JP2019014927A - 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

無方向性電磁鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板を提供する。【解決手段】質量%で、C:0.0100%以下、Si:0.10〜5.00%、Mn:0.010〜2.000%、Al:0.10〜3.00%、S:0.0001〜0.0300%、P:0.0010〜0.2000%、Cu:0.005〜2.000%、N:0.0001〜0.0150%、O:0.0010〜0.0200%、Mg:0〜0.0100%、Ti:0〜0.0100%及びZr:0〜0.0100%を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有し、結晶系がCubic型の酸化物とCu硫化物とが複合析出し、平均直径が10〜5000nmである複合析出物の個数密度が0.001〜10.000個/μm2であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。【選択図】なし

Description

本発明は、無方向性電磁鋼板及びその製造方法に関し、特に、電気機器の鉄心材料として使用される、鉄損に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関する。
無方向性電磁鋼板は、重電機器、家電用などの各種モーターの鉄芯材料として用いられている。無方向性電磁鋼板は、商業的には鉄損でグレード分けされ、モーターやトランスの設計特性に応じて使い分けられている。
近年、エネルギー節減の観点から、無方向性電磁鋼板に対して、一層の低鉄損化が強く要望されている。一般に、鋼板中に微細な析出物が存在すると、磁壁移動が阻害され、ヒステリシス損は劣化する。そこで、従来、無方向性電磁鋼板の鉄損の改善を目的に、熱間圧延における硫化物の析出制御、脱硫による硫化物の低減方法、仕上焼鈍後の急速冷却によるCu硫化物の析出抑制などの方法が提案されてきた。
例えば、特許文献1では、Cuを0.2%以下含んだ鋼片を900〜1100℃の範囲で30分以上保定し、その後、1150℃で高温保定し、引き続いて圧延を開始するとともに、仕上熱延中の冷却速度を50℃/秒以下に抑えることによって、Cu硫化物の分散状態を無方向性電磁鋼板の磁気特性、即ち、鉄損および磁束密度にとって好ましい状態に制御する方法が開示されている。
特許文献2では、鋳造完了時までに溶鋼にCaSiを添加し、S含有量を0.005%以下に制御し、1000℃以上の温度でスラブを加熱した後、熱間圧延し、特定の温度域でコイル巻取りすることによって、微細な析出物の生成を回避する方法が開示されている。
また、特許文献3では、仕上焼鈍後、500〜600℃の温度域から300℃までの間を10〜50℃/秒の冷却速度で急冷し、Cu硫化物の析出を抑制する技術が開示されている。
特許文献4〜7では仕上焼鈍後の冷却速度を制御することによって、磁気特性の向上を期待する技術が開示されている。
特開2010−174376号公報 特開平10−183244号公報 特開平09−302414号公報 特開2011−006721号公報 特開2006−144036号公報 特開2003−113451号公報 国際公開第2014/168136号
CAMP−ISIJ Vol.25(2012),p1080 CAMP−ISIJ Vol.22(2009),p1284 Tetsu−to−Hagane (TETSU−2016−069) Tetsu−to−Hagane vol.100(2014),p1229 Tetsu−to−Hagane vol.83(1997),p479 Tetsu−to−Hagane vol.92(2006),p618 Bunnseki vol.11(2002),p639
しかし、上記特許文献1〜7に記載の従来の方法では、以下のような問題があった。特許文献1に記載の方法では、スラブ加熱温度の低温化による圧延負荷の増大や、冷却速度の厳密な制御の困難さなど、生産性に問題があった。
また特許文献2に記載の方法では高純度鋼が必須であるが、不可避レベルで混入するCuによる微細Cu硫化物の形成は避けられないので、Cu混入によって、かえって磁気特性が劣化するという問題があった。
また特許文献3には、500〜600℃の温度域から300℃までの間を10〜50℃/秒の冷却速度で急冷する方法が開示されているが、Cu硫化物は50℃/秒以上の冷却速度でも冷却中に析出する事実が非特許文献1および2などで知られている。すなわち、10〜50℃/秒程度の冷却を行う特許文献3の技術では完全にCu硫化物の析出を抑制することは困難である。
また特許文献4〜6においては、上述した方法により鋼板への冷却歪の導入を回避でき、鉄損劣化を低減することは可能であるが、Cu硫化物の析出状態を制御することはできず、微細に析出したCu硫化物が磁気特性に悪影響を及ぼしてしまう。
また特許文献7において、Cu硫化物の析出形態を制御する技術が開示されているが、Cu硫化物以外の析出物が存在する場合、Cu硫化物の無害化が困難になるという課題があった。
本発明は上述の問題に鑑み、Cu硫化物の析出形態を制御し、コスト増加や生産性の低下を招くことなく、鉄損に優れた無方向性電磁鋼板と、その製造方法とを提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するため、鋼板成分、製造条件が硫化物の分散状態と磁気特性の関係に及ぼす影響について検討を重ねた。その結果、Cubic型の結晶構造を有する酸化物(SiO、MgO、TiO、Mn、Alのいずれか1種以上)を含む無方向性電磁鋼板をある条件で焼鈍した場合に、Cu硫化物の微細分散が抑制され、かつ磁気特性が著しく向上することを認識した。そして、鋼中析出物の形態や構造について詳細な調査を行った結果、この現象が特にCu硫化物がCubic型の酸化物と複合析出することで、(A)Cu硫化物の単独分散が回避され、(B)Cu硫化物が地鉄と良好な格子整合性を有することを見出した。また、析出核である酸化物とCu硫化物の格子整合性が最適化された場合、すなわち、(C)Cu硫化物の結晶構造がHexagonal型の場合にCubic型の酸化物との複合析出が起こりうることを見出した。
本発明は上記知見をもとになされたもので、以下の(1)〜(8)を要旨とする。
(1) すなわち、本発明の一態様に係る無方向性電磁鋼板は、質量%で、C:0.0100%以下、Si:0.10〜5.00%、Mn:0.010〜2.000%、Al:0.10〜3.00%、S:0.0001〜0.0300%、P:0.0010〜0.2000%、Cu:0.005〜2.000%、N:0.0001〜0.0150%、O:0.0010〜0.0200%、Mg:0〜0.0100%、Ti:0〜0.0100%及びZr:0〜0.0100%を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有し、結晶系がCubic型の酸化物とCu硫化物とが複合析出し、平均直径が10〜5000nmである複合析出物の個数密度が0.001〜10.000個/μmである。
