JP2007291434A - 極薄鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】板厚0.4mm以下の極薄鋼板において、鋼板焼鈍工程での腰折れによる生産性の低下及び使用時の溶接部での割れを防止することができる時効性及び溶接部の特性に優れた極薄鋼板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】C:0.0006〜0.0300%、Si:0.001〜2.0%、Mn:0.01〜3.0%、S:0.0005〜0.040%、P:0.002〜0.080%、Al:0.005〜0.090%、N:0.0011〜0.0049%、Cr:0.21〜6.0%を含有し、更にTi:0.010%以下、Nb:0.010%以下、V:0.010%以下、Mo:0.010%以下、W:0.010%以下及びZr:0.010%以下のうちの少なくとも1種を合計で0.0010〜0.020%含有し、残部が不可避的不純物からなり、[Cr]/[Al]が20以上、[Cr]/[Ti+Nb+V+Mo+W+Zr]が20以上の組成にする。
【選択図】なし

Description

本発明は、食缶、飲料缶及び各種ケース等に用いられる容器用鋼板に代表される極薄鋼板及びその製造方法に関する。
加工用鋼板には、使用時には軟らかく良好な成形性が求められることはいうまでもないが、成形され構造用部材として用いられる際には強度が高いことが要求される。また、加工用鋼板は、部材として組み立てられる際に溶接されることも多く、溶接時の熱により溶接部又はその近傍が軟化してしまうと、溶接部の強度及び疲労強度の低下を招くため、溶接部の加工性及び強度が必要になる場合もある。それと同時に成形後の製品の表面性状を損なわないためには、ストレッチャーストレインに代表される時効性を小さくすることが求められる。特に、一般的に容器用鋼板と呼ばれている薄手の鋼板においては、材料が薄くなることによる加工難度上昇、材料が薄くなることによる加工後の容器強度の低下、更には商品販売時の外包装の欠陥ともなることから、これらは重要な特性である。
一方、製造側からは鋼板の低コスト化、生産性の観点からは低温での焼鈍を夫々実現できることが望ましい。特に、飲料缶等の容器に用いられる極薄材は、鋼板製造時の連続焼鈍工程において、ヒートバックルと呼ばれる鋼板の腰折れを起こしやすいため、再結晶温度が低く、より低温での焼鈍が可能となることが求められている。このヒートバックルの発生しやすさは、板厚及び通板コイルの板幅によって影響され、例えば板幅が広い場合には、焼鈍中の全板幅にわたって均一に外力を制御することが困難となるため、ヒートバックルが発生しやすくなる。このため、極薄材においては、使用時の生産性向上の観点から鋼板ユーザーが幅の広いコイルを要求しているにもかかわらず、ヒートバックルが問題となり、広い幅のコイルを提供できない状況が慢性的な課題となっている。
そこで、本発明者は、このような状況を改善するために、B及び/又はCrにより、炭化物及び窒化物の形態を制御する技術を提案している(特許文献1〜3参照)。これら特許文献1〜3には、B含有量([B])とN含有量([N]との比([B]/[N])を特定の範囲にすると共に、AlNとして存在するNとBNとして存在するNとの比を0.4未満とすることにより、窒化物の形態を好ましい状態に制御して、ヒートバックルの発生防止を図った容器用鋼板が開示されている。また、特許文献3に記載の鋼板では、従来、固溶C量及び固溶N量の制御に利用されていたTi及びNbの含有量を低減し、その代わりにCrを添加することにより窒化物及び炭窒化物を制御している。
また、前述した特許文献1〜3に記載の鋼板以外にも、B及び/又はCrを活用した薄鋼板が提案されている(例えば、特許文献4〜7参照)。これら特許文献4〜7に記載の技術は、部材製造時における塗装等の熱処理の熱履歴を活用して硬化させた鋼板、即ちBH鋼板に関する技術である。このBH鋼板は、加工時は軟質であり、部材として組み立てられた後に強度が上昇する。そして、特許文献4〜7に記載の技術では、炭化物及び窒化物を高度に制御するため、従来利用されていたTi及びNbよりも弱い炭窒化物形成元素(B及び/又はCr等)を添加することにより、鋼板製造後、鋼板加工までの間に問題となる比較的低い温度(室温〜50℃程度)での時効においては、固溶C及び固溶Nをしっかりと固定して時効性を抑えると共に、部材製造時においては、塗装等の際に行う比較的高い温度(150〜250℃程度)での熱処理によって炭窒化物の一部が溶解し、大きなBH量を発現するようにしている。
特許3548390号公報 特開2003−231948号公報 特開2005−330506号公報 特開平06−271978号公報 特開平06−299290号公報 特開平08−253820号公報 特開平09−263877号公報
しかしながら、前述した従来の技術には、以下に示す問題点がある。先ず、特許文献1〜3に記載の技術は、幅が広い極薄鋼板に適用した場合、安定性が十分ではないという問題点があり、更なる技術的な進歩が望まれている。また、特許文献4、5及び7に記載の鋼板は、自動車用途を想定しており、対象となる板厚を比較的厚いものとしているため、焼鈍時にヒートバックルが発生する懸念はなく、また、高いr値を目的としているため、高温焼鈍を前提としたものである。このため、鋼中に形成される炭化物、窒化物又はこれらが複合した炭窒化物の状態を適正に把握しておらず、低温再結晶という目的に対して最適な特性が得られるものとはなっていないという問題点がある。即ち、特許文献4、5及び7に記載の技術は、本発明が目的とする薄手広幅の鋼板の製造に適用できるものではなく、また、溶接に伴う軟化への対策とはならない。一方、特許文献6に記載の技術は、軟質缶用薄鋼板に関するものであるが、この技術では、Cr、Al、Ti、Nb、V、Mo、W及びZrといった炭窒化物形成元素の制御が不十分であり、焼鈍通板性の確保と溶接性の確保とを両立することは困難であるという問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであって、板厚0.4mm以下の極薄鋼板において、鋼板焼鈍工程での腰折れによる生産性の低下及び使用時の溶接部での割れを防止することができる時効性及び溶接部の特性に優れた極薄鋼板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る極薄鋼板は、質量%で、C:0.0006〜0.0300%、Si:0.001〜2.0%、Mn:0.01〜3.0%、S:0.0005〜0.040%、P:0.002〜0.080%、Al:0.005〜0.090%、N:0.0011〜0.0049%、Cr:0.21〜6.0%、Ti:0.010%以下(0%を含む)、Nb:0.010%以下(0%を含む)、V:0.010%以下(0%を含む)、Mo:0.010%以下(0%を含む)、W:0.010%以下(0%を含む)及びZr:0.010%以下(0%を含む)を含有すると共に、Ti、Nb、V、Mo、W及びZrからなる群から選択された1種又は2種以上の元素を合計で0.0010〜0.020%含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、Cr含有量([Cr])とAl含有量([Al])との比([Cr]/[Al])が20以上であり、かつCr含有量([Cr])とTi、Nb、V、Mo、W及びZrの総含有量([Ti+Nb+V+Mo+W+Zr])との比([Cr]/[Ti+Nb+V+Mo+W+Zr])が20以上である組成を有し、板厚が0.4mm以下であることを特徴とする。
