JP2007282269A - 無線装置、送信ウェイト推定方法、および送信ウェイト推定プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 ノイズの影響を除去した高精度の送信ウェイトを推定することにより十分な送信電力による送信を可能にした、無線装置、送信ウェイト推定方法、および送信ウェイト推定プログラムを提供する。
【解決手段】 アダプティブアレイ基地局において、アダプティブアレイ処理手段と、受信応答ベクトル計算手段と、送信ウェイトベクトル推定手段と、重み付け手段とを備える。アダプティブアレイ処理手段は、複数のアンテナで受信した複数の無線信号にアダプティブアレイ処理を施して受信信号を抽出する。受信応答ベクトル計算手段は、複数の無線信号と抽出された受信信号とに基づいて受信応答ベクトルを計算する。送信ウェイトベクトル推定手段は、計算された受信応答ベクトルを送信ウェイトベクトルとして推定する。重み付け手段は、外部から供給された送信信号を推定された送信ウェイトベクトルで重み付けして複数のアンテナに供給する。
【選択図】 図1
【解決手段】 アダプティブアレイ基地局において、アダプティブアレイ処理手段と、受信応答ベクトル計算手段と、送信ウェイトベクトル推定手段と、重み付け手段とを備える。アダプティブアレイ処理手段は、複数のアンテナで受信した複数の無線信号にアダプティブアレイ処理を施して受信信号を抽出する。受信応答ベクトル計算手段は、複数の無線信号と抽出された受信信号とに基づいて受信応答ベクトルを計算する。送信ウェイトベクトル推定手段は、計算された受信応答ベクトルを送信ウェイトベクトルとして推定する。重み付け手段は、外部から供給された送信信号を推定された送信ウェイトベクトルで重み付けして複数のアンテナに供給する。
【選択図】 図1
Description
この発明は、無線装置、送信ウェイト推定方法、および送信ウェイト推定プログラムに関し、特に、高精度の送信ウェイトを推定することにより十分な送信電力による信号送信を可能にした、無線装置、送信ウェイト推定方法、および送信ウェイト推定プログラムに関する。
近年、急速に発達しつつある移動体通信システム(たとえば、Personal Handy phone System:以下、PHS)では、基地局と移動局との間の通信に際し、特に基地局において、アダプティブアレイ処理により所望の特定の移動局からの受信信号を抽出する方式が提案されている。
アダプティブアレイ処理とは、移動局からの受信信号に基づいて、基地局のアンテナごとの受信係数(ウェイト)からなる受信ウェイトベクトルを計算して適応制御することによって、特定の移動局からの信号を正確に抽出する処理である。
このようなアダプティブアレイ処理を採用したアダプティブアレイ基地局においては、受信信号のシンボルごとにこのような受信ウェイトベクトルを計算する受信ウェイトベクトル計算機が設けられ、この受信ウェイトベクトル計算機は、受信信号の各フレームの先頭部分に設けられた既知の参照信号区間(ウェイト推定区間)において、受信信号と算出された受信ウェイトベクトルとの複素乗算和と、当該既知の参照信号との誤差の2乗を減少させるよう受信ウェイトベクトルを収束させる処理、すなわち特定の移動局からの受信指向性を収束させるアダプティブアレイ処理を実行する。
アダプティブアレイ処理では、このような受信ウェイトベクトルの収束を、時間や信号電波の伝搬路特性の変動に応じて適応的に行ない、受信信号中から干渉成分やノイズを除去し、特定の移動局からの受信信号を抽出している。
アダプティブアレイ基地局ではさらに、このようにして算出された受信ウェイトベクトルをコピーした送信ウェイトベクトルで送信信号を重み付けすることにより、移動局に対する送信指向性および送信電力を決定している。
図7は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)のようなデジタル信号処理装置によってソフトウェア的に実行される、従来のアダプティブアレイ基地局における処理を機能的に説明するための機能ブロック図である。
