JP2007285828A - 検体溶液の撹拌方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】担体上に凹部及び凸部からなる凹凸部を有し、前記凹凸部を構成する複数の凸部の上面に選択結合性物質が固定化されている担体に接触させた被検物質を含む溶液を撹拌するにあたり、前記被検物質を含む溶液に撹拌子を添加し、かつ、前記担体を略水平方向に公転させ前記撹拌子を移動させて溶液を撹拌することを特徴とする、溶液の撹拌方法。
【選択図】図8
Description
〔1〕 担体上に凹部及び凸部からなる凹凸部を有し、前記凹凸部を構成する複数の凸部の上面に選択結合性物質が固定化されている担体に接触させた被検物質を含む溶液を撹拌するにあたり、前記被検物質を含む溶液に撹拌子を添加し、かつ、前記担体を略水平方向に公転させ前記撹拌子を移動させて溶液を撹拌することを特徴とする、溶液の撹拌方法。
〔2〕 前記撹拌子が、微粒子またはマイクロロッドであることを特徴とする上記〔1〕記載の溶液の撹拌方法。
〔3〕 前記公転の回転数が、100rpmから500rpmである上記〔1〕または〔2〕に記載の溶液の撹拌方法。
〔4〕 担体上の凹凸部が、凸部がマトリクス状に形成された複数のサブブロック領域からなることを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の溶液の撹拌方法。
〔5〕 前記凹凸部において、隣接するサブブロック領域間の凹部の幅が、サブブロック領域内の凹部の幅よりも広いことを特徴とする上記〔4〕に記載の溶液の撹拌方法。
〔6〕 サブブロック領域間の凹部の幅が、200μm以上であることを特徴とする上記〔4〕または〔5〕に記載の溶液の撹拌方法。
〔7〕 前記凹凸部において、複数の凹部の深さを有することを特徴とする上記〔4〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の溶液の撹拌方法。
〔8〕 前記凹凸部において、隣接するサブブロック領域間の凹部の深さが、サブブロック領域内の凹部の深さよりもよりも深いことを特徴とする上記〔4〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の溶液の撹拌方法。
〔9〕 サブブロック領域間の凹部の深さが、凸部上面から凹部底面までの深さで100μm以上であることを特徴とする上記〔4〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の溶液の撹拌方法。
〔10〕 前記選択結合性物質固定化担体の凹凸部を有する表面に、平坦部が設けられてなることを特徴とする上記〔4〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の溶液の撹拌方法。
〔11〕 前記担体を略水平方向に公転させる前に、カバー部材を前記担体の凹凸部を含む表面を覆いかつ前記担体と前記カバー部材との間に空隙を有するように接着することを特徴とする上記〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の溶液の撹拌方法。
〔12〕 上記〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の撹拌方法を利用して、前記担体に被検物質を選択的に結合させ、前記担体上に前記選択結合性物質を介して結合した前記被検物質量を測定することを特徴とする被検物質の分析方法。
例えば、図3の例では、複数の凸部11と、凹部10間の凹部からなる凹凸部12が複数のサブブロック領域S1、S2、S3・・・ ・・・S32に分割されており、各サブブロック領域内において凸部11はマトリックス状にXY方向に形成されている。サブブロック領域のサイズは、凹凸部に設ける凸部の数、微粒子、マイクロロッドのサイズ等に応じて定めることができる。サブブロックの領域のサイズとしては、そのピッチが384マイクロタイタープレートのウェルの間隔に相当する4.5mmを好ましく用いることができるが、これに制限されるものではない。
また、凸部分の上端面は、実質的に平坦であることが好ましい。ここで凸部上端面が実質的に平坦とは、20μm以上の凹凸がないことを意味する。
凸部の上面に固定化できる選択結合性物質(例えば核酸)は、データとして必要なものを適宜選択することができるが、単なるダミーの選択結合性物質であっても良い。また、すべての凸部表面に選択結合性物質を結合する必要は無く、何も固定化していない凸部を有していても良い。
核酸としては、DNAやRNAでも良く、またPNAでも良い。特定の塩基配列を有する一本鎖核酸は、該塩基配列又はその一部と相補的な塩基配列を有する一本鎖核酸と選択的にハイブリダイズして結合するので、本発明でいう「選択結合性物質」に該当する。
核酸は、生細胞等天然物由来のものであっても良いし、核酸合成装置により合成されたものであっても良い。生細胞からのDNA又はRNAの調製は、公知の方法、例えばDNAの抽出については、Blinらの方法(Blin et al., Nucleic Acids Res. 3: 2303 (1976))等により、また、RNAの抽出については、Favaloroらの方法(Favaloro et al., Methods Enzymol.65: 718 (1980))等により行うことができる。固定化する核酸としては、更に、鎖状若しくは環状のプラスミドDNAや染色体DNA、これらを制限酵素により若しくは化学的に切断したDNA断片、試験管内で酵素等により合成されたDNA、又は化学合成したオリゴヌクレオチド等を用いることもできる。
