JP2007290442A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】サイドウォール表面より表面粗さが粗い背景部分と、この背景部分内に設けられ、背景部分よりも平滑な表面粗度を有することにより標章を形成する前景部分とで構成してなるタイヤにおいて、
タイヤ10のサイドウォール1の設けられた円環状装飾帯2の一部から発生する可能性のあるクラックを抑えるとともに、この装飾帯10に形成した標章の視認性を向上させることのできるタイヤを提供する
【解決手段】円環状装飾帯2は、サイドウォール1表面より表面粗さが粗い背景部分3と、この背景部分3内に設けられ、背景部分3よりも平滑な表面粗度を有することにより標章を形成する前景部分4とで構成されており、前景部分4の半径方向延在幅と、背景部分3の延在幅とは等しく、前景部分4を、円環状装飾帯2に隣接するサイドウォール部分1に、同じ表面粗度で連続して連なっている。
【選択図】図3

Description

本発明は、一対のサイドウォールの少なくとも一方の表面に装飾帯を設け、装飾帯に標章を形成したタイヤに関し、特に、標章の視認性を高めるとともに標章を形成したことに起因する寿命低下を防止することのできるものに関する。
タイヤのトレードマーク、トレードドレス等を表示するため、そのサイドウォールに、文字、記号または図形よりなる標章を形成することが行われていて、これらの標章を目立たせることを目的とした、以下のようなタイヤが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
図1(a)は、このような従来のタイヤを示す側面図、図1(b)は、図1(a)のb−b矢視に対応する断面図であり、このタイヤは、サイドウォール91の表面に、多数のリッジ98を周方向に並べて表面を粗くした背景部分92を有する円環状装飾帯94を形成し、この背景部分92の中に背景部分92とは表面粗さの異なる前景部分93を設け、これらの表面粗さの違いにより前記標章を表すことが行われている。
そして、このタイヤの前景部分93の半径方向延在幅は、背景部分92の延在幅より小さくなるよう構成され、前景部分の半径方向内外には、この前景部分と、円環状装飾帯に隣接するサイドウォール部分との間には背景部分92が延在する。
特開2002−52537号公報
しかしながら、図1に示したタイヤにあっては、標章を大きくしようとして、背景部分92の縁まで、あるいはその近くまで前景部分93を延在させた場合には、前景部分93と、サイドウォール部分91との間に挟まれた背景部分92は、幅d1の狭幅凹部97となって、この狭幅凹部97に応力が集中しそこからクラックが入る可能性があるため、前景部分を十分に大きくすることができず、これを目立たせようとしても限界があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、円環状装飾帯の一部から発生する可能性のあるクラックを抑えるとともに、この装飾帯に形成した標章の視認性を向上させることのできるタイヤを提供することを目的とする。
<1>は、一対のサイドウォールの少なくとも一方の表面に円環状装飾帯を配置し、この円環状装飾帯を、前記サイドウォール表面より表面粗さが粗い背景部分と、この背景部分内に設けられ、背景部分よりも平滑な表面粗度を有することにより標章を形成する前景部分とで構成してなるタイヤにおいて、
前記前景部分の半径方向延在幅と、前記背景部分の延在幅とを等しくするとともに、前記前景部分を、前記円環状装飾帯に隣接するサイドウォール部分に、同じ表面粗度で連続して連なるよう構成してなるタイヤである。
ここで、標章とは、文字、記号、図形、および、これらの組み合わせをいうものとする。また、本明細書において、「表面粗度」もしくは「表面粗さ」とは、JIS B 0601に規定される、凹凸の平均間隔Sm、十点平均粗さRzを用いて、以下の式(1)〜(3)の全てを満足する範囲におけるRzの値で定義されるものとし、Rzの大きい方を表面粗度が「粗い」ということとする。

