JP2007277432A - 生物防汚剤、防汚処理方法および防汚処理物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生物忌避性基を有する重合体と塗膜形成材料とを少なくとも含み、上記重合体が、アミノ基、アンモニウム基、ピリジン基、ピリジニウム基、フェノール基およびポリエチレングリコール基からなる群から選ばれた少なくとも1種の生物忌避性基が、実質的に加水分解しない連結基を介して結合している重合体であることを特徴とする生物防汚剤。
【選択図】なし
Description
1.忌避性基を有する重合体と塗膜形成材料とを少なくとも含み、上記重合体が、アミノ基、アンモニウム基、ピリジン基、ピリジニウム基、フェノール基およびポリエチレングリコール基からなる群から選ばれた少なくとも1種の忌避性基が、実質的に加水分解しない連結基を介して結合している重合体であることを特徴とする生物防汚剤。
2.前記重合体が、線状重合体(A)および/または重合体微粒子(B)である前記1に記載の生物防汚剤。
3.前記連結基が、アミン結合、アンモニウム結合、エーテル結合、チオエーテル結合および炭化水素結合からなる群から選ばれた少なくとも1種の実質的に加水分解しない結合基である前記1に記載の生物防汚剤。
(式中のXは、アミノ基、アンモニウム基、ピリジン基、ピリジニウム基、フェノール基およびポリエチレングリコール基からなる群から選ばれた少なくとも1種の生物忌避性基である。)
5.前記重合体が、ハロゲン化メチルスチレン共重合体に忌避性基を有する化合物を反応させて得られる重合体、またはハロゲン化メチルスチレンに忌避性基を有する化合物を反応させた単量体を重合して得られる重合体である前記1に記載の生物防汚剤。
6.前記重合体(A)と塗膜形成材料(B)との配合質量比が、A:B=95:5〜5:95である前記1に記載の生物防汚剤。
7.前記1〜6のいずれかに記載の生物防汚剤を基材に塗布または含浸し、あるいは基材に混練または内添することを特徴とする基材の生物防汚処理方法。
9.アミノ基、アンモニウム基、ピリジン基、ピリジニウム基、フェノール基およびポリエチレングリコール基からなる群から選ばれた少なくとも1種の忌避性基が、アミン結合、アンモニウム結合、エーテル結合、チオエーテル結合および炭化水素結合からなる群から選ばれた少なくとも1種の実質的に加水分解しない連結基を介して連結されていることを特徴とする単量体。
10.下記一般式(2)で表されることを特徴とする単量体。
(式中のXは、アミノ基、アンモニウム基、ピリジン基、ピリジニウム基、フェノール基およびポリエチレングリコール基からなる群から選ばれた少なくとも1種の生物忌避性基である。)
本発明で使用できる忌避性重合体としては、線状の重合体(A)および微粒子状の重合体(B)が使用できる。忌避性基の支持体となる重合体としては、公知の付加重合体系、縮合重合体系、熱硬化重合体系など、全ての重合体系が使用できる。付加重合体系としてはビニル系、ジエン系、(メタ)アクリル系などの公知の(共)重合体、縮合重合体系としてはエステル系、アミド系、ウレタン系などの公知の(共)重合体、熱硬化重合体系としてはメラミン−ホルムアルデヒド系、フェノール−ホルムアルデヒド系、エポキシ−アミン系、イソシアネート−アルコール系などの公知の熱硬化性樹脂初期縮合物を使用した硬化物などが挙げられる。
(1)アミノ基、アンモニウム基、ピリジン基、ピリジニウム基、フェノール基およびポリエチレングリコール基からなる群から選ばれた少なくとも1種の忌避性基が、アミン結合、アンモニウム結合、エーテル結合、チオエーテル結合および炭化水素結合からなる群から選ばれた実質的に加水分解しない連結基を介して連結されている単量体。
(式中のXは、アミノ基、アンモニウム基、ピリジン基、ピリジニウム基、フェノール基およびポリエチレングリコール基からなる群から選ばれた少なくとも1種の生物忌避性基である。)
(1)6−ハロゲン化メチルスチレン(共)重合体に忌避性基を有する化合物を反応させる方法。
(2)6−ハロゲン化メチルスチレンに忌避性基を有する化合物を反応させて忌避性基を有する単量体を合成し、次いで重合させる方法。