この極薄鋼板は、更に、質量%で、B:0.0002〜0.0029%を含有していてもよく、その場合、Al含有量([Al])とB含有量([B])との比([Al]/[B])を40以下とすることが好ましい。
また、鋼中にCr及び/又はBを含有する炭窒化物が存在していてもよい。
更に、Ti、Nb、V、Mo、W及びZrからなる群から選択された1種又は2種以上の元素を含有し、直径が0.02〜0.10μmの炭窒化物の数密度を、0.5個/μm以下とすることが好ましい。
更にまた、直径が0.02〜0.10μmの炭窒化物の数密度Dと、直径が0.10μmを超え1.0μm以下の炭窒化物の数密度Dとの比(D/D)が1.0未満であることが好ましい。
更にまた、直径が0.02〜0.10μmの炭窒化物のうち、Ti、Nb、V、Mo、W及びZrからなる群から選択された1種又は2種以上の元素を含有し、Cr炭窒化物と複合析出しているものの個数の割合が30%以上であることが好ましい。
更にまた、直径が0.10μmを超え1.0μm以下で、Crを含有する炭窒化物のうち、その周囲に、Ti、Nb、V、Mo、W及びZrからなる群から選択された1種又は2種以上の元素を含有する炭窒化物が複合析出しているものの個数の割合が30%以上であることが好ましい。
更にまた、結晶粒の平均直径は19μm以下であることが好ましい。
本発明に係る極薄鋼板の製造方法は、前述した各極薄鋼板の製造方法であって、スラブを、加熱炉から取り出した後、1000℃までの冷却速度を1.0℃/秒以下、熱間圧延中における1000〜900℃の冷却速度を10℃/秒以上、熱間圧延仕上温度を900℃以下、仕上圧延後における750℃までの冷却速度を15℃/秒以上、巻取温度を700℃以上として熱間圧延することを特徴とする。
この極薄鋼板の製造方法では、前記熱間圧延により得た熱延鋼板の結晶粒の平均直径が39μm以下であることが好ましい。
また、この極薄鋼板の製造方法においては、前記熱間圧延後に冷間圧延を行い、その後、750℃以下の温度で焼鈍することもできる。
本発明によれば、鋼成分を特定の範囲に限定することにより、鋼中に生成する析出物の形態を制御しているため、加工性を向上することができると共に時効性を抑制することができ、更には溶接性を向上させることもできる。また、再結晶温度を低く抑えているため、低温焼鈍が可能となると共に、広幅のコイルでも連続焼鈍工程での通板性が良好になり、ヒートバックルの発生を防止することができる。その結果、厚さが0.4mm以下の極薄鋼板であっても、鋼板焼鈍工程での腰折れによる生産性の低下及び使用時の溶接部での割れを防止できる時効性及び溶接部の特性に優れた極薄鋼板を、安定して製造することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、以下の説明においては、組成における質量%は、単に%と記載する。本発明は、上述した課題、特に、極薄鋼板における問題点を解決するために、本発明者が技術開示した特許文献3の技術を更に発展させたものであり、Cr添加鋼において、Cr以外の炭窒化物形成元素を特定範囲内に限定し、更に必要に応じてBを複合添加することにより、窒化物のみならず炭化物も好ましい状態に析出させたものである。具体的には、(a)C及びNの含有量を極度に低減しない、(b)Ti、Nb、V、Mo、W及びZrの含有量を極度に低減しない、(c)Crを含有させてCr炭窒化物を粗大に形成させる、(d)Ti、Nb、V、Mo、W及び/又はZrの炭窒化物をCr炭窒化物に複合析出させている。この(a)〜(d)の条件を満たすことにより、鋼板の特性を改善することができると共に、生産性をも大幅に向上させることができる。
即ち、本発明の極薄鋼板は、板厚が0.4mm以下であり、C:0.0006〜0.0300%、Si:0.001〜2.0%、Mn:0.01〜3.0%、S:0.0005〜0.040%、P:0.002〜0.080%、Al:0.005〜0.090%、N:0.0011〜0.0049%及びCr:0.21〜6.0%を含有すると共に、Ti:0.010%以下、Nb:0.010%以下、V:0.010%以下、Mo:0.010%以下、W:0.010%以下及びZr:0.010%以下からなる群から選択された1種又は2種以上の元素を合計で0.0010〜0.020%含有し、残部がFe及び不可避的不純物であり、Cr含有量([Cr])とAl含有量([Al])との比([Cr]/[Al])が20以上であり、かつCr含有量([Cr])とTi、Nb、V、Mo、W及びZrの総含有量([Ti+Nb+V+Mo+W+Zr])との比([Cr]/[Ti+Nb+V+Mo+W+Zr])が20以上である組成を有するものである。
以下、本発明の極薄鋼板について詳細に説明する。なお、本発明においては、「析出物」、「炭窒化物」及び「複合」という語を使用している。本発明が対象とする実用鋼においては、様々な元素を含み、複雑な熱処理を行なうため、一般的には多くの種類の物質が鋼中に存在し、析出物の厳密な同定が困難な場合も多い。そこで、本発明においては、多少の曖昧さは残るが、これらの語について以下のように定義する。以下に示す定義は完全には学問的な定義とは一致しないところもあり、数値で完全に区分できるものではないが、当業者であれば、一般的に認知できる範囲のものである。「析出物」は、鋼板の製造工程において、鋼中に形成されるFe相以外のものを総称するものとする。これは、「炭化物」、「窒化物」及び「炭窒化物」のみならず、「酸化物」及び「硫化物」等も含むものである。「炭窒化物」は、厳密にはC及びNを相当量含有し、規則的な構造を有する化合物であるが、本発明においてはこれに限定されず、「炭化物」、「窒化物」、「厳密な意味での炭窒化物」及び「主としてCとNを含有する化合物」の全てを包含する語として使用する。「複合」は、2種以上の析出物が接触して1つの析出物を形成している場合に使用する。
先ず、本発明の極薄鋼板における数値限定理由について説明する。
板厚:0.40mm以下
