JP2007299474A - 光情報記録媒体及び光情報記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】DVD8倍速を超える高速でも記録が可能で、かつ、8倍速以下の低速でも良好な記録が可能な光情報記録媒体及び光情報記録方法を提供する。
【解決手段】光情報記録媒体6は、案内溝を有する透明基板1上に、少なくとも第一保護層2、記録層3、第二保護層4、反射層5が積層形成されている。記録層3は、少なくともSbを含有し、Sbを主成分とする材料の層を用いる。第二保護層4は、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫の中から選ばれる少なくとも1種類以上の材料を主成分とした層を使用し、かつ、後述する転移線速が特定の範囲にあるような媒体とすることにより、少なくとも12倍速までの高速記録特性を満足しつつ、8倍速以下の線速でも短マークによるエラーの発生を抑制して良好な記録を可能とすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、光情報記録媒体及び光情報記録方法に関し、特に、書き換え可能な相変化型光記録層を有する高密度記録用の光情報記録媒体及び光情報記録方法に関する。
近年、光情報記録媒体の高速記録の需要が高まっている。特にディスク状の光情報記録媒体(光ディスク)の場合、回転速度を高くすると記録・再生速度を上げることが可能なため、高速化が進んでいる。光ディスクの中でも記録時に照射する光の強度変調のみで記録が可能であるものは、その記録機構の単純さから、媒体と記録装置の低価格化が可能であると同時に、再生も強度変調された光を用いているため、再生専用装置との高い互換性が確保できることから普及が進み、近年の電子情報の大容量化により、更に高密度化・高速記録化の需要が高くなっている。
このような光ディスクのうち、結晶とアモルファスの相変化が可能な材料(相変化材料)を用いて多数回の書換えを可能とするものが主流となってきている。データを記録する際は、結晶相を融点にまで昇温させ、不規則な原子の状態(アモルファス状態)で急速に冷却し、アモルファス相をフリーズさせる。アモルファス相(非晶質マーク)では反射率が低くなるため、レーザ光を照射すると結晶相との反射率差が生じ、これを信号としてデータが記録される。データを消去する場合は、温度調整をゆっくり行い、不規則であった原子が元の状態に組み変わり、再度結晶相が形成される。
高速で繰り返し記録が可能な媒体を形成するためには、通常、記録層に結晶化速度の速い材料を用いるか、あるいは、保護層との組み合わせにより結晶化速度を速くする手法が用いられる。結晶化速度が速ければ、高速で非晶質マーク(結晶相ではない部分。アモルファス相)の消去ができるため、高速繰り返し記録が可能となるからである。
相変化材料を用いた光情報記録媒体は、例えばCD−RW、DVD+RW、DVD−RW、DVD−RAM等が実用化されている。より高速で記録可能な媒体が現在も開発されている。また、最近は、より大容量な記録が可能であるBlu−ray discも実用化され、かかるディスクも今後、高速記録化が進むものと予想される。上記書き換え型DVDの中でも最も高速化が進んでいるDVD+RWは、8倍速(約28m/s)までの規格がなされている。
さらに近年、DVD8倍速を超えるような高速で繰り返し記録が可能な媒体が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。主として記録層組成(相変化材料)を工夫することによりにDVD10倍速程度の高速繰り返し記録可能な媒体が得られるとしている。
しかしながら、8倍速以下のような、より低速で記録する場合については何ら考慮されていない。そこで、同一の媒体に低速から高速まで記録する場合に、低速記録の信号品質が劣化してしまう問題を解決するため、特定組成のGe−Te−Bi系材料を記録層(相変化材料)として用いる相変化記録媒体が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、反射層としてAgを用いる場合に、記録感度の向上とAgの腐食防止のために反射層と記録層との間の保護層として、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、その他の列挙されているものの中から少なくとも一つを含む光情報記録媒体が提案されている(例えば、特許文献4)。
また、反射層と記録層との間に、抵抗が3×10-3Ω・cm以下、即ち、導電性があり、熱伝導率の高い保護層を設けた信号品質及び、繰り返し記録特性に優れた光情報記録媒体が提案されている(例えば、特許文献5)。抵抗が3×10-3Ω・cm以下の保護層としては、In−Sn−O、Zn−Al−Oが挙げられている。
特開2004−322630号公報 特開2004−345349号公報 特開2004−291646号公報 特開2005−190642号公報 特開平11−185294号公報
相変化型の光情報記録媒体の記録層として実用化されている材料(相変化材料)には、大きく分けて、Te(tellurium;テルル)を主成分とするものとSb(stibium;アンチモン)を主成分とするものとがある。
非晶質状態からの結晶化の過程は、Teを主成分とする材料は核形成が支配的であるため、初期結晶と、非晶質マークを消去し新たに生成・成長した結晶粒径とが異なり、結晶間で反射率差を生じたり、非晶質マーク中にもいくつか結晶粒が生成したりするため、ジッターが大きくなりやすい。
これに対し、Sbを主成分とする材料は非晶質領域もしくは溶融領域と結晶領域との境界からの結晶成長が支配的であるため、結晶間での反射率差はほとんど無く、また、非晶質マーク中に結晶粒が生成することもないため、良好な記録特性が得られ易い。
ここで、Sbを主成分とした材料でも、組成を種々に調整し、高速記録に適したように結晶化速度を高くしていくと、マーク形成の過程で、非晶質マーク中に結晶粒が生成するという問題が生じる。しかしながら、上記の何れの技術も、Sbを主成分とした記録層(相変化材料)を用いて結晶化速度を速くした状態で、低速記録を行う際に生じる固有の問題が認識されておらず、また、その解決策について具体的な提案がなされていない。
