JP5740063B2 - 電極基板及び色素増感太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、色素増感太陽電池の対向電極として利用可能な電極基板及びその電極基板を用いた色素増感太陽電池に関する。
本願は、2012年12月14日に、日本に出願された特願2012−273719号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
色素増感太陽電池として、いわゆるグレッツェル型のシステムが知られている(非特許文献1)。光電極を構成する多孔質酸化物半導体層に吸着した増感色素に光が照射されると電子が発生する。この電子が、色素、多孔質酸化物半導体層、透明導電膜、外部回路へと順に流れて、電流として取り出される。一方、電子を放出した色素は電解質中の酸化還元対によって還元されるとともに、酸化された酸化還元対は対向電極を構成する触媒層によって還元体に再生される。
従来の色素増感太陽電池の対向電極を構成する触媒層として、基板上に形成された白金電極(白金薄膜)が広く用いられている。白金電極の形成方法としては、基板上に塩化白金酸溶液を塗布して加熱処理する方法や、真空蒸着、スパッタリングなどの方法が知られている。しかしながら、白金は高価な貴金属であるため、白金電極の使用は色素増感太陽電池の製造コストを押し上げる問題がある。更に、水分存在下においてIイオン(ヨウ化物イオン)に対する白金の耐久性が十分ではないという問題がある。
この問題を解決するために白金電極に代わる新しい触媒層の材料が検討されており、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールなどの導電性高分子を触媒層として用いた対向電極を色素増感太陽電池に応用した例が開示されている(非特許文献2、特許文献1〜2)。
しかしながら、これらの導電性高分子を有する触媒層を用いた場合の発電効率は、白金電極からなる触媒層を用いた場合の発電効率よりも格段に低い。この原因は、導電性高分子の電気伝導性及び触媒としての還元能力(I →Iへの還元能力)が、白金の電気伝導性及び還元能力よりも低いためである。
触媒層の還元能力は、『触媒活性』×『触媒層の比表面積』によって決定されるが、導電性高分子は触媒活性が白金と比べて低い。このため、導電性高分子からなる触媒層が白金電極と同程度の比表面積を持つ場合には、白金電極に比べて導電性高分子からなる触媒層の還元能力は劣る。そこで、導電性高分子からなる触媒層にカーボンナノチューブやカーボン粒子などの炭素材料を混合することにより、触媒層の比表面積や導電性を向上させ、触媒層の還元能力を向上させる方法も開示されている(特許文献3〜4)。例えば、従来の触媒層の構成は、図1の模式図のように表される。図1の触媒層は、導電性基板21の上に、炭素材料22を包埋する導電性高分子23の膜が形成された構成を有する。
特開2003−313317号公報 特開2003−317814号公報 特開2006−147411号公報 特開2011−14411号公報
Nature、第353巻、第737ページ、1991年 Electrochemistry 71、No.11(2003)944−946
しかしながら、特許文献3〜4の方法で製造した触媒層を用いた場合においても、触媒層の比表面積が十分でないため、触媒層の還元能力が白金電極と同等以上に達するには至っていない。また、特許文献3〜4の触媒層では、導電性高分子と前記カーボン材料とが乱雑な状態で混合されているため、触媒層の構造(多孔度)制御性が低く、その為、ロット毎の触媒層の還元能力のばらつきや、膜強度のばらつきが懸念される。また前記触媒層では、カーボン材料同士が、直接接触せずに導電性高分子を介して結着されており、さらにカーボン材料と導電性基板とが直接接触していない領域が多数存在するため、抵抗は増加し、電気伝導性に関しても白金電極に及ばない。このため、導電性高分子を有する触媒層を用いた電極基板の性能向上及び前記電極基板を対向電極として用いた色素増感太陽電池の発電効率の向上が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、従来の色素増感太陽電池の対向電極として使用されている白金電極と同等以上の発電効率を実現することが可能な電極基板及び色素増感太陽電池の提供を課題とする。
(1) 導電性基板と、前記導電性基板上に製膜された多孔質膜と、前記多孔質膜にコーティングされた触媒層と、を有し、前記触媒層がコーティングされた多孔質膜に、複数の単一孔が連結された連胞構造が含まれる、電極基板。
(2) 前記多孔質膜の三次元構造に沿って前記触媒層がコーティングされている、前記(1)に記載の電極基板。
(3) 前記(1)に記載の電極基板。
(4) 前記触媒層がコーティングされた多孔質膜において、前記連胞構造の個数が前記単一孔の個数より大きい、前記(3)に記載の電極基板
(5) 前記多孔質膜が金属又は金属化合物によって構成されている前記(1)〜(4)の何れか一項に記載の電極基板。
(6) 前記多孔質膜が炭素材料によって構成されている前記(1)〜(4)の何れか一項に記載の電極基板。
(7) 前記触媒層が導電性高分子によって構成されている、前記(1)〜(6)の何れか一項に記載の電極基板。
(8) 前記導電性高分子が、下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物の重合体である、前記(7)に記載の電極基板。
[式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数6又は8のアリール基、カルボキシル基、エステル基、アルデヒド基、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アゾ基、スルホ基、スルホニル基のいずれかを表す。R及びRが前記アルキル基又はアルコキシ基である場合、前記アルキル基又はアルコキシ基の末端の炭素原子同士が結合して環を形成していてもよい。]
(9) 前記導電性高分子が、下記一般式(2)で表されるピロール化合物の重合体である、前記(7)に記載の電極基板。
[式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数6又は8のアリール基、カルボキシル基、エステル基、アルデヒド基、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アゾ基、スルホ基又はスルホニル基を表す。R及びRが前記アルキル基又はアルコキシ基である場合、前記アルキル基又はアルコキシ基の末端の炭素原子同士が結合して環を形成していてもよい。]
(10) 前記導電性高分子が、下記一般式(3)で表されるアニリン化合物の重合体である、前記(7)に記載の電極基板。
[式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数6又は8のアリール基、カルボキシル基、エステル基、アルデヒド基、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アゾ基、スルホ基又はスルホニル基を表す。R及びR、或いは、R及びRが前記アルキル基又はアルコキシ基である場合、前記アルキル基又はアルコキシ基の末端の炭素原子同士が結合して環を形成していてもよい。]
