JP2007296827A - 防炎性印字用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】平滑性を損なうことなく印字性を維持し、また、ハロゲン系防炎剤を含まなくとも充分な防炎性を有し、しかも、洗たく処理後や経時的にもその防炎性能が維持される優れた耐久性を有し、かつ、外観、触感も良好な印字シートを提供することを課題としている。
【解決手段】ポリウレタン樹脂からなる印字層、シート状基材およびジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層を含む防炎性印字用シート。また、前記ポリウレタン樹脂からなる印字層が、湿式凝固することによって得られる多孔層であると好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、防炎性印字用シートに関する。特に、本発明は、熱転写方式やインクジェット方式等の印刷方法で印刷可能であり、耐久性に優れた防炎性のある印字用シートに関する。
従来、繊維からなる基材上に、ポリウレタン樹脂を湿式凝固して多孔層を形成することは知られている。印字用シートとして用いるために、印字面の平滑性が重要となるが、基材として布帛を用いる場合、その平滑性は布帛の凹凸の影響を強く受けるため、多孔層の厚みが重要となる。しかし、ポリウレタン樹脂は燃焼性が高く、そのため厚みが厚くなるに伴い印字シートの防炎性能は低下することとなる。一方、布帛への防炎性の付与の手段としては、防炎剤の吸尽による付与がよく知られている。しかし、この方法では、上記の理由により、印字シートには十分な防炎性を与えることができない。また、ポリウレタン樹脂溶液に防炎剤を添加して防炎性を付与する方法が知られている。しかし、この方法では、添加された防炎剤により多孔層の形状変化が生じ、十分な平滑性を得ることが困難となる。
また、従来、防炎剤としては、デカブロモジフェニルエーテルやヘキサブロモシクロドデカンなどのハロゲン系防炎剤が使用されていたが、このようなハロゲン系防炎剤を含む印字シートが燃焼すると、わずかであるが人体に有害なダイオキシン類が発生する危険性が指摘されたことから、ノンハロゲン系の防炎剤の使用が望まれている。
ノンハロゲン系防炎剤として、すでに様々なリン含有防炎剤が提案されている。
たとえば、無機のリン含有防炎剤としては、ブーデンハイム社が製造するポリリン酸アンモニウムのメラミン被覆物(商品名テラージュ C−30、C−60等)のような無機リン酸化合物、日産化学工業(株)より市販されているポリリン酸メラミン(商品名PMP−100、PMP−200等)、赤燐系の防炎剤などがある。
また、有機のリン含有防炎剤として、たとえば、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシレノールホスフェート)、大八化学工業(株)や旭電化工業(株)が製造する縮合リン酸エステル類等のリン酸エステル化合物;三光(株)が製造する環状リン化合物(商品名SANKO−HCA−HQ等);大塚化学(株)が製造するホスファゼン誘導体(商品名フェノキシフォスファゼンRP−100等)などがある。
また、このようなリン含有防炎剤を使用して繊維布帛そのものを防炎処理する方法も提案されている。たとえば特許文献1には、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)を界面活性剤の存在下で分散させた分散液を、繊維質量に対して5〜15質量%用いて、さらに分散染料を併用し、130℃まで昇温して、30分から1時間保持することにより、ポリ
エステル繊維の染色と同時に繊維中に吸尽させて固着させる方法が開示されている。また、特許文献2では、特定の環状リン化合物の水分散品をポリエステル系繊維の防炎加工に使用
する方法が記載されている。
さらに、糸製造段階でリン系化合物をエステル結合して防炎化したポリエステル繊維とし
て、東洋紡(株)のハイム(商標)や帝人ファイバー(株)のスーパーエクスター(商標)などの防炎性ポリエステルも製造されている。
また、リン含有防炎剤を使用して樹脂層を防炎処理する例として、特許文献3には、防炎性の印字用シートとして、繊維布帛を含む基材上に、バインダー樹脂およびポリリン酸アンモニウム系の化合物などを含むインク受容層が積層された防炎性印字用シートが開示されている。
特開2000−328445号公報 特開2002−275473号公報 特開2002−321452号公報
しかしながら、印字用シートをリン含有防炎剤を用いて防炎化しようとした場合、防炎性能やその耐久性、外観、触感などの品質面で種々の問題があり、ハロゲンを含まずに実用性のある防炎性の印字用シートは得られていないのが現状である。 たとえば、ウレタン樹脂層をリン含有防炎剤で防炎化する場合、防炎剤を多量に用いても防炎性が得られ難い場合がある。たとえば上述したポリリン酸メラミンは、ポリリン酸とメラミンを完全に反応させたもので水には溶けないが、リン含有率が10〜15質量%と低く、該防炎剤を多量に用いても防炎性能の達成が困難である。
