JP2007294288A - 色素増感型太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性基板上に半導体層と光増感型色素とを有する光電極基板と、少なくとも透明基板からなる対向電極基板とを所定の間隔を隔てて対向させ、これら基板間にレドックス対を含む電解質が配置された構成からなる色素増感型太陽電池素子において、対向電極基板にレドックスの酸化あるいは還元に対する触媒性能を有する物質が被覆された、金属細線を編んだメッシュが配置されており、金属細線の径(L)と金属メッシュの厚さ(d)とが以下の関係式(1)を満たすことを特徴とする色素増感型太陽電池。 L<d≦1.5×L (1)
【選択図】図1
Description
対向電極の導電性を向上させるために、金属メッシュを基板に配置する例は特許文献1や特許文献2等で提案されているが、いずれもチタニア電極側から光を照射するタイプであり、対向電極側から光を照射するタイプは見受けられない。
足立(M. Adachi) 外 ,「ケミストリーレター(Chemistry Letter) 」,2000年,p.942 ウォン(M. S. Won) 外,「ナノレター(Nano Letter)」,2001年,第1巻,p.637 大谷(M. Ohtaki) 外,「ジャーナル・アメリカン・ケミカルソサエティ( J. Am. Chem, Soc)」,1998年,第120巻,p.6832 矢田(M. Yata) 外,「アドバンスド マテリアルズ(Advanced Materials)」,2002年,第14巻,p.309
すなわち、本発明は、導電性基板上に半導体層と光増感型色素とを有する光電極基板と、少なくとも透明基板からなる対向電極基板とを所定の間隔を隔てて対向させ、これら基板間にレドックス対を含む電解質が配置された構成からなる色素増感型太陽電池素子において、対向電極基板にレドックスの酸化あるいは還元に対する触媒性能を有する物質が被覆された、金属細線を編んだメッシュが配置されており、金属細線の径(L)と金属メッシュの厚さ(d)とが以下の関係式(1)を満たすことを特徴とする色素増感型太陽電池に関する。
L<d≦1.5×L (1)
本発明の色素増感型太陽電池において、対向電極(対極)を形成する電極基板は、基本的には、透明基板、および金属細線からなる金属メッシュから構成される。
本発明に用いる金属メッシュを構成する金属線の材質としては、チタン、クロム、タングステン、モリブデン、白金、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、亜鉛、各種ステンレスおよびそれらの合金等が挙げられ、好ましくはチタン、クロム、タングステン、各種ステンレスおよびそれらの合金が望ましい。
また、金属線の線径および金属メッシュの目開きは、電極としての機能を果たせる限りにおいて、線径は細いほど、目開きは狭いほど好ましい。
L<d≦1.5×L (1)
金属メッシュの厚さが金属細線の径の1.5倍以上になると、太陽電池とした場合において、メッシュ部分にある電解液量が必然的に多くなるため入射光が電解液に吸収され減衰する程度が大きくなる。また、電解液の対極基板の近傍からチタニア層までの距離が増加するため、太陽電池の特性で重要なフィル・ファクター(曲線因子)や短絡電流値が低減することになる。本発明においては、金属メッシュの厚さが金属細線の径の1〜1.5倍の範囲が好ましいが、1〜1.2倍の範囲がさらに好ましい。
金属メッシュの厚さを調整する方法としては、とくに限定はされないが、適当な間隔に設定した金属ドラムの間に金属メッシュを通し、圧延して薄肉化することが一般に行われる。カレンダー加工方法は好ましい例として挙げることができる。
触媒を構成する材料としては、例えば、白金などの貴金属、ポリジオキシチオフェン、ポリピロールのような導電性有機化合物や各種カーボン材料などを例示することができる。触媒を形成することの可能なカーボン材料としては、特に制限されることは無いが、例えば、ボロンなどでドープしたダイアモンド薄膜、黒鉛やグラファイト、ガラス状カーボン、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、活性炭、石油コークス、C60やC70などのフラーレン類、単層または多重層のカーボンナノチューブなどを挙げることができる。なお、カーボン材料の形状としては、最終的に金属メッシュを被覆することができれば特に限定されなく、原料形状としては、液体状、ガス状、固体状(粉末、短繊維、長繊維、織布、不織布など)のいずれの形態でもよい。
透明基板に貼り付ける方法としては、透明性を阻害しなければ特に限定されず、各種接着剤、粘着剤、接着性フィルム等を用いて、通常の方法により貼り付けることができる。