かかる問題について詳述する。非晶質マーク中に結晶粒が生成する最も単純な例を図14に示す。レーザ光の出力は、記録パワー(Pw)、消去パワー(Pe)、バイアスパワー(Pb)とし、Pw>Pe>Pbの関係にある。Pw、Pe、Pbの3値に制御されたパワーを用いて、EFM(eight to fourteen modulation)+変調方式での最短マークである3Tを記録する場合、まず、図14(a)に示したように、Pwのパルス照射により、記録層が溶融する。次に、図14(b)のようにほとんど0に近いPbの照射により、溶融領域を急冷状態とし、一部周りの結晶から再結晶化し、残りは非晶質となる。さらに、図14(c)のようにPeが照射されると、形成された非晶質は後方が再結晶化し、所定の長さのマークが形成される。このとき、結晶化速度の速い記録層の場合には、同時に非晶質中に結晶核の生成及び成長が起こる場合がある。
非晶質中の結晶は、全てのマークに同じように形成されるわけではなく、ある確率で起こるため、タイムインターバルアナライザーで3Tシングルパターンの各マーク長を計測し、ヒストグラムで表示させると、図15のように観測される。図15中、丸で囲んだ領域の3Tより短く検出されてしまったものが、非晶質中に結晶が成長したことによって生じたマーク(以後、このように非晶質中への結晶成長により所定の長さよりも短く検出されてしまうマークを、「短マーク」と称す)を再生すると、マーク長が所定の長さより短くなっているように計測されるため、エラーとなってしまう。
短マークは、前述したように、組成を調整し、Sbを主成分とした記録層の結晶化速度を速くしていくと発生しやすい。これは、結晶化速度が速い材料は、核形成確率も高いためと考えられる。DVD8倍速程度の記録速度に対応できるように結晶化速度を速くした場合に短マークが顕著に現われ始めるため、結晶化速度を速くすると、その頻度が増大していく傾向にある。
さらに、同じ媒体でも、記録線速により短マークが発生しやすい線速が存在する。これは、温度変化の仕方により短マークの発生が左右されるためである。以下、図16を用いて説明する。図16は、Pbの照射時間をT1〜T3のように変えた場合の、PwからPbに切り替わる位置での温度変化のシミュレーション結果を示す。
このとき、Pbの照射時間がT2のような場合に、最も多く短マークの発生がみられた。T1の場合、Pwにより加熱された後、充分に冷え切らないままPeが照射されているため、温度が高すぎて、非晶質中への核形成が起こりにくく、短マークは形成されにくいと考えられる。T3の場合、Peが照射されても温度が充分に上がらないため、核形成が起こりにくく、短マークは形成されにくいと考えられる。T2の場合、調度、核形成に最適な温度に加熱されるため、短マークが多く発生する。
図16はPbの照射時間を変えた場合であったが、温度変化の仕方はこの他にもPw、Peの値や、記録線速によって変化する。従って、それらの組み合わせによって、T2に類似の温度変化の条件下では、短マークは形成されやすい。例えば、DVD8倍速程度の記録速度に対応できるように結晶化速度を調整した場合でも、8倍速記録ではほとんど短マークは見られず、6倍速記録など、より低速で記録した場合に短マークが多くなる傾向がある。これは、低速記録の方が、T2に類似の温度変化の条件になりやすいためと考えられる。
また、これに3倍速など、さらに遅い線速で記録する場合には、記録信号パターンの設定の幅が広がるため、短マークの発生を回避することが可能となることがある。しかし、8倍速を超えるようなより速い線速で繰り返し記録が可能となるように記録層組成を調整すると、核形成が起こり易い状態となっているため、同じ記録条件では短マークが多く発生し、10倍速、12倍速といった高速記録は可能であったとしても、8倍速以下の低速で記録すると短マークが頻出してしまい、記録信号を調整しても回避することが困難となってしまう。
また、図14の例は、PwとPbの照射が各一回ずつの場合であるが、PwとPbの照射を交互に複数回照射する場合でも同様である。既に形成された非晶質に対してPwやPeのパワーの照射により再加熱され、T2に類似の温度変化を生じれば、短マークが発生する。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、DVD8倍速を超える高速でも記録が可能で、かつ、8倍速以下の低速でも良好な記録が可能な光情報記録媒体及び光情報記録方法を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、少なくともSbを含有する記録層と、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫の何れかを主成分とする保護層とを有し、転移線速が、22〜30m/sであることを特徴とする光情報記録媒体である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の光情報記録媒体において、光の入射方向から順に、第一保護層、前記Sbを含有する記録層、前記酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫の何れかを主成分とする第二保護層及び反射層を透明基板上に設けたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記光情報記録媒体への記録マーク及びスペースの時間長がTは基本クロック、nは自然数として、nTで表されるマーク長記録方式により情報を記録するにあたり、3T以下の長さの記録マーク形成は、パワーPwとパワーPb(但し、Pw>Pb)を交互に2回ずつ繰り返して照射して実行し、4T以上の長さの記録マークの形成はパワーPwとパワーPbを交互にn/2回以下で繰り返し照射することにより実行することを特徴とする請求項1又は2記載の光情報記録媒体への光情報記録方法である。