(2) 上記(1)に記載の無方向性電磁鋼板の電解抽出残渣に対するX線回折において得られる、2θ=46.8°に現れるHexagonal構造を有するCu硫化物の回折強度であるI2θ=46.8と、2θ=32.9°に現れるCubic構造を有するMnの回折強度であるI2θ=32.9が下記式1の条件を満たしてもよい。
2θ=46.8/I2θ=32.9≧0.10・・・式1
(3) 上記(1)または(2)に記載の無方向性電磁鋼板の電解抽出残渣に対するX線回折において得られる、2θ=46.8°に現れるHexagonal構造を有するCu硫化物の回折強度であるI2θ=46.8と、2θ=21.6°に現れるCubic構造を有するSiO、2θ=42.9°に現れるCubic構造を有するMgO、2θ=43.3°に現れるCubic構造を有するTiO、2θ=45.9°に現れるCubic構造を有するAlのそれぞれの回析強度が下記式2の条件を満たしてもよい。
2θ=46.8/(I2θ=21.6+I2θ=42.9+I2θ=43.3+I2θ=45.9)≧0.010・・・式2
ただし、I2θ=21.6、I2θ=42.9、I2θ=43.3、I2θ=45.9はそれぞれ、2θ=21.6°に現れるCubic構造を有するSiO、2θ=42.9°に現れるCubic構造を有するMgO、2θ=43.3°に現れるCubic構造を有するTiO、2θ=45.9°に現れるCubic構造を有するAlのXRDの回折ピーク高さである。
(4) 上記(1)〜(3)の何れか一項に記載の無方向性電磁鋼板の電解抽出残渣に対するX線回折において得られる、2θ=32.1°に現れるCubic構造を有するCu硫化物の回折強度であるI2θ32.1と、2θ=46.8°に現れるHexagonal構造を有するCu硫化物の回折強度であるI2θ=46.8とが、下記式3の条件を満たしてもよい。
2θ=46.8/I2θ=32.1>0.50・・・式3
(5) 本発明に係る無方向性電磁鋼板の製造方法は、(1)に記載の化学組成を有する鋼片に熱間圧延を行い、熱延鋼板を得る熱延工程と、前記熱延工程後の前記熱延鋼板を酸洗する酸洗工程と、前記酸洗工程後の前記熱延鋼板に冷間圧延を行い、冷延鋼板を得る冷延工程と、前記冷延鋼板を焼鈍する仕上焼鈍工程とを有する無方向性電磁鋼板の製造方法であって、前記仕上焼鈍工程において、下記式4に示すT1(℃)以上で10秒以上3600秒以下の保持を行い、前記仕上焼鈍工程の冷却において、前記T1(℃)以下、下記式5に示すT2(℃)以上の温度域における平均冷却速度CR1を60℃/秒未満とする。
T1(℃)=15000/(12−log10([%Cu]×[%S]))−273・・・式4
T2(℃)=15000/(12−log10([%Cu]×[%S]))−373・・・式5
なお、上記式中の[%Cu]はCuの質量%での含有量であり、[%S]はSの質量%での含有量である。
(6) 上記(5)に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法は、前記仕上焼鈍工程の冷却において、下記式6に示すT3(℃)以上、前記T2(℃)以下の温度域における平均冷却速度CR2を20℃/秒以上としてもよい。
T3(℃)=15000/(12−log10([%Cu]×[%S]))−473・・・式6
なお、上記式中の[%Cu]はCuの質量%での含有量であり、[%S]はSの質量%での含有量である。
(7) 上記(5)または(6)に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法は、前記熱延工程の鋼片加熱温度を下記式7記載のT4(℃)以下かつ下記式8記載のT5(℃)以上とし、熱間圧延した後、熱延板の巻取温度を下記式9記載のT6(℃)以下に制御してもよい。
T4(℃)=15000/(6−log10([%Mn]×[%O]))−273・・・式7
T5(℃)=14900/(8−log10([%Mn]×[%S]))−473・・・式8
T6(℃)=14900/(8−log10([%Mn]×[%S]))−573・・・式9
なお、上記式中の[%Mn]はMnの質量%での含有量であり、[%O]はOの質量%での含有量であり、[%S]はSの質量%での含有量である。
(8) 上記(5)〜(7)の何れか一項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法は、前記熱延工程と前記酸洗工程との間に、前記熱延鋼板を焼鈍する熱延板焼鈍工程を備えてもよい。
本発明によれば、無方向性電磁鋼板に対し、高純化や、スラブ加熱温度の低温化、熱延条件の最適化などを施さなくても、微細Cu硫化物の単独析出を回避するとともに、鉄損に好影響をもたらす析出形態に制御することで、鉄損に優れた無方向性電磁鋼板を提供することができる。
なお、本発明によれば、無方向性電磁鋼板において求められる鉄損以外の特性(磁束密度や加工性など)は、従来材と同等以上を確保できる。
以下に本発明の一実施形態に係る無方向性電磁鋼板(以下、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板と言う場合がある。)及びその製造方法について、詳細に説明する。なお、含有量の%は全て質量%である。
<化学成分>
C:0.0100%以下
Cが多く存在すると磁気時効によって鉄損を著しく劣化させる。そのため、C含有量の上限を0.0100%以下とする。下限は0%を含むが、Cはトランプエレメントとして少なくとも0.0001%以上混入することが好ましい。磁気時効の回避を考慮すると、C含有量は0.0001〜0.0070%がより好ましい。更に好ましいC含有量は0.0001〜0.0050%である。
Si:0.10〜5.00%
Siの含有量は0.10%未満では良好な鉄損が得られないため、Si含有量の下限を0.10%以上とする。一方で、Si含有量が5.00%を超えると、脆性が劣化し、製造工程での通板が困難となる。したがって、Si含有量の上限を5.00%以下とする。磁性と通板性の観点から、好ましいSi含有量は2.00〜4.00%であり、より好ましくは2.50〜3.50%である。
Mn:0.010〜2.000%
MnはOと反応してMn酸化物を形成するので、本発明では重要な元素のひとつである。鋼中に多量のMnが存在する場合、MnSが析出することにより、CuSの析出量が低下し、本発明の効果が享受できなくなる。そのため、Mn含有量の上限を2.000%以下とする。一方、Mn含有量が0.010%未満であると、熱間圧延時に鋼板が脆化する。そのため、Mn含有量の下限を0.010%以上とする。好ましくは、Mn含有量は0.050〜1.500%であり、より好ましくは、0.100〜1.000%である。
Al:0.10〜3.00%
Alは含有量が多いと、Siと同様に鋼板の硬度上昇を招き、製造工程での通板が困難になる。そのため、生産性を考慮してAl含有量の上限を3.00%以下とする。AlはSi同様、電気抵抗を上げる効果を有するため、下限を0.10%以上とする。好ましいAl含有量は0.20〜2.00%であり、より好ましくは0.30〜1.50%である。
