JP2007279152A - レンズ装置、撮像装置及びレンズ装置の光軸調整方法 - Google Patents

レンズ装置、撮像装置及びレンズ装置の光軸調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】小型化が図られ、複雑でなく、2つのレンズ保持枠の光軸を調整できるレンズ装置を提供する。
【解決手段】複数のレンズからなるレンズ系を有するレンズ鏡筒と、レンズ系の第1及び第2の可動レンズ群10,11をそれぞれ保持する第1及び第2のレンズ保持枠21,61と、2つのレンズ保持枠21,61を共通に貫通して移動可能に支持するメインガイド軸31と、メインガイド軸31と協働して2つのレンズ保持枠21,61をそれぞれ支持する2つのサブガイド軸と、レンズ鏡筒に回動可能に支持されると共にメインガイド軸31の一端を、その回動中心から偏心した位置で回動可能に支持する偏心回動部材と、を設け、偏心回動部材を回動させることにより、メインガイド軸31の他端を支点として一端を円運動させて2つのレンズ保持枠21,61の姿勢を同時に変移可能とした。
【選択図】図14

Description

本発明は、レンズ鏡筒に支持されたレンズ系の可動レンズをそれぞれ保持する複数のレンズ保持枠を複数のガイド軸によってレンズ系の光軸方向へ移動可能に支持し、一のガイド軸を回動することにより複数のレンズ保持枠を移動させて複数の可動レンズの光軸を、レンズ系の光軸に略一致させるように調整可能としたレンズ装置、そのレンズ装置を備えた撮像装置及び、そのレンズ装置の光軸調整方法に関する。
デジタルスチルカメラ等の撮像装置の一般的なレンズ装置として、ズーム動作を行うためのズームレンズがレンズ鏡筒内で光軸方向へ移動可能に設けられたものがある。このようなレンズ装置は、ズームレンズを保持するレンズ保持枠と、このレンズ保持枠を光軸方向へ案内するガイド軸とを備えており、ガイド軸の両端はレンズ鏡筒に固定されている。そして、被写体からの光がズームレンズを含むレンズ系を透過して撮像素子の撮像面に導かれ、被写体の像が結像されることで撮像がなされる。
このようなレンズ装置において、レンズ保持枠やレンズ鏡筒の寸法誤差、レンズ保持枠に対するズームレンズの取り付け精度のばらつき等によって、ズームレンズの光軸がレンズ鏡筒に固定された固定レンズの光軸に対して傾きを生じる場合がある。このような光軸の傾きは、撮像素子の撮像面に結像される被写体の像の一部分に焦点ぼけ、いわゆる片ボケを生じる原因となっている。このような焦点ぼけを解消するための対策として、レンズの傾きを調整してレンズ系の光軸に一致させる調整機構を有するレンズ装置が提案されている。
従来の、この種のレンズ装置としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、ズームレンズの調整方法、ズームレンズ及び撮像装置に関するものが記載されている。この特許文献1に記載されたズームレンズは、「固定群と移動群とを有し移動群の光軸方向への移動によって焦点距離の変化及び焦点調節が行われるズームレンズであって、固定群の光軸に対する傾きの調整は、結像面内の4箇所以上の測定点における結像状態を測定し、これら各測定点についてそれぞれ結像状態が最良となるデフォーカス座標を特定し、前記特定されたデフォーカス座標のうちの3点によって決定される4つ以上の平面を規定し、前記固定群の光軸に対する傾きを調整することにより前記4つ以上の平面を一致させる場合における該固定群の傾き量を算出し、算出された前記固定群の傾き量を目標点として調整されている」ことを特徴としている。
このような構成を有する特許文献1に記載のズームレンズによれば、「組み立て後において、調整用部品の交換等の手間を要さずに、容易に、かつ、レンズ中心の位置を光軸方向に変位させずに、レンズの傾きの調整をおこなうことができる(段落[0104]を参照)」等の効果が期待される。
特開2003−43328号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたズームレンズにおいては、レンズを保持するレンズ枠と、このレンズ枠を支持する鏡筒部材と、レンズ枠と鏡筒部材の間に介在されるリング状の板バネと、レンズ枠に螺入されると共に先端側が鏡筒部材に当接される複数の調節ねじとを備え、複数の調節ねじの締込み量をそれぞれ調節することにより板バネを撓ませてレンズ枠の傾きを調整していた。そのため、レンズ枠の傾きを調整するための調整機構が複雑で大きなものになることから、レンズ装置の小型化を図ることが難しかった。また、複数の調節ねじの締込み量をそれぞれ調節することでレンズ枠の傾きを調整するため、調整作業が面倒であるという問題があった。
解決しようとする問題点は、レンズ枠と鏡筒部材の間に板バネを介在させ、複数の調節ねじの締込み量によりレンズ枠の傾きを調整すると、レンズ枠の傾きを調整するための調整機構が複雑で大きなものになるため、レンズ装置の小型化を図ることが難しい、という点である。また、複数の調節ねじの締込み量をそれぞれ調節することでレンズ枠の傾きを調整するため、調整作業が面倒である、という点である。
本発明のレンズ装置は、複数のレンズを有するレンズ系を保持するレンズ鏡筒と、レンズ系の第1の可動レンズを保持する第1のレンズ保持枠と、レンズ系の第2の可動レンズを保持する第2のレンズ保持枠と、第1の可動レンズの光軸方向と第2の可動レンズの光軸方向を略一致させるようにして第1のレンズ保持枠と第2のレンズ保持枠を共通に貫通すると共に光軸方向へ移動可能に支持する第1のガイド軸と、第1のレンズ保持枠及び第2のレンズ保持枠を第1のガイド軸と協働して支持することによりそれら第1のレンズ保持枠及び第2のレンズ保持枠の移動時における姿勢を一定に維持する第2のガイド軸と、レンズ鏡筒に回動可能に支持されると共に第1のガイド軸の一端を、その回動中心から偏心した位置で回動可能に支持する偏心回動部材と、を設け、偏心回動部材を回動させることにより、第1のガイド軸の他端を支点として一端を円運動させて第1のレンズ保持枠と第2のレンズ保持枠の姿勢を同時に変移可能としたことを最も主要な特徴とする。
