JPH05263190A - 加工性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

加工性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法

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JPH05263190A
JPH05263190A JP3341215A JP34121591A JPH05263190A JP H05263190 A JPH05263190 A JP H05263190A JP 3341215 A JP3341215 A JP 3341215A JP 34121591 A JP34121591 A JP 34121591A JP H05263190 A JPH05263190 A JP H05263190A
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直樹 吉永
Kosaku Shioda
浩作 潮田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は極低炭素鋼に従来固溶体強化元素と
して余り用いられていないMn,Crを添加してこれら
を有効に活用し、更にTi,Nbを含有せしめた極低炭
素冷延鋼板であって、加工性に優れると共に塗装焼付時
の焼付硬化量やメッキの密着性が良好な熱延鋼板および
その製造方法を提供する。 【構成】 重量%で、C:0.0003〜0.01、Si:0.005
〜1.0 %、Mn:0.2 〜3.0 %、Cr:0.01〜3.0 %、
かつMn+Cr≧0.5 となるようにし、P:0.001 〜0.
12、S:0.001 〜0.015 、Al:0.005 〜0.10、さら
に、Ti:0.003 〜0.10およびNb:0.005 〜0.10の一
種または二種であって、Ti=T.Ti−3.42Nの時
2 ≦(Ti+0.52Nb)/C≦20になるように含有
し、残部Feおよび不可避不純物からなる加工性に優れ
た高強度熱延鋼板であり、該鋼板はAr3 −100 ℃以上
で仕上熱延し、750 ℃以下の温度で巻取って製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は降伏比(YR)が低く、
延性(El)が高い加工性に優れた高強度熱延鋼板およ
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱延鋼板の強度を上昇するために、従来
多くの試みが成されている。特に引張り強さが35〜5
0kgf/mm2 を有する鋼板の場合には、Si,Mn,Cr
あるいはPなどを添加し、強度増加を図ってきた。一
方、最近の技術進歩により極低炭素鋼の溶製が容易とな
り、これをベースにTiやNbを添加して加工性を確保
する技術が多数発表されている。
【0003】例えば特開昭60−197847号公報に
は、Mn,Si,Pを特定した極低炭素鋼にNbおよび
Bを所定の量添加し、さらに熱延条件によって組織をフ
ェライト相と低温変態相の複合組織とした非時効性、低
降伏比の高加工性熱延鋼板が開示されている。すなわち
NbとBを添加し熱延条件により複合組織とするが、複
合組織鋼は製造条件によって材質がばらつき易くなると
いう問題がある。
【0004】また、特開昭60−149730号公報に
は、C≦0.08%、Si:0.1〜1.0%、Mn:
0.5〜1.4%、さらにCr,Niを添加して引張り
強度:35〜50kgf/mm2 で、伸びフランジ性、2次加
工性に優れた熱延鋼板の製造方法が開示されている。し
かしこの公報に開示された鋼は、実施例の記述から明か
のように何れもYR(降伏比)が高い材料であり、従っ
て加工品の形状凍結性の問題がある。また、高価なNi
を使用する問題もある。
【0005】更に、特開平2−1758386号公報に
は、極低炭素鋼にMnを0.05〜3.5%、Tiを
N,Sと一部または全部のCを固定するに必要な量添加
することで高延性、低YPで2次加工性に優れ、材質に
均一性にも優れた絞り加工用熱延鋼板が開示されてい
る。この鋼板は超深絞り性を要求される部品に使用され
るもので、実施例にも示されているようにTSが30kg