請求項4記載の発明は、記録マーク及びスペースの時間的長さがTは基本クロック、nは自然数としてnTで表されるマーク長記録方式により情報を記録するにあたり、非晶質マークの形成は、パワーPwとパワーPb(但し、Pw>Pb)を交互に繰り返し照射することにより実行し、パワーPwはPw1>Pw2の関係にある2つのパワーであるPw1とPw2を用い、各マークを形成する先頭加熱パルスには前記Pw1を用い、後続の加熱パルスには前記Pw2を用いることを特徴とする請求項1又は2記載の光情報記録媒体への光情報記録方法である。
請求項5記載の発明は、記録マークおよびスペースの時間的長さがTは基本クロック、nは自然数としてnTで表されるマーク長記録方式により情報を記録するにあたり、スペース部の形成はパワーPeを照射する消去パルスにより行い、マークの形成は少なくとも先頭にPwより高いパワーPh1の先頭加熱パルスを付加したパワーPw(但し、Ph1>Pw>Pe)を照射する記録パルスにより行うことを特徴とする請求項1又は2記載の光情報記録媒体への光情報記録方法である。
本発明によれば、DVD8倍速を超える高速でも記録が可能で、かつ、8倍速以下の低速でも、短マークの発生を回避しながら、繰り返し記録耐久性を向上させ、良好な記録が可能な記録媒体を提供することが可能となる。
以下に、本発明の実施形態に係る光情報記録媒体及び光情報記録方法を、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
−記録媒体−
図1に、本発明の実施形態に係る光情報記録媒体6の構成例を示す。案内溝を有する透明基板1上に、少なくとも第一保護層2、記録層3、第二保護層4、反射層5が積層形成されている。記録層3は、Sbを主成分とする材料の層を用いる。第二保護層4は、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫の中から選ばれる少なくとも1種類以上の材料を主成分とした層を使用し、かつ、後述する転移線速が特定の範囲にあるような媒体とすることにより、少なくとも12倍速までの高速記録特性を満足しつつ、8倍速以下の線速でも短マークによるエラーの発生を抑制して良好な記録を可能とすることができる。主成分とするとは、各々、50mol%(元素の場合には50原子%)以上を含有することを指す。これにより、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫の中から選ばれる少なくとも1種類以上の材料を主成分とした保護層の結晶化促進効果と高放熱特性の2つの効果が得られる。
以下に、前記転移線速について説明する。本発明者らは、媒体の結晶化速度の代用特性として、転移線速という値を用いている。測定には、通常の記録・再生に用いる評価機を用いる。媒体を一定線速で回転させ、記録層が溶融し得る充分なパワーのレーザ光を1周に渡って照射し、反射率を測定する。照射する連続光のパワーを一定とし、回転線速を変えて同じ測定をすると、線速が遅い場合には反射率が高いが、ある線速以上になると反射率が低下し始める。この反射率が低下し始める時の線速を転移線速と呼ぶ。この様子を図2に示す。転移線速を測定する時のパワー、即ち、記録層が溶融し得る充分なパワーであるかどうかは、狙いとする転移線速で連連続光を照射した時に、反射率を示す信号が変化するかどうかで判断することができる。パワーが不十分で記録層が溶融しない場合には、反射率の信号には何の変化もみられない。記録層が溶融した場合には、溶融後全て再結晶化した場合でも、一部非晶質が残ってしまった場合でも何らかの変化がみられる。
図2に示すように、ここでは、線速に対して反射率がほぼ一定の部分と、線速に対して反射率が低下していく部分に直線を引き、これらの2直線の交点を転移線速と決めた。転移線速より遅い線速では、記録層は一旦溶融後全て再結晶化した状態であり、転移線速より速くなると溶融後全てが再結晶化できず、一部非晶質として残っていることを示している。この転移線速は記録層組成の他、照射する連続光のパワーと媒体を形成する各層の種類や膜厚、即ち、光学的な条件と熱的な条件によって決まる。
DVDの場合、波長660±10nm、NA0.65±1のピックアップヘッドを用いて転移線速を測定する。盤面にパワー18±1mWの連続光を照射した場合、この転移線速が22〜30m/s、より好ましくは24〜28m/sの範囲となるように媒体の記録層組成や層構成を決めると、DVD8倍速(約28m/s)記録に適したものになる。
このような媒体にDVD10倍速(約35m/s)、12倍速(約42m/s)といった、より速い線速で記録しようとすると、通常、結晶化速度が遅いため、非晶質マークの消し残りが生じ、良好な繰り返し記録特性が得られない。転移線速が30m/sを超えるような高速になるように媒体を設計すると、10倍速や12倍速でも良好な繰り返し特性が得られるようになるが、短マークが生じやすくなり、8倍速以下の低速での記録が困難となる。
しかし、本実施形態に係る第二保護層は、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫のいずれかを主成分とする材料を用いるため、転移線速は8倍速記録に適した媒体とほとんど変わらないのに、高速での記録特性も向上させることができる。これは、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫のいずれかを主成分とする材料の結晶化促進効果によるものと考えられる。特に記録層との界面で核形成を促進することにより、高速での消去特性を向上させているものと思われる。
転移線速は、主として、溶融した記録層が周囲の結晶からの結晶成長により再結晶化する過程を計測しているため、固相状態である非晶質中に核形成して結晶化が促進される場合、転移線速の値としてはほとんど変わらない。なお、このように、非晶質中への核形成を促進する効果があるものとすれば、低速で記録した場合の短マークはより頻出してしまうのではないかと予想されるが、低速で記録すると、8倍速以下の記録特性も良好であった。酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫のいずれかを主成分とする材料は、いずれも透明導電膜と称され、導電性があるため熱伝導率が高いことで知られる材料である。
