JP2007283520A - 感熱印刷層、及びこの感熱印刷層を用いた光記録媒体 - Google Patents

感熱印刷層、及びこの感熱印刷層を用いた光記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】サーマルヘッドによる感熱印刷が可能な感熱印刷層、及び光記録媒体を提供する。
【解決手段】サーマルヘッドによる感熱印刷可能な感熱印刷層であって、感熱発色材料、顕色剤、及び硬化性樹脂を含有し、該硬化性樹脂の30℃での弾性率が1000Pa以上、150℃での弾性率が1100Pa以下であることを特徴とする感熱印刷層。及び、感熱印刷層と、光により記録又は再生を行うための記録再生機能層とを有し、記録再生機能層に対して光が入射する面とは反対側の面の上に感熱印刷層が形成されることを特徴とする光記録媒体。
【選択図】なし

Description

本発明は感熱印刷層等に関し、より詳しくは、光記録媒体に好適に用いることが可能な感熱印刷層等に関する。
CD−R、CD−RW、DVD−R、書き換え型DVD等の光記録媒体(以下、「光ディスク」という場合がある。)においては、一方の面は情報の記録・再生を行うための光が入射する面となっており、他方の面はタイトルなどを印刷する印刷表示面として使用されている。
上記光ディスクにおいては、光ディスクに記録されている情報の内容を記録するために上記印刷表示面が用いられることが多い。具体的には、例えば、DVD−Rに記録した映画等のタイトルを、当該DVD−Rの印刷表示面に記載することが行われる。
タイトルの印刷を行うための手法の一つとして、赤外線吸収剤、ロイコ色素、及び顕色剤を紫外線硬化性樹脂中に溶解・分散させた感熱印刷層を、上記印刷表示面側に形成する方法がある(例えば、特許文献1参照)。この方法においては、上記感熱印刷層にレーザ光(780nm)を照射することにより、赤外線吸収剤を発熱させ、更にこの熱によってロイコ色素と顕色剤とを反応させて、感熱印刷層を発色させる(印字を行う)ようにしている。
ところで、上記特許文献1に記載されている印字方法は、レーザ光を用いて感熱印刷層の発色(印字)を行うものである。しかし、レーザ光を用いる方法はレーザ光のスポットを印刷面にスキャンさせて印字を行うものであるため、印刷面全面を印刷するためには長時間を要する。
そこで、上記レーザ光を用いる印字方法に代えて、サーマルヘッドを用いた感熱印刷を行う方法が提案されている(特許文献2の図2参照)。この方法によれば、光記録媒体の感熱印刷層上を、サーマルヘッドを用いて一周スキャンすることにより、印刷面全面に対する印字が可能である。つまり、迅速な印字形成が可能である。
米国特許出願公開第2004/0146812号明細書 特開2000−155989号公報
しかしながら、サーマルヘッドを用いた感熱印刷を行う場合には、印字の際にサーマルヘッドが感熱印刷層表面に接触するため、感熱印刷層には良好な耐擦過傷性が望まれる。また、より高速で印字を可能にするためには、サーマルヘッドにより印加される熱に対して感熱印刷層が速やかに発色すること(良好な発色感度)が望まれる。更に、感熱印刷層の発色状態については、長期に亘り維持されること(良好な印字安定性)が望まれる。
上記特許文献1に記載されている印刷層については、耐擦過傷性(機械的特性)、発色感度(印字特性)、及び印字安定性を高度な次元で両立するという観点からは、なお改善の余地を有するものであった。また、上記特許文献2には、感熱印刷層の組成について具体的な記載はなされていない。
本発明者は、硬化性樹脂(より具体的には紫外線硬化性樹脂)、感熱発色材料、顕色剤を用いた感熱印刷層を有する光記録媒体に対して、サーマルヘッドによる印字速度の速い感熱印刷を適用できないか検討を行ってきた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものである。
つまり、本発明の主たる目的は、サーマルヘッドによる感熱印刷が可能な感熱印刷層を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、硬化性樹脂を用いる感熱印刷層であって、サーマルヘッドによる感熱印刷が可能な感熱印刷層を備える光記録媒体を提供することにある。
上記目的に鑑みて本発明者が鋭意検討した結果、感熱印刷層に用いる硬化性樹脂の30℃における弾性率を高くする一方で、150℃における弾性率を低くすることにより、機械的特性、印字特性、及び印字安定性を高いレベルで満足することのできる感熱印刷層が得られる、ということを見出し、本発明を完成させた。
かくして本発明によれば、サーマルヘッドによる感熱印刷可能な感熱印刷層であって、感熱発色材料、顕色剤、及び硬化性樹脂を含有し、硬化性樹脂の30℃での弾性率が1000Pa以上、150℃での弾性率が1100Pa以下であることを特徴とする感熱印刷層が提供される。
ここで、硬化性樹脂の30℃での弾性率は、2000Pa以上であることを特徴とすることができる。また、硬化性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、60℃以上であることを特徴とすることができる。更に、感熱印刷層は、更に増感剤を含有することを特徴とすることができる。また更に、硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂であることを特徴とすることができる。
また、本発明によれば、上記したいずれかの感熱印刷層と、光により記録又は再生を行うための記録再生機能層とを有し、記録再生機能層に対して光が入射する面とは反対側の面の上に、感熱印刷層が形成されることを特徴とする光記録媒体が提供される。
感熱印刷の際の印字特性(印字画質)を向上させる観点からは、印字の際の感熱発色材料と顕色剤との接触を促進させて発色感度を上げることが好ましい。このような観点から、本発明においては、感熱印刷層に用いる硬化性樹脂の150℃における弾性率を小さくする。これにより、感熱印刷の際の感熱印刷層が到達する温度領域において硬化性樹脂の軟化が促進され、感熱発色材料と顕色剤との接触が促進される結果、発色感度(印字特性)が向上するものと考えられる。この点については、サーマルヘッドによる感熱印刷もレーザ光を用いる印字も同様である。
一方、サーマルヘッドを用いる場合には、感熱印刷の際にサーマルヘッドが感熱印刷層上を摺動することとなる。従って、感熱印刷層の表面硬度を確保しないと、サーマルヘッドでの印字の際に感熱印刷層に傷がつきやすくなるか、サーマルヘッドが摺動しにくくなる。このような観点から、本発明においては、硬化性樹脂の30℃における弾性率を比較的高くしている。
ところが、硬化性樹脂の30℃における弾性率を高くするに伴って、150℃の弾性率も高くなるのが一般的である。逆に、硬化性樹脂の150℃の弾性率を小さくするに伴って、30℃における弾性率も小さくなるのが一般的である。従って、30℃における弾性率を高くしつつ、150℃における弾性率を小さく抑えることは、相反する2つの要素をバランスよく制御することを意味し、容易なことではない。本発明では、鋭意検討の結果、硬化性樹脂の分子構造を工夫すること等により、上記相反する2つの要素を同時に満たすことが可能となった。
本発明によれば、サーマルヘッドによる感熱印刷が可能な感熱印刷層、及び光記録媒体が提供される。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさを表すものではない。
(1)感熱印刷層