f/mm2 以下と低く、高強度鋼板は対象となっていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】自動車の用部品や容器
などに使用される望ましい高強度熱延鋼板は、降伏強度
はそれほど高くなく、低降伏比であって延性に優れ、か
つ著しく加工硬化し、塗装焼付硬化能を合わせ持つ鋼板
である。勿論、加工時に降伏点伸びが小さく、かつ2次
加工性にも優れる必要がある。しかし上記各公報に開示
された熱延鋼板にはこの様な諸特性を具備したものは見
当たらない。
【0007】本発明は、極低炭素鋼に従来固溶体強化元
素として余り用いられていないMn,Crを添加してこ
れらを有効に活用し、更にTi,Nbを含有せしめた加
工性に優れた高強度熱延鋼板であって、30〜60kgf/
mm2 の引張り強さ(TS)を保持しながら、降伏強度
(YP)を13〜36kgf/mm2 、降伏比(YR=YP/
TS)を0.60以下の低YRとし、伸び(T.El)
が33%以上で、また加工時あるいは加工後の衝撃に因
る割れ発生がない2次加工性に優れ、かつ塗装焼付時の
焼付硬化量(BH)が2〜8kgf/mm2 、低歪域での加工
硬化能の指標であるWH量(2%変形応力−降伏強度)
が4kgf/mm2 以上であって、防錆のために施すメッキの
密着性が極めて良好な特性を具備する熱延鋼板およびそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【発明が解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は以下の構成を要旨とする。即ち重量で、 C :0.0003〜0.01%、 Si:0.005〜1.0%、 Mn:0.2〜3.0%、 Cr:0.01〜3.0%、 かつ、Mn+Crを0.5%以上となるようにし、 P :0.001〜0.12%、 S :0.001〜0.015%、 Al:0.005〜0.10%、 さらに、 Ti:0.003〜0.10%および Nb:0.003〜0.10%の一種または二種であっ
て、 Ti=T.Ti−3.42Nの時2≦(Ti+0.
52Nb)/C≦20になるように含有し、残部Feお
よび不可避不純物からなることを特徴とする加工性に優
れた高強度熱延鋼板であり、また、上記成分よりなる鋼
スラブを、Ar3 −100℃以上の仕上温度で熱間圧延
した後、750℃以下の温度で巻取ることを特徴とする
加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法である。
【0009】
【作用】本発明者らは、30〜60kgf/mm2 級のTSを
もち、加工性の優れた熱延鋼板を得るのに、加工性が良
好となるTiやNbを単独および複合添加した極低炭素
鋼をベースにして鋭意研究をし、以下に述べるような新
知見を得た。
【0010】第1に、上記ベース鋼に、代表的な固溶体
強化元素であるSi,P,Mn,Crを添加し、熱延後
の引張特性、特に降伏挙動と加工硬化現象を詳細に調査
した。その結果、従来から固溶体強化元素として多用さ
れているSi,Pは、a)まず微量の添加で著しく降伏
強度を上昇させること、b)その結果低歪域での加工硬
化率が著しく減少することが判明した。
【0011】一方、従来固溶体強化元素としてあまり用
いられないMn,Crを添加すると、a)降伏強度は殆
ど上昇せず、b)引張強度が上昇する、c)その結果、
低歪域での加工硬化率がむしろこれらの添加により増加
するという、極めて重要な新知見を得た。これらの機構
についても検討を加えた結果、a)降伏強度はFe元素
と添加したX元素との原子半径の差で決定され、原子半
径の差が大きいほど増加する、b)加工硬化率は転位の
すべり挙動と深く関係し、X元素の添加により積層欠陥
エネルギーが低下すると、転位の交差すべりが困難とな
り加工硬化率が増加するという基本原理を構築した。こ
れによれば、Si,PはFeより著しく原子半径が小さ
く、従って原子半径差が大きくなるので降伏強度が著し
く上昇し、Mn,Crは原子半径がFeのそれと極めて
近いので殆ど降伏強度を変化させなかったものと理解で
きる。一方、積層欠陥エネルギーへの影響に関しては必
ずしも明瞭でないが、初期加工硬化後の転位構造の観察
結果から、Si,Pは調査した添加量の範囲内で殆ど積
層欠陥エネルギーに影響を与えないが、Mn,Crはこ
れを低下させる傾向のあることが、始めて明らかとなっ
た。