本発明の撮像装置は、複数のレンズからなるレンズ系を保持するレンズ鏡筒と、レンズ系の第1の可動レンズを保持する第1のレンズ保持枠と、レンズ系の第2の可動レンズを保持する第2のレンズ保持枠が設けられたレンズ装置を備えた撮像装置であって、レンズ装置は、第1の可動レンズの光軸方向と第2の可動レンズの光軸方向を略一致させるようにして第1のレンズ保持枠と第2のレンズ保持枠を共通に貫通すると共に光軸方向へ移動可能に支持する第1のガイド軸と、第1のレンズ保持枠及び第2のレンズ保持枠を第1のガイド軸と協働して支持することによりそれら第1のレンズ保持枠及び第2のレンズ保持枠の移動時における姿勢を一定に維持する第2のガイド軸と、レンズ鏡筒に回動可能に支持されると共に第1のガイド軸の一端を、その回動中心から偏心した位置で回動可能に支持する偏心回動部材と、を有し、偏心回動部材を回動させることにより、第1のガイド軸の他端を支点として一端を円運動させて第1のレンズ保持枠と第2のレンズ保持枠の姿勢を同時に変移可能としたことを特徴とする。
また、本発明のレンズ装置の光軸調整方法は、レンズ鏡筒に保持されたレンズ系の複数の可動レンズを保持する複数のレンズ保持枠を複数のガイド軸によってレンズ系の光軸方向へ移動可能に支持し、複数のレンズ保持枠を共通に貫通する第1のガイド軸を、その他端を支点として一端を円運動させることにより、複数のレンズ保持枠の姿勢を同時に変移させて複数の可動レンズ間の光軸をレンズ系の光軸と略一致させるように調整可能としたことを特徴とする。
本発明のレンズ装置、撮像装置及びレンズ装置の光軸調整方法によれば、第1のレンズ保持枠と第2のレンズ保持枠とを共に案内する第1のガイド軸を偏心回動部材によって回動させて、第1のレンズ保持枠及び第2のレンズ保持枠の姿勢を同時に変移させることにより、第1の可動レンズ及び第2の可動レンズ間の光軸を極めて容易にレンズ系の光軸に略一致させることができる。更に、第1の可動レンズ及び第2の可動レンズ間の光軸を調整するための調整機構を簡単な構成にしてレンズ装置の小型化を実現することができ、撮像装置の小型化を図ることができる。
しかも、第1のレンズ保持枠と第2のレンズ保持枠を同時に同じ方向へ傾けるように変移させる構成としたことにより、第1のレンズ保持枠及び第2のレンズ保持枠をそれぞれ変移させて第1の可動レンズ及び第2の可動レンズの光軸を個別に調整する場合に比べて光学感度を向上させることができ、小さな調整量で大きな変移量を得ることができる。その結果、部品のクリアランスを縮めることができるため、余分な寸法を確保しておく必要性を無くすことができ、装置全体の小型化に貢献することができる。
第1のレンズ保持枠と第2のレンズ保持枠を共通に貫通する第1のガイド軸を設け、その第1のガイド軸によって2つのレンズ保持枠の姿勢を同時に同じ方向へ変移させる構成としたことにより、小型化を図りながら高精度な光学性能を実現することができるレンズ装置、撮像装置及びレンズ装置の光軸調整方法を簡単な構成によって実現した。
図1〜図21は、本発明の実施の形態の例を説明するものである。即ち、図1は本発明のレンズ装置の第1の実施の例を正面側から見た斜視図、図2は正面図、図3は平面図、図4は縦断面図、図5は分解斜視図、図6はレンズ装置の一部を破断した説明図、図7は第1のレンズ保持枠と第2のレンズ保持枠の斜視図、図8は軸受調整部材の装着状態を示す斜視図、図9は軸受調整部材を上方から見た斜視図、図10は同じく下方から見た斜視図、図11(A)〜(C)は軸受調整部材の平面図、縦断面図及び底面図、図12(A)〜(D)は軸受調整部材の種類を示す説明図である。
図13は光軸の調整を説明する第1の説明図、図14は同じく第2の説明図、図15はレンズ系の説明図である。図16は光軸調整の第2の実施例を説明する説明図、図17は本発明の撮像装置の第1の実施の例を示すデジタルスチルカメラの分解斜視図、図18はデジタルスチルカメラを正面側から見た斜視図、図19はレンズカバーを移動させて対物レンズを露出した斜視図、図20は背面図、図21は平面図である。
図1〜図12に示すように、本発明のレンズ装置の第1の実施の形態を示すレンズ装置1は、同一の光軸L0上に複数のレンズを配置した5組のレンズ群を有するレンズ系2と、このレンズ系2のレンズを固定し又は移動可能に支持するレンズ鏡筒3と、レンズ系2の光軸L0上に配置されると共にレンズ鏡筒3に固定された撮像素子の一具体例を示すCCD4等を備えて構成されている。
レンズ装置1のレンズ系2は、図15に示すように、5組のレンズ群を同一光軸L0上に配置した折り曲げ式レンズとして構成されている。これら5組のレンズ群は、光軸L0上の先端側に配置された第1の固定レンズ群7と、光軸L0上の中途部に配置された第2の固定レンズ群8と、光軸L0上の後端側に配置された第3の固定レンズ群9と、第1固定レンズ群7と第2固定レンズ群8との間に配置された第1の可動レンズ群10と、第2固定レンズ群8と第3固定レンズ群9との間に配置された第2の可動レンズ群11とから構成されている。
第1の固定レンズ群7は、被写体に対向される対物レンズである第1のレンズ7Aと、この第1のレンズ7Aの被写体と反対側に配置されたプリズム7Bと、このプリズム7Bに対向される第2のレンズ7Cとによって構成されている。プリズム7Bは、断面形状が直角二等辺三角形をなす三角柱体からなり、90度回転変位した位置に隣り合う2つの面の一方に対物レンズ7Aが対向され、他方の面に第2のレンズ7Cが対向されている。
この第1の固定レンズ群7では、第1のレンズ7Aを透過して一面からプリズム7Bに入射した光が、光軸L0に対して45度に傾斜した反射面で反射されて進行方向が90度折り曲げられ、他面から出射されて第2のレンズ7Cを透過して、光軸L0に沿って第1の可動レンズ群10に向かって進行する。第1の可動レンズ群10は、第3のレンズ10Aと第4のレンズ10Bとの組み合わせからなり、光軸L0が延在される方向に移動可能に構成されている。第1の可動レンズ群10を透過した光は、第2の固定レンズ群8に入射される。
第2の固定レンズ群8は、レンズ鏡筒3に固定される第5のレンズからなっている。この第2の固定レンズ群8と第2の可動レンズ群11の間には、レンズ系2を通過する光の量を調整可能な絞り機構12が配置されている。第2の可動レンズ群11は、第6のレンズからなり、光軸L0が延在される方向に移動可能に構成されている。第3の固定レンズ群9は、第7のレンズ9Aと第8のレンズ9Bとの組み合わせからなり、レンズ鏡筒3に固定されている。そして、第3の固定レンズ群9の第8のレンズ9Bの後方にCCD4が配置されている。CCD4はCCD用アダプタに固定されており、このCCD用アダプタを介してレンズ鏡筒3に取り付けられている。このCCD4と第8のレンズ9Bの間には、光学フィルタ13が配置されている。
