JP2012154297A - 高圧ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】プランジャの駆動力を低減することの可能な高圧ポンプを提供する。
【解決手段】供給通路100の内壁に固定される筒状の弁ボディ31に形成された弁座34の加圧室121側に吸入弁40が設けられる。吸入弁40は、弁座34に着座することで供給通路100を閉塞し、弁座34から離座することで供給通路100を開放する。吸入弁40と別体で構成されたニードル60は、吸入弁40の弁座側34の端面に当接可能である。弁ボディ40の径内側に形成される内流路33内で、ガイド部材75側の外径よりも吸入弁40側の外径が小さいテーパ部63がニードル60の径方向外側に設けられる。これにより、内流路33を流れる燃料は、テーパ部63の外壁に沿って燃料の流れる方向が変わるので、その圧力損失が低減される。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関に用いられる高圧ポンプに関する。
従来、内燃機関に燃料を供給する燃料供給系統に設けられ、燃料を加圧する高圧ポンプが知られている。燃料タンクから高圧ポンプに供給された燃料は、高圧ポンプの備えるプランジャの下降により加圧室に吸入され、プランジャの上昇により加圧圧送される。
高圧ポンプの加圧室に燃料を供給する供給通路を吸入弁が開閉する。吸入弁はプランジャが下死点から上死点に移動する途中まで供給通路を開放する。これにより、加圧室に吸入された燃料の一部が供給通路に排出される。また、吸入弁はプランジャが下死点から上死点に移動する途中で供給通路を閉塞する。これにより、高圧ポンプから内燃機関に適量の燃料が加圧圧送される。
特許文献1では、吸入弁の開閉を駆動制御する電磁駆動部が供給通路の加圧室と反対側に設けられている。このため、供給通路は、吸入弁が着座及び離座する弁座の電磁駆動部側で、その向きを垂直方向に変えている。
特開2009−203987号公報
しかしながら、特許文献1では、高圧ポンプの吸入行程及び調量行程において、供給通路を流れる燃料は、その流れの向きを変える箇所で供給通路の内壁から剥離し、乱流を生じる。このため、供給通路を流れる燃料の圧力損失が大きくなることが懸念される。したがって、調量工程において加圧室の圧力が高くなり、プランジャの駆動力の損失が大きくなるおそれがある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、プランジャの駆動力を低減することの可能な高圧ポンプを提供することを目的とする。
請求項1に係る発明によると、高圧ポンプは、プランジャ、ポンプボディ、吸入弁、ストッパ、ニードル、電磁駆動部、ガイド部材およびテーパ部を備える。
ポンプボディは、プランジャの往復移動により燃料が加圧される加圧室、および加圧室に燃料を導く供給通路を有する。吸入弁は、供給通路内に形成される弁座に着座することで供給通路を閉塞し、弁座から離座することで供給通路を開放する。吸入弁の加圧室側にストッパが設けられる。吸入弁を弁座側に付勢する付勢手段が、ストッパの吸入弁側に設けられた収容室に収容される。電磁駆動部は、吸入弁をストッパ側または弁座側に押圧し、または吸入弁に与える押圧力を制御可能である。電磁駆動部と吸入弁との間に設けられるニードルは、電磁駆動部の押圧力を吸入弁に伝達する。ニードルを挿通するガイド孔を有するガイド部材が供給通路に形成された弁座の吸入弁と反対側に配置される。ガイド部材の加圧室側の供給通路内で、ガイド部材側の外径よりも吸入弁側の外径が小さいテーパ部がニードルの径方向外側に設けられる。
これにより、高圧ポンプの調量行程において、加圧室から供給通路に排出された燃料は、テーパ部の外壁に沿って燃料の流れる方向が変わるので、ガイド部材に直接当たることが抑制される。このため、内流路内で燃料の剥離及び乱流が抑制され、供給通路を流れる燃料の圧力損失が低減される。したがって、プランジャの駆動力を低減することができる。
請求項2に係る発明によると、高圧ポンプは、供給通路に設けられる筒状の弁ボディを備える。弁ボディは、径内側に形成される内流路と弁ボディの外側の供給通路とを通じる流通口を有する。テーパ部は、弁ボディの流通口の径内方向に位置する。
これにより、高圧ポンプの調量行程において、加圧室から弁ボディの内流路に排出された燃料は、テーパ部により燃料の流れる方向が変えられ、流通口から弁ボディの外側の供給通路に流出する。このため、弁ボディの内流路から弁ボディの供給外側の通路へ流れる燃料の圧力損失が低減される。したがって、プランジャの駆動力を低減することができる。
