JP2008204624A - 光記録媒体の記録方法 - Google Patents

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栄子 鈴木
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未来 水谷
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Abstract

【課題】相変化型光記録媒体の記録方法の提供。
【解決手段】時間の長さがnTのマークを記録するに際し、加熱パルス時間をOPi、冷却パルス時間をFPi(iはパルス一個の加熱パルス部と冷却パルス部を一組のパルス部とした場合のその数m)とした場合に、先頭部の加熱、冷却パルス時間がOP1、FP1、後端部の加熱、冷却パルス時間がOPm、FPm、一個ないし複数個からなる中間部の加熱、冷却パルス時間がOPj、FPj(j=2、……、m−1)で表されるパルス列において、
(i)記録マーク長nが、n=2L(Lは2以上の整数)の場合、パルスの数m=L
(ii)記録マーク長nが、n=2L+1(Lは1以上の整数)の場合、パルスの数m=L
であり、各パルス部の長さOPi+FPi(i=1、……、m)が基準クロックTの2倍を基本とする光記録媒体の記録方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、光ビームを照射することにより記録層材料に光学的な変化を生じさせて情報の記録、再生を行ない、かつ書き換えが可能な相変化型光記録媒体の記録方法に関する。
レーザビーム照射による情報の記録、再生、消去可能な光情報記録媒体の一つとして、結晶−非結晶相間、又は、結晶−結晶相間の転移を利用する、いわゆる相変化型光記録媒体が良く知られている。この記録媒体は、単一ビームによるオーバーライトが可能であり、ドライブ側の光学系もより単純で済むため、コンピュータ関連や映像・音響に関する記録媒体として応用されている。
その記録材料としては、GeTe、GeTeSe、GeTeS、GeSeS、GeSeSb、GeAsSe、InTe、SeTe、SeAs、Ge−Te−(Sn、Au、Pd)、GeTeSeSb、GeTeSb、Ag−In−Sb−Te等がある。特にAg−In−Sb−Teは、高感度でアモルファス部分の輪郭が明確な特徴を有し、マークエッジ記録用の記録層として開発されている(例えば特許文献1〜7)。
更に、結晶、非晶質相の可逆的相変化を用いた記録媒体は、書き換え可能な記録媒体(CD−RWなど)として世界的に普及している。そして、CD−RWにおいては、普及と共に高速記録化が進んでおり相変化記録媒体も高速記録が必須となっている。
高速記録、即ち高い線速度で記録する場合、記録密度が高くなると共に、レーザー光の発光パルスの基準クロックが短くなる。そのため、マーク(非晶質相)を形成するために、より低い線速度で記録する場合に比べて、1つの光パルスの光照射(加熱)時間及び冷却に必要なより低いパワーを照射(或いは、パワーを照射しない場合もある)する時間が共に短くなる。
更に、LD(レーザーダイオード)を用いた光記録においては、LDの立ち上がり時間、立下がり時間が限られているために、一つの光パルスにおいて、加熱と冷却をし、マークを形成することが難しくなってくる。そのため、より高い記録パワーを照射すれば、加熱は可能となるが、記録パワーの限界がある。また、加熱後、急冷するため、冷却時間をある程度とる必要があるが長くできない。基準クロック内で、加熱と冷却を制御し、所定の長さのマークをより高い線速度で記録することが困難になってくる。
その一方で、相変化記録層の記録材料及び媒体構成の最適化も必要である。
高速記録で、繰り返し記録特性を確保するためには結晶化速度をより速くして、消去比を高くするため、記録層材料及び各構成元素の組成比の最適化を行う必要がある。
しかし、あまり結晶化速度を速くすると非晶質相が形成し難くなる。この場合、媒体構成を急冷構造にすれば良いが、記録パワーも必要になる。Ag−In−Sb−Te系、Sb−Te共晶系は、あまりSb量を多くすることで結晶化速度は速くできるが、非晶質相が形成し難い上に、マークの高温環境下の保存性が悪くなる。また、媒体構成により急冷構造とした場合、感度不足の問題がある。高速記録により、繰り返し記録特性を劣化させる原因に短時間で、高温に加熱し、冷却を繰り返すため、記録層だけでなく、記録層と反射層の間にある上部保護層の劣化、即ち構成元素が記録膜中に拡散したり、保護層が熱衝撃によりクラックを発生することが挙げられる。高速化に伴い、記録層材料、保護層材料、反射層材料の検討が必要である。また、上記理由により、記録方法の検討も必要である。
これまでに知られている高線速記録に対応した記録層材料として、特許文献8に開示されたものがある。即ち、式〔(SbxTe1−x)yGe1−y〕zM1−zにおいて、MがIn及び/又はGaとしたものであって、CD線速の約7倍の線速度であり、特にGeInSbTeの4元素からなる記録材料が好ましいとしている。しかし、Inはあまり多く入れると、線速度は速くなるが再生光パワーが高くなると再生劣化を伴うこと、繰り返し特性が悪くなるため、あまりより高速にすることが不可能になる。
一方、記録方法において、高密度かつ高線速記録に伴うパルスの立ち上がり、立ち下がり時間が加熱パルスの時間程度になった場合の問題を解決する手段として、特許文献9がある。一つの光パルスの加熱、冷却時間を基準クロックと同じかそれ以上とし、その分所定のマーク長とするためにパルスの数を減じて、記録感度の向上、変調度の向上を図るものである。
これら従来技術は、主として書き換え可能な(Rewritable)CD系に適用したものであり、より高密度、高線速記録に適用しても、十分な特性が得られない。
この技術を高線速記録に適用した技術として、特許文献10があるが、これも十分とは言えず、より適用性が高くマージンの広い方法を見出す必要がある。
