JP2007285041A - 接着剤塗布用くし目ゴテおよび床材施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用時の角度姿勢にかかわらず、塗布量の減少を防止できる接着剤塗布用くし目ゴテを提供する。
【解決手段】本発明は、切欠状開口部20および閉塞部30が交互に並んで設けられるくし目部15を有し、そのくし目部15によって施工面上の接着剤を掻きならすようにした接着剤塗布用くし目ゴテを対象とする。くし目部15における開口部20の上側縁部(開口上側縁部21)に、その正面および背面のうち少なくともいずれか一方に、開口部20に連通する開口部連通凹部25が形成される。
【選択図】図5
【解決手段】本発明は、切欠状開口部20および閉塞部30が交互に並んで設けられるくし目部15を有し、そのくし目部15によって施工面上の接着剤を掻きならすようにした接着剤塗布用くし目ゴテを対象とする。くし目部15における開口部20の上側縁部(開口上側縁部21)に、その正面および背面のうち少なくともいずれか一方に、開口部20に連通する開口部連通凹部25が形成される。
【選択図】図5
Description
この発明は、たとえば床材などを接着施工する際に、床下地などの施工面上の接着剤を掻きならすのに使用される接着剤塗布用くし目ゴテ、およびそのコテを用いた床材施工方法に関する。
一般住宅や集合住宅において、クッションフロアやタイルカーペットのように多数の床材を敷設して床仕上げすることは一般に行われている。
このような床材施工方法において、施工作業性の向上などを目的として、床材を床下地に接着剤によって貼着するようにした工法が周知である。
床材を接着施工する場合、接着剤の塗布量に偏りやバラツキがあると、施工に支障を来すことがある。特に接着剤の塗布量が少なくなると、その部分において十分な接着力が得られず、床材に剥離や浮き上がりが生じるなどの不具合が発生する。
そこで従来より、床材を接着施工する場合には、下記特許文献1〜3に示すような接着剤塗布用くし目ゴテ(ヘラ)を用いて、床下地上に塗工した接着剤を掻きならして、床下地上に接着剤を均一な塗布量に塗り広げるようにするのが通例である。
実開平5−47202号
実開平7−34964号
特開2004−160268号
ところで、従来においては、床材を接着施工する際には図9に示す接着剤塗布用くし目ゴテが多く使用されている。このくし目ゴテ(2)は、下端のくし目部(3)に、矩形状に切り欠かれた開口部(3a)が所定の間隔おきに複数並列に形成されるとともに、開口部(3a)の各間が接着剤を通さない閉塞部(3b)として構成されている。
そして図10(a)に示すようにこのくし目ゴテ(2)をそのくし目部(3)を摺接させるように床下地(1)上に沿って移動させることにより、閉塞部(3b)において接着剤を掻き寄せつつ、開口部(3a)の部分に接着剤を通過させて、開口部(3a)の開口面積に対応する量の接着剤を床下地(1)上に連続して塗布する。こうして床下地(1)の全域にわたって接着剤を均一に塗布するものである。
上記従来のくし目ゴテ(2)は基本的には図10(a)に示すように、床下地(1)に対し垂直に配置した姿勢で、床下地(1)上に沿って摺動させるものであるが、使用状況によって、床下地(1)に対する角度が変化する場合がある。たとえば床下地(1)における壁際部分の接着剤を掻きならすような場合には、幅木やクロスに作業者の手やくし目ゴテ(2)自体が干渉しないように、同図(b)に示すようにくし目ゴテ(2)を進行方向にねかせるように、床下地(1)に対し傾斜させた姿勢に保持し、その傾斜姿勢(前傾姿勢)のまま、床下地(1)に沿って摺動させることがある。
しかしながら、くし目ゴテ(2)を傾斜させると同図(b)に示すように、開口部(3a)の垂直高さ(H)が低くなり、その分、正面視状態での開口部分、つまり接着剤の通り抜け部分が低く小さくなる。このため、傾斜姿勢のままくし目ゴテ(2)を移動させて接着剤を掻きならすと、開口部(3a)を通過する接着剤の量が少なくなり、床下地(1)上への接着剤の塗布量も少なくなる。その結果、床材を敷設した際に接着剤不足により床材に十分な接着力が得られず、剥離や浮き上がりなどの不具合が発生するおそれがあった。
この発明は、上記従来技術の問題を解消し、使用時の角度姿勢にかかわらず、接着剤の塗布量が減少するのを防止することができる接着剤塗布用くし目ゴテ、およびそのくし目ゴテを用いた床材施工方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、以下の構成を要旨としている。
