JP2007291382A - アニオン界面活性剤含有粉粒体の輸送・貯蔵方法および製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、アニオン界面活性剤を30質量%以上含有し、かつ嵩密度が0.4〜1.0kg/Lのアニオン界面活性剤含有粉粒体を、底面積0.5〜3.0m2、高さ0.5〜3.0mのフレキシブルコンテナに収納し、当該フレキシブルコンテナを、該フレキシブルコンテナに収納されたアニオン界面活性剤含有粉粒体に対して3〜30kPaの圧力をかけながら、30℃以上の温度条件下で2日間以上保管することを特徴とするアニオン界面活性剤含有粉粒体の輸送・貯蔵方法および製造方法である。
【選択図】なし
Description
前記コンテナ等に収納されたアニオン界面活性剤含有粉粒体は、輸送・貯蔵の間に固化しやすく、そのため、前記コンテナからアニオン界面活性剤含有粉粒体を取り出して使用する際に、塊状の固化物を崩してから用いなければならない等の問題がある。
特に、フレキシブルコンテナは変形可能な袋状を有しているため、該フレキシブルコンテナに収納されたアニオン界面活性剤含有粉粒体は、輸送・貯蔵の際に種々の方向から圧力を受けやすく、固化が起こりやすいものである。
なお、洗剤の長期保存時の固化性が改善される技術として、洗剤の嵩密度と、容器内壁面と洗剤粒子との静摩擦係数と、洗剤が充填された容器底部の圧密係数が規定された紙容器入り高嵩密度洗剤が提案されている(特許文献1参照)。
また、前記第一の態様においては、前記フレキシブルコンテナに保管中のアニオン界面活性剤含有粉粒体層の相対湿度を60%以下とすることが好ましい。
(A)アニオン界面活性剤 30〜95質量%、
(B)表面改質剤 68質量%以下、
(C)水分 10質量%以下。
また、前記第二の態様においては、前記フレキシブルコンテナに保管中のアニオン界面活性剤含有粉粒体層の相対湿度を60%以下とすることが好ましい。
本発明の第一の態様のアニオン界面活性剤を30質量%以上含有し、かつ嵩密度が0.4〜1.0kg/Lのアニオン界面活性剤含有粉粒体を、底面積0.5〜3.0m2、高さ0.5〜3.0mのフレキシブルコンテナに収納し、当該フレキシブルコンテナを、該フレキシブルコンテナに収納されたアニオン界面活性剤含有粉粒体に対して3〜30kPaの圧力をかけながら、30℃以上の温度条件下で2日間以上保管する方法である。
本発明において、前記フレキシブルコンテナに収納する前のアニオン界面活性剤含有粉粒体は、アニオン界面活性剤を30質量%以上含有し、かつ嵩密度が0.4〜1.0kg/Lのものである。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において「アニオン界面活性剤含有粉粒体」とは、アニオン界面活性剤を必須成分として含有し、必要に応じて表面改質剤等の任意成分、水等を含有する粒子であり、当該粒子中に配合されている界面活性剤成分の中でアニオン界面活性剤の含有量が最も多い粒子を意味する(ただし、アニオン界面活性剤以外の界面活性剤と等量(アニオン界面活性剤と、アニオン界面活性剤以外の界面活性剤との混合割合が質量比で50/50)の場合を含む)。よって、当該粒子中に配合されている全界面活性剤中でアニオン界面活性剤の含有量が最も多ければ、粒子中にはノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等のアニオン界面活性剤以外の界面活性剤を配合することができる。
なお、本明細書および特許請求の範囲における「表面改質剤」には、たとえばアニオン界面活性剤以外の界面活性剤、洗浄ビルダー(無機ビルダー、有機ビルダー)等が含まれるものとする。
(1)炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖もしくは分岐鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS又はABS)。
(2)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩。
(3)炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
(4)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩(AS)。
(5)炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均0.5〜10モルのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドから選ばれる1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加したアルキルエーテル硫酸塩又はアルケニルエーテル硫酸塩(AES)。
(6)炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖状のアルキルフェニル基もしくはアルケニルフェニル基を有し、平均3〜30モルのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドから選ばれる1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加したアルキルフェニルエーテル硫酸塩又はアルケニルフェニルエーテル硫酸塩。
(7)炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均0.5〜10モルのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドから選ばれる1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加したアルキルエーテルカルボン酸塩又はアルケニルエーテルカルボン酸塩。
(8)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸等のアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
(9)炭素数8〜20の飽和又は不飽和α−スルホ脂肪酸塩又はそのメチル、エチルもしくはプロピルエステル(α−SF又はMES)。
(10)長鎖モノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(11)ポリオキシエチレンモノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(12)炭素数10〜20の高級脂肪酸塩(石鹸)。
本発明において、アニオン界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)のアルカリ金属塩、α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、α−スルホ脂肪酸エステル塩(α−SF)、アルキル硫酸塩(AS)、石鹸が好ましい。特にα−スルホ脂肪酸エステル塩(α−SF)がより好ましい。
これらのアニオン界面活性剤は、1種または2種以上混合して用いることができる。
表面改質剤としては、例えば、前記アニオン界面活性剤以外の界面活性剤、洗浄ビルダー(無機ビルダー、有機ビルダー)等が好適なものとして挙げられる。
前記アニオン界面活性剤以外の界面活性剤としては、上述したようにノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。それらのアニオン界面活性剤以外の界面活性剤は、従来から洗剤に使用されているものであれば、特に限定されることなく、各種のものを使用することができる。
(1)炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均3〜30モル、好ましくは平均5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル。中でも、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテルがより好適である。
ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールが挙げられ、第1級アルコールが好ましい。また、そのアルキル基は分岐鎖を有していてもよい。
