JP2007284642A - 顔料分散剤、顔料組成物、及び顔料分散体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリアリルアミンと、アミノ基と反応しアミド結合を形成する官能基を片末端に有するビニル共重合体とを反応させてなる変性ポリアリルアミンを主成分とすることを特徴とする顔料分散剤、該顔料分散剤と顔料と含む顔料組成物、及び顔料分散体。
【選択図】 なし
Description
しかし、微細な顔料粒子からなる分散体は往々にして高粘度を示し、製品の分散機からの取り出し、分散機からタンク等への移送が困難となるばかりでなく、更に悪い場合は貯蔵中にゲル化を起こし使用困難となることがある。また、顔料を混合して使用する場合、顔料の凝集による色分かれや沈降などの現象により、展色物において、色むらや著しい着色力の低下を引き起こすことがある。さらに、展色物の塗膜表面に関しては光沢の低下、レベリング不良等の状態不良を生ずるなどの問題を生じる。
これらの問題を解決する目的で、従来から、予め、顔料分散剤や分散助剤と称される顔料と親和性の高い樹脂に顔料を高い濃度で分散させた顔料ペーストを作成し、該ペーストに、コーティングあるいはインキ適性に応じた樹脂を加えて粘度を調整した、(カットダウンと呼ばれる)、コーティングあるいはインキとする手法が行われており、該顔料ペーストに使用する顔料分散剤や分散助剤の提案も数々なされている。
いずれも、アミノ基を有する高分子化合物のアミノ基の一部分をビニル樹脂で置き換えることで、上記2つの機能を付与した高分子化合物である。また、アミノ基を置き換える量を調節することで、ビニル樹脂の導入量及び塩基性の調節が比較的容易である。
また(3)の顔料分散剤は、グラフト結合部に2級アミノ基が生じるため、塩基性のバランスをとることが困難であり、顔料種によっては顔料に対する親和性が強すぎることにより分散性が劣ることがあった。
即ち、これらを分散剤としてなる顔料組成物をインキとして用いると、顔料や樹脂の種類によっては流動性、塗膜光沢が不十分となることがあった。また、これらの顔料組成物からなる塗料、インキ等は貯蔵安定性が悪く、保存中に流動性が低下する場合があった。
本発明の顔料分散剤は、ポリアリルアミンと、アミノ基と反応しアミド結合を形成する官能基を片末端に有するビニル共重合体(以下、ビニル重合体(A)という。)とを反応させて得られる変性ポリアリルアミンを主成分とする。
本発明で使用するポリアリルアミンは、アリルアミンを重合開始剤の存在下、場合によっては連鎖移動触媒存在下で公知の方法により重合させて得てもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、日東紡績株式会社よりPAA−01、PAA−03、PAA−05、PAA−15、PAA−10C等のポリアリルアミンシリーズとして市販されている。
本発明で使用するビニル重合体(A)において、アミノ基と反応しアミド結合を形成する官能基としては、カルボキシル基、クロロホルミル基などのハロホルミル基、メトキシカルボニル基などのオキシカルボニル基が挙げられる。中でもカルボキシル基がビニル共重合体に容易に導入することができ好ましい。
片末端にカルボキシル基を有するビニル共重合体を得るには、例えば、重合時にカルボキシル基を有する連鎖移動剤の共存させる方法が挙げられる。カルボキシル基を有する連鎖移動剤としては、例えば、メルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸などのチオカルボン酸類が挙げられる。また、4,4’−アゾビス−4−シアノペンタン酸などカルボキシル基を有する重合開始剤を用いて重合性単量体をリビングラジカル重合法により合成する方法によっても得ることができる。
但し、アミノ基と反応しアミド結合を形成する官能基、例えばカルボキシル基と同等あるいはそれ以上にアミノ基との反応性が高い官能基を有する重合性単量体は、使用しないことが好ましい。該重合性単量体を原料に含んだビニル重合体は、該ビニル共重合体の末端だけでなく、共重合体の主鎖にランダムに該官能基がグラフトされるので、ポリアリルアミンとの反応中にゲル化したり、得られる顔料分散剤の性能が低下するおそれがある。具体的には、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等の重合性単量体は、アミノ基に対して高い反応性をもつ基を有するので、ビニル重合体(A)の原料としては使用しないことが好ましい。
