<第1の実施形態>
以下、図1〜図9Bを用いて、本発明の第1実施形態に係る車両用シート10について説明する。なお、各図中に適宜示される矢印FR、矢印UP、矢印OUTは、車両用シート10の前方向、上方向、幅方向(左右方向)の外側をそれぞれ示している。また、本実施形態では、車両用シート10の前後左右上下の方向は、車両の前後左右上下の方向と一致している。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、シート前後方向の前後、シート左右方向の左右、シート上下方向の上下を示すものとする。
(車両用シート10の全体構成)
先ず、本実施形態に係る車両用シート10の全体構成の概略について説明し、その後に本実施形態の要部について説明する。図1〜図8に示されるように、車両用シート10は、シートバック12を備えている。このシートバック12は、シートクッション13(図1参照)の後端部に連結されており、シートクッション13に着座した乗員の背部を支持する構成になっている。なお、この車両用シート10は、例えば左ハンドル車の運転席であり、車室内の左側に配置されているが、これに限らず、車両用シート10が車室内の右側に配置された構成にしてもよい。その場合、車両用シート10の構成が、本実施形態とは左右対称になる。
上記のシートバック12は、シートバックフレームとしてのシェルフレーム14を備えている。シェルフレーム14は、図1に示されるように、後壁部14Aと、後壁部14Aのシート幅方向両端部からシート前方側へ突出した左右の側壁部14Bと、後壁部14Aの上端部からシート前方側へ突出した上壁部14Cとによって構成されており、シート前方側が開放された殻状(シェル状)に形成されている。後壁部14Aは、シートバック12の背面側に配置されており、左右の側壁部14Bは、シートバック12の側面側に配置されている。このシェルフレーム14は、樹脂製のバックボード16(図1、図7、図8では図示省略)によってシート後方側及びシート幅方向両外側から覆われている。
シェルフレーム14のシート前方側には、クッション材であるシートバックパッド18(ウレタンパッド:図1では図示省略)が取り付けられている。このシートバックパッド18は、表皮材であるシートバック表皮20によってシート前方側から覆われている。
上記のシートバック12は、着座乗員の背部をシート後方側から支持する本体部12Aと、該本体部12Aのシート幅方向両側に設けられた左右のサイドサポート部12B(図2〜図8では、シート右側のサイドサポート部12Bは図示省略)とを備えている。左右のサイドサポート部12Bは、本体部12Aよりもシート前方側へ突出しており、着座乗員の上体を側方から支持する構成になっている。
シートバックパッド18は、本体部12Aに設けられたパッド本体部18Aと、左右のサイドサポート部12Bに設けられた左右のパッドサイド部18B(図2〜図8ではシート右側のパッドサイド部18Bは図示省略)とを一体に備えている。左右のパッドサイド部18Bは、パッド本体部18Aのシート幅方向外側端部からシート前方側かつシート幅方向外側へ向けて斜めに延びている。
また、シートバック表皮20は、パッド本体部18Aをシート前方側から覆うフロント表皮22と、パッドサイド部18Bをシート前方側及びシート幅方向内側から覆うフロントサイド表皮24と、パッドサイド部18Bをシート幅方向外側から覆うサイド表皮26とによって構成されている。
フロント表皮22のシート幅方向外側端部は、縫製部S1においてフロントサイド表皮24のシート幅方向内側端部と縫製されており、フロントサイド表皮24のシート幅方向外側端部は、縫製部S2においてサイド表皮26の前端部と縫製されている。このサイド表皮26は、シートバック12の側面側において、シェルフレーム14の側壁部14Bとバックボード16との間の隙間に挿入されてシート後方側へ延びており、図示しない後端部がゴムバンドの弾性部材を介してシェルフレーム14に係止されている。なお、上記の縫製部S2は、後述するサイドエアバッグ32が膨張展開する際に破断される構成になっている。
図1〜図8に示されるように、シート左側(ここでは図示しないサイドドア側)のサイドサポート部12B内には、ニアサイドエアバッグ装置28の主要部を構成するサイドエアバッグモジュール30が配設されている。サイドエアバッグモジュール30は、例えばナイロン系又はポリエステル系の基布が縫製されることにより袋状に形成されたサイドエアバッグ32と、該サイドエアバッグ32の内部に収容されたインフレータ34とを備えている。サイドエアバッグ32は、所定の折り畳み方(ここでは蛇腹折り)で折り畳まれると共に、サイドエアバッグ32の膨張圧によって容易に破断するラップ材36によって包まれている。なお、図7及び図8では、サイドエアバッグモジュール30が概略的に記載されている。
インフレータ34は、ここではシリンダータイプのものであり、軸線方向がシート上下方向(シートバック12の上下方向)に沿う姿勢で配置されている。このインフレータ34の外周部からは、シート後方側へ向けて上下一対のスタッドボルト38(図2〜図6では一方のスタッドボルト38のみ図示)が突出している。
