JP2007294308A - 密閉式電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】注液孔の封孔不良が生じ難く、耐漏液性の高い電池を提供する。
【解決手段】密閉式電池1は、電池外装体3に形成された電解液を注入するための注液孔11と、その注液孔11を封孔する封孔栓6とを備える。密閉式電池1は、注液孔11を封孔した際に露出している封孔栓6の露出部13Aの中央部13Bにレーザー照射を施した後、露出部13Aの外周縁13Cに沿ってレーザー溶接を施すことで密閉されて製造されるので注液孔11の封孔不良が生じ難い。
【選択図】図3

Description

本発明は、密閉式電池の製造方法に関する。
近年、携帯用の電話、AV機器、コンピュータなどの携帯機器の駆動用電源として各種の電池が用いられている。このような電池としては、従来、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン二次電池などをはじめとする密閉式電池が用いられている。
このような密閉式電池としては、例えば、特許文献1に記載の密閉構造を有したものなどが知られている。
特許文献1に記載の密閉式電池は、頭部が平板状をなすボルト(封孔栓)を注液孔の内部に形成された雌ねじ部に螺合した後、ボルト頭部の外周面と注液孔の内周面とをレーザー溶接することで接合し密閉したものである。
実用新案登録第3113674号公報
上記特許文献1に記載の密閉式電池は、封孔栓の頭部の外周縁のうちの一点を始点として、外周縁に沿ってレーザー溶接が施されることで密閉される。
上記のような密閉方法を用いて、電池を密閉すると、封孔栓のレーザー溶接の始点に、電池内部方向へ応力がかかり封孔栓が傾くことがあり、これは、特に小さい封孔栓を備えた電池を密閉する際に起こり易い。このように封孔栓が傾くのは、外周縁のレーザー溶接の始点において局所的に温度が上昇して熱的に不均衡な状態が生じ、その結果、熱膨張による応力が局所的にかかるからではないかと考えられる。
そして、封孔栓の外周縁の一点部分が傾いたままレーザー溶接を施すと、封孔栓と注液孔との間にピンホール、クラックなどの隙間が生じ易くなり、注液孔の封孔不良が生じることがあった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、注液孔の封孔不良が生じ難く、耐漏液性の高い密閉式電池を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、電池外装体に形成された電解液を注入するための注液孔と、その注液孔を封孔する封孔栓を備えた密閉式電池の製造方法であって、前記封孔栓のうち、前記注液孔を封孔した際に露出している露出部の中央部にレーザー照射を施した後、前記露出部の外周縁に沿ってレーザー溶接を施すことで密閉されることを特徴とする密閉式電池の製造方法である。
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記封孔栓の前記露出部が平板状となっているところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記露出部の中央部にレーザー照射を施した後、連続して前記露出部の中央部から前記露出部の外周縁に連なるようにレーザー照射を施し、さらに前記露出部の外周縁に沿ってレーザー溶接を施すところに特徴を有する。
<請求項1の発明>
請求項1に記載の発明によれば、封孔栓のうち、注液孔を封孔した際に露出している露出部の中央部にレーザー照射を施した後、露出部の外周縁部分にレーザー溶接を施すことで密閉式電池の注液孔が密閉されるから、外周縁の一点部分を始点とした場合と相違して、封孔栓が傾き難い。これは、封孔栓の露出部の中央部にレーザー照射を施すことで、中央部の熱膨張による応力が均等に分散されるからではないかと考えられる。したがって、本発明の製造方法によれば、封孔栓がほぼ水平な状態で溶接が施されるから、注液孔の封孔不良が生じ難く、耐漏液性の高い密閉型電池を提供することができる。