前記導電性基板は、基板自身が導電性を有するか、あるいは少なくとも一方の面が導電性を有していればよく、透明な導電性基板でも、また不透明な導電性基板でも良い。透明な導電性基板としては、対極で説明した透明な導電性基板を使用することができる。また不透明な導電性基板としては、種々の金属製基板のほか、例えばガラス基板上に成膜されたAu、Pt、Crなどを挙げることができる。
また、用いられる半導体は単結晶でも多結晶でも良い。結晶系としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型などが主に用いられるが、好ましくはアナターゼ型である。
前記導電性基板への半導体層の形成方法としては特に制限されなく、公知の方法を採用することができる。例えば、上記半導体のナノ粒子分散液、ゾル溶液等を、公知の方法により基板上に塗布することで得ることが出来る。この場合の塗布方法としては特に限定されず、キャスト法による薄膜状態で得る方法、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法を挙げることができる。
また、積層構造を形成する層数は5層以下が好ましい、さらに好ましくは3層以下である。
本発明においては、導電性基板としてチタン金属とチタン金属以外の少なくとも1種類の金属との複層金属板を用い、これを陽極酸化してナノチューブ構造を有するチタニアを形成させる方法が特に好ましい。または、これらの複層金属板をガラスなどの無機材料やプラスチックのような有機材料に貼り付けて使用しても良い。
なお、半導体層を形成する半導体ナノチューブは単一の半導体材料だけから構成されていてもいなくても良い。
本発明において用いられる色素としては、半導体層の光吸収効率を向上させる色素であれば、特に制限されるものではなく、通常、各種の金属錯体色素や有機色素の一種または二種以上を用いることができる。また、半導体層への吸着性を付与するために、色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホニル基、ホスホニル基、カルボキシルアルキル基、ヒドロキシアルキル基、スルホニルアルキル基、ホスホニルアルキル基などの官能基を有するものが好適に用いられる。
金属錯体色素としては、ルテニウム、オスミウム、鉄、コバルト、亜鉛の錯体や金属フタロシアニン、クロロフィル等を用いることができる。
また、本発明における電解質は、酸化体の拡散係数が1×10−9cm2/s以上、好ましくは1×10−8cm2/s以上、さらに好ましくは1×10−7cm2/s以上を示すものが望ましい。なお、拡散係数は、イオン伝導性を示す一指標であり、定電位電流特性測定、サイクリックボルタモグラム測定などの一般的な手法で求めることができる。
レドックス性常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
塩類の具体例としては、ClO4 −、BF4 −、CF3SO3 −、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、PF6 −、AsF6 −、CH3COO−、CH3(C6H4)SO3 −、(C2F5SO2)3C−、およびジシアンジアミドイオン(DCA-)から選ばれる対アニオンを有するアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、4級アンモニウム塩、環状4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、環状4級ホスホニウム塩、イミダゾリウム塩、あるいはグアニジウム塩が挙げられる。
アルカリ類も特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがいずれも使用可能である。
常温溶融塩類としては、前記した化合物が用いられる。
任意成分としては、紫外線吸収剤、アミン化合物などを挙げることができる。用いることができる紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物、ベンゾフェノン骨格を有する化合物等の有機紫外線吸収剤が代表的な物として挙げられる。
R4、R7、及びR10は、炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキレン基またはアルキリデン基を示す。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、及びプロピレン基等を挙げることができる。アルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、及びプロピリデン基等が挙げられる。
上記一般式(2)〜(4)で表されるベンゾフェノン骨格を有する化合物の好ましい例としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−カルボン酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−カルボン酸、4−(2−ヒドロキシベンゾイル)−3−ヒドロキシベンゼンプロパン酸、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