インフレータ34のスタッドボルト38に対応して、シェルフレーム14の後壁部14Aには、締結部14A1が設けられている。締結部14A1は、側壁部14Bの後端部からシート幅方向内側へ延びており、サイドエアバッグモジュール30に対してシート後方側から対向している。この締結部14A1のシート幅方向内側端部からは、シート後方側へ向けてヒンジ連結部14A2が延びており、当該ヒンジ連結部14A2の後端部が、後壁部14Aの本体部14A3におけるシート幅方向外側端部と接続されている。
インフレータ34のスタッドボルト38は、サイドエアバッグ32の基布及び上記締結部14A1を貫通してナット40に螺合している。これにより、インフレータ34がサイドエアバッグ32と共にシェルフレーム14に締結固定(所謂背面締め)されている。このインフレータ34には、車両に搭載されたECU58(制御装置)が電気的に接続されている。このECU58には、プリクラッシュセンサ(衝突予知センサ)60、側突センサ62及び斜突センサ64が電気的に接続されている。なお、図2では、ECU58、プリクラッシュセンサ60、側突センサ62及び斜突センサ64(何れも図2以外では図示省略)が、何れも概略的に記載されている。
プリクラッシュセンサ60は、図9Aに示されるような自車両66と他車両67との側面衝突(側突)が発生する可能性が生じた場合に、ECU58に側突予知信号を出力するように構成されている。また、プリクラッシュセンサ60は、図9Bに示されるような自車両66と他車両67との斜め前面衝突(斜突)が発生する可能性が生じた場合に、ECU58に斜突予知信号を出力するように構成されている。一方、側突センサ62は、側突が発生した場合に、ECU58に側突検出信号を出力するように構成されており、斜突センサ64は、斜突が発生した場合に、ECU58に斜突検出信号を出力するように構成されている。
ECU58は、側突検出信号又は斜突検出信号が出力された場合に、インフレータ34を作動させる構成になっている。なお、ECU58が、側突予知信号又は斜突予知信号に基づいて、側突又は斜突が回避不能であると判断した場合に、インフレータ34が作動される構成にしてもよい。インフレータ34が作動すると、インフレータ34のガス噴出部からサイドエアバッグ32内にガスが噴出され、サイドエアバッグ32がシート左側のサイドサポート部12Bのシート前方側へ膨張展開する(図3参照)。
上述したサイドエアバッグモジュール30と、シートバックパッド18のパッドサイド部18Bとの間には、サイドサポート調整機構42の機構部43が配設されている。この機構部43は、調整用ブラダー46(調整用袋体)を備えている。この調整用ブラダー46は、後述する衝突用ブラダー74(衝突用袋体:追加袋体)と共に、ブラダー45(袋体)を構成している。この調整用ブラダー46は、長尺な袋状に形成されており、長手方向がシート上下方向に沿う姿勢で配置されている。この調整用ブラダー46には、空気供給用チューブ68の一端部が接続されており、当該空気供給用チューブ68の他端部は、空気供給装置72に接続されている。なお、図1では、空気供給用チューブ68、空気供給装置72、及び後述する空気供給用チューブ70(何れも図2以外では図示省略)が、何れも概略的に記載されている。
空気供給装置72は、サイドサポート調整機構42の構成部材であり、ECU58によって作動を制御される構成になっている。この空気供給装置72は、空気供給ポンプ、切替バルブ、排気バルブ、圧力検出器等を含んで構成されており、調整用ブラダー46に対してガス(ここでは空気)を供給・排気するように構成されている。
具体的には、例えば車両用シート10に設けられた図示しない操作スイッチが一側に操作されている状態では、ECU58は、空気供給装置72の空気供給ポンプを作動させて調整用ブラダー46に空気を供給する。これにより、上記操作スイッチの一側への操作に応じて、調整用ブラダー46が膨張するように構成されている。またこの場合、ECU58は、空気供給装置72が備える圧力検出器からの信号に基づいて調整用ブラダー46の内圧を検知する。そして、ECU58は、調整用ブラダー46の内圧が、通常時(通常調整時:通常作動時:非衝突時)の最大内圧に達すると、上記操作スイッチが一側に操作されている状態でも、調整用ブラダー46への空気の供給を停止するように構成されている。
また、ECU58は、上記操作スイッチが他側に操作されている状態では、空気供給装置72の排気バルブを作動させて調整用ブラダー46から空気を排気する。これにより、上記操作スイッチの他側への操作に応じて、調整用ブラダー46が収縮するように構成されている。なお、ECU58による空気供給装置72の作動制御は、上記のような操作スイッチの操作に基づくものに限定されない。例えば、車両の走行状態等を検知する各種のセンサがECU58に接続されている場合には、ECU58が車両の走行状態等に基づいて、空気供給装置72の作動を自動的に制御するように構成してもよい。