<請求項2の発明>
請求項2に記載の発明によれば、封孔栓の露出部が平板状となっているから、レーザー溶接の開始の際に露出部の中央部から多少のずれがあっても、封孔栓が傾き難い。したがって、さらに封孔不良を生じ難い密閉型電池を提供することができる。
<請求項3の発明>
請求項3に記載の発明によれば、露出部の中央部にレーザー照射を施した後、連続して露出部の中央部から露出部の外周縁に連なるようにレーザー照射を施し、さらに露出部の外周縁に沿ってレーザー溶接を施すから、レーザー照射による熱の影響が徐々に中央部から外周縁に向かって及び、熱膨張による応力がより均等に分散されるという点で好適である。
<実施形態1>
以下、本発明の製造方法によって得られた実施形態1のリチウムイオン二次電池について説明する。
図1は、実施形態1を示す長円筒形のリチウムイオン二次電池1(以下、電池1という)の斜視図である。この電池1は、アルミニウム箔からなる正極集電体に正極合剤を塗布してなる正極板と、銅箔からなる負極集電体に負極合剤を塗布してなる負極板とがセパレータを介して長円渦巻状に巻回された長円筒形極板群2と、非水電解液(図示せず)とを電池外装体3に収納してなる、幅12mm、高さ20mm、厚さ5.0mmのものである。
電池外装体3の上面には電池蓋4が、レーザー溶接によって取り付けられている。長円筒形極板群2の負極はリードを介して、電池蓋4に設けられた負極端子5と接続され、正極はリードを介して電池蓋4と接続されている。また、電池蓋4に設けられた注液孔11を塞ぐように封孔栓6が取り付けられ、電池蓋4と封孔栓6とはレーザー溶接され、レーザー溶接部7が形成されている(詳細は後述する)。
図2は図1に示した電池1のA−A断面図である。本実施形態において、注液孔11は外側から内側に向けて大小2種の内径を有する段付き孔になっており、外側に近い方から第1孔部11A、第2孔部11Bとされる。この注液孔11に取り付けられている封孔栓6の形状は、図2に示すように、注液孔11の第1孔部11Aと第2孔部11Bとの間に配される上側部分が円盤状をなし(以下、円盤部13ともいう)、第2孔部11Bよりも下方に配される下側部分が円錐台形状をなす(以下、円錐台形部14ともいう)ものである。円盤部13の直径は注液孔11の第1孔部11Aの直径よりやや小さめに設定され、円錐台形部14は、その最大径が第2孔部11Bの直径よりもやや小さめで、かつ、その直径は下方へ近づくに従い小さくなるように設定されている。
本実施形態の電池1を例えば、小型電池に適用する場合には、封孔栓6の円盤部13の直径は通常0.3〜5mmで、厚さは通常0.1〜3mmである。
さて、本実施形態においては、封孔栓6のうち、注液孔11に取り付けられた際に電池1の外側に露出している円盤部13の上面部分が露出部13Aとされる。そして、この露出部13Aの中央部13Bはレーザー照射を施す際の始点とされる。本実施形態においては、露出部13Aの中央部13Bにレーザー照射を施した後、連続して中央部13Bから外周縁13Cに連なるようにレーザー照射を施し、さらに外周縁13Cに沿ってレーザー溶接を施すことで、注液孔11が密閉される。
<実施例1〜3、比較例1および2>
以下、実施形態1の電池1と同様の形態をなしている実施例1および、実施形態1とは封孔栓のレーザー照射の手順が相違する実施例2、3と比較例1、2について示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
1.電池1の作製
(1)正極板の作製
正極板は、結着剤のポリフッ化ビニリデン6重量%と、導電剤のアセチレンブラック4重量%と、正極活物質としてLiCoO90重量%とを混合してなる正極合剤に、N−メチルピロリドンを加えてペースト状に調製した後、これを厚さ15μmのアルミニウム箔製の正極集電体の両面に塗布、乾燥することによって作製した。
(2)負極板の作製