(2)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル。
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキシドが付加した、例えば下記一般式(I)で表される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
[式中、R1COは、炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪酸残基を示し;OAは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等の炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキレンオキシドの付加単位を示し;nはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示し、一般に3〜30、好ましくは5〜20である。R2は炭素数1〜3の置換基を有してもよい低級アルキル基を示す。]
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂脂酸エステル。
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル。
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油。
(8)グリセリン脂肪酸エステル。
(9)脂肪酸アルカノールアミド。
(10)ポリオキシエチレンアルキルアミン。
(11)アルキルグリコシド。
(12)アルキルアミンオキサイド。
これらのノニオン界面活性剤は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(1)例えば下記一般式(II)で表されるジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(式中、R3及びR4は、通常、炭素数が12〜26、好ましくは14〜18のアルキル基をそれぞれ示す。R5及びR6は、通常、炭素数が1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基;ベンジル基;通常、炭素数が2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基、又はポリオキシアルキレン基をそれぞれ示す。Xは、ハロゲン原子、CH3SO4、C2H5SO4、(1/2)SO4、OH、HSO4、CH3CO2又はCH3−C6H4−SO3を示す。)
また、Xであるハロゲン原子の具体例としては、塩素原子や臭素原子等が挙げられる。
(式中、R7は、通常、炭素数が12〜26、好ましくは14〜18のアルキル基を示す。R8、R9及びR10は、通常、炭素数が1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基;ベンジル基;通常、炭素数が2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基、又はポリオキシアルキレン基をそれぞれ示す。Xは、ハロゲン原子、CH3SO4、C2H5SO4、(1/2)SO4、OH、HSO4、CH3CO2又はCH3−C6H4−SO3を示す。)
また、Xであるハロゲン原子の具体例としては、塩素原子や臭素原子等が挙げられる。
(式中、R11、R12、R13及びR14は、通常、炭素数が1〜4、好ましくは1〜3のアルキル基;ベンジル基;通常、炭素数が2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基、又はポリオキシアルキレン基をそれぞれ示す。Xは、ハロゲン原子、CH3SO4、C2H5SO4、(1/2)SO4、OH、HSO4、CH3CO2又はCH3−C6H4−SO3を示す。)
(式中、R15、R16及びR17は、通常、炭素数が12〜26、好ましくは14〜18のアルキル基をそれぞれ示す。R18は、通常、炭素数が1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基;ベンジル基;通常、炭素数が2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基又はポリオキシアルキレン基を示す。Xは、ハロゲン原子、CH3SO4、C2H5SO4、(1/2)SO4、OH、HSO4、CH3CO2又はCH3−C6H4−SO3を示す。)
これらのカチオン界面活性剤は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(1)ベタイン類
ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ステアリン酸アミドエチルベタイン、カルボベタイン、スルホベタイン等。
(2)イミダゾリン誘導体類
2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等。
(3)リン酸塩型
レシチン(ホスファチジルコリン等)等。
これらの両性界面活性剤は、1種または2種以上混合して用いることができる。
なお、本発明は上記界面活性剤に限定されるものではない。
また、アニオン界面活性剤含有粉粒体中のアニオン界面活性剤と、アニオン界面活性剤以外の他の界面活性剤との混合割合は、質量比で100/0〜50/50であることが好ましく、より好ましくは100/0〜70/30である。該範囲であることにより、商品価値上、好適なアニオン界面活性剤の有効成分量が含まれる。
[式中、Mはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、x1、y1及びw1は各成分のモル数を示し、一般的には、x1は0.7〜1.5、y1は0.8〜6の数、w1は任意の正数を示す。]
[式中、Mはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、x2、y2及びw2は各成分のモル数を示し、一般的には、x2は0.7〜1.2、y2は1.6〜2.8、w2は0又は任意の正数を示す。]
[式中、Mはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、x3、y3、z3及びw3は各成分のモル数を示し、一般的には、x3は0.2〜1.1、y3は0.2〜4.0、z3は0.001〜0.8、w3は0又は任意の正数を示す。]
これらの有機ビルダーの中では、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体が好ましい。
洗浄ビルダーの含有量は、充分な洗浄性を付与する点から、アニオン界面活性剤含有粉粒体中、好ましくは10〜65質量%であり、特に好ましくは20〜50質量%である。
ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体、ビス(スルホスチリル)ビフェニル塩[チノパールCBS]等。
(2)帯電防止剤
ジアルキル型4級アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤等。
(3)再汚染防止剤
カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等。
(4)増量剤
硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩酸ナトリウム等。
(5)還元剤
亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等。
(6)香料。
(7)染料、顔料等。
その水分含有量は、アニオン界面活性剤含有粉粒体中、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましい。該水分含有量は低いほど、本発明の効果の点から好ましく、実質的には0.1質量%以上である。
アニオン界面活性剤含有粉粒体中の水分含有量は、カールフィッシャ法により測定することができる。
該範囲の下限値以上であることにより、本発明の効果が得られるとともに、アニオン界面活性剤含有粉粒体の輸送効率が向上する。一方、上限値以下であることにより、アニオン界面活性剤含有粉粒体の固化の防止効果が向上する。また、アニオン界面活性剤含有粉粒体の溶媒(水)への溶解性が向上する。