特開平3−231889号公報 特開平4−191089号公報 特開平4−232779号公報 特開平4−267192号公報 特開平1−277338号公報 特開平1−303643号公報 特開2000−79761号公報 特開2000−313170号公報 特開平9−134525号公報 国際公開0072316号パンフレット
本発明は、相変化型光記録媒体の記録方法、特に記録線速度が3.5m/sから最大で約20m/sという幅広い線速度、特にDVDの2倍速〜5倍速(7.0〜17.5m/s)で高密度記録できる相変化型光記録媒体、更には初期結晶化が容易で繰り返し特性と保存特性に優れた相変化型光記録媒体の記録方法の提供を目的とする。
上記課題は次の1)〜9)の発明(以下、本発明1〜9という)によって解決される。
1) 所定の長さの記録マークの時間の長さがnT(nは2以上の整数、Tは基準クロック)であり、該マークを、先頭部の加熱パルスと冷却パルス、中間部の加熱パルスと冷却パルス、及び、後端部の加熱パルスと冷却パルスからなるマルチパルスの光を照射して記録する方法において、加熱パルス時間をOPi、冷却パルス時間をFPi(iはパルス一個の加熱パルス部と冷却パルス部を一組のパルス部とした場合のその数m)とした場合に、先頭部の加熱、冷却パルス時間がOP1、FP1、後端部の加熱、冷却パルス時間がOPm、FPm、一個ないし複数個からなる中間部の加熱、冷却パルス時間がOPj、FPj(j=2、……、m−1)で表されるパルス列において、
(i)記録マーク長nが、n=2L(Lは2以上の整数)の場合、
パルスの数m=L
(ii)記録マーク長nが、n=2L+1(Lは1以上の整数)の場合、
パルスの数m=L
であり、各パルス部の長さOPi+FPi(i=1、……、m)が基準クロックTの2倍を基本とすることを特徴とする光記録媒体の記録方法。
2) 先頭部の加熱パルスの開始位置及び/又は後端部の冷却パルスの終了位置を、基準クロックに比例した変化量で制御し、各マーク長毎にそれを制御することを特徴とする1)記載の光記録媒体の記録方法。
3) 先頭部の加熱パルス時間、中間部の加熱パルス時間、後端部の加熱パルス時間を、基準クロックに比例した時間と一定時間の和で決まる時間で制御し、各マーク長毎にそれを制御することを特徴とする1)又は2)記載の光記録媒体の記録方法。
4) 後端部の冷却パルス時間が2.5ナノ秒以上であることを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の光記録媒体の記録方法。
5) 中間部の加熱パルス時間の開始位置が、記録マーク長がn=2L+1(Lは1以上の整数)の場合において、n=2Lの場合より遅れて開始され、その遅れが0.5Tを基本とすることを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の光記録媒体の記録方法。
6) 加熱パルス時間内に照射する記録パワーPw、冷却パルス時間内に照射するボトムパワーPb、消去するための消去パワーPeが、Pw>Pe>Pbであり、Pbが再生パワーPrに対し、Pb≦Prであり、記録線速度に応じて、異なるボトムパワーPbを照射することを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の光記録媒体の記録方法。
7) 後端部の冷却パルスの後に補正パルス部を設け、そのパワーPcが、Pe>Pc>Pbを満足し、かつ補正パルス時間が、各記録マーク毎に異なることを特徴とする1)〜6)の何れかに記載の光記録媒体の記録方法。
8) 後端部の冷却パルスの後に補正パルス部を設け、そのパワーPcが、Pc<Peを満足し、かつ補正パルス時間が、各記録マーク毎に異なることを特徴とする1)〜6)の何れかに記載の光記録媒体の記録方法。
9) 一定の線密度で、記録半径位置によらず一定の記録線速度で、その速度における一定の基準クロックで記録する方法、或いは内周から外周にかけて半径位置により連続的に線速度が変化し、それに伴い基準クロックが連続的に変化する方法の何れかの記録方法において、1)〜8)の何れかに記載の記録方法を適用することを特徴とする光記録媒体の記録方法。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
図1は、本発明の記録方法の対象となる光記録媒体の基本的構成例を示すもので、基板1上に、下部保護層2、記録層3、上部保護層4、反射層5を有する。
相変化記録層には、記録特性が良いためSb70Te30付近の共晶組成を基本とした、AgInSbTe系、及びAgInSbTeGe系材料が用いられてきた。しかし、これらの材料の場合、SbのTeに対する比率が大きくなるほど結晶化速度が大きくなるし、Sb量が80原子%前後を越えてくると結晶化速度は大きくなるが、保存特性が悪くなり、しかも記録マークを形成し難くなるなど、実用上の課題が残されている。
これに対し、次の(1)〜(3)の記録材料を用いると諸々の課題が解決できる。
(1) 主成分が、組成式XαGeβMnγSbδTeε(式中、XはGa及び/又はSn、α、β、γ、δ、εは原子%、α+β+γ+δ+ε=100)で表わされる材料。ここで、主成分とは記録材料全体の99重量%以上を占めることを意味し、0≦α≦5、1≦β≦5、1≦γ≦10、65≦δ<80、15≦ε≦25、α≦γである。
(2) 主成分が、組成式GeκGaλMnμSbνTeξ(κ、λ、μ、ν、ξは原子%、κ+λ+μ+ν+ξ=100)で表される材料。ここで、主成分とは記録材料全体の99重量%以上を占めることを意味し、1≦κ≦5、1≦λ≦5、1≦μ≦10、65≦ν≦81、13≦ξ≦24である。
(3) 主成分が、組成式AφDχSbψTeω(式中、Aは、Ge、B及びCから選ばれた少なくとも1種の元素、Dは、Al、Ga、Zn、Mn、Ta、Zr、Y、Mg、Ca、Br及びClから選ばれた元素、φ、χ、ψ、ωは原子%、φ+χ+ψ+ω=100)で表される材料を用いる。ここで、主成分とは記録材料全体の99重量%以上を占めることを意味し、2≦φ≦8、3≦χ≦10、60≦ψ≦80、15≦ω≦30である。
