JP2007296502A - ダイ方式塗布装置及び塗布方法 - Google Patents

ダイ方式塗布装置及び塗布方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ダイに対して複数の供給口を形成するとともに供給口に供給する塗布液の圧力又は流量を供給口毎に調整することにより、高精度で均一な幅方向膜厚精度を得ることができるダイ方式塗布装置及び塗布方法を提供する。
【解決手段】ダイ2の内部に塗布液11を供給する塗布液供給口25〜27をダイ2に対して塗布幅方向に計3箇所に設け、各塗布液供給口25〜27に対して供給される塗布液の圧力又は流量を供給口毎に所定圧力又は所定流量に調整して塗工を行うように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラスチックフィルム、紙、金属箔等の連続走行する長尺帯状ウェブに塗布液を塗布するダイ方式塗布装置及び塗布方法に関し、特に、ダイに対して複数の供給口を形成するとともに供給口に供給する塗布液の圧力又は流量を供給口毎に調整することにより、高精度で均一な幅方向膜厚精度を得ることができるダイ方式塗布装置及び塗布方法に関するものである。
従来より、ダイを用いて長尺帯状ウェブに対して塗布液を塗布する塗布方法として、本スロットダイを用いてウェブに塗布液を塗布するスロットダイコーティングがある。スロットダイコーティングは、ダイ内部にキャビティと呼ばれる液溜まりを有し、その液溜まりから通じる塗布幅方向に延びた狭い間隙(スリット)より塗布液が吐出されることでウェブに塗布を行う塗布方法である。
一方、近年このようなスロットダイコーティングを行うダイ型塗布装置に対する被塗布物の高精度化が要求されるようになっており、特に高精度で均一な幅方向膜厚精度が求められている。
そこで、従来より高精度で均一な幅方向膜厚精度を得る方法として、様々な厚み制御が行われていた。一般的に、ダイコーターにおける厚み制御は、対象となる塗布液に対するダイの構造・形状に起因する分配性能で大きく決定される。ここで、スロットダイは構造として、ミクロンオーダーで高精度加工されたキャビティ(液溜め)、スリット(平行板間の隙間)を塗布液が流れることで塗布液が均一分配され、均一性を向上させるために時間を費やしたコンピューターシミュレーションによる形状設計が盛んに行われている。
しかしながら、実際にウェブ上に塗布された塗布膜は計算した通りの厚み精度にはならず、目標値に対して凸あるいは凹のトレンドとなることが少なくない。これらを解消するため、容易な手段としてはダイ先端と塗布基材との隙間をコッター&ベンド調整する方法がある。また、特開平8−216226号公報に記載されているように、ダイボルトによってスリットの幅を調整する方法がある。更に、高度な手段としてはダイ先端に隙間自動調整機構を設け、塗布直後の厚み計からのフィードバック信号を受けながら自動厚み調整する方法(特開2000−334359号公報参照)等、多数提案されている。
特開平8−216226号公報(第4−6頁、図1) 特開2000−334359号公報(第4−6頁、図1)
一方で、近年の品質面における高精度要求かつ高生産化にともない、前記特許文献1や特許文献2を含めた機械構造的に可変する幾多の方法では、繰返し再現性の欠如による品質懸念やそれら制御システムの維持管理方法自体が課題になってきている。従って、これまで以上に有効な厚み制御方法を確立し、ダイ形状の修正を不要とすることが求められている。加えて、最終的な製品外観(例えば巻姿)が最優先で求められる場合には、原材料となる基材厚みバラツキをキャンセルすべく、あえて塗布厚みを任意の凹凸トレンドへ制御する操作も求められている。