糖類としては、各種単糖のほか、オリゴ糖や多糖などの糖鎖を挙げることができる。
脂質としては、単純脂質の他、複合脂質であっても良い。
更に、上記核酸、蛋白質、糖類、脂質以外の抗原性を有する物質を固定化することもできる。また、選択結合性物質として、担体の表面に細胞を固定化してもよい。
これらの選択結合性物質のうち特に好ましいものとして、DNA、RNA、蛋白質、ペプチド、糖、糖鎖または脂質を挙げることができる。
凹凸部の凸部の上端面の高さと平坦部の高さは、略同一であることが好ましい。すなわち、平坦部の高さと凸部上端面の高さの差は、50μm以下であることが好ましい。凸部上端面の高さと平坦部の高さの差が50μmを超えると、検出できる蛍光強度が弱くなる場合があるため好ましくない。平坦部の高さと凸部上端面の高さの差は、より好ましくは30μm以下であり、さらに好ましくは、10μm以下である。最も好ましくは、平坦部の高さと凸部の高さは同一である。
図3に示す例において、選択結合性物質固定化担体1の表面には、複数の凸部11を含む凹凸部12により構成されており、その周りに平坦部13が設けられている。凸部11の上面には、選択結合性物質(例えば核酸)が固定化される。
また、図5の例では、図4と同様サブブロック領域Skと隣接するサブブロック領域Sk+1間の凹部10Aの幅WAが、サブブロック領域内の凹部10Bの幅WBよりも広くなっていると共に、サブブロック領域Skと隣接するサブブロック領域Sk+1間の凹部10Aの深さDAが、サブブロック領域内の凹部10Bの深さDBよりも深くなっている。尚、図5の例では、平坦部13とサブブロックSkとの間にサブブロック領域内の凹部10Bと同じ深さであるが凸部を有しない凹部10Cが設けられている。この場合は、図4の場合と比較し、さらに大きなビーズをサブブロック領域と隣接するサブブロック領域との間の凹部に入れることが可能となるのでより好ましい。
この分光反射率、分光透過率の値としては、可視光(波長400nm〜800nm)の範囲の分光反射率が7%以下であり、同波長範囲での分光透過率が2%以下であることが好ましい。尚、ここで言う分光反射率は、JIS Z 8722の条件Cに適合した、照明・受光光学系で、担体からの正反射光を取り込んだ場合の分光反射率を言う。
成型した担体は、選択結合性物質をその表面に固定化するのに先立ち、必要に応じて各種の表面処理を施すことができる。かかる表面処理としては、具体的には例えば特開2004−264289号公報に記載されるものなどを挙げることができる。
本発明において、分析用チップとは、被検物質が含まれる溶液(検体溶液)を当該チップにアプライし、検体の存在の有無や、検体の量や、検体の性状等を測定するために用いるチップをいう。具体的には、担体表面に固定化された選択結合性物質と検体との反応により、検体の量や、検体の有無を測定するバイオチップが挙げられる。より具体的には、核酸を担体表面に固定化したDNAチップ、抗体に代表されるタンパク質を担体表面に固定化したタンパク質チップ、糖鎖を担体表面に固定化した糖鎖チップ、及び細胞を担体表面に固定化した細胞チップ等が挙げられる。
貫通孔からの検体のアプライは、例えば、前記貫通孔からピペット等の通常の器具で注入して行うことができる。
すなわち、前記本発明の撹拌方法を利用して、担体に被検物質を選択的に結合させ、前記担体上に選択結合性物質を介して結合した前記被検物質量を測定することにより、検体を分析することができる。
選択的結合の際の反応温度及び時間は、ハイブリダイズさせる検体の核酸の鎖長や、免疫反応に関与する抗原及び/又は抗体の種類等に応じて適宜選択されるが、核酸のハイブリダイゼーションの場合、通常、40℃〜70℃程度で1分間〜十数時間、免疫反応の場合には、通常、室温〜40℃程度で1分間〜数時間程度である。なお、本発明の撹拌方法による撹拌は、この選択的結合における反応時間を通して行っても良いし、その一部だけとしても良い。
選択的結合が終了した後、通常はカバー部材を脱離させた後、次の工程に供することができる。
公知の技術であるLIGA(Lithographie Galvanoformung Abformung)法により、カーボンブラックを含有したポリメチルメタクリレート(PMMA)製の成形板を2種類作製した。
図3、図5に示す基板を作製した。すなわち、基板の外形は75×25×1mmであり、その中心部には凸部の集団からなる32個のサブブロックが存在する。そのサブブロック中には、直径0.1mmの凸部がピッチ0.245mmで、17×17の格子状に配置されている。基板全体には17×17×32=9248個の凸部が設けられている。また、サブブロック間は0.48mmのスペースが設けられている。また、サブブロック内における凸部上面と底面との距離(深さ)は0.1mmであり、一方それ以外の基板の堀込まれている部分(サブブロック間、および、平坦部とサブブロックの間)の深さは0.15mmとなっている。
基板の堀込まれている部分の深さを0.1mmと一種類とした以外は、基板1と同様なデザインの基板を作製した。
上記の基板を10Nの水酸化ナトリウム水溶液に65℃で12時間浸漬した。次いで、純水、0.1N HCl水溶液、純水の順で洗浄した。このようにして、板表面のPMMAの側鎖を加水分解して、カルボキシル基を生成した。