本実施の形態において、感熱印刷層は、感熱発色材料、顕色剤、及び硬化性樹脂を含有するものである。
(感熱発色材料)
感熱発色材料として特に制限はないが、代表的には、ロイコ色素を挙げることができる。ロイコ色素としては、記録材料として一般に使用されているものから適宜選択して使用することが出来る。具体的には、ロイコ色素としては、フルオラン化合物やフタリド化合物を挙げることができる。
フルオラン化合物としては、例えば、3−ジエチルアミノ−7−クロロアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−エチル(エトキシプロピル)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−キシリジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トルイジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,6−キシリジノ)フルオラン、等を挙げることができる。
一方、フタリド化合物としては、例えば、クリスタルバイオレットラクトン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド等を挙げることができる。
なお、感熱発色材料は、必要に応じて2種以上の材料を所定の比率で用いてもよいことはいうまでもない。
感熱発色材料は、感熱印刷層中に、通常3重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上含有される。これは、感熱印刷の際の感度を確保しやすくするためである。
一方、感熱発色材料は、感熱印刷層中に、通常50重量%以下、好ましくは45重量%以下、より好ましくは40重量%以下含有される。これは、塗布液の粘度を調整する等により、工業生産性を向上させやすくするためである。
(顕色剤)
顕色剤としては、一般に感熱紙に使用される酸性物質、すなわち電子受容性の化合物が用いられる。顕色剤としては、例えば、フェノール誘導体、芳香族カルボン酸誘導体を用いることができる。
フェノール誘導体の中で好ましい化合物は、少なくとも1個以上のフェノール性水酸基を持つ化合物である。より好ましくはフェノール性水酸基のオルト位の両方または一方が無置換のフェノール誘導体である。
フェノール誘導体としては、例えば、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、p−ヒドロキシアセトフェノン、2’−ジヒドロキシビフェニル、4’−イソプロピリデンジフェノール、4’−イソプロピリデンジフェノール、4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)、4’−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、4’−シクロヘキシリデンジフェノール、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2−ビス(4−ヒトロキシフェニル)ヘキサン、ジフェノール酢酸メチルエステル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロピルオキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル(4’−n−プロポキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4’−チオビス(2−t−ブチル−5−メチル)フェノール、7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−5−ジオキシヘプタン、ノボラック型フェノール樹脂等がある。
一方、芳香族カルボン酸誘導体としては、例えば、安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピルエステル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、没食子酸ラウリルエステル、没食子酸ステアリルエステル、サリチルアニリド、5−クロロサリチルアニリド、5−t−ブチルサリチル酸の亜鉛等の金属塩、ヒドロキシナフトエ酸の亜鉛等の金属塩等が挙げられる。
顕色剤は、必要に応じて、2種以上の材料を所定の比率で用いてもよいことはいうまでもない。
顕色剤は、感熱印刷層に、通常、3重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上含有される。これにより、感熱印刷の際の感度を確保しやすくなる。
一方、顕色剤は、感熱印刷層中に、通常、50重量%以下、好ましくは45重量%以下、より好ましくは40重量%以下含有される。これは、塗布液の粘度を確保しやすくなる等の工業生産性の確保のためである。
(硬化性樹脂)
本発明においては、硬化性樹脂を感熱印刷層に含有させる。硬化性樹脂を用いることにより、感熱印刷層を形成するインクに所定の粘度を付与することができるようになる。このため、感熱印刷層の形成をスクリーン印刷にて行うことができるようになる。この結果、インクの消費量が少なくなり、かつ乾燥工程を不要とできるために、感熱印刷層の生産性を向上させることができるようになる。
硬化性樹脂としては、30℃での弾性率が1000Pa以上、150℃での弾性率が1100Pa以下のものを用いる。上記弾性率を満たしやすい硬化性樹脂としては、熱硬化性の樹脂材料や光硬化性の樹脂材料等を挙げることができる。生産性を考慮すると光硬化性の樹脂材料を用いることが好ましい。
このような光硬化性の樹脂材料としては、生産性を考慮すると、紫外線硬化性樹脂を用いることが好ましい。紫外線硬化性樹脂としては、ラジカル系(ラジカル重合型の)紫外線硬化性樹脂と、カチオン重合型紫外線硬化性樹脂が挙げられ、いずれも使用することができる。
ラジカル系紫外線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性化合物と光重合開始剤とを含む組成物を重合してなる樹脂を挙げることができる。紫外線硬化性化合物としては、例えば、単官能(メタ)アクリレートや、多官能(メタ)アクリレートを、重合性モノマー成分として挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。ここで、アクリレートとメタアクリレートとを併せて(メタ)アクリレートと称する。光重合開始剤としては、光開裂型又は水素引き抜き型のものが挙げられる。本発明においては、ラジカル重合型のアクリル酸エステルを主体とする未硬化の紫外線硬化性化合物を用いて、これを硬化させて感熱印刷層を得ることが好ましい。
一方、カチオン系紫外線硬化性樹脂としては、例えば、カチオン重合型の光重合開始剤を含むエポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA−エピクロールヒドリン型、脂環式エポキシ、長鎖脂肪族型、臭素化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型、グリシジルエーテル型、複素環式系等の化合物が挙げられる。エポキシ樹脂としては、遊離した塩素及び塩素イオン含有率が少ないものを用いるのが好ましい。塩素の量は、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である。カチオン重合型の光重合開始剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩等が挙げられる。