[1] 下端縁に沿って切欠状開口部および閉塞部が交互に設けられるくし目部を有し、そのくし目部によって施工面上の接着剤を掻きならすようにした接着剤塗布用くし目ゴテであって、
前記くし目部における前記開口部の上側縁部(開口上側縁部)に、その正面および背面のうち少なくともいずれか一方に、前記開口部に連通する開口部連通凹部が形成されることを特徴とする接着剤塗布用くし目ゴテ。
前記くし目部における前記開口部の上側縁部(開口上側縁部)に、その正面および背面のうち少なくともいずれか一方に、前記開口部に連通する開口部連通凹部が形成されることを特徴とする接着剤塗布用くし目ゴテ。
[1a] 前記開口部連通凹部が断面凹段形状に形成される前項1に記載の接着剤塗布用くし目ゴテ。
[1b] 前記開口部連通凹部が、開口上側縁部の下端面と、正面および背面とのコーナー部を切り取るようにして、面取り状に形成される前項1に記載の接着剤塗布用くし目ゴテ。
[1c] 前記開口部が、正面視矩形状に形成される前項1に記載の接着剤塗布用くし目ゴテ。
[1d] 前記開口部が、正面視山型(逆V字状)に形成される前項1に記載の接着剤塗布用くし目ゴテ。
[1e] 前記開口上側縁部の下端部が、多角形の断面形状に形成される前項1に記載の接着剤塗布用くし目ゴテ。
[1f] 前記開口上側縁部の下端部が、下端に向かうに従って細くなるような三角形の断面形状に形成される前項1に記載の接着剤塗布用くし目ゴテ。
[1g] 前記閉塞部の下端部が、多角形の断面形状に形成される前項1に記載の接着剤塗布用くし目ゴテ。
[1h] 前記閉塞部の下端部が、四角形(矩形状)の断面形状に形成される前項1に記載の接着剤塗布用くし目ゴテ。
[2] 前記開口部連通凹部が断面凹段形状に形成されるとともに、その凹部が前記開口上側縁部の正面および背面の双方に形成されて、前記開口上側縁部の断面が、下向きに突出した凸部形状に形成される前項1に記載の接着剤塗布用くし目ゴテ。
[2a] 前記開口上側縁部が、四角形(矩形状)の断面形状に形成される前項2に記載の接着剤塗布用くし目ゴテ。
[3] 前記閉塞部における下端面と、正面および背面との間のコーナー部が円弧状に形成される前項1または2に記載の接着剤塗布用くし目ゴテ。
[4] 前記閉塞部の下端部が、半円形の断面形状に形成されるとともに、前記開口上側縁部の下端部が、前記閉塞部の下端部に対し、相似形をなし、かつ中心が一致する半円形の断面形状に形成される前項2に記載の接着剤塗布用くし目ゴテ。
[4a] 硬質合成樹脂の成形品により構成される前項1〜4のいずれか1項に記載の接着剤塗布用くし目ゴテ。
[4b] 正面視台形ないしは台形に近似した六角形に形成される前項1〜4のいずれか1項に記載の接着剤塗布用くし目ゴテ。
[4c] 上側部に握り部が設けられる前項1〜4のいずれか1項に記載の接着剤塗布用くし目ゴテ。
[5] 前項1〜4のいずれか1項に記載された接着剤塗布用くし目ゴテを準備する工程と、
前記くし目ゴテを用いて、床下地上に塗工した接着剤を掻きならす工程と、
掻きならされた接着剤を介して、床下地上に木質床材を複数並べて敷設する工程と、を含む床材施工方法。
前記くし目ゴテを用いて、床下地上に塗工した接着剤を掻きならす工程と、
掻きならされた接着剤を介して、床下地上に木質床材を複数並べて敷設する工程と、を含む床材施工方法。
上記発明[1]における接着剤塗布用くし目ゴテによれば、開口上側縁部に、開口部に連通する開口部連通凹部を形成しているため、施工面に対し傾斜させた姿勢で使用したとしても、開口部連通凹部が存在することによって、その連通凹部から開口部にかけての部分が接着剤通り抜け部分として構成される。この接着剤通り抜け部分は高さが低くなるのを防止でき、接着剤の塗布量が減少するのを防止することができる。
上記発明[2]における接着剤塗布用くし目ゴテによれば、開口部上側縁部の正面および背面の双方に開口部連通凹部を形成しているため、正面側および背面側のいずれを先行面として前傾姿勢で使用しても、上記と同様に、接着剤の塗布量が減少するのを防止することができるので、操作性を向上させることができる。
上記発明[3]における接着剤塗布用くし目ゴテによれば、閉塞部の下端部コーナーを円弧状に形成しているため、施工面に対する角度姿勢を変更するような場合には、円弧状コーナー部に沿ってスムーズに角度変更を行うことができ、より一層操作性を向上させることができる。
上記発明[4]における接着剤塗布用くし目ゴテによれば、施工面に対する角度にかかわらず、接着剤通り抜け部分の高さを一定にすることができる。つまり、くし目ゴテをその角度姿勢を気にしなくとも、接着剤を適切な量で塗布できるため、接着剤不足はもちろん、接着剤過多も有効に防止することができ、操作性を格段に向上させることができ、接着剤塗布作業を容易に行うことができる。