なお、ここでいう「嵩密度」とは、前記フレキシブルコンテナに収納する前のアニオン界面活性剤含有粉粒体の嵩密度を示す。また、嵩密度は、JIS K3362試験法に準拠して測定することができる。
さらに、アニオン界面活性剤含有粉粒体の流動性は、好ましくは、安息角として60°以下であり、より好ましくは50°以下である。安息角が60°以下であれば、アニオン界面活性剤含有粉粒体(粒子)の取扱性が向上する。
なお、安息角は、筒井理化学器械(株)製のターンテーブル形安息角測定器等を用いることにより測定することができる。
本発明においては、底面積0.5〜3.0m2、高さ0.5〜3.0mのフレキシブルコンテナが用いられる。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において「フレキシブルコンテナ」とは、その形状が自由に変形可能な袋状のものをいう。その材質としては、特に限定されず、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、麻布、綿布等が挙げられ、中でも防湿性の観点から、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。
上記材質の厚みは、強度及び自由に変形が可能な点から、0.1〜3mmが好ましく、0.2〜2mmがより好ましい。
フレキシブルコンテナの底面積は0.5〜3.0m2を有するものであり、好ましくは0.6〜2.5m2を有し、より好ましくは0.7〜2.0m2を有するものである。該範囲の下限値以上であることにより、本発明の効果が得られるとともに、アニオン界面活性剤含有粉粒体の輸送効率が向上する。一方、上限値以下であることにより、ハンドリング性が向上する。
フレキシブルコンテナの高さは0.5〜3.0mを有するものであり、好ましくは0.6〜2.0mを有し、より好ましくは0.7〜1.5mを有するものである。該範囲の下限値以上であることにより、本発明の効果が得られるとともに、アニオン界面活性剤含有粉粒体の輸送効率が向上する。一方、上限値以下であることにより、ハンドリング性が向上する。
フレキシブルコンテナの内容積としては、輸送、保管などでの取り扱い安さ、経済性の点から0.25〜5m3が好ましく、0.5〜3m3が更に好ましい。
また、フレキシブルコンテナの透湿度としては0〜30(g/m2/24h)が好ましい。該範囲であることにより、フレキシブルコンテナ内の気密性が向上する。
内袋の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等が挙げられ、中でもポリエチレンが好ましい。
内袋の厚さとしては0.01〜0.2mmが好ましい。
内袋の透湿度としては0〜10(g/m2/24h)が好ましい。
商品名:モリコンSWBL−60−002(底面積0.950m2、高さ0.60m;透湿度30g/m2/24h)等が挙げられる。
また、(株)サインテック製の商品名:フレキシブルコンテナバックST08(底面積2.25m2、高さ1.35m;透湿度50g/m2/24h)等も挙げられる。
本発明にかかるアニオン界面活性剤含有粉粒体の輸送・貯蔵方法は、前記アニオン界面活性剤含有粉粒体を前記フレキシブルコンテナに収納し、当該フレキシブルコンテナを、該フレキシブルコンテナに収納されたアニオン界面活性剤含有粉粒体に対して3〜30kPaの圧力をかけながら、30℃以上の温度条件下で2日間以上保管する方法である。
また、該圧力の大きさが前記範囲であれば、アニオン界面活性剤含有粉粒体が収納されたフレキシブルコンテナを、複数(好ましくは2〜4段)積み重ねることができる。
例えば、フレキシブルコンテナを積み重ねた(2段)場合、下側のフレキシブルコンテナ1に収納されたアニオン界面活性剤含有粉粒体にかかる圧力は、上側のフレキシブルコンテナから加わる圧力となる。
また、フレキシブルコンテナ1の周囲に同様のフレキシブルコンテナが接しながら配置されている場合、フレキシブルコンテナ1に収納されたアニオン界面活性剤含有粉粒体にかかる圧力は、その周囲に配置されているフレキシブルコンテナから加わる全体の圧力となる。
また、フレキシブルコンテナが積み重ねられる(2段)と共に、周囲にも配置されている場合、上記それぞれの場合にフレキシブルコンテナ1に収納されたアニオン界面活性剤含有粉粒体に加わる圧力を足し合わせた圧力となる。
アニオン界面活性剤含有粉粒体に加わる圧力[Pa]=f/a
f[N]:物体が当該フレキシブルコンテナに加えている力。ただし、f≧1000[N
]である。
a[m2]:物体が当該フレキシブルコンテナに接触している面積。
例えば、アニオン界面活性剤含有粉粒体が収納されたフレキシブルコンテナの上に同様のフレキシブルコンテナを配置する場合は、上側のフレキシブルコンテナの質量(例えば、アニオン界面活性剤含有粉粒体の収納量等)を調整したり、アニオン界面活性剤含有粉粒体が収納されたフレキシブルコンテナの上におもり等を載せる場合は、該おもり等の質量を調整したり、あるいはおもりの代わりに、所定の底面積を有する加圧アーム等を用いて油圧や空気圧によってフレキシブルコンテナ上部から圧力を加えたり、また、アニオン界面活性剤含有粉粒体が収納されたフレキシブルコンテナの周囲に同様のフレキシブルコンテナを配置する場合は、該フレキシブルコンテナどうしの接し方等を調整したりすること等によって圧力の大きさを制御することができる。
なお、アニオン界面活性剤含有粉粒体に加わる圧力は、上記式に示す計算法により算出する。
該相対湿度を60%以下とすることにより本発明の効果が向上する。また、アニオン界面活性剤含有粉粒体の著しい固化を防止することができる。
かかる相対湿度の測定は、例えば湿度計を、保管期間の終了時点のフレキシブルコンテナに収納されたアニオン界面活性剤含有粉粒体層の内部に、湿度計のセンサー部がアニオン界面活性剤含有粉粒体と直接、接触しないように、センサー部を透湿性の保護紙等により被覆し、アニオン界面活性剤含有粉粒体層の表面から一定の深さ(好ましくは50〜200mm)まで差し込み、一定時間(好ましくは5〜10分)静置後の値を測定することにより求めることができる。
フレキシブルコンテナ内のアニオン界面活性剤含有粉粒体層の相対湿度は、一例として以下のように測定する。すなわち、保管後のフレキシブルコンテナの上部を開封し、温湿度計(神栄(株)製、商品名:デジタル温湿度計 MODEL TRH−CA)のセンサー部(センサー部はアニオン界面活性剤含有粉粒体が直接接触しないように、(株)クレシア製キムワイプ(商品名:ワイパーS−200)を2重に重ねたもので覆う)を粉体層の表面から70mmの深さまで差し込み、5分静置後、相対湿度を測定する。
なお、保管期間中は、アニオン界面活性剤含有粉粒体が収納されたフレキシブルコンテナ内は密閉系であるため、アニオン界面活性剤含有粉粒体層の表面から一定の深さの地点の相対湿度は、フレキシブルコンテナ内全体の相対湿度が均一になる(アニオン界面活性剤含有粉粒体層とその表面の空間とが平衡状態に達する)までは増加し、その後飽和すると考えられる。したがって、保管期間の終了時点の相対湿度を平衡相対湿度として測定することができる。
本発明の第二の態様のアニオン界面活性剤含有粉粒体の製造方法は、下記(A)〜(C)成分を含有し、かつ嵩密度が0.4〜1.0kg/Lのアニオン界面活性剤含有粉粒体を調製する工程と、前記アニオン界面活性剤含有粉粒体を調製する工程により調製されるアニオン界面活性剤含有粉粒体を、底面積0.5〜3.0m2、高さ0.5〜3.0mのフレキシブルコンテナに収納し、当該フレキシブルコンテナを、該フレキシブルコンテナに収納されたアニオン界面活性剤含有粉粒体に対して3〜30kPaの圧力をかけながら、30℃以上の温度条件下で2日間以上保管する工程を含む方法である。
(A)アニオン界面活性剤 30〜95質量%、
(B)表面改質剤 68質量%以下、
(C)水分 10質量%以下。
また、本発明においては、前記フレキシブルコンテナに保管中のアニオン界面活性剤含有粉粒体層の相対湿度を60%以下とすることが好ましい。
以下、アニオン界面活性剤含有粉粒体を調製する工程、アニオン界面活性剤含有粉粒体が収納されたフレキシブルコンテナを保管する工程(<フレキシブルコンテナを保管する工程>と略記する。)について説明する。
本工程においては、前記(A)〜(C)成分を含有し、かつ嵩密度が0.4〜1.0kg/Lのアニオン界面活性剤含有粉粒体を調製する。
当該アニオン界面活性剤含有粉粒体の調製方法は、特に限定されるものではなく、たとえば以下の工程を含む調製方法が、好適な方法として挙げられる。