一般に、光硬化性の樹脂材料は、樹脂の骨格となる樹脂主成分であるオリゴマー、反応性希釈剤としてモノマー、光重合開始剤、添加剤等の混合物からなる。ここで、本実施の形態における感熱印刷層には、通常、室温での硬度が大きい、高温での硬度が小さい、硬化収縮が小さい、経時変化の少ない、等の特性が求められる。
硬化性樹脂の30℃における弾性率としては、感熱印刷層の表面硬度を確保しやすく、印字の経時安定性を確保しやすくする観点から、1000Pa以上、好ましくは1500Pa以上、より好ましくは2000Pa以上、さらに好ましくは3000Pa以上である。
また、上記観点から、硬化性樹脂の30℃における弾性率は高ければ高いほど好ましい。しかし、現実的には、30℃における弾性率の上限は、通常5000Pa程度となる。
一方、硬化性樹脂の150℃における弾性率としては、1100Pa以下、好ましくは1000Pa以下、より好ましくは500Pa以下、さらに好ましくは300Pa以下、特に好ましくは100Pa以下である。この範囲とすれば、感熱印刷の際の発色感度を向上させやすくなり、印字特性が向上しやすくなる。
また、硬化性樹脂の150℃における弾性率は、発色感度を確保する観点から、小さければ小さいほど好ましい。しかし、現実的には、150℃における弾性率の下限は、通常5Pa程度となる。
なお、本実施の形態における弾性率とは、一般的に用いられる動的粘弾性測定機にて測定された動的弾性率である。
硬化性樹脂の弾性率の制御は、具体的には、硬化性樹脂の主鎖及び側鎖の構造を制御することによって行うことができる。以下に、30℃における弾性率を大きくする一手法、及び150℃における弾性率を小さく抑える一手法を、硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合を例にとって説明する。
(30℃での弾性率が大きい紫外線硬化性樹脂を得る方法)
紫外線硬化性樹脂の30℃での弾性率を大きくするためには、硬化させて得られる架橋構造のブラウン運動が束縛されるようにすればよい。つまり、架橋密度が高くなるようにすればよい。より具体的には、アクリルモノマーを用いて紫外線硬化性樹脂を形成する場合には、例えば、以下の(a)〜(c)を行うことにより、弾性率が高い紫外線硬化性樹脂を得ることができる。
(a)架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーを用いる。
(b)架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーを用いる。
(c)架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーと架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーとを組み合わせて用いる。
架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーとしては、アクリロイル基1個あたりの分子量が小さい多官能アクリルモノマー(多官能(メタ)アクリレート)を挙げることができる。
多官能(メタ)アクリレートとしては例えば、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの1モルに対して2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの1モルに対して4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに対して3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトール1モルに対して4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たテトラアルコールのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート(例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート又は、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトール1モルに対して6モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たヘキサアルコールのペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらの中でも、弾性率を大きくできる点から好ましいのは、以下の材料である。すなわち、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに対して3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトール1モルに対して4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たテトラアルコールのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール1モルに対して6モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たヘキサアルコールのペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート、等の多官応(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
弾性率を大きくする点から、さらに好ましいのは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレートである。
次に、架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーとしては、剛直な環状構造を有するアクリルモノマーを挙げることができる。
このようなアクリルモノマーの具体例としては、ノルボリナンジメタノールジアクリレート、ノルボルナンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノール1モルに対してエチレンオキサオイド又はプロピレンオキサイドを2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール1モルに対してエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノール1モルに対してエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノール1モルに対してエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらの中でも、弾性率を高くできる観点から好ましいのは、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートである。
このほか、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート等を挙げることもできる。
