に応じて肘や腕の位置が異なるので、肘や腕の位置とシーム位置の関係がずれた場合に効果が低減してしまう。大柄な乗員と小柄な乗員の両方をカバーするためにはシーム面積を大きくする必要があるが、シーム面積を大きくするとサイドエアバッグ本来の目的である乗員胸部を保護するための拘束力が低下してしまう。
サイドエアバッグは、メインチャンバと、メインチャンバの車両内側側面に配置されメインチャンバより小型のサブチャンバと、を有する。
メインチャンバの上端部はサイドエアバッグ展開状態において大柄乗員の上腕部が接する高さに位置し、サブチャンバの上端部はサイドエアバッグ展開状態において小柄乗員の上腕部が接する高さに位置する。
メインチャンバの上端部とサブチャンバの上端部には、それぞれ、乗員側から車両外側に向かって上側に傾斜する傾斜が設定されている。
サイドエアバッグの代表的な作用は、車両の側面衝突時に速やかにシートバックの外側サイドサポートから車両前方に向かって乗員とドアトリムとの間に展開し、ついでサイドドアにより押されてサイドエアバッグが乗員側に相対的に移動し、乗員胸部をサイドドアから離れる方向に押し返して乗員を保護することである。
本発明では、チャンバが乗員とドアトリムとの間に展開した時に、チャンバ上端部の傾斜と乗員の上腕部が接触し、その後サイドドアで押されてチャンバが乗員側に相対的に移動した時に、チャンバ上端部の傾斜により上腕部を上方に押す力成分を発生し、上腕部を持ち上げる。腕を持ち上げることで、上腕部がサイドエアバッグと胸部との間に介在することを抑制でき、胸部への負荷を低減できる。従来のようにシームを作ることで肘、腕、ひいては胸部への負荷を低減するものではない。シームが無いため、チャンバの厚い部分で乗員胸部を拘束でき、拘束エネルギ吸収量は低下しない。
大柄乗員の場合、まず、メインチャンバの上端部に設定された傾斜が上腕部に接触し、ついで、ドアで押されてサイドエアバッグが乗員側に相対的に移動した時に上腕部が持ち上げられる。
小柄乗員の場合、まず、サブチャンバの上端部に設定された傾斜が上腕部に接触し、ついで、ドアで押されてサイドエアバッグが乗員側に相対的に移動した時に上腕部が持ち上げられる。
その結果、広い乗員体格レンジにわたって上腕部が介在することを抑制する効果が得られる。
サブチャンバを持たず、シームにより上腕部への荷重を抑制する従来のサイドエアバッグでは、より広い乗員体格レンジをカバーするためにはシーム面積を大きくする必要があり、サイドエアバッグ本来の目的である乗員胸部を保護するための拘束エネルギが低下する。本発明では、シームによらないため拘束エネルギの低下はない。
また、インフレータ20はメインチャンバ12内に設けられる。したがって、インフレータ20から噴出されたガスはメインチャンバ12内に流出し、ついでメインチャンバ12から連通孔16を通ってサブチャンバ14に流れる。これによって、サブチャンバ14の内圧はメインチャンバ12の内圧以下となる。
サイドエアバッグセンサ(図示略)によって車両の側面衝突が検知されると、コントロールユニットからの展開信号が送られて、インフレータ20が作動され、インフレータ20から噴出したガスはディフューザ22内に流れ、ディフューザ22のガス噴出し孔22aから、ガスがサイドエアバッグ10内に噴出される。これによって、サイドエアバッグ10はサイドサポート34から車両前方に乗員Pとドアトリム40との間に展開、膨張する。ついで、サイドドアにより押されて、または慣性力で乗員Pがサイドドア側に移動して、サイドエアバッグ10が乗員P側に相対的に移動した時に、サイドエアバッグ10は乗員胸部をドアトリム40から離れる方向に押し返すとともに乗員胸部を拘束して乗員Pを保護する。
大柄乗員PL の場合、まず、図13(A)に示すように、メインチャンバ12の上端部12aに設定された傾斜12bが上腕部AU に接触する。ついで、図13(B)に示すように、ドアトリム40で押されてサイドエアバッグ10が乗員側に相対的に移動した時に傾斜12bによって上腕部AU が持ち上げられる。
小柄乗員PS の場合、まず、図14(A)に示すように、サブチャンバ14の上端部14aに設定された傾斜14bが上腕部AU に接触する。ついで、図14(B)に示すように、ドアトリム40で押されてサイドエアバッグ10が乗員側に相対的に移動した時に傾斜14bによって上腕部AU が持ち上げられる。
その結果、広い乗員体格レンジにわたって上腕部AU が介在することを抑制する効果が得られる。
従来のサイドエアバッグでは、シームにより上腕部への荷重を抑制するため、広い乗員体格レンジをカバーするためにはシーム面積を大きくする必要が生じ、拘束エネルギ吸収量が低下する。これに対し、本発明では、シームによらないため、拘束エネルギ吸収量は低下しない。
10 サイドエアバッグ
12 メインチャンバ
12a 上端部
12b 傾斜
12c 下部内面
14 サブチャンバ
14a 上端部
14b 傾斜
16 連通孔
18 ベントホール
20 インフレータ
20a ガス噴出孔
22 ディフューザ
22a ガス噴出し孔
40 ドアトリム
P 乗員
PL 大柄乗員
PS 小柄乗員
AU 上腕部
Claims (5)
- シート内に折り畳まれて設置され車両の側面衝突時にインフレータからガスが供給されて乗員とドアトリム間に展開するサイドエアバッグを備えた車両用サイドエアバッグ装置であって、
前記サイドエアバッグは、メインチャンバと、該メインチャンバの車両内側側面に配置されメインチャンバより小型のサブチャンバと、を有し、
前記メインチャンバの上端部はサイドエアバッグ展開状態において大柄乗員の上腕部が接する高さに位置し、前記サブチャンバの上端部はサイドエアバッグ展開状態において小柄乗員の上腕部が接する高さに位置し、
前記メインチャンバの上端部と前記サブチャンバの上端部には、それぞれ、乗員側から車両外側に向かって上側に傾斜する傾斜が設定されている車両用サイドエアバッグ装置。 - 前記インフレータが前記メインチャンバ内に配置されており、前記サブチャンバが連通孔を介して前記メインチャンバと連通されている請求項1記載の車両用サイドエアバッグ装置。
- 前記サブチャンバにはサイドエアバッグ外部と連通するベントホールが設けられている請求項1または請求項2記載の車両用サイドエアバッグ装置。
- サイドエアバッグの展開状態における、前記サブチャンバのバッグ厚はメインチャンバのバッグ厚より薄い請求項1−請求項3の何れか1項に記載の車両用サイドエアバッグ装置。
- 前記インフレータはガス噴出孔を下方に向けてディフューザ内に配置され、該ディフュザーには前記メインチャンバの下部内にガスを噴き出すガス噴出し孔が設けられており、前記メインチャンバ下部の内面はガス流れを車両前方から上方に制御するように傾斜している請求項1−請求項4の何れか1項に記載の車両用サイドエアバッグ装置。
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