上記発明[5]によれば、上記と同様に、同様の作用効果を奏する床材施工方法を提供することができる。
図1〜5はこの発明の実施形態である接着剤塗布用くし目ゴテ(10)を示す図である。これらの図に示すようにこのくし目ゴテ(10)は、上辺が短く下辺が長くて、正面視が台形に近似した六角形状の平板部材をもって構成されており、上部が握り部(11)として構成されるとともに、下端部にくし目部(15)が形成されている。
くし目部(15)には、正面視において、下端縁に沿って延びる細長形状の切欠状開口部(20)が、下端縁に沿って所定の間隔おきに多数形成されるとともに、開口部(20)の各間によって矩形状閉塞部(30)が形成されている。各開口部(20)はくし目部(15)の正面および背面間を貫通する態様に形成されている。
くし目部(20)における開口部(20)の周縁のうち上側部(開口上側縁部21)には、その正面および背面の双方に、開口部(20)に連通する凹段形状の開口部連通凹部(25)(25)がそれぞれ形成されている。なお図4に示すように開口上側縁部(21)は、正面および背面の双方に開口部連通凹部(25)(25)が形成されることにより、断面が下向きに突出するような凸部形状に形成される。
開口上側縁部(21)の下端部(先端部)は、半円形の断面形状に形成されて、開口上側縁部(21)の先端部における外周面(22)が半円周面に形成されている。
閉塞部(30)の下端部(先端部)は、半円形の断面形状に形成されて、閉塞部(30)の先端部における外周面(32)が半円周面に形成されている。換言すれば、閉塞部(30)の下端面と表面との間のコーナー部、および閉塞部(30)の下端面と背面とのコーナー部が円弧状に形成されている。
ここで開口上側縁部(21)の下端部断面形状と、閉塞部(30)の下端部断面形状とは、相似形をなす半円形に形成されるとともに、開口上側縁部(21)の下端部外周面(22)によって構成される円周面の中心と、閉塞部(30)の下端部外周面(32)によって構成されてる円周面の中心とは一致するように設定されている。
なお本実施形態において、くし目ゴテ(10)の材質は、特に限定されるものではなく、金属製、合成樹脂製、合成ゴム製、硬質紙製のものや、これらを組み合わせたものを好適に用いることができる。中でも特に、成形性の面から、硬質合成樹脂製のものを用いるのが好ましい。
またくし目ゴテ(10)のサイズも特に限定されるものではないが、取扱性を考慮すると、高さが100〜200mm、横幅が100〜200mm、厚さ(T10)1〜5mmのものを好適に用いることができる。
さらにくし目ゴテ(10)の形状も特に限定されるものではないが、取扱性を考慮すると、上記のように台形に近似した六角形状のものや、台形状のものを好適に用いることができる。
また開口部(20)の幅(W20)は1.0〜10mm、開口部(20)の高さ(H20)は0.1〜5mmに設定するのが良い。すなわち接着剤の塗布量は開口部(20)の開口面積により決定されるが、この開口面積は、施工上必要な塗布量に基づき、予めほぼ設定されている。このため開口部(20)の幅(W20)を過度に狭くした場合、開口部(20)の高さ(H20)は高くなるものの、床下地(1)に対する接着剤の塗布面積が少なくなり、接着面積の減少により接着力の低下を来すおそれがある。逆に開口部(20)の幅(W20)を過度に広くした場合には、開口部(20)の高さ(H20)が低くなり過ぎて、塗布した接着剤の高さ(糊山の高さ)を十分に確保できず、たとえば床下地(1)に形成される微小な不陸に多大な影響を受けて、塗布状態にバラツキが生じ、安定した接着状態を得ることができないおそれがある。
閉塞部(30)の幅(W30)は0.5〜5mmに設定するのが良い。すなわちこの幅(W30)が狭過ぎる場合には、閉塞部(30)の強度が低下して、閉塞部(30)が破損するなどの不具合が生じるおそれがある。そればかりか、開口部(20)の幅(W20)が相対的に広くなり、上記したように糊山の高さを十分に確保できず、安定した接着状態を得ることが困難になるおそれがある。逆に閉塞部(30)の幅(W30)が広過ぎる場合には、相対的に開口部(20)の幅(W20)が狭くなり、上記したように接着剤の塗布面積が少なくなり、接着力の低下を来すおそれがある。
開口上側縁部(21)の高さ(突出量H21)、換言すれば開口部連通凹部(25)の上下長さ(高さH21)は1.0〜10mmに設定するのが良い。すなわちこの高さ(H21)が低過ぎる場合には、開口部連通凹部(25)の上下長さが短くなるため、後に詳述するように、くし目ゴテ(10)を傾斜させた際に接着剤の塗布量を十分に確保するのが困難になるおそれがある。逆にこの高さ(H21)が高過ぎる場合には、開口上側縁部(21)のサイズが大きくなり、開口上側縁部(21)の強度を十分に確保するのが困難になるおそれがある。