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、ダイ形状を修正することなく、ウェブの高精度で均一な幅方向塗膜厚みを高い再現性により得ることが可能なダイ方式塗布装置及び塗布方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため本願の請求項1に係るダイ方式塗布装置は、連続走行するウェブに対して所定の塗布幅で塗布液を吐出するダイと、前記塗布液を前記ダイへ送出するポンプと、前記ダイに対して塗布幅方向に複数箇所に設けられるとともに前記ポンプから送出された塗布液をダイ内部に供給する供給口と、前記複数箇所の供給口に対して供給される塗布液の圧力又は流量を供給口毎に所定圧力又は所定流量に調整する調整手段と、を有することを特徴とする。
また、請求項2に係るダイ方式塗布装置は、請求項1に記載のダイ方式塗布装置において、前記供給口は前記塗布幅の中心位置と、中心位置から所定距離ずつ左右方向に離れた両位置に設けられていることを特徴とする。
また、請求項3に係るダイ方式塗布装置は、請求項1又は請求項2に記載のダイ方式塗布装置において、前記ポンプから送出された塗布液を前記供給口へと搬送する搬送手段と、前記搬送手段に設けられ前記塗布液を前記供給口の数に応じた経路に分岐する分岐手段と、を有し、前記分岐手段から前記供給口までの距離が等長であることを特徴とする。
また、請求項4に係る塗布方法は、所定の塗布幅で塗布液を吐出するダイを用い、連続走行するウェブに対して吐出した塗布液を塗布する塗布方法において、ポンプから送出された塗布液をダイ内部に供給する供給口を前記ダイに対して塗布幅方向に複数箇所に設け、前記供給口に対して供給される塗布液の圧力又は流量を供給口毎に所定圧力又は所定流量に調整することを特徴とする。
また、請求項5に係る塗布方法は、請求項4に記載のダイ方式塗布装置において、前記供給口は前記塗布幅の中心位置と、中心位置から所定距離ずつ左右方向に離れた両位置に設けられていることを特徴とする。
更に、請求項6に係る塗布方法は、請求項4又は請求項5に記載のダイ方式塗布装置において、前記ポンプから送出された塗布液を前記供給口へと搬送する搬送経路において前記塗布液を前記供給口の数に応じた経路に分岐する分岐点から前記供給口までの距離が等長であることを特徴とする。
前記構成を有する請求項1に係るダイ方式塗布装置では、ダイ内部に供給する供給口をダイに対して塗布幅方向に複数箇所に設け、複数箇所の供給口に対して供給される塗布液の圧力又は流量を供給口毎に所定圧力又は所定流量に調整するので、ウェブに塗布された塗布膜の塗布幅方向の厚みを高精度で調整することができ、その結果、塗布膜の厚みを均一化することができる。また、従来の機械構造的な可変機構や制御システムを必要とせず、機械精度的に固定安定化させることができる。更に、導入かつ運用コストの削減、品質安定化による生産性向上、オペレータの管理作業が軽減された。
また、請求項2に係るダイ方式塗布装置では、複数の供給口は塗布幅の中心位置と、中心位置から所定距離ずつ左右方向に離れた両位置に設けられているので、ダイに対する塗布液の供給構造を複雑な構成にすることなく、且つ、塗布幅方向の厚みを高精度で調整することができる。
また、請求項3に係るダイ方式塗布装置では、ポンプから送出された塗布液を供給口へと搬送する搬送手段を、供給口の数に応じた経路に分岐し、且つ分岐点から供給口までの距離を等長とするので、各供給口における塗布液の流量と圧力を高精度で調整することが可能となる。
また、請求項4に係る塗布方法では、ダイ内部に供給する供給口をダイに対して塗布幅方向に複数箇所に設け、複数箇所の供給口に対して供給される塗布液の圧力又は流量を供給口毎に所定圧力又は所定流量に調整することにより塗布を行うので、ウェブに塗布された塗布膜の塗布幅方向の厚みを高精度で調整することができ、その結果、塗布膜の厚みを均一化することができる。また、従来の機械構造的な可変機構や制御システムを必要とせず、機械精度的に固定安定化させることができる。
また、請求項5に係る塗布方法では、塗布幅の中心位置と、中心位置から所定距離ずつ左右方向に離れた両位置に供給口を設けるので、ダイに対する塗布液の供給構造を複雑な構成にすることなく、且つ、塗布幅方向の厚みを高精度で調整することができる。