(11) 前記導電性基板の表面と前記多孔質膜とが接している、前記(1)〜(10)の何れか一項に記載の電極基板。
(12) 前記導電性高分子が、前記多孔質膜を作用極として用いた電解重合法によって前記多孔質膜にコーティングされた、前記(7)〜(10)の何れか一項に記載の電極基板。
(13) 前記(1)〜(12)の何れか一項に記載の電極基板によって構成された対向電極と、色素を吸着した光電極と、電解液とを備えた、色素増感太陽電池。
本発明の電極基板は、広い比表面積を有する多孔質膜に導電性高分子等の触媒層がコーティングされているため、触媒として機能する広い比表面積を有する。また、本発明の電極基板が、広い比表面積を有する多孔質膜の三次元構造に沿って導電性高分子等の触媒層がコーティングされている構造を有する場合には、触媒として機能するより一層広い比表面積を有する。この結果、『触媒活性』×『触媒層の比表面積』によって決定される触媒の還元能力を向上させることができるとともに、本発明の電極基板を用いた色素増感太陽電池の発電効率を向上させることができる。
また、本発明の電極基板は、導電性基板と多孔質膜との電気的接触部分および、多孔質膜と導電性高分子等の触媒層のコーティングとの電気的接触部分がそれぞれ均質に且つ確実に形成されているため、導電性に優れる。この結果、本発明の電極基板を用いた色素増感太陽電池の発電効率を向上させることができる。
更に、本発明の電極基板は、導電性基板上に製膜された多孔質膜の三次元構造が、導電性高分子等の触媒層のコーティングの支持部材として機能するため、従来よりも(導電性高分子単独(触媒層単独)の膜よりも)構造的強度が向上している。この結果、本発明の電極基板を用いて色素増感太陽電池を製造する場合の製造歩留まりを向上させることができるとともに、前記色素増感太陽電池の使用環境が対向電極に外力が加わるような環境である場合にも、前記色素増感太陽電池に優れた耐久性を与えることができる。
本発明の色素増感太陽電池は、本発明の電極基板を用いているため、発電効率に優れるとともに、対向電極に外力が加わる使用環境においても優れた耐久性を発揮する。
従来の対向電極の断面模式図である。 第一実施形態の電極基板(対向電極)の断面模式図である。 第二実施形態の色素増感太陽電池の断面模式図である。 実施例9の対向電極の表面を観察したSEM画像である。 実施例9の対向電極の表面にPEDOTをコーティングする前の多孔質膜の表面を観察したSEM画像である。 実施例9の対向電極の断面を観察したSEM画像である。 図4Cの断面の拡大画像である。 実施例10の対向電極の表面を観察したSEM画像である。 実施例10の対向電極の表面にPEDOTをコーティングする前の多孔質膜の表面を観察したSEM画像である。 実施例7の対向電極の表面を観察したSEM画像である。 実施例7の対向電極の表面にPEDOTをコーティングする前の多孔質膜の表面を観察したSEM画像である。 実施例8の対向電極の表面を観察したSEM画像である。 実施例8の対向電極の表面にPEDOTをコーティングする前の多孔質膜の表面を観察したSEM画像である。 比較例6の対向電極の表面を観察したSEM画像である。 比較例7の対向電極の表面を観察したSEM画像である。 比較例11の対向電極の表面を観察したSEM画像である。
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されない。
《電極基板》
本発明の第一実施形態の電極基板は、図2に示すように、導電性基板1上に製膜された多孔質膜2を備える。多孔質膜2は、外部に面した表面だけでなく、膜内部にも三次元的に、外部に連通した孔を有する。多孔質膜2は、単一の独立した孔(単一孔)が複数連結した連胞構造を含むことが好ましい。多孔質膜2においては、連胞構造の個数(存在割合)が、単一孔の個数(存在割合)より大きいことが好ましい。
連胞構造を有する多孔質膜2には、電解液に含まれる酸化還元対が表面から内部まで十分に浸透できるため好ましい。さらに、連胞構造を有する多孔質膜2においては、多孔質膜の表面と電解液とが接触する面積(電気化学反応が起こる表面積)が多くなり、この結果として、還元反応がより効率的に進む利点がある。
多孔質膜2の表面には導電性高分子等の触媒層3がコーティング(被覆)されている。ここで、多孔質膜2の表面には、外部と連通する内部の多孔質構造の表面も含まれる。また、多孔質膜2の前記連胞構造によって構成される三次元の多孔質膜構造に沿って、触媒層3がコーティングされていることが好ましい。このように三次元の多孔質構造の表面(内壁面)に触媒層3がコーティングされることによって、触媒層3の触媒活性に寄与する比表面積が従来よりも格段に大きくなる。
第一実施形態の電極基板においては、多孔質膜2は、三次元的に連通した構造をとっている為、多孔質膜内部の電気抵抗が低減され、電気伝導性に優れる。また、導電性基板1を構成する導電性膜1aに多孔質膜2の下面全体が直に接しているため、導電性基板1と多孔質膜2との電気的接触部分は均質に且つ確実に形成されている。また、多孔質膜2が導電性基板1と接していない領域の殆ど全体において、多孔質膜2と導電性高分子3(触媒層3)のコーティング層とが接しているため、多孔質膜2と導電性高分子3(触媒層3)との電気的接触部分が均質に且つ確実に形成されている。このように、電気的接触部分が均質に且つ確実に形成されているため、第一実施形態の電極基板の導電性は優れる。
(導電性基板)
導電性基板1は、導電性を付与する導電性膜1a及び基板1bによって構成されている。
前記導電性膜の種類は特に制限されず、例えば透明導電膜や金属膜が適用可能である。
前記透明導電膜の種類は特に制限されず、従来公知の色素増感太陽電池に使用される透明導電膜が適用可能であり、例えば金属酸化物で構成される薄膜が挙げられる。
前記金属酸化物としては、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、アルミドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化亜鉛、酸化スズ等が挙げられる。これらの中でも、比抵抗が小さく電気伝導率が高いITO、並びに、耐熱性および耐候性に優れたFTOが特に好ましい。
前記金属膜としては、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、銅(Cu)、クロム(Cr)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)及び、その合金等が挙げられるが、電気伝導率、耐候性に優れたAu、Pt、Cr、Ti、Niが特に好ましい。
基板1bの種類は、前記導電性膜又は金属膜を表面に形成可能であれば特に制限されない。例えば、ガラス基板、金属基板、樹脂基板等が挙げられる。