第1の可動レンズ群10と第2の可動レンズ群11は、それぞれ別個独立に光軸L0に沿って光軸方向へ移動可能とされている。これら第1の可動レンズ群10と第2の可動レンズ群11を所定方向へ移動させることにより、ズーム調整とフォーカス調整を行うことができる。即ち、ズーム時には、第1の可動レンズ群10と第2の可動レンズ群11をワイド(広角)からテレ(望遠)まで移動することによってズーム調整が実行される。また、フォーカス時には、第2の可動レンズ群11をワイド(広角)からテレ(望遠)まで移動することによってフォーカス調整を実行することができる。
このような構成を有するレンズ系2を保持するレンズ鏡筒3は、図1〜図12に示すように上下方向に重ね合わされて組立結合される上部鏡筒14と中間鏡筒15と下部鏡筒16とから構成されている。図5等に示すように、上部鏡筒14は、正面の上部に開口された開口窓17と、下面に開口された開口部を有する筐体からなる。開口窓17には1群レンズ7の対物レンズ7Aが装着され、その前面に装着される化粧板18により、対物レンズ7Aが上部鏡筒14に取り付けられている。上部鏡筒14の内部には、対物レンズ7Aの背面に遮光板19を介して配置されたプリズム7Bと、このプリズム7Bの下面に配置された第2のレンズ7Cが固定されている。
また、上部鏡筒14の内部には、第1の可動レンズ群10を保持すると共に、レンズ鏡筒3の上下方向へ移動可能な第1のレンズ保持枠21が設けられている。図4及び図7等に示すように、第1のレンズ保持枠21は、第1の可動レンズ群10が嵌合されるレンズ固定部22と、このレンズ固定部22の一側に連続して略垂直に延在されるメイン軸受部23等から構成されている。
レンズ固定部22は、外形が略長方形をなす枠体からなり、その開口部に第1の可動レンズ群10が嵌合されている。このレンズ固定部22の一方の短辺の角部には、側方に開口された軸受部の一具体例を示すサブ軸受溝24が設けられている。このサブ軸受溝24には、図4に示すように、第2のガイド軸としての上側サブガイド軸32が摺動可能に係合される。上側サブガイド軸32は、第1の可動レンズ群10の光軸と平行に延在されていて、一端(上端)が上部鏡筒14に保持され、他端(下端)が中間鏡筒15に保持されている。
第1のレンズ保持枠21のメイン軸受部23は、レンズ固定部22のサブ軸受溝24と反対側の短辺に連続して上方向に延在される垂直片26と、この垂直片26の上下方向の両端にそれぞれ連続して水平方向に展開される一対の展開片27a,27b等から構成されている。メイン軸受部23の一対の展開片27a,27bには、それらの平面部を上下方向に同軸上に貫通する軸受孔28が設けられており、この軸受孔28に第1のガイド軸の一具体例を示すメインガイド軸31が貫通される。
メインガイド軸31は、レンズ鏡筒3の上下方向に延在されており、一端(下端)が下部鏡筒16にその軸心を中心として回動可能に支持され、他端(上端)が上部鏡筒14の上面に装着される偏心回動部材81に嵌合されている。このメインガイド軸31と上側サブガイド軸32により、第1のレンズ保持枠21がレンズ鏡筒3の上下方向に所定範囲内で案内される。また、メインガイド軸31は、後述する第2のレンズ保持枠61を案内するガイド軸でもあり、2つのレンズ保持枠21,61の共通のガイド軸となっている。
第1のレンズ保持枠21は、上部鏡筒14に取り付けられたズーム駆動機構41により、メインガイド軸31と上側サブガイド軸32に案内されてレンズ鏡筒3の上下方向に所定範囲内で進退移動可能に構成されている。ズーム駆動機構41は、ズーム用モータ42と、このズーム用モータ42の回転軸として設けられた送りねじ軸43と、この送りねじ軸43に係合される送りナット44等を備えて構成されている。
ズーム用モータ42は、コ字状に形成された第1のブラケット45に固定されており、その一端に突出した送りねじ軸43の両端部が第1のブラケット45によって回動自在に両端支持されている。第1のブラケット45は、図5等に示すように、固着手段の一具体例を示す複数本(本実施例では2本)の固定ねじ47aによって上部鏡筒14に取り付けられている。この第1のブラケット45の取付状態において、送りねじ軸43には送りナット44が摺動可能に係合されている。送りナット44は、そのねじ溝が延在する方向への移動を規制した状態で第1のレンズ保持枠21に保持されている。
かくして、ズーム用モータ42を駆動すると、送りねじ軸43の回転力が送りナット44を介して第1のレンズ保持枠21に伝達される。このとき、所定位置で回転駆動される送りねじ軸43に対して、その軸方向へ送りナット44が相対的に移動することになる。その結果、送りナット44と一体的に第1のレンズ保持枠21が移動することになり、これにより、ズーム用モータ42の回転方向に応じて第1の可動レンズ群10が、第1の固定レンズ群7に近づく方向と第2の固定レンズ群8に近づく方向とに選択的に移動される。
図5に示すように、中間鏡筒15は、上下面に開口された略長方形の枠体からなり、その2つの開口部が上部鏡筒14の下面と下部鏡筒16の上面にそれぞれ対向されている。このようにして重ね合わされた3つの鏡筒が、これらを上下方向に貫通する複数本(本実施例では3本)の固定ねじ47bにより締付固定され、一体的に組み立てられてレンズ鏡筒3が構成されている。
中間鏡筒15には、第2の固定レンズ群8が固定保持され、その第2の固定レンズ群8の下方に絞り機構12が配置されている。この絞り機構12は、開口面積を調整自在とされた羽根部材51と、この羽根部材51を移動可能に支持する羽根押え板52と、羽根部材51を開閉動作させるステップモータ53等によって構成されている。ステップモータ53は、モータベース54を介して中間鏡筒15の上面側部に固定されている。
下部鏡筒16は、上面と下面とに開口された筐体からなり、下面にCCD用アダプタ56を介してCCD4が取り付けられている。CCD用アダプタ56は、中央部に四角形の開口穴が設けられた板体からなり、その一面に、四角形の枠状に形成されたシールゴム57を介してCCD4が接着剤等の固着手段によって一体的に固着されている。CCD用アダプタ56の他方の面には、光学フィルタ13が重ね合わされた遮光板58が配置されており、これらがフィルタ押え板59で押えられて固定されている。そして、光学フィルタ13を内側に配置した状態で、CCD用アダプタ56が固定ねじ等の固着手段によって下部鏡筒16に取り付けられている。
下部鏡筒16の内部には、図4等に示すように、第3の固定レンズ群9が固定されており、その上方に第2の可動レンズ群11を保持すると共にレンズ鏡筒3の上下方向へ移動可能な第2のレンズ保持枠61が設けられている。図7等に示すように、第2のレンズ保持枠61は、第2の可動レンズ群11が嵌合されるレンズ固定部62と、このレンズ固定部62の一側に連続して略垂直に延在されるメイン軸受部63等から構成されている。