更に、請求項6に係る塗布方法では、ポンプから送出された塗布液を供給口へと搬送する搬送経路を、供給口の数に応じた経路に分岐し、且つ分岐点から供給口までの距離を等長とするので、各供給口における塗布液の流量と圧力を高精度で調整することが可能となる。
以下、本発明に係るダイ方式塗布装置及び塗布方法について具体化した実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、図1を用いて本実施形態に係るダイ方式塗布装置1について説明する。図1は本実施形態に係るダイ方式塗布装置1の概略構成を示す斜視図、図2は本実施形態に係るダイ方式塗布装置1をダイの長さ方向で切断した断面図である。
図1に示すように本実施形態に係るダイ方式塗布装置1は、ダイ2と、供給タンク3と、搬送ライン4と、定量ポンプ5と、搬送ローラ6、7と、厚み計測装置8とから基本的に構成される。
ダイ2は、連続走行するフィルム、紙、ガラス等のウェブ10の表面に対して塗布液11を塗布することにより所定厚さの塗布膜12を形成するスロットダイである。ここで、本実施形態に係るダイ方式塗布装置1はスロットダイを用いてウェブに塗布液を塗布するスロットダイコーティングを用いる。スロットダイコーティングは、ダイ内部にキャビティと呼ばれる液溜まりを有し、その液溜まりから通じる塗布幅方向に延びた狭い間隙(スリット)より塗布液が吐出されることでウェブに塗布を行う塗布方法である。
以下に、図3を用いて本実施形態に係るダイ2の構成について詳細に説明する。図3は本実施形態に係るダイ2を示した斜視図である。本実施形態に係るダイ2は、ダイ本体15とダイ本体15の両側部に配置される側板16、17とから基本的に構成されている。
更に、ダイ本体15はブロック18、19を互いに重ね合わせることにより形成されており、ブロック18、19との間の間隙によってスリット20を形成する。また、側板16、17はダイ2の塗布幅Wを規制するとともにブロック18、19の組み合わせを保持する。
更に、ダイ本体15にはウェブ10に対向してリップ面21が形成され、側板16、17にはウェブ10に対向してエッジ面28、29が形成されている。また、ダイ本体15と側板16、17の間にはそれぞれシムを挟み込む場合もある。シムは塗布液の漏れ防止の為に用いられ、材料は弾性体である事が望ましい。例えば、シムの材料としては高分子フィルム、粘着テープ、金属などが挙げられる。
また、スリット20はリップ面21の略中央に対して吐出口22を形成する。そして、吐出口22は塗布幅Wで塗布液11を吐出し、吐出した塗布液11がウェブ10に対して所定厚さで塗布される。
また、図2に示すようにブロック18、19の内部には幅方向に沿ってキャビティ(液溜まり)24が形成され、キャビティ24はブロック18に設けられた3箇所の塗布液供給口25〜27とスリット20に連通される。そして、塗布液供給口25〜27は定量ポンプ5等によって構成される塗布液供給系へと接続されており、キャビティ24には塗布液供給口25〜27を介して、計量された塗布液が定量ポンプ5により供給される。更に、キャビティ24に供給された塗布液はスリット20へ送液されて単位時間一定量で幅方向に均一な圧力でスリット20の吐出口22から塗布幅Wにより吐出される。尚、塗布液供給口26はダイ2の塗布幅Wの中心位置に設けられており、塗布液供給口25は塗布液供給口26から所定距離(例えば、塗布幅Wが1500mmである場合には500mm)だけ側板16よりに形成されている。また、塗布液供給口27は塗布液供給口26から同じ所定距離(例えば、塗布幅Wが1500mmである場合には500mm)だけ側板17よりに形成されている。尚、両端部にある塗布液供給口25及び塗布液供給口27はダイ2の側面(即ち、側板16、17)に設けても良い。