弾性率を高くできる観点から特に好ましいのは、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレートである。
架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーと架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーとを組み合わせて用いる場合には、以下のようにすればよい。
即ち、上記説明した架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーの具体的な化合物を1以上選択する。さらに、上記説明した架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーの具体的な化合物を1以上選択する。そして、これら化合物を、所望の弾性率にあわせて任意の割合で組み合わせて用いればよい。
(150℃での弾性率の小さい紫外線硬化性樹脂を得る方法)
紫外線硬化性樹脂(より具体的には、ラジカル系紫外線硬化性樹脂)を用いて樹脂層を形成する場合における具体的な手法を以下に説明する。
紫外線硬化性樹脂の150℃での弾性率を小さくするためには、硬化時の密度変化が小さくなるようにすればよい。具体的には、アクリルモノマーを用いて紫外線硬化性樹脂を形成する場合には、アクリロイル基1個あたりの分子量が大きく、柔軟な構造を有するアクリルオリゴマーと単官能アクリルモノマーとを組み合わせる方法を挙げることができる。柔軟な構造を有するアクリルオリゴマー及び単官能アクリルモノマーの含有比率は、所望の弾性率を得るために、適宜制御すればよい。
柔軟な構造を有するアクリルオリゴマーの具体例としては、ポリエーテル或いはポリエステルジオールから成るウレタン(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジアクリレート等のアクリルオリゴマー等を挙げることができる。
単官能アクリルモノマーの具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
(30℃での弾性率を高くしながら、150℃での弾性率を低く抑える方法)
弾性率を高くするためには、硬化させて得られる架橋構造のブラウン運動が束縛されるようにすることが好ましい。具体的には、架橋密度が高くなるようにすることが好ましい。一方で、弾性率を小さくするためには、硬化させて得られる架橋構造のブラウン運動の束縛を少なくすることが好ましい。具体的には、硬化時の密度変化が小さくなるようにすればよい。
そして、30℃での弾性率を高くすることと、150℃での弾性率を低く抑えることとは、上述の通り相反する課題となるが、本実施の形態においてはこれら相反する2つの要素をバランスよく満たす架橋構造を有する紫外線硬化性樹脂を得ることができる。その具体的な方法としては、アクリルモノマーを例にとると、以下の(a)〜(c)のアクリルモノマーの割合をそれぞれ制御しながら架橋構造を得ればよい。より具体的な組み合わせとしては、(a)と(c)との組み合わせ、(b)と(c)との組み合わせ、及び(a)〜(c)の組み合わせを挙げることができる。
(a)架橋密度が高くなるようなアクリルモノマー(アクリロイル基1個あたりの分子量が小さい多官能アクリルモノマー)
(b)架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマー
(c)架橋密度が小さくなるようなアクリルモノマー(アクリロイル基1個あたりの分子量が大きく、柔軟な構造を有するアクリルオリゴマーと単官能アクリルモノマーとを組み合わせる)
ここで、これら(a)〜(c)のアクリルモノマーについては上述の通りである。
なお、本実施の形態における硬化性樹脂の弾性率を制御する観点から、ガラス転移温度(Tg)を指標として選択することも好適である。
硬化性樹脂のガラス転移温度としては、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上とする。この範囲とすれば、30℃での弾性率を高くしやすくなる。
一方、硬化性樹脂のガラス転移温度は、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下、更に好ましくは150℃以下、特に好ましくは130℃以下、最も好ましくは100℃以下とする。この範囲とすれば、150℃での弾性率を低く抑えやすくなる。
なお、本実施の形態において、ガラス転移点は、通常、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry:DSC)、示差熱分析(Differential Thermal Analysis:DTA)、熱膨張測定(Thermomechanical Analysis:TMA)、熱膨張測定(Dilatometry)、誘電緩和測定(Dielectric relaxation)によって測定することができる。好ましくは、示差走査熱量測定(DSC)又は示差熱分析(DTA)を用いる。
また、硬化性樹脂の弾性率を制御するために、硬化性樹脂を形成する組成物中に従来公知の共架橋剤を適宜配合してよいことについては、云うまでもない。
(増感剤)
本実施の形態における感熱印刷層には、増感剤を含有させることが好ましい。増感剤は、通常、発色開始温度を低下させて感熱印刷層の感度を高くするために添加される。増感剤には融点が比較的低いことと、感熱発色材料や顕色剤との良好な相容性が要求される。融点は低過ぎると非画像部の耐熱性を損なう場合があるので、一般的には、80℃〜120℃の融点を持つ化合物が用いられる。このような増感剤としては、具体的には、ナフトール誘導体を用いることができる。
ナフトール誘導体の中でも好ましい化合物は、下記一般式(I)で表される。
Figure 2007283520
上式中、Rは、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基を表す。上記一般式中Rで表される置換基は、さらに置換基を有していてもよい。上記一般式中Rで表される置換基のうち、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数6〜24のアラルキル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数7〜20のアリールカルボニル基がより好ましい。
また、上記一般式中、ナフタレン環はさらに置換基を有していてもよい。これら置換基の好ましい例としては、アルキル基、アラルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基等が挙げられる。
上記ナフトール誘導体において、ナフタレン環の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜25の置換カルバモイル基がより好ましい。
また、上記のナフトール誘導体中、融点が40℃〜150℃の範囲のものが好ましく、特に融点が50℃〜120℃の範囲のものが好ましい。
一般式(I)で表されるナフトール誘導体の具体例としては、例えば、1−ベンジルオキシナフタレン、2−ベンジルオキシナフタレン、2−p−クロロベンジルオキシナフタレン、2−p−イソプロピルベンジルオキシナフタレン、2−ドデシルオキシナフタレン、2−デカノイルオキシナフタレン、2−ミリストイルオキシナフタレン、2−p−t−ブチルベンゾイルオキシナフタレン、2−ベンゾイルオキシナフタレン、2−ベンジルオキシ−3−N−(3−ドデシルオキシプロピル)カルバモイルナフタレン、2−ベンゾイルオキシ−3−N−オクチルカルバモイルナフタレン、2−ベンジルオキシ−3−ドデシルオキシカルボニルナフタレン、2−ベンジルオキシ−3−p−t−ブチルフェノキシカルボニルナフタレン等が挙げられる。