また、高圧ポンプの吸入行程において、弁ボディの外側の供給通路から内流路を通り、加圧室へ流れる燃料の圧力損失が低減される。したがって、プランジャの駆動力を低減すると共に、供給通路から加圧室への燃料の吸入効率を高めることができる。
請求項3に係る発明によると、ストッパは、ストッパの径外方向の外壁と供給通路の内壁との間に形成される外流路と収容室とを連通する連通路を有する。
高圧ポンプの調量工程において、弁ボディの内流路から弁ボディの外側の通路へ流れる燃料の流体抵抗が低減され、圧力損失が低減される。これにより、供給通路を燃料が流れ易くなり、外流路の燃料圧力が低下し、それに伴って、連通路を通じて外流路と連通する収容室の燃料圧力が低下する。したがって、吸入弁の自閉弁力が低減され、吸入弁の自閉限界を高めることができる。
また、高圧ポンプの調量行程において、外流路を流れる燃料の流速を速くすると、その燃料圧力が低くなり、収容室の燃料が連通路から外流路に吸い上げられる。これにより、収容室の燃料圧力が低下し、吸入弁の自閉限界を高めることができる。
請求項4に係る発明によると、テーパ部は、母線とニードルの軸線とのテーパ角度が15°以上、30°以下である。
これにより、弁ボディの内流路の流体抵抗が低減され、燃料の圧力損失が確実に低減される。したがって、プランジャの駆動力を低減すると共に、供給通路から加圧室への燃料の吸入効率を高めることができる。
また、収容室の燃料圧力が低下するので、吸入弁の自閉限界を高めることができる。
請求項5に係る発明によると、テーパ部とニードルとは、別部材から構成される。
これにより、単一の材料からテーパ部とニードルを一体で形成することに比べ、テーパ部とニードルを容易に形成することができる。
請求項6に係る発明によると、テーパ部の比重は、ニードルの比重以下である。
これにより、テーパ部とニードルとの総重量を軽量化することが可能になる。したがって、電磁駆動部の動作に対し、ニードルの応答性を高めることができる。
本発明の第1実施形態による高圧ポンプの断面図である。 本発明の第1実施形態による高圧ポンプの電磁駆動部と吸入弁部の断面図である。 本発明の第1実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の要部断面図である。 本発明の第1実施形態による高圧ポンプの特性図である。 本発明の第2実施形態による高圧ポンプの電磁駆動部と吸入弁部の断面図である。 本発明の第2実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の要部断面図である。 本発明の第3実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の要部断面図である。 本発明の第4実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の要部断面図である。 本発明の第5実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の要部断面図である。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による高圧ポンプを図1〜図4に示す。本実施形態の高圧ポンプ10は、内燃機関に燃料を供給する燃料供給系統に設けられる。燃料タンクから汲み上げられた燃料は、高圧ポンプ10により加圧され、デリバリパイプに蓄圧される。そしてデリバリパイプに接続するインジェクタから内燃機関の各気筒に噴射供給される。
高圧ポンプ10は、ポンプボディ11、プランジャ13、ダンパ室201、吸入弁部30、電磁駆動部70及び吐出弁部90などを備えている。
ポンプボディ11とプランジャ13について説明する。
ポンプボディ11には、円筒状のシリンダ14が設けられている。シリンダ14には、プランジャ13が軸方向に往復移動可能に収容されている。プランジャ13は、シリンダ14の深部に形成された加圧室121に臨むように設けられている。プランジャ13の加圧室121と反対側の端部17は、スプリング座18と結合している。スプリング座18とオイルシールホルダ25との間には、スプリング19が設けられている。このスプリング19の弾性力により、スプリング座18は図示しないエンジンのカムシャフトの方向へ付勢される。これにより、プランジャ13は、図示しないタペットを介してカムシャフトのカムと接することで軸方向に往復移動する。プランジャ13の往復移動により、加圧室121の容積が変化することで燃料が吸入、加圧される。
次に、ダンパ室201について説明する。
ポンプボディ11には、シリンダ14の反対側に突出する筒状の筒部205が設けられている。筒部205に有底筒状のカバー200が被さることで、ダンパ室201が形成される。
ダンパ室201には、パルセーションダンパ210、第1支持部材211、第2支持部材212及び波ばね213が収容されている。