上記の調整用ブラダー46とパッドサイド部18B(シートバックパッド18)との間の隙間には、機構部43の構成部材である可動パネル48(可動板:パドル)が配設されている。この可動パネル48は、例えば樹脂材料によって板状に形成されており、シート後方側の端部にヒンジ50が取り付けられている。このヒンジ50には、シート上下方向に並んだ複数のクリップ50A(図2〜図6では一のクリップ50Aのみ図示)が一体に設けられている。これらのクリップ50Aは、シェルフレーム14のヒンジ連結部14A2に形成された複数の貫通孔にシート幅方向内側から嵌入係止されている。
上記のヒンジ50は、シート上下方向に延びており、可動パネル48は、シェルフレーム14に対してシート上下方向に沿った軸線回りに回動可能とされている。この可動パネル48は、図2に示される状態(調整用ブラダー46及び後述する衝突用ブラダー74の非膨張状態)において、ヒンジ50からシート幅方向内側へ延びた後に屈曲してシート前方側へ延びる基部48Aと、該基部48Aの前端部からシート前方側かつシート幅方向外側へ向けて斜めに延びる傾斜部48Bとを備えている。傾斜部48Bは、パッドサイド部18Bに沿って延びており、当該傾斜部48Bとサイドエアバッグモジュール30との間に、調整用ブラダー46が介在されている。
さらに、本実施形態では、調整用ブラダー46とサイドエアバッグモジュール30との間には、支持部としての支持パネル56(支持板:反力板)が配設されている。この支持パネル56は、例えば樹脂材料によって板状に形成されており、シート後方側の端部が前述したヒンジ50を介してシェルフレーム14に連結されている。この支持パネル56は、本実施形態では、シェルフレーム14(シートバックフレーム)の一部を構成している。
上記の支持パネル56は、シェルフレーム14に対してヒンジ50回り(シート上下方向に沿った軸線回り)に回動可能とされている。この支持パネル56は、ヒンジ50からシート前方側へ延びる基部56Aと、基部56Aの前端からシート前方側かつシート幅方向外側へ向けて斜めに延びる受け部56Bと、受け部56Bの前端からシート幅方向外側へ延びる前部56Cと、前部56Cのシート幅方向外側端部からシート前方側へ延びる当接部56Dとによって構成されており、サイドエアバッグ32の膨張展開領域に位置している。
受け部56Bは、パッドサイド部18Bに沿って延びており、シート幅方向内側の面(受け面)が調整用ブラダー46に対してシート幅方向外側から対向している。また、当接部56Dは、シェルフレーム14の側壁部14Bの前端部に対してシート幅方向内側から当接している。このため、支持パネル56は、ヒンジ50回りのシート幅方向内側への回転を許容される一方、ヒンジ50回りのシート幅方向外側への回転を制限されている。
この支持パネル56は、サイドエアバッグ32の膨張展開時には、図3に示されるように、サイドエアバッグ32の膨張圧によって調整用ブラダー46、可動パネル48及び後述する衝突用ブラダー74と共にヒンジ50回りにシート幅方向内側へ回転(変位)される。これにより、サイドエアバッグ32の膨張展開が支持パネル56によって阻害されないように構成されている。
なお、図示は省略するが、本実施形態に係る車両用シート10では、シート右側のサイドサポート部12B内には、サイドサポート調整機構42の機構部43が、図1に示される状態とは左右対称の状態で配設されている。但し、シート右側のサイドサポート部12B内には、サイドエアバッグモジュール30が配設されておらず、調整用ブラダー46の膨張圧を受ける支持パネル56が、シェルフレーム14のシート右側の側壁部14Bに変位不能に固定されている。
なお、シート右側のサイドサポート部12B内において、ニアサイドエアバッグ装置28のサイドエアバッグモジュール30の代わりに、ファーサイドエアバッグ装置のサイドエアバッグモジュールが配設された構成にしてもよい。その場合、左右の機構部43の構成が、左右対称な以外は基本的に同様の構成になる。
(本実施形態の要部)
本実施形態では、図1、図7及び図8に示されるように、前述した可動パネル48が、シート上下方向に並ぶ複数(ここでは2つ)の分割可動パネル48U、48Lに分割されている。これらの分割可動パネル48U、48Lは、それぞれ前述したヒンジ50を介してシェルフレーム14のヒンジ連結部14A2に連結されている。
また、本実施形態では、図2〜図4、図6〜図8に示されるように、上述したサイドサポート調整機構42が、可動パネル48と支持パネル56との間に配置された衝突用ブラダー74(衝突用袋体)を備えている。この衝突用ブラダー74は、調整用ブラダー46と同様に袋状に形成されているが、図7及び図8に示されるように、調整用ブラダー46よりもシート上下方向の寸法が十分に小さく設定されており、調整用ブラダー46の上部46Uに対してシート幅方向外側に配置されている。この衝突用ブラダー74の容量は、調整用ブラダー46の容量よりも十分に小さく設定されている。
なお、支持パネル56の上下方向中間部には段部が形成されており、支持パネル56の上部側が下部側よりもシート幅方向外側に位置している。これにより、衝突用ブラダー74の配置スペースが形成されている。また、図示は省略するが、シート右側のサイドサポート部12B内には、上記の衝突用ブラダー74が、図2〜図8に示される状態とは左右対称の状態で配設されている。つまり、本実施形態では、調整用ブラダー46、衝突用ブラダー74、可動パネル48、ヒンジ50及び支持パネル56が、左右のサイドサポート部12B内にそれぞれ配設されている。
