JP2007301693A - Mems素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極部が配置された梁部の引っ張り応力を緩和でき、かつ電極部の引き剥がし力を増大できるMEMS素子を提供する。
【解決手段】第1の固定端11に第1の圧電型アクチュエータ13−1の一端が接続され、第2の固定端12に第2の圧電型アクチュエータ13−2の一端が接続されている。圧電型アクチュエータ13−1と圧電型アクチュエータ13−2との間に、これら圧電型アクチュエータ13−1,13−2により可動される電極部14が配置されている。電極部14から圧電型アクチュエータ13−1を介して第1の固定端11に至る形状と、電極部14から圧電型アクチュエータ13−2を介して第2の固定端12に至る形状とが非対称に形成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、アクチュエータを利用したマイクロマシンもしくはMEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)素子に関するものであり、例えば圧電型や静電型アクチュエータを利用したMEMS素子に関するものである。
圧電型アクチュエータを利用したMEMS素子にてスイッチ、可変容量素子を形成する場合、残留応力による反りを低減するために、電極部が配置された梁部(弾性部材)の両端を2つの固定端にて支えた両もち梁構造(ブリッジ構造)にすることが望ましい。両もち梁構造による可変容量素子において、梁に引っ張り性(tensile)の残留応力が存在する場合、圧電変位量が減少するという問題が生じる。これを回避するには、梁部の一部をばね構造(フレクスチャ(flexure)構造)にすることが有効である。
しかし、非特許文献1に記載されているように、可変容量部の電極部の両側に対称にばね構造部を設けると、電極部が接触した状態から、電極部を引き剥がす力(restoring force)が弱くなり、スティクションによる不良を起こしやすい。
ばね構造部を設けても十分な引き剥がし力を確保するには、例えば非特許文献2に記載されているように、電極部の上部にさらに固定電極を設ければよい。しかしながら、このような構造では、2重の空洞を形成する必要があるうえに、固定電極を厚くしなければならないため、プロセスが複雑化し、コストが増大するという問題がある。
K. F. Harsh et al., "The realization and design considerations of a flip-chip integrated MEMS tunable capacitor", Sensors and Actuators 80 (2000) 108-118. D. Peroulis et al., "Electromechanical Considerations in Developing Low-Voltage RF MEMS Switches", IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES, VOL. 51, NO. 1, JANUARY 2003.
この発明は、電極部が配置された梁部の引っ張り応力を緩和でき、かつ電極部の引き剥がし力を増大できるMEMS素子を提供することを目的とする。
この発明の第1の実施態様のMEMS素子は、第1の固定端に一端が接続された第1のアクチュエータと、第2の固定端に一端が接続された第2のアクチュエータと、前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとの間に配置され、前記第1,第2のアクチュエータにより可動される電極とを具備し、前記電極から第1のアクチュエータを介して前記第1の固定端に至る形状と、前記電極から第2のアクチュエータを介して前記第2の固定端に至る形状とが非対称であることを特徴とする。
この発明の第2の実施態様のMEMS素子は、基板上に形成された第1の固定端と、前記第1の固定端から離隔して前記基板上に形成された第2の固定端と、前記第1の固定端に一端が接続された第1のアクチュエータと、前記第2の固定端に一端が接続された第2のアクチュエータと、前記第1のアクチュエータの他端と前記第2のアクチュエータの他端との間に介在して形成された電極と、前記第1の固定端と前記電極の間、及び前記第2の固定端と前記電極の間の一方側のみに設けられたばね構造部とを具備することを特徴とする。