(1)アニオン界面活性剤含有水性ペーストを濃縮する工程。
(2)中和塩型のアニオン界面活性剤を造粒する工程。
(3)アニオン界面活性剤の酸前駆体をドライ中和して造粒する工程。
中でも、アニオン界面活性剤含有粉粒体中のアニオン界面活性剤の含有量を高める観点から、(1)アニオン界面活性剤含有水性ペーストを濃縮する工程を含む調製方法がより好ましい。
アニオン界面活性剤含有水性ペーストを濃縮する方法としては、アニオン界面活性剤を含有した水性ペーストを濃縮するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、(1−1)フラッシュ濃縮法、(1−2)薄膜濃縮法、(1−3)撹拌濃縮法等が挙げられる。
前記(A)成分の含有量は、アニオン界面活性剤含有水性ペースト中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、実質的には95質量%以下である。
また、水分の含有量は、アニオン界面活性剤含有水性ペースト中、好ましくは5〜95質量%、より好ましくは10〜80質量%である。
また、アニオン界面活性剤含有水性ペーストの粘度は、好ましくは1000Pa・s以下であり、好ましくは0.001〜800Pa・sであり、より好ましくは0.01〜500Pa・sである。
なお、ここでいう「粘度」とは、
(1)0.1Pa・s未満の場合はB8L型粘度計(商品名、(株)トキメック製)、
(2)0.1〜10Pa・sの場合はB8H型粘度計(商品名、(株)トキメック製)、
(3)10Pa・sを超える場合はRS75 RheoStress(商品名、HAAKE社製)を用いることにより測定することができる。
フラッシュ濃縮法は、アニオン界面活性剤含有水性ペーストを、高蒸気圧空間から低蒸気圧空間へ、絞りを通して放出することにより、低蒸気圧空間側で沸騰状態を生じさせてアニオン界面活性剤含有水性ペーストを濃縮する方法である。
絞りを介して隔てた空間において蒸気圧差を生じさせる手段としては、アニオン界面活性剤含有水性ペーストを加熱して高蒸気圧空間を創り出す手段(この場合、低蒸気圧空間の温度は、高蒸気圧空間のアニオン界面活性剤含有水性ペーストより低くなる。)、絞りとして背圧弁等を設け、高蒸気圧空間側の圧力を低蒸気圧側よりも高くする手段等が挙げられる。
フラッシュ濃縮する場合は、1度フラッシュ濃縮したアニオン界面活性剤含有水性ペーストを複数回リサイクルしてフラッシュ濃縮することも好適である。
フラッシュ濃縮機としては、LTC低温濃縮装置(商品名、(株)佐久間製作所製)、NSEバブレス(商品名、日曹エンジニアリング(株)製)等が挙げられる。
薄膜濃縮法は、円筒内壁やプレート、ベルト等の表面に、アニオン界面活性剤含有水性ペーストの薄膜(0.1〜50mm程度)を形成させることにより、アニオン界面活性剤含有水性ペーストの比表面積(気相及び伝熱面との接触面積)を増大させて濃縮する方法である。
この場合、円筒壁面やプレート、ベルト等を加熱したり、気相を減圧したりして蒸発効率を高める手法が一般に行われる。更に、円筒内壁にアニオン界面活性剤含有水性ペーストの薄膜を形成させる場合は、円筒内部を回転するブレードにより薄膜の気相及び伝熱面接触部を更新させつつ濃縮する手法も組み合わせることにより、より効率的に濃縮することができる。また、容器内部に気流を通し、蒸発効率を高める手法も好適である。
薄膜濃縮装置としては、エクセバ(商品名、(株)神鋼環境ソリューション製)、コントロ(商品名、(株)日立製作所製)、ベルマックス(商品名、(株)大川原製作所製)、CDドライヤー(商品名、(株)西村鐵工所)、ドラムドライヤー(商品名、中川化学装置(株)製)等が挙げられる。
撹拌濃縮法は、容器内に充填(充填率5〜70容量%程度)されたアニオン界面活性剤含有水性ペーストを、容器内部に設けられた撹拌羽根により撹拌し、気相及び伝熱面との接触頻度を高め、濃縮する方法である。
この場合、容器にジャケットを設けて容器を加熱したり、容器内部を減圧したりして蒸発効率を高める手法が一般に行われる。また、容器内部に気流を通し、蒸発効率を高める手法も好適である。
撹拌濃縮装置としては、プローシェアーミキサ(商品名、大平洋機工(株)製)、ナウタミキサ真空・耐圧型(商品名、ホソカワミクロン(株)製)、ソリッドエアー(商品名、ホソカワミクロン(株)製)、サーモプロセッサ(商品名、ホソカワミクロン(株)製)、SCプロセッサ(商品名、(株)栗本鐵工所製)、サイクロンドライヤー(商品名、(株)オカドラ製)、サイクロン真空ドライヤー(商品名、(株)オカドラ製)等が挙げられる。
かかる濃縮物中の水分の含有量は、該濃縮物中、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下である。該水分の含有量は低いほど好ましく、実質的には0.1質量%以上である。
中和塩型のアニオン界面活性剤を造粒する方法としては、例えば、
(2−1)原料粉末及びバインダー成分(界面活性剤、水、液体高分子成分等)を捏和・混練した後、押し出して造粒する押し出し造粒法、
(2−2)原料粉末及びバインダー成分を捏和・混練した後、得られた固形洗剤を破砕して造粒する捏和・破砕造粒法、
(2−3)原料粉末にバインダー成分を添加し撹拌羽根で撹拌して造粒する撹拌造粒法、
(2−4)原料粉末を転動させつつバインダー成分を噴霧して造粒する転動造粒法、
(2−5)原料粉末を流動化させつつ、液体バインダーを噴霧し造粒する流動層造粒法等が挙げられる。
以下に、それぞれの造粒方法で粒状洗剤を製造する方法、製造装置、条件等について説明する。なお、前記原料粉末は、各成分の原料粉末をそれぞれ直接造粒操作に供してもよいし、各成分の原料粉末を界面活性剤、水、液体高分子成分等と共にスラリー様に溶解させた後に噴霧乾燥し、乾燥粉として造粒操作に供してもよい。
押し出し造粒法では、任意の型式の混練・押し出し機を使用することができ、また、任意の型式の混練機及び押し出し機を組み合わせて使用してもよい。
混練・押し出し機としては、例えば、エクストルード・オー・ミックス(商品名、ホソカワミクロン(株)製)、2軸混練押出機(商品名、(株)栗本鐵工所製)等が挙げられる。
また、混練機としては、KRCニーダー(商品名、(株)栗本鐵工所製)、万能混合撹拌機(商品名、(株)ダルトン製)、ナウタミキサ(商品名、ホソカワミクロン(株)製)等が挙げられる。
押し出し機としては、ツイン・ドームグラン(商品名、不二パウダル(株)製)、ペレッターダブル(商品名、不二パウダル(株)製)、ファイン・リューザー(商品名、不二パウダル(株)製)等が挙げられる。
捏和・破砕造粒法では、任意の型式の混練機及び破砕機を組み合わせて、場合によっては任意の型式の混練機、押し出し機及び破砕機を組み合わせて使用することができる。
混練機としては、KRCニーダー(商品名、(株)栗本鐵工所製)、連続ニーダー(商品名、不二パウダル(株)製)、連続式捏和機(商品名、(株)パウレック製)、万能混合撹拌機((株)ダルトン製)、ナウターミキサー(商品名、ホソカワミクロン(株)製)等が挙げられる。
これらの混練機によって得られた混練物は、そのまま破砕してもよいが、破砕しやすくするために、押し出し機でペレット状にすることによって、より破砕効率を上げることができる。この押し出し機には、ペレッターダブル(商品名、不二パウダル(株)製)、ツインドームグラン(商品名、不二パウダル(株)製)、ファインリューザー(商品名、不二パウダル(株)製)等が挙げられる。
混練と押し出しを同時に行う混練押し出し機として、エクストルード・オー・ミックス(商品名、ホソカワミクロン(株)製)、2軸混練押出機(商品名、(株)栗本鐵工所製)等を用いることも可能である。
さらに、粉砕するときに、粉砕助剤を用いることによって効率的に粉砕することができる。この粉砕助剤としては、平均粒子径30μm以下の無機粉体が好ましく、例えばA型ゼオライト、微粉の炭酸ナトリウム、ホワイトカーボン等が用いられ、その量は粉砕する成分100質量部に対して0.5〜15質量部であることが好ましく、2〜10質量部であることがさらに好ましい。
また、粉砕機内に冷風を流して冷却しながら粉砕することもできる。冷風と粉砕品をサイクロンで分級し、その時、微粉を分級することも可能である。好ましくは、多段粉砕することで、より粒度分布がシャープになる。粉砕機のブレードの先端周速度としては、15〜90m/sであることが好ましく、より好ましくは20〜80m/sであり、さらに好ましくは25〜70m/sである。先端周速度が15m/s以上であると粉砕能力がより高まって生産性が向上し、一方、90m/s以下であると過粉砕が抑制される。