また開口上側縁部(21)の幅(厚さT21)は0.5〜3mmに設定するのが良い。すなわちこの幅(T21)が狭過ぎる場合には、開口上側縁部(21)の強度を十分に確保するのが困難になるおそれがある。逆に開口上側縁部(21)の幅(T21)が厚過ぎる場合には、開口部連通凹部(25)の深さが浅くなるため、後に詳述するように、くし目ゴテ(10)を傾斜させた際に接着剤の塗布量を十分に確保するのが困難になるおそれがある。
また本実施形態のくし目ゴテ(10)によって掻きならす接着剤(粘着剤を含む)は、特に限定されるものではないが、一般的には酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの接着剤、ゴム系、アクリル系、シリコーン系の粘着剤(接着剤)などが好適に用いられる。
以上の構成のくし目ゴテ(10)を用いて床材を施工する場合まず、床下地(1)上に接着剤を塗工して、複数の接着剤溜まりを適当に間隔をおいて分散させて形成する。
続いてこの接着剤溜まりをくし目ゴテ(10)を用いて掻きならして、接着剤を床下地(1)の全域に均一な塗布量で塗り広げる。すなわち図5(a)に示すように、作業者はくし目ゴテ(10)の握り部(11)を手で持って、くし目ゴテ(10)を床下地面に対し垂直になるように配置し、その垂直姿勢のまま、くし目部(6)を床下地(1)に摺接させながら床下地(1)に沿って移動させる。これにより接着剤は閉塞部(30)によって掻き寄せられつつ開口部(20)のみを通過し、開口部(30)の開口面積に対応する量の接着剤が床下地(1)上に連続状に塗布されて、床下地(1)の全域にわたって接着剤が均一に塗布される。その後、床下地(1)上に複数の床材を並べて配置するようにして、各床材を接着施工することにより、床仕上げ面を形成するものである。
ここで、本実施形態のくし目ゴテ(10)は基本的には、上記したように床下地(1)に対し垂直に配置した状態で使用するものであるが仮に、壁際で接着剤を掻きならしたり、あるいは腕をいっぱいに伸ばした状態で接着剤を掻きならすような場合には、くし目ゴテ(10)を床下地(1)に対し傾斜させた姿勢で使用することがある。このような場合でも、本実施形態のくし目ゴテ(10)を用いることにより床下地(1)の全域に接着剤を十分な塗布量で均一に塗布することができる。すなわち本実施形態のくし目ゴテ(10)は、開口上側縁部(21)の正面および背面の双方に、開口部(20)に連通する開口部連通凹部(25)(25)を形成するものであるため、図5(b)に示すように、くし目ゴテ(10)を傾斜(前傾)させて配置したとしても、開口部連通凹部(25)が存在することによって、その連通凹部(25)から開口部(20)にかけての部分が接着剤通り抜け部分として構成される。この接着剤通り抜け部分は、高さ(H)を減少させずに高く維持することができ、接着剤の塗布量を十分に確保することができる。従って本実施形態では、糊山が低過ぎるなどの接着剤不足による接着強度の低下を有効に防止することができ、床材の剥離や浮き上がりを確実に防止できて、良好な仕上げ床面を形成することができる。
特に本実施形態においては、閉塞部(30)の外周面(32)を半円周面に形成するとともに、開口上側縁部(21)の外周面(22)を半円周面に形成し、両円周面の中心を一致させているため、くし目ゴテ(10)の床下地(1)に対する角度にかかわらず、接着剤通り抜け部分の高さ(H)を一定にすることができる。つまり、くし目ゴテ(10)をその角度姿勢に注意を払わずに、気軽に操作することによっても、接着剤を適切な量で塗布できるため、操作性を格段に向上させることができ、接着剤塗布作業を容易に行うことができる。しかもくし目ゴテ(10)の角度姿勢にかかわらず、接着剤の塗布量を一定できるため、上記の接着剤不足はもちろん、接着剤過多も確実に防止でき、床材敷設後における余分な接着剤の漏れ出しやはみ出しも有効に防止でき、施工作業を効率良くスムーズに行うことができる。
また本実施形態のくし目ゴテ(10)においては、開口上側縁部(21)の正面および背面の双方に開口部連通凹部(25)(25)を形成しているため、正面および背面のいずれを先行面として前傾姿勢で使用したとしても、上記したように、接着剤の通り抜け量(塗布量)を適切に調整することができ、接着剤不足や接着剤過多を確実に防止することができる。従って作業者は、くし目ゴテ(10)の表裏(正面および背面)に関して注意を払うことなく使用できて、使い勝手が良くなるため、より一層作業性を向上させることができる。