P:0.0010〜0.2000%
Pは鋼板の硬度を高め、打ち抜き性を向上させる作用を有する。しかし、0.2000%を超えて含有すると鋼板の硬さが上昇するので、打ち抜き金型の摩耗が速くなり、モーター鉄心の製造コストが増加する。また、鋼板が固くなるため、通板そのものが難しくなる。そのため、P含有量の上限を0.2000%以下とする。一方、微量のPは磁束密度を改善する効果を有する。これらの効果を得るため、P含有量の下限を0.0010%以上とする。好ましいP含有量は0.0010〜0.1500%であり、より好ましくは0.0010〜0.1000%である。
S:0.0001〜0.0300%
S含有量は硫化物量に直接関係する。S含有量が過剰であると、Sが固溶状態で鋼中に存在し、熱間圧延時に鋼が脆化する。そのため、S含有量の上限を0.0300%以下とする。一方でSが存在しないと、Cuは金属Cuとして微細析出し、粒成長を妨げ磁束密度劣化の原因となる。そのため、S含有量の下限を0.0001%以上とする。好ましいSi含有量は0.0010〜0.0100%であり、より好ましくは0.0010〜0.0050%である。
Cu:0.005〜2.000%
CuはCu硫化物を形成するため、本発明において特に重要な元素である。Cu含有量が多すぎると、熱間脆性が生じる。そのため、Cu含有量の上限を2.000%以下とする。一方、Cuが少なすぎる場合、TiSなどの他の微細な硫化物が析出し、鉄損劣化の原因となるため、Cu含有量の下限を0.005%以上とする必要がある。好ましいCu含有量は0.010〜1.000%であり、より好ましくは0.010〜0.500%である。
N:0.0001〜0.0150%
Nが過剰であると窒化物の析出量が増えすぎ、結晶粒の成長を阻害し、磁束密度が劣化する。そのためN含有量の上限を0.0150%以下とする。窒化物による強度上昇を期待しないのであればNは低いほど好ましい。すなわち、Nの下限値は0%を含むが、Nの検出限界が0.0001%なので、これを考慮して、Nの下限値を0.0001%以上とする。N含有量は、0.0001〜0.0050%とするのが、磁気特性にとって好ましく、より好ましくは0.0001〜0.0030%である。
O:0.0010〜0.0200%
OはMn酸化物の析出量に直接関係するため、本発明において重要な元素である。O含有量が過剰であると、微細酸化物を多数形成し、かえって磁束密度を低下させる。そのため、O含有量の上限を0.0200%以下とする。一方で、Mn酸化物を析出させ、本発明効果を享受するには、Oを少なくとも0.0010%以上含有させる必要がある。そのため、O含有量の下限を0.0010%以上とする。好ましいO含有量は0.0010〜0.0150%であり、より好ましくは0.0050〜0.0100%である。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、上述した元素に加えて更に、Mg、Ti、Zrの1種または2種以上を選択的に含有してもよい。含有しない場合の、これら元素の含有量の下限値は0%である。以下、Mg、Ti、Zrについて説明する。
Mg:0〜0.0100%
Mg含有量はMgOの析出量に直接関係するため、本発明において制御すべき元素である。Mgが多すぎると、鋼中で微細なMgSを形成し、鋼板粒成長を阻害し磁束密度の低下の原因となる。そのため、その上限を0.0100%以下とする。また、Mgは0.0001%以上含有してもよい。Mg含有量の好ましい範囲は0.0001〜0.0060%であり、より好ましくは0.0001〜0.0030%である。
Zr:0〜0.0100%
ZrはZrOを形成する元素であり、本発明効果を更に発揮することが可能であるため、選択的に含有させることのできる元素である。Zrが多すぎると、熱間脆性が悪化する。そのため、その上限を0.0100%以下とする。また、Zrは0.0001%以上含有してもよい。Zr含有量の好ましい範囲は0.0001〜0.0060%であり、より好ましくは0.0001〜0.0030%である。
Ti:0〜0.0100%
Ti含有量が過剰であると、微細炭化物を形成して粒成長を抑制し、磁束密度を低下させる。そのため、Ti含有量の上限を0.0100%以下とする。また、Tiは0.0001%以上含有してもよい。好ましいTi含有量は0.0001〜0.0060%であり、より好ましくは0.0001〜0.0030%である。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、上述の化学成分を含有し、残部がFe及び不純物からなることを基本とする。しかしながら、磁気特性の更なる向上、強度、耐食性や疲労特性などの構造部材に求められる特性の向上、鋳造性や通板性の向上、スクラップ使用などによる生産性の向上を目的として、Ca、W、Mo、Nb、V、Sn、Bi、Sb、Ag、Te、Ce、Cr、Co、Ni、In、Se、Re、Os、Hf、Ta、Y、La等の微量元素を、合計で0.5%以下の範囲で含有させてもよい。また、これらの元素が、合計で0.5%以下の範囲で混入したとしても、本実施形態の効果を損なうものではない。
<複合析出物>
次に、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板における重要な制御因子である酸化物の結晶構造について説明する。Cu硫化物は、鋼板中での存在を完全になくすことが困難である。そこで、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板では、Cubic型の酸化物を析出核としてCu硫化物が複合析出するように制御し、良好な鉄損を得る。すなわち、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板においては、CuおよびOを含有し、かつ10〜5000nmの平均直径を有する複合析出物の単位面積当たりの個数密度(面密度)を、0.001〜10.000個/μmと規定する。好ましくは0.001〜1.000個/μm、より好ましくは0.001〜0.100個/μm、更に好ましくは0.001〜0.010個/μmである。析出核となる酸化物はCubic型の結晶構造を有していればよく、例えば、Mn、MgO、TiO、Al、SiOなどである。なお、結晶構造がCubic型であれば、カチオンとアニオンの化学結合比が異なっても本発明効果を享受できる。また、Cubic型の酸化物が球形をとらず、矩形の場合は、短軸長さと長軸長さとの平均値を複合析出物の平均直径と定義する。
上記のCuおよびOを含有する複合析出物の観察は、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)により行えばよい。析出物の構成元素はEDS分析によって同定が可能である。具体的には、対象の析出物にEDS分析を行った場合に、スペクトル横軸のエネルギー0.5±0.2keVの位置にO−Kα線および、8.0±0.2keVの位置にCu−Kα線が同時に検出されればよい。元素同定はKα線以外にもLα線、Kγ線で行ってもよい。ただし、抽出レプリカをTEM−EDSの観察試料として供する場合、Cu硫化物とレプリカを載置するメッシュのシグナルを分離する必要があるため、Cu製メッシュの使用は避けなければならない。また、Cu硫化物にはMnまたはFeが少量固溶することが知られており、EDS分析の結果、分析対象の析出物からMn、SまたはFe由来のEDSシグナルが検出されても本発明の効果を失うものではない。EDSシグナルはKα線、Lα線、Kγ線などその起源を問わない。さらに、Al−Mg−OやAl−Si−Oは複合酸化物を形成するため、酸化物から複数の金属原子がEDSにより検出されるが、やはり本発明の効果を失うものではない。