図7を参照して、無線基地システムの複数本のアンテナ、たとえば4本のアンテナA1,A2,A3,A4でそれぞれ受信された移動局からの受信信号X1,X2,X3,X4からなる受信信号ベクトルX(t)は、スイッチ回路S1,S2,S3,S4で受信回路側に切替えられ、図示しないA/D変換機でそれぞれデジタル信号に変換される。
これらのデジタル信号は、アダプティブアレイ基地局のDSP4に与えられ、図7に示す機能ブロック図にしたがって以後ソフトウェア的にアダプティブアレイ処理が施される。
図7を参照して、スイッチ回路S1,S2,S3,S4で受信回路側に切替えられた受信信号ベクトルX(t)は、乗算器MR1,MR2,MR3,MR4のそれぞれの一方入力に与えられるとともに、受信ウェイトベクトル計算機1に与えられる。
受信ウェイトベクトル計算機1は、後述するアダプティブアレイアルゴリズムにより、アンテナごとのウェイトW1,W2,W3,W4からなる受信ウェイトベクトルW(t)を算出し、乗算器MR1,MR2,MR3,MR4のそれぞれの他方入力に与えて、対応するアンテナからの受信信号ベクトルとそれぞれ複素乗算する。加算器MAによりその複素乗算結果の総和であるアレイ出力信号Y(t)=ΣW(t)X(t)が受信信号として出力される。
受信ウェイトベクトル計算機1には、メモリ2に予め記憶されている既知の参照信号d(t)が与えられ、アダプティブアレイアルゴリズムによる受信ウェイトベクトルの計算に供される。受信ウェイトベクトル計算機1は、|Y(t)−d(t)|2を最小化するように受信ウェイトベクトルW(t)を収束させる。
この参照信号d(t)は、移動局からの受信信号が含むすべてのユーザに共通の既知の信号であり、たとえばPHSでは、受信信号のうち、既知のビット列で構成されたプリアンブル(PR)およびユニークワード(UW)の区間が用いられる。
この受信ウェイトベクトル計算機1では、アレイ出力信号と参照信号との誤差の2乗に基づく最急降下法MMSE(Minimum Mean Square Error)によりウェイトの学習を行うアルゴリズムである、RLS(Recursive Least Squares)アルゴリズム、LMS(Least Mean Square)アルゴリズム、SMI(Sample Matrix Inversion)アルゴリズムなどのアダプティブアレイアルゴリズムを使用している。
このようなRLSアルゴリズム、LMSアルゴリズム、SMIアルゴリズムなどは、アダプティブアレイ処理の分野では周知の技術であり、たとえば菊間信良著の「アレーアンテナによる適応信号処理」(科学技術出版)の第35頁〜第49頁の「第3章 MMSEアダプティブアレー」に詳細に説明されているので、ここではその説明を省略する。
受信ウェイトベクトル計算機1で算出された受信ウェイトベクトルは送信ウェイトベクトル設定機3に転送され、受信ウェイトベクトルをコピーすることにより、送信ウェイトベクトルが設定される。
図示しない送信信号源からの送信信号が乗算器MT1,MT2,MT3,MT4のそれぞれの一方入力端子に与えられ、乗算器MT1,MT2,MT3,MT4のそれぞれの他方入力端子には、送信ウェイトベクトル設定機3で計算された送信ウェイトベクトルが印加される。
このように、送信ウェイトベクトルとの複素乗算で重み付けされた送信信号は、スイッチ回路S1,S2,S3,S4で選択されて、アンテナA1,A2,A3,A4を介して送信される。
受信時と同じアンテナA1,A2,A3,A4を介して送信される信号には、受信信号と同様に特定の移動局をターゲットとする送信ウェイトベクトルによる重み付けがされているため、これらのアンテナから送信された電波信号は、この特定の移動局をターゲットとする送信指向性を伴って飛ばされることになる。
ところで、最近の移動体通信システムでは、データ通信のように、従来の音声通信に比べて、高品質の通信が要求されるようになってきている。
このような高品質の通信を行うためには、以下に説明するように、送信指向性および送信電力の制御をより高精度に行なう必要がある。特に、干渉波がない場合には、送信電力の制御が問題となる。
