JP2017098114A - 密閉型電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】リーク検査のためのトレーサガスが封入された密閉型電池の製造方法を提供する。【解決手段】本発明にかかる製造方法は、注液孔を備える電池ケース内に電極体が収納された電池組立体を用意する工程(S1)、第1電解液を用意する工程(S2)、第1電解液にトレーサガスが溶解された第2電解液を用意する工程(S3)、注液孔から電池ケース内に第1電解液を減圧注液する工程(S4)、工程αの後、大気圧雰囲気下で注液孔から電池ケース内に第2電解液を注液する工程β(S5)、第1電解液および第2電解液が注液された電池ケースの注液孔を封止する工程(S6)を包含する。【選択図】図1

Description

本発明は、リーク検査のためのトレーサガスが封入された密閉型電池の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池等の密閉型電池は、電極体を電池ケースに収容して電池組立体を組み立てた後、この電池組立体に注液孔から電解液を注液し、該注液孔を密閉することで製造されている。電極体に電解液が浸透し、所定の充放電処理が施された後、この電池組立体は電池としての機能を備え得る。
なお密閉型電池の製造に際しては、製造された電池ケースの密閉性を確保する目的で、通常、密閉後の電池に対してリーク検査が行われている。このリーク検査を行う場合、電池の密閉前に、予め電池ケース内にリークの検知に使用するトレーサガスを導入しておく必要がある。このトレーサガスの導入に関する従来技術として特許文献1が挙げられる。この特許文献1では、電解液の注液後に電池ケース内にトレーサガスを注入することに加えて、電解液の注液のための圧送ガスとしてトレーサガスと同じ種類のガスを用いるようにしている。これにより、電池内に導入されたトレーサガスが希釈されるのを抑制し、リーク検査の精度を向上させ得ることが開示されている。
特開2014−183027号公報
ところで、電極体における電極(典型的には活物質層)は、電荷担体との接触面積を増大するために多孔質構造に形成されている。そして密閉型電池の製造工程では、電極体の隅々にまで電解液を含浸させること、そしてこの電解液の含浸時間を短縮すること等を目的として、減圧注液が行われることがある。減圧注液では、例えば、減圧雰囲気下で電池ケースに電解液を注液し、その後、雰囲気を大気圧に戻す。このことにより電極体への電解液の含浸が促進され、注液工程に要する時間が大幅に短縮される。
しかしながら、特許文献1に開示された技術において減圧注液を採用すると、リーク検査において再び過判定率が高くなり、検査精度が低下してしまうという問題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、注液工程時間の短縮と、リーク検査の高精度化を可能とする、密閉型電池の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ね、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明により、密閉型電池の製造方法が提供される。この製造方法は、(S1)注液孔を備える電池ケース内に電極体が収納された電池組立体を用意する工程;(S2)第1電解液を用意する工程;(S3)上記第1電解液にトレーサガスが溶解された第2電解液を用意する工程;(S4)上記注液孔から上記電池ケース内に上記第1電解液を減圧注液する工程α;(S5)上記工程αの後、大気圧雰囲気下で上記注液孔から上記電池ケース内に上記第2電解液を注液する工程β;および、(S6)上記第1電解液および上記第2電解液が注液された上記電池ケースの上記注液孔を封止する工程;を含む。
本発明者は、特許文献1の技術を減圧注液に適用したときにリーク検査の精度が低下する原因が、以下の点にあると考えた。すなわち、電解液の注液のための圧送ガスとしてトレーサガスを用いても、圧送ガスは電解液注入装置から吐出された瞬間に排気系にて系外に排出されてしまう。また、圧送中に電解液に溶け込んだ僅かなトレーサガスについても、電解液が減圧雰囲気に晒されるのと同時に電解液から放出される。したがって、減圧状態でトレーサガスを電池ケース内に導入するのは困難である。