レンズ固定部62は、外形が略長方形をなす枠体からなり、その開口部に第2の可動レンズ群11が嵌合されている。このレンズ固定部62の一方の短辺の角部には、側方に開口された軸受部の第2の具体例を示すサブ軸受溝64が設けられている。このサブ軸受溝64には、図4に示すように、第2のガイド軸としての下側サブガイド軸33が摺動可能に係合される。下側サブガイド軸33は、第1の可動レンズ群10の光軸と平行に延在されていて、一端が中間鏡筒15に保持され、他端が下部鏡筒16に保持されている。
本実施例では、第2のガイド軸として上側サブガイド軸32と、下側サブガイド軸33を設け、第1のレンズ保持枠21と第2のレンズ保持枠61をそれぞれ案内する構成としたが、本発明に係る第2のガイド軸としては、第1のガイド軸であるメインガイド軸31と同様に1本の第2のガイド軸を設け、第1のレンズ保持枠21と第2のレンズ保持枠61を共に案内する構成とすることができることは勿論である。
第2のレンズ保持枠61のメイン軸受部63は、レンズ固定部62のサブ軸受溝64と反対側の短辺に連続して下方向に延在される垂直片66と、この垂直片66の上下方向の両端にそれぞれ連続して水平方向に展開される一対の展開片67a,67b等から構成されている。メイン軸受部63の一対の展開片67a,67bには、それらの平面部を上下方向に同軸上に貫通する図に表れない軸受孔が設けられており、この軸受孔にメインガイド軸31が貫通される。
この第2のレンズ保持枠61は、下部鏡筒16に取り付けられたフォーカス駆動機構71により、メインガイド軸31と下側サブガイド軸33に案内されてレンズ鏡筒3の上下方向に所定範囲内で進退移動可能に構成されている。フォーカス駆動機構71は、フォーカス用モータ72と、このフォーカス用モータ72の回転軸として設けられた送りねじ軸73と、この送りねじ軸73に係合される送りナット74等を備えて構成されている。
フォーカス用モータ72は、コ字状に形成された第2のブラケット75に固定されており、その一端に突出した送りねじ軸73の両端部が第2のブラケット75によって回動自在に両端支持されている。第2のブラケット75は、固着手段である複数本(本実施例では2本)の固定ねじ47cによって下部鏡筒16に取り付けられている。この第2のブラケッ75の取付状態において、送りねじ軸73には送りナット74が摺動可能に係合されている。送りナット74は、そのねじ溝が延在する方向への移動を規制した状態で第2のレンズ保持枠61に保持されている。
かくして、フォーカス用モータ72を駆動すると、送りねじ軸73の回転力が送りナット74を介して第2のレンズ保持枠61に伝達される。このとき、所定位置で回転駆動される送りねじ軸73に対して、その軸方向へ送りナット74が相対的に移動することになる。その結果、送りナット74と一体的に第2のレンズ保持枠61が移動することになり、これにより、フォーカス用モータ72の回転方向に応じて第2の可動レンズ群11が、第2の固定レンズ群8に近づく方向と第3の固定レンズ群9に近づく方向とに選択的に移動される。
この第2のレンズ保持枠61と第1のレンズ保持枠21との移動を案内するメインガイド軸31の上端は、偏心回動部材81に嵌合されている。偏心回動部材81は、その軸心を中心としてメインガイド軸31の上端を円運動させ、メインガイド軸31を、下部鏡筒16に支持される下端を支点に回動させるための部材である。この偏心回動部材81でメインガイド軸31を回動させることにより、メインガイド軸31に移動可能に支持された第1のレンズ保持枠21及び第2のレンズ保持枠61の姿勢を同時に変移させることができ、第1及び第2の可動レンズ群10,11の光軸を第1〜第3の固定レンズ群7〜9の光軸に一致させるように調整することができる。
図1及び図8等に示すように、偏心回動部材81は、上部鏡筒14の上面に設けられた回動部材装着孔35に着脱自在に装着され、これにより、メインガイド軸31の上端に嵌合するようになっている。偏心回動部材81が装着される回動部材装着孔35の周囲には、偏心回動部材81の後述する鍔部83を載置するための載置部36が設けられており、この載置部36の周囲に突出部37が設けられている。
突出部37は、載置部36の周囲を囲うように略リング状に形成されていて、内側に傾斜面38を有している。突出部37の傾斜面38は、周方向に等間隔をおいて設けられると共に回動部材装着孔35に向かって順次小さくなるように傾斜した複数の傾斜平面38aと、それら傾斜平面38aの間に設けられると共に突出部37の半径方向に湾曲する複数の傾斜湾曲面38bとを有している。そして、各傾斜湾曲面38bには、偏心回動部材81と突出部37との間に接着剤を塗布するための接着剤用凹部39が設けられている。
図9〜図11に示すように、偏心回動部材81は、回動部材装着孔35に係合される略円柱状の回動軸部82と、回動軸部82に連続して半径方向の外側に突出する鍔部83と、鍔部83の上面に連続すると共に複数の角部を有して多角形状をなす接着剤塗布部84と、接着剤塗布部84の上面に連続した操作部85等から構成されている。
偏心回動部材81の回動軸部82の外周面には、鍔部83と反対側の下端に至るに伴って曲率半径が次第に小さくなるようなテーパー面82aが形成されている。このテーパー面82aを設けたことにより、回動軸部82を上部鏡筒14の回動部材装着孔35に容易に挿入させて係合させることができる。更に、回動軸部82の下面には、メインガイド軸31の上端が嵌合される軸受孔86が設けられている。
回動軸部82の軸受孔86は、メインガイド軸31に見合った大きさに設定されており、メインガイド軸31が嵌合された際に、軸受孔86の中心C1とメインガイド軸31の軸心C2が一致するようになっている。この軸受孔86は、図10及び図11に示すように、その中心C1が回動軸部82の軸心C0に対して所定量Eだけ偏心するように設けられている。そのため、軸受孔86に係合されるメインガイド軸31の軸心C2は、回動軸部82の軸心C0、即ち偏心回動部材81の軸心に対して所定量Eだけ偏心される。これにより、偏心回動部材81を回動部材装着孔35内で回転させると、メインガイド軸31が偏心回動部材81の軸心C0を中心に回動するようになっている。
