JP2007138805A - 高圧燃料ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】体格の大型化を招くことなく、加圧室に供給される燃料の圧力脈動を低減する高圧燃料ポンプを提供する。
【解決手段】加圧室15へ燃料を供給する低圧燃料通路を構成している燃料室18には、ダンパ90が設置されている。ダンパ90は、燃料室18側に内周側ほど燃料室18側へ突出する段差部94を有している。ダンパ90に複数の段差部94を形成することにより、ダンパ90の変形の起点となる節の数が増大する。これにより、ダンパ90は、燃料室18における燃料の圧力変化にともなう変形量が増大し、ダンパ90が内部に形成する空間部93の容積変化の範囲は増大する。そのため、ダンパ90の体格が同一であれば圧力脈動の低減効果が大きくなり、圧力脈動の低減効果が同一であればダンパ90の体格が小型化される。
【選択図】図1

Description

本発明は、プランジャの往復移動により加圧室に吸入した燃料を加圧する高圧燃料ポンプに関する。
従来、高圧燃料ポンプは、加圧室に供給される燃料の圧力脈動を低減するため、加圧室へ燃料を供給する低圧燃料通路にダンパを備えている(特許文献1、2参照)。特許文献1、2に開示されているダンパの場合、内部に気体が充填される密閉した空間を形成している。低圧燃料通路の燃料の圧力が変化すると、ダンパが形成する空間の容積は変化する。これにより、低圧燃料通路における燃料の圧力脈動は、ダンパの容積の変化によって吸収される。
特開2001−193186公報 特開2005−042554公報
しかしながら、特許文献1に開示されているダンパの場合、低圧燃料通路に面する側、すなわち受圧側の可動範囲が小さい。そのため、ダンパが形成する空間の容積は、変化可能な領域が小さくなる。その結果、所望の圧力脈動の低減を達成するためには、ダンパの大型化あるいはダンパの数の増大を必要とし、高圧燃料ポンプの体格の大型化を招くという問題がある。特許文献2に開示されているダンパでは、受圧側を波形状に形成しているものの、受圧側の可動範囲を増大する効果は小さい。
そこで、本発明の目的は、体格の大型化を招くことなく、加圧室に供給される燃料の圧力脈動を低減する高圧燃料ポンプを提供することにある。
請求項1記載の発明では、内部に密閉された空間を形成するダンパは燃料からの圧力を受ける側に段差部を有している。ダンパに複数の段差部を形成することにより、ダンパの変形の起点となる節が増加する。そのため、ダンパは、各節を起点として変形し、全体の変形量が増加する。その結果、ダンパが形成する空間の容積の変化量は増大し、体格が同一であれば圧力脈動の低減効果が大きくなり、圧力脈動の低減効果が同一であれば体格が小型化される。したがって、体格の大型化を招くことなく、加圧室に供給される燃料の圧力脈動を低減することができる。
また、請求項1記載の発明では、ダンパに段差部を形成することにより、ダンパの弾性力に分布が生じる。すなわち、複数の段差部を形成する場合、外周側ほど変形しやすくなり、内周側ほど変形しにくくなる。そのため、通常の圧力脈動は、外周側の段差部の変形により吸収し、サージパルス的な異常な圧力脈動は内周側の変形によって吸収することができる。したがって、広い範囲の圧力脈動を吸収することができる。
請求項2記載の発明では、ダンパは金属で形成されている。これにより、複数の段差部を容易に形成することができる。また、ダンパを金属で形成することにより、燃料による腐食を防止することができる。
請求項3記載の発明では、段差部は、内周側ほど低圧燃料通路側に突出している。これにより、ダンパに複数の段差部を形成する場合でも、ダンパの内側に形成される空間の容積は増大する。したがって、体格の大型化を招くことなく、加圧室に供給される燃料の圧力脈動を低減することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の一実施形態による高圧燃料ポンプを図1に示す。高圧燃料ポンプ10は、例えばディーゼルエンジンやガソリンエンジンのインジェクタに燃料を供給する燃料供給ポンプである。
図1に示すように、高圧燃料ポンプ10は、ハウジング本体11、カバー12、プランジャ13、調量弁部50および吐出弁部70などを備えている。ハウジング本体11およびカバー12は、特許請求の範囲のハウジングを構成している。ハウジング本体11は、例えばマルテンサイト系のステンレスなどで形成されている。ハウジング本体11は、円筒状のシリンダ14を形成している。ハウジング本体11のシリンダ14には、プランジャ13が軸方向へ往復移動可能に支持されている。