負極板の作製のための負極活物質としては、メソカーボンマイクロビーズ85質量%と人造黒鉛15質量%の混合材を用いた。負極板は、この負極活物質97重量%とスチレン−ブタジエンゴム(SBR)2重量%とカルボキシメチルセルロース(CMC)1重量%とを水中で分散させてペースト状に調製した後、これを、厚さ10μmの銅箔製の負極集電体の両面に塗布、乾燥することによって作製した。
(3)電池の作製
正極板および負極板の乾燥は、0.01torr以下の真空下で12時間以上行い、その後ロールプレスを行った。
次に正極板と負極板とを、幅12mmのセパレータを介して、巻き軸を中心として長円筒形に巻回して長円筒形極板群2とした。その後、巻き軸から長円筒形極板群2を取り外して、長円筒形アルミニウム製の電池外装体3に収納した。
長円筒形極板群2の寸法は長円筒形極板群2の平坦部が電池外装体3に接触し、かつ湾曲部の少なくとも一部が電池外装体3に接触するように設定して、電池1の体積エネルギー密度と耐振動性の向上を図った。
次に、エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):エチルメチルカーボネート(EMC)=3:2:5(体積比)の混合溶媒に、さらに調製後の濃度が1mol/LとなるようにLiPFを溶解した電解液を注入した。
次に注液孔11に図2に示す形状の封孔栓6を設置し、図3〜図7に示す位置に下記の手順でレーザー照射を行うことで、注液孔11を密閉し、本発明の製造方法による電池1(実施例1〜3)および従来の製造方法による電池1(比較例1および2)を得た。詳細は以下の通りである。なお、図3〜図7において、レーザー照射の始点は黒丸で描かれ、レーザー溶接(照射)が施されている部分はレーザー溶接部7として白丸が重ねられるようにして描かれており、図中の矢印の方向にレーザー溶接(照射)が施されていることを示す。なお、本明細書において「レーザー溶接部7」は、レーザー溶接が施された部分とレーザー照射が施された部分とを示す。
実施例1:実施形態1と同様に、封孔栓6の露出部13Aの中央部13Bを始点として外周縁13Cへ向けて直線状にレーザー照射を施し、これに続けて露出部13Aの外周縁13Cに沿ってレーザー溶接を施した(図3参照)。
実施例2:図4に示すように、封孔栓6の露出部13Aの中央部13Bを始点として渦巻き形状を描きながらレーザー照射を施し、露出部13Aの外周縁13Cに沿って1周するところまで、レーザー溶接を施した。
実施例3:図5に示すように、まず封孔栓6の露出部13Aの中央部13Bにレーザー照射を施した後、露出部13Aの外周縁13Cに沿ってレーザー溶接を施した。
比較例1:図6に示すように、封孔栓6の露出部13Aの外周縁13Cの一点を始点として、外周縁13Cに沿ってレーザー溶接を施した。
比較例2:図7に示すように、封孔栓6の露出部13Aの外周縁13Cの一点を始点として外周縁13Cに沿ってレーザー溶接を施し、これに続けて露出部13Aの中央部13Bに向けて直線状にレーザー照射を施した。
2.封孔不良率の判定
実施例1〜3と比較例1および2について、それぞれ1000個の電池1を作製し、作製された電池1について注液孔11の封孔が良好かどうかを判定した。この際、顕微鏡観察によって封孔栓6から電解液の染み出しが認められない場合は良好とし、認められる場合は不良とした。不良と判定された電池の個数と不良率(%)を表1に示す。
Figure 2007294308
3.結果と考察
(1)本発明の製造方法によって得られた電池1(実施例1〜3)については、比較例1および2と比較して、不良率は低かった。この理由は以下のように考えられる。
実施例1〜3においては、封孔栓6の露出部13Aの中央部13Bを始点としてレーザー照射が施されることで、中央部13Bの熱膨張による応力が均等に分散されるから、封孔栓6が傾き難い。一方、比較例1および2においては、外周縁13Cの一点部分を始点としてレーザー溶接が施されることで、外周縁13Cにおいて局所的に温度が上昇して熱的に不均衡な状態が生じ、電池内部方向へ熱膨張による応力が局所的にかかるから、実施例1〜3と比較すると封孔栓6が傾き易い傾向にある。そして、その結果、実施例1〜3の方法によって製造された電池1においては、比較例1および2の方法によって製造された電池1と比較して、レーザー溶接の際に、封孔栓6が傾く割合が少ないので、封孔不良が生じ難いのではないかと考えられる。