パルセーションダンパ210は、2枚の金属ダイアフラムから構成され、内部に所定圧の気体が密封されている。パルセーションダンパ210は、2枚の金属ダイアフラムがダンパ室201の圧力変化に応じて弾性変形することで、ダンパ室201の燃圧脈動を低減する。
第1支持部材211と第2支持部材212は、筒状に形成され、パルセーションダンパ210を上下から挟持している。第1支持部材211は、ダンパ室201の底に設けられた溝部110に嵌入している。これにより、第1支持部材211は、径方向の移動が制限される。
波ばね213は、第2支持部材212とカバー200との間に設けられている。波ばね213は、第2支持部材212を溝部110側に押圧している。これにより、第2支持部材212、パルセーションダンパ210及び第1支持部材211がダンパ室201内に固定される。
第1支持部材211は、径方向に燃料を通す孔を有している。これにより、第1支持部材211の内側と外側とを燃料が流れる。
ダンパ室201は、図示しない燃料通路を通じて図示しない燃料入口と連通している。この燃料入口には図示しない燃料タンクから燃料が供給される。したがって、ダンパ室201は、燃料入口から燃料通路を通じて燃料タンクの燃料が供給される。
続いて、吸入弁部30について図2及び図3を参照して説明する。
ポンプボディ11には、シリンダ14の中心軸と略垂直に凹部15が設けられている。凹部15の開口をガイド部材75と接続部材76とが覆うことで、ダンパ室201から加圧室121までの供給通路100が区画される。その区画された供給通路100に、吸入弁部30を構成する弁ボディ31、吸入弁40、ストッパ50、ニードル60および付勢手段としての第1スプリング21などが設けられている。
弁ボディ31は、筒状に形成され、供給通路100の内壁に固定されている。弁ボディ31の軸方向加圧室121と反対側はガイド部材75によって塞がれている。弁ボディ31は、径方向ダンパ室201側に通じる流通口32を有している。その流通口32を通じて、ダンパ室201に通じる通路と弁ボディ31の内側の内流路33とが連通している。弁ボディ31は、軸方向の加圧室121側に弁座34を有している。弁座34は、軸方向吸入弁40側に環状に突出している。また、弁ボディ31は、弁座34の径方向外側で軸方向加圧室121側に延びる筒状の薄肉部35を有している。薄肉部35の軸方向加圧室121側の端面はストッパ50に当接している。
ストッパ50は、弁ボディ31の加圧室121側で、ポンプボディ11の段差12に固定されている。ストッパ50は、吸入弁40の加圧室121側(開弁方向)の移動を規制する。ストッパ50の径外方向の外壁には、切欠部51が周方向に複数個所設けられている。切欠部51と供給通路100の内壁との間に形成された外流路105を燃料が流通可能である。
ストッパ50は、切欠部51の加圧室121側に背面テーパ部55を有する。背面テーパ部55は、吸入弁40側の外径よりも加圧室121側の外径が小さい。また、ストッパ50は、背面テーパ部55の加圧室121側に、円筒状の円筒部56を有する。
ここで、ストッパ50が収容される供給通路100は、加圧室121側から内流路33までの間に、第1筒流路101、第2筒流路102、テーパ流路103、絞り流路104、外流路105を含んでいる。第1筒流路101は加圧室121に開口している。第2筒流路102の内径は第1筒流路101の内径より大きい。テーパ流路103は、第2筒流路102側の内径より絞り流路104側の内径が大きい。絞り流路104にストッパ50の背面テーパ部55が位置する。このため、絞り流路104は、加圧室121側の流路断面積よりも吸入弁40側の流路断面積が小さい。
ストッパ50は、吸入弁40側に開口する収容室52を有している。また、ストッパ50は、収容室52から径方向に延び、収容室52と外流路105とを連通する連通路53を有している。
収容室52には、第1スプリング21が収容されている。第1スプリング21は、吸入弁40を弁座34側(閉弁方向)へ付勢している。
吸入弁40は、略円盤状に形成され、弁ボディ31の薄肉部35の径方向内側で、弁座34の加圧室121側に設けられる。吸入弁40は、弁座34に着座することで供給通路100を閉塞し、弁座34から離座することで供給通路100を開放する。吸入弁40は、その外径がストッパ50の切欠部51の外径よりも小さく形成されている。
吸入弁40は、ストッパ50側の端面から収容室52側に延びる円柱状のガイド部41を有している。ガイド部41は、その外径が第1スプリング21の内径より僅かに小さく形成されている。第1スプリング21は、ガイド部41に係止されている。