基板の材料は、通常、ガラス、セラミックス又は樹脂であり、成形性、コストの点で樹脂基板が好適である。樹脂の例としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられるが、加工性、光学特性等の点でポリカーボネート樹脂が好ましい。また、基板の形状は、ディスク状、カード状、シート状などの何れであってもよい。
保護層は、必ずしも記録層の両側に設ける必要はないが、通常耐熱層としての機能も有しているので、基板1がポリカーボネート樹脂のように耐熱性の低い材料からなる場合には、少なくとも耐熱性下部保護層を設けることが望ましい。
下部保護層、上部保護層材料としては、SiOx、ZnO、SnO、Al、TiO、In、MgO、ZrO、Ta等の金属酸化物;Si、AlN、TiN、BN、ZrN等の窒化物;ZnS、TaS等の硫化物;SiC、TaC、BC、WC、TiC、ZrC等の炭化物が挙げられる。これらの材料は、単体で用いても混合物として用いてもよい。中でも、ZnSとSiOの混合物が、相変化型光記録媒体において一般的に用いられており、その混合比は80:20(モル比)が良い。
特に下部保護層には、ZnS・SiO(モル比80:20)が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
下部保護層は、耐熱保護層及び光干渉層としての機能も有するので、これらの機能を最大限に発揮させるため、膜厚を20〜300nm、好ましくは35〜200nmとする。20nm未満の場合は、耐環境保護機能の低下、耐熱性低下、蓄熱効果の低下を生じ、繰り返しオーバーライト特性の劣化も大きくなる。また300nmよりも厚くなると、スパッタ法等による製膜過程において、膜温度の上昇により膜剥離やクラックを生じたり、記録時の感度の低下をもたらすので好ましくない。
上部保護層は、記録、消去時の熱制御に重要な役割を果たす。
記録層を融点付近まで加熱するには、上部保護層の熱伝導率が低い方が蓄熱し易く、記録層の温度を短時間に上げることができる。しかし、蓄熱は記録マークを形成する時だけでなく、マークを消去する場合にも、記録層を溶融させ結晶成長させるために必要であり、この場合の上部保護層の蓄熱は、記録消去が完了したのち速やかに放熱させる必要がある。そのために反射層が光を反射するだけでなく、放熱する役割を担っている。
上部保護層は、熱伝導率が低く、比熱が小さく、オーバーライトにより結晶化せず、加熱と急冷の多数回の履歴によるクラックの発生、元素の拡散などのないものが良い。ZnS・SiO(モル比80:20)はこれらの条件を満たしているが、線速度が高くなるほど、より短時間に加熱、急冷を行う必要がありより適切な材料の検討が必要になる。更に、感度を上げるためにも、より熱伝導率が低く、オーバーライト時の短時間での加熱と急冷の繰り返しに対する耐熱衝撃性、クラック発生の抑制等を向上させる必要がある。
ZrOは屈折率がZnS・SiO(モル比80:20)とほぼ同じかそれよりも大きく、2.0以上である。しかし、薄膜にする場合は、ターゲット材を使用しこれをスパッタリング法により作製する。ZrOは、良く知れられているようにバルクの結晶を作製する際に、安定化させるためYを燒結助剤として使用する。その量は、2〜10モル%であり、好ましくは3〜6モル%である。
ZrO・Y(モル比97:3)、ZrO・SiO(モル比95:5)、ZnS・ZrO(モル比80:20)、ZrO・TiO(モル比50:50)、ZnS・SiO(モル比80:20)について、バルク状態の熱伝導率(室温)を測定したところ、順に、5.1、3.48、12.1、1.73、8.4(W/mK)であった。屈折率(n)は、ZrO・SiO(モル比95:5)以外は、すべて2以上であった。中でもZnS・ZrO(モル比80:20)は、2.3と最も高かった。減衰定数(k)は、ZnS・SiO(モル比80:20)が最も小さく、ほぼ0であり、ZrOを含む系はそれより大きい。
光学定数の結果は、波長660nmの場合の結果である。従って薄膜にした場合は、ZnS・SiO(モル比80:20)以外はあまり膜厚を厚くすると光吸収が大きくなり、反射率を下げる原因となる。
一方、これら上部保護層を用いて媒体を作製し、記録後に80℃、85%RHで記録マークの保存性を調べたところ、ZrO・Y(モル比97:3)の場合は、マークが消滅した。しかし、ZrO系の繰り返しオーバーライト特性は良く、1000回記録後のジッタ劣化はZnS・SiO(モル比80:20)より少なかった。
これら検討の結果により、ZnS・SiOにZrO・Yを添加することにより、保存性、繰り返しオーバーライト特性、感度がZnS・SiO(モル比80:20)より良いことを見出した。
好ましい配合割合は、SiO5〜50モル%、ZrO5〜50モル%であり、例えば、ZnS:ZrO:Y:SiO=72:10:3:15(モル%)の場合、屈折率2.1、熱伝導率5W/mK、減衰係数は約10−5であった。繰り返しオーバーライト特性もZnS・SiO(モル比80:20)よりも良く、高温高湿環境下のデータの保存性も改善された。
上部保護層もスパッタ法等により形成する。
上部保護層の膜厚は5〜50nm、好ましくは8〜20nmである。5nm未満では記録感度や耐熱性が低下し、50nmより厚くなると、温度上昇による変形、放熱性の低下により繰り返しオーバーライト特性が悪くなる。
反射層には、Al、Ag、Cu、Pd、Cr、Tiなどの金属材料を用いる。反射層は、通常放熱層としての機能も有する。膜厚は、50〜300nm、好ましくは70〜200nmとする。膜厚が厚くなり過ぎると放熱性は向上するが、薄膜を作製する間に媒体の温度上昇によって基板の変形が起きてしまう。
DVDの場合は、基板の厚さがCDの半分の0.6mmであるために、変形がより大きくなり易い。反射層には、従来からAl又はAl合金を用いてきたが、DVDの2倍速では、熱伝導率がより高いAgを用いることにより、特性が向上した。
即ち、線速度が速くなると冷却速度が大きくなるが、マーク形成する際に発光パルスの加熱パルス時間を長くする必要があった。これは基準クロックが小さくなるため加熱不足になることによる。パワーを大きくしていけば良いがパワーには限界がある。一方、加熱時間を長くすると、冷却時間が短くなってしまい冷却時間の不足が起きるため、マークが形成し難くなる。これは、一つの加熱と冷却のパルス時間の和が基準クロックであり、この制約の中で変えているためである。