また、仮に防炎性が達成されても、洗たくや屋外暴露時の降雨により防炎剤がブリードアウトしてしまい、その機能を失ってしまう場合がある。さらに、ウレタン樹脂皮膜の表面への防炎剤のブリードアウト等によりタック感が出たり、ウレタン樹脂皮膜が硬くなって外観や触感及び印字性や印字走行性が損なわれるなどの問題もある。たとえばポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウムのメラミン被覆物のような無機リン化合物を用いた場合、これらの無機リン化合物は、リン含有率が20質量%以上と高く、防炎性は達成しやすいが、水、特に温水に溶けやすいため、ウレタン樹脂層からブリードアウトしやすく、上記のような問題を生じやすい。 また、赤燐系の防炎剤は、防炎性の効果は高いが、赤みの着色があって製品の色相に制限がある。加えて、時間の経過とともにホスフィンが生成して臭気が発生する問題もある。
さらに、有機のリン含有防炎剤は、もともと、ポリリン酸アンモニウム等の無機のリン含有防炎剤と比較してリン含有率が低く、防炎性の効果が劣る傾向がある。また、他にも本質的な問題がある。 たとえば、リン酸エステル化合物共通の問題点として、エステル結合が経時的に加水分解してしまうので、その性能が失われる問題がある。 また、大八化学工業(株)や旭電化工業(株)が製造する縮合リン酸エステル類として液状や固体のものがあるが、これらの液状や低融点の化合物は、時間の経過ともに、ウレタン樹脂層の表面にブリードアウトして該表面にタック感を生じる問題がある。 三光(株)が製造する環状リン化合物や、大塚化学(株)が製造するホスファゼン誘導体などは加水分解しない化合物とされているが、これらは融点の低い固体物質であるため、ウレタン樹脂層の風合を硬化させたり、表面にブリードアウトして外観を変化させたり、表面の触感を好ましくないものにする弊害がある。
このように、ノンハロゲン系の防炎剤としてリン含有防炎剤を使用する試みはあるが、上記のような品質面での問題から実用化できていなかった。 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、印字用シートにおいて、その印字面の平滑性を損なうことなく、また、ハロゲン系防炎剤を含まなくても充分な防炎性を有し、しかも、洗たく処理(水洗たく、ドライクリーニング等)後、経時的にもその防炎性が維持される優れた耐久性を有し、かつ外観・触感も良好な印字用シートを提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、上記課題は下記の構成を有する本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の構成(1)〜(5)からなる。
(1)ポリウレタン樹脂からなる印字層、シート状基材およびジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層を含む防炎性印字用シート。
(2)前記ポリウレタン樹脂からなる印字層が、湿式凝固することによって得られる多孔層である、上記(1)に記載の防炎性印字シート。
(3)前記ポリウレタン樹脂からなる印字層が、離型紙上に形成されたポリウレタン樹脂皮膜を接着剤を介して積層して得られた無孔質層である、上記(1)に記載の防炎性印字用シート
(4)シート状基材のポリウレタン樹脂からなる印字層とは反対面にジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層を有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の防炎性印字用シート。
(5)シート状基材がポリエステル繊維布帛である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の防炎性印字用シート。
本発明によれば、優れた表面平滑性を有し、熱転写方式やインクジェット方式などの印刷方式において、繊細かつ鮮明に印刷することができ、かつ、ハロゲン系防炎剤を用いなくとも耐久性に優れた防炎性を有しているので防炎性能の要望される用途においても使用することのできる印字用シートが得られる。
以下に、本発明の好ましい態様について説明するが、本発明はこれらの態様のみに限定されるものではなく、その精神と実施の範囲において、様々な変更がなされ得ることを理解されたい。なお、本発明では防炎と難燃は同義語として用い、主として防炎という用語を使用した。また、本発明では、印字と印刷は同義語としてもちいた。
本発明の防炎性印字用シートは、ポリウレタン樹脂からなる印字層、シート状基材およびジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層を含むものである。
<シート基材>
本発明に有用なシート状基材としては、ポリエステル、ナイロン等の合成繊維、ジアセテート、トリアセテート等の半合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿、絹、毛等の天然繊維からなる布帛であってよく、それらの2種以上の繊維の混繊品、混紡品や交織品であってもよい。また、その形態は、織物、編物、不織布等のいかなる形態であってもよい。また、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなるフィルムであってもよい。