ガイド部41は、その軸方向の長さが、吸入弁40の全閉時と全開時との移動距離より長い。これにより、ガイド部41は、吸入弁40の開弁状態及び閉弁状態において、収容室52の径方向内側に位置する。このため、ガイド部41は、吸入弁40の径方向の移動を制限するとともに、吸入弁40が弁座34から脱落することを防ぐ。
吸入弁40は、ストッパ50側の端面の外周側に外側ガイド部42を有している。外側ガイド部42は、軸方向ストッパ50側に環状に突出している。外側ガイド部42は、縦断面視において、ストッパ50側が細いテーパ状に形成されている。
ストッパ50は、吸入弁40側の端面に、外側ガイド部42に摺接可能な摺接部54を有している。摺接部54は、外側ガイド部42の径方向外側に設けられている。吸入弁40が開弁方向へ移動するとき、吸入弁40の外側ガイド部42とストッパ50の摺接部54とが摺接することで、吸入弁40の径方向の移動が制限されると共に、吸入弁40が弁座34の中心に位置決めされる。
ニードル60は、吸入弁40と別体で略円柱状に構成されている。ニードル60は、ガイド部材75の軸方向に設けられたガイド孔79に挿通され、軸方向に往復移動可能に設けられている。ニードル60は、一端が吸入弁40の弁座34側の端面に当接可能であり、他端が可動コア81に固定されている。
ニードル60は、径外方向の外壁に切り欠き62を有している。この切り欠き62を経由し、供給通路100から可動コア室74に燃料が流入する。
ニードル60は、ガイド部材75の弁座34側で径外方向に延びるフランジ部61を有している。
ニードル60は、フランジ部61の吸入弁40側に略円錐状のテーパ部63を備えている。テーパ部63は、弁ボディ31の内流路33内で、流通口32の径内方向に位置している。本実施形態において、ニードル60とフランジ部61とテーパ部63とは、一体で形成されている。
テーパ部63は、ガイド部材75側の外径がフランジ部61の外径と略同じであり、吸入弁40側の外径がニードル60の外径とほぼ同じである。テーパ部63は、ニードル60の吸入弁40側の端部とフランジ部61との間に設けられる。図3では、テーパ部63の母線とニードル60の軸線とのなすテーパ角度θが約30°で形成されている。
次に電磁駆動部70について説明する。
電磁駆動部70は、第1ヨーク71、第2ヨーク72、接続部材76、コイル73、固定コア80、可動コア81および第2スプリング22などを有している。
接続部材76は、ガイド部材75を挟んでポンプボディ11の凹部15に取り付けられている。接続部材76の径方向内側に筒状の可動コア室74が設けられている。
この可動コア室74に可動コア81は軸方向に往復移動可能に収容されている。可動コア81は、軸方向に通じる複数の呼吸孔82を有している。呼吸孔82を通じ、可動コア81の軸方向の一方と他方を燃料が流通する。
接続部材76の凹部と反対側に円盤状の第1ヨーク71が設けられている。第1ヨーク71と第2ヨーク72によりコネクタ77が保持されている。コネクタ77の内側に設けられたボビン78にコイル73が巻回されている。コネクタ77の端子771を通じてコイル73に通電されると、コイル73は磁界を発生する。
ボビン78の径内側に可動コア81と向き合って固定コア80が設けられている。固定コア80は、軸方向の一端が非磁性材料から形成された筒部材85によって、接続部材76に取り付けられている。また、固定コア80は、軸方向の他端が第2ヨーク72に固定されている。固定コア80と可動コア81との磁気ギャップが筒部材85の径方向内側に形成される。
固定コア80は、可動コア81側の端部に開口する第1収容室83を有する。また、可動コア81は、固定コア80側の端部に開口する第2収容室84を有する。固定コア80の第1収容室83と可動コア81の第2収容室84とに第2スプリング22が収容されている。第2スプリング22は、第1スプリング21が吸入弁40を閉弁方向に付勢する力よりも強い力で、可動コア81を開弁方向へ付勢している。
コイル73に通電していないとき、可動コア81と固定コア80とは、第2スプリング22の弾性力により互いに離れている。これにより、可動コア81と一体のニードル60が加圧室121側へ移動し、ニードル60の端面が吸入弁40を押圧することで吸入弁40が開弁する。
コイル73に通電されると、固定コア80、可動コア81、第1ヨーク71、第2ヨーク72及び接続部材76によって形成される磁気回路に磁束が流れ、可動コア81が第2スプリング22の弾性力に抗し、固定コア80側に磁気吸引される。これにより、ニードル60は、吸入弁40に対する押圧力を解除する。
次に可変容積室122について図1を参照して説明する。
プランジャ13は、小径部131及び大径部133を有している。小径部131と大径部133との接続部分に段差面132が形成される。段差面132に向き合うように、略円環状のプランジャストッパ23が設けられている。