一般的に、無線装置では、1本のアンテナで送信できる電力は一定レベルに規制されている。このため、図7のように複数のアンテナを用いて送信するアダプティブアレイ基地局では、アンテナごとのウェイトの大きさにより、送信電力の大きさ、すなわち移動局側での受信電力の大きさが変化することになる。
たとえば1本のアンテナの送信できる最大電力が40mWとした場合、基地局の4本のアンテナの送信ウェイトの大きさがすべて等しければ、4本のアンテナすべてから40mWの電力で信号を送信することができ、移動局に対し最大電力で信号を送信することができる。
これに対し、たとえば4本のアンテナの送信ウェイトの大きさの比がそれぞれ4:3:2:1であれば、最大電力の40mWで送信することができるアンテナは、送信ウェイトが最大の1本のアンテナに限られ、残りのアンテナはそれぞれの送信ウェイトの大きさの比に応じた30mW、20mW、10mWの電力で送信することができるにすぎない。
前述のように、従来のアダプティブアレイ基地局では、受信ウェイトベクトルをコピーして送信ウェイトベクトルとして使用しているが、現実には、ノイズの影響によりアンテナごとのウェイトが理想的にすべて等しくなることはなく、通常は、アンテナ間のウェイトにばらつきが生じる。
このため、移動局における受信電力が低下し、移動局の受信性能が劣化することになり、ひいてはアダプティブアレイ基地局のエリアを狭めることとなっていた。
このように、アンテナ間のウェイトが理想的なウェイトになりにくく、ばらつきが生じる原因について以下に詳細に説明する。
一般に、アダプティブアレイ基地局の受信状態が良好な場合、すなわち所望の移動局からの信号の受信レベルが十分大きく、かつ4本のアンテナの受信レベルが等しく、しかも干渉波がない状態では、受信ウェイトが理想的なウェイト(アンテナごとのウェイトの大きさがすべて等しいウェイト)でなくても、問題なく所望信号を受信することができる。
これは、上述のように受信状態が良好な場合は、たとえアダプティブアレイ処理による複数アンテナ間の位相振幅合成が理想的に行われていなくても、すなわち理想的なウェイトが推定されていなくても、参照信号とアレイ出力信号との誤差が十分小さいため、所望信号の受信が可能となるからである。
このように、受信状態が良好な場合、受信ウェイトが理想的でなくても受信に関しては問題はないが、そのような理想的ではない受信ウェイトを送信ウェイトとして使用すると、前述のように理想的な送信ウェイト(アンテナごとの大きさがすべて等しいウェイト)を用いた場合と比べて、送信電力が低下し、移動局での受信性能が劣化することになる。
ここで、受信状態が良好なアダプティブアレイ基地局の4本のアンテナの受信信号X1,X2,X3,X4は、移動局からの所望信号をS(t)、それぞれのアンテナに対応する受信応答ベクトルをh1,h2,h3,h4、それぞれのアンテナに対応する伝搬路のノイズレベルをn1,n2,n3,n4とすると、以下のように表わされる:
X1=h1*S(t)+n1
X2=h2*S(t)+n2
X3=h3*S(t)+n3
X4=h4*S(t)+n4
ここで、受信応答ベクトルh1,h2,h3,h4の大きさがすべて等しく、ノイズレベルn1,n2,n3,n4が十分小さい場合には、4本のアンテナのそれぞれのウェイトW1,W2,W3,W4の大きさはすべて等しくなり、理想的な受信ウェイトが得られるはずである。
X1=h1*S(t)+n1
X2=h2*S(t)+n2
X3=h3*S(t)+n3
X4=h4*S(t)+n4
ここで、受信応答ベクトルh1,h2,h3,h4の大きさがすべて等しく、ノイズレベルn1,n2,n3,n4が十分小さい場合には、4本のアンテナのそれぞれのウェイトW1,W2,W3,W4の大きさはすべて等しくなり、理想的な受信ウェイトが得られるはずである。
しかしながら実際にはノイズが存在し、アンテナごとのウェイトを逐次更新するウェイト推定処理においては、ノイズの多いアンテナほどそのウェイトを小さく推定する傾向がある。ノイズはランダムに発生しているので、アンテナごとのウェイトの大きさにばらつきが生じることになる。