酸化物の結晶構造は透過型電子顕微鏡(TEM)観察および析出物の電子線回折により同定可能である。前記複合析出物においては、Cu硫化物の結晶構造はHexagonal構造となるが、TEMによる電子線回折では、酸化物の結晶構造の同定は可能であっても、Cu硫化物の結晶構造の同定は困難である。これは、析出核である酸化物の回折強度が強く、Cu硫化物由来の電子線回折が不鮮明になるためである。
Cu硫化物の結晶構造はX線回折(XRD)により同定可能である。一般的にX線回折はCu−Kα線をプローブとする。本実施形態に係る無方向性電磁鋼板においては、例えば、鋼板の電解抽出残渣に対してX線回折(XRD)を行ったとき、2θ=46.8°に現れるHexagonal構造を有するCu硫化物の回折強度であるI2θ=46.8と、2θ=32.9°に現れるCubic構造を有するMnの回析強度であるI2θ=32.9とを、下記式1の条件を満たすように制御することが好ましい。金属酸化物はMgOやSiO,Alなど複数あるが、Mnが最もCu硫化物との結晶整合性が良く、複合析出し易い。Mn酸化物の量に対して、複合析出できるCu硫化物の量には限度があり、それを超えるとCu硫化物は微細に単独析出してしまう恐れがある。そのため、I2θ=46.8/I2θ=32.9の上限は10.00以下とすることがより好ましい。I2θ=46.8/I2θ=32.9のさらに好ましい範囲としては0.50以上、10.00以下とする。
2θ=46.8/I2θ=32.9≧0.10・・・式1
また、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板においては、Mn酸化物以外の酸化物として、2θ=21.6°に現れるCubic構造を有するSiOと、2θ=42.9°に現れるCubic構造を有するMgOと、2θ=43.3°に現れるCubic構造を有するTiOと、2θ=45.9°に現れるCubic構造を有するAlが、下記式2の条件を満たすように制御してもよい。Cubic型の酸化物と複合析出が可能なCu硫化物の結晶構造はHexagonal構造である。これは、Cubic型の酸化物と、Hexagonal型のCu硫化物との格子整合性が良好なことに起因する。すなわち、Hexagonal型のCu硫化物の回折強度であるI2θ=46.8が多いほど、Cu硫化物は複合析出していることになるので、基本的にはI2θ=46.8/(I2θ=21.6+I2θ=42.9+I2θ=43.3+I2θ=45.9)が大きい方が発明効果を得ることができる。したがって、この値に上限はないが、任意の酸化物の量に対して、複合析出できるCu硫化物の量には限度があり、それを超えるとCu硫化物は微細に単独析出してしまう恐れがある。そのため、I2θ=46.8/(I2θ=21.6+I2θ=42.9+I2θ=43.3+I2θ=45.9)の上限は1.000以下とすることが好ましい。I2θ=46.8/(I2θ=21.6+I2θ=42.9+I2θ=43.3+I2θ=45.9)のより好ましい範囲としては、0.100以上、1.000以下とする。
2θ=46.8/(I2θ=21.6+I2θ=42.9+I2θ=43.3+I2θ=45.9)≧0.010・・・式2
また、本発明者らは、鋼中のCu硫化物の構造には、Hexagonal構造に加えて、Cubic構造が存在することを知見している。Cubic型のCu硫化物は、Cubic型の酸化物とは複合析出しないため、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板においては、Cubic構造のCu硫化物はHexagonal構造のCu硫化物に比べて、その存在量が少なくなることが好ましい。したがって、2θ=32.1°に現れるCubic構造を有するCu硫化物の回折強度であるI2θ=32.1と、2θ=46.8°に現れるHexagonal構造を有するCu硫化物の回折強度であるI2θ=46.8とが、下記式3の条件を満たすことが好ましい。Cubic構造のCu硫化物が少ないほど本発明の効果を享受できるので、またI2θ=46.8/I2θ=32.1には最適なバランスが存在するため、好ましい範囲は10.00以上、50.00以下である。
2θ=46.8/I2θ=32.1>0.50・・・式3
XRD回折では試料の結晶構造に応じて、特定の2θ位置に回折ピークが観察される。ただし、鉄鋼材料中の析出物は、析出物に対するFe固溶、地鉄マトリクスとの格子整合性などの諸要因で結晶格子が変動する。それに伴い、回折が現れる上記2θの値は、誤差の範囲で少なくとも±3°を含むことになる。結晶構造の同定は結晶格子のデータベースであるJCPDS−CARDを用いて照合すればよいが、Cu硫化物(Hexagonal)については、23−958や26−1116、46−119536−0379がある。一方、Cu硫化物(Cubic)はJCPDS−CARD:00−012−0174、00−024−0061や023−0962、053−0522、33−0491、33−0492、070−9133などが存在する。Mnについては31−0825、SiOについては27−0605、MgOについては04−0829、Alについては10−0425、TiOについては08−0117、MnOについては01−075−1090で同定可能である。
特に、Cu硫化物においてはFeとSとが一部置換することで、CuFe16(JCPDS:00−027−0165)、CuFeS(JCPDS:024−0050,089−2620)やCuFe(JCPDS:027−0166)、CuFeS(JCPDS:075−0253、041−1404)などの析出物を形成するが、このようなCu−Fe−S系化合物についても、結晶系がCubic構造であり、かつ2θ=32.1°±3°において回折ピークが観察されれば、I2θ=32.1と定義できる。なお、上記誤差範囲において、Cu硫化物(Cubic)およびCu硫化物(Hexagonal)について、それぞれ2つ以上の回折ピークが存在した場合については、Cu硫化物(Cubic)はCu硫化物(Cubic)のピーク強度同士を足し合わせたものをI2θ=32.1とし、Cu硫化物(Hexagonal)はCu硫化物(Hexagonal)のピーク強度同士を足し合わせたものをI2θ=46.8とするとよい。
上記以外にも、2θの誤差範囲±3°に収まるような析出物であれば本発明の効果は当然享受できる。ただし、実際にそのような結晶構造の析出物が存在するかどうかは電子顕微鏡などによる観察およびEDS元素分析、電子線回折により判別する必要がある。なぜなら同じ2θ位置に回折ピークを持つような、全く別の析出物が存在しないとも限らないからである。