偏心回動部材81の鍔部83は、偏心回動部材81を回動部材装着孔35に装着した際に、回動部材装着孔35の周縁の載置部36に当接する部分であり、この鍔部83によって偏心回動部材81の回動部材装着孔35への挿入を係止している。また、操作部85は、平面形状が細長の小判型をなしており、長径の一方の側面に偏心回動部材81の回転角度を視認するための指標突部85aが設けられている。
更に、操作部85の上面には、略小判型に形成された操作用溝87が設けられている。この操作用溝87には、例えば、マイナスドライバ等の工具が挿入され、その工具を回転させることにより偏心回動部材81が上部鏡筒14の回動部材装着孔35内で回転される。操作用溝87は、接着剤塗布部84及び鍔部83を貫通して回動軸部82の軸受孔86に連続されていて、その軸受孔86に対応した部分にピン挿入用凹部88が設けられている。このピン挿入用凹部88には、偏心回動部材81を回動部材装着孔35から取り外す際に、メインガイド軸31の上端を押えるためのピンが挿入される。
偏心回動部材81としては、図12(A)に示すように、回動軸部82の軸心C0に軸受孔86の中心C1を一致させた基準の偏心回動部材81aと、図12(B)〜図12(D)に示すように、回動軸部82の軸心C0に対して軸受孔86の中心C1を所定量だけ偏心させた複数種類の偏心回動部材81、例えば、偏心回動部材81b〜81dを用意する。基準の偏心回動部材81aは、メインガイド軸31を傾けずに第1〜第3の固定レンズ群7〜9の光軸と略平行にした状態において、その第1〜第3の固定レンズ群7〜9の光軸に第1及び第2の可動レンズ群10,11の光軸が一致するかどうか確認するために使用する。そして、第1及び第2の可動レンズ群10,11の光軸と第1〜第3の固定レンズ群7〜9の光軸とが一致しない場合には、偏心回動部材81b〜81dの中から、そのズレ量に対応した偏心量のものを選択して使用する。
図12(B)に示す偏心回動部材81bは、回動軸部82の軸心C0に対する軸受孔86の中心C1の偏心量がE1となっており、同様に、図12(C)に示す偏心回動部材81cの偏心量がE2、図12(D)に示す偏心回動部材81dの偏心量がE3となっている。そして、これら偏心量の関係は、E1>E2>E3となっている。本実施の例では、偏心量の異なる複数種類の偏心回動部材81として、3種類の偏心回動部材81b〜81dを設ける構成としたが、本発明に係る偏心量の異なる複数種類の偏心回動部材としては、2種類であってもよく、また、4種類以上であってもよいことは勿論である。
このような構成を有するレンズ装置1によれば、例えば、次のようにして第1の可動レンズ群10と第2の可動レンズ群11の光軸を第1〜第3の固定レンズ群の光軸、即ち、レンズ系2の光軸L0に一致するように調整することができる。第1の可動レンズ群10を保持する第1のレンズ保持枠21と第2の可動レンズ群11を保持する第2のレンズ保持枠61には、それぞれ許容範囲内での加工誤差が生じる共に、第1のレンズ保持枠21と第1の可動レンズ群10との組み立てや、第2のレンズ保持枠61と第2の可動レンズ群11との組み立てにも許容範囲内での組立誤差が生じてしまう。また、上部鏡筒14、中間鏡筒15及び下部鏡筒16にも許容範囲内での加工誤差が生じると共に、それらを組み立ててレンズ鏡筒3を構成する際にも許容範囲内での組立誤差が生じてしまう。
そのため、図13に示すように、第1及び第2の可動レンズ群10,11の光軸L1が、レンズ系2の光軸L0に対して許容値を越えて傾斜してしまう場合がある。このように、第1及び第2の可動レンズ群10,11の光軸L1が、レンズ系2の光軸L0に対して許容値を越えて傾斜すると、CCD4の撮像面に結像される被写体の像の一部分に焦点ぼけ、いわゆる片ボケが生じて光学性能を低下させてしまう。この片ボケを解消するためには、第1及び第2の可動レンズ群10,11の光軸L1をレンズ系2の光軸L0に一致させるように調整する必要がある。
第1及び第2の可動レンズ群10,11の光軸L1をレンズ系2の光軸L0に一致させるように調整するには、まず、基準の偏心回動部材81aを回動部材装着孔35に挿入し、偏心回動部材81aの軸受孔86にメインガイド軸31を係合させる。このとき、メインガイド軸31の軸心C2が偏心回動部材81a軸心C0に一致し、予め光軸調整された固定レンズ群7〜9の光軸であるレンズ系2の光軸L0に平行となる。
次に、対物レンズ7Aの前方に公知の調整用のチャートを配置してこのチャートの画像をレンズ系2(図15を参照)によってCCD4の撮像面上に結像させる。そして、CCD4から出力される撮像信号に基づいてチャートの画像を解析し、CCD4に結像されたチャートの画像の片ボケを測定する。このような片ボケを測定する評価値としては、MTFデフォーカスカーブを挙げることができるが、この種の測定に用いられる各種の評価値を採用することができることは勿論である。
次に、評価値に基づいて、光軸L0に対する第1の可動レンズ群10の傾斜角度と第2の可動レンズ群11の傾斜角度をそれぞれ算出し、その算出結果から両可動レンズ群10,11に対して最適な光軸L1(以下、可動レンズ群光軸L1と言う)を導き出す。そして、可動レンズ群光軸L1の光軸L0に対する傾斜角度eを算出する。これにより、可動レンズ群光軸L1を光軸L0に一致させるためには、メインガイド軸31を傾斜角度eと反対の向きに同じ角度だけ傾斜させればよいことが判る。
可動レンズ群光軸L1は、第1の可動レンズ群10と第2の可動レンズ群11が共にテレ端(望遠端)に位置する場合を基準に決定されている。これは、両可動レンズ群10,11が共にテレ端(望遠端)に位置した状態において、光軸L0に対する各レンズ可動レンズ群10,11の傾きが、片ボケに大きく影響を与えるためである。なお、各可動レンズ群10,11がそれぞれワイド端(広角端)に位置した状態では、各可動レンズ群10,11の傾きが片ボケに与える影響は極めて小さくなる。これにより、本実施例では、各可動レンズ群10,11がそれぞれテレ端に位置した場合を基準に光軸調整を行っている。
次に、基準の偏心回動部材81aを回動部材装着孔35から取り外す。このとき、ピン挿通用凹部88に工具の一具体例を示すピンを挿入し、そのピンでメインガイド軸31の上端を押さえることにより、回動部材装着孔35から基準の偏心回動部材81aのみを簡単に取り外すことができる。