第一実施形態の導電性基板1は、その基板表面が導電性を有すればよいので、必ずしも前記導電性膜を備えている必要は無い。導電性基板1として、例えば、金属製の基板、導電性樹脂製の基板が挙げられる。また、第一実施形態の電極基板を構成する導電性基板1には、可撓性を有する導電性フィルムや導電性シートが含まれる。導電性フィルムや導電性シートを導電性基板1として用いる場合は、導電性基板1を導電性基材と読み換えることができる。
(多孔質膜)
第一実施形態の多孔質膜2は、三次元の多孔質構造を有する膜(層)であり、その構造は微粒子2aが接合した構造や、相分離構造を利用して形成された単一構造や、ナノメッシュを積層させた構造等が挙げられる。
微粒子2aを構成する材料は導電性又は半導体特性を有する限り特に制限されないが、構造的強度が高い多孔質膜を得る観点から、チタンや白金、金、銀、銅、アルミ、コバルト、鉄、マグネシウム、ニッケル、亜鉛等の金属や、酸化チタンや酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化コバルト、酸化銅、酸化鉄、炭化チタン、炭化バナジウム、炭化タングステン、窒化チタン、窒化バナジウム等の金属化合物や、カーボンブラックやカーボンナノチューブ、カーボンファイバー、活性炭、グラファイト等の炭素材料などが好ましい。
その中でも低コスト及び大量生産の観点から、金属酸化物を含む金属化合物、又は炭素材料からなる微粒子を用いることが好ましい。前記微粒子を構成する材料としては、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンブラックが特に好ましい。
微粒子2aの形状は特に限定されず、球状、針状、繊維状、俵状、ウニ状の微粒子が挙げられる。
球状微粒子の一次粒子径は、前記微粒子を導電性基板1の上に製膜する方法によって好適な範囲が異なる場合があるが、通常は、1nm〜500μmが好ましく、1nm〜250μmがより好ましく、5nm〜100μmが更に好ましく、10nm〜10μmが特に好ましく、10nm〜1μmが最も好ましい。なお、前記微粒子の一次粒子径を求める方法としては、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置の測定により得られた体積平均径の分布のピーク値として決定する方法やSEM観察によって複数の微粒子の長径を測定して平均する方法が挙げられる。前記微粒子の一次粒子径は前記SEM観察によって測定することが好ましい。
針状、繊維状、俵状微粒子の一次粒子径は、前記粒子を導電性基板1の上に製膜する方法によって好適な範囲が異なる場合があるが、通常は、長軸方向において、1nm〜500μmが好ましく、1nm〜250μmがより好ましく、5nm〜100μmが更に好ましく、10nm〜10μmが特に好ましく、10nm〜5μmが最も好ましい。短軸方向においては1nm〜500μmが好ましく、1nm〜250μmがより好ましく、5nm〜100μmが更に好ましく、10nm〜10μmが特に好ましく、10nm〜1μmが最も好ましい。
多孔質膜2を構成する微粒子は、1種類が単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
多孔質膜2の厚みは特に制限されず、例えば0.1μm〜100μmの範囲で、構造的強度を考慮しつつ適宜調整される。微粒子の材料にもよるが、導電性を高める観点から、多孔質膜2の厚みは0.1μm〜10μmが好ましい。
多孔質膜2の空孔率(空隙率)は、比表面積を高めるためには大きいほど好ましいが、空孔率が大き過ぎると多孔質膜2の構造的強度が弱まる可能性がある。これを考慮して、多孔質膜2の空孔率は50〜80%が好ましい。前記空孔率(空隙率)は、例えばガス吸着法や水銀圧入法等の公知の方法によって測定可能である。
ここで、触媒層3がコーティングされた状態の多孔質膜2の比表面積は、ガス吸着法により測定した場合、0.1m/g以上であることが好ましく、1m/g以上であることがより好ましく、3m/g以上であることが更に好ましい。3m/g以上であることにより、コーティングされた触媒層3と電解質との接触効率が向上し、電解質を効率よく還元することができる。すなわち、触媒効率を一層向上させることができる。また、前記比表面積の上限値は特に制限されないが、例えば300m/gを上限値の目安とすることができる。
第一実施形態の電極基板を構成する多孔質膜2を導電性基板1に製膜する方法は、適当な空隙率を有する多孔質膜を製膜できる方法であれば特に制限されず、従来公知の製膜方法を適用できる。例えば導電性又は半導体特性を有する微粒子2a及び公知のバインダー樹脂を含むペーストを導電性基板1上に塗工し、更に焼成することにより製膜できる。ここで、微粒子2aとしては、例えば導電性微粒子又は金属酸化物微粒子が挙げられる。
また、導電性又は半導体特性を有する微粒子2aを搬送ガスにより導電性基板1上に吹き付けることにより、導電性又は半導体特性を有する微粒子2aと導電性基板1とが接合し、導電性又は半導体特性を有する微粒子2a同士が接合された多孔質膜が得られる。導電性又は半導体特性を有する微粒子2aを吹き付けて多孔質膜2を形成する方法として、例えばエアロゾルデポジション法(AD法)が挙げられる。
(触媒層)
第一実施形態の電極基板において、多孔質膜2の三次元構造に沿ってコーティングされる触媒層3を構成する材料としては、公知の電解質を構成する酸化還元対を還元することが可能な導電性物質であれば特に制限されない。具体的には、例えば、後述する導電性高分子の他、白金;導電性炭素材料;炭化チタンTiC、窒化チタンTiN等のチタン化合物;酸化バナジウムV、窒化バナジウムVN等のバナジウム化合物;等が挙げられる。
触媒層3を構成する材料は、1種だけであってもよいし、2種以上であってもよい。
白金等の触媒活性を有する金属によって触媒層3を形成する方法は、多孔質膜2の三次元構造の表面に沿って白金の層を形成可能な方法であれば特に制限されない。具体例として、多孔質膜2及び導電性基板1の導電性を利用した電解めっき法、無電解めっき法等が挙げられる。
多孔質膜2にコーティングされた触媒層3の厚みの下限値は、触媒層3の材料によって変わり得るが、通常、0.01nm以上であることが好ましく、0.1nm以上であることがより好ましく、1nm以上であることが更に好ましい。0.01nm以上であることにより、触媒活性を充分に得ることができる。触媒層3の厚みの上限値は特に制限されないが、多孔質膜2の多孔質構造を完全に埋めてしまう程の厚み未満であることが好ましく、具体的には1000nm以下であることがより好ましい。
ここで例示した触媒層3の厚みは、多孔質膜2が外部に面する表面(外表面)(即ち、多孔質膜2を上方から見たときに認識される表面)の上に形成された触媒層3の厚みをいう。この外表面上に形成された触媒層3の厚みを調べる方法としては、触媒層3が形成された多孔質膜2の断面を電子顕微鏡で観察する方法が好ましい。
以下では、触媒層3を構成する材料として導電性高分子を使用した場合を説明する。
(導電性高分子)
第一実施形態の電極基板において、多孔質膜2が導電性高分子3(触媒層3)でコーティングされることによって触媒層が構成される。前記コーティングにより、多孔質膜2の表面に導電性高分子3の層が形成される。