Sm(mm)≦3 (1)
Rz(μm)≦3000 (2)
Rz(μm)/Sm(mm)≧100 (3)

そして、この定義に従えば、平滑表面に砂地処理や梨地処理を施すことによって表面粗度を粗くすることができるが、通常リッジと呼ばれる突条を配列することによっても表面粗度を粗くすることができる。
<2>は、<1>において、前記背景部分にタイヤ半径方向に対して傾斜するリッジを並べることにより、背景部分の表面粗さを前記サイドウォール表面より粗くしてなるである。
<3>は、<1>もしくは<2>において、前記前景部分の内側に、サイドウォール表面に対する高さが周囲の前景部分より低い凹み部を設けてなるである。
<4>は、<3>において、前記凹み部に、タイヤ半径方向に対して傾斜するリッジを並べてなるである。
<5>は、<4>において、前記背景部分のリッジと、前記凹み部のリッジとを、タイヤ半径方向に対する傾斜角度、断面形状、および、配列間隔のいずれにおいても同一にしてなるタイヤである。
<6>は、<1>〜<5>のいずれかにおいて、対応するリムのリム径をDとし、タイヤ断面高さをHとしたとき、前記円環状装飾帯の半径方向外側の縁を、(0.5D+0.6H)〜(0.5D+0.8H)のタイヤ半径方向範囲に配置し、前記円環状装飾帯の半径方向内側の縁を、(0.5D+0.15H)〜(0.5D+0.45H)のタイヤ半径方向範囲に配置してなるタイヤである。
<1>によれば、前景部分の半径方向延在幅と、前記背景部分の延在幅とを等しくするとともに、前記前景部分を、前記円環状装飾帯に隣接するサイドウォール部分に、同じ表面粗度で連続して連なるよう構成したので、背景部分に対する前景部分の表面祖度の差によって形成される標章のタイヤ半径方向幅を従来のものより大きくすることによりこの標章を目立たせることができ、また、背景部分における、サイドウォール部分と前景部分との間に狭幅凹部が形成されることがなく、ここからのクラックに起因するタイヤの故障を防止することができる。
また、円環状装飾帯は、外観上もっとも目立ちやすい部分であるが、この円環状装飾帯内の背景部分を、サイドウォールの表面より表面粗度の粗いものとしたので、主たる標章の形成に関与しない円環状装飾帯内の部分に凹凸や汚れが生じた場合、これらを目立たなくさせ、タイヤの外観性能を向上させることができる。
<2>によれば、背景部分にリッジを並べることにより、背景部分の、周囲の部分に対する表面粗度を粗くしたので、これを、他の方法、例えば、腐食加工等により面を荒した場合に比して、金型の加工精度を一定に保ちやすく、また、第二表示域の背景部分とその隣接部分との光の反射の違いをより鮮明にしてデザイン性を向上させることができる。
また、リッジの方向を、タイヤ半径方向に対して傾斜する方向としたので、もし、これを半径方向に向いたものであるとした場合、一般的に、タイヤ半径方向内側が下となるよう配置された標章に対して、真正面、真上、もしくは真下からこれを見た場合、リッジを設けた部分とそうでない部分とのコントラストの差が小さくなり視認性が悪くなる現象を防止することができる。
<3>によれば、前記前景部分の内側に、サイドウォール表面に対する高さが周囲の前景部分より低い凹み部を設けたので、前景部分を一層強調して表示することができ、標章の視認性をさらに高めることができる。
<4>によれば、前記凹み部に、タイヤ半径方向に対して傾斜するリッジを並べたので、前記凹み部をさらに強調することができ、その結果、標章の視認性をなお一層高めることができる。
<5>によれば、前記背景部分のリッジと、前記凹み部のリッジとを、タイヤ半径方向に対する傾斜角度、断面形状、および、配列間隔のいずれにおいても同一であるとしたので、タイヤを成形するモールドの加工をシンプルな工程で構成することができ、それに伴ってモールド加工性も向上させることができる。
<6>によれば、前記円環状装飾帯の範囲を前述のとおりとなるように構成したので、もっとも視認性の高い領域に標章を形成することができる。
