JP2007309118A - パルセーションダンパ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パルセーションダンパ50のプレート52は、カバー40とハウジング本体12との間に挟持されている。ダイヤフラム56は、レーザ溶接等により全周をプレート52に溶接され、プレート52に取り付けられている。プレート52の外周には90°間隔で切欠が形成されており、この切欠により連通路310が形成されている。連通路310はプレート52の板厚方向両側の吸入室300を連通しており、プレート52の板厚方向両側の吸入室300の間で燃料が流通する。プレート52とダイヤフラム56との間には、板厚方向両側にそれぞれダンパ室312が形成されている。ダイヤフラム56は、吸入室300の圧力変化に応じて弾性変形し、吸入室300の燃料の圧力脈動を低減する。
【選択図】図1
Description
請求項9に記載の発明によると、連通路に対し径方向にずれた位置でプレートはハウジングに取り付けられているので、ハウジングにプレートが取り付けられている箇所が連通路を通る流体流れを妨げることを防止できる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による高圧燃料ポンプを図1に示す。高圧燃料ポンプ10は、例えば、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンのインジェクタに燃料を供給するサプライポンプである。吸入室300、燃料通路302、燃料ギャラリ304、加圧室306および吐出通路308は、図示しない燃料入口から燃料出口である吐出部90に到る燃料通路を構成している。吸入室300、燃料通路302および燃料ギャラリ304は、加圧室306が燃料を吸入する吸入通路を構成している。
プランジャ20は、ハウジング本体12に一体成形されたシリンダ14に往復移動自在に支持されている。加圧室306は、プランジャ20の往復移動方向の一端側に形成されている。シリンダ14と摺動するプランジャ20の摺動部とヘッド22との間の外周面は、オイルシール30によりシールされている。オイルシール30は、エンジン内から加圧室306へのオイルの侵入を防止し、かつ加圧室306からエンジン内への燃料漏れを防止する。プランジャ20の他端側に形成されたヘッド22は、スプリング座24と結合している。スプリング座24はスプリング28の荷重によりタペット26の底部内壁に押し付けられている。タペット26の底部外壁が図示しないポンプカムの回転によりポンプカムと摺動することにより、プランジャ20はタペット26とともに往復移動する。タペットガイド32は、円筒状に形成され、ハウジング本体12の外周にねじ結合している。タペットガイド32は、内周側にタペット26を収容し、タペット26を往復移動自在に支持する。
スプリング78の荷重はスプリング68の荷重よりも大きいので、コイル82への通電がオフの状態(図1参照)では、可動コア72の端部はシート部材62から弁部材66側に突出し、可動コア72は弁部材66と当接している。この状態では、弁部材66はシート部材62から離座しているので、燃料ギャラリ304と加圧室306とは連通する。コイル82への通電をオンにすると、可動コア72と固定コア74との間に働く磁気吸引力により、スプリング78とスプリング68との荷重差に抗して可動コア72は固定コア74に吸引され、図1の右方向に移動する。すると、弁部材66はスプリング68の荷重によりシート部材62に着座するので、燃料ギャラリ304と加圧室306との連通は遮断される。
ボール92が弁座98に着座している状態では、加圧室306と吐出通路308との連通は遮断されている。加圧室306の圧力が所定圧以上になると、スプリング94の荷重に抗してボール92が弁座98から離座し、加圧室306の高圧燃料が吐出通路308を通り吐出部90から吐出される。
(1)吸入行程
プランジャ20が上死点から下死点に向けて図1の下方へ移動するとき、コイル82への通電はオフされている。そのため、弁部材66は、スプリング78とスプリング68との荷重差により可動コア72から加圧室306側に押し付けられている。その結果、弁部材66は、シート部材62から離座している。また、プランジャ20が図1の下方へ移動するとき、加圧室306の圧力は低下する。そのため、燃料ギャラリ304側の燃料から弁部材66が受ける力は、加圧室306側の燃料から弁部材66が受ける力よりも大きくなる。このようなスプリング68とスプリング78との荷重差、ならびに燃料ギャラリ304と加圧室306との圧力差により、弁部材66はシート部材62から離座する方向に力を受けるので、弁部材66はシート部材62から離座する。これにより、吸入室300の燃料は、燃料通路302、燃料ギャラリ304を経由して加圧室306に連通する。したがって、吸入室300の燃料は、加圧室306に吸入される。