本発明の効果は、鋼板の板厚に関わらず発現するものではあるが、本発明の大きな目的が連続焼鈍時の通板性の向上であり、板厚が0.40mmを超える鋼板では、連続焼鈍時の通板性が問題となることは少なく、課題そのものが存在しにくい。また、板厚が0.40mmを超える厚手の鋼板は本発明が対象としている鋼板よりも、更に高い伸び及び高いr値が求められる。このため、厚手の鋼板は、一般的に750℃を超えるような高温で焼鈍されることが多く、このような高温においては本発明の効果も小さくなってしまうこともある。即ち、本発明の効果は従来の厚手の材料を対象とした技術からは生み出されないものであると同時に、厚手材の製造技術への適用も意味が小さいものとなるものである。このため、本発明の極薄鋼板においては、その板厚を0.40mm以下に限定する。なお、本発明の極薄鋼板の板厚は、0.30mm以下とすることが好ましく、更に好ましくは0.20mm以下、更に好ましくは0.15mm以下、更に好ましくは0.12mm以下である。
C:0.0006〜0.0300%
Cは、鋼の強度に寄与する元素であるが、加工性等の点からその含有量は低い方が好ましいとされている。しかしながら、C含有量を過剰に低減すると、具体的には、C含有量が0.0006%未満の場合、コストの上昇を招くばかりでなく、高温強度不足を招き、連続焼鈍時のヒートバックルが発生しやすくなる。一方、製鋼工程での脱ガス負荷低減を目的とするのであれば、C含有量は高い方が好ましいが、C含有量が0.0300%を超えると、加工性が劣化する。よって、C含有量は0.0006〜0.0300%とする。なお、特に、時効性が小さく良好な延性が必要な場合は、C含有量を0.0100%以下とすることが望ましく、これにより、これらの特性を大幅に向上させることができる。また、C含有量は、0.008〜0.0039%とすることが好ましく、更に好ましくは0.0010〜0.0024%である。
Si:0.001〜2.0%
Siは、固溶強化元素として一般に知られている元素であり、その含有量は特に限定する必要はないが、Si含有量が2.0%を超えると、加工性が劣化する。一方、Si含有量を0.001%未満に低減するためには、製造コストが増加する。よって、Si含有量は0.001〜2.0%とする。
Mn:0.01〜3.0%
Mnは、Siと同様に固溶強化により鋼板強度を高める元素であり、その含有量は特に限定する必要はないが、Mn含有量が3.0%を超えると、加工性が劣化する。一方、Mn含有量を0.01%未満に低減するためには、製造コストが増加する。よって、Mn含有量は0.01〜3.0%とする。
S:0.0005〜0.040%
Sは、鋼の精錬時に不可避的に混入する不可避的不純物である。S含有量は、特に限定する必要はないが、S含有量が0.040%を超えると加工性が劣化し、また、S含有量を0.0005%未満に低減すると製造コストが高くなる。よって、Mn含有量は0.01〜3.0%とする。
P:0.002〜0.080%
Pは、鋼を高強度化する効果がある元素であるが、その含有量は特に限定する必要はない。しかしながら、P含有量が0.080%を超えると、加工性が劣化する。一方、P含有量を0.002%未満に低減すると、製造コストが高くなる。よって、P含有量は0.002〜0.080%とする。
Al:0.005〜0.090%
Alは、一般的には脱酸のために添加される元素である。しかしながら、Al含有量が少なすぎると、具体的には、Al含有量が0.005%未満の場合、脱酸効果が不十分となるため、鋼中酸化物が多くなり、加工性が低下する。一方、Alを多量に含有すると、具体的にはAl含有量が0.090%を超えると、本発明の効果にとって好ましくないAlNが生成する。よって、Al含有量は0.005〜0.090%とする。なお、Al含有量は0.011〜0.043%とすることが好ましく、更に好ましくは0.016〜0.039%、更に好ましくは0.021〜0.034%である。また、後述するように、本発明の極薄鋼板においては、窒化物の形態を制御するために、Al含有量は、Cr含有量及びB含有量を加味して制御する必要がある。
N:0.0011〜0.0049%
Nは、本発明における重要な要件である窒化物の形成を制御する上で、重要な元素である。しかしながら、Nを多量に含有すると、具体的には、N含有量が0.0049%を超えると、鋼中に窒化物が多量に生成するため、更に多量のCr又はBを添加する必要が生ずるばかりでなく、加工性が劣化する。一方、N含有量が0.0011%未満の場合、本発明において特徴的な効果であるCr窒化物にTi等の析出物を複合析出させ無害化を図る効果が小さくなると共に、窒化物が過度に少なくなるため溶接部の特性が劣化する。よって、N含有量は0.0011〜0.0049%とする。なお、本発明の極薄鋼板では、Nのほぼ全量が何らかの窒化物を形成しているため、N含有量が多くなると鋼中の窒化物量も多くなり、加工性が劣化することがある。このような加工性の劣化を抑制するためには、N含有量を0.0044%以下とすることが好ましい。また、スラブ製造時に真空脱ガス処理を十分に行うことにより鋼中のN含有量を0.0039%以下にすると、窒化物の形成がより少なくなり成形性が向上する。更に、N含有量は、0.0016〜0.0039%とすることが好ましく、より好ましくは0.0026〜0.0034%である。
以下で説明する元素は、本発明の特徴となる析出物制御に関連する元素であり、その機構についても併せて説明する。
Cr:0.21〜6.0%
Crは、本発明において重要な役割を有する必須の元素である。本発明の極薄鋼板においては、粗大なCrの炭窒化物を形成させ、このCr炭窒化物上に後述するTi等の炭窒化物を複合析出させることにより、特異な効果を得ている。しかしながら、Cr含有量が0.21%未満の場合、このような効果が得られない。また、Crを含有させることにより、鋼板自体の耐食性が向上するというメリットもあるが、Crは高価な元素であるため、Crを過剰に添加すると、コストが上昇したり、鋼板の表面状態が変化してめっき処理性が低下したりする。また、Crを多量に添加すると、具体的には、Cr含有量が6.0%を超えると、鋼板の再結晶温度が上昇し、前述した本発明の効果をが損なわれる。よって、Cr含有量は0.21〜6.0%とする。なお、Cr含有量は、0.31〜4.9%とすることが好ましく、更に好ましくは0.41〜3.9%、更に好ましくは0.51〜2.9%、更に好ましくは0.61〜1.9%である。
[Cr]/[Al]≧20
Cr炭窒化物が、後述のするような好ましい形態になるようにするためには、Cr含有量([Cr])とAl含有量([Al])との関係が重要となる。Cr含有量([Cr])とAl含有量([Al])との比([Cr]/[Al])が小さくなると、具体的には、[Cr]/[Al]が20未満になると、製造工程における高温状態での窒化物形成時に、CrとAlとによるNの取り合いが起こり、含有量が低く析出開始温度が低いAlNが微細に析出し、平均的に窒化物が微細化してしまうため、Cr含有量を前述の範囲にしても、本発明の効果は得られない。このメカニズムは明確ではないが、CrとAlとは窒化物の組成や結晶構造等が影響し、複合した析出が起こりにくいことが原因と思われる。よって、[Cr]/[Al]は20以上とする。なお、[Cr]/[Al]は、30以上であることが好ましく、更に好ましくは60以上、更に好ましくは100以上である。
Ti、Nb、V、Mo、W、Zr:合計で0.0010〜0.020%