上述したように温度変化の仕方が短マークの出方に大きく影響するが、このように第二保護層として熱伝導率の高い材料を用いることにより、一旦形成された非晶質が記録の過程で、更に、PwやPeが照射されることによって再加熱され、核形成が起こりやすい温度になるのを防止する。酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫のいずれかを主成分とする材料を用い、記録信号やパワーを調整することにより、比較的容易に短マークの発生を回避することが可能となる。
種々の保護層材料を検討したが、通常良く用いられるZnS−SiO2を第二保護層として用いた場合には、記録層組成や膜厚を調節して転移線速を速くして、少しでも8倍速より高速結晶化が有利になるように調整すると、8倍速以下の記録では、短マークによるエラーが増大してしまった。他の保護層材料、窒化アルミニウムの場合や、ジルコニアと酸化チタンの混合物を用いた場合にも、同様の結果であった。
酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫のいずれかを主成分とする材料を保護層として用いた場合でも、転移線速が22m/sより遅いと、8倍速を超えるような高速で繰り返し記録を行うと、非晶質マークの消し残りが生じ、良好な繰り返し記録特性が得られない。また、転移線速が30m/sを超えるような高速である場合には、記録信号やパワーを調整しても8倍速以下の低速で記録した際の短マークの発生を抑制することが困難となる。
従って、本発明に係る実施形態の転移線速は、22〜30m/s、より好ましくは24〜28m/sとなるようにする。転移線速は、照射する連続光のパワーによっても異なり、パワーが低すぎると図2に示したような明瞭な反射率の変化が観測されないことがある。通常、DVDの場合には、盤面パワーで18mW程度あれば十分である。
また、媒体によっては、未記録のトラックで計測した場合と、数百回繰り返し記録したトラックで計測した場合とで、転移線速の値が異なってしまうことがある。本発明者らの検討によれば、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫のいずれかを主成分とする材料を保護層として用いた場合、未記録のトラックでの計測では、22〜30m/sの範囲に入らなくても、繰り返し記録500回程度行ったトラックでの計測で22〜30m/sの範囲に入れば、8倍速を超えるような高速記録と8倍速以下の低速記録で良好な記録ができる。
次に、本発明の実施形態に係る透明基板1、第一保護層2、記録層3、第二保護層4、反射層5の材料や膜厚について説明する。
[透明基板]
本発明の実施形態に係る基板の材料は、通常ガラス、セラミックス、あるいは樹脂であり、レーザ光に対して透明なことが望まれ、樹脂性の基板が成形性、コストの点で好適である。基板の樹脂の例としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられるが、成形性、光学特性、コストの点で優れるポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
但し、本発明の実施形態に係る光情報記録媒体をDVD−ROM互換が可能な書き換え型光情報記録媒体に応用する場合には、以下のような特定の条件が付与されることが望ましい。即ち、基板に形成される案内溝の幅が0.10〜0.40μm、好適には0.15〜0.35μm、案内溝の深さが15〜45nm、好適には20〜40nmとなっていることである。基板の厚さは0.55〜0.65mmが好適であり、貼り合せ後のディスクの厚さは、1.1〜1.3mmが好適である。これらの基板溝によって、DVD−ROMドライブでの再生互換性が向上する。また、本発明の光情報記録媒体をCD−RW媒体応用する場合には、基板の案内溝幅が0.25〜0.65μm、好適には0.30〜0.60μm、案内溝の深さが20〜50nm、好適には25〜45nmとする。
[第一保護層]
本発明の実施形態に係る第一保護層の材料としては、Si、Zn、Sn、In、Mg、Al、Ti、Zrなどの各酸化物;Si、Ge、Al、Ti、B、Zrなどの各窒化物;Zn、Taなどの各硫化物;Si、Ta、B、W、Ti、Zrなどの各炭化物;ダイヤモンド状カーボン;或いはそれらの混合物が挙げられる。中でも、モル比が7:3〜9:1程度の範囲のZnSとSiO2の混合物が好ましく、特に熱膨張変化、高温・室温変化の熱ダメージを伴う相変化型光記録層と基板の間に位置する下部保護層としては、光学定数、熱膨張係数、弾性率が最適化されている(ZnS)80(SiO220(モル%:ZnSとSiO2がモル比で8:2程度)が望ましい。
下部保護層の膜厚は、反射率、変調度や記録感度に大きく影響するので、下部保護層の膜厚に対して、ディスク反射率が極小値となる膜厚とすることが望ましい。この膜厚保領域では記録感度が良好であり、(熱ダメージの)より小さいパワーで記録が可能になり、オーバーライト性能の向上が図られる。DVDの記録再生波長において良好な信号特性を得るためには、下部保護層に(ZnS)80(SiO220(モル%)を用いた場合、40〜80nmとすることが好適である。40nmより薄いと、基板への熱ダメージが大きくなり、溝形状の変化が起こる。また、80nmより厚いと、ディスク反射率が高くなり、感度が低下する。
[記録層]
本発明の実施形態に係る記録層3の材料は、Sb(アンチモン)を主成分とし、非晶質化を促進するような元素を添加したSb−In系、Sb−Ga系、Sb−Te系等を母相とした材料が好適である。ここで、主成分とは、前記したことを指す。また、種々の特性を向上させる目的でこれらの母相にさらに他の元素を添加して用いることもできる。
Sb−In系は下記組成範囲で用いることが好ましい。
(Sb1-XInX1-yy
0.15≦x≦0.27
0.0≦y≦0.2
MはSb、In以外の1種類以上の元素