左右の衝突用ブラダー74には、それぞれ空気供給用チューブ70(図1以外では図示省略)の一端部が接続されており、当該空気供給用チューブ70の他端部は、前述した空気供給装置72に接続されている。これら左右の衝突用ブラダー74は、左右の調整用ブラダー46と共に、左右のブラダー45を構成している。つまり、本実施形態では、左右のブラダー45が、左右の調整用ブラダー46と、左右の衝突用ブラダー74とに分割されている。
また、本実施形態では、空気供給装置72、ECU58、プリクラッシュセンサ60、及び左右の空気供給用チューブ70によって、膨張促進装置78が構成されている。ECU58は、プリクラッシュセンサ60からの側突予知信号又は斜突予知信号に基づいて側突又は斜突を予知した場合、インフレータ34を作動させる前に、左右の衝突用ブラダー74に対してガス(ここでは空気)を供給する。これにより、左右の衝突用ブラダー74が膨張するように構成されている(図6及び図8参照)。
この場合、ECU58は、空気供給装置72が備える圧力検出器からの信号に基づいて、左右の衝突用ブラダー74の内圧を検知する。そして、ECU58は、左右の衝突用ブラダー74の内圧が、通常時における左右の調整用ブラダー46の最大内圧よりも高くなるように、左右の衝突用ブラダー74に空気を供給するように構成されている。
またこの場合、ECU58は、上記圧力検出器からの信号に基づいて、左右の調整用ブラダー46の内圧を検知する。そして、ECU58は、左右の調整用ブラダー46の内圧が、通常時における左右の調整用ブラダー46の最大内圧に達していない場合には、左右の調整用ブラダー46の内圧が上記最大内圧になるように、左右の調整用ブラダー46に空気を供給するように構成されている。つまり、本実施形態では、側突又は斜突が予知された場合に、左右のブラダー45の一部(ここでは左右の衝突用ブラダー74)が、左右のブラダー45の他の部位(左右の調整用ブラダー46)に比し、膨張を促進(内圧を上昇)されるように構成されている。
なお、図6〜図8においては、衝突用ブラダー74の膨張前後において、調整用ブラダー46が既に膨張している状態が図示されている。また、図8では、調整用ブラダー46及び衝突用ブラダー74の膨張によって、分割可動パネル48Uが斜めに弾性変形した状態が図示されている。
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
上記構成の車両用シート10では、シートバック12の左右のサイドサポート部12B内に設けられた左右の調整用ブラダー46に対して空気が供給・排気されると、左右の調整用ブラダー46がシェルフレーム14に設けられた左右の支持パネル56によってシート幅方向外側から支持されつつ膨張・収縮する。これにより、左右の調整用ブラダー46のシート幅方向内側に設けられた左右の可動パネル48がシート幅方向に変位する。これらの可動パネル48によって左右のサイドサポート部12Bのシート幅方向内側への膨出量を変更することができるので、左右のサイドサポート部12Bによる乗員のホールド性を調整することができる。
また、この車両用シート10では、膨張促進装置78のECU58が、プリクラッシュセンサ60からの側突予知信号又は斜突予知信号に基づいて側突又は斜突を予知した場合、ECU58は、空気供給装置72を作動させる。これにより、ECU58は、左右の衝突用ブラダー74の内圧が、左右の調整用ブラダー46の内圧よりも高くなるように、左右の衝突用ブラダー74及び左右の調整用ブラダー46に空気を供給する。
このように、左右のブラダー45の一部(左右の衝突用ブラダー74)において、左右のブラダー45の他の部位(左右の調整用ブラダー46)に比し、膨張が促進されるので、左右のブラダー45の全部が一律に膨張を促進される場合と比較して、左右の衝突用ブラダー74を迅速に膨張させることができる。その結果、左右のサイドサポート部12Bにおいて、乗員のシート幅方向への移動の抑制に寄与し易い部位(ここでは上方側の分割可動パネル48Uが配置された高さの部位)のホールド性を、左右の衝突用ブラダー74によって迅速に向上させることができる。したがって、側突又は斜突が予知された場合に、左右のサイドサポート部12Bによる乗員のホールド性を効率的に向上させることに寄与する。これにより、乗員のシート幅方向の移動量を効率的に低減することが可能になる。
つまり、例えば空気供給装置72が備える空気供給用ポンプの出力を十分に増加させれば、左右のブラダー45の全部の膨張を一律に促進する場合でも、左右のブラダー45の膨張が遅くならないようにすることができる。この点、本実施形態では、空気供給用ポンプの出力を増加させない場合でも、左右のサイドサポート部12Bにおいて、乗員のシート幅方向の移動抑制に効果的な箇所のホールド性を局部的かつ迅速に向上させることが可能である。したがって、効率的である。