ポリアリルアミンとビニル重合体(A))との反応は、例えば、窒素ガス気流下、200℃以下で行うことが出来る。反応にはスズ系やチタン系などの公知の重合触媒を使ってもよい。また必要に応じて、反応に関与しないトルエン、キシレン、ソルベッソ等の非反応性溶剤を使用することができる。使用した溶剤は必ずしも除去する必要はなく、そのまま顔料分散剤の1成分として使用することも可能である。
アミン価Aは、原料として用いるポリアリルアミンのアミン価を反応に用いるビニル重合体(A)とポリアリルアミンの総重量で除することで算出できる。アミン価Bは、反応後のアミン価を実測することで得ることができる。
酸価Cは、具体的には、ビニル重合体(A)のアミド結合を形成させる官能基を全て加水分解によりカルボキシル基に置換した時のビニル共重合体(A)の酸価を算出し、その酸価を、ビニル重合体(A)とポリアリルアミンの総重量で除することで算出できる。
Yの値が2.0を越える場合、使用する顔料によっては顔料分散性が低下する傾向にあるため、できるだけ2.0を越えないことが好ましい。
本発明の顔料分散剤は、変性ポリアリルアミンの製造時に用いた非反応性溶剤を含有していても良く、また製造時に用いた非反応性溶剤を留去した後に別の溶剤を新たに加えてもかまわない。
また、本発明の顔料分散剤には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記変性ポリアリルアミン以外の成分を若干含んでいても構わない。本発明において「主成分」とは、本発明で使用する変性ポリアリルアミンを本発明の効果が得られる範囲で含んでいればよいことを示す。具体的には、固形分成分として前記変性ポリアリルアミンの含有量が90%以上であれば、変性ポリアリルアミンと顔料並びに溶剤との親和性が強固であるため、他の成分を含んでいても本発明の効果を十分発揮することができる。他の成分としては、例えば、上記変性ポリアリルアミンを製造時に生じる副生成物や、あるいは、非反応性熱可塑性樹脂等が挙げられる。
本発明の顔料組成物は、前記顔料分散剤および顔料を含む。本発明の顔料分散剤は、通常、顔料に対して顔料分散剤(変性ポリアリルアミン)換算にて1〜200重量%使用される。
前記顔料組成物に含まれる顔料としては、一般にインキまたは塗料に使用可能なすべての有機顔料、無機顔料およびカーボンブラックが使用できる。有機顔料としては、特に限定はないが、例えばキナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、アゾ系顔料等が挙げられる。無機顔料としては二酸化チタン、酸化鉄、硫化カドミウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、黄鉛などが挙げられる。 カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等が挙げられる。
本発明の顔料分散体は、前記顔料分散剤および顔料が液状媒体に分散されているものである。本発明の顔料分散体は、本発明の顔料分散剤を含有する以外は特に限定はなく、公知の調整方法で公知の材料を使用して得ることができる。具体的には、顔料、本発明の顔料分散剤、液状媒体、バインダー、その他適宜添加剤、必要に応じて他の顔料分散剤を混合して、一般的にインキや塗料の製造に使用される顔料分散体の調製方法により製造することができる。
また、合成例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は、いずれも質量換算である。
キシレン100部とチオグリコール酸10部を、窒素気流中80℃に保ち、攪拌しながらメタクリル酸メチル54部、アクリル酸ブチル36部、および重合開始剤(「パーブチル(登録商標)O」〔有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製〕)2部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間ごとに「パーブチル(登録商標)O」0.5部を添加し、80℃で12時間攪拌した。反応終了後不揮発分調整のためキシレンを加え、不揮発分50%の、片末端にカルボキシル基を有するビニル共重合体のキシレン溶液(1−A)を得た。該樹脂の質量平均分子量は5000、酸価は60.5mgKOH/gであった。
キシレン100部を、窒素気流中80℃に保ち、攪拌しながらメタクリル酸メチル53.5部、アクリル酸ブチル36部、メタクリル酸0.5部、および重合開始剤(「パーブチル(登録商標)O」〔有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製〕)2部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間ごとに「パーブチル(登録商標)O」0.5部を添加し、80℃で12時間攪拌した。反応終了後、不揮発分調整のため適宜量のキシレンを添加し、不揮発分50%の、カルボキシル基を有するランダムビニル共重合体のキシレン溶液(1−B)を得た。該樹脂の質量平均分子量は12000、酸価は3.5mgKOH/gであった。