Sb−Inの2元系のみでも良好な繰り返し記録特性が得られ、結晶化温度も170℃前後と高く、非晶質の保存安定性にも優れている。これに、さらなる保存安定性の向上や繰り返し記録耐久性の向上、初期化容易性の向上等の目的でAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ge、Ga、Se、Te、Zr、Mo、Ag、希土類元素から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を添加してもよい。また、これらの元素の添加は結晶化速度の低下を招く場合が多いので、結晶化速度の向上等の目的で、さらに、SnあるいはBiを添加してもよい。繰り返し記録特性を損ねないためにはMの添加量は合計で20%以下とすることが望ましい。
Sb−Ga系は下記組成範囲で用いることが好ましい。
(Sb1-XGax)1-yy
0.05≦x≦0.2
0.0≦y≦0.3
MはGa、Sb以外の1種類以上の元素
Sb−Gaの2元系のみでも良好な繰り返し記録特性が得られ、結晶化温度も180℃前後と高く、非晶質の保存安定性にも優れた材料である。ただし、結晶化速度を速くしようとしてSbの割合を増やしていくと、初期化後の反射率が均一ではない等の問題を有するため、高速記録用には初期化の反射率ムラを改善するような元素Mを添加することが好ましい。元素Mとしては、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Se、Zr、Mo、Ag、In、Sn、Bi、希土類元素が挙げられる。また、このような元素Mを添加することにより今度は結晶相の安定性が損なわれ、室温、あるいは、高温保存後に反射率が低下し、保存前の条件とは同一の条件で記録ができなくなってしまうという問題を生じるため、さらに、Ge、Te等を添加してもよい。繰り返し記録特性を損ねないためにはMの添加量は合計で30%以下とすることが望ましい。
Sb−Te系は下記組成範囲で用いると良好な繰り返し記録特性を持つ。
(Sb1-XTeX1-yy
0.2≦x≦0.35
0.03≦y≦0.2
MはSb、Te以外の1種類以上の元素
Sb−Teの2元系のみでも良好な繰り返し記録特性が得られるのであるが、2元系の結晶化温度は120℃前後と低いため、高温保存により記録マークが結晶化してしまうという問題があるため、結晶化温度を高くし、非晶質の安定性を高めるような元素Mの添加は必須である。非晶質の安定性を高くするような元素Mとしては、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Ge、Se、Zr、Mo、Ag、In、希土類元素などが挙げられる。また、一般的にこれらの元素を添加した場合には、結晶化速度が低下してしまう傾向があるため、結晶化速度を向上させる目的で、さらにSn、Biなどを添加してもよい。添加量は合計で3原子%以上としないと効果的ではなく、繰り返し記録特性を損ねないためには20原子%以下とする。
記録層の膜厚は6〜22nmが望ましい。6nmより薄いと80℃85%RH(relative humidity:相対湿度)の高温、高湿での記録マークの結晶化が速くなり寿命が問題となる。一方、22nmを超えると、繰り返し記録耐久性が劣化してしまうためである。
[第二保護層]
本発明の実施形態に係る第二保護層としては、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫のいずれかを主成分としたものを使用する。これにより、結晶化促進効果により高速記録特性を向上させ、高熱伝導率特性により、低速記録時の短マークの発生を抑制する。酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫は各々、他元素の酸化物等を添加して用いると良好な特性が得られる。酸化亜鉛の場合、数wt%程度のアルミニウム、ガリウム、マグネシウム等の酸化物を添加して用いる。
酸化インジウムは一般的に良く知られているITO(10wt%前後の酸化錫を添加)やIZO(10wt%前後の酸化亜鉛を添加)として用いられる。酸化錫は、数wt%程度の酸化アンチモンやフッ素を添加して用いる。膜厚は、4〜50nmが好適である。4nmより薄い場合には記録層の光吸収率が低下し、さらに、記録層で発生した熱が反射層へ拡散されやすくなるため、記録感度が大幅に低下してしまうことが考え得る。50nmより厚くなると、クラックが発生しやすくなる。
[反射層]
反射層としては従来Alを主成分とした合金が使用されている。Alは反射率が高く、熱伝導率も高いことに加え、ディスク化した場合の経時安定性にも優れている。しかし、記録層3材料の結晶化速度が速い場合には、反射層5として従来よく使用されているAl合金を用いたディスクでは、記録マークが細くなりやすく、十分な変調度を有する記録を行うことは困難な場合がある。この理由としては、結晶化速度が速いと記録時に溶融領域の再結晶化領域が大きくなってしまい、形成される非晶質領域が小さくなってしまうことが挙げられる。
再結晶化領域を小さくするためには、第二保護層4を薄くして急冷構造とすればよいが、単純に第二保護層4を薄くしただけでは、記録層3が十分に昇温されず、溶融領域が小さくなってしまうため、再結晶化領域を小さくできたとしても、結局、形成される非晶質領域は小さくなってしまう。そこで、本発明の実施形態に係る反射層5では、波長650〜670nmにおける屈折率(n+ik)のn,k共にAlより小さい金属を用いることが考え得る。これにより、記録層3の光の吸収率は向上し、変調度も大きくすることができる。n,k共にAlより小さい金属としてはAu,Ag,Cu、及びそれらを主成分とした合金が挙げられる。ここで、主成分とするとは、90原子%以上含有することを意味し、好ましくは95原子%以上である。