配列番号1(60塩基、5’末端アミノ化)で表される塩基配列を有するDNA(以下、配列番号1のDNAと記載することがある)を合成した。配列番号1のDNAは5’末端がアミノ化されている。
検体DNAとして、上記DNA固定化基板とハイブリダイズ可能な塩基配列を持つ配列番号4のDNA(968塩基)を用いた。調製方法を以下に示す。配列番号2と配列番号3のDNAを合成した。これを純水にとかして濃度を100μMとした。次いで、pKF3 プラスミドDNA(タカラバイオ(株)製品番号;3100)(配列番号5で表される塩基配列を有するDNA:2264塩基)を用意して、これをテンプレートとし、配列番号2および配列番号3のDNAをプライマーとして、PCR反応(Polymerase Chain Reaction)により増幅を行った。
基板1に図8で示すPMMAのカバーを両面テープ(日東電工製、No.535A)で貼り付けた。その結果、凸部上面とカバー下面との間のスペースは100μm程度となった。
振とう機をEYELA製、MULTI SHAKER MMS(公転時の半径2.5cm)とし、250rpmで回転振とうをした以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果を表1に示す。
基板2を使用した以外は実施例1と同様な操作を行った。ただし、この場合は、カバーと基板との間に直径180μmのビーズが引っかかることがあり、実施例1に比較しビーズの動きが悪かったが、ブロック領域の間にビーズを充填することは可能であった。
実施例1と同様にハイブリダイゼーションを行い、シグナル強度とCV値とを測定した結果を表1に示す。
実施例1の振とう機の振とうモードを切り替え、往復振とう、8の字振とうとした以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果を表2に示す。また、作製したチップをローテーターに貼り付け、鉛直面内で回転させるようにし、重力によりビーズを移動させた場合の結果、および、溶液の撹拌を行わなかった場合の結果も表2に示す。
10 凹部
10A サブブロック領域間の凹部
10B サブブロック領域内の凹部
11 凸部
12 選択結合性物質が固定化された領域(凹凸部)
13 平坦部
2 微粒子またはマイクロロッド
3 カバー部材
30 接着層
31 空隙(空間)
32 貫通孔
33 液面駐止用チャンバー
34 封止部材(テープ)
35 担体とカバー部材との隙間
40 マイクロアレイを治具に突き当てるためのバネ
41 治具
42 治具突き当て面
43 対物レンズ
44 レーザー励起光
45 担体に固定化された選択結合性物質(DNA)
S1〜32、Sk、Sk+1 サブブロック領域
Claims (12)
- 担体上に凹部及び凸部からなる凹凸部を有し、前記凹凸部を構成する複数の凸部の上面に選択結合性物質が固定化されている担体に接触させた被検物質を含む溶液を撹拌するにあたり、前記被検物質を含む溶液に撹拌子を添加し、かつ、前記担体を略水平方向に公転させ前記撹拌子を移動させて溶液を撹拌することを特徴とする、溶液の撹拌方法。
- 前記撹拌子が、微粒子またはマイクロロッドであることを特徴とする請求項1記載の溶液の撹拌方法。
- 前記公転の回転数が、100rpmから500rpmである請求項1または2に記載の溶液の撹拌方法。
- 担体上の凹凸部が、凸部がマトリクス状に形成された複数のサブブロック領域からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶液の撹拌方法。
- 前記凹凸部において、隣接するサブブロック領域間の凹部の幅が、サブブロック領域内の凹部の幅よりも広いことを特徴とする請求項4に記載の溶液の撹拌方法。
- サブブロック領域間の凹部の幅が、200μm以上であることを特徴とする請求項4または5に記載の溶液の撹拌方法。
- 前記凹凸部において、複数の凹部の深さを有することを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の溶液の撹拌方法。
- 前記凹凸部において、隣接するサブブロック領域間の凹部の深さが、サブブロック領域内の凹部の深さよりもよりも深いことを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の溶液の撹拌方法。
- サブブロック領域間の凹部の深さが、凸部上面から凹部底面までの深さで100μm以上であることを特徴とする請求項4〜8のいずれか一項に記載の溶液の撹拌方法。
- 前記選択結合性物質固定化担体の凹凸部を有する表面に、平坦部が設けられてなることを特徴とする請求項4〜9のいずれか一項に記載の溶液の撹拌方法。
- 前記担体を略水平方向に公転させる前に、カバー部材を前記担体の凹凸部を含む表面を覆いかつ前記担体と前記カバー部材との間に空隙を有するように接着することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の溶液の撹拌方法。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の撹拌方法を利用して、前記担体に被検物質を選択的に結合させ、前記担体上に前記選択結合性物質を介して結合した前記被検物質量を測定することを特徴とする被検物質の分析方法。
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