撹拌機,還流冷却器,窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコに、キシレン100部とポリアリルアミン20%水溶液(日東紡績(株)製「PAA−05」、数平均分子量約5,000)37.5部からなる混合物を仕込み、窒素気流下撹拌しながら140℃で撹拌し、分離装置を使用して水を溜去すると共に、キシレンを反応溶液に返流しながら、これに合成例1で得たビニル共重合体(1−A) 168.8部を140℃まで昇温したものを加え、8時間140℃で反応を行った。Aの値は80.3、Yの値は0.54であった。反応終了後、不揮発分調整のため適宜量のキシレンを添加し、不揮発分40%の、顔料分散剤(2−A)を得た。該樹脂の質量平均分子量は7,500、アミン価は32.5mg KOH/g、Xの値は0.48であった。
ついで当該顔料分散剤(2−A)7.5部及びフタロシアニン顔料(C.I.ピクメントグリーン36)9部、トルエン23.5部を混合して顔料組成物を得た後、ペイントコンディショナーで、直径1.25mmのジルコニアビーズを用いて、2時間分散し、顔料分散体(3−A)を得た。
撹拌機、還流冷却器、窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコに、キシレン100部とポリアリルアミン20%水溶液(日東紡績(株)製「PAA−05」、数平均分子量約5,000)22.5部からなる混合物を仕込み、窒素気流下撹拌しながら140℃で撹拌し、分離装置を使用して水を溜去すると共に、キシレンを反応溶液に返流しながら、これに合成例1で得たビニル共重合体(1−A) 176.2部を140℃まで昇温したものを加え、8時間140℃で反応を行った。Aの値は47.8、Yの値は0.94であった。反応終了後、不揮発分調整のため適宜量のキシレンを添加し、不揮発分40%、質量平均分子量は9000、アミン価は10.5mg KOH/g、Xの値が0.83である顔料分散剤(2−B)を得た。実施例1において、上記顔料分散剤(2−A)の重合体を上記顔料分散剤(2−B)に代えた外は、実施例1と同様にして顔料分散体(3−B)を得た。
撹拌機、還流冷却器、窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコに、キシレン100部とポリアリルアミン20%水溶液(日東紡績(株)製「PAA−05」、数平均分子量約5,000)56.2部からなる混合物を仕込み、窒素気流下撹拌しながら140℃で撹拌し、分離装置を使用して水を溜去すると共に、キシレンを反応溶液に返流しながら、これに合成例1で得たビニル共重合体(1−A) 159.3部を140℃まで昇温したものを加え、8時間140℃で反応を行った。Aの値は121.2、Yの値は0.33であった。反応終了後、不揮発分調整のため適宜量のキシレンを添加し、不揮発分40%、Xの値が0.35である顔料分散剤(2−C)を得た。該樹脂の質量平均分子量は5000、アミン価は97.5mg KOH/gであった。実施例1において、上記顔料分散剤(2−A)の重合体を上記顔料分散剤(2−C)に代えた外は、実施例1と同様にして顔料分散体(3−C)を得た。
撹拌機,還流冷却器,窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコに、アミン化合物としてポリエチレンイミン(エポミンSP−018,日本触媒化学工業(株)製,平均分子量約1800)7.5部からなる混合物を仕込み、窒素気流下撹拌しながら140℃で撹拌し、分離装置を使用して水を溜去すると共に、キシレンを反応溶液に返流しながら、これに合成例1で得たビニル共重合体(1−A) 168.8部を140℃まで昇温したものを加え、8時間140℃で反応を行った。反応終了後、不揮発分調整のため適宜量のキシレンを添加し、不揮発分40%の、顔料分散剤(2−D)を得た。該樹脂の質量平均分子量は7,500、アミン価は40.5mg KOH/gであった。実施例1において、上記顔料分散剤(2−A)の重合体を上記顔料分散剤(2−D)に代えた外は、実施例1と同様にして顔料分散体(3−D)を得た。