【0012】以上の機構により、Mn,Crを添加する
と降伏強度は殆ど変化せず、加工硬化率が増加して引張
強度が上昇したものと考える。このような特徴的な挙動
は、上述した本発明の目的、すなわち低YPでかつ高W
Hの特性を達成するためには、従来のSi,Pの添加だ
けでは困難であり、Mn,Crの添加が必須となること
を意味する。従って、本発明ではMn,Crの積極的な
活用を従来技術の問題点の基本的な解決手段とした。た
だし、Mn,Crの添加だけでは、所望の強度が得られ
ない場合が発生したり、製造コストが上昇したりするの
で、Si,P添加との併用も考える。
【0013】第2に本発明者らは、Mn,Crの積極的
な添加により塗装焼付硬化性も向上するという新知見も
得た。本発明では、加工性を確保するためにTiやNb
を単独および複合添加した極低炭素鋼をベースにする
が、この場合には一般的にCやNがTiやNbに固定さ
れるので焼付硬化能が無いか、あっても僅かである。こ
れは、C,NとTi,Nbとの親和力が非常に強いの
で、優れた加工性が得られるように原子%で(Ti+N
b)量を(C+N)量より多くした場合には、固溶(C
+N)が残存し難いためである。しかし、このような場
合でもMn,Crを積極的に添加することによりBH性
が付与できたという新しい事実は、TiCやNbCの溶
解度積に変化の生じたことを示唆している。すなわち、
Mn,CrはCと引力の相互作用を有するため、TiC
やNbCと平衡するマトリックス中の固溶Cをより安定
化し、これらの析出物の溶解度積を増大させる結果、残
存する固溶C量を増加させBH性を向上させたものと考
える。従って、Mn,Crの添加は塗装焼付硬化性を付
与するための新しい手段としても活用できる。
【0014】また、塗装焼付性に寄与する固溶Cは、B
と同様に結晶粒界を強化するので、極低炭素鋼の欠点と
して知られている2次加工脆化の防止手段としても有効
である。また、2次加工脆化は粒界偏析したPの存在に
より助長されることは良く知られているが、Mn,Cr
はPと引力の相互作用があり、偏析するP量を低減する
ので、2次加工脆化の防止にも有効であるという知見も
得られた。
【0015】自動車の車体などの防錆化が進む今日、表
面処理鋼板化の動向は著しい。鋼板の表面処理法は、電
気メッキと溶融メッキに大別される。前者は、一般的に
鋼板の種類を問わずメッキ密着性は良好であるが、厚目
付けが困難で、コスト高となる問題がある。一方、後者
は前者の欠点はないが、鋼板の種類によっては、メッキ
密着性が劣化したり、Fe−Znの合金化反応が大きく
影響されたりする。本発明者らは、従来鋼において強化
元素として多用されているSi,Pの添加量を抑制し、
Mn,Crを活用する本発明鋼が、とくにゼンジマー方
式の連続溶融亜鉛メッキプロセスによる合金化溶融亜鉛
メッキ鋼板の製造において、次のような長所を有する新
知見も得た。すなわち、Si,PはZnとFeの合金化
反応を抑制するため、これらの元素を多量に含む鋼板を
製造するときには、ラインスピードを減少させ生産性を
低下せざるをえなかった。また、Siの添加はメッキ密
着性を劣化し、プレス成形時に種々の問題を生じた。一
方、Mn,Crの添加は、このような悪影響を持たない
ことが判明した。機構は必ずしも明らかでないが、a)
表面に偏析するMnが還元後に残る酸化物の種類と形態
を変え、メッキ密着性を改善したり、b)MnやCrが
Pとの相互作用を通して粒界偏析するP量を低減し、合
金化反応を正常にしたりする役割があるものと推察され
る。この点も、従来法の問題点の解決手段として活用し
た。
【0016】本発明は、この様な思想と新知見に基づい
て構築されたものである。
【0017】以下に、本発明において成分および特性値
を上述のように限定した理由についてさらに説明する。 C量:Cは成品の材質特性を決定する極めて重要な元素
である。本発明は真空脱ガス処理をした極低炭素鋼を前
提とするが、Cが0.0003%未満になると粒界強度
が低下し、2次加工脆性が発生し、かつ製造コストが著
しく増加する。一方、C量が0.01%超になると強度
は上昇するが、成形性が著しく低下するので、その範囲
を0.0003%〜0.01%とする。
【0018】Si量:Siは、添加量を多くするとYP
が上昇し過ぎて加工時に形状凍結不良が発生する。更に
化成処理性や溶融亜鉛メッキの密着性の低下、合金反応
の遅延による生産性の低下などの問題が発生する。従っ