ハウジング本体11は、導入通路21、吸入通路22、加圧室15および吐出通路23などを形成している。ハウジング本体11は筒部16を有している。筒部16は、略円筒状に形成され、内部に導入通路21と吸入通路22とを連通する通孔部20を形成している。筒部16は、シリンダ14と概ね垂直に形成されており、途中で内径が変化している。筒部16には、シート部材30およびガイド部材40が収容されている。
燃料室18は、ハウジング本体11とカバー12との間に形成されている。燃料室18には、図示しない燃料ポンプによって図示しない燃料タンクから燃料が供給される。導入通路21は、燃料室18と筒部16の内周側に形成されている通孔部20とを連通している。また、吸入通路22は、一方の端部が加圧室15に連通している。吸入通路22の他方の端部は通孔部20に連通している。導入通路21と吸入通路22とは、通孔部20、シート部材30の内周側に形成されている通孔31およびガイド部材40に形成されている溝41を経由して連通している。これにより、燃料室18と加圧室15とは、導入通路21、ハウジング本体11の通孔部20、シート部材30の通孔31、ガイド部材40の溝41および吸入通路22を経由して連通可能である。燃料室18、ならびに燃料室18と加圧室15とを連通する導入通路21、通孔部20、シート部材30の通孔31、ガイド部材40の溝41および吸入通路22は、特許請求の範囲の低圧燃料通路を構成している。加圧室15は、吸入通路22と反対側において吐出通路23と連通している。
プランジャ13は、ハウジング本体11のシリンダ14に軸方向へ往復移動可能に支持されている。加圧室15は、プランジャ13の往復移動方向の一端側に形成されている。プランジャ13の他端側に形成されたヘッド131は、スプリング座81と結合している。スプリング座81とハウジング本体11との間には、弾性部材であるスプリング82が設置されている。スプリング座81は、スプリング82の押し付け力によりタペット83の底部84の内壁に押し付けられている。タペット83の底部84外壁が図示しないカムと接することにより、プランジャ13は軸方向へ往復駆動される。タペット83は、タペットガイド85により移動が案内される。タペットガイド85は、ハウジング本体11のシリンダ14の外周側に設置されている。
プランジャ13のヘッド131側の外周面と、プランジャ13を収容するシリンダ14を形成しているハウジング本体11の内周面との間は、オイルシール86によりシールされている。オイルシール86は、エンジン内から加圧室15へのオイルの浸入を防止するとともに、加圧室15からエンジンへの燃料の漏れを防止する。
燃料出口を形成する吐出弁部70は、ハウジング本体11の吐出通路23に設置されている。吐出弁部70は、加圧室15において加圧された燃料の排出を断続する。吐出弁部70は、弁軸部材71、ボール部材72およびスプリング73を有している。弁軸部材71は、吐出通路23を形成するハウジング本体11に固定されている。スプリング73は、一方の端部が弁軸部材71に接し、他方の端部がボール部材72に接している。ボール部材72は、スプリング73の押し付け力により、ハウジング本体11が形成する弁座74側へ押し付けられている。ボール部材72は、弁座74に着座することにより吐出通路23を遮断し、弁座74から離座することにより吐出通路23を開放する。ボール部材72は、弁座74とは反対側へ移動したとき、弁軸部材71の端部と接することにより移動が制限される。
加圧室15の燃料の圧力が上昇すると、加圧室15側の燃料からボール部材72が受ける力は増大する。そして、加圧室15側の燃料からボール部材72が受ける力がスプリング73の押し付け力と弁座74の下流側の燃料、すなわち図示しないデリバリパイプ内の燃料からボール部材72が受ける力との和よりも大きくなると、ボール部材72は弁座74から離座する。一方、加圧室15の燃料の圧力が低下すると、加圧室15側の燃料からボール部材72が受ける力は低減する。そして、加圧室15側の燃料からボール部材72が受ける力がスプリング73の押し付け力と弁座74の下流側の燃料、すなわち図示しないデリバリパイプ内の燃料からボール部材72が受ける力との和よりも小さくなると、ボール部材72は弁座74に着座する。これにより、吐出弁部70は、加圧室15からの燃料の吐出を断続する逆止弁として機能する。
ガイド部材40は、ハウジング本体11とシート部材30との間に挟み込まれている。ガイド部材40は、シート部材30とは反対側の端部がハウジング本体11と密着している。シート部材30は、ガイド部材40側の端部にシート面32を有している。シート部材30は、外周側に雄ねじ部33を有している。シート部材30の雄ねじ部33は、筒部16の内周側に形成されている雌ねじ部にねじ結合している。これにより、シート部材30は、ハウジング本体11にねじ結合によって固定されるとともに、ハウジング本体11との間にガイド部材40を挟み込む。その結果、ガイド部材40は、シート部材30とは反対側の端部がハウジング本体11に密着した状態でハウジング本体11に固定される。