一般的に、XRD回折強度とはスペクトルのバックグラウンドからピークまでの高さである。バックグラウンド強度が十分低く、除去する必要がない状況が理想的だが、析出物からの回折強度が弱い場合、相対的にバックグラウンドの強度が高くなる場合がある。そのような場合には、非特許文献3、4に記載してあるように、XRD解析ソフトウェアを用いてバックグラウンドを除去する必要がある。本実施形態におけるXRD回折強度(ピーク強度)も、同様にソフトウェアを用いて、バックグラウンドを除去して求めるとよい。
<製造方法>
次に、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の製造方法について述べる。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、上述した成分組成となるように通常の電磁鋼板と同様に転炉で溶製され、連続鋳造された鋼片に、熱間圧延、熱延板焼鈍、冷間圧延、仕上焼鈍などを行うことによって製造できる。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板では、Cu硫化物とCubic型の酸化物とを複合析出せしめ鉄損改善の効果を得る。一般にCu硫化物は析出速度が速く、仕上焼鈍で固溶しても、その後の冷却中に単独で微細に再析出してしまい鉄損に悪影響を及ぼす。しかし、冷却開始時にCubic型の酸化物が存在すると、Cu硫化物は冷却中にCubic型の酸化物を核として複合析出する。これにより、Cu硫化物の微細析出を抑制することができる。このため、仕上焼鈍工程の前工程までにCubic型の酸化物を析出させ、仕上焼鈍工程では、Cu硫化物を固溶させ、かつ、冷却速度を制御することで冷却開始時にCubic型の酸化物とCu硫化物とを複合析出させることが可能となる。
本実施形態では、仕上焼鈍工程における保持温度、保持時間および所定の温度範囲(下記T1〜T2(℃)間)における冷却を以下に示す条件で行う。また、磁気特性をさらに向上させるために、熱延工程、熱延工程後のコイル巻取、熱延工程後かつ酸洗工程前の熱延板焼鈍工程を以下に示す条件で行うことが好ましい。
なお、本実施形態において、熱延工程後の酸洗については特に限定しない。また、冷間圧延についても特に限定せず、二回以上冷延、温間圧延などの冷延方法及び冷延圧下率によらず、鉄損改善効果を享受できる。またこれらの工程に加え、絶縁皮膜の形成や脱炭工程などを経ても構わない。
(仕上焼鈍工程)
仕上焼鈍工程において、下記式4記載のT1(℃)、下記式5記載のT2(℃)および下記式6記載のT3(℃)が重要な意味を持つ。下記T1(℃)はCu硫化物の固溶温度であり、下記T2(℃)はHexagonal型のCu硫化物が析出する下限温度かつCubic型のCu硫化物が析出する上限温度、下記T3(℃)はCubic型のCu硫化物が析出する下限温度である。
T1(℃)=15000/(12−log10([%Cu]×[%S]))−273・・・式4
T2(℃)=15000/(12−log10([%Cu]×[%S]))−373・・・式5
T3(℃)=15000/(12−log10([%Cu]×[%S]))−473・・・式6
仕上焼鈍工程においては、Cu硫化物をその固溶温度である上記T1(℃)以上で保持することにより、Cu硫化物を全量固溶させることが可能となる。保持温度がT1(℃)未満では、Cu硫化物を固溶させることができない。なお、保持温度は酸化物の固溶温度以下が好ましい。本発明と関連するMn、MgO、TiO、Al、SiOの固溶温度はいずれも高温であり、一般的には1250℃以上である。そのため、保持温度はT1℃以上1250℃以下が磁性にとって好ましい範囲である。磁性にとってより好ましい保持温度は(T1+200)℃以上1100℃以下である。
仕上焼鈍工程における保持時間は10秒以上3600秒以下とする。保持時間が10秒未満では十分にCu硫化物の固溶が進まない。一方で、保持時間が3600秒を超えると、析出速度の遅いTiSなどの他の微細硫化物が生成し、鉄損改善に悪影響を及ぼす。仕上焼鈍工程における好ましい保持時間は、20秒以上200秒以下である。
仕上焼鈍工程における冷却速度の制御も本発明において重要な制御因子である。Cu硫化物は析出速度が速いため、仕上焼鈍後の冷却工程中に析出する。ただし、Cu硫化物がHexagonal型の結晶構造を形成する温度域と、Cubic型の結晶構造を形成する温度域とが存在することが判っている。Hexagonal型のCu硫化物は、上記のCubic型の酸化物と複合析出する。すなわち、仕上焼鈍後の冷却工程として、Cu硫化物(Hexagonal)が析出する温度域の冷却速度を遅くして、当該温度域における滞在時間をより長く確保することが重要である。つまり、上記T1〜T2(℃)間の平均冷却速度CR1(℃/秒)を60℃/秒未満に制御する。T1〜T2(℃)間の平均冷却速度CR1が小さいほど本発明効果は大きいが、実際の製造においては自然空冷が現実的であり、その場合、平均冷却速度は0.01℃/秒が限界である。したがって、上記T1〜T2(℃)間の平均冷却速度CR1の下限は、0.01℃/秒以上とすることが好ましい。平均冷却速度CR1の好ましい範囲は0.01℃/秒以上、40℃/秒以下である。
また、Cubic型の結晶構造を有するCu硫化物は、前記T2〜T3(℃)間の温度域において析出する。そこで本実施形態では、Cubic型の結晶構造を有するCu硫化物の析出温度域の冷却速度を早くして、当該温度域における滞在時間を短縮することにより、鉄損をより改善してもよい。具体的には、前記T2〜T3(℃)間の温度域における平均冷却速度CR2(℃/秒)が20℃/秒以上となるように急速冷却してもよい。ただし、平均冷却速度CR2(℃/秒)が大きければ大きいほど、本発明効果は高いが、鋼板に導入される冷却歪の影響を考えると、平均冷却速度CR2(℃/秒)の上限は200℃/秒以下に制御する必要がある。平均冷却速度CR2(℃/秒)の好ましい範囲は50℃/秒以上、100℃/秒以下である。
(熱延工程)
本実施形態では酸化物を析出核として活用するため、仕上焼鈍工程の前工程までにCubic型の酸化物をなるべく多く析出させることが好ましい。特に、Cu硫化物と格子整合性の良好なMn酸化物を多く析出させ、Mn硫化物の析出を回避しておくことが好ましい。そのためには、まず熱延工程において、鋼片加熱温度をMn酸化物の固溶温度である下記式7記載のT4(℃)以下かつ、微細なMnSが固溶する温度である下記式8記載のT5(℃)以上に制御して、保持することが好ましい。MnSの完全な固溶温度はT5+200℃程度であるが、鋼片中の粗大なMnSは磁性への悪影響をほとんど与えないので、鋼片加熱温度をT5(℃)以上とすることで、本発明の効果は享受できる。
T4(℃)=15000/(6−log10([%Mn]×[%O]))−273・・・式7
T5(℃)=14900/(8−log10([%Mn]×[%S]))−473・・・式8