Ti、Nb、V、Mo、W及びZrは、製造工程において好ましい耐ヒートバックル性を得るため、また、鋼板使用時に溶接性を向上させるために、ある程度の量を含有している必要がある元素である。これらの元素により耐ヒートバックル性及び溶接性が向上する原因は明確ではないが、以下のように考えられる。本発明の極薄鋼板においてこれらの元素は、その大部分が炭窒化物として存在している。但し、その析出は、これらの元素の単独の炭窒化物としてではなく、Cr炭窒化物に複合しており、特に、Cr炭窒化物の外側に付着したような形で存在している。これは、現象的にはCr炭窒化物よりも後に、Ti、Nb、V、Mo、W及び/又はZrを含む炭窒化物がCr炭窒化物を析出核として生成したことを示している。また、従来品では、Ti、Nb、V、Mo、W及び/又はZrを含む炭窒化物は鋼中に微細に析出していたが、本発明の極薄鋼板においては、Cr炭窒化物が比較的粗大になるように制御されており、Ti、Nb、V、Mo、W及び/又はZrを含む炭窒化物はこのような粗大なCr炭窒化物に複合析出するため、鋼中に含まれる微細な炭窒化物の量が少なくなる。これにより、冷間圧延後の焼鈍時における再結晶温度が低くなるため、再結晶が速やかに起こるようになり、低温での通板が可能となると思われる。
一方、これらの元素を含有させることで、冷延後の再結晶粒径を微細にすることができる。その理由としては、前述したように、本発明の極薄鋼板においては、再結晶そのものが遅れるわけではないため、再結晶の核発生頻度が高まった結果と考えられる。この原因も明確ではないが、Cr炭窒化物がこれらの元素で覆われることにより、Cr炭窒化物と母相である鉄との界面構造が変化し、冷間圧延後の焼鈍工程において、母相再結晶時の再結晶核としても働くようになったためと考えられる。核発生が多くなったことは、再結晶を促進するばかりでなく、高温での鋼板強度を高め耐ヒートバックル性の向上にも好ましい影響を与えているものと考えられる。更に、溶接時には、Cr炭窒化物に優先して溶解することで、炭窒化物としてのピンニング力を維持させると共に、ソリュートドラッグ効果により溶解した元素が結晶粒の粗大か化を抑制し、溶接部の強度の低下を防止するものと思われる。以上述べたように、本発明の効果は、Cr、Ti、Nb、V、Mo、W及び/又はZrを含む炭窒化物の複雑な生成及び溶解挙動によりもたらされるものと言える。
以上のような理由から、Cr、Ti、Nb、V、Mo、W及びはZrが1種類も含まれていない場合は、本発明の対象としない。また、本発明の極薄鋼板においては、これらの元素を全て含有している必要はなく、少なくとも1種を含有していればよい。その際、Ti、Nb、V、Mo、W又はZrの含有量が0.010%を超えると、これらの元素の析出物量が多くなりすぎて、再結晶温度が顕著に上昇するため、特に耐ヒートバックル性が大幅に劣化する。同様に、Ti、Nb、V、Mo、W及びZrの総含有量が0.020%を超えると、これらの元素の析出物量が多くなりすぎて、耐ヒートバックル性が大幅に劣化する。一方、Ti、Nb、V、Mo、W及びZrの総含有量が0.0010%未満の場合、これらの元素の析出が不安定となり析出物量が不足するため、再結晶温度が安定せず、鋼板特性の均一性を確保することが困難になると共に、十分な溶接性を確保することが困難になる。よって、本発明においては、Ti:0.010%以下、Nb:0.010%以下、V:0.010%以下、Mo:0.010%以下、W:0.010%以下及びZr:0.010%以下からなる群から選択された1種又は2種以上の元素を合計で0.0010〜0.020%とする。なお、各元素の含有量は、夫々、0.008%以下とすることが好ましく、更に好ましくは0.005%以下、更に好ましくは0.003%以下である。また、これらの元素の総含有量の上限値は、0.015%とすることが好ましく、更に好ましくは0.010%である。一方、総含有量の下限値は、0.0015%とすることが好ましく、更に好ましくは0.0030%、更に好ましくは0.0045%、更に好ましくは0.0060%である。
[Cr]/[Ti+Nb+V+Mo+W+Zr]≧20
炭窒化物の形成は、前述したCr含有量とAl含有量との関係と同様に、Cr含有量([Cr])と、Ti、Nb、V、Mo、W、及びZrの総含有量([Ti+Nb+V+Mo+W+Zr)との関係が重要である。厳密には、夫々の元素とCrとの関係を論じるべきではあるが、Ti、Nb、V、Mo、W及びZrの個々の含有量を前述した範囲内になるように制御した場合、工業的にはこれらの元素の総含有量によりCr含有量を制御することが可能である。具体的には、Cr含有量と、Ti、Nb、V、Mo、W、及びZrの総含有量との比([Cr]/[Ti+Nb+V+Mo+W+Zr])を20以上とすることが本発明の効果を得るに必要である。[Cr]/[Ti+Nb+V+Mo+W+Zr]が20未満の場合は、前述したCr含有量とAl含有量との関係と同様に、炭窒化物が微細化して本発明の効果が得られなくなる。このメカニズムも明確とは言えないが、Crの炭窒化物とTi、Nb、V、Mo、W及び/又はZrの炭窒化物の析出温度域、析出に要する時間に関連した析出タイミングの差が関係していると思われる。なお、[Cr]/[Ti+Nb+V+Mo+W+Zr]は30以上であることが好ましく更に好ましくは60以上、更に好ましくは100以上である。
本発明の極薄鋼板は、上記各成分に加えて、更に、B:0.0002〜0.0029%を含有していてもよい。但し、その場合、Al含有量([Al])とB含有量([B])との比([Al]/[B])を40以下とすることが好ましい。以下、その数値限定理由について説明する。
B:0.0002〜0.0029%
Bは、窒化物形態に影響を及ぼし、溶接熱影響部の材質を変化させる元素である。また、Crとの複合添加により、特に窒化物の形態を好ましいものとし、本発明の効果を顕著にすると共に、連続焼鈍時の高温強度を高めヒートバックル抑制にも有効となる。しかしながら、B含有量が0.0002%未満の場合、この効果が得られない。一方、Bの過剰な添加は、具体的には、B含有量が0.0029%を超えると、溶接部が過度に硬質となり加工性が劣化すると共に、再結晶温度が上昇して高温での焼鈍が必要となるため、ヒートバックルが発生しやすくなる。また、鋳造時に低温溶融部が生成し、鋳造性が極端に劣化することもある。よって、Bを添加する場合は、その含有量を0.0002〜0.0029%とする。なお、B含有量は、0.0008〜0.0024%とすることが好ましく、更に好ましくは0.0011〜0.0019%である。
[Al]/[B]≦40