さらに本実施形態においては、閉塞部(30)の外周面(32)を円周面に形成しているため、くし目ゴテ(10)の床下地(1)に対する角度姿勢を変更するような場合には、外周面(32)に沿ってスムーズに角度変更を行うことができ、より一層操作性を向上させることができる。
なお上記実施形態においては、閉塞部(30)の外周面(32)および開口上側縁部(21)の外周面(22)を円周面に形成するようにしているが、本発明においては、閉塞部の外周形状や、開口上側縁部の外周形状は上記実施形態のものだけに限定されるものではない。
たとえば図6(a)(b)に示すように閉塞部(30)を側面視(断面視)において矩形状に形成したり、同図(c)に示すように閉塞部(30)における下端面と表裏両面との間のコーナー部に面取り部を形成するようにしても良い。
また同図(a)に示すように、開口部上側縁部(21)を断面視において矩形状に形成したり、同図(b)に示すように開口部上側縁部(21)を上記実施形態に比べて半径の長い半円形に形成したり、同図(c)に示すように開口部上側縁部(21)を、下方に向かうに従って細くなる三角形状に形成したり、同図(d)に示すように開口部上側縁部(21)を多角形状に形成するようにしても良い。
さらに同図(b)〜(d)に示すように、開口部上側縁部(21)の下端面と表裏両面との間のコーナー部を面取り状に切り取って、面取り状の開口部連通凹部(25)を形成するようにしても良い。
また上記実施形態においては、開口部(20)を正面視において矩形状に形成するようにしているが、本発明において、開口部(20)の形状は特に限定されるものではない。たとえば開口部を正面視逆V字状(山型形状)に形成するようにしても良い。この場合、V字状開口部の縁部に沿って、面取り状に開口部連通凹部を形成することによっても、上記と同様に、同様の作用効果を得ることができる。
なお本実施形態のくし目ゴテ(10)は、床下地(1)の全域に接着剤をバラツキなく均一な塗布量で塗布することができるため、以下に詳述するように、柔軟性ないし弾力性を有して施工性に優れた床材(5)を施工するに際し、より効果的に用いることができる。
すなわち図7,8に示すように、この木質床材(5)は、基材(6)上に化粧層(7)が設けられた積層構造を基本的な構成として備え、基材(6)は、中間の高比重層(6b)の上下両面に上側木質層(6c)および下側木質層(6a)が積層されて構成されている。
木質層(6a)(6c)は、木質繊維板により構成されている。木質繊維板としては、接着剤をバインダーとして木質繊維を成形したものや、木質繊維にポリエチレンテレフタレート樹脂などの合成樹脂の繊維やガラス繊維などの無機繊維などを適宜混入分散させたものを好適に用いることができる。
木質繊維板としては、比重(密度)が0.35(g/cm3 )以上のもの、好ましくは0.7(g/cm3 )以上のもの、より好ましくは0.8(g/cm3 )以上のもの、より一層好ましくは0.9(g/cm3 )以上のものを用いるのが良い。すなわちこの比重が小さ過ぎる場合には、硬さを十分に確保することができず、耐落下傷性の低下を来たし、床面上に物品を落下させてしまった際に、凹み傷が生じる恐れがある。
更に木質繊維板としては、厚さが、2.0mm以下のものを用いるのが良く、好ましくは0.3〜1.5mmのもの、より好ましくは下限値が0.4mm以上のものを用いるのが良い。
すなわち厚過ぎる場合には、床材全体が硬くなり、カッターナイフやハサミでの切断を容易に行うことができず、床材全体として適度な柔軟性を得ることができず、木質繊維板が放湿により収縮して、床材として谷反り方向の応力が発生した際に、谷反りを戻す方向に対する弾性反発力が大きくなり、谷反りを矯正できず、床材端部が浮き上がったり、床材間に隙間が形成される恐れがある。更に床施工後に、木質繊維板の吸放湿による伸縮が大きく、吸湿にて床材間に突き上げや盛り上がりが生じる恐れがあり、放熱や加熱によって床材間に大きな隙間や床材自体に端部が持ち上がるなどの不具合が生じる恐れがある。
逆に薄過ぎる場合には、床材としての剛性が低下し、床下地(1)に段差があると、その段差に沿って床材が変形し、段差による線模様が床材表面に表出する恐れがある。
本実施形態においては、基材(6)における上側木質層(6c)及び下側木質層(6a)は、厚さが同等に形成されている。このため、厚さ方向の材料配置のバランスが良く、床材としてのフラット性を十分に確保でき、反りが生じ難くなっている。