撹拌機,還流冷却器,窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコに、キシレン100部とポリアリルアミン20%水溶液「PAA−05」3.7部からなる混合物を仕込み、窒素気流下撹拌しながら140℃で撹拌し、分離装置を使用して水を溜去すると共に、キシレンを反応溶液に返流しながら、これに合成例2で得たビニル共重合体(1−B) 185.6部を140℃まで昇温したものを加え、8時間140℃で反応を行った。反応終了後、不揮発分調整のため適宜量のキシレンを添加し、不揮発分40%の、顔料分散剤(2−E)を得た。該樹脂の質量平均分子量は7,500、アミン価は5.5mg KOH/gであった。実施例1において、上記顔料分散剤(2−A)の重合体を上記顔料分散剤(2−E)に代えた外は、実施例1と同様にして顔料分散体(3−E)を得た。
撹拌機,還流冷却器,窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコに、ピリジン42部、キシレン40部とポリアリルアミン20%水溶液(日東紡績(株)製「PAA−05」、数平均分子量約5,000)13.5部からなる混合物を仕込み、窒素気流下撹拌しながら140℃で撹拌し、分離装置を使用して水を溜去すると共に、キシレンを反応溶液に返流しながら、これに片末端にメタクリロイル基を有するポリメチルメタクリレート(AA−6;東亜合成化学(株)製)27部を140℃まで昇温したものを加え、6時間140℃で反応を行った。反応終了後、フラスコ内の溶液を室温まで冷却し、メタノール500質量部中に再沈し、沈殿物に適宜量のキシレンを添加し、不揮発分40%の、顔料分散剤(2−F)を得た。該樹脂の質量平均分子量は7,500、アミン価は80mg KOH/gであった。実施例1において、上記顔料分散剤(2−A)の重合体を上記顔料分散剤(2−F)に代えた外は、実施例1と同様にして顔料分散体(3−F)を得た。
(顔料粒子径判定)
顔料分散体にトルエンを加えて1000倍に希釈した後、粒度分析計(大塚電子社製「FPAR−1000」)を使用して、分散している顔料の粒子径を測定し、初期粒子径とし、次の3段階の基準で判定した。
○ 粒径150nm未満。
△ 粒径150nm以上200nm未満。
× 粒径200nm以上。
顔料分散体を40℃で7日間静置した後、前記粒度分析計を使用して、試料中に分散している顔料の粒子径を測定した。
測定値の初期粒子径に対する変化率が10%以下のものを「○」、10%を超えるものを「×」と評価した
顔料分散体について、E型粘度計を用いてその粘度を測定し増粘の程度を評価した。ここで粘度が低いことは、分散安定性、流動性が安定かつ良好であることを示し、次の3段階の基準で判定した。
○ 粘度100mPa・s未満。
△ 粘度100mPa・s以上粘度200mPa・s未満。
× 粘度200mPa・s以上。
TI値を回転数10rpm時の粘度を回転数100rpm時の粘度で割ることにより算出した。TI値は1に近いほど流動性が良好であることを示す。TI値2.0以下のものを「○」、2.0を超えるものを「×」と評価した
ガラス板に顔料分散体を塗布し、光沢値測定機としてヘイズグロスメーター「BYK Gardner社製」を使用し、測定角度20度で着色画像の光沢を測定した。単一サンプルの3点について測定し、それらを平均した値を光沢値とした。数値が大きいほど光沢が良好であることを示しており、次の3段階の基準で判定した。
○ 光沢値100以上。
△ 光沢値50以上100未満。
× 光沢値50未満。
これに対し、比較例1はポリアリルアミンの代わりにポリエチレンイミンを使用した例、比較例2は、カルボキシル基が片末端ではなくランダムに有するビニル共重合体を使用した例、比較例3は、アミノ結合を介さずにビニル共重合体を付加した例であるが、いずれも分散性、流動性は不十分であり光沢値も低かった。
Claims (6)
- ポリアリルアミンと、アミノ基と反応しアミド結合を形成する官能基を片末端に有するビニル共重合体とを反応させてなる変性ポリアリルアミンを主成分とすることを特徴とする顔料分散剤。
- 前記アミノ基と反応しアミド結合を形成する官能基がカルボキシル基である、請求項1または2に記載の顔料分散剤。
- 前記カルボキシル基を片末端に有するビニル共重合体が、重合時にカルボキシル基を有する連鎖移動剤を添加して得られたものである、請求項3に記載の顔料分散剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の顔料分散剤、及び顔料を含むことを特徴とする顔料組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の顔料分散剤、及び顔料が液状媒体に分散されていることを特徴とする顔料分散体。
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