一方、供給タンク3は塗布液11を貯留するタンクであり、貯留された塗布液11は定量ポンプ5によって、単位時間当りの供給量を一定にしてダイ2へと供給される。
また、搬送ライン4は供給タンク3とダイ2とを接続する配管であり、供給タンク3から供給された塗布液11は搬送ライン4を通って塗布液供給口25〜27へと到る。ここで、特に本実施形態に係るダイ方式塗布装置1では、搬送ライン4は分岐点41によって3方に分岐している。そして、分岐されたラインの一つである第1分岐ライン4Aは塗布液供給口25に接続されており、第2分岐ライン4Bは塗布液供給口26に接続されており、第3分岐ライン4Cは塗布液供給口27に接続されている。尚、第1分岐ライン4A〜第3分岐ライン4Cの長さは全て等しくなっている。
更に、搬送ライン4には第1分岐ライン4A〜第3分岐ライン4Cでの塗布液11の流量を調整する自動調整弁42、43と、第1分岐ライン4A〜第3分岐ライン4Cに流れる塗布液11の圧力を検出する圧力検出器44〜46と、第1分岐ライン4A〜第3分岐ライン4Cに流れる塗布液11の流量を検出する流量検出器47〜49とが設けられている。
また、定量ポンプ5は供給タンク3に貯留された塗布液11を単位時間当り一定の所定量で搬送ライン4へと供給する供給手段である。
また、搬送ローラ6、7はウェブ10を予め設定された所定速度で所定方向へと搬送する搬送手段である。ここで、図2に示すように搬送ローラ6はダイ2に対向して配置されており、リップ面21との間で所定間隔の間隙を形成する。
また、厚み計測装置8は、赤外線、放射線、光干渉計等を用いてウェブ10に塗布された塗布膜12の厚みをウェブ10の幅方向で検出するセンサである。
更に、ダイ方式塗布装置1には厚み計測装置8、自動調整弁42、43、圧力検出器44〜46及び流量検出器47〜49を制御する制御装置51が設けられている。そして、制御装置51は予め設定されたプログラムに従って、自動調整弁42、43の開度を調整する。それによって、各塗布液供給口25〜27の入口圧力または流量を調整することが可能となる。また、制御装置51は厚み計測装置8によって検出された塗布膜12の厚さや、圧力検出器44〜46及び流量検出器47〜49で検出された塗布液11の圧力や流量を別途設けられたモニタ(図示せず)等に表示する。
次に、上記のように構成されたダイ方式塗布装置1におけるウェブ10への塗布液11の塗布工程について説明する。先ず、レベル管理された供給タンク3に接続された定量ポンプ5により、目標厚み設定に対する流量で計量された塗布液11が、自動調整弁42、43、圧力検出器44〜46、流量検出器47〜49を介して、各塗布液供給口25〜27へ送液される。そして、塗布液供給口25〜27からダイ2内部へと供給された塗布液11はキャビティ24、スリット20を通過しながら、吐出口22から対象基材へ塗布される。
次に、図4を参照して上記塗布工程によってウェブ10に形成される塗布膜12におけるウェブ幅方向の厚み形状について説明する。図4はウェブ10上に形成された塗布膜12を幅方向に切断した断面図である。
ここで、ダイ2を用いてウェブ10に対して塗布液11を塗布する塗布工程においては、第1分岐ライン4A〜第3分岐ライン4Cが各々等長に配管接続されていても、塗布液供給口25〜27の直前では僅かな入口圧力または流量差が発生することとなる。従って、塗布条件を変更する毎に、塗布膜12は均一に、あるいは中央部は高く両端は低く、あるいは中央部が低く両端が高くなって、塗布厚dが変動してしまい、安定した塗布膜12を得ることができない。
この時の厚みトレンドは、この圧力と流量状態で反映される。逆にとらえれば、この圧力や流量を高精度に操作することで、任意の厚みトレンドにすることができる。この際、自動調整弁42、43と、そして塗布直後の厚みを検出する厚み計測装置8とを用いて、それらを電気回路的に構成することで可能となる。