この発明の第3の実施態様のMEMS素子は、基板上に形成された第1の固定端と、前記第1の固定端から離隔して前記基板上に形成された第2の固定端と、前記基板との間に空洞が形成されるように、前記第1の固定端に一端が固定され、前記第2の固定端に他端が固定された梁部と、前記梁部の前記基板と対向する面上に形成された電極と、前記第1の固定端と前記電極との間の前記梁部中に形成された第1のアクチュエータと、前記第2の固定端と前記電極との間の前記梁部中に形成された第2のアクチュエータと、前記電極と前記第2のアクチュエータとの間の前記梁部中に配置されたばね構造部とを具備し、前記梁部における、前記第1のアクチュエータと前記電極との間のばね定数と、前記第2のアクチュエータと前記電極との間のばね定数とが異なることを特徴とする。
この発明によれば、電極部が配置された梁部の引っ張り応力を緩和でき、かつ電極部の引き剥がし力を増大できるMEMS素子を提供することが可能である。
以下、図面を参照してこの発明の実施形態について説明する。説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
[第1実施形態]
まず、この発明の第1実施形態のMEMS素子について説明する。
図1は、第1実施形態のMEMS素子の構成を示す斜視図である。
このMEMS素子は、第1の固定端11と第2の固定端12とに梁部が支えられた両もち梁構造を有している。図1に示すように、第1の固定端11には、第1の圧電型アクチュエータ13−1の一端が接続され、第2の固定端12には、第2の圧電型アクチュエータ13−2の一端が接続されている。第1の圧電アクチュエータ13−1の他端には、電極部14の一端が接続されている。この電極部14の他端は、ばね構造部(フレクスチャ(flexure)構造部)15−1,15−2を介して第2の圧電アクチュエータ13−2の他端に接続されている。このように、第1実施形態のMEMS素子は、電極部14の両側に配置された、電極部14から第1の固定端11までの構造と、電極部14から第2の固定端12までの構造とが非対称になっている。言い換えると、電極部14から第1の固定端11に至るまでの形状と、電極部14から第2の固定端12に至るまでの形状とが異なっている。
以下に、図1に示した構造を有するMEMS素子の効果について、図3(a)に示すような電極部の両側に配置された構造が対称であるMEMS素子と対比して説明する。
図3(a)は、電極部から第1の固定端までの構造と、電極部から第2の固定端までの構造とが対称に形成されたMEMS素子の斜視図である。電極部14の両端には、それぞればね構造部15−1,15−2を介して圧電アクチュエータ13−1,13−2が配置されている。
図2(a)は第1実施形態のMEMS素子を示し、図2(b)はこの図2(a)に対応する第1、第2の固定端間のばね定数を示す図である。図3(b)は、図3(a)に対応する第1、第2の固定端間のばね定数を示す図である。
図2(b)、図3(b)からわかるように、第1、第2の固定端間11、12のばね定数はどちらも、すなわちばね構造部が非対称または対称に配置されたいずれの場合も、K=kK/(2k+2K)で変わらない。なお、第1、第2の圧電アクチュエータ13−1,13−2のばね定数をそれぞれK、ばね構造部15−1,15−2のばね定数をそれぞれkとしている。したがって、両もち梁構造を有するMEMS素子において、引っ張り応力を緩和するためにばね構造部を配置する効果は、ばね構造部の挿入位置に依存しないことがわかる。このため、第1実施形態のように、電極部の一方側のみにばね構造部を設けても、電極部の両側にばね構造部を設けた場合と同等に引っ張り応力を緩和する効果がある。この効果は、図4に示す、電極部の最大変位量の温度依存性を表したシミュレーション結果からも確認できる。図4は、第1実施形態のMEMS素子において、第1、第2の圧電アクチュエータに換えて熱型アクチュエータを用いた場合を示している。ばね構造部が非対称なものは、対称なものより、電極部の最大変位量が大きくなっている。これは、ばね構造部が非対称なものの引っ張り応力が対称なものの引っ張り応力より小さいこと、すなわちばね構造部が非対称なものは対称なもの以上に引っ張り応力が緩和されていることを表している。なお、ここでは、第1、第2の圧電アクチュエータに換えて熱型アクチュエータを用いた場合のシミュレーション結果を述べたが、圧電型、または静電型、電磁型、これらを合わせたハイブリッド型などのアクチュエータにおいても同様の結果が得られる。
また、図5(a)は第1実施形態のMEMS素子を示し、図5(b)はこの図5(a)に対応する第1、第2の固定端間のばね定数を電極部から見た図である。図6(a)は図3(a)と同様のばね構造部が対称に配置されたMEMS素子を示し、図6(b)はこの図6(a)に対応する第1、第2の固定端間のばね定数を電極部から見た図である。