そこでここに開示される技術においては、通常の電解液である第1電解液を減圧注液することで、電解液の注液時間を大幅に短縮するようにしている。また、電解液に多量のトレーサガスを溶解させて第2電解液を用意しておき、この第2電解液を大気圧下で注液することで、電解液とともに高精度なリーク試験の実施に必要な量のトレーサガスを電池ケース内に導入するようにしている。大気圧注液は、減圧注液に比べて注液に要する時間が大幅に長大化する。したがって、ここに開示される技術においては、第1電解液の減圧注液も併せて行うことにより、注液工程を短縮するようにしている。また、トレーサガスの注入のための別の工程を必要としない。これにより、リーク検査の高精度化を可能とする密閉型電池を、製造時間(典型的には注液工程時間)を短縮して製造することができる。ここに開示される技術によると、例えば、電解液の含浸に時間を要する大型で捲回型の電極体を備える密閉型電池を、短時間でかつ高品質なものとして製造することができる。
本発明の一実施形態に係る製造方法のフローチャートである。 注液工程における密閉型電池内の電解液のイメージを例示した断面模式図である。 第2実施形態に係る第2電解液の注液量と、ヘリウム濃度および所要時間との関係を示すグラフである。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の好適な一実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない電池の構成要素や一般的な製造プロセス)は、本明細書の教示と当該分野における技術常識とに基づき当業者に理解され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
図1は、一実施形態に係る密閉型電池の製造方法を示すフローチャートである。ここに開示される製造方法は、電池ケースによりケースの内部が外部環境から遮断されている各種の密閉型電池の製造に適用することができる。典型的には、電池ケースによってケースの内部と外部との気体,液体および固体の流通が遮断されている各種の電池の製造に適用される。この製造方法は、本質的には、上記の(S1)〜(S6)の工程を含むことで特徴づけられる。
なお、工程(S1)〜(S3)は、それぞれ順不同に行うことができる。工程(S4)〜(S6)は、工程(S4),(S5),(S6)の順に実施することができる。工程(S1)および(S2)は、工程(S4)より前に実施されていれば良い。工程(S3)は、工程(S5)の前に実施されていれば良い。上記製造方法は、ここに開示される技術の目的を損なわない範囲において、上記工程以外の工程を含むことができる。以下、各工程について説明する。
[S1:電池組立体の用意工程]
工程S1では、注液孔を備える電池ケース内に電極体が収納された電池組立体を用意する。
電池ケースの材質、大きさ、形状等は特に限定されない。電池ケースの材質は、例えば、アルミニウムおよびその合金、鉄およびその合金(例えばSUS鋼)、ニッケルおよびその合金等に代表される金属、ポリアミド等の樹脂、ラミネートフィルム等の複合材料等であってよい。また、電池ケースの大きさや形状も限定されず、円筒型、角型、扁平角型、コイン型、ラミネートバック型等の各種のものを好適に用いることができる。また注液孔の形態については特に制限されず、従来公知のものであってよい。注液孔は、例えば、封止栓を装着して注液孔を封止することで、電池ケースを密閉できるものであってよい。注液孔は、開口を有するケース本体と該開口を蓋する封口体とに分かれる電池ケースについては、典型的には、封口体に好ましく備えることができる。
電極体は、典型的には正および負の一対の電極が絶縁状態で配置されたものであり得る。典型的には、正極および負極を絶縁樹脂製のセパレータを介して対向するように重ね合わされたものであってよい。この電極体の電極間を、後述の電解液に含まれる電解質が行き来することで充放電が行われる。電解液が含浸されることで、この電極体は発電要素としての機能を備え得る。
なお、上述のように、ここに開示される技術は、電解液の含浸に時間を要する大型で捲回型の電極体を備える密閉型電池の製造に特に好適に適用することができる。このような密閉型電池の典型例は、リチウムイオン二次電池であり得る。そこで、リチウムイオン二次電池の電極体の構成について、簡単に説明する。
リチウムイオン二次電池の正極は、典型的には、正極集電体と当該正極集電体上に形成された正極活物質層とを備える。正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含み、さらに他の任意成分(例えばバインダや導電材等)を含み得る。正極活物質としては、例えば、リチウム元素と一種または二種以上の遷移金属元素とを含むリチウム遷移金属複合酸化物を採用し得る。バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)のハロゲン化ビニル樹脂を採用し得る。導電材としては、例えば、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラックやケッチェンブラック)等の炭素材料を採用し得る。