この問題を解決するためには、冷却効率を上げることができるAgを用いるのが良いが、上部保護層がS(イオウ)を含み、反射層がAgの場合、高温高湿下ではAgSが形成され易く、これが特性劣化、欠陥発生の原因になり問題となる。そこで、図2に示すように、反射層と上部保護層の間に上部第2保護層4′を設けることが必要になってくる。
このような上部第2保護層の材料として、酸化物、窒化物、炭化物、金属について鋭意検討した結果、Si、SiC、ZrO・Y、MgO、TiOxが好ましいことが分った。中でもSi、SiC、又はこれらを主成分とする材料は、Agとの密着性が良く、特にSiが好ましい。なお、主成分とは、材料全体の99重量%以上を占めることを意味する。しかし、これらの材料は光吸収が大きく反射率を低下させるため、膜厚をあまり厚くできない。
一方、ZrO・Y、MgO及びTiOxからなる酸化物系は、Agとの熱膨張係数の差が小さいので、膜の応力が原因で膜が剥がれることはなく、密着性も良く透明であるため、反射率を下げることもない。故に、上記酸化物系又はこれを主成分とする材料は特に好適である。なお、主成分とは、材料全体の99重量%以上を占めることを意味する。
上部第2保護層の膜厚は、2〜10nmとする。2nmよりも薄いとAgSの形成を抑え難くなり保存特性が悪くなる。また、10nmを越えると、反射層との距離が大きくなるため、放熱効率が下ってしまう。
反射層をAgにすることにより、特性が向上すると述べたが、Agそのものの腐食性や上部保護層との密着性を考慮すると、Ag単体でも、薄膜作製時のスパッタリング条件を最適化し、反射層の上に環境保護層として用いるアクリル系紫外線硬化型樹脂の硬化条件、厚さを最適化すれば、実用上問題はない。
しかし、最適条件で作製されていなかったり、DVDのように、記録膜のない基板を貼り合わせる前の保管条件や、基板自身の吸湿、紫外線硬化型樹脂の吸湿により、劣化する懸念がある。
そこで、Agを95原子%以上、残りをCu及びNiを添加した合金、AgxCuyNi100−x−y(x、yは原子%、x≧95、0<y≦5、100−x−y>0)を用いることにより、信頼性が向上する。CuとNiの割合は、NiよりもCuが多い方が良い。
Agに対するCu及びNiの添加量が5原子%を越えると、熱伝導率が著しく減少するため好ましくなく、特に2原子%以下が良い。
以上のような構成の相変化型記録媒体は、記録波長が400〜780nmの範囲で記録再生が可能である。
DVDの場合、レーザー光波長650nm、対物レンズの開口率を0.60〜0.65、入射光のビーム径を1μm以下とするため、基板の厚さを0.6mmとして収差を小さくしている。
マークが書き込まれる溝部と溝部のピッチは、0.74μm、溝深さは15〜45nm、溝幅は0.2〜0.3μmとする。溝は、約820kHzの周期を持つ蛇行状溝となっている。アドレス部は、この位相を反転させ、この位相変化部分を検出し、2値化信号に変換してアドレス(番号)を読み取る。この蛇行部の振幅は、5〜20nmである。記録線密度は、0.267μm/bitで、(8−16)変調方法で記録する。最短マーク長は0.4μmになる。
DVDの2倍速は、線速度7m/s(6.98m/s)であり、基準クロック周波数は52.3MHz(T:19.1ナノ秒)になる。
5倍速の場合は、線速度17.5m/s、基準クロック周波数は130.8MHz(T:7.65ナノ秒)になる。
同じ記録密度では高線速度になるほど基準クロックが短くなるが、使用している650nmの波長を発振するLDのパルスの立ち上がり、立下がり時間が約2ナノ秒であるため、より高線速度においては基準クロックがパルスの立ち上がり、立下がり時間に近づいてくる。そのため、記録層を加熱、冷却するための時間が短くなるだけでなく、パルスの立ち上がり、立下がりに要する時間を考慮すると、実効的な加熱、冷却時間はなお一層短くなってしまう。その結果、記録マークを所定の長さにすることができないだけでなく、マークの面積が小さくなり、十分な信号特性が得られない。
その対策としては、例えば加熱時間が短くなる分、記録パワーをより高くすれば良いが、パワーにも限界がある。
一方、冷却時間が短くなる分、媒体での放熱効率を高くする必要がある点についても、結局感度が悪くなるし、より高い熱伝導率の材料を求めるにしても容易には見つけられない。
従って、更に記録特性を向上させるには記録方法を新たに考える必要がある。
図3に、従来の記録方法で用いてきた発光パルスのパルス波形を示す。
記録パワーPwを照射して加熱する加熱パルス時間部OPi(i=1〜m)と、消去パワーPe及び再生パワーPrよりも低いパワー状態の冷却パルス時間部FPi(i=1〜m)との和が、基本的にTとなるように、加熱パルス時間と冷却パルス時間を調整し最適条件とした。
パルスの数は、図3には記録マーク長が5Tの場合を示している。パルスの数mは、各マーク長とも(n−1)個であるが、mは(n−2)の場合もある。
先頭部の加熱パルスの開始位置は、所定のマーク長となるように、またマーク端部も非晶質相が溝の境界まで記録できるように調整する。従って、先頭部の加熱パルス時間と冷却パルス時間の和はTを越えることがある。中間部及び後端部の加熱パルスの開始位置は同じである。
線速度が17.5m/sの場合、基準クロックが約7.5ナノ秒になってくると、1Tの長さのマークを記録する場合、加熱と冷却をこの時間内で制御しなければならないので、各々0.5Tとしても、4ナノ秒以下となる。
パルスの立ち上がりが1.5〜2ナノ秒であるため、発光開始から発光終了までの時間内では十分に記録層が加熱されないし、加熱されても溝の中心部に限られてしまい、マークの面積が小さい細長いマークになってしまう。
また、冷却パルス時間も同じことであり、十分な時間が取れないとマークが記録できなくなり、所定の長さのマークが形成し難くなる。
従って、従来の方法でも、記録ができない訳ではないが、線速度が20m/sより速くなると、記録できなくなるか、記録できたとしても時間のマージンが殆んど無くなり、実用に供することはできなくなってしまう。