このようなノイズ成分は、十分長い時間にわたって平均すれば0となるが、前述したように、従来のウェイト推定処理では、受信信号の各フレームの先頭部分のウェイト推定区間(PR、UWなどの区間)において受信ウェイトベクトルをほぼ収束させるような処理を行なっており、そのような推定区間の初期の数シンボルの区間で発生するノイズにより大まかなウェイトのばらつきが決定してしまう傾向がある。
要約すると、MMSE法により受信ウェイトの逐次推定を行うアダプティブアレイ基地局では、ウェイト推定区間においてノイズ成分の多いアンテナほどそのウェイトが小さく推定され、特に基地局の受信状態が良好な場合、初期の数シンボルで大まかなウェイトのばらつきが決まってしまうことになる。
このため、アダプティブアレイ基地局において、理想的なウェイト推定ができない場合があり、そのような場合でも所望信号の受信には問題がないものの、送信に関しては、移動局側の受信性能が劣化し、通信品質が劣化することになる。このため、従来の送信ウェイトの推定方法では、高度の通信品質を要求されるデータ通信などには対応することができないという問題があった。
それゆえに、この発明の目的は、それぞれのアンテナにおけるノイズの影響を除去した高精度の送信ウェイトを推定することにより、十分な送信電力による信号送信を可能にし、通信品質の向上を図った、無線装置、送信ウェイト推定方法、および送信ウェイト推定プログラムを提供することである。
この発明の1つの局面によれば、複数アンテナを用いて信号を送受信する無線装置は、アダプティブアレイ処理手段と、受信応答ベクトル計算手段と、送信ウェイトベクトル推定手段と、重み付け手段とを備える。アダプティブアレイ処理手段は、複数のアンテナで受信した複数の無線信号にアダプティブアレイ処理を施して受信信号を抽出する。受信応答ベクトル計算手段は、複数の無線信号と抽出された受信信号とに基づいて受信応答ベクトルを計算する。送信ウェイトベクトル推定手段は、計算された受信応答ベクトルを送信ウェイトベクトルとして推定する。重み付け手段は、外部から供給された送信信号を推定された送信ウェイトベクトルで重み付けして複数のアンテナに供給する。
この発明のさらに他の局面によれば、複数アンテナを用いて信号を送受信する無線装置における送信ウェイト推定方法であって、複数のアンテナで受信した複数の無線信号にアダプティブアレイ処理を施して受信信号を抽出するステップと、複数の無線信号と抽出された受信信号とに基づいて受信応答ベクトルを計算するステップと、計算された受信応答ベクトルを送信ウェイトベクトルとして推定するステップとを備える。
この発明のさらに他の局面によれば、複数アンテナを用いて信号を送受信する無線装置における送信ウェイト推定プログラムであって、コンピュータに、複数のアンテナで受信した複数の無線信号にアダプティブアレイ処理を施して受信信号を抽出するステップと、複数の無線信号と抽出された受信信号とに基づいて受信応答ベクトルを計算するステップと、計算された受信応答ベクトルを送信ウェイトベクトルとして推定するステップとを実行させる。
この発明によれば、受信応答ベクトルを送信ウェイトベクトルとして推定することによってそれぞれのアンテナにおけるノイズの影響を除去したことにより高精度の送信ウェイトベクトルの推定が可能となり、ひいては十分な送信電力による通信品質の向上を図ることができる。
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による無線装置として、PHSのアダプティブアレイ基地局の処理を機能的に説明する機能ブロック図である。図1に示す機能ブロックは、DSPのようなデジタル信号処理装置4により、ソフトウェア的に実行される。
図1は、この発明の実施の形態1による無線装置として、PHSのアダプティブアレイ基地局の処理を機能的に説明する機能ブロック図である。図1に示す機能ブロックは、DSPのようなデジタル信号処理装置4により、ソフトウェア的に実行される。