前記導電性高分子の種類は特に制限されず、従来公知の導電性高分子が適用可能であり、例えば下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物が重合した導電性高分子が挙げられる。
[式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数6又は8のアリール基、カルボキシル基、エステル基、アルデヒド基、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アゾ基、スルホ基、スルホニル基のいずれかを表す。R及びRが前記アルキル基又はアルコキシ基である場合、前記アルキル基又はアルコキシ基の末端の炭素原子同士が結合して環を形成していてもよい。]
前記アルキル基は直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であることが好ましく、直鎖状アルキル基であることがより好ましい。
前記アルキル基の炭素原子数は1〜8が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が更に好ましい。
前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。
前記アリール基としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
及びRが前記アルキル基又はアルコキシ基である場合、前記アルキル基又はアルコキシ基の末端の炭素原子に結合している1つの水素原子を除いて、前記アルキル基又はアルコキシ基の末端の炭素原子同士が結合して環を形成してもよい。
前記一般式(1)で表されるチオフェン化合物の具体例として、下記式(1−1)〜(1−4)で表される化合物が挙げられる。
また、前記導電性高分子として、例えば下記一般式(2)で表されるピロール化合物が重合した導電性高分子が挙げられる。
[式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数6又は8のアリール基、カルボキシル基、エステル基、アルデヒド基、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アゾ基、スルホ基、スルホニル基のいずれかを表す。R及びRが前記アルキル基又はアルコキシ基である場合、前記アルキル基又はアルコキシ基の末端の炭素原子同士が結合して環を形成していてもよい。]
前記アルキル基は直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であることが好ましく、直鎖状アルキル基であることがより好ましい。
前記アルキル基の炭素原子数は1〜8が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が更に好ましい。
前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。
前記アリール基としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
及びRが前記アルキル基又はアルコキシ基である場合、前記アルキル基又はアルコキシ基の末端の炭素原子に結合している1つの水素原子を除いて、前記アルキル基又はアルコキシ基の末端の炭素原子同士が結合して環を形成してもよい。
前記一般式(2)で表されるピロール化合物の具体例として、下記式(2−1)〜(2−4)で表される化合物が挙げられる。
また、前記導電性高分子として、例えば下記一般式(3)で表されるアニリン化合物が重合した導電性高分子が挙げられる。
[式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数6又は8のアリール基、カルボキシル基、エステル基、アルデヒド基、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アゾ基、スルホ基、スルホニル基のいずれかを表す。R及びR、或いは、R及びRが前記アルキル基又はアルコキシ基である場合、前記アルキル基又はアルコキシ基の末端の炭素原子同士が結合して環を形成していてもよい。]
前記アルキル基は直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であることが好ましく、直鎖状アルキル基であることがより好ましい。
前記アルキル基の炭素原子数は1〜8が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が更に好ましい。
前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。
前記アリール基としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
〜Rが前記アルキル基又はアルコキシ基である場合、前記アルキル基又はアルコキシ基の末端の炭素原子に結合している1つの水素原子を除いて、前記アルキル基又はアルコキシ基の末端の炭素原子同士が結合して環を形成してもよい。
前記一般式(3)で表されるアニリン化合物の具体例として、下記式(3−1)〜(3−4)で表される化合物が挙げられる。
第一実施形態の電極基板を構成する多孔質膜2に導電性高分子をコーティングする方法は特に制限されず、例えば下記(a)〜(d)の方法が挙げられる。
(a)導電性高分子を構成する未重合のモノマーを含む溶液中に多孔質膜を浸漬し、前記多孔質膜を作用極として、前記モノマーの電解重合を行い、前記多孔質膜上で導電性高分子を合成することによりコーティングする。
(b)予め重合した導電性高分子を含む溶液を多孔質膜に塗布し、溶媒を揮発させることによりコーティングする。
(c)予め重合した導電性高分子と他の公知のバインダー樹脂を含む混合物を多孔質膜に塗布し、前記混合物を固化させることによりコーティングする。
(d)導電性高分子を構成する未重合のモノマーを含む溶液中に多孔質膜を浸漬し、前記溶液中に公知の酸化剤(例えば塩化鉄など)を添加することで、多孔質膜上で導電性高分子を合成することによりコーティングする。
上記(a)〜(c)の方法のうち、(a)又は(b)の方法が好ましく、(a)の方法がより好ましい。(c)の方法は、バインダー樹脂が多孔質膜上に残るため、導電性高分子と多孔質膜との電気的接触が弱められる恐れがある。(d)の方法は、導電性高分子が過重合される可能性があり、その結果多孔質膜の内部の空孔を埋めてしまう恐れがある。一方、(a)及び(b)の方法は、多孔質膜と導電性高分子が直に接するため、両者の電気的接触が充分に得られる。更に、(a)の方法によれば、多孔質膜の内部の空孔(多孔質構造)(即ち、多孔質膜の三次元構造の内部)においても重合反応が起きるため、空孔を構成する内壁面に対しても導電性高分子を充分にコーティングすることができる。故に、(a)の方法がより好ましい。
多孔質膜2をコーティングする導電性高分子のモル濃度は、触媒としての還元能力を高める観点から、0.00001〜1mol/cmが好ましく、0.0001〜0.1mol/cmがより好ましく、0.001〜0.01mol/cmがさらに好ましい。