K≫kのとき、第1実施形態における、ばね構造部15−1,15−2が非対称に配置された第1、第2の固定端11,12間の電極部14から見たばね定数は、図5(b)からわかるように、K=K+k/(2+k/K)=O(K)である。また図6(a)に示した、ばね構造部15−1,15−2が対称に配置された第1、第2の固定端11,12間のばね定数は、図6(b)からわかるように、K′=2k/(1+k/K)=O(k)である。なおここでも同様に、第1、第2の圧電アクチュエータ13−1,13−2のばね定数をそれぞれK、ばね構造部15−1,15−2のばね定数をそれぞれkとしている。したがって、電極部から見たばね定数は、ばね構造部が対称に配置されている場合より、非対称に配置されている場合のほうが大きい。このため、ばね構造部が非対称に配置されたMEMS素子のほうが上部電極を引き剥がす力が強くなる。すなわち、電極部に作用する引き剥がし力は、電極部の一方側のみにばね構造部を設けたMEMS素子のほうが、電極部の両側に対称にばね構造部を設けたものより大きくなる。この効果は、図7に示す、電極部に力を加えたときの変位量のシミュレーション結果からも確認できる。図7は、第1実施形態のMEMS素子において、第1、第2の圧電アクチュエータに換えて熱型アクチュエータを用いた場合を示している。ばね構造部が非対称なものは、対称なものより、電極部の変位量が小さくなっている。これは、ばね構造部が非対称なものの引き剥がし力が対称なものの引き剥がし力より大きいこと、すなわちばね構造部が非対称なものは対称なものより、上部電極を引き剥がす力が強いことを表している。なお、ここでも、第1、第2の圧電アクチュエータに換えて熱型アクチュエータを用いた場合のシミュレーション結果を述べたが、圧電型、または静電型、電磁型、これらを合わせたハイブリッド型などのアクチュエータにおいても同様の結果が得られる。
[第2実施形態]
次に、この発明の第2実施形態のMEMS素子について説明する。この第2実施形態では、圧電型アクチュエータと静電型アクチュエータを有するMEMS素子を用いた可変容量素子について述べる。
図8は、第2実施形態のMEMS素子を用いた可変容量素子の平面図であり、図9は図8における9−9線に沿った断面図である。
このMEMS素子を用いた可変容量素子は、可変容量部21、静電型アクチュエータ部22−1,22−2、圧電型アクチュエータ部23−1,23−2、及びばね構造部15を含んでいる。半導体基板10上にはアンカー24−1,24−2が離隔して配置され、これらアンカー24−1,24−2に梁部としての弾性部材16の両端が固定されている。圧電型アクチュエータ部23−1、静電型アクチュエータ部22−1、可変容量部21、ばね構造部15、静電型アクチュエータ部22−2、及び圧電型アクチュエータ部23−2は、半導体基板10上のアンカー24−1,24−2に弾性部材16の両端が固定された構造体中に、一方向に沿って直線状に配置されている。半導体基板10と弾性部材16との間には空洞25が形成されており、圧電型アクチュエータ部23−1,23−2と静電型アクチュエータ部22−1,22−2とを駆動することによって、弾性部材16の中央部が半導体基板10に近づくように変形する。
可変容量部21は、弾性部材16中に形成された上部電極31と、半導体基板10上に形成された下部電極32、33とを備えている。上部電極31はフローティングとなっており、アクチュエータ部22−1,22−2,23−1,23−2で駆動されることにより上部電極31と下部電極32、33間の距離が変化する。可変容量部21の上部電極31がアクチュエータ部22−1,22−2,23−1,23−2により下部電極側に下げられると、この上部電極31が下部電極32,33に近づく。これにより、下部電極32,33が容量結合する。上部電極31が上がっている状態では、上部電極31と絶縁膜44との間に約1.5μmの隙間ができる。従って、この状態では下部電極32,33の間の容量は無視できるほど小さくなる。このように、上部電極31を上下動することにより、下部電極32,33間の容量値が2値的に変化するデジタル可変容量を形成できる。
次に、可変容量部21の電極間距離を制御するハイブリッド型のアクチュエータと、ばね構造部15について説明する。ハイブリッド型のアクチュエータは、静電型アクチュエータ部22−1,22−2と、圧電型アクチュエータ部23−1,23−2を有している。
静電型アクチュエータ部22−1は、可変容量部21の一端側に配置されており、上部電極34−1と下部電極35−1とで構成されている。静電型アクチュエータ部22−2は、可変容量部21の他端側にばね構造部15を介して配置されており、上部電極34−2と下部電極35−2とで構成されている。