なかでも、加工性、寸法安定性、平滑性および風合いの良好性の点から、ポリエステル繊維布帛、特にポリエステル織物が好ましい。また、シート状基材として、織物、編物、不織布等の布帛を用いる場合には、樹脂溶液の含浸防止および表面平滑性向上のために、このシート状基材にあらかじめ撥水剤による処理やカレンダー処理による目潰しを行ってもよい。さらに、このシート状基材にパディングや浸染などの吸尽法により公知の防炎剤をあらかじめ付与してもよい。
<ポリウレタン樹脂からなる印字層>
本発明のポリウレタン樹脂からなる印字層は、湿式凝固することによって得られる多孔層であるとよい。より詳しくは、ポリウレタン樹脂からなる印字層は、ポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液をシート状基材またはジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層を有するシート状基材の少なくとも片面にコーティングし、湿式凝固することによって形成された多孔層である。
湿式凝固することによって得られる多孔層を得るためのシート状基材等へのポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液の付与方法としては、ナイフコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、パイプコーテイング、コンマコーテイング、リバースロールコーティング等の各種のコーティング方法を用いることができる。樹脂溶液の塗布量は、特に限定されるものではないが、多孔層の膜厚みが10〜500μmの範囲となるように塗布することが表面平滑性またはコストの面から好ましく、10μm未満では表面平滑性が十分ではないことがあり、500μmを超えると防炎性が低下してくることがある。
樹脂溶液の調製に使用される溶剤は、湿式凝固法に使用できる溶剤であれば特に限定されるものではないが、一般にジメチルホルムアミド(DMF)が好適に使用される。
湿式凝固による方法は、多孔層を形成するために、比較的少ない樹脂固形分であっても繊維基材の凹凸の影響を受けにくく、優れた表面の平滑性を得やすいので有利である。
また、本発明のポリウレタン樹脂からなる印字層は、離型紙上に形成されたポリウレタン樹脂皮膜を接着剤を介して積層して得られた無孔質層であってもよい。より詳しくは、ポリウレタン樹脂からなる印字層が、離型紙上にポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液を塗布、乾燥し、形成されたポリウレタン樹脂皮膜を接着剤を介して、シート状基材またはジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層を有するシート状基材の少なくとも片面に積層された無孔質層であってもよい。
また、離型紙としては、紙の上にポリプロピレンフィルムを積層したものや離型フィルムなど公知のものを用いることができ特に限定されるものではない。
接着剤としては、シート用基材等とポリウレタン樹脂からなる印字層を圧着または熱圧着して接着できるものであれば特に、限定されるものではないが、ウレタン樹脂系の接着剤を用いることがよく、2液型ポリウレタン系接着剤や湿気硬化型ウレタン系接着剤やホットメルト系接着剤など公知の接着剤を用いることができる。
離型紙上に形成されたポリウレタン樹脂皮膜を接着剤を介して積層して得られた無孔質層は、基材シートの凹凸の影響を受けず、防炎性印字用シートに平滑な印字層を付与することができる。
また、離型紙上に形成されたポリウレタン樹脂皮膜を接着剤を介して積層された無孔質層を得る方法としては、離型紙上に、ナイフコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、パイプコーテイング、コンマコーテイング、リバースロールコーティング等の各種のコーテイング方式を用いポリウレタン樹脂を含む溶液を塗布し、乾燥を行い無孔質のウレタン樹脂皮膜を形成する。
次に、上記無孔質のウレタン樹脂皮膜の上に、グラビアコータやナイフコータ、コンマコータを用い、接着剤を全面や点状、線状、格子状等に付与した後、接着剤を介し、ウレタン樹脂からなる印字層とシート状基材またはジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層を有するシート状基材の少なくとも片面に積層し、ニップロールや熱ニップロールなどを用い、貼り合せる。その後、必要に応じ、40℃〜80℃程度にて6時間から100時間程度エージングし、離型紙を剥離し、ウレタン樹脂からなる印字層としての無孔質層を積層する。
無孔質層の厚みとしては、特に限定されるものではないが、10〜100μmが好ましい。10μm未満では、印刷性が劣ることがあり、100μmを超えると重く、硬いものになり、印字用シートとしての用途が限定される可能性がある。
本発明における印字層を形成するポリウレタン樹脂の組成は、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等や、それらの混合系等であってよく、また特に限定されるものではないが、発泡性およびコスト面からはポリエステル系およびポリエステル・エーテル系であるのが好ましい。