リチウムイオン二次電池の負極は、典型的には、負極集電体と当該負極集電体上に形成された負極活物質層とを備える。負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含み、さらに他の任意成分(例えばバインダや導電材等)を含み得る。負極活物質としては、例えば、黒鉛(グラファイト)系の炭素材料を好適に用いることができ、特には黒鉛粒子の表面にアモルファスカーボンがコートされた形態のアモルファスコートグラファイトが好適である。バインダとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を好適に用いることができる。
セパレータとしては、正極と負極とを絶縁するとともに、電荷担体の移動(通過)や保持を可能とするものを用いることができる。さらには、所定の温度で軟化・溶融し、電荷担体の移動を停止するシャットダウン機能を有するものを好ましく用いることができる。一好適例として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔質樹脂シート(フィルム)が挙げられる。
正極、負極およびセパレータの形状は特に制限されない。例えば大型で捲回型の電極体を構築する場合には、長尺シート状の正極、負極および2枚のセパレータを用い、正極および負極の間をセパレータで絶縁して積層し、長手方向に直交する幅方向を軸として捲回すればよい。捲回型電極体は、断面形状が円形であってもよいし、楕円形ないしは長円形(トラック型ともいう)であってもよい。
[S2:第1電解液用意工程]
ここでは、目的の密閉型電池における電解質を含む電解液を用意する。電解液は、水系電解液および非水系電解液のいずれであっても良い。リチウムイオン二次電池においては、非水系の電解液を好ましく用いることができる。この非水電解液は、例えば非水溶媒中に支持塩を含有させることで調製することができる。支持塩としては、LiPF、LiBF等のリチウム塩が好適である。非水溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の非プロトン性溶媒を考慮することができる。なかでも、カーボネート類、例えば、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等を好適に用いることができる。
[S3:第2電解液用意工程]
ここでは、第1電解液にトレーサガスが溶解された第2電解液を用意する。トレーサガスとは、リーク試験に用いる検知用ガスである。トレーサガスの種類は特に制限されない。例えば、水素(H)、窒素(N)、ヘリウム(He)等であり得る。大気中の含有量が少なく識別が容易であって、分子径が小さく、不活性で毒性がなく安全である等の観点から、ヘリウムガスを好ましく用いることができる。なお、ヘリウムガスの採用は、例えば、一般的なリーク検査であるJIS Z2331:2006に規定される「ヘリウム漏れ試験方法」においてトレーサガスとして用いられている点においても好ましい。
第1電解液にトレーサガスを溶解させる手段としては特に制限されない。例えば、第1電解液中でトレーサガスをバブリングする方法や、第1電解液を収容した容器内にトレーサガスを加圧状態で導入して保管(保持)する方法等が挙げられる。また、トレーサガスと電解液とを密閉容器に入れて撹拌する手法が挙げられる。これらは、加圧条件下で行っても良い。第2電解液におけるトレーサガスの溶解度は、高ければ高いほど好ましい。例えば、トレーサガスの電解液への溶解度の限界量を100%としたとき、第2電解液におけるトレーサガスの溶解度は、50%以上が好ましく、70%以上が好ましく、90%以上が特に好ましい。
[S4:減圧注液工程α]
ここでは、上記で用意した電池組立体の注液孔から、電池ケース内に、第1電解液を減圧注液する。減圧注液は、まず、電池組立体の注液孔を解放した状態で、電池ケース内の圧力を大気圧よりも低くなるように減圧する。減圧は、電池ケース内だけを減圧することでもよいし、電池組立体の全体を減圧雰囲気に置くことでもよい。減圧後の電池ケース内の圧力は特に制限されない。効果的な減圧注液を行うとの観点からは、電池ケース内の圧力は、例えば、1kPa〜30kPa程度、好ましくは5kPa〜20kPa程度とすることが例示される。このような減圧雰囲気で第1電解液を所定量注液する。第1電解液の注液に際しては、汎用されている電解液注液装置を適宜に利用することができる。なお、このとき、第1電解液を圧送するための圧送ガスとしては、従来と同様、窒素(N)等の不活性ガス、乾燥空気等を用いてもよいし、トレーサガスを用いてもよい。安価で入手が容易等の観点からは、圧送ガスとして窒素ガスを用いるのが好ましい。しかしながら、ここに開示される技術において、減圧注入の際の圧送ガスとして、第2電解液に溶解させたのと同じトレーサガスの使用を妨げない。