感熱発色材料(例えばロイコ色素)に対する増感剤の添加量は、通常5重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。上記範囲とすれば、感度向上効果を得やすくなる。一方、増感剤の添加量は、感熱発色材料に対して、通常、500重量%以下、好ましくは300重量%以下、より好ましくは200重量%以下、特に好ましくは100重量%以下とする。上記範囲とすれば、材料コストを有効に抑制しやすくなる。尚、2以上の増感剤を併用する場合には、その合計量が、上記範囲内となるようにすればよい。
(その他の添加剤)
感熱印刷層には、発色性向上や記録感度向上等のため、更にワックスを含有していてもよい。このようなワックスとしては、例えば1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、p−ベンジルビフェニル、ナフチルベンジルエーテル、ベンジル−4−メチルチオフェニルエーテル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジルエステル、シュウ酸−ジ−p−クロロベンジルエステル、テレフタル酸ジブチルエステル、テレフタル酸ジベンジルエステル、ステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、2−ナフチルベンジルエーテル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1−(4−メチルフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。感熱記録による記録感度の点からは、融点が120℃以下のワックスが好ましい。上記ワックスは、必要に応じて2種以上を所定の比率で併用してもよいことはいうまでもない。
感熱印刷層には、上述の材料以外にも、必要に応じて各種添加剤を併用することが可能である。例えば、感熱印刷層の耐光性向上のためには、光安定剤を使用することが好ましい。光安定剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、一重項酸素のクエンチャー等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,1,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オキシベンジルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−クロロベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ヘプトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3,6−ジクロル−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3,6−ジクロル−4−エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メチルアクリルオキシ)プロポキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤が挙げられる。
他の紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャリーブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャリーブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシ)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャリーブチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−ターシャリーブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−エトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;
フェニルサリシレート、pーオクチルフェニルサリシレート、p−ターシャリーブチルフェニルサリシレート、カルボキシルフェニルサリシレート、メチルフェニルサリシレート、ドデシルフェニルサリシレート等のサルチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤;
あるいは、p−メトキシベンジリデンマロン酸ジメチルエステル、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のエステル系紫外線吸収剤;
3,5−ジターシャリーブチル−p−ヒドロキシ安息香酸、紫外線により転位してベンゾフェノンとなるレゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジターシャリーブチルフェニル、3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
これら紫外線吸収剤は、必要に応じて、2種以上を所定の比率で併用してもよいことはいうまでもない。
酸化防止剤、老化防止剤としては、例えば、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリターシャリーブチルフェノール、スチレン化フェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビスフェノール、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャリーブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、テトラキス−{メチレン(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)}メタン、p−ヒドロキシフェニル−3−ナフチルアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、チオビス(β−ナフトール)、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンズイミダゾール、アルドール−2−ナフチルアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、トリス(4−ノニルフェノール)ホスファイト等が挙げられる。これら材料は、必要に応じて、2種以上を所定の比率で用いてもよいことはいうまでもない。