図1に示したアダプティブアレイ基地局は、図7に示した従来のアダプティブアレイ基地局と以下の点を除いて同じである。すなわち、図7の従来例の構成に加えて、受信応答ベクトル計算機5が設けられている。そして、図7の従来例において、受信ウェイトベクトル計算機1の出力が送信ウェイトベクトル設定機3に転送されているのに対し、図1の実施の形態1では、受信応答ベクトル計算機5で計算された受信応答ベクトルが送信ウェイトベクトル設定機3に転送され、送信ウェイトベクトル設定機3は、受信応答ベクトルをコピーして送信ウェイトベクトルとして用いる。
受信応答ベクトル計算機5は、4本のアンテナA1,A2,A3,A4でそれぞれ受信した信号X1,X2,X3,X4の各々と、一旦受信に成功してアダプティブアレイ処理により得られた受信信号Y(t)との積を所定時間にわたって時間平均することにより得られるh1,h2,h3,h4からなる受信応答ベクトルH(t)を算出する。ここでいう所定時間は十分長いことが望ましく、たとえばPHSの場合、20シンボル(100μ秒)程度の期間が用いられる。
より詳細に説明すると、受信応答ベクトルは、一般的に以下の式により導出される。まず、受信信号X1,X2,X3,X4は、受信応答ベクトルh1,h2,h3,h4と受信信号Y(t)とを用いて下記の式で表わされる。
X1=h1・Y(t)+n1(t)
X2=h2・Y(t)+n2(t)
X3=h3・Y(t)+n3(t)
X4=h4・Y(t)+n4(t)
ここで、n1(t),n2(t),n3(t),n4(t)はノイズ成分である。
X2=h2・Y(t)+n2(t)
X3=h3・Y(t)+n3(t)
X4=h4・Y(t)+n4(t)
ここで、n1(t),n2(t),n3(t),n4(t)はノイズ成分である。
次に、受信信号X1,X2,X3,X4と、受信信号Y(t)の複素共役Y*(t)とのアンサンブル平均(時間平均)Eを取ると次式のように表される。
E[Y(t)・Y*(t)]=1
E[n1(t)・Y*(t)]=0
E[n2(t)・Y*(t)]=0
E[n3(t)・Y*(t)]=0
E[n4(t)・Y*(t)]=0
この結果、受信応答ベクトルh1,h2,h3,h4は、次式で表わされる。
E[n1(t)・Y*(t)]=0
E[n2(t)・Y*(t)]=0
E[n3(t)・Y*(t)]=0
E[n4(t)・Y*(t)]=0
この結果、受信応答ベクトルh1,h2,h3,h4は、次式で表わされる。
h1=E[X1・Y*(t)]
h2=E[X2・Y*(t)]
h3=E[X3・Y*(t)]
h4=E[X4・Y*(t)]
このようにして得られた受信応答ベクトルは、時間平均によってノイズの影響が軽減されており、干渉波がない場合、このようにノイズの影響が軽減された受信応答ベクトルは、理想的なウェイトベクトルとの相関が非常に高いものとなる。図1の実施の形態1では、このように理想的なウェイトベクトルとの相関が非常に高い受信応答ベクトルを送信ウェイトベクトルとして設定することにより、4本のアンテナから送信される電力の最大化を図ることができる。
h2=E[X2・Y*(t)]
h3=E[X3・Y*(t)]
h4=E[X4・Y*(t)]
このようにして得られた受信応答ベクトルは、時間平均によってノイズの影響が軽減されており、干渉波がない場合、このようにノイズの影響が軽減された受信応答ベクトルは、理想的なウェイトベクトルとの相関が非常に高いものとなる。図1の実施の形態1では、このように理想的なウェイトベクトルとの相関が非常に高い受信応答ベクトルを送信ウェイトベクトルとして設定することにより、4本のアンテナから送信される電力の最大化を図ることができる。
なお、このように求められた受信応答ベクトルを転用した送信ウェイトは、1フレームごとに更新されることになる。
図2は、図1のデジタル信号処理装置(DSP)4で実現される図1の送信ウェイト推定方法を示すフロー図である。
図2を参照して、まずステップS1において、受信ウェイトベクトル計算機1によって、図7の従来例と同様に受信ウェイトベクトルが計算される。
そして、ステップS2において、従来例と同様に、乗算器MR1〜MR4および加算器MAによる複素演算により、受信信号Y(t)が算出される。