そしてこの減圧注液においては、減圧下で第1電解液を注液したのち、電池ケース内の圧力を大気圧にまで戻す。ケース内圧を大気圧に開放する際は、例えば、上記の圧送ガスとして用いることができるいずれかのガスを、電池ケース内あるいはチャンバー内に導入すればよい。これにより、多孔質な電極体の空隙の隅々にまで亘って、短時間で第1電解液が浸透される。また、電極体が捲回型電極体であり、電解液の含浸方向が捲回軸方向に限定されている場合であっても、捲回型電極体の中心(典型的には、捲回軸方向の中心)にまで短時間で効率よく電解液を含浸させることができる。なお、参考のために、第1電解液の含浸後の電池組立体のイメージを、図2の工程aに示した。
ここで、目的の密閉型電池に適切な電解液の全量をX、第1電解液の注液量をA、後述する第2電解液の注液量をBとする。このとき、第1電解液の注液量は、次式:A=X−B;で求められる量とすることができる。
[S5:大気圧注液工程β]
ここでは、工程αの後、大気圧雰囲気下で、電池組立体の注液孔から電池ケース内に第2電解液を注液する。この注液は、電解液として第2電解液を用いること以外は、通常の電解液の注液と同様に実施することができる。すなわち、第1電解液と同様、第2電解液の注液に際し、汎用されている電解液注液装置を適宜に利用することができる。また、雰囲気としては、従来と同様、乾燥空気雰囲気等とすることができる。なお、第2電解液を圧送するための圧送ガスとしては、従来と同様、窒素(N)等の不活性ガス、乾燥空気等を用いてもよいし、トレーサガス(例えばヘリウム)を用いてもよい。しかしながら、第2電解液に溶解させたトレーサガスを圧送中および圧送後に電解液から放出させるのを避けるとの観点から、圧送ガスとして、第2電解液に溶解させたトレーサガスを用いるのがより好ましい。なお、参考のために、第2電解液の含浸後の電池組立体のイメージを、図2の工程βに示した。
第2電解液の注液量Bは、第2電解液におけるトレーサガスの溶解度および電池体格、リーク検査条件等に応じて適切に設定することができる。すなわち、第2電解液の注液量Bと第1電解液の注液量Aとを足し合わせたときに、対象とする密閉型電池に適切な所定の電解液量Xとなるよう決定する必要がある。第2電解液の注液量Bが多ければ多い程、第1電解液の注液量Aが減少する。したがって、注液工程に要する時間をできるだけ短縮させるためには第2電解液の注液量Bは少ない方が好ましい。一方で、第2電解液の注液量Bが増えるほど、電池ケース内に導入されるトレーサガスの量も増大する。ここで、電池ケース内のトレーサガスは、リークが発生した場合に、使用するリーク検査器にて検知可能な濃度であればよい(図2のリーク検査参照)。なお、リーク検査では、リーク検査器の測定用チャンバー内に検査対象の密閉型電池を収容し、チャンバー内を減圧する。このとき、密閉型電池の気密性が十分でない場合は、電解液に溶け込んでいたトレーサガスが電解液から分離され、電池ケース外に漏出する。この漏出したトレーサガスを、リーク検査器が検出する。
したがって、第2電解液の注液量Bは、例えば、電池ケース内に導入されたトレーサガスが、リーク検査器の測定用チャンバー内に均一に拡散された場合において、当該リーク検査器がトレーサガスを検出できる濃度(すなわち検出限界以上)を実現する量であればよい。なお、過剰なトレーサガスの導入は、注液時間の不要な長大化に繋がるために好ましくない。かかる観点から、トレーサガスの導入量は、使用するリーク検査器の検出チャンバー内で、その検査器の検出限界の1倍〜10倍程度(好ましくは、1.05倍〜2倍程度)のトレーサガス濃度を実現する量に設定することが好ましい。
[S6:封止工程]
ここでは、第1電解液および第2電解液が注液された電池組立体の電池ケースの注液孔を封止する。注液孔の封止は、典型的には注入孔に適合した形状の封止栓を組み付けることで実施できる。これにより、密閉型電池を製造することができる。なお、従来の製造方法においては、封止工程の前に、トレーサガスを注入する工程を含むことがあった。ここに開示される技術においては、トレーサガスを注入する工程を含むことを妨げないが、製造時間の短縮との観点からは、トレーサガスを注入する工程を含まないことが好ましい。すなわち、トレーサガスは、上記の大気圧注液工程βにおいて電池ケース内に導入することが好ましい。