熱延工程において、鋼片加熱の保持時間はMnSを完全に固溶させるため、1200秒以上とすることが好ましい。保持時間が1200秒未満ではMnSが十分に固溶しない。一方で、鋼片加熱の保持時間の上限は、生産性の観点から18000秒以下とすることが好ましい。より好ましい鋼片加熱の保持時間は、2400秒以上、10000秒以下である。
また、MnSの析出はCuSの析出を阻害するため、熱延工程後のコイル巻取温度をMnSの析出下限温度である下記式9記載のT6(℃)以下としてもよい。巻取温度は鋼片加熱温度と熱延コイルの冷却速度で規定されるため、500℃以下に制御するとコイル内の温度ムラが大きくなり、磁性の観点で好ましくない。そのため、コイル巻取温度の制御範囲は500℃以上、T6(℃)以下とすることが好ましい。より好ましい上限は前記T3(℃)以下である。
T6(℃)=14900/(8−log10([%Mn]×[%S]))−573・・・式9
(熱延板焼鈍工程)
冷間圧延前の熱延板を焼鈍することで、熱間圧延における温度偏差や析出物の分散状態のばらつきを均一化させ、鉄損を改善することが可能である。溶け残りの微細MnSを固溶させ、Mn酸化物を析出させることで本発明効果を更に発揮できるため、熱延板焼鈍工程において、前記T5(℃)以上に保持することは磁性にとって好ましい。本発明と関連するMn、MgO、TiO、Al、SiOの固溶温度は、一般的には1250℃以上である。そのため、酸化物の溶解を回避すべく、熱延板焼鈍工程における保持温度を1250℃以下に設定することが好ましい。磁性にとってより好ましくは、T5+100〜1250℃で保持することである。
さらに、熱延板焼鈍後の冷却においては、MnSの析出温度域である前記T5(℃)以下、前記T1(℃)以上の温度域の冷却速度を20℃/秒以上に制御し、Mn硫化物の析出を回避することが好ましい。より好ましい冷却速度は50℃/秒以上、100℃/秒以下である。
また、熱延板焼鈍工程における保持時間について特に規定はしないが、10秒以上、3600秒以下とすることで、熱延板焼鈍の効果が十分得られる。一方で、保持時間が3600秒を超えると、析出速度の遅いTiSなどの他の微細硫化物が生成し、鉄損改善に悪影響を及ぼす。より好ましい保持時間は、20秒以上、200秒以下である。
以下、本発明の実施例を挙げながら、本発明の技術的内容について更に説明する。なお、以下に示す実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。また本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。なお、下記の説明で用いる表中の下線は、本発明の範囲外であることを示す。
<実施例1>
表1(鋼No.A1〜A27、鋼No.a1〜a15)に示す成分のインゴットを真空溶解し、1200℃に加熱して3600秒保持した後、巻き取り温度が700℃となるように熱間圧延し、板厚2.0mmの熱延鋼板を得た。その後、酸洗を経て圧下率75%で冷間圧延し、板厚0.50mmの冷延鋼板とした。続いて1000℃で30秒の仕上焼鈍を行った。仕上焼鈍後の冷却において、T1〜T2(℃)間の平均冷却速度CR1を30℃/秒とし、T2〜T3(℃)間の平均冷却速度CR2を18℃/秒とした。
析出物の観察結果と磁気特性(磁束密度および鉄損)を表2に示す。なお、観察されたCu硫化物のうち、酸化物と複合析出していたCu硫化物の個数割合が50%以上の場合は表中の「析出形態」の欄に「○」で示し、50%未満の場合は「×」で示した。なお、析出物観察は、鋼板の圧延方向に垂直な断面をエッチングし、SEM観察により観察し、EDS分析により同定した。その際、100μmの視野を10視野観察した。観察されたOおよびCuを含む平均直径が10〜5000nmである複合析出物の総数を、1000(100μm×10視野)で割った数字を、複合析出物の個数密度(個/μm)、すなわち面密度とした。なお、表中に「−」と記載されたものは、未評価であることを示す。
磁気特性については、鉄損に応じて、VG:非常に優れる、G:優れる、F:効果がみられる、B:従来レベルとして評価し、Bと評価されたものを不合格とした。なお、磁気特性の評価はJIS C 2550:2000に準じて行った。歪取焼鈍は実施していない。鉄損については、W15/50(W/kg)を評価した。W15/50は、周波数50Hz、最大磁束密度1.5Tのときの鉄損である。また、磁束密度については、B50を用いて評価した。B50は、磁界の強さ5000A/mにおける磁束密度を示す。なお、B50の最低目標値を従来材と同等である1.50T以上とし、1.50T未満のものを不合格とした。なお、試料の鉄損評価基準は、以下の通りとした。
VG(VeryGood):W15/50(W/kg)<3.00
G(Good):3.00≦W15/50(W/kg)≦3.40
F(Fair):3.40<W15/50(W/kg)≦4.50
B(Bad):4.50<W15/50(W/kg)
表2のNo.B1〜B27はいずれも発明鋼であり、いずれも磁束密度が目標値を満足するものとなり、さらに鉄損の評価は「G」と、良好な結果だった。
比較鋼のNo.b2およびb6は平均直径が10〜5000nmである、Cu硫化物と酸化物の複合析出物の個数密度(面密度)が発明範囲を越えており、鉄損はいずれも4.50W/kgを超える悪値だったため、評価を「B」とし、不合格と判定した。
No.b8、b11およびb15は、そもそも磁束密度B50が1.50T未満であり、目標値に達しなかったため不合格と判定し、析出物の観察を行っていない。
No.b5、b12、b14は、観察されたCu硫化物のうち、Cubic型の酸化物と複合析出していたCu硫化物の個数割合が50%未満であり、Cu硫化物と酸化物の複合析出物が得られず、鉄損は4.50W/kgを超える悪値を示したため、評価を「B」とし、不合格と判定した。
No.b1は磁気時効を示したため、不合格と判定した。
No.b3、b4、b7、b9、b10、b13は、熱間圧延または冷間圧延が困難であったため、不合格と判定した。
Figure 2019014927
Figure 2019014927
<実施例2>
表1に示すNo.A14、A15、A18〜A21、A23〜A27に示す成分のインゴットを真空溶解し、1100℃でインゴットを加熱して、それぞれの温度にて4500秒保持した後、巻き取り温度が480℃となるように熱間圧延し、板厚2.0mmの熱延鋼板を得た。その後、酸洗を経て圧下率75%で冷間圧延し、板厚0.50mmの冷延鋼板とした。続いて950℃で60秒の仕上焼鈍を行った。冷却において、T1〜T2(℃)間の平均冷却速度CR1を38℃/秒とした。また、T2〜T3(℃)間の平均冷却速度CR2を30℃/秒とした。
表3にはX線回折結果、析出物の析出形態、磁気特性(磁束密度および鉄損)の評価結果を示す。析出物の観察、磁気特性の測定については、実施例1と同様の評価を行った。X線回折には非特許文献5〜7に記載されている一般的な抽出残渣法により介在物のみをフィルターで捕集したものを分析試料として用いた。XRD測定は非特許文献4〜6に記載のCuKα線をプローブとした広角X線回折により行った。表3中の「ICuS/IMn2O3」は、I2θ=46.8/I2θ=32.9を示す。