これら静電型アクチュエータ部22−1,22−2と両端のアンカー24−1,24−2との間には、それぞれ圧電型アクチュエータ部23−1,23−2が設けられている。圧電型アクチュエータ部23−1,23−2は、圧電膜36−1,36−2、及びこれら圧電膜36−1,36−2をそれぞれ挟むように配置された圧電駆動用の上部電極37−1,37−2と下部電極38−1,38−2とを有している。圧電膜36−1,36−2の材料としては、例えばAlN,PZTなどを使用する。
可変容量部21の上部電極31、静電型アクチュエータ部22−1,22−2の上部電極34−1,34−2、及び圧電型アクチュエータ部23−1,23−2の上部電極37−1,37−2上には、絶縁膜41が形成されている。圧電アクチュエータ部23−1,23−2の下部電極38−1,38−2下には、絶縁膜42が形成されている。また、半導体基板10上には絶縁膜43が形成され、この絶縁膜43上には可変容量部21の下部電極32,33及び静電型アクチュエータ部22−1,22−2の下部電極35−1,35−2が形成されている。これら下部電極32,33,35−1,35−2上、及び絶縁膜43上には、絶縁膜44が形成されている。なお、図8に示した上部電極31及び上部電極34−1,34−2にマトリクス状に形成された穴17は、空洞25を形成するためのエッチング工程において、エッチングの進行を均一化するためのものであるが、空気抵抗の削減にも寄与し、高速スイッチングが可能になる。もちろん、この穴17を設けることは必須ではなく、穴17を設けない場合でもこの実施形態の本質的な効果に変わりはない。
前記のような構成において、圧電型アクチュエータ部23−1,23−2における上部電極37−1,37−2と下部電極38−1,38−2との間に電位差をかけると、圧電膜36−1,36−2が変位して、弾性部材16の他端が下方に変位する。この圧電型アクチュエータ部23−1,23−2には、ユニモルフ型とバイモルフ型のいずれも用いることができる。圧電型アクチュエータ部23−1,23−2の上部電極37−1,37−2と下部電極38−1,38−2との間に第1の電位差をかけて上部電極31,34−1,34−2を下方に変位させたとき、上部電極34−1,34−2と下部電極35−1,35−2とが近づく。次いで、この状態で、上部電極34−1,34−2と下部電極35−1,35−2との間に第2の電位差を印加する。この第2の電位差は前記第1の電位差と同じでも良く、あるいは第1の電位差よりも小さくても大きくても良い。これによって、可変容量部21の上部電極31がさらに下方に変位し、上部電極31と下部電極32,33間の距離が小さくなり可変容量部21の容量値が2値的に変化する。
また、可変容量部21の上部電極31を上方に変位させて戻すには、静電型アクチュエータ部22−1,22−2の電位差をなくした後、もしくはそれと同時に圧電型アクチュエータ部23−1,23−2の電位差をなくせば良い。
前述した構成では、可変容量部21と静電型アクチュエータ部22−2との間にばね構造部15が配置されているため、すなわち上部電極31と上部電極34−2との間にばね構造部15が配置されているため、アンカー24−1,24−2間の弾性部材16の引っ張り応力を緩和できる。これにより、可変容量部21の上部電極31の変位量を増加させることができるため、上部電極31を下方に変位させるのに必要な力を減らすことができる。
また、可変容量部21の一方側の可変容量部21と静電型アクチュエータ部22−2との間にだけばね構造部15が配置されているため、絶縁膜44に上部電極31が接触した状態から上部電極31を引き剥がす力は、上部電極31の両側にばね構造部が配置されている場合に比べて大きい。
以上説明したようにこの第2実施形態によれば、可変容量部21の一方側の可変容量部21と静電型アクチュエータ部22−2との間にだけばね構造部15を配置することにより、アンカー間の引っ張り応力を緩和でき、上部電極31の変位量を増大し、上部電極31を下方に変位させるのに必要な力を減らすことができる。これと共に、上部電極31が絶縁膜44に接触した状態において、上部電極31に作用する引き剥がし力を向上させることができる。
なおここでは、可変容量部の上部電極の一方側だけにばね構造部を配置した例を説明したが、可変容量部の上部電極の両側にばね構造部を配置し、一方側のばね構造部が持つばね定数を、他方側のばね構造部が持つばね定数と異なる値に設定しても、同様の効果を得ることができる。
[第3実施形態]
次に、この発明の第3実施形態のMEMS素子について説明する。前記第2実施形態における構成と同様の部分には同じ符号を付してその説明は省略する。この第3実施形態では、圧電型アクチュエータを有するMEMS素子を用いた可変容量素子について述べる。