第一実施形態の電極基板においては、触媒として機能する領域(触媒層)の比表面積が増大し、導電性及び構造的強度が向上しているため、前記電極基板を色素増感太陽電池の対向電極として用いた場合、発電効率の向上に大きく寄与する。
以下に、第一実施形態の電極を用いた色素増感太陽電池を説明する。
《色素増感太陽電池》
本発明の第二実施形態の色素増感太陽電池は、第一実施形態の電極基板を対向電極(対向電極基板)として備え、更に色素を吸着した光電極(光電極基板)と、電解液とを備えている。このような色素増感太陽電池の例として、図3に示した色素増感太陽電池10が挙げられる。
色素増感太陽電池10は、透明基板6上に積層された透明導電膜7及び多孔質酸化物半導体層8によって構成される光電極11と、対向電極12と、電解液5とを有する。電解液5は、光電極11と対向電極12の間に封止材4によって封止されている。
(光電極)
光電極11は、透明基板6であるガラス基板、透明導電膜7及び多孔質酸化物半導体層8により構成されている。電解液5が接触する多孔質酸化物半導体層8の表面(多孔質膜(多孔質体)の内部の表面も含む)には、公知の増感色素が吸着している。
光電極11を構成する基板(基材)はガラス製に限らず、可視光の透過性を有する基板であれば特に制限されない。例えば、ガラス基板の他、透明な樹脂製の基板又はフィルム若しくはシートが挙げられる。
前記ガラスとしては、可視光の透過性を有するガラスが好ましく、ソーダライムガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、バイコールガラス、無アルカリガラス、青板ガラス、白板ガラス等が挙げられる。
前記樹脂(プラスチック)としては、可視光の透過性を有する樹脂が好ましく、例えばポリアクリル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド等が挙げられる。これらのなかでは、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)が、透明耐熱フィルムとして大量に生産および使用されている。薄くて軽いフレキシブルな色素増感太陽電池を製造する観点からは、前記基材はプラスチック製の透明基材であることが好ましく、PET又はPENフィルムであることがより好ましい。
多孔質酸化物半導体層8を構成する酸化物半導体としては、従来公知の材料が適用可能であり、増感色素を吸着可能な材料であればよい。例えば酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。
多孔質酸化物半導体層8(多孔質層)が酸化物半導体の微粒子によって構成される場合、前記多孔質層は、前記微粒子を含む公知のペーストが前記基板上で焼成されることにより形成された多孔質層であってもよい。また、前記微粒子を搬送ガスにより前記基板上に吹き付けることにより、前記微粒子と前記基板、かつ前記微粒子同士が接合された状態で形成された多孔質層を適用してもよい。微粒子を吹き付けて多孔質層を形成する方法として、エアロゾルデポジション法(AD法)が例示できる。
前記微粒子の一次粒子径は、前記微粒子を前記基板上に製膜する方法によって好適な範囲が異なる場合があるが、通常は、1nm〜500μmが好ましく、1nm〜250μmがより好ましく、5nm〜100μmがさらに好ましく、10nm〜10μmが特に好ましい。なお、前記微粒子の一次粒子径を求める方法としては、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置の測定により得られた体積平均径の分布のピーク値として決定する方法やSEM観察によって複数の微粒子の長径を測定して平均する方法が挙げられる。前記微粒子の一次粒子径は前記SEM観察によって測定することが好ましい。
[電解液]
電解液5は、従来公知の色素増感太陽電池で使用されている電解液を適用できる。
電解液5には、酸化還元対(電解質)が溶解されている。酸化還元対は従来公知の酸化還元対が適用できる。なお、電解液5には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、フィラーや増粘剤などの他の添加剤を含んでいてもよい。
前記酸化還元対としては、例えば、ヨウ素分子とヨウ化物の組み合わせ、又は臭素分子と臭素化合物の組み合わせが挙げられる。
前記ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)などの金属ヨウ化物、又はテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなどのヨウ素塩が、好適なヨウ化物として挙げられる。
前記臭素化合物としては、例えば、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)などの金属臭化物、又はテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド、イミダゾリウムブロマイドなどの臭素塩が、好適な臭素化合物として挙げられる。
電解液5における前記酸化還元対の濃度は特に制限されないが、好ましくは0.1〜10モル/Lであり、より好ましくは0.2〜2モル/Lである。また、電解液5の溶媒中にヨウ素を添加する場合の好ましいヨウ素の濃度は0.01〜1モル/Lである。
電解液5に代えて電解質層(固体電解質層)を適用してもよい。前記電解質層は、電解液5と同様の機能を有し、ゲル状又は固体状の何れかの状態である。前記電解質層としては、例えば電解液5にゲル化剤又は増粘剤を加え、必要に応じて溶媒を除去することにより、電解液5をゲル化又は固体化して得た電解質層が適用できる。ゲル状又は固体状の電解質層を用いた場合、色素増感太陽電池10から電解液が漏出する虞がない。
電解液5又は前記電解質層には、従来公知の導電性高分子が含まれていてもよい。
前記封止材としては、電解液を電池セル内部に保持できる部材であることが好ましい。このような封止材としては、例えば、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の合成樹脂が適用可能である。
(対向電極)
第二実施形態の色素増感太陽電池における対向電極12は、第一実施形態の電極基板である。
(色素増感太陽電池の製造方法)
第二実施形態の色素増感太陽電池は、第一実施形態の電極基板(対向電極12)を用いること以外は、常法により製造することができる。
対向電極12である第一実施形態の電極基板の導電性高分子(触媒層)のコーティング層は、多孔質膜によって支持されているため、高い構造的強度を有する。このため、製造時に冶具等が前記コーティング層に接触した場合にも、前記コーティング層が損傷する恐れが低減されている。したがって、第一実施形態の電極基板を対向電極として使用することにより、第二実施形態の色素増感太陽電池の製造歩留まりを向上させることができる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[実施例1]