もちろん、これらを二種以上組み合わせて使用することができる。
上記高分子マトリックスとしての特性を示す高分子化合物としては、ヘキサフロロプロピレン、テトラフロロエチレン、トリフロロエチレン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、フッ化ビニリデンなどのモノマーを重合または共重合して得られる高分子化合物を挙げることができる。またこれらの高分子化合物は単独で用いても良く、また混合して用いても良い。これらの中でも、特にポリフッ化ビニリデン系高分子化合物が好ましい。
可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質(成分(b))の使用量については特に制限はないが、通常、高分子固体電解質中に0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、かつ70質量%以下、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下の量で含有させることができる。
なお、成分(b)は、可塑剤(成分(c))と併用することが好ましい。
成分(b)と成分(c)を併用する場合、成分(b)は、成分(c)に溶解しかつ高分子固体電解質とした際にも析出等が起こらない混合比とすることが望ましく、好ましくは成分(b)/成分(c)が質量比で0.01〜0.5、さらに好ましくは0.03〜0.3の範囲である。
また、成分(a)に対しては、好ましくは成分(a)/(成分(b)+成分(c))質量比が1/20〜1/1、さらに好ましくは1/10〜1/2の範囲であることが望ましい。
高分子固体電解質における支持電解質の使用量については特に制限はなく任意であるが、通常、高分子固体電解質中に0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、かつ70質量%以下、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下の量で含有させることができる。また、紫外線吸収剤、アミン化合物などの種類および含有量は液体電解質において例示した通りである。
キャスト法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行い、キャスト法に用いられる通常のコータにて塗布し、乾燥することで成膜することができる。コータとしては、ドクタコータ、ブレードコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、リバースロールコータ、グラビアコータ、スプレイコータ、カーテンコータを用いることができ、粘度および膜厚により使い分けることができる。
スピンコート法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行い、市販のスピンコーターにて塗布し、乾燥することで成膜することができる。
ディップコート法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行って混合物溶液を作製し、適当な基盤を混合物溶液より引き上げた後、乾燥することで成膜することができる。
(1)半導体層を有する電極基板の作製
厚さ1mmで10cm角のチタン板を0.1容量%の過塩素酸水溶液中で白金板を対極として、両基板間に40Vを40分間印加し、陽極酸化した。この電極基板を下記式で示されるルテニウム色素/エタノール溶液(3.0×10−4mol/L)に15時間浸し、色素層を形成した。
線径30μmのステンレス細線をメッシュ数150で編んだ金属メッシュのメッシュ厚は58μmであり、これをカレンダー加工し、メッシュ厚が32μmとなるように調整した。カレンダー加工を施した金属メッシュに白金をスパッタリングし、5cm角のフロートガラス上に固定した。
得られた対向電極基板の周辺にブチルシール材を2mmのギャップを残して塗布し、前記で作成した半導体層を有する電極基板と貼り合わせた。シールのギャップ部から0.3mol/Lのヨウ化リチウムと0.03mol/Lのヨウ素を含むメトキシプロピオニトリル溶液を真空注入法により注入し、注入口をブチルシール材で封じた後、上部をエポキシ接着剤で固定化した。なお、半導体電極基板の導電層部分と対向電極にはリード線を接続した。図1に作製したセルの断面を示す。
このようにして得たセルに、対極側より疑似太陽光(1kW/m2)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、光電変換効率は5.1%と良好であった。