撹拌造粒法では、任意の型式の撹拌造粒装置を使用することができる。その中でも、撹拌羽根を備えた撹拌軸を内部の中心に有し、撹拌羽根が回転する際に、撹拌羽根と器壁との間にクリアランスを形成する構造であることが好ましい。
クリアランスは1〜30mmであることが好ましく、3〜10mmであることがより好ましい。クリアランスが1mm以上であると、付着層が形成しにくくなって混合機が過動力とはなりにくい。30mm以下であると、圧密化の効率がより高まるため、狭い粒度分布が得られやすく、また、造粒時間が短くなり生産性が向上する。
この様な構造を有する撹拌造粒機としては、例えばヘンシェルミキサー(商品名、三井三池化工機(株)製)、ハイスピードミキサー(商品名、深江工業(株)製)、バーチカルグラニュレーター(商品名、(株)パウレック製)等の装置が挙げられる。特に好ましくは、横型の混合槽で円筒の中心に撹拌軸を有し、この軸に撹拌羽根を取り付けて粉末の混合を行う形式のミキサーであり、例えばレディゲミキサー(商品名、(株)マツボー製)、ブロシェアミキサー(商品名、大平洋機工(株)製)が挙げられる。
撹拌造粒法においては、下記式で定義されるフルード数は1〜16であることが好ましく、2〜9であることがより好ましい。フルード数が1以上であると、圧密化が促進する。一方、16以下であると、狭い粒度分布が得られやすくなる。
Fr=V2/(R×g)
V:撹拌羽根の先端の周速(m/s)。
R:撹拌羽根の回転半径(m)。
g:重力加速度(m/s2)。
撹拌造粒法において、使用される撹拌造粒機には、造粒物の圧密化促進及び粗粉解砕促進のために高速で回転するチョッパーが装備されている。
チョッパーの回転速度としては、チョッパー先端速度(周速)で20〜30m/sであることが好ましく、22〜28m/sであることがより好ましい。
撹拌造粒法において、好適な造粒物を得るための回分式の造粒における造粒時間及び連続式の造粒における平均滞留時間は、0.5〜20分であることが好ましく、3〜10分であることがより好ましい。前記造粒時間(平均滞留時間)が0.5分以上であると、好適な平均粒子径及び嵩密度を得るための造粒制御が容易となり、狭い粒度分布が得られやすくなる。一方、20分以下であると、時間的にも生産性が向上する。
撹拌造粒法において、洗剤原料の造粒機への充填率(仕込み量)としては、混合機の全内容積の70容量%以下であることが好ましく、15〜40容量%であることがより好ましい。前記充填率(仕込み量)が70容量%以下であると、混合機内での洗剤原料の混合効率が向上し、好適に造粒を行うことができる。
転動造粒法では、任意の型式の転動造粒装置を使用することができる。その中でも、ドラム状の円筒が回転して処理するものが好ましく、特に任意の形状の邪魔板を装備しているものが好ましい。
ドラム型造粒機としては、水平円筒型造粒機の他にも日本粉体技術協会編、造粒ハンドブック第一版第1刷記載の円錐ドラム型造粒機、多段円錐ドラム型造粒機、撹拌羽根付ドラム型造粒機等が挙げられる。
回分式における高嵩密度化の処理時間又は連続式における以下の式で定義される平均滞留時間は、5〜120分、好ましくは10〜90分、特に好ましくは10〜40分である。前記平均滞留時間が5分以上であると嵩密度を充分に上昇でき、120分以下であると生産性の向上又は洗剤造粒物粒子の崩壊が抑制される。
Tm=(m/Q)×60
Tm:平均滞留時間(s)。
m:容器回転型混合機内の洗剤造粒物滞留量(kg)。
Q:連続運転における能力(kg/hr)。
下記式で定義されるフルード数としては、0.01〜0.8、好ましくは0.05〜0.7、より好ましくは0.1〜0.65となる条件を選択するのが好ましい。フルード数が0.01以上であると、均一で、かつ高嵩密度の洗剤粒子が得られやすくなり、一方、0.8以下であると、たとえばドラム型混合機であると、洗剤造粒物粒子の飛散が防止され、正常な剪断混合を安定に行うことができる。
Fr=V’2/(R’×g)
V’:容器回転型混合機最外周の周速(m/s)。
R’:容器回転型混合機最外周の回転中心からの半径(m)。
g:重力加速度(m/s2)。
下記式で定義される容積充填率が、15〜50%、好ましくは20〜45%、より好ましくは25〜40%となる条件を選択することが好ましい。前記容積充填率が15%以上であると生産性が向上する。一方、50%以下であると、良好な剪断混合を安定に行うことができる。
容積充填率(X)=(M/ρ)/V”×100
M:容器回転型混合機への洗剤造粒物粒子の仕込量(g)。
ρ:洗剤造粒物粒子の嵩密度(g/L)。
V”:容器回転型混合機の容積(L)。
流動層造粒法では、流動層本体、整流板、送風機、吸気フィルター、エアヒーター及びクーラー、スプレー装置、集塵装置、送風機等で構成された任意の型式の流動層造粒装置を使用することができる。例えば、日本粉体技術協会編、造粒ハンドブック第一版第1刷記載の回分式流動層造粒装置(トップスプレー式、サイドスプレー式、ボトムスプレー式等)、噴流流動層造粒装置、半連続式流動層造粒装置(分散板反転排出式、下部排出式、側壁排出式等)、連続式流動層造粒装置(横型多室型、円筒型等)等が好適に利用できる。
上記装置の具体的な例としては、回分式流動層造粒装置のGlatt−POWREXシリーズ(商品名、(株)パウレックス製)、フローコーターシリーズ(商品名、(株)大川原製作所製)、連続式流動層造粒装置のMIXGRADシリーズ(商品名、(株)大川原製作所製)等が挙げられる。
アニオン界面活性剤の酸前駆体をドライ中和して造粒する方法では、アニオン界面活性剤の酸前駆体とアルカリ性無機粉体を接触・混合させながら中和し、造粒する必要があるが、基本的には(2)中和塩型のアニオン界面活性剤を造粒する方法で用いられる造粒方法が同様に好適に利用される。具体的方法、装置、条件等は前述した通りである。
また、中和剤としてのアルカリ性粉体としては特に限定されるものではないが、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩、アルカリ金属燐酸塩等が挙げられる。
アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム・カリウム等が挙げられる。
アルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、層状珪酸ナトリウム等が挙げられる。
アルカリ金属燐酸塩としては、トリポリ燐酸ナトリウム、ピロ燐酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの中でもアルカリ金属炭酸塩が好ましく、その中でも特に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム・カリウムが好ましい。
これらの中和剤は、1種または2種以上混合して用いることができる。
分級装置としては、公知のいかなる分級装置も用いることができ、特に篩が好適に利用できる。中でも、ジャイロ式篩、平面篩、振動篩が好適である。
ジャイロ式篩は、僅かに傾斜した平面篩に対し、水平な円運動を与える篩である。
平面篩は、僅かに傾斜した平面篩に、面にほぼ平行に往復運動を与える篩である。
振動篩は、篩面にほぼ直角方向に急速な振動を与える篩である。
篩に供する時間は5秒以上とすることが好ましく、また、ふるい効率を向上させるためにはタッピングボールを用いることも好ましい。
このような篩の具体例としては、ジャイロシフター(商品名、(株)徳寿工作所製)、ローテックススクリーナー(商品名、(株)セイシン企業製)、ダルトン振動ふるい(商品名、(株)ダルトン製)等が挙げられる。
篩による振動は、好適には60〜3000回/分であり、好ましくは100〜2500回/分であり、さらに好ましくは150〜2000回/分の振動で与えられる。篩の振動数が60回/分以上であると分級効果が向上する。一方、3000回/分以下であると発塵が抑制される。
当該(A)〜(C)成分、アニオン界面活性剤含有粉粒体の嵩密度については、前記≪アニオン界面活性剤含有粉粒体の輸送・貯蔵方法≫に記載のものと同様であり、共通する構成については説明を省略する。
この表面改質剤は、捏和・破砕造粒法でアニオン界面活性剤含有粉粒体を調製する際に、粉砕助剤として働き、効率よく粉砕、造粒できるようにする効果も有する。また、撹拌造粒法でアニオン界面活性剤含有粉粒体を調製する際にも、造粒の効率を高める効果がある。