また、印字層において、より優れた表面平滑性を得るための多孔層を得る場合には、ポリウレタン樹脂は2種以上のポリウレタン樹脂の混合物であり、そのうちの少なくとも1種が100%モジュラスが30MPa以上のポリウレタン樹脂であって、好ましくはその全ポリウレタン樹脂に占める割合が10〜70質量%、さらに好ましくは20〜50質量%となるように配合されたものであるとよい。
100%モジュラスが30MPa以上の高モジュラスなポリウレタン樹脂は、湿式凝固時の凝固速度が非常に速く、そのため凝固直前のポリウレタン樹脂溶液の表面平滑性が凝固後もそのまま維持され、印刷に適した表面性を与えるのであろうと思われる。この高モジュラスなポリウレタン樹脂の量が10質量%未満では、十分な表面凝固性が得られないことがあり、優れた表面平滑性が達成できないおそれがある。70質量%を超える場合は、樹脂全体のモジュラスが高くなりすぎて、成形収縮による表面平滑性の低下が起こることがある。また風合いも硬くなることがある。
このように、凝固直後の表面平滑性は、高モジュラスなポリウレタン樹脂の凝固特性に主に依存するが、系全体のモジュラスは成形収縮しにくい配合にするのがよい。よって、この高モジュラスなポリウレタン樹脂の配合割合は70質量%以下であるのが好ましく、また、この高モジュラスなポリウレタン樹脂と混合される他のポリウレタン樹脂のうちの少なくとも1種の100%モジュラスは10MPa以下であるのが好ましい。
上記ポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液には、必要に応じて架橋剤、顔料等の他の添加剤を加えてもよい。印刷の洗濯耐久性を向上させる等の目的で、微粉末等を加えてもよい。
また、このような微粉末としては、特に限定されるものではないが、多孔質微粉末として多孔質シリカ、活性炭、ゼオライトなどが挙げられ、その平均粒子径は300μm以下であるのが好ましい。特に好ましくは多孔質シリカである。また、微粉末として2種以上のものを併用してもよいが、加工安定性や溶液作製時の煩雑性をさけるため、DMFに対する分散性の良いものを1種のみに限定して用いるのが好ましい。
<ジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層>
防炎性を付与する方法としては、印字面となる印字層の形成に影響を与えずに、十分な量の防炎剤を付与することが重要となる。この課題を達成するためには布帛への吸尽方法による防炎剤の付与では不充分であり、また防炎剤の印字層への添加では、その表面平滑性への影響は避けられない。よって、本発明においては、印字層とは別に、シート状基材の少なくとも片面にジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層を有する。
本発明におけるジアルキルホスフィン酸の金属塩としては、一般的に防炎剤または難燃剤として提案されているものが使用できる。 防炎剤として提案されているジアルキルホスフィン酸の金属塩は、以下の(1)〜(3)等の性状を有するものである。
(1)リン含有率が20質量%以上である。(2)水や溶剤に難溶性の白色の微細な粉状である。(3)融点や熱分解温度が高い(通常、熱分解温度は300℃程度である。)。 かかるジアルキルホスフィン酸の金属塩は、リン含有率が20質量%以上と高いことから、優れた防炎性を有している。
また、微細な粉末状であるため、ウレタン樹脂層を形成するウレタン樹脂組成物に配合した際に凝集等の問題が生じにくく、ウレタン樹脂層に容易に内填できる。 そして、水や溶剤に難溶性であることから、耐水性および耐溶剤性に優れており、ウレタン樹脂層からブリードアウトしにくい。また、融点や熱分解温度が高いことから耐熱性も良好である。そのため、水洗たく、ドライクリーニング等の洗たく処理や、ジャングル試験、熱老化試験等の促進試験に対する耐久性が高く、また、外観・触感を悪化させにくいと考えられる。さらに、ジアルキルホスフィン酸の金属塩は白色であることから、必要に応じ、ジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層を任意の色に着色することが可能となる。
ジアルキルホスフィン酸の金属塩を構成するジアルキルホスフィン酸イオンは、ホスフィン酸イオンの2つの水素原子がそれぞれアルキル基で置換されたイオンである。ジアルキルホスフィン酸イオンにおけるアルキル基としては、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよく、炭素数が1〜5であることが好ましく、炭素数1〜2がより好ましい。該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。ジアルキルホスフィン酸における2つのアルキル基は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。