続いて、回動部材装着孔35に可動レンズ群光軸L1の傾斜角度eに対応した偏心量の偏心回動部材81を挿入し、偏心回動部材81の軸受孔86にメインガイド軸31を係合させる。そして、偏心回動部材81の操作用溝87に工具の一具体例を示すマイナスドライバを挿入し、偏心回動部材81を回転させる。このとき、偏心回動部材81の軸心C0に対して軸受孔86の中心C1が偏心しているため、軸受孔86に係合したメインガイド軸31は、下端を支点として偏心回動部材81の軸心C0を中心に回動され、メインガイド軸31の軸心C2が偏心回動部材81の軸心C0に対して角度eだけ傾斜される。かくして、偏心回動部材81の指標突部85aを視認しながら偏心回動部材81の回転量を調整することで、図14に示すように、可動レンズ群光軸L1を光軸L0に一致させることができる。これにより、可動レンズ群光軸L1の調整作業が終了する。
その後、上部鏡筒14の突出部37に設けた各接着剤用凹部39に図示しない接着剤塗布装置のノズル部を挿入して偏心回動部材81の接着剤塗布部84と突出部37の間に紫外線硬化型接着剤を充填する。そして、紫外線硬化型接着剤紫外線を照射して硬化させ、偏心回動部材81を上部鏡筒14に固定する。これにより、レンズ装置1の組立作業が完了する。このとき、偏心回動部材81の接着剤塗布部84が紫外線硬化型接着剤中に埋設されるため、偏心回動部材81が回動部材装着孔35内で回転することを確実に防止することができる。
このような構成を有するレンズ装置1によれば、第1のレンズ保持枠21と第2のレンズ保持枠61とを共に案内するメインガイド軸31を偏心回動部材81によって回動させて傾斜させることにより、第1の可動レンズ10と第2の可動レンズ11から導き出した可動レンズ群光軸L1をレンズ系2の光軸L0に一致させることができ、撮像素子の撮像面に結像される被写体の像の一部分に発生する片ボケを容易に解消することができる。
しかも、偏心回動部材81でメインガイド軸31を回動させるだけで、第1の可動レンズ10と第2の可動レンズ11の光軸L1の傾きを極めて簡単に調整することができると共に、複雑で大きな調整機構を必要としため、装置の小型化を実現することができる。更に、第1の可動レンズ10と第2の可動レンズ11を同時に同じ方向へ傾けるように調整し、光軸L0に可動レンズ群光軸L1を一致させる構成としたため、光学感度を向上させることができ、調整量を小さくすることができる。その結果、メインガイド軸31を回動させるためのクリアランスを小さくすることができ、更なる装置の小型化に貢献することができる。
また、第1の可動レンズ10と第2の可動レンズ11に対して最適な光軸である可動レンズ群光軸L1を導き出し、両可動レンズ10,11を同じ方向に傾けることで可動レンズ群光軸L1を光軸L0に一致させるようにしたため、第1の可動レンズ群10と第2の可動レンズ群11の両レンズ群の光軸を同時に調整することができ、高精度な光学性能を発揮させることができる。
更に、本発明のレンズ装置では、メインガイド軸31を、CCD4に近接された第2に可動レンズ群11に近い下端を支点として、第1の可動レンズ群10に近い上端を回動させ、第2の可動レンズ群11の変移量よりも第1の可動レンズ群10の変移量が大きくなるようにした。これにより、基準となるレンズ系2の光軸L0に対する可動レンズ群光軸L1の姿勢変化の影響が大きい第1の可動レンズ群10を大きく変移させ、同時にその姿勢変化による影響が小さい第2の可動レンズ群11を小さく変移させることができる。そのため、メインガイド軸31による1度の光軸調整によって2つの可動レンズ群10,11の光軸をそれぞれ適当な量だけ調整することができ、この種の光軸調整を簡単且つ迅速に行うことができる。
本実施例では、レンズ装置1を、プリズム7Bにより光軸を折り曲げるようにした折り曲げ式レンズとして説明したが、本発明に係るレンズ装置としては、全てのレンズ群が同一軸心線上に配置された、いわゆる直動式レンズとすることができることは勿論である。
なお、この実施例では、メインガイド軸31の一端(上端)に偏心回動部材81を嵌合させて可動レンズ群光軸L1を調整するようにしているが、これに限定されるものではなく、偏心回動部材81を使用しないで光軸調整を行うこともできるものである。図16は、この偏心回動部材81を使用しないで光軸調整を行う場合の説明図である。図16において、符号91は、メインガイド軸31の上端を保持して傾き角を調整可能な調整冶具である。この調整冶具91の周辺には、接着剤注入器のノズル92と、そのノズル92から吐出された紫外線硬化型樹脂接着剤93に紫外線を照射させて硬化させる紫外線ランプ94が配置されている。
偏心回動部材81を使用しないで光軸調整を行うには、まず、レンズ鏡筒3を図示しない固定台に固定し、調整冶具91でメインガイド軸31の上端を把持する。次に、調整冶具91を所定量移動させてメインガイド軸31の傾きを調整し、可動レンズ群光軸L1をレンズ系の光軸L0に一致又は略一致させ、その状態を維持する。次に、ノズル92をメインガイド軸31が貫通する上部鏡筒14の貫通穴14aに接近させて、メインガイド軸31と貫通穴14aとの間に紫外線硬化型樹脂接着剤93を塗布する。続いて、塗布した紫外線硬化型樹脂接着剤93に紫外線ランプ94で紫外線を照射し、紫外線硬化型樹脂接着剤93を硬化させる。これにより、メインガイド軸31が上部鏡筒14に固定される。
その後、メインガイド軸31の一端から調整冶具91を取り外すことにより、光軸調整を完了することができる。これにより、メインガイド軸31の外周面が貫通穴14aの内摺面から離れていて、貫通穴14aとメインガイド軸31との間に周方向の全周に亘って隙間が生じている場合であっても、メインガイド軸31を所望の位置で固定することができ、偏心回動部材81を使用した第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
図17〜図21は、前述したような構成を有するレンズ装置1を備えた撮像装置の第1の実施の例を示すデジタルスチルカメラ100を現した図である。このデジタルスチルカメラ100は、情報記録媒体として半導体記録メディアを使用し、被写体からの光学的な画像をCCD(固体撮像素子)で電気的な信号に変換して、半導体記録メディアに記録したり、液晶ディスプレイ等の表示装置に表示できるようにしたものである。
このデジタルスチルカメラ100は、図17等に示すように、カメラ本体101と、被写体の像を光として取り込んで撮像手段としてのCCD4に導くレンズ装置1と、CCD4から出力される映像信号に基づいて画像を表示する液晶ディスプレイ等からなる表示装置102と、レンズ装置1の動作や液晶ディスプレイ102の表示等を制御する制御装置103と、図示しないバッテリー電源等を備えて構成されている。