具体的には、ゼオライト(前記一般式(VI)〜(VIII)で表されるアルミノ珪酸塩など)、シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、粘土鉱物(ベントナイト、タルク、ヘクトライト等)などが挙げられ、洗浄性能がより向上することから、ゼオライト、炭酸ナトリウムが特に好ましい。これらの表面改質剤は、1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
表面改質剤の含有量は、アニオン界面活性剤含有粉粒体中のアニオン界面活性剤濃度を高める観点から、アニオン界面活性剤含有粉粒体中、68質量%以下であり、好ましくは30質量%以下、特に好ましくは15質量%以下である。
(A)成分であるアニオン界面活性剤の含有量は、アニオン界面活性剤含有粉粒体中、30〜95質量%であり、50〜95質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましい。
(B)成分である表面改質剤の含有量は、アニオン界面活性剤含有粉粒体中、68質量%以下であり、0.2〜50質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、1〜15質量%であることがさらに好ましい。
(C)成分である水分の含有量は、フレキシブルコンテナで保管中のアニオン界面活性剤含有粉粒体の過度の固化を防ぐ観点、及びフレキシブルコンテナ保管後のアニオン界面活性剤含有粉粒体を一時的にホッパ等で保管する際の固化を防ぐ観点から、アニオン界面活性剤含有粉粒体中、10質量%以下であり、好ましくは8質量%以下である。ただし、原料から持込まれる水分を考慮するとアニオン界面活性剤含有粉粒体中の水分は実質的には0.1質量%以上となる。
本工程においては、前記工程により調製されるアニオン界面活性剤含有粉粒体を、底面積0.5〜3.0m2、高さ0.5〜3.0mのフレキシブルコンテナに収納し、当該フレキシブルコンテナを、該フレキシブルコンテナに収納されたアニオン界面活性剤含有粉粒体に対して3〜30kPaの圧力をかけながら、30℃以上の温度条件下で2日間以上保管する。該保管する工程を含むことにより、フレキシブルコンテナに収納した際の固化の防止効果に優れたアニオン界面活性剤含有粉粒体を得ることができる。
かかる保管する工程は、例えば、工場内においてアニオン界面活性剤含有粉粒体の調製後の一連の工程に含まれていてもよく、アニオン界面活性剤含有粉粒体を調製した場所から他の場所へ輸送する際に該工程が含まれていてもよい。
フレキシブルコンテナに収納されたアニオン界面活性剤含有粉粒体を輸送・貯蔵する際、アニオン界面活性剤含有粉粒体の固化を防止するために、一般的には、なるべくアニオン界面活性剤含有粉粒体に圧力がかからないように保管することが考えられる。しかしながら、この方法では、アニオン界面活性剤含有粉粒体の一時保管時の固化を充分に防止することはできない。
これに対し、本発明においては、アニオン界面活性剤含有粉粒体に、従来はむしろアニオン界面活性剤含有粉粒体の固化が促進されると考えられていた圧力を、特定の範囲で積極的に加えることにより、フレキシブルコンテナ内で、当該フレキシブルコンテナから排出可能な緩やかな固化を生じせしめ、その後、理由は明らかではないが、アニオン界面活性剤含有粉粒体の一時保管時の固化の防止効果が得られる。
また、本発明により、フレキシブルコンテナに収納されて保管されたアニオン界面活性剤含有粉粒体を工場設備内でハンドリング等の処理をする際、該アニオン界面活性剤含有粉粒体をフレキシブルコンテナから一時的にホッパー等に移す場合において、そのホッパー等の中で生じやすいアニオン界面活性剤含有粉粒体どうしがブリッジ等する一時保管時の固化の防止効果が得られる。
また、本発明は、アニオン界面活性剤含有粉粒体を海外や国内で生産し、その生産場所から他の場所への輸送の際に有効な方法である。中でも、鉄道や船舶による輸送の際に特に好ましい方法である。
下記アニオン界面活性剤含有粉粒体A〜Dを用いた。アニオン界面活性剤含有粉粒体A〜Cは、下記方法によりそれぞれ製造した。アニオン界面活性剤含有粉粒体A〜Dの組成を表1に示す。なお、嵩密度は、JIS K3362試験法に準拠して測定した。
(濃縮工程)
α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩(α−SF−Na)含有ペーストを、回転数1060rpmで、羽根先端速度が約11m/secで回転している真空薄膜蒸発機エクセバ(伝熱面:0.5m2、内径:205mm、伝熱面と羽根先端とのクリアランス:3mm;神鋼パンテック(株)製)に、50kg/hrで導入し、内壁加熱温度130℃、真空度0.007MPaにて濃縮を行った。得られた濃縮品の温度は100℃であり、濃縮品の水分含有量は2.5質量%であった。
次いで、この濃縮品を、ドラムフレーカー((株)楠木機械製作所製)を用いて、20〜30℃まで冷却することにより高濃度α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有フレークを得た。
前記濃縮工程で得られた高濃度α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有フレーク90質量%と、ゼオライト10質量%とを、2段直列に配列したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、商品名:DKA−3型、1段目スクリーン径8mmφ、2段目スクリーン径3.5mmφ、ブレード回転数1段目4700rpm、2段目2820rpm)に、除湿(露点:−5℃)された15℃の冷風(風量:6Nm3/min)と共に導入し、処理速度200kg/hrで粉砕して、アニオン界面活性剤濃度80質量%、嵩密度0.65kg/L、平均粒子径450μmのアニオン界面活性剤含有粉粒体Aを得た。
(洗剤粒子の造粒)
表1に示す(B)組成のうち、ノニオン界面活性剤、3.0質量%相当量の粉砕助剤用及び0.5質量%相当量の表面被覆用のA型ゼオライト、色素及び香料を除く成分を、水に溶解もしくは分散させて水分含有量38質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度300℃の条件で噴霧乾燥て水分含有量3質量%の噴霧乾燥粒子を得た。
この噴霧乾燥粒子をノニオン界面活性剤及び水と共に連続ニーダー((株)栗本鐵工所製、商品名:KRC−S4型)を用いて捏和能力120kg/h、温度60℃の条件で捏和して不定形捏和物を得た。
この不定形捏和物を、穴径10mmのダイスを装備したペレッターダブル(不二パウダル(株)製、商品名:EXDFJS−100型)を用いて押し出し、付属のカッターで切断(カッター周速は5m/s)し、長さ5〜30mm程度のペレット状固形物を得た。
最後に、この粉砕物と0.5質量%相当量の微粉A型ゼオライトを水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)内で、充填率30容量%、回転数22rpm、25℃の条件で、加え、1分間混合した。この混合操作により表面改質して、アニオン界面活性剤粉粒体を得た。
このアニオン界面活性剤含有粉粒体を水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)を用いて、充填率30容量%、回転数22rpm、25℃の条件で、混合しつつ、0.16質量%相当量の香料を噴霧してアニオン界面活性剤含有粉粒体に賦香した。
上記の賦香したアニオン界面活性剤含有粉粒体の一部を着色するために、当該粉粒体粒子をベルトコンベアで0.5m/sの速度で移送しつつ(ベルトコンベア上の当該粉粒体粒子層高30mm、層幅300mm)その表面に青色色素溶液を噴霧した。以上の操作により表1に示す組成のアニオン界面活性剤含有粉粒体B(アニオン界面活性剤濃度40.4質量%、平均粒子径480μm、嵩密度0.78g/mL)を得た。
(流動層によるドライ中和)
表1に示す(C)組成に示した量の炭酸カリウム及び微粉炭酸ナトリウムを含む粉体原料(コーティング剤は除く)を、流動層((株)パウレックス製、商品名:Glatt−POWREX、型番FD−WRT−20)に、静置時の粉体層厚が200mmになる質量を添加した。その後、20℃の風(空気)を流動層内に送り、粉体が流動化したことを確認した後に、α−SF−Hを流動化している粉体層に向け、上部より噴霧した。