ここに開示される製造方法で得られる密閉型電池は、電池ケース内に、リーク検査においてリークを検出するに適切な量のトレーサガスが、過不足なく適切な量で導入されている。したがって、密閉型電池の電池ケースの気密性に問題がある場合、問題の電池はリーク検査において高精度で検出され得る。また、リーク検査における良否判定を行う閾値を不要に上げる(判定基準を緩める)ことなく、良否を判定することができる。つまり、リーク検査において良品を不良品と判定する過判定の率を低減することができる。したがって、過判定の割合を低減して、良品を市場に提供することができるために好ましい。また、ここに開示される技術によると、このような高品質な密閉型電池を、製造時間を短縮して製造することができるために好ましい。
ここに開示される製造方法は、例えば、電解液の含浸に時間のかかる面積の大きな電極を備える高容量タイプ(例えば電池容量が20Ah以上の、典型的には25Ah以上の、例えば30Ah以上)の密閉型電池において好ましく用いることができる。とりわけ捲回型の電極体を備える密閉型電池に特に好ましく用いることができる。このような性状の密閉型電池は、例えば、長期間交換されずに使用される用途、例えばプラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車等の動力源(駆動電源)として好適に用いることができる。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
(第1実施形態)
[1.電池組立体の用意]
密閉型電池としてリチウムイオン二次電池を選択し、電池組立体を構築した。電池組立体の構成については本願発明と直接的には関係ないが、参考までに、以下にその構成材料および作製手順を示す。
すなわち、まず、正極活物質粉末としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3(LNCM)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、これら材料の質量比がLNCM:AB:PVDF=90:5:5となるよう混練機に投入し、N−メチルピロリドン(NMP)で粘度を調整しながら混練して、正極合材層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、正極集電体としての厚み15μmの長尺状のアルミニウム箔の両面に塗布して、乾燥後にプレスすることにより、正極集電体上に正極合材層を有する正極シート(総厚み:130μm、合材層密度:2.6g/cm)を作製した。なお、正極集電体の長手方向に沿う一方の端部にはスラリーを供給せず、正極集電部とした。
また、負極活物質としての天然黒鉛(C)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、分散剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これら材料の質量比率がC:SBR:CMC=98:1:1となるよう混練機に投入し、イオン交換水で粘度を調整しながら混練して、負極合材層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、厚み10μmの長尺状銅箔(負極集電体)の両面に塗布して、乾燥後にプレスすることによって、負極集電体上に負極合材層を有する負極シート(総厚み:130μm、合材層密度:1.4g/cm)を作製した。負極集電体の長手方向に沿う一方の端部にはスラリーを供給せず、負極集電部とした。
次に、上記作成した正極シートと負極シートとを、2枚のセパレータシート(ここでは、ポリエチレン(PE)の両面にポリプロピレン(PP)が積層された三層構造で、総厚さが20μmの微多孔質シート)とともに捲回し、扁平形状に成形して捲回型電極体を作製した。
次に、角型の電池ケースの蓋体に正極端子および負極端子を取り付け、これらの端子を、捲回型電極体の正極集電部および負極集電部にそれぞれ電気的に接続した。このようにして蓋体と一体化された捲回型電極体を電池ケース本体の開口部から内部に収容し、電池ケース本体の開口部周縁と蓋体を溶接することによって電池ケースを封口した。なお、電池ケースの蓋体には唯一の開口部として電解液の注液孔が設けられている。これにより、電池組立体を用意した。
[2.第1および第2電解液の用意]
また、第1電解液として、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とをEC:DMC:EMC=30:30:40の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させたものを調製した。