Bの好ましい効果を得るためには、B含有量([B])とAl含有量([Al])との関係が重要となる。具体的には、[Al]/[B]が40を超えると、製造工程における高温状態での窒化物形成時に、BとAlとの間でNの取り合いが起こり、含有量が低く析出開始温度が低いAlNが微細に析出し、平均的に窒化物が微細化してしまう。このメカニズムは明確ではないが、BとAlとは窒化物の組成や結晶構造などが影響し複合した析出が起こりにくいことが原因と思われる。同様のことはCrとの間にも起こるが、CrとBとはどちらも基本的には好ましい効果を有しており、お互いに補完しあう元素となり、適当量の添加で相互作用的な好ましい効果を発揮するものと思われる。以上の理由から、本発明の極薄鋼板においては、[Al]/[B]を40以下とする。なお、[Al]/[B]は30以下とすることが好ましく、更に好ましくは20以下、更に好ましくは15以下である。
なお、本発明の極薄鋼板における残部は、Fe及び不可避的不純物である。また、原料として使用するスクラップ等から混入しやすいSn、Cu及びNiについては、本発明で想定していない何らかの目的で添加する場合においても、各々の元素について0.020%以下、合計で0.050%とすることが望ましい。これは、上述したTi及びNb程ではないが、本発明の極薄鋼板において、好ましい炭窒化物の形態、再結晶温度、加工性におよぼす影響及び添加コスト等を勘案してのものである。もちろんSn、Cu及びNの含有量は0であっても構わない。
上述の如く、本発明の極薄鋼板においては、炭窒化物の形態を制御している。基本的には、粗大なCr炭窒化物を生成させ、これにTi、Nb、V、Mo、W及びZrからなる群から選択された1種又は2種以上の元素を含有する炭窒化物を複合析出させている。次に、この析出物の測定方法及びサイズについて説明する。
本発明においては、析出物はSPEED(Selective Potentiostatic Etching by Electrolytic Dissolution)法によって得られた抽出レプリカ又は薄膜サンプルを電子顕微鏡にて観察する。その際、EDX(Energy Dispersive X-ray spectrometer:エネルギー分散形X線分析装置)等の物理的分析機器を行い、Cr、Al、B、Ti、Nb、V、Mo、W及びZrうちの1種又は2種以上の元素が観察され、同じ測定領域からN又はCが観察されるものを本発明で対象とする炭窒化物とする。また、以下の説明においては、これらの炭窒化物の中でもTi、Nb、V、Mo、W及びZrのうちの1種又は2種以上の元素を含有する炭窒化物を「特定炭窒化物」という。なお、大きさが極めて微小で、同定が困難なものについては、本発明で考慮すべき析出物からは除外する。同定が可能な最小サイズは、現状では0.02μm程度である。もちろんこの限界サイズは、解析機器及び解析方法の進歩により変わるものであり、それに伴い限定すべき最適な平均サイズ及び密度等の範囲も、将来的には本発明において規定しているサイズと異なることは当然考えられる。また、本発明において対象とする炭窒化物のサイズの上限は1.0μmとする。
一方、対象とする炭窒化物の直径及び数に偏りがない程度の視野について計測を行い、その視野を写真撮影し、画像解析等を行うことでもサイズ分布を求めることができる。また、形状が延伸したものが見られる場合があるが、形状が等方的でないものについては長径と短径との平均をその炭窒化物の直径とする。なお、析出物が微小な場合、数種の析出物が複合していても、その析出物のどこからどこまでが目的とする析出物であるかの確定が困難となることもある。その場合、特定炭窒化物が検出されるものについては、その複合析出物全体を1つの特定炭窒化物と見なして算定する。また、本発明においては、炭窒化物が酸化物又は硫化物等と複合析出した場合も対象とする。
また、レプリカによる炭窒化物の数密度は、レプリカ作製過程における電解工程において、試料表面を通電した全電荷がFeの2価イオン(Fe2+)として鋼板が電解される際に消費され、電解時に残滓として残る炭窒化物が全てレプリカ上に補足されるとして計算する。本発明者が通常実施しているレプリカ作製においては、試料に対して単位表面積あたり50C(クーロン)、即ち、50C/mの電気量で電解を行うため、試料表面から18μmまでの範囲内にある析出物がレプリカ上で観察されることになる。もちろんこの条件は限定されるものではなく、妥当と考えられる方法であればよい。
本発明の極薄鋼板において、上述した方法により測定された炭窒化物のうち、その形態が重要であるのは、Cr炭窒化物よりも、むしろ、特定炭窒化物である。これは、前述したように本発明の極薄鋼板の特徴である耐ヒートバックル性及び溶接性が、特定炭窒化物の特徴的な形態に起因して発現するものであり、Cr炭窒化物はその核となっているに過ぎないからであり、本発明の極薄鋼板は、このの特定炭窒化物の形態が従来の鋼板と異なっている点が大きな特徴である。このため、本発明の極薄鋼板では、特定炭窒化物の形態によりその特徴を限定することができる。もちろん、Cr炭窒化物を比較的粗大に析出させ、それに特定炭窒化物を複合させることで本発明の効果が発現することから、Cr炭窒化物の存在そのものは重要であることは言うまでもない。
具体的には、本発明の極薄鋼板においては、直径が0.02〜0.10μmの特定炭窒化物の数密度が、0.5個/μm以下であることが望ましい。このような特定炭窒化物の数密度が0.5個/μmを超えると、炭窒化物の形態が好ましからざるものとなり、耐ヒートバックル性及び溶接性を両立することが困難となる。なお、直径が0.02〜0.10μmの特定炭窒化物の数密度は、0.1個/μm以下とすることが好ましく、更に好ましくは0.02個/μm以下、更に好ましくは0.01個/μm以下である。
また、本発明の極薄鋼板においては、直径が0.02〜0.10μmの炭窒化物の数密度Dと、直径が0.10μmを超え1.0μm以下の炭窒化物の数密度Dとの比(D/D)が1.0未満であることが好ましい。D/Dが1.0を超えると、炭窒化物の形態が好ましからざるものとなり、耐ヒートバックル性及び溶接性を両立することが困難となる。なお、D/Dは、0.8以下であることが好ましく、更に好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.5以下である。
一般的には、微細な析出物は粗大なものより数密度が高くなるが、本発明の極薄鋼板においては、炭窒化物に関して、微細なものの数密度の絶対値を低く抑えられると共に、粗大なものとの相対値も低く抑えることができる。つまり、従来の鋼板では、微細に析出するAl、B、Ti、Nb、V、Mo、W及びZr等の炭窒化物を、Cr炭窒化物に複合析出させることで、微細な炭窒化物の数密度を低減していたが、本発明の極薄鋼板においては、特定炭窒化物の大部分が粗大なCr炭窒化物の表面に複合析出し、微細なものでもCr炭窒化物を生成核とし複合しているため、その数密度が低減する。