このような問題があるため、高密度、高線速記録において記録マークの形成が困難になることは明らかであり、その解決方法として、特開平9−134525号公報には次のような手段が開示されている。
即ち、加熱パルスと冷却パルスの和を1Tより長くとり、パルスの数を減らし、更に3Tマークを除いて、奇数長、偶数長で、中間部及び後端部の加熱パルス時間及び冷却パルス時間の幅をそれぞれ定義している。即ち、奇数マークでは、3Tのパルスは1個であり、n=5、7、9、……とマーク長が2T長くなる毎に加熱パルスと冷却パルスが各々1Tでその和が2Tのパルスを1個ずつ増加させる。また偶数マークでは、4Tマークがパルス2個で、マーク長が2T長くなる毎に奇数マークの場合と同様のパルスを1個ずつ増加させる。
しかし、この手段ではパルス時間が限定されており、CDより密度の高いDVDの場合の高線速度における検討が十分でない。
そこで、本発明では、より記録特性の優れた記録方法について検討した。
図4に、DVDの5倍速の場合における、本発明の記録波形を示す。
この図は、3Tから14Tのマーク長を記録するための、各マーク長毎の発光パルス波形を示しており、横軸の数値は基準クロックTに掛かる係数であり、その意味するところは、0T〜16Tの時間を表している。
図の3Tの場合は、パルスの数が1個で、先頭部の加熱パルスと後端部の冷却パルスのみからなる。記録マーク長nTの内、n=2L(Lは2以上の整数)の場合はパルスの数m=L、n=2L+1(Lは1以上の整数)の場合はパルスの数m=Lである。しかし、パルスの数については、5Tが3個であっても良い。
また、4T、7Tマークの後端部の冷却パルス時間は、2.7ナノ秒であり、2.5ナノ秒以上が好ましい。これよりも短いと、冷却時間が短か過ぎて、マークの後端の長さ調整が効かなくなる。
先頭パルスの開始位置は、実際に記録される記録マークの先端(先頭)位置を基準にした場合、基本的にそこから1T遅れることが好ましい。しかし、マーク長及びマークの先端部をより良く制御するために別の手段を採用してもよい。
また、先頭パルスの加熱時間OP1は、0.5T<OP1<2.0Tの範囲が良く、先頭パルスの冷却時間FP1は、0.5T<FP1<2.0Tが良い。
中間部の加熱パルス時間OPj、及び冷却パルス時間FPjの範囲は、0.5T<OPj<1.5T、0.5T<FPj<1.5Tが良い。
後端部の加熱パルス時間OPmは、0.4T<OPm<1.5Tが良いが、好ましくは、0.5T≦OPm≦1.2Tである。後端部の冷却パルス時間FPmは、0.32T以上か2.5ナノ秒以上である。
これらの条件の範囲内で、図5に示すような各パルスについて、基準クロックに比例する時間と一定時間に比例する時間の和で制御するか、或いは基準クロックに比例する時間のみで制御する。この方法は、半径位置により線速度が変わるCLV方式にも対応でき、また連続的に基準クロックが変化する場合においても、各線速度で特性を損なうことなく記録できる。
先頭部の加熱パルス開始位置を1T遅れた位置とし、この基準位置からの変化時間をdTtop、先頭部の加熱パルス時間の幅をTtop、中間部の加熱パルス開始位置を3T遅れた位置とし、そのパルス時間の幅をTmpとする。また、6T以降のマーク長に対して、記録マーク長nが、n=2L+1(Lは3以上の整数)の場合、その開始位置を、Δ1遅らせる。このΔ1は、基本的に0.5Tとする。但し、n=2Lの場合、Δ1は0Tとなるが、これに限らなくてもよい。
後端部の加熱パルス開始位置は、基準マーク長から1T手前とする。所定の長さのマークを記録するために、この部分を変化させても良い。これをΔ2とする。好ましくは、−0.5T<Δ2<0.5Tである。
後端部の加熱パルス時間の幅をTclとする。この時間は、0.5T<Tcl<1.5Tが好ましい。
後端部の冷却パルス時間は、基準マーク長の後端を基準に、dTclとする。好ましい幅は、−1.0T<dTcl<1.0Tである。
このような記録方法において、加熱パルス時間に照射するLDのパワーを記録パワーPw、冷却パルス時間に照射するパワーをボトムパワーPbとし、これらのパワーは、全てのパルスにおいて一定とする。しかし、先頭部のみ他の部分のパルスよりも高くするなどしても良い。
低い線速度から高い線速度までの幅広い線速度で記録する場合、ボトムパワーPbとして、消去パワーPeよりも低く、更に再生パワーPrよりも低いパワーを照射するが、線速度に応じて変えても良い。線速度が速くなると、冷却速度も速くなるため、媒体によっては記録マークの後端部で所定の長さよりも長くなることがある。特に、後端部の冷却パルス時間に照射するPbの値を再生パワーPr以下(Pb≦Pr)の範囲で高くすると有効である。
線速度が速くなっても記録マークを所定の長さに記録することは、以上の方法により達成される。しかし、初期化後、最初に記録する場合は問題ないが、オーバーライトする場合には、高線速度ほど前のマークの消し残りが生じ易い。これは、線速度が速くなるほど、後端部のPbからPeまでのパルスの立ち上がり時間が短く(平均2ナノ秒)、Peが低いと消去させるのに必要な温度に到達しないためである。低い温度で消すには加熱状態を長く保たなければならないが、十分な時間がとれない。また、Peを高くしてやれば良いが、あまり高くすると、消し残りはなくなるものの、記録したマークが再結晶化され必要なマークも消してしまう。
そこで、図6に示すように、発光パルスの最後端部に、Pbより高いがPeよりも低い補正パワーPc(Pe>Pc>Pb)を照射する。照射時間tcは1T以下が好ましい。この方法により、より高線速度でのマーク後端部の長さを制御でき、消去パワーを高くしても残りのマークを消去することができる。
また、PcをPeより高くすると(Pe<Pc)、マークを記録した後、短い時間で加熱するのに有効であり、結晶化速度が遅い記録層に対して有効である。この補正パワーの照射時間も1T以下が良い。これよりも長いと、記録マークを必要以上に消してしまうか、後続のマークとの間が狭い場合に記録マークの先端を消してしまうためである。
Pw≦22mW、Pe≦15mW、Pb≦Pr、Pr<1mWの条件で行った。