次に、ステップS3において、受信応答ベクトル計算機5により、受信信号X1,X2,X3,X4と、一旦算出された受信信号Y(t)との乗算および時間平均により、受信応答ベクトルが算出される。
そして、ステップS4において、ステップS3で計算された受信応答ベクトルが送信ウェイトベクトルに転用され、送信ウェイトベクトル計算機3に設定される。
以上のように、この発明の実施の形態1によれば、アダプティブアレイ基地局において、計算された受信応答ベクトルを送信ウェイトベクトルとして用いることによってそれぞれのアンテナにおけるノイズの影響を除去したことにより高精度の送信ウェイトベクトルの推定が可能となり、ひいては十分な送信電力による信号の送信が可能となる。この結果、移動局の受信レベルが増大し、移動体通信システムにおける通信品質の向上を図ることができる。
[実施の形態2]
図3は、この発明の実施の形態2による無線装置として、PHSのアダプティブアレイ基地局の処理を機能的に説明する機能ブロック図である。図3に示す機能ブロックは、DSPのようなデジタル信号処理装置4により、ソフトウェア的に実行される。
図3は、この発明の実施の形態2による無線装置として、PHSのアダプティブアレイ基地局の処理を機能的に説明する機能ブロック図である。図3に示す機能ブロックは、DSPのようなデジタル信号処理装置4により、ソフトウェア的に実行される。
図3に示したアダプティブアレイ基地局は、図1に示した実施の形態1のアダプティブアレイ基地局と以下の点を除いて同じである。すなわち、図1の構成に加えて、送信ウェイトベクトル計算機6が設けられており、送信ウェイトベクトル計算機6は、4本のアンテナA1,A2,A3,A4でそれぞれ受信した信号X1,X2,X3,X4と、受信応答ベクトル計算機5で計算された受信応答ベクトルH(t)と、メモリ2に格納されている参照信号d(t)とを受けて、送信ウェイトベクトルを算出する。
より詳細に、たとえば受信ウェイトベクトル計算機1では、RLS、LMSなどのアルゴリズムで、アレイ出力と参照信号との誤差の2乗である|ΣW(t)X(t)−d(t)|2が最小となるように、シンボルごとに受信ウェイトベクトルW(t)を逐次更新し、収束させている。このようにして、受信ウェイトベクトルW(t)の計算を開始する際、最初に受信ウェイトベクトルW(t)の初期値として、たとえば0,0,0,0のような適当な値を与えているが、この実施の形態2の送信ウェイトベクトル計算機6では、受信応答ベクトル計算機5で計算された受信応答ベクトルをウェイトベクトルW(t)の初期値として用いて、受信信号ベクトルX(t)とウェイトベクトルW(t)との積と、参照信号d(t)との誤差の2乗が最小となるように、ウェイトベクトルを収束させていき、その結果を送信ウェイトベクトルとして送信ウェイトベクトル設定機3に設定する。
すなわち、この実施の形態2では、一旦ウェイト推定処理により送信ウェイトベクトルを算出して時間平均により受信応答ベクトルを求めた後、その受信応答ベクトルを初期値として再度ウェイト推定処理を行い、送信ウェイトベクトルを求めている。
なお、この実施の形態2では、ウェイトは、シンボルごとに更新され、最終シンボルにて求まったウェイトを送信ウェイトとしている。
上述の0,0,0,0のような適当な初期値を与えた場合には、ウェイト推定処理により、ノイズの少ないアンテナに対するウェイトが大きくなるようなウェイト推定が行われていた。これに対し、一旦ウェイト推定された結果の時間平均に基づく受信応答ベクトルはウェイト推定の初期値としてより正確な値と考えられ、このような初期値を用いて再度ウェイト推定処理を行なうことにより、誤差成分の低減を図り、アンテナごとのウェイトのばらつきを抑制することができる。
図4は、図3のデジタル信号処理装置(DSP)4で実現される図3の送信ウェイト推定方法を示すフロー図である。
図4を参照して、まずステップS11において、受信ウェイトベクトル計算機1によって、図7の従来例と同様に受信ウェイトベクトルが計算される。