プランジャ20が下死点から上死点に向かって上昇しても、コイル82への通電はオフされた状態である。したがって、弁部材66は、スプリング78とスプリング68との荷重差により可動コア72から加圧室306側に押し付けられている。その結果、プランジャ20の上昇にともない、加圧室306の燃料は燃料ギャラリ304から燃料通路302を通り、吸入室300に戻される。
このとき、吸入通路に戻る燃料に脈動が生じるが、吸入室300に設けられたパルセーションダンパ50によって脈動を低減できる。これによってプランジャ20の上昇によって生じた脈動が吸入室300の下流側に伝わるのを抑制することができる。
燃料ギャラリ304と加圧室306との連通が遮断されている状態でプランジャ20がさらに上死点に向けて上昇すると、加圧室306の燃料が加圧され燃料圧力が上昇する。そして、加圧室306の燃料圧力が所定圧以上になると、スプリング94の荷重に抗してボール92が弁座98からリフトする。これにより、加圧室306で加圧された燃料は吐出通路308を通り吐出部90から吐出される。吐出部90から吐出された燃料は、図示しない燃料レールに供給されて蓄圧され、燃料噴射弁に供給される。
また、プレート52の板厚方向両側にダイヤフラム56が取り付けられ、二つのダンパ室312が形成されているので、プレート52の板厚方向片側だけにダンパ室312を形成するよりも、ダンパ室312の総容積が増加する。したがって、圧力脈動の低減効果が向上する。
次に、本発明の第2実施形態〜第5実施形態を、それぞれ図3〜図6の各図に示す。尚、既述の実施形態と実質的に同一構成部分には同一符号を付す。第2実施形態〜第5実施形態では、第1実施形態と同様に、プレートの板厚方向両側にダイヤフラムが取り付けられている。
(第2実施形態)
図3に示す第2実施形態のパルセーションダンパ100では、プレート102の径方向両側に直線状の切欠103が形成されており、この切欠103によりプレート102の板厚方向両側の吸入室300を連通する連通路310が形成されている。
図4に示す第3実施形態のパルセーションダンパ110では、プレート112の中央部を貫通して連通路310が形成されている。プレート112は、中央部に形成された連通路310に対して径方向にずれた外周側の挟持部400でハウジング本体12とカバー40との間に挟持されている。プレート112の板厚方向両側には、連通路310と挟持部400を避け、連通路310を挟んで径方向反対側に2個のダイヤフラム114がそれぞれ溶接されている。
このように、パルセーションダンパのプレートの少なくとも片側に複数のダイヤフラムを取り付ける場合、燃料吸入通路である吸入室の形状に応じて、例えばダイヤフラムの設置個数、各ダイヤフラムの形状または大きさを調整することにより、種々の形状の吸入室にパルセーションダンパを設置できる。
図5に示す第4実施形態のパルセーションダンパ120では、ハウジング本体12とカバー40との間に挟持されているプレート122の挟持部よりも内周側の板厚が第1実施形態のプレート52よりも厚くなっている。
(第5実施形態)
図6に示す第5実施形態のパルセーションダンパ130では、プレート52の板厚方向両側でそれぞれ溶接等により取り付けられたダイヤフラム56、132の外径が異なっており、ダイヤフラム56、132がプレート52との間にそれぞれ形成している2個のダンパ室312の容積は異なっている。その結果、ダイヤフラム56、132のばね定数が異なるので、ダイヤフラム56、132が低減する脈動周波数は異なる。したがって、1個のパルセーションダンパ130により、周波数の異なる圧力脈動を低減することができる。
次に、本発明の第6実施形態〜第12実施形態を、それぞれ図7〜図13の各図に示す。尚、既述の実施形態と実質的に同一構成部分には同一符号を付す。第6実施形態〜第11実施形態では、プレートの板厚方向の片側だけにダイヤフラムを取り付けている。
(第6実施形態)
図7に示す第6実施形態のパルセーションダンパ140では、プレート52の板厚方向片側に、ダイヤフラム142が溶接等により取り付けられている。
(第7実施形態)
図8に示す第7実施形態のパルセーションダンパ150では、ハウジング本体12とカバー40との間に挟持されているプレート152の挟持部よりも内周側の板厚が第6実施形態のプレート52よりもダイヤフラム56側に厚くなっている。