流動層内風速は、流動化状態を確認しながら0.2〜2.0m/sの範囲で調整しながら造粒操作を行った。
α−SF−Hは、60℃で噴霧を行った。また、噴霧するためのノズルは、噴霧角度70°の2流体ホローコーンノズルを使用した。噴霧速度は約500g/minで行った。
α−SF−Hの噴霧終了後、さらに20℃の風(空気)を流動層内に送り、240秒間熟成を行い、造粒物を得た。これにより、α−SF−H(α−スルホ脂肪酸アルキルエステル)をα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩(Na,K)とした。
さらに、流動層より得られた造粒物を排出し、転動ドラム(直径0.6m、長さ0.48m、厚さ1mm×幅12cm×長さ48cmの邪魔板4枚付き、回転数20rpm)内でゼオライト4.5質量%相当量をコーティングし、コーティングされた粒子を得た。
その後、上記のコーティングされた粒子に、過酸化水素水溶液を転動ドラム(直径0.6m、長さ0.48m、厚さ1mm×幅12cm×長さ48cmの邪魔板4枚付き、回転数20rpm)内で噴霧した。流動性改善のために、さらにゼオライト5.0質量%相当量をコーティングして、表1に示す組成のアニオン界面活性剤含有粉粒体C(アニオン界面活性剤濃度37.7質量%、平均粒子径490μm、嵩密度0.41g/mL)を得た。
アニオン界面活性剤含有粉粒体Dとして、ラウリル硫酸エステルナトリウム(ライオン(株)製、商品名:サンノールLM−1100NT、アニオン界面活性剤濃度(純分)95質量%、平均粒子径1230μm、嵩密度0.481kg/L、水分含有量1.6質量%)を用いた。
・α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩(α−SF−Na)含有ペースト及びα−SF−H。
α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩(α−SF−Na)含有ペーストは、以下の成分を含有し、下記製造方法によって得られるペーストである。
炭素数16〜18(C16−18)のアルキル鎖を持つα−スルホ脂肪酸ナトリウム:65.6質量%、水:25.8質量%、メチルサルフェート:2.7質量%、硫酸ナトリウム:1.1質量%、α−スルホ脂肪酸ナトリウムのジ塩体:2.7質量%、メタノール:1.1質量%、未反応メチルエステル:1.0質量%。
薄膜式反応装置(単管式、内径=10mm、リアクター長さ=2.5m)により、原料化合物としてミリスチン酸メチル(ライオン(株)製、商品名:パステルM−16)と、パルミチン酸メチル(ライオン(株)製、商品名:パステルM−18)を、質量比で6:4で混合した脂肪酸メチルエステルを用いた。
SO3ガス系設備としては液体SO3を用い、希釈ガスとしては窒素ガスを用いて8体積%SO3含有不活性ガスとし、反応モル比(SO3/メチルエステル)=1.2で、ガス吸収反応を薄膜式反応装置で行った。気液分離後、80℃、60分間の熟成反応を行い、反応率=97%のスルホン酸(α−SF−H)を得た。
次いで、スルホン酸に対してメタノール20質量%と、スルホン酸に対して過酸化水素純分として2質量%となるように過酸化水素水(35質量%濃度)を添加し、均一混合後、80℃、180分間の漂白反応を行った。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液により中和反応を行い、47質量%濃度(界面活性剤濃度)の中和物を得た。そして、該中和物をリサイクルフラッシュ濃縮処理することにより、メタノール(後工程で精留により再利用)と水を該中和物より蒸発させ、65.6質量%濃度(界面活性剤濃度)の濃縮中和物のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩(α−SF−Na)含有ペーストを得た。
得られたペーストの色調(5質量%エタノール溶液を40mm光路長、No.42ブルーフィルターを用いてクレット光電光度計により測定)は30であった。
・LAS−K:アルキルベンゼンスルホン酸カリウム(ライオン(株)、ライポンLH−200(商品名)のカリウム塩)。
・AS−Na:ラウリル硫酸エステルナトリウム(ライオン(株)製、商品名:サンノールLM−1100NT)。
・石鹸:C12〜C18の脂肪酸ナトリウム(純分67質量%、タイター40〜45℃、分子量289)。
・アクリル酸/マレイン酸コポリマー塩:アクアリックTL−400(商品名、日本触媒(株)製)(純分40質量%水溶液)。
・ゼオライト:A型ゼオライト(水澤化学(株)製、商品名:シルトンB、嵩密度0.30kg/L)。
・硫酸ナトリウム:α−SF−Naの製造時に副次的に生成したもの。
・重質炭酸ナトリウム:粒灰(商品名、旭硝子(株)製)。
・微粉炭酸ナトリウム:粒灰(商品名、旭硝子(株)製)を平均粒子径30μmに粉砕したもの。
・炭酸カリウム:炭酸カリウム(粉末)(商品名、旭硝子(株)製)。
・亜硫酸ナトリウム:無水亜硫酸曹達(商品名、神州化学(株)製)。
・珪酸ナトリウム:JIS1号珪酸ナトリウム(商品名、日本化学工業(株)製)(純分45質量%水溶液)。
・蛍光剤:チノパールCBS−X(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)。
・色素:青色色素溶液(群青)35質量%溶液(大日精化(株)製)。
*BB:BBはベンジルベンゾエートを示す。
なお、上記に列挙した香料成分の質量%は、香料組成物中の質量%を示す。
上記により得られたアニオン界面活性剤含有粉粒体A〜Dを用いて、以下に示す各例の保管(輸送・貯蔵方法および製造方法)を実施した。
表2〜4に示したアニオン界面活性剤含有粉粒体650kgを、フレキシブルコンテナ(森下化学工業(株)製、商品名:モリコンSWBN−110−039(底面積0.950m2、高さ1.10mの円柱型;透湿度10g/m2/24h))に、温度35℃、相対湿度50%に調整した環境下で収納した。
次いで、表2〜4に示した質量のおもりを、アニオン界面活性剤含有粉粒体が収納された前記フレキシブルコンテナ上部に配置し、表2〜4に示した条件下で、それぞれ保管した。
おもりの調製方法:アニオン界面活性剤含有粉粒体の充填に用いたフレキシブルコンテナと同様のフレキシブルコンテナに直径1mmφの鉛球を充填した。ただし、1袋に充填した鉛球の重量は1000kgまでとした。おもりの重さが1000kg以上必要な場合は、1000kgを超える分の鉛球は別のフレキシブルコンテナに充填し、それらを積み重ねておもりとして使用した。
表3に示したアニオン界面活性剤含有粉粒体350kgを、厚さ0.1mmのポリエチレン製の内袋(透湿度8g/m2/24h、)を装着したフレキシブルコンテナ(森下化学工業(株)製、商品名:モリコンSWBL−60−002(底面積0.950m2、高さ0.60mの円柱型;透湿度30g/m2/24h)に、温度35℃、相対湿度50%に調整した環境下で収納した。
次いで、表3に示した質量のおもり(おもりの調製は実施例1と同様にして行った)をアニオン界面活性剤含有粉粒体が収納された前記フレキシブルコンテナ上部に配置し、表3に示した条件下で保管した。
表3に示したアニオン界面活性剤含有粉粒体1900kgを、厚さ0.1mmのポリエチレン製の内袋(透湿度8g/m2/24h)を装着したフレキシブルコンテナ((株)サインテック製、商品名:フレキシブルコンテナバックST08(底面積2.25m2、高さ1.35mの円柱型;透湿度50g/m2/24h)に、温度35℃、相対湿度50%に調整した環境下で収納した。
次いで、表3に示した質量のおもり(おもりの調製は実施例1と同様にして行った)を、アニオン界面活性剤含有粉粒体が収納された前記フレキシブルコンテナ上部に配置し、表3に示した条件下で保管した。
表4に示したアニオン界面活性剤含有粉粒体650kgを、フレキシブルコンテナ(森下化学工業(株)製、商品名:モリコンSWBN−110−040(底面積0.950m2、高さ1.10mの円柱型;透湿度50g/m2/24h))に、温度35℃、相対湿度50%に調整した環境下で収納した。
次いで、表4に示した質量のおもり(おもりの調製は実施例1と同様に行った)を、アニオン界面活性剤含有粉粒体が収納された前記フレキシブルコンテナ上部に配置し、表4に示した条件下で保管した。