もっとも本発明においては、基材(6)として、下側木質層(6a)がないもの、つまり高比重シートからなる高比重層(6b)に、木質繊維板からなる木質層(6c)が積層されたものも採用することができる。
高比重層(6b)は、高比重シートにより構成されている。この高比重シートは、上側木質層(6c)及び下側木質層(6a)により挟持されることにより、床材として、床下地(1)の凹凸に馴染む適度な柔軟性を得ることができる。
高比重シートとしては、例えば軟質の合成樹脂、合成ゴム系樹脂、合成樹脂系ゴムなどの合成樹脂(高分子材料)に炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの高比重の無機物粉体や、鉄、鉛などの金属製粉体からなる充填材(増量材)が混入された組成物により得られるものを好適に用いることができる。
高比重シートの主成分としての合成樹脂は、複数のものが混合された混合物であっても良く、更に硬質の合成樹脂が含まれていても良い。
更にこの合成樹脂としては、廃棄後の焼却処理を考慮した場合、有害ガスを発生する塩素を含まないものを用いるのが良い。
またこの合成樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂に配合されるような可塑剤が含まれていないもの、例えば合成ゴム系樹脂、合成樹脂系ゴムなどのゴム成分が含まれるものなどを用いるの良い。すなわち、可塑剤が含まれている場合、床材として長期間使用している間に、可塑剤が徐々に蒸発して収縮し変形する恐れがある。更に高比重シート全体に分散している可塑剤が木質繊維板との接着面に移行し、層間剥離を生じさせる恐れがある。
高比重シート用の具体的な組成物としては、ポリエチレン系樹脂と、エチレン・プロピレン・ラバー(ゴム)と、炭酸カルシウムとが配合されたものを好適例として挙げることができる。
また、高比重シートとしては、比重(密度)が1.0〜3.0(g/cm3 )のものを用いるのが良く、好ましくは1.5〜2.5(g/cm3 )のものを用いるのが良い。すなわちこの比重が小さ過ぎる場合には、敷設施工時の安定性が低下する恐れがある。逆に比重が大き過ぎる場合には、床材自体の高重量化を来たし、施工作業性など、取扱性の低下を来す恐れがある。
本発明において、高比重シートとしては、厚さが、上下いずれかの木質繊維板(木質層)の厚さに対し、同等から10倍の範囲(1〜10倍)のものを用いるのが良く、好ましくは下限値が2倍以上、上限値が7倍以下、より好ましくは下限値が3倍以上、上限値が6倍以下のものを用いるのが良い。すなわち厚過ぎる場合には、基材における高比重シートの熱膨張による影響が大きくなり、施工した床面の床材接合部に隙間が生じる恐れがある。逆に薄過ぎる場合には、温湿度変化に伴う挙動が、高比重シートよりも木質繊維板の方が大きくなるため、施工後、木質繊維板の吸放湿によって、床材接合部に突き上げや隙間が生じる恐れがある。
また別の観点から見て、本実施形態においては、上下いずれか一方の木質繊維板(木質層)の比重を「df」、厚さを「Tf」とし、高比重シート(高比重層)の比重を「dr」、厚さを「Tr」としたとき、dr・Tr≧6×df・Tfの関係、好ましくはdr・Tr≧10×df・Tfの関係の関係を成立させるのが良い。換言すれば、高比重シートにおける比重と厚さの積(単位面積当たりの質量)が、木質繊維板の比重と厚さの積に対し、4倍、好ましくは6倍、より好ましくは10倍以上に設定するのが良い。
すなわちこれらの厚さ関係や単位面積当たりの質量関係が、上記の特定値に満たない場合には、高比重シートが、木質繊維板の伸縮挙動による影響を受け易くなり、床材(5)の谷反りを十分に抑制できなくなる恐れがある。これにより、床材(5)を接着剤によって接着施工した際に、床材(5)に谷反りが生じて、床材端部が浮かび上がったり、隣り合う床材間に隙間が形成されるなどの不具合が生じる恐れがある。
また比重と厚さの積の上限値は、特に限定されるものではないが、高温環境下での使用時などにおいて、床下地(1)に段差がある場合、高比重シートの軟化に伴って床材全体が変形しないことを考慮して設定すれば良く、通常は、17倍程度に設定される。なおこの際、当然のことながら、上下の木質層(6a)(6c)の厚さや剛性も考慮される。
また本発明においては、高比重層(6b)として、硬度(JISK6253のデュロメーター硬さ試験タイプAに準拠)が80°以上のものが用いられてなる構成を採用するのが好ましい。
すなわち、高比重シートとして、JISK6253「加硫ゴム硬さ試験方法」記載のデュロメーター硬さ試験タイプAに準拠した硬度が、80°以上のものを用いるのが良く、より好ましくは硬度が85°〜95°のものを用いるのが良い。