本発明の実施形態について、図に基づいて説明する。図2は、本発明に係る第一実施形態のタイヤを示す側面図であり、また、図3(a)は、このタイヤの第一表示域を拡大して示す側面図、図3(b)は、図3(a)のb2−b2矢視に対応する断面図、そして、図3(c)は、図3(a)のc2−c2矢視に対応する断面図であり、タイヤ10は、少なくとも一方のサイドウォール1の表面に、タイヤ中心軸を周回する円環状装飾帯2を形成してなり、円環状装飾帯2は、サイドウォール1の表面より表面粗さが粗い背景部分3と、この背景部分3内に設けられ、背景部分3よりも平滑な表面粗度を有することにより標章を形成する前景部分4とで構成されている。
ここで、背景部分3と前景部分4との表面粗度の差によって形成される標章は、図示の場合、「INSIDE」なる文字であるが、このような標章としては、文字のほか、記号、図形、および、これらの組み合わせたものとすることができる。
そして、このタイヤ10は、前景部分4の半径方向延在幅wと、背景部分3の延在幅wとが等しく、前景部分4は、円環状装飾帯2に隣接するサイドウォール部分1に、同じ表面粗度で連続して連なるよう構成されているという特徴を有する。
このように、前景部分4の半径方向最大幅wを、背景部分3の半径方向最大幅wとを同じにすることにより、標章を円環状装飾帯2の幅一杯に配置することができ、標章の視認性を向上させることができる。
また、このとき、前景部分4は、円環状装飾帯2の内外に隣接するサイドウォール部分1に、同じ表面粗度で連続して連なるので、サイドウォール1と前景部分6との間においてクラックが発生することはない。
また、背景部分3を、サイドウォール1より粗度の粗いものとしたので、この部分に凹凸や汚れができた場合でも、これらを目立たなくさせ、タイヤの外観性能を向上させることができる。
以上のように、本発明は、目立たせたい主たる標章を、所望通り目立たせるとともに、目立たせたくない凹凸や汚れ、所望通りに、目立たせないようにすることができる。
背景部分3をサイドウォール1の表面より粗くする方法として、金型をブラスト等で表面加工することによりこの金型面に対応するタイヤ表面を粗にすることもできるが、図示の例のように、タイヤ半径方向に対して傾斜するリッジ(突条)9を並べることにより表面を祖にするのが好ましく、この場合、金型表面の加工状態を高精度に維持させ、また、タイヤにおいて、リッジ9が設けられた面の、これに隣接する他の面との光の反射によるコントラストを大きなものにすることができる。
ここで、タイヤ10に対応するリムのリム径をDとし、タイヤ断面高さをHとしたとき、円環状装飾帯2の半径方向外側縁のタイヤ半径方向位置r1は、(0.5D+0.6H)〜(0.5D+0.8H)の範囲にするのが好ましく、円環状装飾帯2の半径方向内側縁のタイヤ半径方向位置r2は(0.5D+0.15H)〜(0.5D+0.45H)の範囲にあり、この両側縁により特定された領域はもっとも標章を視認するのにもっとも優れた部分であり、標章の視認性を高いものにすることができる。
図4(a)は、本発明に係る第二実施形態のタイヤにおけるサイドウォール部分の一部を拡大して示す側面図、図4(b)は、図4(a)のb3−b3矢視に対応する断面図、そして、図4(c)は、図4(a)のc3−c3矢視に対応する断面図であり、タイヤ10Aは、少なくとも一方のサイドウォール1の表面に、タイヤ中心軸を周回する円環状装飾帯2Aを形成してなり、円環状装飾帯2Aは、サイドウォール1の表面より表面粗さが粗い背景部分3と、この背景部分内に設けられ、背景部分3よりも平滑な表面粗度を有することにより標章を形成する前景部分4Aとで構成され、前景部分4Aの半径方向延在幅wと、背景部分3の延在幅wとは等しく、前景部分4が、円環状装飾帯2Aに隣接するサイドウォール部分1に、同じ表面粗度で連続して連なるよう構成されているという点においては、第一実施形態と同じである。