しかも、この車両用シート10では、調整用ブラダー46と衝突用ブラダー74とがシート幅方向に並んで配置されている。このため、衝突用ブラダー74が膨張することにより、調整用ブラダー46だけが膨張した状態よりも、分割可動パネル48Uのシート幅方向内側への変位量が増加する。その結果、サイドサポート部12Bのシート幅方向内側への膨出量を増加させることができるので、サイドサポート部12Bを乗員により接近させることができる。
また、調整用ブラダー46と衝突用ブラダー74とが同時に膨張する場合、調整用ブラダー46だけが膨張する場合よりも分割可動パネル48Uを迅速にシート幅方向内側へ変位させることができる。これにより、サイドサポート部12Bを迅速にシート幅方向内側へ膨出させることができる。以上のことから、サイドサポート部12Bによる乗員のホールド性を迅速に向上させることができる。
また、この車両用シート10では、可動パネル48が分割可動パネル48U、48Lに分割されている。これにより、可動パネル48が上記のように分割されていない場合と比較して、衝突用ブラダー74の膨張時に、分割可動パネル48Uがシート幅方向内側へ迅速に変位し易くなる。その結果、サイドサポート部12Bの一部を分割可動パネル48Uによって迅速にシート幅方向内側へ膨出させることができる。これにより、サイドサポート部12Bによる乗員のホールド性を迅速に向上させる効果に一層寄与する。
また、この車両用シート10では、ECU58は、斜突を予知した場合においても、側突を予知した場合と同一の制御を行うため、斜突の衝撃によって車両斜め前方側へ慣性移動しようとする乗員の移動方向を、左右のサイドサポート部12Bによって車両前方に近づけることができる。これにより、例えば前突用エアバッグの乗員拘束性能を十分に発揮させることが可能になる。
なお、上記第1実施形態において、衝突用ブラダー74(追加袋体)が、調整用ブラダー46に対してシート前方側(図6においてハッチングを付した領域76参照)に配置された構成にしてもよい。その場合、調整用ブラダー46及び衝突用ブラダー74の膨張時には、可動パネル48が調整用ブラダー46及び衝突用ブラダー74のそれぞれから個別に荷重を受けることになる。これにより、乗員がサイドサポート部12B内の可動パネル48から受ける荷重を増加させることができるので、乗員のシート幅方向の移動量を効果的に低減することができる。
また例えば、衝突用ブラダー74が調整用ブラダー46に対してシート後方側又はシート幅方向内側に配置された構成にしてもよく、衝突用ブラダー74の配置は適宜変更することができる。さらに、可動パネル48と支持パネル56との間に複数の衝突用ブラダー74が配設された構成にしてもよい。また、空気供給装置72が、衝突用ブラダー74に対して空気(ガス)を供給するための専用のポンプを備えた構成にしてもよい。
また、上記第1実施形態では、可動パネル48(可動板)が、シート上下方向に複数に分割された構成にしたが、本発明はこれに限らず、可動板がシート上下方向に複数に分割されていない構成にしてもよい。その場合、衝突用ブラダー74の膨張時には、可動パネル48の上端側において、クリップ50Aがヒンジ連結部14A2から脱落する構成にしてもよい。それにより、可動パネル48の上端側におけるシート幅方向内側への変位量を増加させることができる。
また、上記第1実施形態では、シートバック12の骨格であるシートバックフレームがシェルフレーム14とされた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、左右のサイドフレーム部と、左右のサイドフレーム部の上端部間をシート幅方向に連結するアッパフレーム部とを備えた通常のシートバックフレームによってシートバック12の骨格を構成してもよい。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、前記第1実施形態と基本的に同様の構成及び作用については、前記第1実施形態と同符号を付与しその説明を省略する。また、第4〜第7の実施形態は、参考例とする。
<第2の実施形態>
図10には、本発明の第2実施形態に係る車両用シート80が概略的な正面図にて示されている。この実施形態では、左右の衝突用ブラダー74が、左右の調整用ブラダー46よりもシート上方側において、シートバック12に凭れる乗員Pの肩部Sと同等の高さに配置されている。また、左右の調整用ブラダー46は、該乗員Pの胸部Cと同等の高さに配置されている。
さらに、左右の支持パネル56は、シート上下方向に並んだ複数(ここでは2つ)の分割支持パネル56U、56Lに分割されており、左右の可動パネル48は、シート上下方向に並んだ複数(ここでは2つ)の分割可動パネル48U、48Lに分割されている。また、左右の衝突用ブラダー74は、上方側の分割支持パネル56Uと分割可動パネル48Uとの間に配置されており、左右の調整用ブラダー46は、下方側の分割支持パネル56Lと分割可動パネル48Lとの間に配置されている。上記以外の構成は、前記第1実施形態と基本的に同様とされている。