図10は、第3実施形態のMEMS素子を用いた可変容量素子の平面図であり、図11は図10における11−11線に沿った断面図である。
このMEMS素子を用いた可変容量素子は、可変容量部21、圧電型アクチュエータ部23−1,23−2、及びばね構造部15を含んでいる。第3実施形態では、圧電型アクチュエータ部23−1,23−2を駆動することによって、上部電極31と下部電極32、33間の距離を変化させる。これにより、下部電極32,33間の容量値が2値的に変化するデジタル可変容量を形成できる。
次に、可変容量部21の電極間距離を制御する圧電型アクチュエータとばね構造部15について説明する。圧電型アクチュエータ部23−1は、可変容量部21の一端側に配置されている。圧電型アクチュエータ部23−2は、可変容量部21の他端側にばね構造部15を介して配置されている。これら圧電型アクチュエータ部23−1,23−2は、さらにアンカー24−1,24−2にそれぞれ接続されている。
可変容量部21の上部電極31及び圧電型アクチュエータ部23−1,23−2の上部電極37−1,37−2上には、絶縁膜41が形成されている。圧電アクチュエータ部23−1,23−2の下部電極38−1,38−2下には、絶縁膜42が形成されている。また、半導体基板10上には絶縁膜43が形成され、この絶縁膜43上には可変容量部21の下部電極32,33が形成されている。これら下部電極32,33及び絶縁膜43上には、絶縁膜44が形成されている。
前記のような構成において、圧電型アクチュエータ部23−1,23−2における上部電極37−1,37−2と下部電極38−1,38−2との間に電位差をかけると、圧電膜36−1,36−2が変位して、梁部が下方に変位する。これによって、可変容量部21の上部電極31が下部電極32,33側に変位し、上部電極31と下部電極32,33間の距離が小さくなり可変容量部21の容量値が2値的に変化する。また、可変容量部21の上部電極31を上方に変位させて戻すには、圧電型アクチュエータ部23−1,23−2の電位差をなくせば良い。
前述した構成では、可変容量部21と圧電型アクチュエータ部23−2との間に、ばね構造部15が配置されているため、アンカー24−1,24−2間の梁部の引っ張り応力を緩和できる。これにより、可変容量部21の上部電極31の変位量を増加させることができるため、上部電極31を下方に変位させるのに必要な力を減らすことができる。
また、可変容量部21の一方側の可変容量部21と圧電型アクチュエータ部23−2との間にだけばね構造部15が配置されているため、下部電極32,33上の絶縁膜44から上部電極31を引き剥がす力は、上部電極31の両側にばね構造部が配置されている場合に比べて大きい。その他の構成及び効果については、前記第2実施形態と同様である。
[第4実施形態]
次に、この発明の第4実施形態のMEMS素子について説明する。前記第2実施形態における構成と同様の部分には同じ符号を付してその説明は省略する。この第4実施形態では、静電型アクチュエータを有するMEMS素子を用いた可変容量素子について述べる。
図12は、第4実施形態のMEMS素子を用いた可変容量素子の平面図であり、図13は図12における13−13線に沿った断面図である。
このMEMS素子を用いた可変容量素子は、可変容量部21、静電型アクチュエータ部22−1,22−2、及びばね構造部15を含んでいる。第4実施形態では、静電型アクチュエータ部22−1,22−2を駆動することによって、上部電極31と下部電極32、33間の距離を変化させる。これにより、下部電極32,33間の容量値が2値的に変化するデジタル可変容量を形成できる。
次に、可変容量部21の電極間距離を制御する静電型アクチュエータとばね構造部15について説明する。静電型アクチュエータ部22−1は、可変容量部21の一端側に配置されている。静電型アクチュエータ部22−2は、可変容量部21の他端側にばね構造部15を介して配置されている。これら静電型アクチュエータ部22−1,22−2は、さらにアンカー24−1,24−2にそれぞれ接続されている。
可変容量部21の上部電極31及び静電型アクチュエータ部22−1,22−2の上部電極34−1,34−2上には、絶縁膜41が形成されている。また、半導体基板10上には絶縁膜43が形成され、この絶縁膜43上には可変容量部21の下部電極32,33、及び静電型アクチュエータ部22−1,22−2の下部電極35−1,35−2が形成されている。これら下部電極32,33、下部電極35−1,35−2、及び絶縁膜43上には、絶縁膜44が形成されている。