カメラ本体101は、横長とされた偏平の筐体からなり、前後方向に重ね合わされたフロントケース105及びリアケース106と、このフロントケース105とリアケース106とで形成された空間部を前後に仕切るメインフレーム107と、フロントケース105の前面に上下方向へスライド可能に取り付けられたレンズカバー108等によって構成されている。メインフレーム107の前面の一側部には、CCD4を下にして光軸Lを上下方向に向けた状態でレンズ装置1が固定されている。更に、メインフレーム107には、配線基板上に所定のマイクロコンピュータ、抵抗やコンデンサその他の電子部品等を搭載することによって形成された制御装置103と、フラッシュ装置110等が取り付けられている。
制御装置103はレンズ装置1と横並びに配置されており、これらの上方にフラッシュ装置110が配置されている。フラッシュ装置110は、フロントケース105の前面に露出される発光部110aと、その発光部110aを駆動制御する駆動部110bと、駆動部110bに所定の電力を供給するコンデンサ110c等を備えて構成されている。このフラッシュ装置110の発光部110aとレンズ装置1の対物レンズ7Aを露出させるため、フロントケース105の対応する位置にはレンズ嵌合穴111aとフラッシュ嵌合穴111bとが設けられている。そして、レンズ嵌合穴111aには化粧板18と共に対物レンズ7Aが嵌合され、フラッシュ嵌合穴111bには発光部110aが嵌合されている。
更に、フロントケース105には、レンズカバー108に設けた複数の脚片が挿通される複数の開口穴111cが設けられている。レンズカバー108は、複数の脚片に抜け止め部を設けることによってフロントケース105からの脱落が防止されている。このレンズカバー108は、複数の開口穴111cによって上下方向への移動が可能とされていると共に、図示しないロック手段により上端部と下端部においてロック可能とされている。図18に示すように、レンズカバー108が上端部にあるときには、対物レンズ7Aが完全に閉じられ、これにより対物レンズ7Aの保護が図られる。一方、図19に示すように、レンズカバー108を下端部に移動すると、対物レンズ7Aが完全に開かれると共に電源スイッチがオンに入力され、これにより撮影が可能となるように構成されている。
図17及び図20に示すように、リアケース106には、表示装置102の表示面を露出させるための四角形の開口窓112が設けられている。開口窓112は、リアケース106の背面を大きく開口して設けられており、その内側に表示装置102が配置されている。表示装置102は、開口窓112に対応した大きさを有する液晶ディスプレイと、この液晶ディスプレイの内面に重ね合わされるバックライトの組み合わせからなる。表示装置102の液晶ディスプレイ側にはシール枠113を介して保護板114が配置されており、この保護板114の周縁部が開口窓112の内面に接触されている。
更に、リアケース106には、各種の操作スイッチが設けられている。操作スイッチとしては、機能モード(静止画、動画、再生等)を選択するモード選択ツマミ115、ズーム操作を実行するズームボタン116、画面表示を行う画面表示ボタン117、各種メニューを選択するメニューボタン118、メニューを選択するカーソル等を移動させる方向キー119、画面サイズを切り換えたり画面削除を行う画面ボタン121等が適当な位置に配置されている。そして、リアケース106の表示装置102側の端部にはスピーカ用孔122が開口されていて、その内側にスピーカが内蔵されており、これと反対側の端部にはストラップ用の支持金具123が取り付けられている。
また、図21等に示すように、カメラ本体101の上面には、電源をオン・オフさせる電源ボタン125、撮影の開始や停止を実行する撮影ボタン126、手ぶれが生じたときに像ぶれ補正装置5を動作させて像ぶれ補正を実行する手ぶれ設定ボタン127等が設けられている。更に、カメラ本体101上面の略中央部にはマイクロホン用孔128が開口されていて、その内側にマイクロホンが内蔵されている。
これら電源ボタン125と撮影ボタン126と手ぶれ設定ボタン127は、カメラ本体101に装着されるスイッチホルダ124に取り付けられている。更に、マイクロホン用孔128もスイッチホルダ124に開口されており、このスイッチホルダ124に内蔵マイクロホンが固定されている。そして、スイッチホルダ124は、その一部をフロントケース105とリアケース106とで挟み込むようにしてカメラ本体101に保持されている。
このような構成を有するデジタルスチルカメラ100に本願発明のレンズ装置を適用することにより、第1の可動レンズ群10と第2の可動レンズ群11の可動レンズ群光軸L1を第1〜第3の固定レンズ群7〜9の光軸、即ちレンズ系2の光軸L0に一致させて光学性能を向上させることができると共に、レンズ装置1を小型化することができ、カメラ本体の小型化に貢献することができる。
本発明は、前述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、前記実施例においては、撮像装置としてデジタルスチルカメラを適用した例について説明したが、デジタルビデオカメラ、カメラ付きパーソナルコンピュータ、カメラ付き携帯電話その他の撮像装置にも適用できるものである。
本発明のレンズ装置の第1の実施の例を正面側から見た斜視図である。 図1に示すレンズ装置の正面図である。 図1に示すレンズ装置の平面図である。 図1に示すレンズ装置の縦断面図である。 図1に示すレンズ装置の分解斜視図である。 図1に示すレンズ装置の一部を破断した説明図である。 図1に示すレンズ装置の第1のレンズ保持枠と第2のレンズ保持枠の斜視図である。 図1に示すレンズ装置のレンズ鏡筒に軸受調整部材を装着した状態の斜視図である。 図8に示す軸受調整部材を上方から見た斜視図である。 図8に示す軸受調整部材を下方から見た斜視図である。 図11Aは軸受け部材の平面図、図11Bは軸受け部材の縦断面図、図11Cは軸受け部材の底面図である。 図12A〜Dは軸受調整部材の種類を説明するものであり、図12Aは基準の軸受調整部材の説明図、図12B〜図12Dはガイド軸を傾けるための軸受調整部材の説明図である。 図1に示すレンズ装置に係る光軸の調整を説明するための第1の説明図である。 図1に示すレンズ装置に係る光軸の調整を説明するための第2の説明図である。 図1に示すレンズ装置のレンズ系を説明するための説明図である。 図1に示すレンズ装置の光軸調整の第2の実施例を説明するための説明図である。 本発明の撮像装置の第1の実施の例を示すもので、デジタルスチルカメラに適用した分解斜視図である。 本発明の撮像装置の第1の実施の例に係るデジタルスチルカメラを正面側から見たもので、レンズカバーで対物レンズを閉じた状態の斜視図である。 本発明の撮像装置の第1の実施の例に係るデジタルスチルカメラを正面側から見たもので、レンズカバーを開いて対物レンズを露出させた状態の斜視図である。 図18に示すデジタルスチルカメラの背面図である。 図18に示すデジタルスチルカメラの平面図である。