(2)特に実施例1および2において不良率が低かった。これは、レーザー照射による熱の影響が徐々に中央部13Bから外周縁13C方向に及ぶことで、熱膨張による応力がより均等に分散されるからではないかと考えられる。
4.本発明の効果
本発明によれば、注液孔の封孔不良が生じ難く、耐漏液性の高い電池を提供することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本発明は露出部の中央部にレーザー照射を施した後、外周縁に沿ってレーザー溶接を施して製造する方法であればよく、上記実施例1〜3以外の溶接方法、例えば、露出部の中央部を始点として外周縁に向けて放射状にレーザー照射を施した後、外周縁に沿って溶接を施しても良い。
(2)上記実施形態は、本発明をリチウムイオン二次電池に適用したものであったが、本発明は、リチウムイオン二次電池に限らず、ニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池に適用することもできる。
(3)本発明において、封孔栓の形状は、実施形態1に示す形状以外の形状をなすもの、例えば、全体として円錐台形状をなすもの、ねじ形状をなすもの、上部が方形状をなしており下部が円錐台形や円柱状をなすもの、または、上部が円盤形状をなし下部が円錐台形状をなすものにパッキンやワッシャーを嵌めこんだものなどであってもよい。
また、本発明においては、封孔栓のうち、少なくとも注液孔に取り付けられた際に電池の外側に露出している露出部はレーザー溶接可能な材料である必要があるが、溶接されない部分はゴムなどの弾性素材であってもよい。
(4)上記実施形態において注液孔は段付き孔となっていたが、段差のない形状のものでもよい。また、封孔栓のうち注液孔にはめ込まれる部分に弾性素材を用いて圧入によって注液孔をシールする場合などであれば、封孔栓の直径はその一部または全部において注液孔の内径よりも大きく設定されていてもよい。
(5)上記実施形態の電池は、安全弁を備えていないものであったが、安全弁を備えた大型電池にも本発明を適用することができる。安全弁の設置位置は、電池外装体の上面や側面であってもよい。
実施形態1の電池の斜視図 そのA−A断面図 実施例1における封孔栓のレーザー溶接の状態を示す上面図 実施例2における封孔栓のレーザー溶接の状態を示す上面図 実施例3における封孔栓のレーザー溶接の状態を示す上面図 比較例1における封孔栓のレーザー溶接の状態を示す上面図 比較例2における封孔栓のレーザー溶接の状態を示す上面図
符号の説明
1…電池
2…長円筒形極板群
3…電池外装体
6…封孔栓
7…レーザー溶接部
11…注液孔
13…円盤部
13A…露出部
13B…中央部
13C…外周縁

Claims (3)

  1. 電池外装体に形成された電解液を注入するための注液孔と、その注液孔を封孔する封孔栓を備えた密閉式電池の製造方法であって、
    前記封孔栓のうち、前記注液孔を封孔した際に露出している露出部の中央部にレーザー照射を施した後、前記露出部の外周縁に沿ってレーザー溶接を施すことで密閉されることを特徴とする密閉式電池の製造方法。
  2. 前記封孔栓の前記露出部が平板状となっていることを特徴とする請求項1に記載の密閉式電池の製造方法。
  3. 前記露出部の中央部にレーザー照射を施した後、連続して前記露出部の中央部から前記露出部の外周縁に連なるようにレーザー照射を施し、さらに前記露出部の外周縁に沿ってレーザー溶接を施すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の密閉式電池の製造方法。
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