てその上限を1.0%とした。
【0019】Mn量:Mnは、降伏強度をあまり上昇さ
せず強度を増加させる有効な固溶体強化元素であり、か
つ焼付硬化能を付与したり、2次加工脆性を防止した
り、化成処理性や溶融亜鉛メッキ性を改善する効果も有
するので、本発明では積極的に添加する。しかし余り多
量に添加すると、降伏強度が著しく増加したり延性が低
下したりするので、その上限を3.0%とする。Mn量
が0.2%を下回るとその硬化はわずかであるので下限
を0.2%とする。
【0020】Cr量:CrもMnも同様、降伏強度を殆
ど上昇させず強度を増加させる有効な元素であり、かつ
焼付硬化能を付与したり、2次加工脆性を防止したりす
るので、本発明では積極的に利用する。しかしCrが多
くなると熱延板の酸洗性が低下したり、製品板の化成処
理性が劣化したりするので、上限を3%とする。上記し
たMnとCrは同様の機能目的で添加するが、これらの
元素による適切な諸特性をうるためにはMn+Crを
0.5%以上とすることが好ましい。
【0021】P量:Pは安価に強度を上昇する元素とし
て知られており、従来の固溶体強化した高強度鋼板にお
いては多用されている。しかし添加量が0.12%超に
なると、たとえ本発明のようにMn,Crを積極的に添
加しても、a)降伏強度が上昇しすぎて加工時に形状凍
結不良を引き起こしたり、b)2次加工脆化が生じたり
する。また、c)連続溶融亜鉛メッキ時に合金化反応が
極めて遅くなり、生産性が低下する。従って、その上限
値を0.12%とする。下限を0.001%とするのは
製鋼技術上の観点からである。
【0022】S量:Sは低い方が好ましいが、0.00
1%未満になると製造コストが上昇するので、これを下
限値とする。一方、0.015%超になるとMnSやT
iSなどの硫化物が数多く析出し、加工性が劣化するの
で、これを上限値とする。
【0023】Al量:Alは脱酸調整に使用するが、
0.005%未満ではTiの添加歩留が低下する。一
方、0.1%超になるとコスト上昇を招く。
【0024】Ti,Nb量:Ti,Nbは、C,Nの一
部あるいは全部をTiC,TiN,あるいはNb(C
N)として固定することにより、極低炭素鋼の加工性と
非時効性を確保する役割を有する。そのためにTi
T.Ti−3.42Nとしたときに、2≦(Ti
0.52Nb)/C≦20とする事が好ましい。その
際、各元素の含有範囲は0.003〜0.15%とする
のがよく、0.003%未満ではその添加効果が現れ
ず、一方、0.1%以上となると著しい合金コストの上
昇を招くからである。
【0025】なお、N量は特に規定しないが低い方が好
ましい。その量が多くなると過剰のTiやAlの添加が
必要になったり、加工性が劣化したりするので、0.0
060%以下とする。また本発明においてBは、必要に
応じて添加してもよく、この際Nが事前に固定されてい
る場合には結晶粒界に偏析し、2次加工脆化の防止に有
効である。しかし0.0001%未満では、その効果が
不充分であり、0.0030%超になると添加コストの
上昇やスラブ割れの原因となるので添加する場合はこの
範囲とするのがよい。
【0026】本発明は以上のような成分構成の高強度熱
延鋼板であるが、更に以下の方法で製造することが好ま
しい。すなわち、通常の方法で製造したスラブを熱延す
るに際し、その仕上温度を、成品板の加工性を確保する
という観点からAr3 −100℃以上とし、また、巻き
取り温度を室温から750℃とするのがよい。熱延仕上
温度がAr3 −100℃を下回ると加工組織が残存し易
くなり、本発明鋼の特徴である良好な加工性を損なうこ
とになる。一方、本発明はその成品材質が熱延巻き取り
温度の影響をあまり受けないという特徴を有する。これ
は、NがTiNとして固定された極低炭素鋼であるとい
うことに加え、MnやCrなどをかなり添加しており熱
延板の組織が均一化していることも一因と考えられる。
巻き取り温度で750℃を上限目標としたのは、コイル
両端部での材質劣化に起因する歩留減少を防止する観点
からである。
【0027】さらに本鋼では、仕上圧延後の冷却速度を
変化させることによって、強度レベルを変化させること
も容易に行うことができる。本発明においては、Mn、
Crを積極的に添加しており、熱延後の冷却速度を速く
することによって低温変態生成物が形成されることによ
るものと考えられる。