前記のような構成において、静電型アクチュエータ部22−1,22−2における上部電極34−1,34−2と下部電極35−1,35−2との間に電位差をかけると、弾性部材16の中央部が下方に移動する。これによって、可変容量部21の上部電極31が下部電極32,33側に変位し、上部電極31と下部電極32,33間の距離が小さくなり可変容量部21の容量値が2値的に変化する。また、可変容量部21の上部電極31を上方に変位させて戻すには、静電型アクチュエータ部22−1,22−2の電位差をなくせば良い。
前述した構成では、可変容量部21と静電型アクチュエータ部22−2との間に、ばね構造部15が配置されているため、アンカー24−1,24−2間の弾性部材16の引っ張り応力を緩和できる。これにより、可変容量部21の上部電極31の変位量を増加させることができるため、上部電極31を下方に変位させるのに必要な力を減らすことができる。
また、可変容量部21の一方側の可変容量部21と圧電型アクチュエータ部23−2との間にだけばね構造部15が配置されているため、下部電極32,33上の絶縁膜44から上部電極31を引き剥がす力は、上部電極31の両側にばね構造部が配置されている場合に比べて大きい。その他の構成及び効果については、前記第2実施形態と同様である。
[第5実施形態]
次に、この発明の第5実施形態のMEMS素子について説明する。前記第2実施形態における構成と同様の部分には同じ符号を付してその説明は省略する。この第5実施形態では、静電型アクチュエータを有するMEMS素子を用いたキャパシティブスイッチについて述べる。
図14は、第5実施形態のMEMS素子を用いたキャパシティブスイッチの平面図であり、図15は図14における15S−15S線に沿った断面図である。
このMEMS素子を用いたキャパシティブスイッチは、スイッチ部51及びばね構造部15を含んでいる。半導体基板10上には絶縁膜52が形成され、この絶縁膜52上にはスイッチ部51の下部電極53が形成されている。さらに、下部電極53及び絶縁膜52上には、下部電極53を覆うように、絶縁膜54が形成されている。
さらに、半導体基板10上には絶縁膜55−1,55−2が離隔して配置されている。これら絶縁膜55−1,55−2には上部電極56の両端が固定されており、半導体基板10と上部電極56との間には空洞25が形成されている。
スイッチ部51は、上部電極56と、下部電極53と、この下部電極53上の絶縁膜54とから構成されている。スイッチ部51を構成する上部電極56と、絶縁膜55−2上の上部電極56との間には、ばね構造部15が配置されている。上部電極56には接地電圧が供給され、下部電極53には信号電圧が供給される。このように構成されたキャパシティブスイッチでは、上部電極56が上下動することにより、下部電極53と上部電極56間の距離が変化する。これにより、下部電極53と上部電極56間の容量値が変化する。
前述した構成では、スイッチ部51を構成する上部電極56と絶縁膜55−2上の上部電極56との間にばね構造部15が配置されているため、絶縁膜55−1と絶縁膜55−2間の上部電極56の引っ張り応力を緩和できる。これにより、上部電極56の変位量を増加させることができるため、上部電極56を下方に変位させるのに必要な力を低減することができる。
また、スイッチ部51を基準として、一方側のスイッチ部51と絶縁膜55−2との間にだけばね構造部15が配置されているため、絶縁膜54に上部電極56が接触した状態から上部電極56を引き剥がす力は、スイッチ部51の両側にばね構造部が配置されている場合に比べて大きい。
以上説明したようにこの第5実施形態によれば、スイッチ部51の一方側のスイッチ部51と絶縁膜55−2との間にだけばね構造部15を配置することにより、絶縁膜55−1と55−2間における上部電極56の引っ張り応力を緩和でき、上部電極56の変位量を増大させ、上部電極56を下方に変位させるのに必要な力を減らすことができる。これと共に、上部電極56が絶縁膜54に接触した状態において、上部電極56に作用する引き剥がし力を向上させることができる。
なお、以上の各実施形態においては、MEMS素子を可変容量素子やキャパシティブスイッチに適用した例を示したが、その他、接触型スイッチなどにも適用可能である。
また、前述した各実施形態はそれぞれ、単独で実施できるばかりでなく、適宜組み合わせて実施することも可能である。さらに、前述した各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、各実施形態において開示した複数の構成要件の適宜な組み合わせにより、種々の段階の発明を抽出することも可能である。