その結果、再結晶温度が低下し、連続焼鈍工程での良好な通板性が達成されるが、注意を要するのは、一般的に、微細な析出物を抑制しただけでは、熱延鋼板又は焼鈍再結晶時において結晶粒の粗大化を招くことである。この結晶粒の粗大化は、連続焼鈍工程で生じる高温強度の低下につながるため、再結晶温度を低下させ焼鈍温度を低くしたにも関わらず、ヒートバックルの抑止効果が十分に得られないばかりか、ヒートバックルが発生しやすくなることもある。また、溶接強度に対しても好ましい効果を得ることができない。Ti、Nb、V、Mo、W及びZrを添加する必要性の説明でも述べたが、本発明の極薄鋼板においては、上述した方法で特定炭窒化物形態を制御することにより、単に微細な炭窒化物を低減させただけに留まらない効果が得られる。前述したように、このメカニズムは明確ではないが、Cr炭窒化物と複合析出させることで、この効果が顕著になっていると考えられる。このため、Cr炭窒化物との複合の程度を示す指標で、本発明の極薄鋼板を規定することができる。
また、本発明の極薄鋼板の形態としては、直径が0.02〜0.10μmの炭窒化物のうち、Ti、Nb、V、Mo、W及びZrからなる群から選択された1種又は2種以上の元素を含有し、Cr炭窒化物と複合析出しているものの個数の割合が30%以上であることが好ましい。直径が0.02〜0.10μmの炭窒化物のうち、Ti、Nb、V、Mo、W及び/又はZrを含有し、Cr炭窒化物と複合析出しているものの個数の割合が30%未満の場合、炭窒化物の形態が好ましからざるものとなり、耐ヒートバックル性及び溶接性を両立することが困難となる。
一方、直径が0.10μm以下の比較的微細な析出物については、複合析出の空間的な位置関係を明確にすることは困難であるが、比較的粗大な析出物であれば、その位置関係も明確に記述することが可能である。このため、本発明の極薄鋼板においては、直径が0.10μmを超え1.0μm以下で、Crを含有する炭窒化物のうち、その周囲に、Ti、Nb、V、Mo、W及びZrからなる群から選択された1種又は2種以上の元素を含有する炭窒化物が複合析出しているものの個数の割合が30%以上であることが好ましい。直径が0.10μmを超え1.0μm以下で、Crを含有する炭窒化物のうち、周囲にTi、Nb、V、Mo、W及び/又はZrを含有する炭窒化物が複合析出しているものの個数の割合が30%未満の場合、炭窒化物の形態が好ましからざるものとなり、耐ヒートバックル性及び溶接性を両立することが困難となる。なお、この複合析出しているものの個数の割合は、50%以上であることがより好ましく、更に好ましくは70%以上である。また、自然な考えとしては、微細なものでも、Cr炭窒化物を核として特定炭窒化物が周囲に複合析出した形態をとっていると考えられる。高度な分析技術を適用することでそのようになっていることを明らかにすることも可能と考えられるが、そのことが本発明にとって好ましいことであることは言うまでもない。
今後、様々な解析技術の発達により、現状で発明者が認識できないようなメカニズムが本発明の根幹の現象であると特定される可能性もあるが、本発明はこのようなものも含むものである。また、本明細書においては、現時点までに本発明者が認識している析出物に関してその形態について記述したにすぎず、この記述においてたとえばサイズは比較的大きく、一般的に析出物として認識されるものについて規定したものではあるが、前述のように現時点では完全に実物として特定できていないクラスターのようなものによる効果も発明としては包含していることは言うまでもない。
前述したように、本発明の極薄鋼板は、結晶粒径が微細化することが好ましい形態の1つであり、冷延鋼板である場合は、結晶粒の平均直径が19μm以下であることが好ましい。この結晶粒の平均直径は、14μm以下であることがより好ましく、更に好ましくは9μm以下、更に好ましくは7μm以下である。但し、結晶粒をあまりに微細化すると、過度に硬質化して加工性が損なわれるため、本発明の極薄鋼板においては、平均直径が1μm以上、更には2μm以上を好ましい範囲とする。
次に、上述の如く構成された本発明の極薄鋼板の製造方法について説明する。上述した条件により析出物の形態を制御し、かつ熱間圧延により得られる熱延鋼板での結晶粒径を微細にするには、熱間圧延条件が特定の範囲内となるように制御することが効果的である。スラブ再加熱後に引き続き熱間圧延を行なう場合は、特に、スラブ加熱炉から取り出した後の冷却過程での熱履歴が大きな影響をおよぼす。
そこで、本発明の極薄鋼板の製造方法においては、所定の組成のスラブを、加熱炉から取り出した後、1000℃までの冷却速度を1.0℃/秒以下、熱間圧延中における1000〜900℃の冷却速度を10℃/秒以上、熱間圧延仕上温度を900℃以下、仕上圧延後における750℃までの冷却速度を15℃/秒以上、巻取温度を700℃以上として熱間圧延する。以下、各工程の条件における数値限定理由について説明する。
加熱炉から取り出した後、1000℃までの冷却速度:1.0℃/秒以下
高温域での冷却速度は比較的遅くすることが望ましいため、本発明の極薄鋼板の製造方法においては、加熱炉から取り出し後、1000℃までの冷却速度を1.0℃/秒以下とする。これにより、Cr炭窒化物を粗大化することができる。本発明の極薄鋼板においては、この温度域が比較的高温で生成及び成長するCr炭窒化物の析出に都合がよいものと考えられる。なお、この温度域での冷却速度が1.0℃/秒を超えると、Cr炭窒化物が十分に粗大化せず、前述した効果が得られない。また、この冷却速度は、0.7℃/秒以下とすることが好ましく、更に好ましくは0.5℃/秒以下である。
熱間圧延中における1000〜900℃の冷却速度:10℃/秒以上
熱間圧延中は、比較的低温の温度域では、高速で冷却することが望ましい。そこで、本発明の極薄鋼板の製造方法においては、熱間圧延中における1000〜900℃の冷却速度を10℃/秒以上とする。このときの冷却速度が10℃/秒未満の場合、炭窒化物の形態が好ましからざるものとなり、耐ヒートバックル性及び溶接性を両立することが困難となる。となる。なお、熱間圧延中における1000〜900℃の冷却速度は、15℃/秒以上とすることが好ましく、更に好ましくは20℃/秒以上、更に好ましくは25℃/秒以上、更に好ましくは30℃/秒以上である。
熱間圧延仕上温度:900℃以下
本発明の極薄鋼板においては、熱間圧延の仕上温度を900℃以下とする。この熱間圧延温度が900℃を超えると、炭窒化物の形態が好ましからざるものとなり、耐ヒートバックル性及び溶接性を両立することが困難となる。一方、仕上温度があまりに低いと、熱間圧延により得られる熱延鋼板に、未再結晶組織が残存し、最終製品の加工性が損なわれることがあるため、熱間圧延仕上温度は700℃以上とすることが望ましい。なお、熱間圧延仕上温度は、870℃以下とすることが好ましく、更に好ましくは840℃以下、更に好ましくは810℃以下、更に好ましくは780℃以下である。
仕上圧延後における750℃までの冷却速度:15℃/秒以上