ジアルキルホスフィン酸の金属塩を構成する金属としては、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、アンチモン、スズ、ゲルマニウム、チタン、亜鉛、鉄、ジルコニウム、セリウム、ビスマス、ストロンチウム、マンガン、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。本発明においては、特に、ジアルキルホスフィン酸の金属塩が、アルミニウム、カルシウム、チタン、亜鉛などの多価金属の塩であることが好ましく、特にアルミニウム塩が好ましい。このような多価金属塩は、水や溶剤に対する溶解性が非常に低い難溶性の塩であり、本発明の効果に優れる。
ジアルキルホスフィン酸の金属塩の具体例としては、たとえば特表2001−525327号、特表2001−525329号、特開2004−346325号などに記載されているもの、たとえばジアルキルホスフィン酸(またはそのアルカリ金属塩)と、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、アンチモン、スズ、ゲルマニウム、チタン、鉄、ジルコニウム、セリウム、ビスマス、ストロンチウム、マンガン、リチウム、ナトリウム、カリウム等の金属を含有する金属化合物とを反応させて得られる化合物等が使用できる。これらのうち、金属が、上述したような多価金属であるものが好ましい。
本発明の印字用シートにおけるジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層は、湿式凝固することによって得られる樹脂層であるとよい。より詳しくは、ジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂溶液をシート状基材またはポリウレタン樹脂からなる印字層を有するシート状基材の少なくとも片面にコーティングし、湿式凝固することによって形成された樹脂層である。湿式凝固することによって得られる樹脂層は、多孔質であっても、無孔質であってもよく、特に限定されるものではない。
湿式凝固することによって得られる多孔層を得るためのシート状基材等へのジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂溶液の付与方法としては、ナイフコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、パイプコーティング、コンマコーティング、リバースロールコーティング等の各種のコーティング方法を用いることができる。特にナイフコーティング方法が好ましく、より好ましくはにフローティング方式によるナイフコーティング方法が風合いの観点よりよい。
樹脂溶液の塗布量は、特に限定されるものではないが、乾燥質量として1〜100g/mの範囲となるように塗布することが好ましく、1g/m未満では防炎性もしくは耐久性が十分ではないことがあり、100g/mを超えると、コスト的に不利であり、また、風合も硬化する。
樹脂溶液の調製に使用される溶剤は、湿式凝固法に使用できる溶剤であれば特に限定されるものではないが、一般にジメチルホルムアミド(DMF)が好適に使用される。
また、本発明の印字用シートにおけるジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層は、離型紙上に形成されたジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むポリウレタン樹脂皮膜を接着剤を介して積層して得られた無孔質層であってもよい。より詳しくは、ジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層は、離型紙上にジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液を塗布、乾燥し、形成されたジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂皮膜を接着剤を介して、シート状基材またはポリウレタン樹脂からなる印字層を有するシート状基材の少なくとも片面に積層された無孔質層であってもよい。
また、離型紙としては、紙の上にポリプロピレンフィルムを積層したものや離型フィルムなど公知のものを用いることができ特に限定されるものではない。
接着剤としては、シート用基材等とジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層を圧着または熱圧着して接着できるものであれば特に、限定されるものではないが、ウレタン樹脂系の接着剤を用いることがよく、2液型ポリウレタン系接着剤や湿気硬化型ウレタン系接着剤やホットメルト系接着剤など公知の接着剤を用いることができる。
また、離型紙上に形成されたジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂皮膜を接着剤を介して積層された無孔質層を得る方法としては、離型紙上にナイフコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、コンマコーティング、リバースロールコーティング等を用いジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂溶液を塗布し、乾燥を行い無孔質膜を形成する。次に、この無孔質膜の上に、グラビアコータやナイフコータやコンマコータなどを用い、接着剤を全面や点状、線状、格子状等に付与した後、接着剤を介し、ジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層とシート状基材またはポリウレタン樹脂からなる印字層を有するシート状基材の少なくとも片面に積層し、ニップロールや熱ニップロールなどを用い、貼り合せる。その後、必要に応じ、40℃〜80℃程度にて6時間から100時間程度エージングし、離型紙を剥離し、無孔質層を積層する。