そして、ステップS12において、従来例と同様に、乗算器MR1〜MR4および加算器MAによる複素演算により、受信信号Y(t)が算出される。
次に、ステップS13において、受信応答ベクトル計算機5により、受信信号X1,X2,X3,X4と、一旦算出された受信信号Y(t)との乗算および時間平均により、受信応答ベクトルが算出される。
そして、ステップS14において、送信ウェイトベクトル計算機6が、ステップS13で計算された受信応答ベクトルを初期値としてウェイト推定を行って送信ウェイトベクトルを計算し、送信ウェイトベクトル計算機3に設定する。
以上のように、この発明の実施の形態2によれば、アダプティブアレイ基地局において、計算された受信応答ベクトルを送信ウェイトベクトル推定の初期値として用いることによってそれぞれのアンテナにおけるノイズの影響を除去したことにより高精度の送信ウェイトベクトルの推定が可能となり、ひいては十分な送信電力による信号の送信が可能となる。この結果、移動局の受信レベルが増大し、移動体通信システムにおける通信品質の向上を図ることができる。
[実施の形態3]
図5は、この発明の実施の形態3による無線装置として、PHSのアダプティブアレイ基地局の処理を機能的に説明する機能ブロック図である。図5に示す機能ブロックは、DSPのようなデジタル信号処理装置4により、ソフトウェア的に実行される。
図5は、この発明の実施の形態3による無線装置として、PHSのアダプティブアレイ基地局の処理を機能的に説明する機能ブロック図である。図5に示す機能ブロックは、DSPのようなデジタル信号処理装置4により、ソフトウェア的に実行される。
図5に示したアダプティブアレイ基地局は、図7に示した従来のアダプティブアレイ基地局と以下の点を除いて同じである。すなわち、図7の従来例の構成に加えて、送信ウェイトベクトル計算機7と、復調回路8と、再変調回路9とが設けられている。
この実施の形態3における送信ウェイトベクトル計算機7は、送信ウェイトベクトルをウィナー解から直接算出するものである。SMIアルゴリズムによりウィナー解を求めてウェイトベクトルを直接算出する方法は周知であるが、その導出方法については後で詳細に説明する。
前述のように、ノイズの影響を除去するためには、時間平均処理が有効である。したがって、時間平均を十分長くとったウィナー解を算出することにより、理想的なウェイトベクトルが推定される。たとえばPHSの場合、20シンボル(100μ秒)程度の期間が用いられる。
また、後述するようにウィナー解の算出には参照信号が必要となるが、通常の参照信号(PR、UWなどの既知信号区間)は短いため、十分な長さの時間平均を取ることができない。
そこで、この実施の形態3では、アダプティブアレイ処理により一旦算出された受信信号Y(t)のデータ部などの信号系列(上述の20シンボルのように既知信号区間よりも長い区間)を復調回路8で復調し、さらに復調された信号を、受信エラーのない状態で再変調回路9で再変調することにより得られた十分な長さの信号系列を参照信号として利用することにより、時間平均を十分長くとったウィナー解を算出することができる。
以下に、ウィナー解の算出過程について説明する。アンテナA1〜A4で受信した受信信号ベクトルをX(t)=[X1(t),X2(t),X3(t),X4(t)]Tとし、参照信号(この実施の形態では再変調回路9の再変調出力信号)をr(t)とした場合、受信信号ベクトルの相関行列Rxxは、以下の数2により算出される。
一方、受信信号ベクトルと参照信号との相関ベクトルrxdは、以下の数3に
より算出される。
より算出される。
Wopt=Rxx-1・rxd
このように、十分長い時間平均によりノイズの影響(特にウェイトのばらつきの原因となるウェイト推定区間の初期の数シンボルにおけるノイズの影響)を除去した送信ウェイトベクトルを算出することができる。
このように、十分長い時間平均によりノイズの影響(特にウェイトのばらつきの原因となるウェイト推定区間の初期の数シンボルにおけるノイズの影響)を除去した送信ウェイトベクトルを算出することができる。