本発明の極薄鋼板の製造方法においては、特定炭窒化物が析出しやすいこの温度域を短時間で通過させることにより、微細な特定炭窒化物の生成を抑制すると共に、仕上げ温度を低くすることにより、熱延鋼板における結晶粒径の微細化を図っている。ここで、注意を要することは、微細析出物を活用して熱延鋼板結晶粒の微細化を図る一般的な技術は本発明鋼には適用できないことであり、微細析出を抑えながら、熱延鋼板の結晶粒を微細化する必要があることである。但し、本発明の極薄鋼板においては、熱間圧延条件を同一とした場合にも、熱延鋼板の結晶粒は、より微細となる傾向が見られ、わずかには生成するであろうCr炭窒化物、特定炭窒化物又はその前駆現象であるクラスターの生成が1つの特徴とも言える。このため、仕上圧延後は、結晶粒の成長を抑制するために高速で冷却することが望ましく、本発明においては、750℃までの冷却速度を15℃/秒以上とする。一方、750℃までの冷却速度が15℃/秒未満の場合、炭窒化物の形態が好ましからざるものとなり、耐ヒートバックル性と溶接性とを両立することが困難となる。なお、750℃までの冷却速度は、20℃/秒以上とすることが好ましく、更に好ましくは30℃/秒以上、更に好ましくは40℃/秒以上である。また、本発明の極薄鋼板は、特定炭窒化物に起因すると思われる特有の微細化効果を示す。しかしながら、この時の冷却終了温度があまりに低いと、このような効果が得られないことがある。これは、冷却終了後、Cr炭窒化物を核として特定炭窒化物を形成させるためには、有効な温度を確保する必要があるためである。このため、この後の冷却速度は遅くし、ある程度の温度域で十分な時間を保持することが望ましい。
巻取温度を700℃以上
巻取温度が700℃未満の場合、Cr炭窒化物と特定炭窒化物の複合化が不十分となる。よって、本発明の極薄鋼板の製造方法においては、巻取温度を700℃以上とする。
また、本発明の極薄鋼板の製造方法においては、前述した条件で熱間圧延して得た熱延鋼板の結晶粒の平均粒径が、39μm以下となっていることが望ましい。本発明の極薄鋼板における結晶粒の微細化は、再結晶焼鈍時の再結晶核発生頻度に起因するものであることは既に述べたが、このことに起因して、冷間圧延前の熱延鋼板においても結晶粒が微細化していることが望ましい。この熱延鋼板の結晶粒の平均粒径が39μmを超えると、極薄鋼板の結晶粒が十分に微細化されないことがある。なお、熱延鋼板における結晶粒の平均直径は、29μm以下であることがより好ましく、更に好ましくは19μm以下、更に好ましくは14μm以下、更に好ましくは9μm以下である。但し、熱間圧延は高温での圧延であるため、上述した条件を全て満足したとしても、熱延鋼板における結晶粒の平均直径を2μm未満とすることは困難であり、達成可能な範囲は2μm以上である。
更に、本発明の極薄鋼板の製造方法においては、前述した条件で熱間圧延した後、冷間圧延を行い、その後、750℃以下の温度で焼鈍してもよい。本発明の極薄鋼板の製造方法においては、冷間圧延後の焼鈍温度を低くすることが目的の1つであり、また、この焼鈍温度を低くできることが特徴の1つでもあることから、冷間圧延後の焼鈍温度は、750℃以下とすることが好ましい。なお、焼鈍温度は、730℃以下とすることがより好ましく、更に好ましくは710℃以下、更に好ましくは690℃以下、更に好ましくは670℃以下、更に好ましくは650℃以下である。もちろん焼鈍温度を高めて加工性を向上させても、本発明の効果が損なわれるものではない。但し、あまりに高温で焼鈍した場合、本発明において特徴的な炭窒化物が多量に溶解してしまい、その後の冷却速度によっては時効性が大きくなる場合があるため、注意が必要である。
前述したように、本発明において特徴的な炭窒化物の特徴は、特に、溶接部の特性向上に好ましく作用する。具体的には、溶接部の局部的な軟化を抑制し、溶接部への変形の集中を回避することにより、溶接部の強度及び疲労強度が向上すると共に、溶接後に溶接部を加工する場合には溶接部の加工性が向上する。この現象の詳細なメカニズムは明確ではないが、前述した結晶粒の微細化におよぼす本発明の特徴的な炭窒化物の効果と関連していることが考えられる。即ち、本発明の極薄鋼板においては、溶接時における極短時間の高温状態での析出物の溶解挙動が、特定炭窒化物が複合化することで変化し、溶解しきらずに残存する微細な炭窒化物、及び冷却過程で再析出する微細な炭窒化物により、溶接部及びその近傍の材質が強化され、溶接部の特性向上につながっているものと思われる。
なお、焼鈍後の調質圧延は、通常の範囲で行えばよい。また、薄手鋼板を製造する際は、焼鈍の後、再圧延し加工硬化により硬質化させた鋼板を用いる場合もあるが、この様な鋼板においても本発明の極薄鋼板の製造方法を適用することができ、これにより、溶接部の加工性、強度及び疲労強度を向上させることができる。更に、焼鈍後の圧下率は0.5〜50.0%とすることが適当である。更にまた、耐食性等の各種特性向上のために、各種元素添加しても本発明の効果が失われるものではない。
本発明の極薄鋼板は、表面処理鋼板用の原板としても使用されるが、表面処理を行っても、本発明の効果はなんら損なわれるものではない。この表面処理として、自動車、建材、電機、電器及び容器用の表面処理として通常行われている錫、クロム(ティンフリー)、ニッケル、亜鉛、アルミ、鉄及びこれらの合金等のめっきを施してもよく、その方法としては、電気めっき及び溶融めっき等の各種めっき方法を適用することができる。更に、近年使用されるようになっている有機皮膜を貼ったラミネート鋼板用の原板としても、発明の効果を損なうことなく使用できる。更にまた、容器用に使用する場合、絞り、しごき、引き伸ばし及び溶接等により成形される各種容器に使用できる。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。本実施例においては、下記表1及び表2に示す鋼組成で、厚さが250mmスラブを、下記表3及び表4に示す条件で熱間圧延して熱延鋼板とし、この熱延鋼板を酸洗いした後、下記表3及び表4に示す条件で冷間圧延、焼鈍及びスキンパス圧延をこの順に実施し、実施例及び比較例の冷延鋼板を作製した。その際、焼鈍時間は全て1分間とし、スキンパス圧延における圧延率は1.5%とした。なお、下記表3及び表4には、各冷延鋼板中の結晶粒の平均粒径、熱間圧延後の熱延鋼板中の結晶粒の平均粒径、鋼中の全N量に対するCrNとして存在するNの割合([NCr]/[N])、鋼中の全C量に対するCr23として存在するCの割合([CCr]/[C])、直径が0.02〜0.10μmの特定炭窒化物の数密度、直径が0.02〜0.10μmの炭窒化物の数密度と、直径が0.10μmを超え1.0μm以下の炭窒化物の数密度との比(D/D)、直径が0.02〜0.10μmの炭窒化物のうち、特定炭窒化物と複合析出しているものの個数の割合、直径が0.10μmを超え1.0μm以下で、Crを含有する炭窒化物のうち、その周囲に特定炭窒化物が複合析出しているものの個数の割合も併せて示す。また、下記表1及び表2に示す鋼組成における残部は、Fe及び不可避的不純物である。更に、下記表3及び表4におけるSRTはスラブ加熱温度であり、FTは熱間圧延仕上温度であり、CTは熱間圧延時の巻取温度、STは冷間圧延後の焼鈍温度である。
Figure 2007291434
Figure 2007291434
Figure 2007291434
Figure 2007291434