一重項酸素のクエンチャーとしては、例えば、カロティン類、色素類、アミン類、フェノール類、ニッケル錯体類、スルフィド類等があるが、例えば、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、β−カロティン、1,3−シクロヘキサジエン、2−ジエチルアミノメチルフラン、2−フェニルアミノメチルフラン、9−ジエチルアミノメチルアントラセン、5−ジエチルアミノメチル−6−フェニル−3,4−ジヒドロキシピラン、ニッケルジメチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−o−エチルホスホナート、ニッケル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−o−ブチルホスホナート、ニッケル{2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)}(n−ブチルアミン)、ニッケル{2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)}(2−エチルヘキシルアミン)、ニッケルビス(2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)}、ニッケルビス{2,2’−スルホンビス(4−オクチルフェノラート)}、ニッケルビス(2−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル−N−n−ブチルアルドイミン)、ニッケルビス(ジチオベンジル)、ニッケルビス(ジチオビアセチル)等が挙げられる。これら材料は、必要に応じて2種以上を所定の比率で併用してもよいことはいうまでもない。
また、感熱印刷層の記録特性、視認性、記録感度等各種性能を損なわない範囲で、上記以外の成分を含有していても良い。
以上説明したワックスや各種添加剤等の任意成分は、1種類のみ使用しても、また複数種併用しても良い。また、上記添加剤の含有量は、感熱発色材料に対して、通常5重量%以上、500重量%以下とする。
(膜厚)
感熱印刷層の膜厚は、通常、1μm以上、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上とする。上記範囲にすることにより、感熱印刷の際の感度を確保しやすくなる。
一方、感熱印刷層の膜厚は、通常、50μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下とする。上記範囲にすることにより、感熱印刷の際に熱が伝わりやすくなり、熱効率を確保しやすくなる。
(製造方法)
感熱印刷層形成用の組成物は、硬化前は、所定の粘度を有する液体状の性状(インクの状態)を有するのが一般的である。このため、感熱印刷層は、通常、以下の方法により製造される。
まず、感熱発色材料、顕色剤、硬化性樹脂、及び必要に応じて所定の添加剤を含有する塗布液を調整する。この際、感熱発色材料、顕色剤、及び所定の添加剤は、塗布液中に溶解していてもよいし分散していてもよい。
そして、上記インクを、スピンコート、バーコート、ブレードコート、エアナイフコート、ロールコート、スプレーコートまたはスクリーン印刷等により、塗布する。その後、塗布膜を硬化させる。
なお、上記製造例では、感熱印刷層を単層で硬化させているが、本発明は、上記製造例に限定されるものではない。例えば、感熱印刷層の下又は上に他の層を塗布し、これら複数の層をまとめて硬化させてもよい。
なお、上記塗布方法の中でも、スクリーン印刷が、厚さの制御が容易であり、インクの使用量も少なくてすみ、生産性が高いことから好ましい。また、感熱印刷層の硬化は、通常、熱又は光を用いるが、好ましくは光を用いる。さらに好ましくは紫外線を用いて硬化させる。光を用いることにより、高い生産性を確保しやすくなり、熱硬化の際の発色剤層の反りの影響を抑制しやすくなり、さらに発色剤層の膜厚の均一性が保ちやすくなる。
紫外線照射源としては、水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が使用される。照射エネルギー量は、通常150mJ/cm以上、好ましくは250mJ/cm以上とする。一方、照射エネルギー量は、通常2000mJ/cm以下、好ましくは1500mJ/cm以下とする。
(感熱印刷層の表面硬度)
本実施の形態においては、感熱印刷の際にサーマルヘッドが感熱印刷層上を摺動した場合にも、感熱印刷層に傷が付き難いことが望まれる。また、感熱印刷の際にサーマルヘッドが感熱印刷層上をスムーズに摺動できるようにすることも望まれる。このため、本実施の形態においては、感熱印刷層の表面硬度を確保することが好ましい。所望の表面硬度は、感熱印刷層の30℃における弾性率を高くすることにより達成されやすくなる。
ここで、感熱印刷層の表面硬度は、例えば、感熱印刷層表面の鉛筆硬度を測定することにより定量することができる。鉛筆硬度とは、JIS−K 5600−5−4に準拠し(但し、荷重は適宜調節する)、感熱印刷層の表面を鉛筆で引っ掻いて、傷が付く限界の鉛筆に定められた「HB」や「2H」などを硬度として表すものである。
感熱印刷層の鉛筆硬度は、サーマルヘッドの接触を考慮して、通常2H以上、好ましくは3H以上とする。一方、感熱印刷層の表面硬度が過度に大きいと、感熱印刷時の発色感度が低下する傾向になる場合があるので、鉛筆硬度の上限は、通常6H以下である。
(2)基材
一般的には、感熱印刷層は基材の上に設けられて使用される。基材は、感熱層への印字ができるようなものを用いればよく、特に限定されない。基材としては、例えば、紙(ラベル、チケット等)、OHP用紙、プラスチック製のカード(IDカード、クレジットカード等)、光記録可能な記録媒体(CD−R、CD−RW、追記型DVD、書き換え型DVD、青色レーザ対応の光記録媒体等)を挙げることができる。
中でも、産業上のニーズが高いという観点から、基材として光記録可能な記録媒体を用いることが好ましい。そこで、以下、光記録可能な記録媒体を基材とし、この基材に感熱印刷層を設ける場合(光記録媒体とする場合)について説明する。
一般的に、光記録媒体は、上記感熱印刷層と、光により記録又は再生を行うための記録再生機能層とを有する。そして、上記記録再生機能層に対して上記光が入射する面とは反対側の面の上に上記感熱印刷層が形成される。
記録再生機能層は、光記録媒体が、再生専用媒体(ROM媒体)の場合と、一度の記録のみ可能な追記型媒体(Write Once媒体)の場合と、記録消去を繰り返し行える書き換え型媒体(ReWritable媒体)の場合とにより、それぞれの目的に応じた層構成を採用することができる。また、記録再生機能層は、記録・再生光の入射方向によって、基板面入射型と、膜面入射型とに分けることができる。
(再生専用媒体の例)
再生専用媒体の場合、記録再生機能層は、通常、所定の大きさのピットが形成された基板と、この基板上に形成された反射層及び保護層を有している。反射層の材料としては、通常、Al、Ag、Au等の金属又はこれらの合金が用いられる。保護層の材料としては、通常、紫外線硬化性樹脂等が用いられる。また、保護層として、例えば、ポリカーボネート等の樹脂製や金属製等の板状部材を用いる場合もある。再生専用媒体の場合、基板面入射型であっても膜面入射型であっても、層構成は同一となる。
再生専用の媒体の場合、記録再生機能層は、通常、スパッタ法により基板上に反射層を成膜し、次に、反射層上に塗布された紫外線硬化性樹脂を硬化させて保護層が形成される。また、保護層として板状部材を用いる場合には、これら板状部材は接着剤により反射層上に接着される。
(追記型の媒体の例1)
追記型の媒体で膜面入射型の媒体においては、記録再生機能層は、通常、基板上に、反射層、記録層、及び保護層をこの順に設けることによって得られる。ここで、記録層と保護層との間に無機材料(例えば、ZnS/SiO)で形成されるバッファー層を設けてもよい。