【0028】この様にして本発明によれば、30〜60
kgf/mm2 の引張り強さ(TS)を有し、降伏強度(Y
P)を13〜36kgf/mm2 、降伏比(YR=YP/T
S)を0.60以下の低YRとし、伸び(T.El)が
33%以上で、また加工時あるいは加工後の衝撃に因る
割れ発生がない2次加工性に優れ、かつ塗装焼付時の焼
付硬化量(BH)が2〜8kgf/mm2 、低歪域での加工硬
化能の指標であるWH量(2%変形応力−降伏応力)が
4kgf/mm2 以上であって、防錆のために施すメッキの密
着性が極めて良好な特性を具備する熱延鋼板をうること
ができる。
【0029】
【実施例1】表1に示す組成を有する鋼を溶製し、スラ
ブ加熱温度1150℃、仕上温度910℃、巻き取り温
度を650℃で熱延圧延し、1.4mm厚の鋼板とした。
この熱延鋼板よりJIS5号引張試験片を採取し引張試
験に供した。各種機械的試験結果を表2に示す。
【0030】ここで、BH量は2%予歪材に170℃×
20分の塗装焼付相当の熱処理を施してから再度引張試
験を行った場合の応力の上昇量(再引張試験時の下降伏
応力から2%変形応力を差し引いた値)である。また、
2次加工脆性遷移温度は、調質圧延をした鋼板から直径
50mmのブランクを打抜きついで直径33mmのポンチで
カップ成形し、これに種々の温度で落重試験を施した場
合の延性−脆性遷移温度である。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】表2から明らかなように、本発明鋼は、比
較鋼の同レベルの引張強度(TS)を有する高強度鋼板
と比較して降伏強度(YP)が低く降伏比(YR)も低
い。また伸び(El)が高く、かつBH性や2次加工性
にも優れている。
【0034】
【実施例2】表1の種々の鋼を実施例1と同様にして板
厚1.4mmの熱延鋼板を製造した。これを加熱速度10
℃/sで最高加熱温度600℃まで加熱してから約10
℃/sで冷却し、460℃で慣用の溶融亜鉛メッキを行
い(浴中Al濃度:0.10%)、さらに加熱して52
0℃で20s間合金化処理後約10℃/sで室温まで冷
却した。得られた合金化亜鉛メッキ鋼板についてのメッ
キ密着性(パウダリング性)およびメッキ皮膜中のFe
濃度を測定した。これらの結果を表3に示す。ここでメ
ッキ密着性は180°密着曲げを行い、亜鉛皮膜の剥離
状況を曲げ加工部にセロテープを接着した後、これを剥
してテープに付着した剥離メッキ量から判定した。評価
は次の5段階とした。 1:剥離大,2:剥離中,3:剥離小,4:剥離微量,
5:剥離無し また、メッキ相中のFe濃度は、X線回折よって求め
た。
【表3】
【0035】表3から明らかなように本発明鋼は、従来
の比較鋼と比べてメッキ密着性が良好であり、合金層中
のFe濃度も望ましい相と考えられているδ1 相のそれ
に相当する量となっている。
【0036】
【実施例3】表1の試料EおよびFをスラブ加熱温度1
150℃、仕上温度910℃で熱間圧延を行い、1.4
mmの板厚とし、仕上圧延後の冷却温度を10〜60℃/
sまで変化させ、650℃で巻取った。この熱延鋼板よ
りJIS5号試験片を採取して引張試験に供した。各種
機械的性質を表4に示す。なお、各特性の評価は実施例
1と同様にして行った。
【0037】
【表4】
【0038】表4から明らかなように、比較鋼において
は、仕上熱延後の冷却速度よる強度変化は殆どないのに
対して、本発明鋼では、大きく強度を変化させることが
でき、かつ降伏強度や降伏比が低く、BH、WHが高
く、更に2次加工性にも優れている。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば従来にない加工性に優れた高強度熱延鋼板が、
低コストの製造法によって得られる。また、本発明の鋼
板は、BH性や2次加工性に優れ自動車のメンバー・フ
レームや容器カバー類等に広範囲に使用することができ
る。
【手続補正書】
【提出日】平成4年11月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】本発明は、極低炭素鋼に従来固溶体強化元
素として余り用いられていないMn,Crを添加してこ
れらを有効に活用し、更にTi,Nbを含有せしめた加
工性に優れた高強度熱延鋼板であって、30〜60kgf/
mm2 の引張り強さ(TS)を保持しながら、降伏強度