プランジャストッパ23は、加圧室121側の端面がポンプボディ11に当接している。プランジャ13は、プランジャストッパ23の中央部に設けられた孔233に挿通している。プランジャストッパ23は、径方向に放射状に延びる複数の溝路232を有している。
プランジャ13の段差面132、小径部131の外壁、シリンダ14の内壁、プランジャストッパ23およびシール部材24に囲まれる略円環状の空間により可変容積室122が形成される。
ポンプボディ11には、シリンダ14が開口する側の外壁に、加圧室121側へ略円環状に凹む凹部16が設けられている。凹部16には、オイルシールホルダ25が嵌め込まれている。オイルシールホルダ25は、プランジャストッパ23との間にシール部材24を挟んで、ポンプボディ11に固定されている。シール部材24は、小径部131周囲の燃料油膜の厚さを規制し、プランジャ13の摺動によるエンジンへの燃料のリークを抑制する。オイルシールホルダ25の加圧室121と反対側の端部には、オイルシール26が装着されている。オイルシール26は、小径部131周囲のオイル油膜の厚さを規制し、プランジャ13の摺動によるオイルのリークを抑制する。
オイルシールホルダ25とポンプボディ11との間には、筒状通路106とこの筒状通路106に連通する環状通路107が形成されている。筒状通路106はプランジャストッパ23の溝路232に連通している。環状通路107はポンプボディ11に形成された戻し通路108を経由してダンパ室201に連通している。このように、溝路232、筒状通路106、環状通路107及び戻し通路108が順に連通することで、可変容積室122とダンパ室201とが連通する。
次に吐出弁部90について説明する。
吐出弁部90は、吐出弁92、規制部材93、スプリング94などから構成されている。
ポンプボディ11には、シリンダ14の中心軸と略垂直に吐出通路114が形成されている。吐出通路114は加圧室121と燃料出口91とを連通している。
吐出弁92は、有底筒状に形成され、吐出通路114に往復移動可能に収容されている。吐出弁92は、弁座95に着座することで吐出通路114を閉塞し、弁座95から離座することで吐出通路114を開放する。
吐出弁92の燃料出口91側に設けられた筒状の規制部材93は、吐出通路114の内壁に固定されている。規制部材93は、吐出弁92の燃料出口91側への移動を規制する。
スプリング94は、一端が規制部材93に当接し、他端が吐出弁92に当接している。スプリング94は、吐出通路114の内壁に形成される弁座95側へ吐出弁92を付勢している。規制部材93の設置位置によって、スプリング94のばね荷重を変化させることで吐出弁92の開弁圧を調整することができる。
加圧室121の燃料の圧力が上昇し、加圧室121側の燃料から吐出弁92が受ける力がスプリング94のばね力と弁座95の下流側の燃料から受ける力との和よりも大きくなると、吐出弁92は弁座95から離座する。これにより、加圧室121から吐出通路114を通り、燃料出口91から燃料が吐出される。
一方、加圧室121の燃料の圧力が低下し、加圧室121側の燃料から吐出弁92が受ける力がスプリング94のばね力と弁座95の下流側の燃料から受ける力との和よりも小さくなると、吐出弁92は弁座95に着座する。これにより、弁座95の下流側の燃料が加圧室121へ逆流することが防止される。
次に高圧ポンプ10の作動について説明する。
(1)吸入行程
カムシャフトの回転により、プランジャ13が上死点から下死点に向かって下降すると、加圧室121の容積が増加し、燃料が減圧される。吐出弁92は弁座95に着座し、吐出通路114を閉塞する。
一方、吸入弁40は、加圧室121と供給通路100との差圧により、第1スプリング21の付勢力に抗して加圧室121側へ移動し、開弁状態となる。このとき、コイル73への通電は停止されているので、可動コア81と一体のニードル60は第2スプリング22の付勢力により加圧室121側へ移動する。したがって、ニードル60と吸入弁40とが当接し、吸入弁40は開弁状態を維持する。これにより、ダンパ室201から供給通路100を経由し、加圧室121に燃料が吸入される。
吸入弁40が開弁状態となるとき、吸入弁40の外側ガイド部42とストッパ50の摺接部54とが摺接することで、吸入弁40は弁座34の中心に位置決めされる。
このとき、供給通路100から加圧室121に吸入される燃料は、図3の矢印B,Aに示すように流れる。矢印Bの流れは、ダンパ室201側から弁ボディ31の流通口32を通り、内流路33内でテーパ部63の外壁に沿って燃料の流れる方向を速やかに変え、吸入弁40と弁座34との隙間から加圧室121側へ流れる。これにより、内流路33内で乱流、剥離を生じることが抑制され、燃料の圧力損失が低減されるので、燃料の吸入効率が向上する。