この実施形態においても、膨張促進装置78のECU58(図10では図示省略)が側突又は斜突を予知した場合、左右の調整用ブラダー46及び左右の衝突用ブラダー74が空気の供給を受けて膨張する。この場合、膨張促進装置78は、前記第1実施形態と同様に、左右の衝突用ブラダー74の内圧が、左右の調整用ブラダー46の内圧よりも高くなるように、左右の衝突用ブラダー74及び左右の調整用ブラダー46に空気を供給する。その結果、左右のブラダー45の一部(左右の衝突用ブラダー74)において、左右のブラダー45の他の部位(左右の調整用ブラダー46)に比し、膨張が促進(内圧が上昇)される。これにより、左右のブラダー45の全部が一律に膨張を促進される場合と比較して、左右の衝突用ブラダー74を迅速に膨張させることができる。したがって、前記第1実施形態と同様に、左右のサイドサポート部12Bによる乗員のホールド性を効率的に向上させることに寄与する。
しかも、この実施形態では、衝突用ブラダー74が高圧に膨張することにより、肩部Sに対するサイドサポート部12Bのホールド性が向上する。これにより、乗員Pの身体のうちで胸部Cよりも荷重耐性が高い肩部Sがサイドサポート部12Bによって良好に支持されることになるので、胸部Cが受ける負荷を軽減しつつ、乗員Pのシート幅方向の移動を良好に抑制することができる。
なお、上記第2実施形態では、支持パネル56(支持部)及び可動パネル48(可動板)が、シート上下方向に複数に分割された構成にしたが、本発明はこれに限らず、支持部及び可動板がシート上下方向に複数に分割されていない構成にしてもよい。
<第3の実施形態>
図11には、本発明の第3実施形態に係る車両用シート90のシートバック12における左側のサイドサポート部12Bの部分的な構成が図7に対応した縦断面図にて示されている。なお、この実施形態は、下記以外の構成は、前記第1実施形態と基本的に同様とされている。また、この実施形態では、左右のサイドサポート部12B内の構造は、左右対称な以外は同様とされているため、主に左側の構成について説明する。
この実施形態では、第1実施形態と異なり、ブラダー45が、調整用ブラダー46と衝突用ブラダー74とに分割されていない構成になっている。このブラダー45は、調整用ブラダー46と同様の構成とされている。また、この実施形態は、復帰用ブラダー92(復帰用袋体)を備えている。この復帰用ブラダー92は、ブラダー45の下部45Lと支持パネル56との間に配置されており、図示しない空気供給用チューブを介して空気供給装置72(図11〜図13では図示省略)に接続されている。
また、この実施形態では、サイドサポート部12Bの下部側において、機構部43の下方側に、分割可動パネル48Lの下端部を駆動する駆動装置94が配設されている。この駆動機構94は、ECU58、プリクラッシュセンサ60(何れも図12、図13では図示省略)と共に、膨張促進装置91を構成している。この駆動機構94は、ECU58に対して電気的に接続されたプル型のソレノイド96と、引張りコイルばね98と含んで構成されている。なお、図11〜図13では、ソレノイド96等が概略的に記載されている。
引張りコイルばね98の一端部は、分割可動パネル48Lの下端部に固定されており、引張りコイルばね98の他端部は、分割可動パネル48Lの下端部よりもシート幅方向外側において、シェルフレーム14の一部である係止部14Dに係止されている。これにより、分割可動パネル48Lの下端部がシート幅方向外側へ付勢されている。
ソレノイド96は、プランジャ96Aが分割可動パネル48Lの下端部に対してシート幅方向外側から引っ掛かるように配置されており、図示しないブラケットを介してシェルフレーム14に固定されている。ECU58は、側突又は斜突を予知した場合に、ソレノイド96に一時的に通電する。これにより、分割可動パネル48Lの下端部に対するプランジャ96Aの引っ掛かりが解除される。
その結果、図12に示されるように、分割可動パネル48Lの下端部が引張りコイルばね98の付勢力によってシート幅方向外側へ引っ張られ、ブラダー45の下部45Lが分割可動パネル48Lと支持パネル56との間で押し潰される。これにより、ブラダー45の上部45Uが下部45Lに比し膨張を促進(シート幅方向の膨張厚を拡大)されるように構成されている。
上記のようにブラダー45の上部45Uの膨張が促進されると、分割可動パネル48Uがシート幅方向内側に変位し、サイドサポート部12Bのシート幅方向内側への膨出量が増加するので、サイドサポート部12Bを乗員により接近させることができる。しかも、ブラダー45の下部45Lが分割可動パネル48Lによって急速に押し潰されることにより、ブラダー45の上部45Uの膨張厚が急速に拡大されるので、サイドサポート部12Bを迅速にシート幅方向内側へ膨出させることができる。
このように、本実施形態では、左右のブラダー45の一部(左右のブラダー45の上部45U)において、左右のブラダー45の他の部位(左右のブラダー45の下部45L)に比し、膨張が促進(膨張厚が拡大)される。これにより、左右のブラダー45の全部が一律に膨張を促進される場合と比較して、左右のブラダー45の上部45Uを迅速に膨張させることができる。したがって、前記第1実施形態と同様に、左右のサイドサポート部12Bによる乗員のホールド性を効率的に向上させることに寄与する。