この硬度が80°未満の場合には、床材表面に物品が落下した際に、その荷重を高比重シートによって十分に受け止めることができず、凹み傷が発生する恐れがある。更に硬度が85°〜95°の場合には、床下地(1)に0.5mm程度の段差があろうとも、その段差による影響が床材表面に及ぶことがなく、床材表面に段差による線模様などが表出されず、良好な仕上がり具合を得ることができる。
なお、この硬度が95°を超える場合には、熱による伸びが大きくなり、谷反り発生の要因となる恐れがあり、好ましくない。
本実施形態においては、化粧層(7)としては、天然木や人工杢からなる木質単板、模様印刷樹脂シート、模様印刷紙、表面塗装、天然木や人工杢に木目印刷を施したもの、さらには木質繊維板(上側木質層73)に隠蔽処理を施してその上に木目印刷したもの等、あるいはそれらの組合せにて形成されたものを好適に用いることができる。
木質単板は、湿潤単板でも乾燥単板でも良いが、乾燥単板は木質繊維板への積層接着部の水分量変化が少ないので望ましい。また化粧層(7)の厚さは任意であるが、0.2〜0.6mm程度が通常採用され、好ましくは0.2〜0.4mm程度が良い。
本実施形態においては、上記高比重シートからなる高比重層(6b)の上下両面に接着剤を介して、上記木質繊維板からなる上下木質層(6a)(6b)が積層接着されて、基材(6)が形成されるとともに、その基材(6)上に接着剤を介して化粧層(7)が積層接着されるものである。
ここで、本発明において、接着剤としては、ホットメルト系(反応性ホットメルト系)、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系などの溶剤や水などの溶媒を含まない接着剤を用いるのが好ましい。
すなわち、接着剤として通常用いられるメラミン系、フェノール系、水性ビニルウレタン系などのものは水分などの溶媒を含むため、その溶媒が木質繊維板に浸透し、接着剤硬化後も溶媒が残留し、有害な反りなどの変形を生じる要因となる恐れがあるからである。なお、上側木質層(6c)と下側木質層(6a)との間に接着剤の残留量の相違や、放散の不均等が生じると、反りが生じる恐れは否定できない。
高比重シートに木質繊維板を接着する場合、高比重シートの各面に1枚ずつ木質繊維板を積層接着しても良いし、高比重シートの両面に2枚の木質繊維板を同時に積層接着するようにしても良い。
木質繊維板や化粧層の積層接着工程は、熱圧下で及び冷圧下のいずれで行っても良いが、熱圧では、高比重シートが熱にて膨張するため、その膨張を防止できるよう、冷圧で行うのが良い。
更に化粧層の基材(6)への積層接着工程では、接着剤が塗布された基材(6)に化粧層を圧着する際、ホット・コールド方式で行っても良い。また基材(6)に接着剤を塗布する前に、基材表面あるいは表裏両面を加熱すれば、接着剤の塗布作業、接着剤の良好付着、接着の安定等の面で望ましい。
本実施形態において、冬季などの低温の作業環境で基材(6)を製造する場合には、高比重シート(6b)を予備加熱した状態で、木質繊維板を接着剤を介して接着積層し、その養生前の基材(6)を、接着剤が硬化するまでの期間、加熱下で養生するのが良い。
すなわちこの製法においては、高比重シートを木質繊維板に接着する前に予備加熱することにより、高比重シートの内部応力を取り除いて熱膨張させておき、その状態で木質繊維板に接着して、加熱下で養生するものであるため、床材施工後に、ホットカーペットなどにより加熱されたとしても、高比重シートが熱膨張が小さくなり、床材に有害な反りが発生するのを、より確実に防止でき、床材端部が浮き上がったり、床材間に隙間が形成されるのを、より確実に防止することができる。
なお、上記予備加熱時の温度や、養生時の温度は、ホットカーペットにより加熱されたときの床材温度に合わせて、40℃程度以上に設定するのが良い。
また養生時間は、接着剤の硬化が終了するまでの時間に設定すれば良いが、余裕を見て、その時間よりも長く設定しても良い。
参考までに、接着剤としてエポキシ樹脂系のものを用いる場合、養生時間は15時間以上に設定するのが適当である。
本実施形態において、床材(5)は、全体厚さが、2〜9mmに設定されてなる構成を採用するのが良く、より好ましくは下限値が2.5mm以上、上限値が6.0mm以下に設定されてなる構成を採用するのが良い。
すなわちこの全体厚みが薄過ぎるものは、製造が困難になる。逆に厚過ぎるものは、高重量化を来たし、取扱が困難になるばかりか、剛性が高くなり、柔軟性の低下により、床下地(1)への馴染み性が低下するとともに、切断作業も困難になる恐れがある。
本実施形態において、床材(5)の形状は、平面視で長方形などの矩形状に形成されるものであるが、その形状は特に限定されるものではなく、例えば平面視で正方形に形成するようにしても良い。