吸入行程では、プランジャ13の下降により、可変容積室122の容積が減少する。したがって、可変容積室122の燃料は、筒状通路106、環状通路107及び戻し通路108を経由し、ダンパ室201へ送り出される。
ここで、大径部133と可変容積室122の断面積比は概ね1:0.6である。したがって、加圧室121の容積の増加分と可変容積室122の容積の減少分の比も1:0.6となる。よって、加圧室121が吸入する燃料の約60%が可変容積室122から供給され、残りの約40%が燃料入口から吸入される。これにより、加圧室121への燃料の吸入効率が向上する。
(2)調量行程
カムシャフトの回転により、プランジャ13が下死点から上死点に向かって上昇すると、加圧室121の容積が減少する。このとき、所定の時期まではコイル73への通電が停止されているので、第2スプリング22の付勢力によりニードル60と吸入弁40は開弁位置にある。これにより、供給通路100は開放された状態が維持される。このため、一度加圧室121に吸入された低圧燃料が、供給通路100を経由し、ダンパ室201へ戻される。したがって、加圧室121の圧力は上昇しない。
このとき、加圧室121から供給通路100へ排出される燃料は、図3の矢印A,Bに示すように流れる。矢印Aの流れは、絞り流路104を流れるとき、ストッパ50の背面テーパ部55に沿って流れるので、圧力損失が低減され、そして絞り流路104の流路断面積が小さくなることで流速が速くなる。これにより、絞り流路104から外流路105を流れる燃料の流速が速くなり、燃料圧力が低下する。このため、収容室52の燃料が連通路53から吸い上げられ、収容室52の燃料圧力が低下する。また、吸入弁40は、弁座34の中心に位置決めされ、ストッパ50の切欠部51よりも径方向内側に位置しているので、燃料の動圧を受けることが低減される。したがって、吸入弁40の自閉が抑制される。
矢印Bの流れは、弁ボディ31の内流路33内で、テーパ部63の外壁に沿って燃料の流れる方向を速やかに変え、流通口32からダンパ室201側へ流れる。これにより、内流路33内で乱流、剥離を生じることが抑制され、燃料の圧力損失が低減される。このため、矢印Aの流れの燃料圧力がさらに低下し、これに伴って収容室52の燃料圧力が低下する。したがって、吸入弁40の自閉が抑制される。
調量行程では、プランジャ13の上昇により、可変容積室122の容積が増大する。したがって、ダンパ室201の燃料は、戻し通路108、環状通路107及び筒状通路106を経由し、可変容積室122へ流入する。
このとき、加圧室121がダンパ室201側へ排出する低圧燃料の容積の約60%が、ダンパ室201から可変容積室122に吸入される。これにより、燃圧脈動の約60%が低減される。
(3)加圧行程
プランジャ13が下死点から上死点に向かって上昇する途中の所定の時刻に、コイル73へ通電される。するとコイル73に発生する磁界により、固定コア80と可動コア81との間に磁気吸引力が発生する。この磁気吸引力が第2スプリング22の弾性力と第1スプリング21の弾性力との差よりも大きくなると、可動コア81とニードル60は固定コア80側(図1の左方向)へ移動する。これにより、吸入弁40に対するニードル60の押圧力が解除される。吸入弁40は、第1スプリング21の弾性力、及び加圧室121からダンパ室201側へ排出される低圧燃料の流れによって生ずる力により、弁座34側へ移動する。したがって、吸入弁40は弁座34に着座し、供給通路100が閉塞される。
このとき、吸入弁40の開弁状態において、ガイド部41は、収容室52の径方向内側に位置している。このため、吸入弁40の径方向の移動が制限され、吸入弁40が弁座34から脱落することが防がれる。
吸入弁40が弁座34に着座した時から、加圧室121の燃料圧力は、プランジャ13の上死点に向かう上昇と共に高くなる。加圧室121の燃料圧力が吐出弁92に作用する力が、吐出通路114の燃料圧力が吐出弁92に作用する力およびスプリング94の付勢力よりも大きくなると、吐出弁92が開弁する。これにより、加圧室121で加圧された高圧燃料は吐出通路114を経由して燃料出口91から吐出する。
なお、加圧行程の途中でコイル73への通電が停止される。加圧室121の燃料圧力が吸入弁40に作用する力は、第2スプリング22の付勢力より大きいので、吸入弁40は閉弁状態を維持する。
高圧ポンプ10は、(1)から(3)の行程を繰り返し、内燃機関に必要な量の燃料を加圧して吐出する。
コイル73へ通電するタイミングを早くすれば、調量行程の時間が短くなると共に、加圧行程の時間が長くなる。これにより、加圧室121から供給通路100へ戻される燃料が少なくなり、吐出通路114から吐出される燃料が多くなる。