また、ECU58は、例えば図示しない復帰用スイッチが操作されることにより、空気供給装置72の空気供給ポンプを作動させ、復帰用ブラダー92に空気を供給する。これにより、図13に示されるように、復帰用ブラダー92が膨張し、当該復帰用ブラダー92の膨張圧によって、分割可動パネル48Lがシート幅方向内側へ変位される。この際には、分割可動パネル48Lの下端が、プランジャ96Aの上端部に形成された傾斜面と摺接することにより、プランジャ96Aが押し下げられる。そして、ソレノイド96が備えるばねの付勢力によってプランジャ96Aが元の位置に復帰することにより、分割可動パネル48Lの下端部がプランジャ96Aに再び引っ掛かる(図13図示状態)。その後、ECU58は、空気供給装置72の排気バルブを作動させ、復帰用ブラダー92から空気を排気する。これにより、機構部43が図11に示される状態に復帰する。
なお、上記第3実施形態では、可動パネル48がシート上下方向に2つに分割された構成にしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、図14に概念的に示されるように、可動パネル48がシート上下方向に3つに分割された構成にしてもよい。この図14に示される例では、支持パネル56もシート上下方向に3つに分割されている。
この図14に示される例では、側突又は斜突が予知された場合、上方側の分割可動パネル48Uと分割支持パネル56Uとの間でブラダー45の上部45Uが押し潰されると共に、下方側の分割可動パネル48Lと分割支持パネル56Lとの間でブラダー45の下部45Lが押し潰される。これにより、ブラダー45の上下方向中間部45Mの膨張が促進(シート幅方向の膨張厚が拡大)される。その結果、中間の分割可動パネル48Mがシート幅方向内側へ変位し、当該分割可動パネル48Mによって、サイドサポート部12B(図14では図示省略)のシート幅方向内側への膨出量が増加される。
<第4の実施形態>
図15には、本発明の第4実施形態に係る車両用シート100のシートバック12が概略的な平断面図にて示されている。この実施形態では、下記以外の構成は、前記第1実施形態と基本的に同様とされている。
この実施形態では、第1実施形態と異なり、ブラダー45が、調整用ブラダー46と衝突用ブラダー74とに分割されていない構成になっている。このブラダー45は、調整用ブラダー46と同様の構成とされている。また、この実施形態では、ECU58、プリクラッシュセンサ60、空気供給装置72及び左右の空気供給用チューブ68によって、膨張促進装置102が構成されている。この膨張促進装置102のECU58は、側突又は斜突を予知した場合、空気供給装置72の空気供給ポンプを作動させ、衝突側に位置するブラダー45に空気を供給し、当該衝突側(ここでは車両幅方向外側)のブラダー45の内圧を、反衝突側のブラダー45の内圧よりも高くする。
具体的には、ECU58は、図16Aに示されるように、側突又は斜突を予知した時点t1で、空気供給装置72の空気供給ポンプを作動させ、衝突側のブラダー45のみに空気を供給し、衝突側のブラダー45の内圧を、通常時の最大内圧P1まで上昇させるように構成されている。この場合、ECU58は、反衝突側のブラダー45には空気を供給せず、反衝突側のブラダー45の内圧を上昇させないように構成されている。上記以外の構成は、前記第1実施形態と同様である。
この実施形態では、側突又は斜突が予知された場合、衝突側のブラダー45の内圧が反衝突側のブラダー45の内圧よりも高くされる。つまり、左右のブラダー45の一部(衝突側のブラダー45)において、左右のブラダー45の他の部位(反衝突側のブラダー45)に比し、膨張が促進(内圧が上昇)される。これにより、図17A及び図17Bに示される比較例のように、衝突側及び反衝突側の両方のブラダー45の内圧が上昇(膨張が促進)される場合と比較して、衝突側のブラダー45の内圧を迅速に高めることができる(図16、図17A、図17Bにおいて一点鎖線で囲まれた領域参照)。その結果、衝突側のサイドサポート部12Bによる乗員のサポート性を迅速に向上させることができるので、側突又は斜突時における乗員のシート幅方向の移動量の低減に寄与する。
なお、前記第1及び第2実施形態においても、側突又は斜突が予知された場合、左右の衝突用ブラダー74のうち、衝突側に位置する衝突用ブラダー74のみに空気が供給される構成にしてもよい。
<第5実施形態>
図18Aには、本発明の第5実施形態に係る車両用シートにおいて、側突又は斜突が予知された場合の衝突側のブラダーの内圧と時間との関係が線図にて示されている。また、図18Bには、第5実施形態に係る車両用シートにおいて、側突又は斜突が予知された場合の反衝突側のブラダーの内圧と時間との関係が線図にて示されている。この実施形態は、前記第4実施形態と基本的に同様の構成とされているが、膨張促進装置102のECU58による空気供給装置72の作動制御方法が前記第4実施形態とは異なっている。
具体的には、ECU58は、図18Aに示されるように、側突又は斜突を予知した時点t1で、空気供給装置72の空気供給ポンプを作動させ、衝突側のブラダー45のみに空気を供給し、衝突側のブラダー45の内圧を、通常時の最大内圧P1よりも高い圧力P2まで増加させる。そして、ECU58は、衝突側のブラダー45の内圧が圧力P2に達した時点t2から一定時間(例えば30秒間)経過した時点t3において、衝突側のブラダー45の内圧を圧力P1まで低下させるように構成されている。上記以外の構成は、前記第4実施形態と同様である。