一方、追記型の媒体で基板面入射型の媒体においては、記録再生機能層は、通常、基板上に、記録層、反射層、保護層をこの順に設けることによって得られる。
反射層の材料としては、通常、Al、Ag、Au等の金属又は合金が用いられる。保護層の材料としては、通常、紫外線硬化性樹脂が用いられる。また、保護層として、樹脂(例えば、ポリカーボネート)や金属等の板状の部材を用いる場合もある。反射層及び保護層の形成方法は、再生専用の媒体と同様とすればよい。尚、保護層に樹脂(例えば、ポリカーボネート)や金属等の板状の部材を用いる場合には、これら部材を接着剤を用いて、記録層、バッファー層、又は、反射層に接着すればよい。
上記追記型の媒体における記録層の材料としては、通常、有機色素が用いられる。このような有機色素としては、大環状アザアヌレン系色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素等)、ポリメチン系色素(シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素等)、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、含金属アゾ系色素、含金属インドアニリン系色素等が挙げられる。特に含金属アゾ系色素は、耐久性に優れる傾向にあるため好ましい。
有機色素により記録層を形成する場合は、通常、有機色素を適当な溶媒に溶解した溶液によるスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート等の塗布方法で成膜される。この際、溶媒としては、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ溶媒、テトロフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール等のパーフルオロアルキルアルコール溶媒、乳酸メチル、イソ酪酸メチル等のヒドロキシエチル溶媒が好適に使用される。
記録層の厚さは、記録方法等により適した膜厚が異なるため、特に限定されないが、十分な変調度を得るために、通常、1nm以上、好ましくは5nm以上であり、特に好ましくは10nm以上である。但し、光を透過させる必要があるため、記録層の厚さは、通常3μm以下であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは200nm以下、更に好ましくは100μm以下である。
(追記型の媒体の例2)
追記型の媒体で膜面入射型の媒体における他の具体例においては、記録再生機能層が、通常、基板上に、反射層、誘電体層、記録層、誘電体層、及び保護層をこの順に設けることによって得られる。一方、追記型の媒体で基板面入射型の媒体における他の具体例においては、記録再生機能層が、通常、基板上に、誘電体層、記録層、誘電体層、反射層、及び保護層をこの順に設けることによって得られる。
反射層の材料としては、通常、Al、Ag、Au等の金属又は合金が用いられる。保護層の材料としては、通常、紫外線硬化性樹脂が用いられる。また、保護層として、樹脂(例えば、ポリカーボネート)や金属等の板状の部材を用いる場合もある。反射層及び保護層の形成方法は、再生専用の媒体と同様とすればよい。
誘電体層の材料としては、通常、無機材料(代表的には、ZnS/SiOやGeCrN)が用いられる。
誘電体層の膜厚は、通常、0.5nm以上、また、通常、50nm以下とする。誘電体層は、必要に応じて、異なる無機材料を複数層積層して形成してもよい(例えば、ZnS/SiO層、及びGeCrN層の積層構造としてもよい)。
誘電体層は、通常、スパッタリングすることによって形成される。
記録層は、通常、無機材料(例えば、Ge・Te、Ge・Sb・Teの様なカルコゲン系合金、Si/Ge、Al/Sb等の2層膜、BiGeN、SnNbN等の(部分)窒化膜、TeOx、BiFOx等の(部分)酸化膜)が用いられる。記録層は、通常、スパッタリングによって形成される。記録層の膜厚は、通常1nm〜50nm程度とされる。
(書き換え可能型の媒体の例1)
書き換え可能型の媒体で膜面入射型の媒体においては、記録再生機能層が、通常、基板上に、反射層、誘電体層、記録層、誘電体層、及び保護層をこの順に設けることによって得られる。一方、書き換え可能型の媒体で基板面入射型の媒体においては、記録再生機能層が、通常、基板上に、誘電体層、記録層、誘電体層、反射層、及び保護層をこの順に設けることによって得られる。
反射層、誘電体層、記録層、及び保護層としては、上記追記型の媒体の例2と同様にすればよい。但し、記録層は、記録・消去を可逆的に行えるような材料とする必要がある。このような材料としては、例えば、SbTe系、GeTe系、GeSbTe系、InSbTe系、AgSbTe系、AgInSbTe系、GeSb系、GeSbSn系、InGeSbTe系、InGeSbSnTe系等の材料が挙げられる。
(書き換え可能型の媒体の例2)
書き換え可能型の媒体としての他の具体例として、光磁気記録媒体(MOディスク)を挙げることもできる。
(共通事項)
記録再生機能層を構成する基板の材料としては、通常、適度な加工性と剛性を有するプラスチック、金属、ガラス等が挙げられる。光記録媒体が基板面入射型の場合は、基板の材料として、入射する光に対して透明である光透過性材料が用いられる。一方、膜面入射型の光記録媒体では基板は入射するレーザ光に対して透明でなくともよい。プラスチック材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
基板の厚さは、0.5mm〜1.2mm程度とするのが好ましい。尚、CD型媒体の場合は、通常、厚さ1.2mmの基板が使用される。また、DVD型媒体の場合は、表面に所定のピットまたはトラッキング用案内溝が形成された厚さ0.6mmの基板が使用され、これに厚さ0.6mmのダミー基板を貼り合わせて調製される。
基板表面には、通常、所定のトラックピッチのトラッキング用案内溝が形成されている。トラックピッチは、記録再生光の波長により異なり、CD系光記録媒体では、通常1.5μm〜1.6μmである。また、DVD系光記録媒体では、通常0.7μm〜0.8μmである。青色レーザ用光記録媒体では、通常0.2μm〜0.5μmである。トラッキング用案内溝の溝深さは、CD系光記録媒体は、通常10nm〜300nmである。DVD系光記録媒体では、通常10nm〜200nmである。青色レーザ用光記録媒体では、通常10nm〜200nmである。
基板は、プラスチック材料を用いる場合は、射出成型等により、円盤状の形状と表面の案内溝が一工程で形成される。金属、ガラス等を用いる場合は、表面に設けられた光硬化性または熱硬化性の薄い樹脂層に溝が形成されている。
また、記録再生機能層には、記録再生領域が設定されている。記録再生機能層が中心孔を有する平板の環状形状の場合は、記録再生領域は、通常、内周径よりも大きい内径と外周径よりも小さい外径との範囲内に設けられる。
(その他)
尚、上記「再生専用媒体の例」、「追記型の媒体の例1」、「追記型の媒体の例2」、及び「書き換え可能型の媒体の例1」においては、記録容量向上の観点から、記録層を複数設けることも行われる。記録層を複数設ける場合、記録容量を考慮し、記録層の数は、通常2層以上、好ましくは3層以上とする。一方、記録層の数は、通常10層以下、好ましくは5層以下とする。
(3)感熱印刷方法と装置
感熱印刷は、サーマルヘッドを用いて公知の方法で行うことができる。感熱印刷の具体的な方法としては、例えば、特開2000−155989号公報に記載されている通りである。