一方、コイル73へ通電するタイミングを遅くすれば、調量行程の時間が長くなると共に、吐出行程の時間が短くなる。これにより、加圧室121から供給通路100へ戻される燃料が多くなり、吐出通路114から吐出される燃料が少なくなる。
このように、コイル73へ通電するタイミングを制御することで、高圧ポンプ10から吐出される燃料の量を内燃機関が必要とする量に制御することができる。
本実施形態のテーパ部63のテーパ角度θと吸入弁40の自閉弁力との関係を図4に示す。
図4では、テーパ部63の吸入弁40側の位置をニードル60の吸入弁40側の端部とフランジ部61との間で変えた場合、高圧ポンプ10の調量行程における吸入弁40の自閉弁力の大きさを示している。
テーパ部63の吸入弁40側がニードル60の吸入弁40側の端部に位置するとき、テーパ部63のテーパ角度θは15°である。一方、テーパ部63の吸入弁40側がフランジ部61近傍に位置するとき、テーパ部63のテーパ角度θは90°になる。
解析の結果、テーパ角度θが90°の場合、ストッパ50の収容室52の流体圧力は877kPaとなり、この収容室52の流体圧力による吸入弁40の自閉弁力は22.1Nとなった。
また、テーパ部63のテーパ角度θが30°の場合、ストッパ50の収容室52の流体圧力は746kPaとなり、この収容室52の流体圧力による吸入弁40の自閉弁力は20.2Nとなった。
この結果、テーパ部63のテーパ角度θが好ましくは、30°以下、15°以上の場合、弁ボディ31の内流路33を流れる燃料の圧力損失が確実に低減されることで、供給通路100を燃料が流れ易くなる。これにより、収容室52の燃料圧力が低下し、吸入弁40の自閉弁力が低下することが明らかとなった。
本実施形態は、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、高圧ポンプ10の調量行程において、加圧室121から供給通路100に排出された燃料は、弁ボディ31の内流路33でテーパ部63の外壁に沿って流れることで、燃料の流れる方向が速やかに変わり、流通口32からダンパ室201側へ流れる。このため、内流路33内で燃料流れの乱流、剥離などが生じることが抑制され、供給通路100を流れる燃料の圧力損失が低減される。したがって、プランジャ13の駆動力を低減することができる。
また、供給通路100を流れる燃料の圧力損失が低減されると、外流路105の燃料圧力の低下に伴って、収容室52の燃料圧力が低下する。これにより、吸入弁40の自閉弁力が低下するので、吸入弁40の自閉限界を高めることができる。したがって、電磁駆動部70の第2スプリング22の付勢力を低減すると共に、固定コア80と可動コア81との磁気吸引力を低減することが可能になる。この結果、電磁駆動部70の体格を小型化すると共に、作動音を低減することができる。
さらに本実施形態では、高圧ポンプ10の吸入行程において、弁ボディ31の外側の通路から内流路33へ流れる燃料の圧力損失が低減される。したがって、プランジャ13の駆動力を低減すると共に、供給通路100から加圧室121への燃料の吸入効率を高めることができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による高圧ポンプを図5及び図6に示す。以下、複数の実施形態において、上述した第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、ニードル60とテーパ部64とが別体で構成されている。テーパ部64は、例えば樹脂など、ニードル60の比重以下の材料から形成される。テーパ部64は、ニードル60の吸入弁40側の端部から挿入され、ニードル60に例えば圧入または溶接などにより固定されている。
本実施形態では、単一の材料からテーパ部64とニードル60を一体で形成することに比べ、テーパ部64とニードル60を容易に形成することができる。
また、本実施形態では、テーパ部64とニードル60との総重量を軽量化することが可能になる。したがって、電磁駆動部のコイル73への通電に対するニードル60の応答性を高めることができる。
(第3、第4実施形態)
本発明の第3実施形態による高圧ポンプを図7に示す。第3実施形態では、テーパ部65の径方向の外壁が、径外方向に凸状の曲面に形成されている。
本発明の第4実施形態による高圧ポンプを図8に示す。第4本実施形態では、テーパ部66の径方向の外壁が、径内方向に凹状の曲面に形成されている。