No.C1〜C11はいずれも発明例である。No.C7〜C11は複合析出物の個数密度が好ましい範囲内(0.001〜1.000個/μm)であり、かつ「ICuS/IMn2O3」の値が0.10以上に制御されているため、特に良好な鉄損が得られた。
Figure 2019014927
<実施例3>
表1に示す鋼No.A7、A11、A18〜A27の成分を有するインゴットを真空溶解し、1200℃で加熱して、それぞれの温度にて3600秒保持した後、巻き取り温度が750℃となるように熱間圧延し、板厚2.0mmの熱延板を得た。その後、酸洗を経て圧下率75%で冷間圧延し、板厚0.50mmの冷延鋼板とした。続いて950℃で60秒の仕上焼鈍を行った。仕上焼鈍後の冷却において、T1〜T2(℃)間の平均冷却速度CR1を42℃/秒とし、T2〜T3(℃)間の平均冷却速度CR2を25℃/秒とした。
表4にはX線回折結果、析出物の析出形態、磁気特性(磁束密度および鉄損)の評価結果を示す。X線回折、磁気特性の測定、析出物の測定については、実施例1および実施例2と同様の評価を行った。表4中の「ICuS/IMn2O3」は、I2θ=46.8/I2θ=32.9を示し、「ICuS(Hex)/IOxide」は、I2θ=46.8/(I2θ=21.6+I2θ=42.9+I2θ=43.3+I2θ=45.9)を示す。
No.D1〜D12はいずれも発明例であるが、No.D9〜D11は、複合析出物の個数密度が好ましい範囲(0.001〜1.000個/μm)の範囲外であり、またICuS/IMn2O3の値が0.10未満であっため、複合析出物の個数密度が好ましい範囲(0.001〜1.000個/μm)の範囲内であり、ICuS/IMn2O3の値が0.10以上であるD1〜D8およびD12に比べて鉄損がやや劣位だった。No.D7は、ICuS(Hex)/IOxideの値が0.010未満であったが、ICuS/IMn2O3の値が0.10以上であったため、鉄損は「G」と、比較的良好な結果だった。
Figure 2019014927
<実施例4>
表1に示す鋼No.A15〜A23およびA27の成分を有するインゴットを真空溶解し、1200℃で加熱して3600秒保持した後、巻取温度が580℃となるように熱間圧延して板厚2.0mmの熱延板とした。熱延板を1100℃で50秒の熱延板焼鈍を実施した。その後、すべての熱延板において、酸洗を経て圧下率75%で冷間圧延し、板厚0.50mmの冷延鋼板とし、1000℃で40秒の仕上焼鈍を行った。冷却において、T1〜T2(℃)間の平均冷却速度CR1を32℃/秒とした。また、T2〜T3(℃)間の平均冷却速度CR2を55℃/秒とした。
表5にはX線回折結果、析出物の析出形態、磁気特性(磁束密度および鉄損)の評価結果を示す。X線回折、磁気特性の測定、析出物の測定については、実施例1および実施例2と同様の評価を行った。なお、表5中の「ICuS/IMn2O3」は、I2θ=46.8/I2θ=32.9を示し、「ICuS(Hex)/IOxide」は、I2θ=46.8/(I2θ=21.6+I2θ=42.9+I2θ=43.3+I2θ=45.9)を示し、「ICuS(Hex)/ICuS(Cub)」は、I2θ=46.8/I2θ=32.1を示す。
No.E1〜E10はいずれも発明例であり、いずれも熱延板焼鈍の保持時間がより好ましい範囲内(20〜200秒)に制御されている。No.E2〜E7およびNo.E9〜E10は複合析出物の個数密度が好ましい範囲(0.001〜1.000個/μm)またはより好ましい範囲(0.001〜0.100個/μm)であるため、鉄損は「VG」と良好な値だった。No.E1はICuS(Hex)/IOxideの値が、0.010未満であったが、複合析出物の個数密度をより好ましい範囲(0.001〜0.100個/μm)の範囲内に制御しているため、鉄損は「VG」と良好な値だった。No.E8のICuS(Hex)/ICuS(Cub)は0.50以下であったが、複合析出物の個数密度をより好ましい範囲内に制御しているため、鉄損は「VG」と良好な値だった。
Figure 2019014927
<実施例5>
表1に示す鋼No.A15、A27の成分を有するインゴットを真空溶解し、1200℃に加熱して3600秒保持した後、巻取温度が490℃となるように熱間圧延をして板厚2.0mmの熱延鋼板とした。その後、酸洗を経て圧下率75%で冷間圧延し、板厚0.50mmの冷延鋼板とした。その後、表6に示す条件で仕上焼鈍を行った。
表6にはX線回折結果、析出物の析出形態、磁気特性(磁束密度および鉄損)の評価結果を示す。X線回折、磁気特性の測定、析出物の測定については、実施例1および実施例2と同様の評価を行った。
No.F1〜F14はいずれも発明例である。仕上焼鈍工程における保持温度、保持時間、T1〜T2(℃)間の冷却速度CR1(℃/秒)およびT3〜T2(℃)間の平均冷却速度CR2(℃/秒)をより好ましい範囲に制御したNo.F13およびF14は鉄損が「G」と比較的良好だった。No.F1〜F3、F5、F9およびF10は、CR2が20℃/秒未満であるが、仕上焼鈍工程における保持温度、保持時間および冷却速度CR1がいずれも本発明範囲内に制御されているため、鉄損が「F」と本発明効果を享受できることが確認できた。
一方、No.f1〜f3はいずれも比較例であり、仕上焼鈍時の保持温度、保持時間、T1〜T2(℃)間の平均冷却速度CR1のいずれかが本発明の範囲外であったため、Cu硫化物がCubic型の酸化物と複合析出せず、鉄損が4.50W/kgを超える悪値を示し、鉄損評価が「B」となっている。
Figure 2019014927
<実施例6>
表1に示す鋼No.A13〜A17,A19,A20,A22〜A27の成分を有するインゴットを真空溶解し、このインゴットを表7に示す条件で加熱、保持した後に熱間圧延し、板厚2.0mmの熱延鋼板とした。その後、酸洗を経て圧下率75%で冷間圧延し、板厚0.50mmの冷延鋼板とした。その後、表7に示す条件で仕上焼鈍を行った。
表7にはX線回折結果、析出物の析出形態、磁気特性(磁束密度および鉄損)の評価結果を示す。X線回折、磁気特性の測定、析出物の測定については、実施例1および実施例2と同様の評価を行った。
No.G1〜G26はいずれも発明例である。No.G21〜G26は、T1〜T2(℃)間の冷却速度CR1およびT3〜T2(℃)間の平均冷却速度CR2を好ましい範囲に制御している。しかしながら、No.G25は熱間圧延における巻取温度が好ましい範囲(500〜T6℃)の範囲外だった。そのため、No.G21〜G24、G26は鉄損評価が「VG」と良好な値だった一方で、No.G25の鉄損評価は「G」にとどまった。
No.G6およびG9はT3〜T2(℃)間の平均冷却速度CR2または熱間圧延における巻取温度が好ましい範囲(500〜T6(℃))の範囲外だったため、鉄損評価は「F」だった。No.G4およびG5は平均冷却速度CR2が20℃/秒未満だったが、熱延工程における鋼片加熱の保持温度がより好ましい範囲(2400秒〜10000秒)に制御されていたため、鉄損評価は「G」と比較的良好な結果だった。
Figure 2019014927
<実施例7>