符号の説明
1…レンズ装置、 2…レンズ系、 3…レンズ鏡筒、 4…CCD(撮像素子)、 57…第1の固定レンズ群、 7A…第1のレンズ(対物レンズ)、 7B…プリズム、 7C…第2のレンズ、 8…第2の固定レンズ群、 9…第3の固定レンズ群、 10…第1の可動レンズ群、 11…第2の可動レンズ群、 14…上部鏡筒、 15…中間鏡筒、 16…下部鏡筒、 21…第1のレンズ保持枠、 31…メインガイド軸(第1のガイド軸)、 32…上側サブガイド軸(第2のガイド軸)、 33…下側サブガイド軸(第2のガイド軸)、 35…回動部材装着孔、 41…ズーム駆動機構、 61…第2のレンズ保持枠、 71…フォーカス駆動機構、 81…偏心回動部材、 82…回動軸部、 83…鍔部、 84…接着剤塗布部、 85…操作部、 100…デジタルスチルカメラ(撮像装置)

Claims (7)

  1. 複数のレンズを有するレンズ系を保持するレンズ鏡筒と、
    前記レンズ系の第1の可動レンズを保持する第1のレンズ保持枠と、
    前記レンズ系の第2の可動レンズを保持する第2のレンズ保持枠と、
    前記第1の可動レンズの光軸方向と前記第2の可動レンズの光軸方向を略一致させるようにして前記第1のレンズ保持枠と前記第2のレンズ保持枠を共通に貫通すると共に前記光軸方向へ移動可能に支持する第1のガイド軸と、
    前記第1のレンズ保持枠及び前記第2のレンズ保持枠を前記第1のガイド軸と協働して支持することにより当該第1のレンズ保持枠及び第2のレンズ保持枠の前記移動時における姿勢を一定に維持する第2のガイド軸と、
    前記レンズ鏡筒に回動可能に支持されると共に前記第1のガイド軸の一端を、その回動中心から偏心した位置で回動可能に支持する偏心回動部材と、を設け、
    前記偏心回動部材を回動させることにより、前記第1のガイド軸の他端を支点として前記一端を円運動させて前記第1のレンズ保持枠と前記第2のレンズ保持枠の姿勢を同時に変移可能としたことを特徴とするレンズ装置。
  2. 前記第1の可動レンズはズームを調整するズームレンズであり、前記第2の可動レンズはフォーカスを調整するフォーカスレンズであることを特徴とする請求項1記載のレンズ装置。
  3. 前記偏心回動部材は、前記レンズ鏡筒に回動可能に支持されると共に前記第1のガイド軸の一端を支持する回動軸部と、前記回動軸部に連続して設けられると共に外力が加えられることにより当該回動軸部を回動させる操作部と、前記回動軸部と前記操作部の間に設けられると共に接着剤が塗布されることにより前記回動軸部を前記レンズ鏡筒に固定する接着剤塗布部と、を有することを特徴とする請求項1記載のレンズ装置。
  4. 複数のレンズを有するレンズ系を保持するレンズ鏡筒と、
    前記レンズ系の第1の可動レンズを保持する第1のレンズ保持枠と、
    前記レンズ系の第2の可動レンズを保持する第2のレンズ保持枠と、
    前記第1の可動レンズの光軸方向と前記第2の可動レンズの光軸方向を略一致させるようにして前記第1のレンズ保持枠と前記第2のレンズ保持枠を共通に貫通すると共に前記光軸方向へ移動可能に支持する第1のガイド軸と、
    前記第1のレンズ保持枠及び前記第2のレンズ保持枠を前記第1のガイド軸と協働して支持することにより当該第1のレンズ保持枠及び第2のレンズ保持枠の前記移動時における姿勢を一定に維持する第2のガイド軸と、
    前記レンズ鏡筒に回動可能に支持されると共に前記第1のガイド軸の一端を、その回動中心から偏心した位置で回動可能に支持する偏心回動部材と、
    前記レンズ系の対物レンズと反対側に配置された撮像素子と、を設け、
    前記偏心回動部材を回動させることにより、前記第1のガイド軸の他端を支点として前記一端を円運動させて前記第1のレンズ保持枠と前記第2のレンズ保持枠の姿勢を同時に変移可能としたことを特徴とするレンズ装置。
  5. 前記第1のガイド軸は、前記第1のレンズ保持枠側に設定される前記一端を前記レンズ系の対物レンズ側に配置すると共に前記第2のレンズ保持枠側に設定される前記他端を前記撮像素子側に配置し、前記一端に装着される前記偏心回動部材の回動により円運動される前記第1の可動レンズの変移量を前記第2の可動レンズの変移量よりも大きくしたことを特徴とする請求項4記載のレンズ装置。
  6. 複数のレンズからなるレンズ系を保持するレンズ鏡筒と、前記レンズ系の第1の可動レンズを保持する第1のレンズ保持枠と、前記レンズ系の第2の可動レンズを保持する第2のレンズ保持枠が設けられたレンズ装置を備えた撮像装置であって、
    前記レンズ装置は、
    前記第1の可動レンズの光軸方向と前記第2の可動レンズの光軸方向を略一致させるようにして前記第1のレンズ保持枠と前記第2のレンズ保持枠を共通に貫通すると共に前記光軸方向へ移動可能に支持する第1のガイド軸と、
    前記第1のレンズ保持枠及び前記第2のレンズ保持枠を前記第1のガイド軸と協働して支持することにより当該第1のレンズ保持枠及び第2のレンズ保持枠の前記移動時における姿勢を一定に維持する第2のガイド軸と、
    前記レンズ鏡筒に回動可能に支持されると共に前記第1のガイド軸の一端を、その回動中心から偏心した位置で回動可能に支持する偏心回動部材と、を有し、
    前記偏心回動部材を回動させることにより、前記第1のガイド軸の他端を支点として前記一端を円運動させて前記第1のレンズ保持枠と前記第2のレンズ保持枠の姿勢を同時に変移可能としたことを特徴とする撮像装置。
  7. レンズ鏡筒に保持されたレンズ系の複数の可動レンズを保持する複数のレンズ保持枠を複数のガイド軸によって前記レンズ系の光軸方向へ移動可能に支持し、前記複数のレンズ保持枠を共通に貫通する第1のガイド軸を、その他端を支点として一端を円運動させることにより、前記複数のレンズ保持枠の姿勢を同時に変移させて前記複数の可動レンズ間の光軸を前記レンズ系の光軸と略一致させるように調整可能としたことを特徴とするレンズ装置の光軸調整方法。
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