また床材(5)の周囲には、隣合う床材同士を接合する接合部が設けられている。すなわち床材(5)の周囲4辺における隣合う2辺には、上じゃくり部(下突起部5b)が形成されるとともに、残りの2辺には、上じゃくり部(5b)に係合可能な下じゃくり部(上突起部5a)が形成されている。
なお本発明においては、接合部の構成は、上記のものに限られることはなく、例えば隣合う2辺に雄ざね部、残りの2辺に雌ざね部を形成するようにしても良く、このさね加工と、上記相じゃくり加工のほか、相じゃくり実矧ぎ加工などを併用するようにしても良い。
本発明において、床材(5)は、通常、平面視長方形や正方形などの方形状に形成されるものである。
以上の構成の床材(5)が、隣り合う床材間において相じゃくり接合を行いつつ、床下地(1)に接着剤(粘着剤)を介して敷設される。
なお上記実施形態においては、木質床材を接着施工する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明は、他の床材、たとえばクッションフロア、タイルカーペット、カーペット、防水シート、ビニールシート、塩化ビニールタイル、リノリウムなどを接着施工する場合にも適用することができる。
さらに本発明は、床材に限られず、壁材や天井材などを接着施工する場合にも適用することができる。
1…床下地
5…床材
10…くし目ゴテ
15…くし目部
20…開口部
21…開口上側縁部
25…開口部連通凹部
30…閉塞部
5…床材
10…くし目ゴテ
15…くし目部
20…開口部
21…開口上側縁部
25…開口部連通凹部
30…閉塞部
Claims (5)
- 下端縁に沿って切欠状開口部および閉塞部が交互に設けられるくし目部を有し、そのくし目部によって施工面上の接着剤を掻きならすようにした接着剤塗布用くし目ゴテであって、
前記くし目部における前記開口部の上側縁部(開口上側縁部)に、その正面および背面のうち少なくともいずれか一方に、前記開口部に連通する開口部連通凹部が形成されることを特徴とする接着剤塗布用くし目ゴテ。 - 前記開口部連通凹部が断面凹段形状に形成されるとともに、その凹部が前記開口上側縁部の正面および背面の双方に形成されて、前記開口上側縁部の断面が、下向きに突出した凸部形状に形成される請求項1に記載の接着剤塗布用くし目ゴテ。
- 前記閉塞部における下端面と、正面および背面との間のコーナー部が円弧状に形成される請求項1または2に記載の接着剤塗布用くし目ゴテ。
- 前記閉塞部の下端部が、半円形の断面形状に形成されるとともに、前記開口上側縁部の下端部が、前記閉塞部の下端部に対し、相似形をなし、かつ中心が一致する半円形の断面形状に形成される請求項2に記載の接着剤塗布用くし目ゴテ。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載された接着剤塗布用くし目ゴテを準備する工程と、
前記くし目ゴテを用いて、床下地上に塗工した接着剤を掻きならす工程と、
掻きならされた接着剤を介して、床下地上に木質床材を複数並べて敷設する工程と、を含む床材施工方法。
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JP2006115170A JP2007285041A (ja) | 2006-04-19 | 2006-04-19 | 接着剤塗布用くし目ゴテおよび床材施工方法 |
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JP2014064984A (ja) * | 2012-09-25 | 2014-04-17 | Ngk Insulators Ltd | ハニカム構造体の外周塗工方法 |
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2006
- 2006-04-19 JP JP2006115170A patent/JP2007285041A/ja active Pending
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TWI687575B (zh) * | 2013-11-05 | 2020-03-11 | 美商波音公司 | 鏝刀 |
US10787825B2 (en) | 2013-11-05 | 2020-09-29 | The Boeing Company | Trowel |
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