無孔質層の厚みとしては、特に限定されるものではないが、1〜100μmが好ましい。1μm未満では、防炎性が劣ることがあり、100μmを超えると重く、硬いものになり、コストも高くなり、印字用シートとしての用途が限定される可能性がある。
また、ジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層は、シート状基材またはポリウレタン樹脂からなる印字層を有するシート状基材の少なくとも片面に、直接、ジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂溶液を、ナイフコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、パイプコーティング、コンマコーティング、リバースロールコーティング等の各種のコーティング方法を用い、塗布し、乾燥し、ジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層を付与することもできる。
印字層が印字用シートの片面のみの場合、シート状基材のポリウレタン樹脂からなる印字層とは反対面にジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層を有する構成とすることが好ましく、シート状基材のポリウレタン樹脂からなる印字層とは反対面へのコーティング方法によりジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂溶液を塗布する方法が、簡便で、防炎剤の十分な付着量を与えやすい点において好ましい。
特に好ましくは、シート状基材の片面にジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂溶液をコーティング法により付与し、湿式凝固させ、多孔層のジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層を形成した後、シート状基材のそのコーティング面とは反対の面に印字層を形成するためのポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液をコーティングし、湿式凝固させて、多孔層の印字層を形成するとよい。
さらに、このような防炎剤含有樹脂層の印字用シートへの付与はシート状基材のほつれ防止やカール防止にも寄与する点で有用である。
もちろん、シート状基材の両面にジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂溶液を付与し、両面にジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層を形成してもよい。
また、印字面がシートの両面となる場合の好ましい例としては、パディング法により印字面の形成前のシート状基材の両面にジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン含有ポリエステル樹脂を含む防炎剤含有樹脂を塗布した後に、ポリウレタン樹脂からなる印字層を形成する方法が、印字面両面の差異が発生しにくく、有用である。
ジアルキルホスフィン酸の金属塩の付与量は、防炎性能を満たす場合に限り、特に限定されるものではないが、好ましくはジアルキルホスフィン酸の金属塩の量の印字用シートの質量に占める割合が1〜50質量%の範囲となるように塗布するのがよい。1質量%より少ないと防炎性能を得ることが困難となることがあり、50質量%を超えるとコスト面から好ましくない。
ジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層は、ジアルキルホスフィン酸の金属塩およびウレタン樹脂以外の任意成分を含有してもよい。かかる任意成分としては、たとえば、遮光性を付与するための黒色顔料、隠蔽性を付与するためにアルミ顔料、意匠性を付与するための各種色の顔料等が挙げられる。その他の添加剤等を加えてもよいのは言うまでもない。例えば、洗濯耐久性が必要な用途向けには架橋剤の添加が有効である。
また、本発明においては、ウレタン樹脂層中に、ジアルキルホスフィン酸の金属塩以外の防炎剤、たとえばジアルキルホスフィン酸の金属塩以外の従来提案されているリン含有防炎剤を含有してもよいが、防炎剤としてジアルキルホスフィン酸金属塩のみを含有することが本発明の効果に優れることから好ましく、他の防炎剤は使用しない方がよい。