本実施形態では、側突又は斜突が予知された場合、衝突側のブラダー45の内圧が、一定時間だけ通常時の最大内圧P1よりも増加される。これにより、例えば側突又は斜突が生じている間において、衝突側のサイドサポート部12Bによる乗員のホールド性を一層向上させることができる。
<第6実施形態>
図19Aには、本発明の第6実施形態に係る車両用シートにおいて、側突又は斜突が予知された場合の衝突側のブラダーの内圧と時間との関係が線図にて示されている。また、図19Bには、第6実施形態に係る車両用シートにおいて、側突又は斜突が予知された場合の反衝突側のブラダーの内圧と時間との関係が線図にて示されている。この実施形態は、前記第4及び第5実施形態と基本的に同様の構成とされているが、膨張促進装置102のECU58による空気供給装置72の作動制御方法が前記第4及び第5実施形態とは異なっている。
具体的には、ECU58は、図19Aに示されるように、側突又は斜突を予知した時点t1で、空気供給装置72の空気供給ポンプを作動させ、衝突側のブラダー45のみに空気を供給し、衝突側のブラダー45の内圧を、通常時の最大内圧P1よりも高い圧力P2まで増加させる。この点は、前記第5実施形態と同様であるが、この実施形態では、ECU58は、衝突側のブラダー45の内圧が圧力P2に達してから一定時間(例えば30秒間)経過した後も、衝突側のブラダー45の内圧を圧力P2に維持する。また、この実施形態では、ECU58は、側突又は斜突を予知した時点t1で、空気供給装置72の排気バルブを作動させ、反衝突側のブラダー45から空気を排気する。これにより、図19Bに示されるように、反衝突側のブラダー45の内圧が減少し、反衝突側のサイドサポート部12Bによる乗員のホールド力が低下するので、乗員が反衝突側へ退避し易くなる。
<第7実施形態>
図20A及び図20Bには、本発明の第7実施形態に係る車両用シート110の概略的な正面図が示されている。この実施形態では、下記以外の構成は、前記第1実施形態と基本的に同様とされている。
この実施形態では、第1実施形態と異なり、ブラダー45が、調整用ブラダー46と衝突用ブラダー74とに分割されていない構成になっている。この実施形態では、シート左側のブラダー45が、シート上下方向に並ぶ複数(ここでは3つ)の分割ブラダー(分割袋体)45LU、45LM、45LLに分割されており、シート右側のブラダー45が、シート上下方向に並ぶ複数(ここでは3つ)の分割ブラダー(分割袋体)45RU、45RM、45RLに分割されている。
また、この実施形態では、ECU58、プリクラッシュセンサ60及び空気供給装置72(何れも図20Bでは図示省略)と、上記6つの分割ブラダー45LU、45LM、45LL、45RU、45RM、45RLと空気供給装置72とをそれぞれ個別に接続した図示しない空気供給用チューブと、によって膨張促進装置112が構成されている。さらに、この実施形態では、可動パネル48が、シート上下方向に並ぶ複数(ここでは3つ)の分割可動パネル48U、48M、48Lに分割されている。
この実施形態では、膨張促進装置112のECU58は、側突又は斜突を予知した場合、空気供給装置72の空気供給ポンプを作動させ、6つの分割ブラダー45LU、45LM、45LL、45RU、45RM、45RLの一部のみに空気を供給するように構成されている。具体的には、図20Bに示される例では、衝突側(ここではシート右側)の分割ブラダー45RMのみに空気が供給されている。これにより、当該衝突側の分割ブラダー45RMの内圧が、図21Aに示されるように、通常時の最大内圧P1まで増加される構成になっている。なおこの際には、ECU58は、図21Bに示されるように、分割ブラダー45RM以外の分割ブラダー45LU、45LM、45LL、45RU、45RLには空気を供給しないように構成されている。
この実施形態では、上記のように、側突又は斜突が予知された場合に、衝突側の一つの分割ブラダー45RMのみに空気が供給される。つまり、左右のブラダー45の一部(分割ブラダー45RM)において、左右のブラダー45の他の部位(45LU、45LM、45LL、45RU、45RL)に比し、膨張が促進(内圧が上昇)される。これにより、6つの分割ブラダー45LU、45LM、45LL、45RU、45RM、45RLの全部が一律に膨張を促進される場合と比較して、分割ブラダー45RMを急速に膨張させることができる(図21Aにおいて一点鎖線を付した領域参照)。これにより、衝突側の分割可動パネル48Mを急速にシート幅方向内側へ変位させることができ、衝突側のサイドサポート部12Bを急速にシート幅方向内側へ膨出させることができる。前記第1実施形態と同様に、サイドサポート部12Bによる乗員のホールド性を効率的に向上させることに寄与する。
以上、幾つかの実施形態を示して本発明について説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記各実施形態に限定されないことは勿論である。