調量弁部50は、弁部材51、スプリング52および電磁駆動部60を有している。弁部材51は、ガイド部材40の内周側に軸方向へ往復移動可能に設置されている。弁部材51は、略円環状に形成されている。スプリング52は、弁部材51のシート部材30とは反対側に設置されている。スプリング52は、一方の端部がハウジング本体11に接しており、他方の端部が弁部材51に接している。弁部材51は、スプリング52によってシート部材30側に押し付けられている。弁部材51は、シート部材30側の端部がシート面32に着座可能である。弁部材51がシート面32に着座することにより、加圧室15と燃料室18との間、すなわち低圧燃料通路が遮断される。弁部材51は、外周面がガイド部材40の内周面と摺動する。これにより、弁部材51は、軸方向への移動がガイド部材40の内周面によって案内される。また、ガイド部材40は、内周側に溝41を形成している。これにより、弁部材51がシート部材30から離間したとき、シート部材30の内周側の燃料は溝41を経由して吸入通路22へ流出する。
電磁駆動部60は、コイル61、固定コア62、可動コア63、磁性部材64、フランジ65、スプリング66およびニードル67を有している。コイル61は、樹脂部材68の周囲に巻かれており、通電することにより磁界を発生する。固定コア62および可動コア63は、磁性材料から形成されている。固定コア62は、コイル61および磁性部材64の内周側に収容されている。可動コア63は、固定コア62と対向して配置されている。可動コア63は、非磁性材料から形成されている筒部材69の内周側に軸方向へ往復移動可能に収容されている。筒部材69は、可動コア63を収容するとともに、固定コア62とフランジ65との間の磁気的な短絡を防止する。固定コア62と可動コア63との間には、スプリング66が設置されている。スプリング66は、可動コア63を固定コア62とは反対側へ押し付けている。これにより、コイル61に通電していないとき、固定コア62と可動コア63とは互いに離れている。
フランジ65は、磁性材料から形成されている。フランジ65は、ハウジング本体11の筒部16に取り付けられている。これにより、フランジ65は、電磁駆動部60をハウジング本体11に保持するとともに、筒部16の端部を塞いでいる。磁性部材64は、コイル61の外周側を覆っている。磁性部材64は、磁性材料から形成され、固定コア62とフランジ65とを磁気的に接続している。フランジ65は、連通孔651を有している。これにより、フランジ65の導入通路21側と可動コア63側とは同一の圧力に維持される。
可動コア63は、ニードル67と一体に接続されている。ニードル67は、可動コア63とは反対側の端部が弁部材51と接触可能である。スプリングの66押し付け力は、スプリング52の押し付け力よりも大きい。そのため、コイル61に通電していないとき、可動コア63と一体のニードル67はスプリング66の押し付け力により弁部材51側へ移動するとともに、弁部材51はシート部材30から離座している。
ハウジング本体11とカバー12との間に形成される燃料室18には、ダンパ90が設置されている。ダンパ90は、図2に示すように椀状の椀部材91と、椀部材91の端部を覆う板部材92とから構成されている。椀部材91および板部材92は、金属から形成されている。椀部材91と板部材92とは、例えば溶接などにより一体に組み付けられている。椀部材91と板部材92とから構成されるダンパ90は、内部に密閉された空間部93を形成している。空間部93には、例えばアルゴンや窒素などの不活性のガスが充填されている。
椀部材91は、板部材92とは反対側へ突出している。これにより、図1に示すようにハウジング本体11とカバー12との間にダンパ90を設置したとき、燃料室18の燃料に面するダンパ90の受圧側は燃料室18側へ突出している。ダンパ90は、受圧側に段丘状の段差部94を有している。段差部94は、ダンパ90の径方向内側ほど燃料室18側へ突出している。本実施形態の場合、図2に示すように三段の段差部94が形成されている。椀部材91を金属で形成することにより、例えばプレス加工などによって多段の複雑な形状の段差部94を容易に形成することができる。また、ダンパ90を構成する椀部材91および板部材92を金属で形成することにより、例えば溶接などによりダンパ90を密閉構造として椀部材91と板部材92とを確実に接続とすることができる。さらに、ダンパ90を金属で形成することにより、燃料による腐食を防止することができる。