本発明の防炎性印字用シートにおいて、ポリウレタン樹脂からなる印字層への印刷方式としては、例えば、熱転写方式、インクジェット方式、手書き方式、スクリーン印刷方式およびグラビア印刷方式等を採ることができ、特に限定されるものでない。印刷インキについても、特に限定されるものではなく、使用目的に応じて油性や水性等、適宜選択して用いることができる。印字や絵柄、バーコードパターン等の文字や図形や記号等からなる任意な印刷が可能であることは勿論である。
以下に、本発明の実施例および比較例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものでない。なお、例中、「部」は質量部を示す。
以下に評価方法を記す。
印刷性:実施例および比較例で得られた印字用シートに熱転写方式により印刷して印字シートを得、印刷状態を目視観察し、優良(外観良好)、良(印字薄いが判読可能)、不良(判読不可)の3段階で評価した。
平滑性:王研式透気度平滑度試験機(旭精工株式会社製)を用いて、印刷面の平滑度を測定した。
防炎性の評価:FMVSS302法によって防炎性の評価をおこない。自消性(燃焼速度が0)のものを合格とした。
経時変化の評価:70℃、90%RH(相対湿度)の環境下に30日間放置した後、上記防炎性評価および防炎性印字用シートのタッチを手でさわって確認をおこなった。
実施例1
83デシテックス/36フィラメントの糸を使用したポリエステルタフタ(密度:経100本/2.54cm、緯90本/2.54cm)を、通常の方法で精練し、熱セットした。次に、下記の処方1に示す組成の撥水処理液をしぼり率80%でパディングし、120℃にて熱風乾燥した後、さらに160℃にて30秒間の熱処理を行った。
処方1
アサヒガードGS70(旭ガラス株式会社製フッソ系撥水剤) 4部
水 96部
引き続き、この撥水処理布に対して、鏡面ロールを持つカレンダー加工機を用い、温度180℃、圧力294kPa
、速度20m/分の条件でカレンダー加工を行い、シート状基材を得た。
次いで、下記の処方2に示す組成のポリウレタン樹脂溶液をシート状基材のカレンダー処理面と反対側の面にフローティング形式のナイフコーティングにより塗布し、20℃の水凝固浴槽中に3分間浸漬してポリウレタン樹脂を湿式凝固させ、次に60℃の温水にて10分間水洗し、120℃にてシリンダー乾燥を行い、リン系防炎剤を含む付着量10g/mのウレタン樹脂層を付与した。
処方2
ポリエステル系ポリウレタン樹脂(樹脂固形分30%のDMF溶液) 100部
DMF 80部
ジエチルホスフィン酸アルミニウム微粉末 100部
引き続き、下記の処方3に示す組成のポリウレタン樹脂溶液を、シート状基材の上記リン系防炎剤を含むウレタン樹脂層を付与した面と反対の面(カレンダー処理面)にナイフオーバーロールコータで塗布し、20℃の水凝固浴槽中に3分間浸漬してポリウレタン樹脂を湿式凝固させ、次いで60℃の温水にて10分間水洗し、120℃にてシリンダー乾燥後、140℃にて3分間の熱処理を行い、厚みが40μmの印字層(多孔層)を付与し、印字用シートを得た。得られた印字用シートの質量に対するジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤の付与量は10質量%であった。
得られた印字用シートの性能を表1に記した。
処方3
クリスボンMP899 30部
(大日本インキ化学工業株式会社製ポリエステル系ポリウレタン、100%モジュラス57MPa、樹脂固形分30%のDMF溶液)
ポリエステル系ポリウレタン樹脂 70部
(100%モジュラス3.5MPa 、樹脂固形分20%のDMF溶液)
DMF 40部
サイリシア#740(富士シリシア化学株式会社製多孔質シリカ) 5部
白顔料(酸化チタン系) 5部
比較例1
83デシテックス/36フィラメントの糸を使用したポリエステルタフタ(密度:経100本/2.54cm、緯90本/2.54cm)を、通常の方法で精練し、熱セットした後、実施例1で用いたと同じ処方1の組成の撥水処理液をしぼり率80%でパディングし、120℃にて熱風乾燥した後、さらに160℃にて30秒間の熱処理を行った。
引き続き、この撥水処理布に対して、鏡面ロールを持つカレンダー加工機を用い、温度180℃、圧力294kPa、速度20m/分の条件でカレンダー加工を行い、シート状基材を得た。
次いで、実施例1で用いたと同じ処方3の組成のポリウレタン樹脂溶液を、上記シート状基材のカレンダー処理面にナイフオーバーロールコーターで塗布し、20℃の水凝固浴槽中に3分間浸漬してポリウレタン樹脂を湿式凝固させ、次いで60℃の温水にて10分間水洗し、120℃にてシリンダー乾燥後、140℃にて3分間の熱処理を行い、厚みが40μmの印字層(多孔層)を付与し、印字用シートを作製した。得られた印字用シートの性能を表1に記した。
比較例2
83デシテックス/36フィラメントの糸を使用したポリエステルタフタ(密度:経100本/2.54cm、緯90本/2.54cm)を、通常の方法で精練し、熱セットした後、下記処方4に示す組成で135℃の湯浴中にて60分かけて防炎剤を吸尽処理し、洗浄後、120℃にて熱風乾燥し、シート状基材に防炎剤処理を施した。
処方4
防炎剤(ヘキサブロモシクロドデカン分散タイプ、固形分45%) 4部
水 96部
次に、実施例1で用いたと同じ処方1の組成の撥水処理液をしぼり率80%でパディングし、120℃にて熱風乾燥した後、さらに160℃にて30秒間の熱処理を行った。