第3、第4実施形態において、内流路33内の燃料の圧力損失を低減することが可能であるので、上述した第1、第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態による高圧ポンプを図9に示す。第5実施形態では、弁ボディ31の弁座34と反対側の端面36とガイド部材75の弁ボディ31側の端面751とが当接していない。弁ボディ31とガイド部材75との間に供給通路100が形成されている。供給通路100は、弁ボディ31とガイド部材75との間で、流路の方向を略垂直に変える。
また、ニードル60のフランジ部61の外径は、テーパ部63のフランジ部61側の外径より大きく形成されている。フランジ部61は、ガイド部材75に形成された凹部752に収容されている。この凹部752の径内方向の内壁に第2ストッパ59が設けられている。フランジ部61と第2ストッパ59とが当接することで、ニードル60は開弁方向の移動を制限される。このため、吸入弁40は、開弁時においてストッパ50と必ずしも当接していない。ストッパ50は、吸入弁40の加圧室121側の流路を形成する手段として機能する。つまり、吸入弁40とストッパ50との間に隙間があっても吸入弁40の自閉弁力を低減することは可能である。
(他の実施形態)
上述した実施形態では、コイル73に通電していないとき、可動コア81が吸入弁40を開弁するノーマリーオープン弁について説明した。これに対し、本発明は、コイルに通電していないとき、可動コアが吸入弁を閉弁するノーマリークローズ弁に適用してもよい。
上述した実施形態では、供給通路100内に弁ボディ31を設け、この弁ボディ31に弁座34を形成した。これに対し、本発明は、ポンプボディと弁ボディとを一体に構成してもよい。また、供給通路の内壁に弁座を直接形成してもよい。
上述した実施形態では、吸入弁40とニードル60とを別体で構成した。これに対し、本発明は、吸入弁とニードルとを一体で構成してもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
10 ・・・高圧ポンプ
11 ・・・ポンプボディ
13 ・・・プランジャ
22 ・・・第1スプリング(付勢手段)
31 ・・・弁ボディ
32 ・・・流通口
33 ・・・内流路
34 ・・・弁座
40 ・・・吸入弁
50 ・・・ストッパ
53 ・・・連通路
60 ・・・ニードル
63、64、65、66・・・テーパ部
70 ・・・電磁駆動部
75 ・・・ガイド部材
79 ・・・ガイド孔
100 ・・・供給通路
105 ・・・外流路
121 ・・・加圧室

Claims (6)

  1. 往復移動可能なプランジャと、
    前記プランジャにより燃料が加圧される加圧室、およびこの加圧室に燃料を導く供給通路を有するポンプボディと、
    前記供給通路内に形成される弁座に着座することで前記供給通路を閉塞し、前記弁座から離座することで前記供給通路を開放する吸入弁と、
    前記吸入弁の前記加圧室側に設けられるストッパと、
    前記ストッパの前記吸入弁側に設けられた収容室に収容され、前記吸入弁を前記弁座側に付勢する付勢手段と、
    前記吸入弁を前記ストッパ側または前記弁座側に押圧し、または前記吸入弁に与える押圧力を制御可能な電磁駆動部と、
    前記電磁駆動部と前記吸入弁との間に設けられ、前記電磁駆動部の押圧力を前記吸入弁に伝達するニードルと、
    前記供給通路に形成された前記弁座の前記吸入弁と反対側に配置され、前記ニードルを挿通するガイド孔を有するガイド部材と、
    前記ガイド部材の前記加圧室側の前記供給通路内で、前記ニードルの径方向外側に設けられ、前記ガイド部材側の外径よりも前記吸入弁側の外径が小さいテーパ部と、を備えることを特徴とする高圧ポンプ。
  2. 前記供給通路に設けられる筒状の弁ボディを備え、
    前記弁ボディは、径内側に形成される内流路と弁ボディの外側の前記供給通路とを通じる流通口を有し、
    前記テーパ部は、前記弁ボディの前記流通口の径内方向に位置することを特徴とする請求項1に記載の高圧ポンプ。
  3. 前記ストッパは、このストッパの径外方向の外壁と前記供給通路の内壁との間に形成される外流路と、前記収容室とを連通する連通路を有することを特徴とする請求項1または2に記載の高圧ポンプ。
  4. 前記テーパ部は、母線と前記ニードルの軸線とのテーパ角度が15°以上、30°以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
  5. 前記テーパ部と前記ニードルとは、別部材から構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
  6. 前記テーパ部の比重は、前記ニードルの比重以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
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