(多孔質酸化物半導体層の形成)
酸化チタン粒子(粒径Φ19nm)19質量%、エチルセルロース9質量%、テルピネオール72質量%によって構成されるペーストを用いて、多孔質酸化物半導体層(厚み8μm)を形成した。透明導電基板として、FTO膜を配した表面抵抗10オーム(Ω)のガラス基板を用い、上記ペーストをスクリーン印刷法で4mm×4mmの面積で、FTO膜上に塗布した後、空気雰囲気下500℃で30分間焼成して、透明導電膜上に多孔質酸化物半導体層(透明層)を形成した。
(色素吸着)
アセトニトリルとtert-ブタノールの1:1の混和液に増感色素N719を0.3mMの濃度で溶解した色素溶液中に、前記多孔質酸化物半導体層を形成した基板を20時間浸漬させることによって、光電極の多孔質酸化物半導体層に増感色素を吸着させた。
(対向電極の作製)
酸化チタン粒子(粒径Φ19nm)19質量%、エチルセルロース9質量%、テルピネオール72質量%によって構成されるペーストを用いて、多孔質膜を形成した。透明導電基板として、FTO膜を配した表面抵抗10オーム(Ω)のガラス基板を用い、上記ペーストをスクリーン印刷法で4mm×4mmの面積で、FTO膜上に塗布した後、空気雰囲気下500℃で30分間焼成して、透明導電膜上に酸化チタンの多孔質膜(厚み1.5μm)を形成した。このように形成された多孔質膜を構成する酸化チタン粒子とFTO膜とは直に接しているため、多孔質膜とFTO膜の間の導電性が優れる。
次に、電解重合法によって導電性高分子を多孔質膜にコーティングした。作用極として前記多孔質膜及びFTO膜を用い、対極として白金線を用い、参照極としてAg/Ag電極を用いて、導電性高分子の電解重合を行った。電解重合には、10−2MのEDOT(3,4−エチレンジオキシチオフェン:前記式(1−1)で表される化合物)、10−1MのLiTFSI(リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド)を含むアセトニトリル溶液中に、上記の作用極、対極、参照極を浸し、ポテンショスタット(IVIUM社製)を用いて、1.2Vで40秒電圧印加することで、多孔質膜表面上に導電性高分子(PEDOT:TFSI)を形成した。つまり、図2に模式的に示すような、多孔質膜の三次元構造に沿った触媒層3(前記導電性高分子の層)を形成することができた。
(膜強度の評価)
作製した対向電極をエタノールに浸し、超音波(発振周波数42kHz)で5分間刺激を与えた後、前記対向電極の導電性高分子でコーティングされた多孔質膜の表面を観察することにより、膜強度を評価した。評価は下記の二段階で行った。その結果を表1に併記する。
良好(A):剥離や損傷がほとんど見られない。
不良(B):剥離や損傷が見過ごせない程見られる。
(セルの組み立てと、発電性能評価)
上記方法で作製した対向電極と光電極とを厚さ30μmの樹脂性ガスケット(セパレーター)を介して重ね合せてクリップ止めし、両電極間に、電解液を注入することにより色素増感太陽電池(セル)を組み立てた。電解液として、ヨウ素0.03M、1,3-ジメチル−2−プロピルイミダゾリウムヨージド 0.6M、ヨウ化リチウム 0.10M、tert-ブチルピリジン 0.5Mを、溶媒であるアセトニトリルに溶解して得られた電解液を用いた。
作製したセルの発電性能として、光電変換効率η、短絡電流Isc、開放電圧Voc、曲線因子FFをソーラーシュミレーター(AM1.5)により評価した。その結果を表1に示す。
[実施例2]
対向電極を構成する微粒子を酸化亜鉛粒子(粒径Φ23nm)に変更した以外は、実施例1と同様に色素増感太陽電池を作製し、発電性能の評価を行った。その結果を表1に示す。
[実施例3]
対向電極を構成する微粒子をカーボンブラック(粒径Φ23nm)に変更した以外は、実施例1と同様に色素増感太陽電池を作製し、発電性能の評価を行った。その結果を表1に示す。
[比較例1]
対向電極として、ガラス基板にスパッタ法によって白金薄膜を形成した白金電極基板を使用した以外は、実施例1と同様に色素増感太陽電池を作製し、発電性能の評価を行った。その結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1と同じFTO膜を配したガラス基板を作用極として用い、実施例1と同様に電解重合を行って、FTO膜上に導電性高分子を形成し、対向電極を作製した。
対向電極以外は、実施例1と同様に色素増感太陽電池を作製し、発電性能の評価を行った。その結果を表1に示す。
[比較例3]
対向電極を構成する多孔質膜に導電性高分子をコーティングしない以外は、実施例1と同様に色素増感太陽電池を作製し、発電性能の評価を行った。その結果を表1に示す。
[比較例4]
対向電極を構成する多孔質膜に導電性高分子をコーティングしない以外は、実施例2と同様に色素増感太陽電池を作製し、発電性能の評価を行った。その結果を表1に示す。
[比較例5]
対向電極を構成する多孔質膜に導電性高分子をコーティングしない以外は、実施例3と同様に色素増感太陽電池を作製し、発電性能の評価を行った。その結果を表1に示す。
表1の結果から、本発明にかかる実施例1〜3の光電変換効率(発電効率)ηは、比較例1〜5と同等か、もしくはそれ以上の性能を有していることが明らかである。
[実施例4]
光電極の作製において、実施例1と同様に形成した、多孔質酸化物半導体層(透明層)(膜厚8μm)の上に、粒径400nmの酸化チタン粒子からなる反射層(膜厚4μm)を積層した後、前記透明層及び反射層に色素を吸着させた以外は、実施例1と同様にセル(色素増感太陽電池)を作製した。
前記反射層は、前記透明層を形成する場合と同様に、酸化チタン(粒径Φ400nm)19質量%、エチルセルロース9質量%、及びテルピネオール72質量%から成るペーストを前記透明層の上に印刷後、500℃で焼成することによって形成した。
ここで、前記透明層と前記反射層とは、含有する酸化チタンの粒径が異なる。前記透明層を第一層、前記反射層を第二層と読み換えることができる。
なお、色素の吸着は、前記第一層及び第二層を積層・焼成後に実施例1と同様にして行った。
[実施例5]
対向電極の作製において、粒径19nmの酸化チタン粒子を、粒径30nmの酸化チタン粒子に変更した以外は、実施例4と同様にセルを作製した。
[実施例6]
対向電極の作製において、粒径19nmの酸化チタン粒子を、粒径200nmの酸化チタン粒子に変更した以外は、実施例4と同様にセルを作製した。
[実施例7]
対向電極の作製において、粒径19nmの酸化チタン粒子を、粒径10〜30nmのATO(アンチモンドープ酸化スズ)粒子に変更した以外は、実施例4と同様にセルを作製した。
[実施例8]
対向電極の作製において、粒径19nmの酸化チタン粒子を、長軸粒径200〜2000nm、短軸粒子径10〜20nmのATO針状粒子に変更した以外は、実施例4と同様にセルを作製した。
[実施例9]
対向電極の作製において、粒径19nmの酸化チタン粒子を、粒径200〜500nmのATOを被覆した酸化チタン粒子に変更した以外は、実施例4と同様にセルを作製した。
[実施例10]