Au,Ag,Cuは同時に何れもAlより熱伝導率が高く、これらを反射層5として用いると、記録層3の光吸収率を向上させて、記録層3の温度を上昇させて溶融領域を大きくする効果があるのと同時に、冷却速度も向上させるため冷却時の再結晶化領域が小さくなり、Al合金を用いた場合よりも大きな非晶質領域を形成することが可能になる。記録マークの変調度は光学的な変調度とマークの大きさによって決まり、光学的な変調度が大きく、マークが大きい程大きくなる。従って、記録層3として、結晶化速度が速い材料を用いて、高線速記録を行う場合でもこのような反射層5を用いれば、吸収率が大きく冷却速度が速いことから大きな記録マークが形成でき、また、結晶と非晶質の反射率差も大きいことから変調度の大きい記録が可能になる。
Au、Ag、Cu及びそれらを主成分とする合金の中でも特に、Ag及び、Ag合金は比較的安価であり、また、同様に安価なCu及び、Cu合金に比べて酸化しにくいため、経時安定性に優れた媒体を形成することができ、反射層として好ましい。反射層5の膜厚は90nm以上であれば透過光がほとんどなくなり、光を効率的に利用できるので、90nm以上とする。膜厚は厚い程冷却速度が速くなり、結晶化速度の速い記録層3を使用する場合には有利であるが、厚くしすぎると膜応力による基板の反りや、膜剥がれが生じる恐れもあるため、300nm以下とすることが好ましい。
上述のような膜を基板1上に順次スパッタにより形成した後、反射層5上に有機保護膜をスピンコートにより形成する。この状態で、或いはさらに貼合せ工程を経た後、初期化工程を経て光情報記録媒体6として使用される。貼合せは、有機保護膜8を介して基板と同じ大きさで通常は材質も同じである板を接着する工程である。初期化は1×(数10〜数100)μm程度に成形された1〜2W程度のレーザ光を走査しながら照射して、成膜直後は非晶質状態である記録層3を結晶化する工程である。
−記録方法−
以下に本発明の実施形態に係る記録方法について説明する。相変化材料を用いた光ディスクの場合、照射する光ビームの強度変調により、記録層材料を急冷状態と徐冷状態を作ることによって記録を行う。溶融後、急冷状態になると、記録層材料は非晶質となり、徐冷状態になると結晶となる。非晶質と結晶では光学的な物性が異なるため、光情報を記録・再生することができる。
即ち、相変化型の光情報記録媒体は基板上の記録層薄膜にレーザ光を照射して記録層を加熱し、記録層構造を結晶と非晶質間で相変化させることによりディスク反射率を変えて情報を繰り返し記録するものである。通常は未記録状態を高反射率の結晶相とし、これに低反射率の非晶質相からなるマークと高反射率の結晶相からなるスペースを形成することにより情報を記録する。
記録はパルス分割され3値に強度変調された記録光を媒体に照射することで行う場合が多い。マークとスペースからなるデータを繰返し記録するための記録信号パターン(記録ストラテジ)としては、本発明の実施形態に係る記録媒体のように、8倍速を超えるような記録を想定した媒体では、図3に示すような2T周期でパワーPwの加熱パルスとパワーPbの冷却パルス(但し、Pw>Pb)を交互に照射するマルチパルスによって非晶質マークを形成する。結晶からなるスペースはこれら中間レベルのパワーPeの消去パルスを照射する2T周期ストラテジを使用することが望ましい。さらに、記録線速に応じてそれぞれ好適な記録条件が存在するので、順次、説明する。
まず、8倍速以下の低速で記録する場合には、短マークの発生を抑制するように記録パワー、及び、記録信号パターンを決める。短マークは、特に3Tマークに発生しやすいため、3Tマークの記録には特に注意を要する。例えば、3.3xのような線速では、図3の例のように冷却パルスの長さを十分に取って、図16(b)のT3のような温度条件をつくり、短マークの発生を抑制する。
6x、8xといった線速では、1Tの時間が短くなるため、2T周期ストラテジでは、短マークを回避し得るような充分な長さの冷却パルスを取れないため、図4の例のように、冷却パルスを短くして、図16(b)のT1の条件を作り、短マークの発生を抑制するようにする。ただし、このとき、充分な大きさの3Tマークを記録するために、加熱パルスが長くなってしまう傾向にある。高いパワーの加熱パルスを長時間照射すると、熱ダメージが大きく、繰り返し記録耐久性を劣化させてしまう傾向にある。そこで、その場合には、2T周期ストラテジではあっても、図5の例のように3Tは2つの加熱パルスで記録することが望ましい。これにより、繰り返し記録耐久性を向上させることができる。
これらの記録信号パターンの各パルス長は、パワーによっても最適値が異なり、一般的にPwの値を高くした場合には、Pwの照射時間を短くし、Pwを低くした場合にはPwの照射時間が長くなるように調整できる。このとき、Pwを低く調整すると、短マークが発生し易い傾向があるため、短マーク抑制という観点からは、なるべく、Pwの値を高くするように調整した方が好ましい。これは、例え、形成されるマークの大きさは同じであったとしても、低パワーで形成された非晶質、即ち、比較的低温の液体状態を経て形成された非晶質は、完全にランダムな構造にはなっておらず、核形成をしやすい状態にあるためと考えられる。高パワーで形成された場合には、比較的高温の液体を経て非晶質となるため、ランダムな構造となるため、核形成をしにくい状態となり、記録の過程で核形成が起こりにくく、短マークが抑制される。
8倍速を超えるような高速、即ち、10倍速や12倍速で記録する場合にも、2T周期ストラテジが適用できる。さらには、冷却パルスを設けないブロックストラテジで記録することも好ましい。高速記録の場合には、高速で非晶質マークを結晶化できるかどうかが繰り返し記録特性を左右する。従って、8倍速以下の記録方法で述べたように、低パワーで形成された非晶質は核形成しやすいことを今度は利用し、なるべく低パワーで所定の大きさの非晶質マークが記録できれば、オーバーライト時に結晶化しやすく、繰り返し記録に有効である。
2T周期ストラテジにおいて、低パワーで記録した場合には、高速であるため、短マークとして検出されるような大きな結晶にまではならなくても、ジッターが悪くなる程度の結晶成長が起こるものと推測され、実際、このように調整すると、ジッターは悪くなる。特に、マーク前端のジッターが悪い。