本発明1〜8によれば、高密度・高線速記録に適した記録方法を提供できる。
また、本発明9によれば、本発明1〜8をCAV方式又はCLV方式に適用した記録方
法を提供できる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1〜15
溝ピッチ0.74μm、溝幅0.25μm、溝深さ25nm、厚さ0.6mmのポリカーボネート製基板を用い、この上にスパッタリング法により各層を積層して記録媒体を作製した。
まず、ZnS:SiO=80:20(モル%)のターゲットを用いて、膜厚68nmの下部保護層を作製した。
次に、表1の実施例1〜15の実施例の欄に示す組成に対応する合金ターゲットを用いて、膜厚16nmの各相変化記録層を作製した。これらの記録層の基本組成は、GeMnSbTe、GeGaMnSbTe、GeSnMnSbTeの何れかである。
次に、下部保護層と同じZnS:SiO=80:20(モル%)のターゲットを用いて、膜厚10nmの上部保護層を作製した(実施例1〜12)。
別に、ZnS:ZrO:Y:SiO=62:20:3:15の混合物ターゲットを用いて、膜厚10nmの上部保護層を有する媒体を作製した(実施例13〜15)。
次に、表1に示す組成の膜厚4nmの上部第2保護層を作製した。
次に、表1に示すAg又はAgCuNi合金からなる膜厚140nmの反射層を作製した。
次に、耐環境性を向上させるために、大日本インキ製SD318、紫外線硬化樹脂を塗布したのち硬化させて膜厚5ミクロンの保護膜を作製した。
最後に、積層膜の無いもう一枚の同一ポリカーボネート製基板を、厚さ40μmの紫外線硬化樹脂(アクリル製、日本化薬 DVD003)により貼合わせて記録媒体を得た。
その後、大口径LD(トラック方向1μm×半径方向196μm)を用い、線速度3.5m/s、パワー850mW、ヘッドの送り速度36μm/回転で記録層を結晶化させた。記録再生は波長657nm、対物レンズNA0.65のピックアップヘッドを用いて、線速度17.5m/sで記録密度が0.267μm/bitとなるように記録した。記録データの変調方式は(8−16)変調、記録パワーは19mW、バイアスパワーは0.1mW、消去パワーは6mWとして、記録した。
記録方法は、図3に示す従来用いられてきたパルス波形にて行った。各マーク長のパルスの数は、(n−1)とした。図3の各時間は、OP1=4ナノ秒、FP1=4.3秒、OPj、OPm=3.5ナノ秒、FPj=4.1ナノ秒、OPm=4.5ナノ秒とした。Tは、7.6ナノ秒とした。
表1に、隣接する5トラックをDOW(ダイレクトオーバーライト)1000回記録した場合のデータ・トゥー・クロック(d原子原子o clock)ジッタ値を示したが、1回記録のジッタ(σ/T)は、7〜8%であった。
また、10回記録した後、80℃、85%RHで300時間、高温高湿環境下に放置したときのジッタ上昇値(%)と、25℃、95%RHで6時間保持し、更に40℃、95%RHで6時間保持するというサイクルを6回繰り返した後の欠陥率を調べた。結果を表1に示したが、欠陥率の評価基準は、10−5以下を「○」、それ以上か目視レベルで欠陥がある場合を「×」とした。
比較例1〜3
記録層をAgInSbTeに代え、反射層をAlTi(比較例1、2)、又はAg(比較例3)に代え、上部第2保護層を設けなかった点以外は、実施例1と同様にして記録媒体を作製した。
表1に、実施例1と同様の条件で調べたデータ・トゥー・クロックジッタ値を示したが、1回記録のジッタ(σ/T)は、比較例1、2が9%、比較例3が8%であった。
また、実施例1と同様の条件で測定したジッタ上昇値(%)、及び同様の条件で調べ、同様の基準で評価した欠陥率を表1に示したが、比較例1、2では、実施例1〜15に比べてジッタが大幅に上昇し、比較例3では欠陥率の評価が「×」であった。
実施例16
実施例4の層構成の記録媒体に対し、図4に示す方法で記録した。
図5に示す各パラメータとしては、dTtop=±0.1T×n′、Ttop=(T/12)×n′+0.5×m′、Tmp=(T/12)×n′+0.5×m′、Tlp=(T/12)×n′+0.5×m′、dTcl=0.05T×n′とした。各パラメータのn、mの値を表2に示す。
図7には、本実施例に係るジッタのDOW回数依存性を示した。
この場合も、隣接する5トラックを連続して記録した。消去パワー、記録パワーの比をPe/Pw=0.36とした。記録パワーは18mWとした。
DOW1000回後において、ジッタ10.5%、変調度72%であった。ボトムパワーPbは0.1mWとした。
比較例4
比較例1の記録媒体を、実施例16と同じ条件で記録したところ、変調度は実施例16より低い63%であり、ジッタも実施例16に比べて2%高かった。
図7に、本比較例に係るジッタのDOW回数依存性を示した。
実施例17
ボトムパワーPbを再生パワーPrと同じ0.7mWとした点以外は、実施例16と同様にして記録した。その結果を図8に示したが、ジッタが記録回数によらず約1%改善された。
実施例18
実施例16、実施例17と同じ記録媒体を用い、同じ条件で記録した。
次に、図6に示すような補正パルスを、奇数長について、Pc=8mW、tc=0.7T、偶数長において、Pc=8mW、tc=0.5Tとしたところ、ジッタが記録回数によらず実施例17よりも1%改善され、9%以下になった。
Figure 2008204624
Figure 2008204624
実施例19〜26、比較例5〜8
トラックピッチ0.74μm、溝深さ40nm、厚さ0.6mm、直径120mmφのポリカーボネート基板を高温で脱水処理した後、スパッタにより下部保護層、記録層、上部保護層、上部第2保護層、反射層を順次製膜した(図2)。
下部保護層にはZnS−SiOターゲットを用い、膜厚70nmとした。
記録層には、所定組成比に合成した後に粉砕し燒結した合金ターゲットを使用し、アルゴンガス圧3×10−3Torr,RFパワー300mWでスパッタし、膜厚18nmとした。
上部保護層にはZnS−SiOターゲットを用い、膜厚15nmとした。
上部第2保護層には、SiCターゲットを用い、膜厚4nmとした。