以下に、ダイ方式塗布装置1における厚み制御動作を説明する。ダイ方式塗布装置1の制御パターンとしては、厚みトレンドをモニタ等で目視観察しながら任意に圧力または流量設定し、圧力検出器44〜46及び流量検出器47〜49からの電気信号を自動調整弁42、43へフィードバックすることで目標厚みトレンドを得る方法がある。更に、それら塗布条件毎のパターンをプログラム化することで、任意設定した厚みトレンドとなるように厚み計測装置8、圧力検出器44〜46及び流量検出器47〜49からの電気信号を同時処理しながら自動調整弁42、43へフィードバックする完全自動制御で目標厚みトレンドを得る方法がある。
次に、自動調整弁42、43によって調整した各塗布液供給口25〜27の供給口圧力と形成された塗布膜12のウェブ幅方向の厚み形状との関係について、前記厚み制御を行った場合と、厚み制御を行わなかった場合とでウェブ10に形成された塗布膜12の評価結果を比較して説明する。
<塗布条件>
塗布条件としては塗布幅Wが1500mmのダイ2を用いて、塗布液供給口25〜27の配置をダイ2の片方端から250mm、750mm、1250mmの位置とした。
また、塗布液11は密度0.9、固形分30%、見掛け粘度2000mPa/20℃、表面張力28mN/mのアクリル系粘着剤を用いた。
また、ライン速が20〜150m/min、乾燥後厚さが20μmとなるように行った。
更に、自動調整弁42、43、圧力検出器44〜46、厚み計測装置8は塗布液の物性、例えば密度、固形分濃度、粘度、溶媒種と、塗布適用範囲とを熟考し、分解能が高く、かつ電気信号で出力することができる市販のものを選択した。これらを自作した電気回路と接続することで制御した。本実施例における圧力検出器44〜46は、バルコム社製ダイヤフラム型圧力検出器VNFを用いて計測を行った。
また、厚み計測装置8は塗布液だけではなく、塗布対象となる基材にも影響するので事前に検討しておく必要がある。一般的には赤外線、放射線、光干渉計等が用いられ、目標の厚み精度の検討が可能であればいずれでも良い。本実施例における厚み計測装置8は、チノー社製赤外線吸収式の非接触厚み計測装置IR−Mを用いた。塗布厚みは有機成分の厚みと赤外線吸収スペクトルとの検量線から塗布厚みを換算することで計測を行った。
ここで、図5は上記塗布条件で厚み制御を行った場合と、行わなかった場合の計3パターンで塗布を行った場合の各塗布液供給口25〜27の供給口圧力の制御結果を示した図である。また、図6はウェブ10に形成された塗布膜12の厚み形状を示した図である。
<評価>
図6に示すように、本発明による制御により厚みトレンドを均一化、あるいは任意の凹凸に制御することが確認された。
即ち、厚み制御を行わずに、左の塗布液供給口25の供給口圧力を100kPa、中央の塗布液供給口26の供給口圧力を70kPa、右の塗布液供給口27の供給口圧力を100kPaとして塗布を行った場合には、塗布膜12の幅方向の両端が中央付近より約3μm厚くなり、凹形状となった。
また、厚み制御を行わずに、左の塗布液供給口25の供給口圧力を80kPa、中央の塗布液供給口26の供給口圧力を90kPa、右の塗布液供給口27の供給口圧力を80kPaとして塗布を行った場合には、塗布膜12の幅方向の中央付近が両端より約2μm厚くなり、凸形状となった。
一方、厚み制御を行った結果、左の塗布液供給口25の供給口圧力を100kPa、中央の塗布液供給口26の供給口圧力を80kPa、右の塗布液供給口27の供給口圧力を100kPaとして塗布を行った場合には、幅方向の中央付近と両端とで厚みの差がほとんど無く均一な塗工厚を得ることができた。
続いて、図7乃至図11に基づいてダイ内部での塗布液11の圧力であるダイ内部圧と形成された塗布膜12のウェブ幅方向の厚み形状との関係について、前記厚み制御を行った場合と、厚み制御を行わなかった場合とでウェブ10に形成された塗布膜12の評価結果を比較して説明する。
<塗布条件>
塗布条件としては同じく塗布幅Wが1500mmのダイ2を用いて、塗布液供給口25〜27の配置をダイ2の片方端から250mm、750mm、1250mmの位置とした。