第二実施形態が、第一実施形態のタイヤと異なる点は、唯一、前景部分4Aに周囲の部分7より凹んだ凹み部8が設けられていることであり、このことによって、表彰を強調して表示することができる。
図5(a)は、本発明に係る第三実施形態のタイヤにおけるサイドウォール部分の一部を拡大して示す側面図、図5(b)は、図5(a)のb4−b4矢視に対応する断面図、そして、図5(c)は、図5(a)のc4−c4矢視に対応する断面図であり、タイヤ10Bは、少なくとも一方のサイドウォール1の表面に、タイヤ中心軸を周回する円環状装飾帯2Bを形成してなり、円環状装飾帯2Bは、サイドウォール1の表面より表面粗さが粗い背景部分3と、この背景部分内に設けられ、背景部分3よりも平滑な表面粗度を有することにより標章を形成する前景部分4Bとで構成され、前景部分4Bの半径方向延在幅wと、背景部分3の延在幅wとは等しく、前景部分4Bが、円環状装飾帯2Bに隣接するサイドウォール部分1に、同じ表面粗度で連続して連なるよう構成されているという点、ならびに、前景部分4Bには、周囲の部分17より凹んだ凹み部18が形成されている点においては、第二実施形態と同じであるが、この第三実施形態のタイヤ10Bにおいては、凹み部18には、背景部分3に配列されているのと同じ形状、同じ向き、同じ配置間隔、同じ寸法のリッジ9が設けられており、このことによって、タイヤを加硫する金型を、よりシンプルな工程で加工することができる。
本発明は、種々の種類や用途のタイヤに好適に用いることができる。
従来のタイヤを示す側面図および断面図である。する断面図であり、 第一実施形態のタイヤを示す側面図である。 第一実施形態のタイヤの一部分を拡大して示す側面図、および、断面図である。 第二実施形態のタイヤの一部分を拡大して示す側面図、および、断面図である。 第三実施形態のタイヤの一部分を拡大して示す側面図、および、断面図である。
符号の説明
1 サイドウォール
2、2A、2B 円環状装飾帯
3、3A、3B 背景部分
4、4A、4B 前景部分
7 凹み部の周囲の部分
8 凹み部
9 リッジ
10、10A、10B タイヤ
17 凹み部の周囲の部分
18 凹み部

Claims (6)

  1. 一対のサイドウォールの少なくとも一方の表面に円環状装飾帯を配置し、この円環状装飾帯を、前記サイドウォール表面より表面粗さが粗い背景部分と、この背景部分内に設けられ、背景部分よりも平滑な表面粗度を有することにより標章を形成する前景部分とで構成してなるタイヤにおいて、
    前記前傾部分の半径方向延在幅と、前記背景部分の延在幅とを等しくするとともに、前記前景部分を、前記円環状装飾帯に隣接するサイドウォール部分に、同じ表面粗度で連続して連なるよう構成してなるタイヤ。
  2. 前記背景部分にタイヤ半径方向に対して傾斜するリッジを並べることにより、この背景部分の表面粗さを前記サイドウォール表面より粗くしてなる請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記前景部分の内側に、サイドウォール表面に対する高さが周囲の前景部分より低い凹み部を設けてなる請求項1もしくは2に記載のタイヤ。
  4. 前記凹み部に、タイヤ半径方向に対して傾斜するリッジを並べてなる請求項3に記載のタイヤ。
  5. 前記背景部分のリッジと、前記凹み部のリッジとを、タイヤ半径方向に対する傾斜角度、断面形状、および、配列間隔のいずれにおいても同一にしてなる請求項4に記載のタイヤ。
  6. 対応するリムのリム径をDとし、タイヤ断面高さをHとしたとき、前記円環状装飾帯の半径方向外側の縁を、(0.5D+0.6H)〜(0.5D+0.8H)のタイヤ半径方向範囲に配置し、前記円環状装飾帯の半径方向内側の縁を、(0.5D+0.15H)〜(0.5D+0.45H)のタイヤ半径方向範囲に配置してなる請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ。
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