表1に示す鋼No.A12〜A27の成分を有するインゴットを真空溶解し、このインゴットを表8に示す条件で加熱、保持した後に熱間圧延し、板厚2.0mmの熱延鋼板とした。その後、表8に示す条件で熱延板焼鈍を施した後、酸洗を経て圧下率75%で冷間圧延し、板厚0.50mmの冷延鋼板とした。この冷延鋼板に対し、表8に示す条件で仕上焼鈍を行った。
表8にはX線回折結果、析出物の析出形態、磁気特性(磁束密度および鉄損)の評価結果を示す。X線回折、磁気特性の測定、析出物の測定については、実施例1および実施例2と同様の評価を行った。
No.H1〜H20はいずれも本発明例である。No.H4、H8〜H14、H18〜H20は熱間圧延における鋼片加熱時間(保持時間)、熱延板焼鈍工程および仕上焼鈍工程御における保持時間がより好ましい範囲に制御されている。これに加え、仕上焼鈍工程におけるT1〜T2(℃)間の冷却速度CR1が本発明範囲内であり、T3〜T2(℃)間の平均冷却速度CR2が好ましい範囲内に制御されているため鉄損評価は「VG」と特に良好だった。
No.H2、H3、H5〜H7、H15〜H17は、熱間圧延における鋼片加熱温度、鋼片加熱時間(保持時間)および巻取温度のいずれかが好ましい範囲外だった。このため、鉄損評価は「G」にとどまった。
No.H1は熱間圧延における鋼片加熱温度および仕上焼鈍工程のT3〜T2(℃)間の平均冷却速度CR2が好ましい範囲外だった。このため、鉄損評価が「F」だった。
Figure 2019014927

Claims (8)

  1. 質量%で、
    C:0.0100%以下、
    Si:0.10〜5.00%、
    Mn:0.010〜2.000%、
    Al:0.10〜3.00%、
    S:0.0001〜0.0300%、
    P:0.0010〜0.2000%、
    Cu:0.005〜2.000%、
    N:0.0001〜0.0150%、
    O:0.0010〜0.0200%、
    Mg:0〜0.0100%、
    Ti:0〜0.0100%及び
    Zr:0〜0.0100%
    を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有し、結晶系がCubic型の酸化物とCu硫化物とが複合析出し、平均直径が10〜5000nmである複合析出物の個数密度が0.001〜10.000個/μmであることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
  2. 電解抽出残渣に対するX線回折において得られる、2θ=46.8°に現れるHexagonal構造を有するCu硫化物の回折強度であるI2θ=46.8と、2θ=32.9°に現れるCubic構造を有するMnの回折強度であるI2θ=32.9が下記式1の条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
    2θ=46.8/I2θ=32.9≧0.10・・・式1
  3. 電解抽出残渣に対するX線回折において得られる、2θ=46.8°に現れるHexagonal構造を有するCu硫化物の回折強度であるI2θ=46.8と、2θ=21.6°に現れるCubic構造を有するSiO、2θ=42.9°に現れるCubic構造を有するMgO、2θ=43.3°に現れるCubic構造を有するTiO、2θ=45.9°に現れるCubic構造を有するAlのそれぞれの回析強度が下記式2の条件を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無方向性電磁鋼板。
    2θ=46.8/(I2θ=21.6+I2θ=42.9+I2θ=43.3+I2θ=45.9)≧0.010・・・式2
  4. 電解抽出残渣に対するX線回折において得られる、2θ=32.1°に現れるCubic構造を有するCu硫化物の回折強度であるI2θ=32.1と、2θ=46.8°に現れるHexagonal構造を有するCu硫化物の回折強度であるI2θ=46.8とが、下記式3の条件を満たすことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の無方向性電磁鋼板。
    2θ=46.8/I2θ=32.1>0.50・・・式3
  5. 請求項1に記載の化学組成を有する鋼片に熱間圧延を行い、熱延鋼板を得る熱延工程と、
    前記熱延工程後の前記熱延鋼板を酸洗する酸洗工程と、
    前記酸洗工程後の前記熱延鋼板に冷間圧延を行い、冷延鋼板を得る冷延工程と、
    前記冷延鋼板を焼鈍する仕上焼鈍工程とを有する無方向性電磁鋼板の製造方法であって、
    前記仕上焼鈍工程において、下記式4に示すT1(℃)以上で10秒以上3600秒以下の保持を行い、
    前記仕上焼鈍工程の冷却において、前記T1(℃)以下、下記式5に示すT2(℃)以上の温度域における平均冷却速度CR1を60℃/秒未満とすることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
    T1(℃)=15000/(12−log10([%Cu]×[%S]))−273・・・式4
    T2(℃)=15000/(12−log10([%Cu]×[%S]))−373・・・式5
    なお、上記式中の[%Cu]はCuの質量%での含有量であり、[%S]はSの質量%での含有量である。
  6. 前記仕上焼鈍工程の冷却において、下記式6に示すT3(℃)以上、前記T2(℃)以下の温度域における平均冷却速度CR2を20℃/秒以上とすることを特徴とする請求項5に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
    T3(℃)=15000/(12−log10([%Cu]×[%S]))−473・・・式6
    なお、上記式中の[%Cu]はCuの質量%での含有量であり、[%S]はSの質量%での含有量である。
  7. 前記熱延工程の鋼片加熱温度を下記式7記載のT4(℃)以下かつ下記式8記載のT5(℃)以上とし、熱間圧延した後、熱延板の巻取温度を下記式9記載のT6(℃)以下に制御することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
    T4(℃)=15000/(6−log10([%Mn]×[%O]))−273・・・式7
    T5(℃)=14900/(8−log10([%Mn]×[%S]))−473・・・式8
    T6(℃)=14900/(8−log10([%Mn]×[%S]))−573・・・式9
    なお、上記式中の[%Mn]はMnの質量%での含有量であり、[%O]はOの質量%での含有量であり、[%S]はSの質量%での含有量である。
  8. 前記熱延工程と前記酸洗工程との間に、前記熱延鋼板を焼鈍する熱延板焼鈍工程を備えることを特徴とする請求項5〜請求項7の何れか一項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
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