反射層には、Ag合金ターゲットを用い、厚さ140nmとした。
更に、反射層上にアクリル系紫外線硬化樹脂からなる有機保護膜をスピナーによって厚さ5〜10μm塗布し、紫外線硬化させた。
更にこの面に、直径12cm、厚さ0.6mmのポリカーボネートディスクを接着シートにより貼り合わせ、大口径レーザ照射により記録層を初期結晶化して光記録媒体とした。
この試料を用いて、電子線回折法により記録層の構造解析を行なった。また、別途記録層単膜の試料を作成し、X線回折法により記録層の構造解析を行なった。
光記録媒体の信号特性評価には、波長656nm、NA0.65のピックアップを用いた。記録はパルス変調法を用い、記録データはEFM+変調方式により、記録密度0.267μm/bit、各記録層に応じた最適記録線速、最適記録パワーで記録した。記録ストラテジもジッタが最小となるように各々最適化して使用した。再生は全てパワー0.7mW、線速3.5m/sで行ない、GDWD WR FORFN ジッタ(ここでは、σを検出窓幅Twで規格化した値をジッタと呼ぶ)を測定した。
表3に実施例19〜26、比較例5〜8で使用した記録層組成、表4に記録層の結晶構造、記録可能最高線速、繰り返し記録回数、結晶化温度、アーカイバル上昇率、初期結晶化、融点を示した。
記録層の結晶構造は、X線回折法、電子線回折法より構造解析した。“歪んだNaCl型構造”とは、NaサイトとClサイトに記録層を構成するどの原子も入ることのできる乱れがあり、NaCl型構造が歪んでいる構造のことを指す。
記録可能最高線速とは、記録ストラテジ、記録パワーを実施例毎に最適化して記録した場合のジッタが10%以下で記録可能な最高線速である。何れの場合も、記録ストラテジを変えることにより、記録可能最高線速以下の線速においても良好な記録は可能である。
繰り返し記録回数は、オーバーライト後のジッタが12%以下である繰り返し記録回数とした。
アーカイバルは、80℃300時間保存後のσの初期値に対する増加率を示した。
初期結晶化とは、初期化結晶化後の反射率が面内で均一になっている場合を○とし、反射率に分布がある場合を困難とした。
また、示差走査熱量測定器により昇温速度を10℃/分のときの結晶化温度を測定した。
融点は、示差熱熱重量同時測定器により測定した。
実施例19〜26では、記録最高線速が17m/s、融点530〜560℃、結晶化温度150〜200℃になるように記録層組成を設計し、単膜及び媒体を作製した。
記録層の物性を評価した結果、実施例19〜26では記録層の構造は全て局所的に歪んだ結晶構造となっており、結晶化温度及び融点は所望の値となっていることが確認された。
媒体特性を評価した結果、初期結晶化後の反射率は面内で均一になっており、記録可能最高線速17m/s以上、繰り返し記録回数は5000回以上、アーカイバル上昇率は1.5%内に抑えられた。
図9に実施例19のX線回折スペクトルを示す。
このスペクトルはNaCl型の結晶構造において指数付けすることができる。電子線回折ではNaCl型結晶格子の歪みを示す回折スポットが現れた。試料の状態によっては収束電子線回折又はナノビーム回折法を用いた方が観察し易い。
前にも述べたように、NaサイトとClサイトに記録層を構成するどの原子も入ることのできる乱れがあることにより、Sb−Te結合、Sb−Sb結合、Te−Te結合、Te−Ga結合、Te−Ge結合、Te−Mn結合が生じ、隣接結合距離が違ってくるために、局所的に歪んだ構造となると思われる。
実施例20〜26でも同様な結果が得られた。
比較例5では、本発明の記録層組成よりも、Teを8原子%と少なくし、同様の評価を行なった。図10にX線回折スペクトルを示す。
ここでは、通常のNaCl型結晶構造からのピーク以外に、Sbのピークが現れた。この媒体の特性を評価したところ、繰り返し記録回数が400回と少なかった。Sbに対しTe量が非常に少ないため、Sbが析出していると思われる。
比較例6では、Mnを0原子%とし、Ge、Ga、Sb、Teのみの記録層を
用いた。記録可能線速を17m/sに設計するために、Gaを本発明よりも多く9原子%添加したところ、X線回折ではGaTeのピークが現れた。
また、この媒体の初期結晶化を行なったところ、初期結晶化後の反射率が面内で均一になっていなかった。これは、結晶化温度が240℃と高かったため、初期結晶化が困難であったと思われる。
比較例7では、Geを本発明よりも多い10原子%とした。その結果、保存特性は良いものの、Geは結晶化速度を遅くする効果があるため、記録可能線速17m/sは達成できなかった。
また、Ga、Mnの添加量を多くすることにより17m/sを達成した場合は、記録層の構造が混相となり、繰り返し特性が悪くなった。
比較例8では、Geを0原子%とした。この場合、繰り返し特性、保存特性が著しく悪くなった。
Figure 2008204624
Figure 2008204624
実施例27〜38、比較例9〜12
トラックピッチ0.7μm、溝深さ40nm、厚さ0.6mm、直径120mmφのポリカーボネート基板上に、表5に示す構造の記録媒体を作製するため、下部保護層、記録層、上部保護層、反射層をスパッタ法により順次設けた。
更に反射層の上には、スピンコート法により環境保護層を設けた。
次に、得られた記録媒体を初期結晶化した後、記録線速、記録パワーを11m/s(13mW)、13m/s(15mW)、15m/s(17mW)として記録を行った。このときの記録レーザの波長は635nmとし、EFMランダムパターンでオーバーライトの繰り返しを行い、3T信号のジッタ値で記録信号の評価をした。
また、保存特性は、初期に記録した記録媒体を80℃、85%温湿下で300時間保持した後の初期記録(オーバーライト1回目)の3T信号のジッタ値で評価した。
結果を表6、表7に示す。
Figure 2008204624
Figure 2008204624
Figure 2008204624
表6、表7から明らかなように、記録層が、Teと、Sbと、B、C及びGeから選ばれた少なくとも1種の元素と、Al、Ga、Zn、Mn、Ta、Zr、Y、Mg、Ca、Br及びClから選ばれた少なくとも1種の元素からなる場合、高線速におけるオーバーライト特性と保存特性が極めて良好であることが分かる。