上記により得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有粉粒体650kgを、厚さ5mmのステンレス(SUS316L製)板で作製した1m3容器(容器内部寸法:縦1m×横1m×深さ1m)に、温度35℃、相対湿度50%に調整した環境下で収納し、表4に示した条件下で保管した。
各例のアニオン界面活性剤含有粉粒体に対する圧力は、アニオン界面活性剤含有粉粒体が収納されたフレキシブルコンテナ上部に配置されたおもり(直径1mmφの鉛球が充填されたフレキシブルコンテナ)の質量をm[kg]、当該おもり(直径1mmφの鉛球が充填されたフレキシブルコンテナ)の底面積をa[m2]とした場合、下記式で算出することができる。なお、式中の「9.80665」は重力加速度(m/s2)の値である。
アニオン界面活性剤含有粉粒体に加わる圧力[Pa]=(9.80665×m)/a
各例において、アニオン界面活性剤含有粉粒体の水分含有量、アニオン界面活性剤含有粉粒体の保管後の平均粒子径、フレキシブルコンテナ内のアニオン界面活性剤含有粉粒体層の相対湿度を、下記方法によりそれぞれ測定した。
カールフィッシャー水分計(京都電子工業(株)製、モデル:MKC−210、Method:2、撹拌速度:4)により求めた。サンプル量は約0.3gとした。
フレキシブルコンテナ保管後のアニオン界面活性剤含有粉粒体に対して、目開き1680μm、1410μm、1190μm、1000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、149μmの9段の篩と、受け皿を用いて分級操作を行った。
分級操作は、受け皿に、目開きの小さな篩から目開きの大きな篩を順に積み重ね、最上部の1680μmの篩の上から100g/回のベースサンプルを入れ、蓋をしてロータップ型ふるい振盪機((株)飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収する操作を行った。
この操作を繰り返すことによって、1410〜1680μm(1410μmより大きい粒子径のサンプルが篩上に残留)、1190〜1410μm(1190μmより大きい粒子径のサンプルが篩上に残留)、1000〜1190μm(1000μmより大きい粒子径のサンプルが篩上に残留)、710〜1000μm(710μmより大きい粒子径のサンプルが篩上に残留)、500〜710μm(500μmより大きい粒子径のサンプルが篩上に残留)、350〜500μm(350μmより大きい粒子径のサンプルが篩上に残留)、250〜350μm(250μmより大きい粒子径のサンプルが篩上に残留)、149〜250μm(149μmより大きい粒子径のサンプルが篩上に残留)、皿〜149μm(149μm以下の粒子径のサンプルが皿上に残留)の各粒子径の分級サンプルを得、質量頻度(質量%)を算出した。
次に、算出した質量頻度が50質量%以上となる最初の篩の目開きをa(μm)とし、また、a(μm)よりも一段大きい篩の目開きをb(μm)とし、受け皿からa(μm)の篩までの質量頻度の積算をc質量%、またa(μm)の篩上の質量頻度をd質量%として、次式によって平均粒子径(50質量%粒径)(μm)を求めた。
保管後のフレキシブルコンテナの上部を開封し、温湿度計(神栄(株)製、商品名:デジタル温湿度計 MODEL TRH−CA)のセンサー部(センサー部はアニオン界面活性剤含有粉粒体が直接接触しないように、(株)クレシア製キムワイプ(商品名:ワイパーS−200)を2重に重ねたもので覆った。)を粉体層の表面から70mmの深さまで差し込み、5分静置後、相対湿度を測定した。
なお、測定される相対湿度は、保管期間中の平衡相対湿度を示す。
上記の各例に対して、アニオン界面活性剤含有粉粒体の固化の防止効果について、下記評価方法により評価を行った。
保管後のアニオン界面活性剤含有粉粒体をフレキシブルコンテナの底部より排出した。排出物の中より、アニオン界面活性剤含有粉粒体の固化物を取り出し、その固化物を糸鋸および包丁を用いて一辺の長さが3cmの立方体を切り出した。
この立方体のアニオン界面活性剤含有粉粒体の固化物を電子天秤に静置し、3cm/分の条件で加圧アーム(加圧アーム先端には固化物上面と平行に接触するステンレス板(10cm×10cm)が装備されている。)を降下させ、立方体の固化物上面の全面に、荷重を徐々に加え、立方体の固化物が崩壊するまでにかかった最大荷重(kg)を測定し、下記評価基準に基づいてフレキシブルコンテナ固化性を評価した。
なお、該最大荷重が10kg未満であれば、解砕機等で固化物を解砕することにより次工程でのハンドリング(ホッパーへの投入等)が可能と判断した。
また、最大荷重値は、立方体の固化物2個に対する平均値を用いた。
◎:最大荷重が5kg未満であった。
○:最大荷重が5kg以上、7kg未満であった。
△:最大荷重が7kg以上、10kg未満であった。
×:最大荷重が10kg以上であった。
フレキシブルコンテナでの保管が終了し、フレキシブルコンテナから排出されたアニオン界面活性剤含有粉粒体と、底面が取り外し可能な受け皿と円筒から構成される内径50mmφ×深さ125mmのアルミニウム製シリンダーを、相対湿度30%の雰囲気下で35℃に調整(60分間保管)した。次いで温度調整後のアニオン界面活性剤含有粉粒体をシリンダーの深さ50mmの位置まで充填した(比較例3のみ、フレキシブルコンテナで保管されていないアニオン界面活性剤含有粉粒体を用いた。)。
アニオン界面活性剤含有粉粒体が充填されたシリンダーに、予め35℃に調整(60分間保管)した49.5mmφ×長さ135mmのステンレス製ピストン(1kg)を挿入した。更にピストンの上部に4kgのおもりを載せ、アニオン界面活性剤含有粉粒体層に対して合計5kgf(49N)の荷重をかけ、35℃、相対湿度30%の恒温恒湿槽内で3分間保管した。
3分経過後、おもりとシリンダー受け皿をはずし、ピストンを押し込むことにより、アニオン界面活性剤含有粉粒体の円柱状成形物を取り出した。
取り出したアニオン界面活性剤含有粉粒体の円柱状成形物を電子天秤に静置し、3cm/分の条件で加圧アーム(加圧アーム先端には、成形物上面と平行に接触するステンレス板(10cm×10cm)が装備されている。)を降下させ、円柱状成形物上面の全面に、荷重を徐々に加え、円柱状成形物が崩壊するまでにかかった最大荷重(kg)を測定し、一時保管時の固化性を評価した。
なお、該最大荷重が4.0kg未満であれば、通常のホッパーから排出可能と判断した。
また、最大荷重値は、上述の一時保管時の固化性の試験方法を2回繰り返し、得られた値の平均値を用いた。
一方、比較例1〜5は、いずれかの評価項目が悪く、実施例1〜17より劣ることが確認された。
Claims (5)
- アニオン界面活性剤を30質量%以上含有し、かつ嵩密度が0.4〜1.0kg/Lのアニオン界面活性剤含有粉粒体を、底面積0.5〜3.0m2、高さ0.5〜3.0mのフレキシブルコンテナに収納し、
当該フレキシブルコンテナを、該フレキシブルコンテナに収納されたアニオン界面活性剤含有粉粒体に対して3〜30kPaの圧力をかけながら、30℃以上の温度条件下で2日間以上保管することを特徴とするアニオン界面活性剤含有粉粒体の輸送・貯蔵方法。 - 前記フレキシブルコンテナに保管中のアニオン界面活性剤含有粉粒体層の相対湿度を60%以下とする請求項1記載のアニオン界面活性剤含有粉粒体の輸送・貯蔵方法。
- 下記(A)〜(C)成分を含有し、かつ嵩密度が0.4〜1.0kg/Lのアニオン界面活性剤含有粉粒体を調製する工程と、
前記アニオン界面活性剤含有粉粒体を調製する工程により調製されるアニオン界面活性剤含有粉粒体を、底面積0.5〜3.0m2、高さ0.5〜3.0mのフレキシブルコンテナに収納し、当該フレキシブルコンテナを、該フレキシブルコンテナに収納されたアニオン界面活性剤含有粉粒体に対して3〜30kPaの圧力をかけながら、30℃以上の温度条件下で2日間以上保管する工程を含むことを特徴とするアニオン界面活性剤含有粉粒体の製造方法。
(A)アニオン界面活性剤 30〜95質量%、
(B)表面改質剤 68質量%以下、
(C)水分 10質量%以下。 - 前記アニオン界面活性剤含有粉粒体を調製する工程において、アニオン界面活性剤含有水性ペーストを濃縮する工程を含む請求項3記載のアニオン界面活性剤含有粉粒体の製造方法。
- 前記フレキシブルコンテナに保管中のアニオン界面活性剤含有粉粒体層の相対湿度を60%以下とする請求項3または4に記載のアニオン界面活性剤含有粉粒体の製造方法。
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