また、第2電解液として、上記の第1電解液に、トレーサガスとしてのヘリウムガスを溶解させた第2電解液を用意した。第2電解液は、第1電解液を収容した第2電解液タンクに、ヘリウムガスを0.1MPaの圧力状態となるよう充填して24時間加圧保管することで用意した。
[3.電解液の注液および封止]
上記のように用意した電池組立体の注液孔から、以下の例1〜4の4通りの注液方法により電解液を注液した。注液後は、直ちに注液孔を封止栓で封止することで、例1〜4の密閉型電池を得た。
なお、このとき、電解液の注液の開始から終了まで、例4では電解液の注液の開始からヘリウムガスの封入完了まで、に要した所要時間(秒)を測定した。また、注液孔の封止後直ちに、電池ケース内部の空隙のガスをサンプリングし、ヘリウム濃度(%)を測定した。これらの結果は、下記の表1に示した。
(例1)α:減圧注液+β:大気圧注液
減圧チャンバー内に電池組立体を収容した。そして真空ポンプを用い、チャンバー内の圧力が10kPa以下になるまで減圧することで、電池ケース内の空気を脱気した。すなわち、電極体内部の空気も脱気した。そしてケース内圧力を10kPaの減圧状態に保ったまま、電解液注液装置を用いて注液孔からケース内に第1電解液を30g注液した。このとき、第1電解液の圧送ガスには窒素(N)ガスを用いた。第1電解液の注液後、チャンバー内に乾燥空気を導入し、チャンバー内および電池ケース内の圧力を徐々に大気圧に開放した。
次いで、大気圧下で、電解液注液装置を用いて注液孔からケース内に第2電解液を12.3g注液した。このとき、第2電解液の圧送ガスにはヘリウム(He)ガスを用いた。
(例2)β:大気圧注液
チャンバー内に電池組立体を収容し、チャンバー内に大気圧下で乾燥空気を導入した。そして、大気圧下で、電解液注液装置を用いて注液孔からケース内に第2電解液を42.3g(全量)注液した。このとき、第2電解液の圧送ガスにはヘリウム(He)ガスを用いた。
(例3)α:減圧注液
減圧チャンバー内に電池組立体を収容した。そして真空ポンプを用い、チャンバー内の圧力が10kPa以下になるまで減圧することで、電池ケース内の空気を脱気した。そしてケース内圧力を10kPaの減圧状態に保ったまま、電解液注液装置を用いて注液孔からケース内に第2電解液を42.3g(全量)注液した。このとき、第2電解液の圧送ガスにはヘリウム(He)ガスを用いた。
(例4)α:減圧注液
減圧チャンバー内に電池組立体を収容した。そして真空ポンプを用い、チャンバー内の圧力が10kPa以下になるまで減圧することで、電池ケース内の空気を脱気した。そしてケース内圧力を10kPaの減圧状態に保ったまま、電解液注液装置を用いて注液孔からケース内に第1電解液を42.3g(全量)注液した。このとき、第1電解液の圧送ガスには窒素(N)ガスを用いた。
本例では、第1電解液のみを注液したため、注液後に電池ケースの内部にトレーサガスとしてのヘリウム(He)ガスを50mL注入してから注液孔を封止した。
Figure 2017098114
表1に示したように、電解液を全て大気圧注液した例2は、減圧注液を採用した例1,3,4に比較して注液に要する時間が2〜3倍以上と、極めて長大化されることがわかった。しかしながら、全での電解液としてヘリウムガスを溶解した第2電解液を用いていることから、ヘリウムガスの注入を行うことなく、電池ケース内のヘリウム濃度を32%と高濃度にし得ることがわかった。ただし、本実施形態において、一般的なリーク検査器を用いてリークを検知するために電池ケース内の気体に必要とされるヘリウム濃度は、検査器の検出限界、測定用チャンバー容量、本例の密閉型電池における空隙量等を考慮して算出したとき、10%程度と算出された。つまり、32%という高濃度のヘリウムガスは必要ではない。したがって、例2の注液方法は、注液工程が長大化するという点で適していないといえる。
例3は、全ての電解液の注液に減圧注液を採用しているため、注液に要する時間が63秒と最も短かった。つまり、減圧注液を採用することで、電解液の注液時間を効果的に短縮できることがわかった。しかし、例3では、例2と同様に全ての電解液を第2電解液としているにもかかわらず、電池ケース内のヘリウム濃度が3.4%と全例で最も低い値となった。これは、第2電解液が減圧雰囲気に晒されることにより、電解液に溶解していたヘリウムガスが電解液から放出されてしまったことによるものと考えられる。また、例2と例3との比較から、ヘリウムガスを溶解した第2電解液は大気圧注液で好適に利用できるものの、減圧注液ではその利点が失われてしまい、電解液と注液法との組み合わせが適切でないことが確認された。なお、例3の電池内のヘリウム濃度は、リーク検査において必要な濃度(約10%)を大きく下回っており、通常のリーク試験器を用いて精度よくリーク試験を実施するのは不可能である。したがって、ヘリウムガスを溶解した第2電解液を減圧注液に用いる例3の注液方法は実際的ではないといえる。