ダンパ90は、受圧側すなわち燃料室18側の燃料の圧力が上昇すると、図3に示すように変形する。これにより、ダンパ90が形成する空間部93の容積は変化する。ダンパ90は、複数の段差部94の節95を起点として変形する。本実施形態の場合、ダンパ90は複数の段差部94を有することによって変形の起点となる節95の数が増加する。これにより、例えば図2に示す状態から燃料室18の燃料の圧力が上昇すると、図3に示すようにダンパ90は空間部93の容積を低減させる方向へ変形する。このとき、変形の起点となる節95の数が増加するため、ダンパ90の受圧側すなわち椀部材91の変形量は大きくなる。その結果、空間部93の容積が変化する範囲が増大し、燃料室18の燃料の圧力脈動低減効果が増大する。
ダンパ90に複数の段差部94を設置することにより、ダンパ90の受圧側は弾性力すなわち変形のしやすさに分布が生じる。本実施形態の場合、ダンパ90は、外周側ほど変形しやすくなる。そのため、燃料室18の燃料に生じる圧力脈動のうち比較的圧力変化の小さな通常の脈動は、ダンパ90の外周側の変形によって吸収される。一方、サージパルス的に圧力変化の大きな脈動が生じたとき、ダンパ90の外周側の変形によって吸収できない脈動はダンパ90の内周側の変形によって吸収される。したがって、ダンパ90に複数の段差部94を設置することにより、広い圧力範囲において燃料室18における燃料の圧力脈動を低減することができる。
次に、上記構成の高圧燃料ポンプ10の作動について説明する。
(1)吸入行程
プランジャ13が図1の下方へ移動するとき、コイル61への通電は停止されている。そのため、弁部材51は、スプリング66によって押し付けられている可動コア63と一体のニードル67により加圧室15側へ押し付けられている。その結果、弁部材51は、シート部材30のシート面32から離座している。また、プランジャ13が図1の下方へ移動するとき、加圧室15の圧力は低下する。そのため、弁部材51がシート部材30側の燃料から受ける力は、弁部材51が加圧室15側の燃料から受ける力よりも大きくなる。その結果、弁部材51にはシート面32から離座する方向へ力が加わり、弁部材51はシート面32から離座する。これにより、燃料室18は、導入通路21、通孔部20、シート部材30の通孔31、溝41および吸入通路22を経由して加圧室15に連通する。したがって、燃料室18の燃料は、加圧室15へ吸入される。
燃料室18には、図示しない燃料供給ポンプによって図示しない燃料タンクから燃料が供給される。燃料供給ポンプによって供給される燃料の圧力脈動は、容積の大きな燃料室18へ燃料が流入することによって低減されるとともに、燃料室18に面するダンパ90によって低減される。
(2)戻し行程
プランジャ13が下死点から上死点に向かって上昇するとき、加圧室15の燃料の圧力は上昇し、弁部材51には加圧室15側の燃料からシート面32に着座する方向へ力が加わる。しかし、コイル61に通電していないとき、ニードル67はスプリング66の押し付け力により、シート面32よりも加圧室15すなわち弁部材51側へ突出している。そのため、弁部材51は、ニードル67と接することによりシート面32側への移動が規制される。その結果、コイル61に通電しない間、弁部材51はシート面32から離座した状態を維持する。これにより、加圧室15の燃料は、燃料室18から加圧室15へ吸入される場合と逆に、プランジャ13の上昇によって吸入通路22、溝41、通孔31、通孔部20および導入通路21を経由して燃料室18へ戻される。
加圧室15から燃料室18へ燃料が戻されることにより、燃料室18の燃料の圧力は増大する。このとき、燃料室18に面するダンパ90によって燃料室18の燃料の圧力変化は吸収される。
(3)加圧行程
戻し行程の途中でコイル61に通電すると、コイル61に発生した磁界により、固定コア62、磁性部材64、フランジ65および可動コア63に磁気回路が形成される。これにより、互いに離れている固定コア62と可動コア63との間には磁気吸引力が発生する。固定コア62と可動コア63との間に発生する磁気吸引力がスプリング66の押し付け力よりも大きくなると、可動コア63は固定コア62側へ移動する。そのため、可動コア63と一体のニードル67も、固定コア62側へ移動する。ニードル67が固定コア62側へ移動すると、弁部材51とニードル67とは離れ、弁部材51はニードル67から力を受けない。その結果、弁部材51は、スプリング52の押し付け力および加圧室15側の燃料から受ける力により、シート面32側へ移動する。