そこで、本実施形態では、先頭加熱パルスのみを高パワーとして記録すると、先頭部のみ、核形成しにくい非晶質となり、ジッターは改善される。結晶化しにくい非晶質は先頭部のみであるため、繰り返し記録時には特に問題にはならず、良好な繰り返し記録特性が実現される。このように先頭部のみ高パワーとした場合の記録信号パターンの例を図6に示した。図6の例は、3Tマークを一つの加熱パルスで記録しており、このときのパワーは、4T以上のマークの先頭加熱パルスのパワー同様、高パワーに設定する。
冷却パルスを設けないブロックストラテジの最も単純な例を図7(a)に示した。従来は図7(b)に示したように涙滴状のマークが形成されてしまうので好ましくないとされていた。涙滴状のマークの場合、再生エラーとなってしまったり、繰り返し記録の際に後端の幅広となっている部分に消し残りを生じたりしてしまうためである。
涙滴状のマークとなってしまう原因の一つは、蓄熱効果により後ろに行く程温度が高くなり、溶融領域が涙滴状に広がるためである。もう一つの原因は、連続的に加熱されるために、再結晶化が進んでしまうことである。
しかし、DVDの8倍速以上もの高速では蓄熱効果が軽減され、また、本発明の実施形態に係る媒体のように、熱伝導率の高い保護層を用いて急冷構造となっている媒体の場合には、一層軽減されるため、溶融領域が涙滴状に広がりにくく、再結晶化も起こりにくいため、図7(c)に示したように良好な形状のマークが得られる。
また、図8に示したように先頭にPwより高いPh1の先頭加熱パルスを設け、Pwは比較的低パワーに設定することにより、さらに良好な特性が得られる。これは、溶融領域の形状がさらに補正されると共に、上述した2T周期ストラテジで説明したように、マークの大部分があまり高温の溶融状態を経ずに非晶質化されるため、繰り返し記録時の消去に有利なマークとなり、良好な繰り返し記録特性が実現される。さらには、図9、10に示したような記録ストラテジを用いて、特性改善を図ることも考え得る。
以下、実施例及び比較例により本発明の実施形態を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例等により限定されるものではない。
[実施例1から6、比較例1から4]
実施例1から6及び比較例1から4は、相変化型の光情報記録媒体6として、直径12cm、厚さ0.6mm、トラックピッチ0.74μmの案内溝付きポリカーボネートディスク基板上にユナクシス社製DVDsprinterにて、第一保護層2としてモル比が8:2のZnSとSiO2からなる層を厚さ60nm成膜し、その上に、記録層3をIn17Sb78Te5を厚さ14nm形成する。
各実施例及び各比較例に用いる第二保護層4の材料を下記表1に示す。実施例1はZnO−2wt%Al23、実施例2はZnO−5w%Ga23、実施例3はIn23−10wt%ZnO、実施例4はIn23−10wt%SnO、実施例5はInsO3−10wtWO3、実施例6はSnO2−10wt%Ta25である。なお、各実施例の第二保護層は19nm形成する。
比較例1及び比較例2の第二保護膜層4の材料は、実施例1と同様、ZnO−2wt%Al23である。比較例3の第二保護膜層4の材料は、(ZrO2−3mol%Y23)−20mol%TiO2、比較例4の第二保護膜層4の材料は、ZnS−20mol%SiO2である。比較例1は3nm、比較例2は55nm、比較例3は11nm形成した。比較例4では、7nmとし、さらに、ここでは、硫化物を用いているために、反射層Agの硫化防止層として第二保護層上にモル比が7:3のTiCとTiO2からなる層を4nm形成した。
これら各実施形態及び各比較例の第二保護層上に反射層としてAgを厚さ200nm形成した。これらの膜を順次スパッタにより形成した。
次いで、Ag反射層上に、紫外線硬化型樹脂(大日本インキ化学工業 SD318)をスピンコートして、樹脂保護層を形成し、光情報記録媒体の単板ディスクを作成した。次いで、厚さ0.6mmのポリカーボネート製の貼り合せ基板を紫外線硬化型接着剤(日本化薬社製、DVD003)で貼り合せて、光情報記録媒体を得た。続いて、大口径LD(ビーム径75μm×1μm)を有する日立コンピュータ機器社製初期化装置を用いて、線速度18m/s、電力2W、送り50μm/rで初期化した。
このような媒体に対して、波長660nm、NA=0.65のピックアップヘッドを有するパルステック工業製DVD評価装置を用いて転移線速や記録特性を評価した。下記表1に結果を示す。転移線速は盤面パワー18mWで測定した値である。ただし、実施例3、4の場合のみ、未記録部のトラックでは、明瞭な反射率の低下が観測されなかったため、繰り返し記録500回後のトラックで測定した値である。
記録は、EFM+変調方式によるランダムパターンをDVD3.3倍速、6倍速、8倍速、10倍速、12倍速の各線速で同一トラックに繰り返し10回行った。表1には、このときのジッターσ/Twを10%以下にすることができた場合は○、10%以下にすることができなかった場合は×、10%以下ではあったが、タイムインターバルアナライザーによるヒストグラムの形状から、短マークが発生していると判断される場合を△で示した。記録は全て2T周期ストラテジを用いて行い、記録信号パターンやパワーは各々最適化した。
Figure 2007299474
実施例1から6は、低速でやや短マークが出現するものもあったが、ジッターは全ての線速で10%以下となっており、広い線速範囲で良好な記録特性を示すことがわかった。
比較例1、2は実施例1と同じ第二保護層材料を用いているが、膜厚が適切でなかったために、転移線速が、好適な範囲を外れてしまった例である。比較例1では低速では短マークが頻出し、そのためジッターも大きくなってしまっている。比較例2では、高速でジッターが悪くなってしまった。比較例3、4では転移線速は好適な範囲に入っているが、第二保護層材料が異なっており、広い線速範囲の記録には向かなかった。
[実施例7、比較例5]