以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。尚、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1,2、比較例1)
表1に示す組成の塗布液を調製した。次に、この塗布液を、ギャップ7μmのドクターブレード(テスター産業株式会社製)を用いてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した。その後、窒素雰囲気下で石英ガラスを介して紫外線を照射(1200mJ/cm)して硬化させ、感熱印刷層を得た。得られた感熱印刷層の鉛筆硬度を測定した。結果を表1に併記した。
更に、上記感熱印刷層に対して感熱プリンター(松下電器産業株式会社製 パナソニック デジタルフォトプリンターNV−AP1)による記録を試みた。このとき、インクリボンと感熱印刷層との間にPETフィルムを挿入した。これは、インクリボン上のインクが感熱印刷層に付着しないようにするためである。印刷性の評価結果を表1に併記した。
Figure 2007283520
(アクリル系樹脂A,B,C)
大日本インキ化学工業株式会社製。なお、上記アクリル系樹脂A〜Cは、モノマー構造(架橋構造)を制御することにより、所望の弾性率を得ている。なお、アクリル系樹脂Cについては、100℃での弾性率が20Paとなっている。このため、150℃での弾性率は、20Paよりも小さい値になることが予想される。
(Irgacure1300)
光開裂型、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製。
(BK400)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
(D−8)
[4−hydroxy−4’−(isopropyloxy)diphenyl sulfone](4−ヒドロキシ−4’−イソプロピルオキシジフェニルスルホン)
(鉛筆硬度)
JIS−K 5600−5−4(但し、荷重は200gとした。)に準拠し、感熱印刷層の表面を鉛筆で引っ掻いて、傷が付く限界の鉛筆に定められた「HB」や「2H」などを硬度として表した。
(印刷性/発色)
以下の基準により評価した。
○:感熱印刷層は黒色に良好に着色(発色)した。
△:黒色に良好に着色(発色)したものの、発色の濃度は実施例1よりも若干劣った。
(印刷性/安定性)
65℃/80%の環境下で24時間放置した後着色部を観察し、以下の基準により評価した。
○:十分に安定であった。
×:実施例1と比較して着色部の濃度低下が大きかった。
表1の結果から、感熱発色材料、顕色剤、及び硬化性樹脂を含有し、該硬化性樹脂の30℃での弾性率が1000Pa以上、150℃での弾性率が1100Pa以下である感熱印刷層(実施例1)は、良好な耐擦過傷性、良好な発色感度、及び良好な印字安定性を兼ね備える感熱印刷層であった。
実施例2の感熱印刷層は、良好な対擦過傷性及び良好な印字安定性を備えるものの、発色感度が若干劣るものであった。発色感度は、感熱発色材料や顕色剤に用いる材料を変えることで改善することが見込まれる。ただ、実施例2の結果から、実使用可能な感熱印刷層を得るためには、硬化性樹脂の150℃での弾性率を1100Pa以下に制御しなければならないことと推測される。また、実施例2の発色感度が実施例1の発色感度よりも若干劣ることを考慮すると、硬化性樹脂の150℃での弾性率を1000Pa以下にすれば、発色感度をより確実に確保することができると考えられる。
一方、30℃での弾性率が1000Pa未満である比較例1の感熱印刷層は、発色感度は良好なものの、印字安定性に劣るものであった。また、鉛筆硬度も明らかに実施例1,2より劣り、耐擦過傷性も不十分な結果となった。
(実施例3)
実施例1で用いた塗布液を、DVD−Rディスク(三菱メディア化学株式会社製)のレーベル面上に、カレンダー加工した#460−27スクリーンを用いてスクリーン印刷した。その後、紫外線照射(600mJ/cm)により塗布液を硬化させた。このようにして、厚さ5μmの感熱印刷層を得た。このようなDVD−Rディスクを6枚作製した。
次に、RIMAGE社製のプリンター(RIMAGE Perfect Image MODEL:CDPR11、CDPR)を用いて上記感熱印刷層に感熱印刷を行った。なお、感熱印刷は、インクリボンを外してサーマルヘッドが感熱印刷層に直接接するようにして行った。そして、感熱印刷の際のサーマルヘッドの動きを、それぞれのディスクについて観察した。
その結果、6枚のDVD−Rディスクのうち、サーマルヘッドの摺動が停止しそうになるディスクが4枚で、サーマルヘッドの摺動が良好に行われたディスクは2枚であった。但し、いずれのディスクについてもサーマルヘッドが完全に停止することはなく、黒色への発色自体は問題なく行うことができた。また、発色感度も良好であった。
(実施例4)
塗布液を実施例2で用いた塗布液としたこと、作製したDVD−Rディスクを2枚としたこと以外は、実施例3と同様にして感熱印刷層を得た。そして、得られた感熱印刷層に対して、実施例3と同様にして感熱印刷を行った。
その結果、2枚のDVD−Rディスクのいずれも、サーマルヘッドの摺動は良好に行われた。ただ、発色感度は、実施例3より若干劣る結果となった。
(比較例2)
塗布液を比較例1で用いた塗布液としたこと、作製したDVD−Rディスクを3枚としたこと以外は、実施例3と同様にして感熱印刷層を得た。そして、得られた感熱印刷層に対して、実施例3と同様にして感熱印刷を行った。
その結果、3枚のDVD−Rディスクのいずれも、感熱印刷層上でサーマルヘッドの摺動が良好に行われなかった(サーマルヘッドが途中で止まってしまい、感熱印刷層全面の印刷が完了しない)。これは、アクリル系樹脂Cの30℃での弾性率が低いために感熱印刷層の表面が柔らかくなる結果、サーマルヘッドの摺動の際に、サーマルヘッドが感熱印刷層の上で引っかかりやすくなるためと考えられる。

Claims (6)

  1. サーマルヘッドによる感熱印刷可能な感熱印刷層であって、感熱発色材料、顕色剤、及び硬化性樹脂を含有し、該硬化性樹脂の30℃での弾性率が1000Pa以上、150℃での弾性率が1100Pa以下であることを特徴とする感熱印刷層。
  2. 前記硬化性樹脂の30℃での弾性率が2000Pa以上であることを特徴とする請求項1に記載の感熱印刷層。
  3. 前記硬化性樹脂のガラス転移温度(Tg)が60℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の感熱印刷層。
  4. 更に、増感剤を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の感熱印刷層。
  5. 前記硬化性樹脂が紫外線硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の感熱印刷層。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の感熱印刷層と、光により記録又は再生を行うための記録再生機能層と、を有し、
    該記録再生機能層に対して前記光が入射する面とは反対側の面の上に、前記感熱印刷層が形成されることを特徴とする光記録媒体。
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