対向電極の作製において、粒径19nmの酸化チタン粒子を、粒径23nmのカーボンブラック粒子に変更した以外は、実施例4と同様にセルを作製した。
[実施例11]
対向電極の作製において、粒径19nmの酸化チタン粒子で形成された多孔質膜を、目開き8μm、線径8μm、厚み3μmのニッケルメッシュに変更した以外は、実施例4と同様にセルを作製した。
[実施例12]
対向電極の作製において、触媒層のコーティング材料として、前記式(1−1)のEDOTが重合したPEDOTを、前記式(2−2)のピロールが重合したポリピロールに変更した以外は、実施例10と同様にセルを作製した。
[実施例13]
対向電極の作製において、触媒層のコーティング材料として、前記式(1−1)のEDOTが重合したPEDOTを、前記式(3−1)のアニリンが重合したポリアニリンに変更した以外は、実施例10と同様にセルを作製した。
[実施例14]
対向電極の作製において、電解重合法によってPEDOTの触媒層を形成する代わりに、多孔質膜を10mMの塩化白金酸の2−プロパノール溶液に浸漬後、450℃で焼成することにより、多孔質膜の表面に白金からなる触媒層を形成した以外は、実施例4と同様にセルを作製した。
[実施例15]
対向電極の作製において、粒径19nmの酸化チタン粒子を、粒径10〜30nmのATO(アンチモンドープ酸化スズ)粒子に変更した以外は、実施例14と同様にセルを作製した。
[実施例16]
対向電極の作製において、粒径19nmの酸化チタン粒子を、粒径23nmのカーボンブラック粒子に変更した以外は、実施例14と同様にセルを作製した。
[比較例6]
光電極の作製において、比較例1と同様に形成した、多孔質酸化物半導体層(透明層)(膜厚8μm)の上に、粒径400nmの酸化チタン粒子からなる反射層(膜厚4μm)を積層した後、前記透明層及び反射層に色素を吸着させた以外は、比較例1と同様にセルを作製した。前記反射層は実施例4と同じ方法で形成した。
[比較例7]
光電極の作製において、比較例2と同様に形成した、多孔質酸化物半導体層(透明層)(膜厚8μm)の上に、粒径400nmの酸化チタン粒子からなる反射層(膜厚4μm)を積層した後、前記透明層及び反射層に色素を吸着させた以外は、比較例2と同様にセルを作製した。前記反射層は実施例4と同じ方法で形成した。
[比較例8]
対向電極の作製において、触媒層のコーティング材料として、前記式(1−1)のEDOTが重合したPEDOTを、前記式(2−2)のピロールが重合したポリピロールに変更した以外は、比較例7と同様にセルを作製した。
[比較例9]
対向電極の作製において、触媒層のコーティング材料として、前記式(1−1)のEDOTが重合したPEDOTを、前記式(3−1)のアニリンが重合したポリアニリンに変更した以外は、比較例7と同様にセルを作製した。
[比較例10]
対向電極の作製において、電解重合法によってPEDOTの触媒層を形成する代わりに、PEDOT、カーボンブラック粒子(粒径23nm)及びエタノールを重量比2:1:16で混合した分散液を、FTO膜を表面に配したガラス基板に塗布し、120℃で60分乾燥させることにより、導電性ガラス基板の表面にPEDOT及びカーボンブラックからなる触媒層を形成した以外は、実施例4と同様にセルを作製した。
[比較例11]
対向電極の作製において、カーボンブラック粒子に代えて、ATO被覆した酸化チタン粒子(粒径200〜500nm)を使用した以外は、比較例10と同様にセルを作製した。
[比較例12]
対向電極の作製において、多孔質膜に対して導電性高分子の被覆を行わなかった以外は、実施例4と同様にセルを作製した。
[比較例13]
対向電極の作製において、多孔質膜に対して導電性高分子の被覆を行わなかった以外は、実施例7と同様にセルを作製した。
[比較例14]
対向電極の作製において、多孔質膜に対して導電性高分子の被覆を行わなかった以外は、実施例10と同様にセルを作製した。
以上の実施例4〜16及び比較例6〜14で作製した各セルについて、実施例1と同様に評価を行った。その結果を表2に示す。
以上の結果から、多孔質膜上に触媒層をコーティングした実施例の電極基板は、触媒層の種類、多孔質膜の種類に関わらず、優れた発電効率が得られることが分かる。
実施例4〜6において、比表面積が大きい電極基板の方が、発電効率が向上することが分かる。
比較例10〜11の電極基板は、導電性ガラスの表面に導電性高分子が塗布されているが、塗布面が多孔質構造ではないため、実施例4よりも発電効率が劣る。
実施例9の対向電極の表面を観察したSEM画像を図4Aに示す。また、実施例9の対向電極の表面にPEDOTをコーティングする前の多孔質膜の表面を観察したSEM画像を図4Bに示す。図4A及び図4Bを見比べると、図4Aの多孔質膜の表面において、三次元的な多孔質構造に沿ってPEDOTがコーティングされている様子が分かる。
実施例9の対向電極の断面を観察したSEM画像を図4Cに示す。また、この断面の拡大画像を図4Dに示す。図4C及び図4Dにおいて、多孔質膜内に、単一孔が連結してなる連胞構造が存在していることが分かる。また、図4Dの拡大画像において、黒破線で示した範囲はATOが被覆された酸化チタンの表面(境界)を表し、白破線で示した範囲がPEDOTからなる触媒層の表面(境界)を表す。黒破線と白破線の距離が、触媒層の厚みを表す。
実施例10の対向電極の表面を観察したSEM画像を図5Aに示す。また、実施例10の対向電極の表面にPEDOTをコーティングする前の多孔質膜の表面を観察したSEM画像を図5Bに示す。図5A及び図5Bを見比べると、図5Aの多孔質膜の表面において、三次元的な多孔質構造に沿ってPEDOTがコーティングされている様子が分かる。
実施例7の対向電極の表面を観察したSEM画像を図6Aに示す。また、実施例7の対向電極の表面にPEDOTをコーティングする前の多孔質膜の表面を観察したSEM画像を図6Bに示す。図6A及び図6Bを見比べると、図6Aの多孔質膜の表面において、三次元的な多孔質構造に沿ってPEDOTがコーティングされている様子が分かる。
実施例8の対向電極の表面を観察したSEM画像を図7Aに示す。また、実施例8の対向電極の表面にPEDOTをコーティングする前の多孔質膜の表面を観察したSEM画像を図7Bに示す。図7A及び図7Bを見比べると、図7Aの多孔質膜の表面において、三次元的な多孔質構造に沿ってPEDOTがコーティングされている様子が分かる。
比較例6の対向電極の表面を観察したSEM画像を図8に示す。白金からなる膜が平坦に製膜されている様子が分かる。また、比較例7の対向電極の表面を観察したSEM画像を図9に示す。PEDOTを含む膜が平坦に製膜されている様子が分かる。また、比較例11の対向電極の表面を観察したSEM画像を図10に示す。PEDOTを含む膜の表面にラフネスが観察されるが、概ね平坦に製膜されている様子が分かる。これらの何れの比較例の対向電極においても、三次元的な奥行を有する膜構造は形成されていないことが分かる。
[実施例17]
実施例9と同様にセルを作製した。このセルの対向電極において、ATOを被覆した酸化チタン粒子からなる多孔質膜の膜厚は2.2μmであった。なお、膜厚は触針式表面形状測定器で膜厚段差を測定する方法の方法で測定した。