また、塗布液11は密度0.9、固形分30%、見掛け粘度2000mPa/20℃、表面張力28mN/mのアクリル系粘着剤を用いた。
また、ライン速が20〜150m/min、乾燥後厚さが20μmとなるように行った。
ここで、図7はダイ内部圧を10kPaとして上記塗布条件で厚み制御を行った場合と、行わなかった場合の計2パターンで塗布を行った場合のウェブ10に形成された塗布膜12の厚み形状を示した図である。
また、図8はダイ内部圧を30kPaとして上記塗布条件で厚み制御を行った場合と、行わなかった場合の計2パターンで塗布を行った場合のウェブ10に形成された塗布膜12の厚み形状を示した図である。
また、図9はダイ内部圧を100kPaとして上記塗布条件で厚み制御を行った場合と、行わなかった場合の計2パターンで塗布を行った場合のウェブ10に形成された塗布膜12の厚み形状を示した図である。
また、図10はダイ内部圧を300kPaとして上記塗布条件で厚み制御を行った場合と、行わなかった場合の計2パターンで塗布を行った場合のウェブ10に形成された塗布膜12の厚み形状を示した図である。
また、図11はダイ内部圧を500kPaとして上記塗布条件で厚み制御を行った場合と、行わなかった場合の計2パターンで塗布を行った場合のウェブ10に形成された塗布膜12の厚み形状を示した図である。
<評価>
図7乃至図11に示すように、ダイ内部圧を変化させることによって厚みトレンドを均一化、あるいは任意の凹凸に制御することが確認された。そして、ダイ内部圧を10〜500kPaとした場合には厚み制御を行うことによって、より均一な厚み形状を得ることができる。特に、ダイ内部圧が30〜300kPaである場合には、塗布膜12の幅方向の中央付近と両端との厚み差異が少なくなり、更に、ダイ内部圧が100kPaで最も均一な塗布膜12の面を得ることができた。
一方、図12はダイ内部における経時圧力の状態を示した図である。ダイ内部圧はスロットの隙間設定で大きく決定されるが、この圧力領域により制御範囲が限定されることもわかり、10〜500kPaが適用範囲とわかった。特に、高圧下では圧力変動がノイズとなり制御を困難にする。望ましくは30〜300kPaで行えば、より安定化した。また、機械的固定の実現による高精度化、かつプログラム化による自動制御では繰返し安定性を得ることができた。また、設計の不具合に対してもカバーした。
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るダイ方式塗布装置1及び塗布方法では、ダイ2の内部に塗布液11を供給する塗布液供給口25〜27をダイ2に対して塗布幅方向に計3箇所に設け、各塗布液供給口25〜27に対して供給される塗布液の圧力又は流量を供給口毎に所定圧力又は所定流量に調整するので、ウェブ10に塗布された塗布膜12の塗布幅方向の厚みを高精度で調整することができ、その結果、塗布膜12の厚みを均一化することができる。また、従来の機械構造的な可変機構や制御システムを必要とせず、機械精度的に固定安定化させることができる。更に、ダイ2の形状設計に不具合があったとしても、圧力又は流量制御によって修正を不要とすることができる。従って、導入かつ運用コストの削減、品質安定化による生産性向上、オペレータの管理作業を軽減することが可能となった。
また、塗布液供給口25〜27は塗布幅の中心位置と、中心位置から所定距離ずつ左右方向に離れた両位置の計3箇所に設けられているので、ダイに対する塗布液の供給構造を複雑な構成にすることなく、且つ、塗布液の圧力又は流量に基づいて塗布幅方向の厚みを高精度で設定することができる。
更に、定量ポンプ5から送出された塗布液供給口25〜27を供給口へと搬送する搬送ライン4を、供給口の数に応じた経路に分岐し、且つ分岐点41から塗布液供給口25〜27までの距離を等長とするので、塗布液供給口25〜27における塗布液11の流量と圧力を高精度で調整することが可能となる。