図9に示す第8実施形態のパルセーションダンパ160では、プレート52の板厚方向片側に、ダイヤフラム162、164が互いに重ならず径方向にずれた位置に溶接等により取り付けられている。ダイヤフラム162、164の外径が異なっており、ダイヤフラム162、164がプレート52との間にそれぞれ形成している2個のダンパ室312の容積は異なっている。その結果、ダイヤフラム162、164のばね定数が異なるので、ダイヤフラム162、164が低減する脈動周波数は異なる。したがって、1個のパルセーションダンパ160により、周波数の異なる圧力脈動を低減することができる。
図10に示す第9実施形態のパルセーションダンパ170では、プレート172の中央部がダイヤフラム56側に突出し、凸部173が形成されている。圧力脈動の振幅が大きくダイヤフラム56の変位量が大きくなる場合に、ダイヤフラム56が凸部173に当接することにより、ダイヤフラム56の変位量が規制される。したがって、ダイヤフラム56が過度に変位することを防止できる。
また、凸部173の突出量を調整することにより、ダンパ室312の容積を容易に調整できる。
図11に示す第10実施形態のパルセーションダンパ180では、ダイヤフラム56と向き合っているプレート182の中央部がダイヤフラム56から離れる方向に凹み、凹部183が形成されている。その結果、ダイヤフラム56とプレート182とにより形成されるダンパ室312の容積が増加するので、圧力脈動の低減効果が向上する。
図12に示す第11実施形態のパルセーションダンパ190では、プレート52の板厚方向片側に、外径の異なるダイヤフラム192、56が溶接等により取り付けられている。ダイヤフラム192は、ダイヤフラム56よりも外径が小さく、ダイヤフラム56の内部に設置されている。
この構成では、ダイヤフラム56が圧力脈動により変位する場合、ダイヤフラム56がダイヤフラム192に当接する前の状態では、圧力脈動に対してダイヤフラム56だけが変位し、ダイヤフラム56がダイヤフラム192に当接している間は、圧力脈動に対して2個のダイヤフラム56およびダイヤフラム192が互いに当接しながら変位する。
図13に示す第12実施形態のパルセーションダンパ200では、三角形状のプレート202の板厚方向片側または板厚方向両側にダイヤフラム204が溶接等により取り付けられている。プレート202の3箇所の頂点が、ハウジング本体12とカバー40との間に挟持されている。
上記複数の実施形態では、プレートの板厚方向両側の吸入室300を連通する連通路310をプレートに形成したが、ハウジング本体12側に連通路310を形成してもよい。
また、プレートの板厚方向の片側または両側に複数のダイヤフラムを取り付ける場合、2個に限らず3個以上のダイヤフラムを取り付けてもよい。
また、パルセーションダンパの搭載位置は、サプライポンプのハウジング内に限らず、例えば配管等に設置してもよい。
このように、本発明は、上記複数の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
Claims (9)
- 吸入通路、および前記吸入通路から流体を吸入する加圧室を有するハウジングと、往復移動することにより前記加圧室に吸入された流体を加圧するプランジャとを備えるサプライポンプに用いられ、前記加圧室の上流側の前記吸入通路に設けられるパルセーションダンパであって、
前記吸入通路に設けられるプレートと、
前記プレートに取り付けられて前記プレートとダンパ室を形成し、前記吸入通路の圧力変化により変位して前記吸入通路の圧力脈動を低減するダイヤフラムと、
を備えるパルセーションダンパ。 - 前記ダイヤフラムは前記プレートに複数取り付けられており、前記ダンパ室が複数形成されている請求項1記載のパルセーションダンパ。
- 少なくとも二つの前記ダンパ室の容積は異なっている請求項2記載のパルセーションダンパ。
- 少なくとも二つの前記ダンパ室の気体封入圧は異なっている請求項2または3記載のパルセーションダンパ。
- 前記プレートの板厚方向片側に前記ダイヤフラムは取り付けられている請求項2から4のいずれか一項に記載のパルセーションダンパ。
- 前記プレートの板厚方向両側に前記ダイヤフラムは取り付けられている請求項2から4のいずれか一項に記載のパルセーションダンパ。
- 前記プレートは、前記ダイヤフラムと前記ダンパ室を形成している箇所に凸部または凹部を有する請求項1から6のいずれか一項に記載のパルセーションダンパ。
- 前記プレートは板厚方向両側の前記吸入通路を連通する連通路を有する請求項1から7のいずれか一項に記載のパルセーションダンパ。
- 前記プレートは、前記連通路と径方向にずれた位置で前記ハウジングに取り付けられている請求項8に記載のパルセーションダンパ。
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