[実施例18]
対向電極の作製において、スクリーン印刷する回数を増やすことによって、形成する多孔質膜の膜厚を5.6μmに変更した以外は、実施例17(実施例9)と同様にセルを作製した。
[実施例19]
対向電極の作製において、スクリーン印刷する回数を増やすことによって、形成する多孔質膜の膜厚を10.1μmに変更した以外は、実施例17(実施例9)と同様にセルを作製した。
[比較例15]
比較例6と同様にセルを作製した。このセルの対向電極において、スパッタ法で形成した白金薄膜(白金電極)の膜厚は20nmであった。なお、膜厚は白金電極の断面像をSEMで観察し、見積もった。
[比較例16]
白金薄膜の膜厚を50nmに変更した以外は、比較例15(比較例6)と同様にセルを作製した。
[比較例17]
白金薄膜の膜厚を100nmに変更した以外は、比較例15(比較例6)と同様にセルを作製した。
[比較例18]
比較例7と同様にセルを作製した。このセルの対向電極において、電解重合法で形成したPEDOTからなる膜の膜厚は20nmであった。なお、膜厚はPEDOT電極の断面像をSEMで観察し、見積もった。
[比較例19]
対向電極の作製において、電解重合法の重合時間を長くすることによって、形成するPEDOTからなる膜の膜厚を40nmに変更した以外は、比較例18(比較例7)と同様にセルを作製した。
[比較例20]
対向電極の作製において、電解重合法の重合時間を長くすることによって、形成するPEDOTからなる膜の膜厚を100nmに変更した以外は、比較例18(比較例7)と同様にセルを作製した。
[比較例21]
対向電極の作製において、電解重合法の重合時間を長くすることによって、形成するPEDOTからなる膜の膜厚を200nmに変更した以外は、比較例18(比較例7)と同様にセルを作製した。
以上の実施例17〜19及び比較例15〜21で作製した各セルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表3に示す。
上記表の実施例17〜19の結果から、対向電極の触媒層の厚み(膜厚)が増加するほど、セルの発電効率が向上することが分かる。この理由として、実施例の触媒層が、多孔質構造に沿って三次元的に連結した構造を有するため、膜厚の増加に伴って、触媒反応面積が増加していることが考えられる。
一方、対向電極として白金薄膜を用いた比較例15〜17のセルの場合、白金電極の膜厚を増加してもほとんど発電効率は変化していない。このことは、導電性ガラス基板の表面に直接形成したPEDOTからなる膜を対向電極とする比較例18〜21のセルの場合も同様である。この発電効率が変化していない理由は、比較例の対向電極の膜厚を増加しても、触媒反応面積は増加しないからである。なお、PEDOTを200nm程度の膜厚にした比較例21のセルにおいては、膜の強度不足により膜が剥離した。
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。
本発明の電極基板及びその電極基板を用いた色素増感太陽電池は、太陽電池の分野に広く適用可能である。
1…導電性基板、1a…導電性膜、1b…基板、2…多孔質膜、2a…導電性又は半導体特性を有する微粒子、3…導電性高分子(触媒層)、4…封止材、5…電解液、6…透明基板、7…透明導電膜、8…多孔質酸化物半導体層、10…色素増感太陽電池、11…光電極(光電極基板)、12…対向電極(対向電極基板)、21…導電性基板、21a…透明導電膜、21b…ガラス基板、22…炭素材料、23…導電性高分子

Claims (12)

  1. 導電性基板と、前記導電性基板上に製膜された多孔質膜と、前記多孔質膜にコーティングされた触媒層と、を有し、
    前記触媒層がコーティングされた多孔質膜に、複数の単一孔が連結された連胞構造が含まれる、電極基板。
  2. 前記多孔質膜の三次元構造に沿って前記触媒層がコーティングされている、請求項1に記載の電極基板。
  3. 前記触媒層がコーティングされた多孔質膜において、前記連胞構造の個数が前記単一孔の個数より大きい、請求項に記載の電極基板。
  4. 前記多孔質膜が金属又は金属化合物によって構成されている請求項1〜の何れか一項に記載の電極基板。
  5. 前記多孔質膜が炭素材料によって構成されている請求項1〜の何れか一項に記載の電極基板。
  6. 前記触媒層が導電性高分子によって構成されている、請求項1〜の何れか一項に記載の電極基板。
  7. 前記導電性高分子が、下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物の重合体である、請求項に記載の電極基板。
    [式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数6又は8のアリール基、カルボキシル基、エステル基、アルデヒド基、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アゾ基、スルホ基又はスルホニル基を表す。R及びRが前記アルキル基又はアルコキシ基である場合、前記アルキル基又はアルコキシ基の末端の炭素原子同士が結合して環を形成していてもよい。]
  8. 前記導電性高分子が、下記一般式(2)で表されるピロール化合物の重合体である、請求項に記載の電極基板。
    [式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数6又は8のアリール基、カルボキシル基、エステル基、アルデヒド基、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アゾ基、スルホ基又はスルホニル基を表す。R及びRが前記アルキル基又はアルコキシ基である場合、前記アルキル基又はアルコキシ基の末端の炭素原子同士が結合して環を形成していてもよい。]
  9. 前記導電性高分子が、下記一般式(3)で表されるアニリン化合物の重合体である、請求項に記載の電極基板。
    [式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数6又は8のアリール基、カルボキシル基、エステル基、アルデヒド基、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アゾ基、スルホ基又はスルホニル基を表す。R及びR、或いは、R及びRが前記アルキル基又はアルコキシ基である場合、前記アルキル基又はアルコキシ基の末端の炭素原子同士が結合して環を形成していてもよい。]
  10. 前記導電性基板の表面と前記多孔質膜とが接している、請求項1〜の何れか一項に記載の電極基板。
  11. 前記導電性高分子が、前記多孔質膜を作用極として用いた電解重合法によって前記多孔質膜にコーティングされた、請求項6〜の何れか一項に記載の電極基板。
  12. 請求項1〜11の何れか一項に記載の電極基板によって構成された対向電極と、色素を吸着した光電極と、電解液とを備えた、色素増感太陽電池。
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