なお、このように求められた送信ウェイトは、1フレームごとに更新されることになる。
図6は、図5のデジタル信号処理装置(DSP)4で実現される図5の送信ウェイト推定方法を示すフロー図である。
図6を参照して、まずステップS21において、受信ウェイトベクトル計算機1によって、図7の従来例と同様に受信ウェイトベクトルが計算される。
そして、ステップS22において、従来例と同様に、乗算器MR1〜MR4および加算器MAによる複素演算により、受信信号Y(t)が算出される。
次に、ステップS23において、復調回路8により、算出された受信信号Y(t)が復調され、さらに再変調回路9により再変調される。
そして、ステップS24において、送信ウェイトベクトル計算機7が、ステップS23で計算された再変調信号を参照信号として、前述の計算式にしたがってウィナー解を計算し、最適の送信ウェイトベクトルとして送信ウェイトベクトル計算機3に設定する。
以上のように、この発明の実施の形態3によれば、アダプティブアレイ基地局において、再変調された受信信号を参照信号として、受信した無線信号のウィナー解から直接、送信ウェイトベクトルを推定することによってそれぞれのアンテナにおけるノイズの影響を除去したことにより高精度の送信ウェイトベクトルの推定が可能となり、ひいては十分な送信電力による信号の送信が可能となる。この結果、移動局の受信レベルが増大し、移動体通信システムにおける通信品質の向上を図ることができる。
なお、上述の各実施の形態では、PHSのアダプティブアレイ基地局にこの発明を適用した場合について説明したが、この発明は、基地局に限らず、複数アンテナを用いてアダプティブアレイ処理を行なうアダプティブアレイ移動局にも適用できることはいうまでもない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 受信ウェイトベクトル計算機、2 メモリ、3 送信ウェイトベクトル設定機、4 デジタル信号処理装置、5 受信応答ベクトル計算機、6,7 送信ウェイトベクトル計算機、8 復調回路、9 再変調回路、A1,A2,A3,A4 アンテナ、S1,S2,S3,S4 スイッチ回路、MR1,MR2,MR3,MR4,MT1,MT2,MT3,MT4 乗算器、MA 加算器。
Claims (3)
- 複数アンテナを用いて信号を送受信する無線装置であって、
前記複数のアンテナで受信した複数の無線信号にアダプティブアレイ処理を施して受信信号を抽出するアダプティブアレイ処理手段と、
前記複数の無線信号と前記抽出された受信信号とに基づいて受信応答ベクトルを計算する受信応答ベクトル計算手段と、
前記計算された受信応答ベクトルを送信ウェイトベクトルとして推定する送信ウェイトベクトル推定手段と、
外部から供給された送信信号を前記推定された送信ウェイトベクトルで重み付けして前記複数のアンテナに供給する重み付け手段とを備えた、無線装置。 - 複数アンテナを用いて信号を送受信する無線装置における送信ウェイト推定方法であって、
前記複数のアンテナで受信した複数の無線信号にアダプティブアレイ処理を施して受信信号を抽出するステップと、
前記複数の無線信号と前記抽出された受信信号とに基づいて受信応答ベクトルを計算するステップと、
前記計算された受信応答ベクトルを送信ウェイトベクトルとして推定するステップとを備えた、送信ウェイト推定方法。 - 複数アンテナを用いて信号を送受信する無線装置における送信ウェイト推定プログラムであって、コンピュータに、
前記複数のアンテナで受信した複数の無線信号にアダプティブアレイ処理を施して受信信号を抽出するステップと、
前記複数の無線信号と前記抽出された受信信号とに基づいて受信応答ベクトルを計算するステップと、
前記計算された受信応答ベクトルを送信ウェイトベクトルとして推定するステップとを実行させる、送信ウェイト推定プログラム。
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-
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