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態ではダイ2の構成についてキャビティ24に塗布液11を供給する供給口をダイ2の側面に対して計3箇所に設けることとしているが、その供給口の数は4つ以上としても良い。
本実施形態に係るダイ方式塗布装置の概略構成を示す斜視図である。 本実施形態に係るダイ方式塗布装置をダイの長さ方向で切断した断面図である。 本実施形態に係るダイを示した斜視図である。 ウェブ上に形成された塗布膜を幅方向に切断した断面図である。 厚み制御を行った場合と行わなかった場合での各塗布液供給口の供給口圧力の制御結果を示した図である。 厚み制御を行った場合と行わなかった場合でのウェブに形成された塗布膜の厚み形状を示した図である。 ダイ内部圧を10kPaとして塗布を行った場合のウェブに形成された塗布膜の厚み形状を示した図である。 ダイ内部圧を30kPaとして塗布を行った場合のウェブに形成された塗布膜の厚み形状を示した図である。 ダイ内部圧を100kPaとして塗布を行った場合のウェブに形成された塗布膜の厚み形状を示した図である。 ダイ内部圧を300kPaとして塗布を行った場合のウェブに形成された塗布膜の厚み形状を示した図である。 ダイ内部圧を500kPaとして塗布を行った場合のウェブに形成された塗布膜の厚み形状を示した図である。 ダイ内部における経時圧力の状態を示した図である。
符号の説明
1 ダイ方式塗布装置
2 ダイ
4 搬送ライン
4A 第1分岐ライン
4B 第2分岐ライン
4C 第3分岐ライン
10 ウェブ
11 塗布液
12 塗布膜
25〜27 塗布液供給口
41 分岐点
42、43 自動調整弁
51 制御装置

Claims (6)

  1. 連続走行するウェブに対して所定の塗布幅で塗布液を吐出するダイと、
    前記塗布液を前記ダイへ送出するポンプと、
    前記ダイに対して塗布幅方向に複数箇所に設けられるとともに前記ポンプから送出された塗布液をダイ内部に供給する供給口と、
    前記複数箇所の供給口に対して供給される塗布液の圧力又は流量を供給口毎に所定圧力又は所定流量に調整する調整手段と、を有することを特徴とするダイ方式塗布装置。
  2. 前記供給口は前記塗布幅の中心位置と、中心位置から所定距離ずつ左右方向に離れた両位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のダイ方式塗布装置。
  3. 前記ポンプから送出された塗布液を前記供給口へと搬送する搬送手段と、
    前記搬送手段に設けられ前記塗布液を前記供給口の数に応じた経路に分岐する分岐手段と、を有し、
    前記分岐手段から前記供給口までの距離が等長であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のダイ方式塗布装置。
  4. 所定の塗布幅で塗布液を吐出するダイを用い、連続走行するウェブに対して吐出した塗布液を塗布する塗布方法において、
    ポンプから送出された塗布液をダイ内部に供給する供給口を前記ダイに対して塗布幅方向に複数箇所に設け、前記供給口に対して供給される塗布液の圧力又は流量を供給口毎に所定圧力又は所定流量に調整することを特徴とする塗布方法。
  5. 前記供給口は前記塗布幅の中心位置と、中心位置から所定距離ずつ左右方向に離れた両位置に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の塗布方法。
  6. 前記ポンプから送出された塗布液を前記供給口へと搬送する搬送経路において前記塗布液を前記供給口の数に応じた経路に分岐する分岐点から前記供給口までの距離が等長であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の塗布方法。
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