この発明の第1実施形態のMEMS素子の構成を示す斜視図である。 (a)は第1実施形態のMEMS素子の斜視図であり、(b)はこの(a)に対応する第1、第2の固定端間のばね定数を示す図である。 (a)はばね構造部が対称に配置されたMEMS素子の斜視図であり、(b)はこの(a)に対応する第1、第2の固定端間のばね定数を示す図である。 第1実施形態のMEMS素子において第1、第2の圧電アクチュエータに換えて熱型アクチュエータを用いた場合の最大変位量の温度依存性を示す図である。 (a)は第1実施形態のMEMS素子の斜視図であり、(b)はこの(a)に対応する第1、第2の固定端間のばね定数を電極部から見た図である。 (a)はばね構造部が対称に配置されたMEMS素子の斜視図であり、(b)はこの(a)に対応する第1、第2の固定端間のばね定数を電極部から見た図である。 第1実施形態のMEMS素子において第1、第2の圧電アクチュエータに換えて熱型アクチュエータを用いた場合の変位量の力依存性を示す図である。 この発明の第2実施形態のMEMS素子を用いた可変容量素子の平面図である。 図8における9−9線に沿った断面図である。 この発明の第3実施形態のMEMS素子を用いた可変容量素子の平面図である。 図10における11−11線に沿った断面図である。 この発明の第4実施形態のMEMS素子を用いた可変容量素子の平面図である。 図12における13−13線に沿った断面図である。 この発明の第5実施形態のMEMS素子を用いたキャパシティブスイッチの平面図である。 図14における15−15線に沿った断面図である。
符号の説明
10…半導体基板、11…第1の固定端、12…第2の固定端、13−1…第1の圧電型アクチュエータ、13−2…第2の圧電型アクチュエータ、14…電極部、15,15−1,15−2…ばね構造部(フレクスチャ(flexure)構造部)、16…弾性部材、17… 、21…可変容量部、22−1,22−2…静電型アクチュエータ部、23−1,23−2…圧電型アクチュエータ部、24−1,24−2…アンカー、25…空洞、31,34−1,34−2,37−1,37−2…上部電極、32,33,35−1,35−2,38−1,38−2…下部電極、36−1,36−2…圧電膜、41,42,43,44…絶縁膜、51…スイッチ部、52,54…絶縁膜、53…下部電極、55−1,55−2…絶縁膜、56…上部電極。

Claims (5)

  1. 第1の固定端に一端が接続された第1のアクチュエータと、
    第2の固定端に一端が接続された第2のアクチュエータと、
    前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとの間に配置され、前記第1,第2のアクチュエータにより可動される電極とを具備し、
    前記電極から第1のアクチュエータを介して前記第1の固定端に至る形状と、前記電極から第2のアクチュエータを介して前記第2の固定端に至る形状とが非対称であることを特徴とするMEMS素子。
  2. 基板上に形成された第1の固定端と、
    前記第1の固定端から離隔して前記基板上に形成された第2の固定端と、
    前記第1の固定端に一端が接続された第1のアクチュエータと、
    前記第2の固定端に一端が接続された第2のアクチュエータと、
    前記第1のアクチュエータの他端と前記第2のアクチュエータの他端との間に介在して形成された電極と、
    前記第1の固定端と前記電極の間、及び前記第2の固定端と前記電極の間の一方側のみに設けられたばね構造部と、
    を具備することを特徴とするMEMS素子。
  3. 基板上に形成された第1の固定端と、
    前記第1の固定端から離隔して前記基板上に形成された第2の固定端と、
    前記基板との間に空洞が形成されるように、前記第1の固定端に一端が固定され、前記第2の固定端に他端が固定された梁部と、
    前記梁部の前記基板と対向する面上に形成された電極と、
    前記第1の固定端と前記電極との間の前記梁部中に形成された第1のアクチュエータと、
    前記第2の固定端と前記電極との間の前記梁部中に形成された第2のアクチュエータと、
    前記電極と前記第2のアクチュエータとの間の前記梁部中に配置されたばね構造部とを具備し、
    前記梁部における、前記第1のアクチュエータと前記電極との間のばね定数と、前記第2のアクチュエータと前記電極との間のばね定数とが異なることを特徴とするMEMS素子。
  4. 前記電極と前記第2のアクチュエータとの間に配置されたばね構造部をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のMEMS素子。
  5. 前記電極から前記第1の固定端までのばね定数と、前記電極から前記第2の固定端までのばね定数とが異なることを特徴とする請求項1、2、4のいずれか1つに記載のMEMS素子。
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