(YP)を13〜36kgf/mm2 、降伏比(YR=YP/
TS)を0.60以下の低YRとし、伸び(T.El)
が33%以上で、また加工時あるいは加工後の衝撃に因
る割れ発生がない2次加工性に優れ、かつ必要に応じて
2〜8kgf/mm2 の塗装焼付硬化性を付与することがで
き、低歪域での加工硬化能の指標であるWH量(2%変
形応力−降伏強度)が4kgf/mm2 以上であって、防錆の
ために施すメッキの密着性が極めて良好な特性を具備す
る熱延鋼板およびその製造方法を提供することを目的と
する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】Ti,Nb量:Ti,Nbは、C,Nの一
部あるいは全部をTiC,TiN,あるいはNb(C
N)として固定することにより、極低炭素鋼の加工性と
非時効性を確保する役割を有する。そのためにTi
T.Ti−3.42Nとしたときに、2≦(Ti
0.52Nb)/C≦20とする事が好ましい。その
際、各元素の含有範囲は0.003〜0.10%とする
のがよく、0.003%未満ではその添加効果が現れ
ず、一方、0.1%以上となると著しい合金コストの上
昇を招くからである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】この様にして本発明によれば、30〜60
kgf/mm2 の引張り強さ(TS)を有し、降伏強度(Y
P)を13〜36kgf/mm2 、降伏比(YR=YP/T
S)を0.60以下の低YRとし、伸び(T.El)が
33%以上で、また加工時あるいは加工後の衝撃に因る
割れ発生がない2次加工性に優れ、かつ必要に応じて2
〜8kgf/mm2 の塗装焼付硬化性を付与することができ、
低歪域での加工硬化能の指標であるWH量(2%変形応
力−降伏応力)が4kgf/mm2 以上であって、防錆のため
に施すメッキの密着性が極めて良好な特性を具備する熱
延鋼板をうることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】
【表2】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量で C :0.0003〜0.01%、 Si:0.005〜1.0%、 Mn:0.2〜3.0%、 Cr:0.01〜3.0%、 かつ、Mn+Crを0.5%以上となるようにし、 P :0.001〜0.12%、 S :0.001〜0.015%、 Al:0.005〜0.10%、 さらに、 Ti:0.003〜0.10%および Nb:0.003〜0.10%の一種または二種であっ
    て、 Ti=T.Ti−3.42Nの時2≦(Ti+0.
    52Nb)/C≦20になるように含有し、残部Feお
    よび不可避不純物からなることを特徴とする加工性に優
    れた高強度熱延鋼板。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の熱延鋼板において、さら
    に0.0001〜0.0030重量%のBを含有させた
    ことを特徴とする加工性に優れた高強度熱延鋼板。
  3. 【請求項3】 重量で C :0.0003〜0.01%、 Si:0.005〜1.0%、 Mn:0.2〜3.0%、 Cr:0.01〜3.0%、 かつ、Mn+Crを0.5%以上となるようにし、 P :0.001〜0.12%、 S :0.001〜0.015%、 Al:0.005〜0.10%、 さらに、 Ti:0.003〜0.10%および Nb:0.003〜0.10%の一種または二種であっ
    て、 Ti=T.Ti−3.42Nの時2≦(Ti+0.
    52Nb)/C≦20になるように含有し、残部Feお
    よび不可避不純物からなるスラブを、Ar3 −100℃
    以上の仕上温度で熱間圧延した後、750℃以下の温度
    で巻取ることを特徴とする加工性に優れた高強度熱延鋼
    板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の熱延鋼板を製造するスラ
    ブにおいて、さらに0.0001〜0.0030重量%
    のBを含有させたことを特徴とする加工性に優れた高強
    度熱延鋼板の製造方法。
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