例4は、公知の一般的な減圧注液法である。この例4では、全ての電解液の注液に減圧注液を採用したが、例3とは異なり全ての電解液をヘリウムの溶解していない第1電解液とした。そのため、注液のみに要する時間は63秒と、例3と同様に短かった。しかしながら、注液後に電池ケース内にヘリウムガスを注入する必要があり、リーク検査において必要な濃度のヘリウムの注入時間を併せると、所要時間は130秒にまで長大化してしまった。したがって、例4の注液方法は、改善の余地があるといえる。
これらに対し、例1では、第1電解液を使用した減圧注液と、第2電解液を使用した大気圧注液とを併用するものである。そして、第2電解液が減圧雰囲気に晒されないよう、第1電解液を使用した減圧注液を先に実施するようにしている。このことにより、第1電解液を使用した減圧注液で注液時間の短縮を図り、第2電解液を使用した大気圧注液で適切な量のヘリウムを電池ケース内に導入することができることがわかった。ここに開示される技術を採用することで、注液工程の時間短縮を図りながら、必要な濃度のトレーサガスを電池ケース内に導入できることがわかった。
(第2実施形態)
上記の第1実施形態における例1の注液方法を採用して、密閉型電池を構築した。ただし、減圧注液する第1電解液の量と、大気圧注液する第2電解液の量とを様々に変化させた。すなわち、第2電解液の量を、5g,12.3g,20g,30g,42gの5とおりで変化させ、第1電解液の量は電解液全量が同量(42.3g)となるように調整した。
このときの、電解液の注液から封止までに要した所要時間(秒)を第1実施形態と同様に測定した。また、封止直後の電池ケース内部の空隙のガスをサンプリングし、ヘリウム濃度(%)を測定した。これらの結果を図3に示した。
図3に示されるように、ヘリウムガスが溶解された第2電解液の量が増大すると、それにほぼ比例して、電池ケース内のヘリウム濃度も高濃度になることがわかった。一方で、注液時間については、大気圧で注液する第2電解液の量が増大するほど注液時間も増大するが、その増大傾向は注液量に対して比例ではなく、例えば注液量が25g程度を超えると急激に増大することがわかった。これは、大気圧注液では電極体内の空気と電解液との置換には比較的長い時間を要するが、大気圧下での注液量および注液時間が増えるほど電池内に残存する空気の存在量も増え、注液時間の長大化の影響が顕在化するためである。したがって、第2電解液の注液量は単に多ければ良いのではなく、使用するリーク検査器の検出下限濃度(例えば10%)のトレーサガス濃度を実現し得る量であればよいことがわかった。
本実施形態において、リーク検査において必要な濃度(約10%)のヘリウムを導入するために必要な第2電解液の液量は約10gであることがわかる。したがって、本例では、例えば第2電解液の注液量は、安全を見て約11〜20g程度、例えば12.3gとすることが適切であるといえる。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (1)

  1. 注液孔を備える電池ケース内に電極体が収納された電池組立体を用意する工程;
    第1電解液を用意する工程;
    前記第1電解液にトレーサガスが溶解された第2電解液を用意する工程;
    前記注液孔から前記電池ケース内に前記第1電解液を減圧注液する工程α;
    前記工程αの後、大気圧雰囲気下で前記注液孔から前記電池ケース内に前記第2電解液を注液する工程β;および、
    前記第1電解液および前記第2電解液が注液された前記電池ケースの前記注液孔を封止する工程;
    を含む、密閉型電池の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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FR3080940A1 (fr) * 2018-05-04 2019-11-08 Psa Automobiles Sa Installation de controle d’etancheite utilisant un drone autonome et procede de controle d’etancheite
WO2022186083A1 (ja) * 2021-03-01 2022-09-09 株式会社村田製作所 非水電解質二次電池

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