即ち、記録材料を決められた範囲内で使用する限り、高線速下での記録と消去が可能となり、長期に亘り安定した記録媒体を提供することができる。
具体的には、比較例9のSb79Te21は極めて保存特性が悪く、また、15m/sの高線速下ではオーバーライトができない。
これにGeを添加して保存特性を改良したものが比較例11であるが、15m/sの高線速下では記録ができない。
このため、Znを添加して高線速化したのが比較例12であるが、保存特性は極めて悪い。
また、比較例10のAgInSb74Te17は、繰り返し特性が悪い。
これに対し、前記(3)の記録材料を用いることにより、これら比較例の欠点を解消することができる。
本発明の記録方法の対象となる光記録媒体の基本的構成例を示す断面図。 本発明の記録方法の対象となる光記録媒体の別の構成例を示す断面図。 従来の記録方法で用いてきた発光パルスのパルス波形を示す図。 DVDの5倍速の場合における、本発明の記録波形を示す図。 本発明に係る各パルスの説明図。 発光パルスの最後端部に補正パワーPcを照射する状態を説明する図。 ジッタのDOW回数依存性を示す図。 実施例17のジッタの結果を示す図。 実施例19のX線回折スペクトルを示した図。 比較例5のX線回折スペクトルを示した図。
符号の説明
1 基板
2 下部保護層
3 記録層
4 上部保護層
4′ 上部第2保護層
5 反射層
T 基準クロック
1T〜14T 記録マーク長
0〜16 基準クロックTにかかる係数
Pw 記録パワー
Pe 消去パワー
Pb 冷却パルス時間内に照射するボトムパワー
Pc 補正パルスパワー
OPi 加熱パルス時間
FPi 冷却パルス時間
OP1 先頭部の加熱パルス時間
FP1 先頭部の冷却パルス時間
OPj 中間部の加熱パルス時間
FPj 中間部の冷却パルス時間
OPm 後端部の加熱パルス時間
FPm 後端部の冷却パルス時間
Ttop 先頭部の加熱パルス時間の幅
dTtop 先頭部の加熱パルス開始基準位置からの変化時間
Tmp 中間部の加熱パルス時間の幅
Tlp 後端部の加熱パルス時間の幅(=FPm)
Tcl 後端部の冷却パルス時間の幅
dTcl 後端部の冷却パルス時間
Δ1 記録マーク長nが、n=2L+1(Lは3以上の整数)の場合に遅らせる開始位置の幅
Δ2 後端部の加熱パルス開始位置の変化させる幅
tc 照射時間

Claims (9)

  1. 所定の長さの記録マークの時間の長さがnT(nは2以上の整数、Tは基準クロック)であり、該マークを、先頭部の加熱パルスと冷却パルス、中間部の加熱パルスと冷却パルス、及び、後端部の加熱パルスと冷却パルスからなるマルチパルスの光を照射して記録する方法において、加熱パルス時間をOPi、冷却パルス時間をFPi(iはパルス一個の加熱パルス部と冷却パルス部を一組のパルス部とした場合のその数m)とした場合に、先頭部の加熱、冷却パルス時間がOP1、FP1、後端部の加熱、冷却パルス時間がOPm、FPm、一個ないし複数個からなる中間部の加熱、冷却パルス時間がOPj、FPj(j=2、……、m−1)で表されるパルス列において、
    (i)記録マーク長nが、n=2L(Lは2以上の整数)の場合、
    パルスの数m=L
    (ii)記録マーク長nが、n=2L+1(Lは1以上の整数)の場合、
    パルスの数m=L
    であり、各パルス部の長さOPi+FPi(i=1、……、m)が基準クロックTの2倍を基本とすることを特徴とする光記録媒体の記録方法。
  2. 先頭部の加熱パルスの開始位置及び/又は後端部の冷却パルスの終了位置を、基準クロックに比例した変化量で制御し、各マーク長毎にそれを制御することを特徴とする請求項1記載の光記録媒体の記録方法。
  3. 先頭部の加熱パルス時間、中間部の加熱パルス時間、後端部の加熱パルス時間を、基準クロックに比例した時間と一定時間の和で決まる時間で制御し、各マーク長毎にそれを制御することを特徴とする請求項1又は2記載の光記録媒体の記録方法。
  4. 後端部の冷却パルス時間が2.5ナノ秒以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光記録媒体の記録方法。
  5. 中間部の加熱パルス時間の開始位置が、記録マーク長がn=2L+1(Lは1以上の整数)の場合において、n=2Lの場合より遅れて開始され、その遅れが0.5Tを基本とすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光記録媒体の記録方法。
  6. 加熱パルス時間内に照射する記録パワーPw、冷却パルス時間内に照射するボトムパワーPb、消去するための消去パワーPeが、Pw>Pe>Pbであり、Pbが再生パワーPrに対し、Pb≦Prであり、記録線速度に応じて、異なるボトムパワーPbを照射することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の光記録媒体の記録方法。
  7. 後端部の冷却パルスの後に補正パルス部を設け、そのパワーPcが、Pe>Pc>Pbを満足し、かつ補正パルス時間が、各記録マーク毎に異なることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の光記録媒体の記録方法。
  8. 後端部の冷却パルスの後に補正パルス部を設け、そのパワーPcが、Pc<Peを満足し、かつ補正パルス時間が、各記録マーク毎に異なることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の光記録媒体の記録方法。
  9. 一定の線密度で、記録半径位置によらず一定の記録線速度で、その速度における一定の基準クロックで記録する方法、或いは内周から外周にかけて半径位置により連続的に線速度が変化し、それに伴い基準クロックが連続的に変化する方法の何れかの記録方法において、請求項1〜8の何れかに記載の記録方法を適用することを特徴とする光記録媒体の記録方法。
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