弁部材51がシート面32側へ移動し、弁部材51がシート面32に着座することにより、吸入通路22と通孔31との間は遮断される。これにより、加圧室15から燃料室18への燃料の戻し行程は終了する。プランジャ13が上昇するとき、加圧室15と燃料室18との間を遮断することにより、加圧室15から燃料室18へ戻される燃料の量が調整される。その結果、加圧室15で加圧される燃料の量が決定される。
加圧室15と燃料室18の間が遮断された状態でプランジャ13がさらに上死点に向けて上昇すると、加圧室15の燃料の圧力は上昇する。加圧室15の燃料の圧力が所定の圧力以上になると、吐出弁部70のスプリング73の押し付け力と弁座74の下流側の燃料、すなわち図示しないデリバリパイプ内の燃料から受ける力とに抗して、ボール部材72は弁座74から離座する。これにより、吐出弁部70は開弁し、加圧室15で加圧された燃料は吐出通路23を通り高圧燃料ポンプ10から吐出される。高圧燃料ポンプ10から吐出された燃料は、図示しないデリバリパイプを経由してインジェクタに供給される。このとき、ニードル67は、弁部材51から離れている。そのため、弁部材51が加圧室15側の燃料から力を受けても、その力は電磁駆動部60のニードル67には伝わらない。
プランジャ13が上死点まで移動すると、プランジャ13は再び図1の下方へ移動する。これにより、加圧室15の燃料の圧力は低下するとともに、コイル61へ通電が停止される。そのため、弁部材51は再びシート面32から離れ、加圧室15には燃料室18から燃料が吸入される。
なお、加圧室15の燃料の圧力が所定値まで上昇したとき、コイル61への通電は停止してもよい。加圧室15の燃料の圧力が上昇すると、通孔部20側の燃料によって弁部材51がシート面32から離座する方向へ受ける力よりも、加圧室15側の燃料によって弁部材51がシート面32に着座する方向へ受ける力は大きくなる。そのため、コイル61への通電を停止しても、弁部材51は加圧室15側の燃料から受ける力によってシート部材30のシート面32への着座状態を維持する。このように、所定の時期にコイル61への通電を停止することにより、電磁駆動部60の消費電力を低減することができる。
上記の(1)から(3)の行程を繰り返すことにより、高圧燃料ポンプ10は吸入した燃料を加圧して吐出する。燃料の吐出量は、調量弁部50のコイル61への通電タイミングを調整することにより調量される。
以上説明した一実施形態では、ダンパ90の燃料室18側に段差部94を設置することにより、ダンパ90が内部に形成する空間部93は容積変化の範囲が増大する。そのため、ダンパ90の体格が同一であれば圧力脈動の低減効果が大きくなり、圧力脈動の低減効果が同一であればダンパ90の体格が小型化される。したがって、体格の大型化を招くことなく、加圧室15に供給される燃料の圧力脈動を低減することができる。
(その他の実施形態)
上述の本発明の一実施形態では、ダンパ90の段差部94は内周側ほど燃料室18側へ突出する構成について説明した。しかし、ダンパ90の段差部94は、内周側ほど燃料室18とは反対側へ突出する、すなわち内周側ほど窪んだ構成としてもよい。また、本発明の一実施形態では、ダンパ90を金属で形成する例について説明した。しかし、ダンパ90は、例えば樹脂やゴムなどで形成してもよい。
このように本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
本発明の一実施形態による高圧燃料ポンプの概略を示す断面図。 本発明の一実施形態による高圧燃料ポンプのダンパの概略を示す断面図。 図2に示すダンパにおいて、燃料室側から力が加わったときの段差部の変形を示す断面図。
符号の説明
10 高圧燃料ポンプ、11 ハウジング本体(ハウジング)、12 カバー(ハウジング)、15 加圧室、18 燃料室(低圧燃料通路)、20 通孔部(低圧燃料通路)、21 導入通路(低圧燃料通路)、22 吸入通路(低圧燃料通路)、31 通孔(低圧燃料通路)、41 溝(低圧燃料通路)、90 ダンパ、93 空間部、94 段差部

Claims (3)

  1. 燃料が加圧される加圧室、および前記加圧室へ燃料を導く低圧燃料通路を有するハウジングと、
    前記低圧燃料通路に設置され、内部に密閉された空間を形成するとともに燃料から圧力を受ける側に複数の段差部を有し、前記低圧燃料通路の燃料の圧力変化によって前記空間の容積が変化し前記低圧燃料通路の燃料の圧力脈動を低減するダンパと、
    を備える高圧燃料ポンプ。
  2. 前記ダンパは、金属で形成されている請求項1記載の高圧燃料ポンプ。
  3. 前記段差部は、内周側ほど前記低圧燃料通路側に突出する請求項1または2記載の高圧燃料ポンプ。



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