上記実施例1の記録媒体を用い、記録信号パターンを変えて6倍速で記録した。図5で示した3Tマークを2つの加熱パルスで形成するパターン(実施例7)と、図4で示した3Tを1つの加熱パルスで形成するパターン(比較例5)の繰り返し記録によるジッター変化の比較を図11に示す。パワーは、Pw=27.0mW,Pe=6.0mW,Pb=0.2mWとした。比較例5の場合は、繰り返し記録200回程度から急激にジッターの上昇が見られるのに対し、実施例7では繰り返し記録1000回でもジッターは10%以下と良好な特性を示した。
[実施例8、比較例6]
上記実施例1の記録媒体を用い、記録信号パターンを変えて12倍速で記録した。図6で示した先頭加熱パルスのみ高パワーとした場合(実施例8)と、全ての加熱パルスのパワーを同じとした場合(比較例6)の加熱パルスのパワーPwを変えたときの10回繰り返し記録後のジッターの比較を図12に示す。実施例8の場合は、先頭加熱パルスのパワーを□、後続の加熱パルスのパワーを■で示した。実施例8のPeは先頭加熱パルスに対して0.26倍の値、比較例6のPeは加熱パルスに対して0.26倍となるような値を用いた。Pbはどちらの場合も0.2mWである。実施例8ではジッターが改善されており、高速記録に有利な記録方法となっていることがわかる。
[実施例9、比較例7]
上記実施例1の媒体を用いて、ブロックストラテジで12倍速で記録を行った。記録信号には、図9で示したような、先端と後端にPh1,Ph2を付加した形状を用いた。パワーPwを変えたときの10回繰り返し記録後のジッターを図13に示す。加熱パルスPwのパルス長と位置はマーク長毎に最適化した。Ph1,Ph2は同じ値で、Pwに対して1.47倍の値とし、長さは0.5Tを基準として、マーク長毎に最適化した。PeはPwに対して0.4倍の値とした。良好な記録特性を示している。
以上、本発明を好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
本発明の実施形態に係る光情報記録媒体の層構成の例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る記録層に連続光を照射して計測した転移線速の説明図である。 本発明の実施形態に係る2T周期ストラテジによる交互照射マルチパルスで非晶質マークを形成する場合のパルスの説明図である。 本発明の実施形態に係る冷却パルスを短くして短マークの発生を抑制するパルスパターン図である。 本発明の実施形態に係る2T周期ストラテジで3Tを2つの加熱パルスで記録するパルスパターン図である。 本発明の実施形態に係る先頭部のみ高パワーとした例のパルスパターン図である。 本発明の実施形態に係る冷却パルスを設けないブロックストラテジの最も単純な例を示すパルスパターン図である。 本発明の実施形態に係る先頭に高い先頭加熱パルスを設けPwは低パワーにする例のパルスパターン及びパターン摸式図である。 本発明の実施形態に係る記録ストラテジを用い特性改善を図った例のパルスパターン図である。 本発明の実施形態に係る記録ストラテジを用い特性改善を図った例のパルスパターン図である。 本発明の実施形態に係る加熱パルスで形成するパターンの記録回数によるジッターの変化を示す比較説明図である。 本発明の実施形態に係る加熱パルスで形成するパターンの記録回数によるジッターの変化を示す他の比較説明図である。 本発明の実施形態に係るブロックストラテジで12倍速で記録を行った場合のジッターの変化を示す説明図である。 相変化型光情報記録媒体のEFM+変調方式での記録時の相変化の摸式図である。 相変化マーク長中の不要マーク長の分布を示すヒストグラムである。 記録層の相変化中のバイアスパワーに制御された温度変化を示す説明図である。
符号の説明
1 透明基板
2 第一保護層
3 記録層
4 第二保護層
5 反射層
11 溶融領域
12 非晶質
13 非晶質中生成結晶
T1、T2、T3 照射時間

Claims (5)

  1. 少なくともSbを含有する記録層と、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫の何れかを主成分とする保護層とを有し、転移線速が、22〜30m/sであることを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 光の入射方向から順に、第一保護層、前記Sbを含有する記録層、前記酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫の何れかを主成分とする第二保護層及び反射層を透明基板上に設けたことを特徴とする請求項1記載の光情報記録媒体。
  3. 前記光情報記録媒体への記録マーク及びスペースの時間長がTは基本クロック、nは自然数として、nTで表されるマーク長記録方式により情報を記録するにあたり、3T以下の長さの記録マーク形成は、パワーPwとパワーPb(但し、Pw>Pb)を交互に2回ずつ繰り返して照射して実行し、4T以上の長さの記録マークの形成はパワーPwとパワーPbを交互にn/2回以下で繰り返し照射することにより実行することを特徴とする請求項1又は2記載の光情報記録媒体への光情報記録方法。
  4. 記録マーク及びスペースの時間的長さがTは基本クロック、nは自然数としてnTで表されるマーク長記録方式により情報を記録するにあたり、非晶質マークの形成は、パワーPwとパワーPb(但し、Pw>Pb)を交互に繰り返し照射することにより実行し、パワーPwはPw1>Pw2の関係にある2つのパワーであるPw1とPw2を用い、各マークを形成する先頭加熱パルスには前記Pw1を用い、後続の加熱パルスには前記Pw2を用いることを特徴とする請求項1又は2記載の光情報記録媒体への光情報記録方法。
  5. 記録マークおよびスペースの時間的長さがTは基本クロック、nは自然数としてnTで表されるマーク長記録方式により情報を記録するにあたり、スペース部の形成はパワーPeを照射する消去パルスにより行い、マークの形成は少なくとも先頭にPwより高いパワーPh1の先頭加熱パルスを付加したパワーPw(但し、Ph1>Pw>Pe)を照射する記録パルスにより行うことを特徴とする請求項1又は2記載の光情報記録媒体への光情報記録方法。
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