(1)半導体層を有する電極基板の作製
実施例1で作製した電極と同様の電極を使用した。
(2)対向電極基板の作製
線径16μmのステンレス細線をメッシュ数400で編んだ金属メッシュのメッシュ厚は30μmであり、これをカレンダー加工し、メッシュ厚が18μmとなるように調整した。カレンダー加工を施した金属メッシュに白金をスパッタリングし、5cm角のフロートガラス上に固定した。
(3)セルの作製
得られた対向電極基板の周辺にブチルシール材を2mmのギャップを残して塗布し、前記で作成した半導体層を有する電極基板と貼り合わせた。シールのギャップ部から0.3mol/Lのヨウ化リチウムと0.03mol/Lのヨウ素を含むメトキシプロピオニトリル溶液を真空注入法により、注入し、注入口をブチルシール材で封じた後、上部をエポキシ接着剤で固定化した。なお、半導体電極基板の導電層部分と対向電極にはリード線を接続した。
このようにして得たセルに、対極側より疑似太陽光(1kW/m2)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、光電変換効率は5.3%と良好であった。
(1)半導体層を有する電極基板の作製
実施例1で作製した電極と同様の電極を使用した。
(2)対向電極基板の作製
線径30μmのステンレス細線をメッシュ数150で編んだ厚さ58μmの金属メッシュを5cm角のフロートガラス上に固定した。
(3)セルの作製
得られた対向電極基板の周辺にブチルシール材を2mmのギャップを残して塗布し、前記で作成した半導体層を有する電極基板と貼り合わせた。シールのギャップ部から0.3mol/Lのヨウ化リチウムと0.03mol/Lのヨウ素を含むメトキシプロピオニトリル溶液を真空注入法により、注入し、注入口をブチルシール材で封じた後、上部をエポキシ接着剤で固定化した。なお、半導体電極基板の導電層部分と対向電極にはリード線を接続した。
このようにして得たセルに、対極側より疑似太陽光(1kW/m2)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、光電変換効率は3.1%であった。
(1)半導体層を有する電極基板の作製
実施例1で作製した電極と同様の電極を使用した。
(2)対向電極基板の作製
線径16μmのステンレス細線をメッシュ数400で編んだ厚さ30μmの金属メッシュを5cm角のフロートガラス上に固定した。
(3)セルの作製
得られた対向電極基板の周辺にブチルシール材を2mmのギャップを残して塗布し、前記で作成した半導体層を有する電極基板と貼り合わせた。シールのギャップ部から0.3mol/Lのヨウ化リチウムと0.03mol/Lのヨウ素を含むメトキシプロピオニトリル溶液を真空注入法により、注入し、注入口をブチルシール材で封じた後、上部をエポキシ接着剤で固定化した。なお、半導体電極基板の導電層部分と対向電極にはリード線を接続した。
このようにして得たセルに、対極側より疑似太陽光(1kW/m2)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、光電変換効率は4.0%であった。
2 触媒で被覆された金属メッシュ
3 電解質層
4 色素で増感された半導体層
5 導電性基板
6 シール
Claims (6)
- 導電性基板上に半導体層と光増感型色素とを有する光電極基板と、少なくとも透明基板からなる対向電極基板とを所定の間隔を隔てて対向させ、これら基板間にレドックス対を含む電解質が配置された構成からなる色素増感型太陽電池素子において、対向電極基板にレドックスの酸化あるいは還元に対する触媒性能を有する物質が被覆された、金属細線を編んだメッシュが配置されており、金属細線の径(L)と金属メッシュの厚さ(d)とが以下の関係式(1)を満たすことを特徴とする色素増感型太陽電池。
L<d≦1.5×L (1) - 半導体層を有する導電性基板の導電性部分が金属であることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
- レドックス対にハロゲン元素が含まれることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
- 光電極の半導体層が、導電性基板の導電性部分の金属を陽極酸化して形成したことを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
- 光電極の導電性基板がチタン板であり、前記チタン板を陽極酸化し、チタニア層を形成したことを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
- チタニア層がチューブ形状チタニアから構成されていることを特徴とする請求項5に記載の色素増感型太陽電池。
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