引き続き、この撥水処理布に対して、鏡面ロールを持つカレンダー加工機を用い、温度180℃、圧力294KPa
、速度20m/分の条件でカレンダー加工を行い、シート状基材を得た。
次いで、実施例1で用いたと同じ処方3の組成のポリウレタン樹脂溶液を、シート状基材のカレンダー処理面にナイフオーバーロールコーターで塗布し、20℃の水凝固浴槽中に3分間浸漬してポリウレタン樹脂を湿式凝固させ、次に60℃の温水にて10分間水洗し、120℃にてシリンダー乾燥後、140℃にて3分間の熱処理を行い、厚みが40μmの印字層(多孔層)を付与し、印字用シートを作成した。得られた印字用シートの性能を表1に記した。
比較例3
比較例1で用いた処方3(実施例1に記載)を下記処方5に変更した以外は全て比較例1と同じ操作を行い、印字用シートを作成した。得られた印字用シートの性能を表1に記した。
処方5
クリスボンMP899 30部
(大日本インキ化学工業株式会社製ポリエステル系ポリウレタン、100%モジュラス57MPa
、樹脂固形分30%のDMF溶液)
ポリエステル系ポリウレタン樹脂 70部
(100%モジュラス3.5MPa 、樹脂固形分30%のDMF溶液)
DMF 40部
サイリシア#740(富士シリシア化学株式会社製多孔質シリカ) 5部
白顔料(酸化チタン系) 5部
防炎剤 200部
(ハロゲン系防炎剤、デカブロモジフェニルエーテル:三酸化アンチモン=8:1混合物(質量比)、固形分80%のDMF溶液)
比較例4
実施例1で用いたジエチルホスフィン酸アルミニウムの変わりにリン酸エステル系防炎剤(アデカスタブFP―500 旭電化工業株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様とし、印字用シートを得た。得られた印字用シートの性能を表1に記した。
実施例2
83デシテックス/36フィラメントの糸を使用したポリエステルタフタ(密度:経100本/2.54cm、緯90本/2.54cm)を、通常の方法で精練し、熱セットした。次に、実施例1で用いた処方1に示す組成の撥水処理液をしぼり率80%でパディングし、120℃にて熱風乾燥した後、さらに160℃にて30秒間の熱処理を行った。
引き続き、この撥水処理布に対して、鏡面ロールを持つカレンダー加工機を用い、温度180℃、圧力294kPa
、速度20m/分の条件でカレンダー加工を行い、シート状基材を得た。
次いで、実施例1で用いた処方2に示す組成のポリウレタン樹脂溶液をシート状基材のカレンダー処理面と反対側の面にフローティング形式にてナイフコーティングにより塗布し、20℃の水凝固浴槽中に3分間浸漬してポリウレタン樹脂を湿式凝固させ、次に60℃の温水にて10分間水洗し、120℃にてシリンダー乾燥を行い、リン系防炎剤を含む付着量10g/mのウレタン樹脂層を付与した。
次に、離型紙上に下記処方6のポリウレタン樹脂溶液をコンマコータを用いて塗布し、120℃で3分間乾燥して、厚さ30μmの無孔質のポリウレタン樹脂からなる印字層を形成した。
処方6
ポリエステル系ポリウレタン樹脂(樹脂固形分30%のDMF溶液) 30部
多孔質シリカ粉末(平均粒子径5μm) 25部
DMFとトルエンの混合溶媒(配合比 DMF:トルエン=3:5) 100部
次に、得られた上記印字層の上にコンマコータを用い下記処方7の接着剤溶液を塗布し、120℃、3分間乾燥し、厚さ15μmの接着剤層を形成した。次いで接着剤を介して、基材シートのリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層を有する面の反対面に印字層を、温度120℃、圧力0.4MPaにて熱圧着して防炎性印字用シートを得た。得られた印字用シートの質量に対するジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤の付与量は22質量%であった。得られた防炎性印字シートの性能を表1に記した。
処方7
2液型ポリウレタン樹脂(樹脂固形分50%のトルエン溶液) 30部
イソシアネート系架橋剤 12部
メチルエチルケトン 58部
Figure 2007296827

Claims (5)

  1. ポリウレタン樹脂からなる印字層、シート状基材およびジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層を含む防炎性印字用シート。
  2. 前記ポリウレタン樹脂からなる印字層が、湿式凝固することによって得られる多孔層である、請求項1記載の防炎性印字用シート。
  3. 前記ポリウレタン樹脂からなる印字層が、離型紙上に形成されたポリウレタン樹脂皮膜を接着剤を介して積層して得られた無孔質層である、請求項1記載の防炎性印字用シート。
  4. シート状基材のポリウレタン樹脂からなる印字層とは反対面にジアルキルホスフィン酸の金属塩からなるリン系防炎剤を含むウレタン樹脂層を有する、請求項1〜3いずれかに記載の防炎性印字用シート。
  5. シート状基材がポリエステル繊維布帛である、請求項1〜4のいずれかに記載の防炎性印字用シート。
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