次に、前述の方法で作製した実施例及び比較例の各冷延鋼板の焼鈍通板性、時効伸び、溶接部特性加工性及び強度について評価した。以下、その具体的な評価方法について説明する。
焼鈍ラインの通板性については、同一板厚で、同一幅の冷延コイルを、再結晶温度よりも40℃高い温度で、同一の連続焼鈍ラインを、同一の通板速度で通板した際のヒートバックル発生の有無で判定した。その結果、ヒートバックルが発生しなかったものを「A」、わずかに発生したものを「B」、顕著に発生したものを「C」とした。
時効伸びは、鋼板製造後に210℃の温度下で30分間の時効を行ったものからJIS5号試験片を切り出し、この試験片を使用した引張試験により評価した。なお、この条件で時効伸びが1.5%以下であれば、実用的には問題とならない。
図1は溶接の加工性の評価方法を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、溶接部2の加工性評価は、四角形の鋼板1をシーム溶接して円筒状にし、その開口部に円錐状の金型3を押し込むことにより開口部を押し広げ、開口端に割れが発生するまでの変形量を下記数式(1)により算定した。なお、下記数式(1)におけるRは試験前の開口部の直径であり、Rは割れ発生時の直径である。
Figure 2007291434
図2は溶接部の強度の評価方法を模式的に示す平面図である。図2に示すように、溶接部4の強度は、2枚の四角形の鋼板1a,1bを、ちり発生直前の溶接電流にてスポット溶接した後、引張試験を行い、その際の最大荷重から評価した。
上述した特性値、特に、溶接部の特性は、本発明の範囲内で作製した場合でも製造条件によって変動し、また本発明において特に限定しない成分及び製造条件によっても影響を受けるため、各評価結果の絶対値によって本発明の効果を示すことは適当ではない。そこで、本実施例においては、溶接加工性及び溶接強度については、同一の英字符号の材料内で、数字符号が0のものを基準材とし、相対比較によりその効果を示すこととした。その結果、極めて良好であったものを「A」、良好であったものを「B」、従来品と同等であったものを「C」とした。この場合、基準材はすべての特性においてCの判定となる。
また、総合評価は、上述した各項目の評価結果を総合的に判定し、全ての項目で極めて良好であったものをA、全ての項目で良好であったものをB、一部の項目は良好であったものをC、従来品と同等であったものをDとした。以上の評価結果を下記表5にまとめて示す。
Figure 2007291434
上記表5に示すように、本発明の範囲内で製造された実施例の冷延鋼板は、本発明の範囲から外れた比較例の冷延鋼板に比べて、耐ヒートバックル性、時効性、溶接部の特性の一部又はすべてに良好な特性が得られた。
溶接部の加工性の評価方法を模式的に示す斜視図である。 溶接部強度の評価方法を模式的に示す平面図である。
符号の説明
1、1a、1b 鋼板
2、4 溶接部
3 金型

Claims (11)

  1. 質量%で、
    C:0.0006〜0.0300%、
    Si:0.001〜2.0%、
    Mn:0.01〜3.0%、
    S:0.0005〜0.040%、
    P:0.002〜0.080%、
    Al:0.005〜0.090%、
    N:0.0011〜0.0049%及び
    Cr:0.21〜6.0%を含有すると共に、
    Ti:0.010%以下、Nb:0.010%以下、V:0.010%以下、Mo:0.010%以下、W:0.010%以下及びZr:0.010%以下からなる群から選択された1種又は2種以上の元素を合計で0.0010〜0.020%含有し、
    残部がFe及び不可避的不純物からなり、
    Cr含有量([Cr])とAl含有量([Al])との比([Cr]/[Al])が20以上であり、
    かつCr含有量([Cr])とTi、Nb、V、Mo、W及びZrの総含有量([Ti+Nb+V+Mo+W+Zr])との比([Cr]/[Ti+Nb+V+Mo+W+Zr])が20以上である組成を有し、
    板厚が0.4mm以下であることを特徴とする極薄鋼板。
  2. 更に、質量%で、B:0.0002〜0.0029%を含有し、Al含有量([Al])とB含有量([B])との比([Al]/[B])が40以下であることを特徴とする請求項1に記載の極薄鋼板。
  3. 鋼中にCr及び/又はBを含有する炭窒化物が存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の極薄鋼板。
  4. Ti、Nb、V、Mo、W及びZrからなる群から選択された1種又は2種以上の元素を含有し、直径が0.02〜0.10μmの炭窒化物の数密度が、0.5個/μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の極薄鋼板。
  5. 直径が0.02〜0.10μmの炭窒化物の数密度Dと、直径が0.10μmを超え1.0μm以下の炭窒化物の数密度Dとの比(D/D)が1.0未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の極薄鋼板。
  6. 直径が0.02〜0.10μmの炭窒化物のうち、Ti、Nb、V、Mo、W及びZrからなる群から選択された1種又は2種以上の元素を含有し、Cr炭窒化物と複合析出しているものの個数の割合が30%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の極薄鋼板。
  7. 直径が0.10μmを超え1.0μm以下で、Crを含有する炭窒化物のうち、その周囲に、Ti、Nb、V、Mo、W及びZrからなる群から選択された1種又は2種以上の元素を含有する炭窒化物が複合析出しているものの個数の割合が30%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の極薄鋼板。
  8. 結晶粒の平均直径が19μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の極薄鋼板。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の極薄鋼板の製造方法であって、
    スラブを加熱炉から取り出した後、1000℃までの冷却速度を1.0℃/秒以下、熱間圧延中における1000〜900℃の冷却速度を10℃/秒以上、熱間圧延仕上温度を900℃以下、仕上圧延後における750℃までの冷却速度を15℃/秒以上、巻取温度を700℃以上として熱間圧延することを特徴とする極薄鋼板の製造方法。
  10. 前記熱間圧延により得た熱延鋼板は、結晶粒の平均直径が39μm以下であることを特徴とする請求項9に記載の極薄鋼板の製造方法。
  11. 更に、前記熱間圧延後に冷間圧延を行い、その後、750℃以下の温度で焼鈍することを特徴とする請求項9又は10に記載の極薄鋼板の製造方法。
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