(A1)忌避性基を分子中に有する前記以外の単量体やマクロモノマーを必要に応じて他の単量体と混合し、重合し、忌避性重合体とする方法。
(A2)忌避性基に容易に変わり得る基を分子中に有する単量体やマクロモノマーを必要に応じて他の単量体とを混合し、重合し、次いで忌避性基に変える方法。
(A3)予め反応基を分子中に有する単量体を重合させ、次いで忌避性基を有する反応性化合物と反応させる方法。
(A5)反応基を分子中に有する単量体の(共)重合体を、忌避性重合体の先駆体として忌避性基を有する反応性化合物と共に塗料化し、塗膜中で反応させ、忌避性を有する塗膜を得る方法。
(1)加熱装置としてのウオーターバス、攪拌機、モノマー滴下装置、試薬投入口、逆流冷却器および窒素ガス吹込み口を備えた重合反応装置を準備し、重合容器に水100部、エタノール342.5部および分散安定剤としてポリアクリル酸(平均分子量:25万)6部を仕込み、攪拌してポリアクリル酸を溶解した。次いでモノマーとしてスチレン(St)45部、およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.75部を混合して、添加し、窒素ガス気流下、70℃で8時間攪拌し、懸濁重合を行った。得られた重合体の粒径は動的光散乱法で測定したところ約1μmであった。
(1)合成例1(2)と同様にして、PEG(凡その平均重合度:22)のジグリシジルエーテル(エポキシ当量:551)110.2部に3−エチルアミノ−4−メチルフェノール15.2部およびDEA7.5部を順次反応させて片末端が3−(ヒドロキシトリル(エチル)アミノ)−(2−ヒドロキシ)プロピル基および他端が3−ジエチルアミノ(2−ヒドロキシ)プロピル基を結合したPEGを主成分とするPEG誘導体を得た。次いでハイドロキノン0.07部を添加し、CMSの50%メチルエチルケトン(MEK)溶液30.6部を50℃にて1時間で滴下し、さらに50〜55℃にて2時間攪拌し、反応をさせた。水酸化ナトリウム水溶液で塩酸を中和した後、減圧蒸留でMEKを溜去し、PEGをスペーサーとして3−エチルアミノ−4−メチルフェノール基が結合したスチレン系モノマーを得た。
(1)合成例1(2)のPEGジグリシジルエーテルのDEAとの反応と同様にして、ラウリルオキシPEG(n:15)モノグリシジルエーテル(エポキシ当量:971)97.1部にDEA7.4部を反応させて、3−ジエチルアミノ(2−ヒドロキシ)プロピル基が結合したPEGモノラウリルエーテルを生成させた。続いて、合成例2(1)の反応に準じて、CMS15.3部を反応させ、水酸化ナトリウムで中和して、3−(スチリルメチル(N,N−ジエチル−)アミノ)(2−ヒドロキシ−)プロピル基が結合したPEGモノラウリルエーテル(ラウリルオキシPEG鎖が結合したスチレン系モノマー)を得た。
合成例3と同様にして、フェニルオキシPEG(n:5)−モノグリシジルエーテル(エポキシ当量:400)40.0部にDEA7.4部を反応させて得られた3−ジエチルアミノ(2−ヒドロキシ)プロピル基が結合したPEGモノフェニルエーテルにCMS15.3部を反応させて、3−(スチリルメチル(N,N−ジエチル−)アミノ)(2−ヒドロキシ)プロピル基が結合したPEGモノフェニルエーテル(フェニルオキシPEG鎖が結合したスチレン系モノマー)を得た。それを使用して同様に共重合し、フェニルオキシPEG鎖を有する基を側鎖に有するSt−MMA−BMA−HEMA共重合体溶液(固形分:40%)を得た。以下、「忌避性重合体−2」と称する。
合成例1(1)で得られたクロルメチル基を有するコア−シェル型架橋重合体微粒子分散液250部を仕込み、N,N−ジメチルアニリン12.3部を添加し、130℃で8時間反応させジメチルアニリンで表面が修飾された重合体微粒子を得た。反応後、反応液を300部のエタノールに投入し、重合体微粒子を濾別し、エタノールで洗浄した。フェニルジメチルアンモニウム基で表面修飾された架橋重合体微粒子ペーストを得た。以下、「忌避性微粒子−3」と称する。
合成例5の架橋重合体微粒子の表面修飾反応と同様にして、N,N−ジメチルアニリンに代えて表1のアニリン系化合物を反応させた。反応後、反応液をエタノールに投入し、重合体微粒子を濾別し、洗浄し、塩基性化合物で表面修飾された架橋重合体微粒子ペーストを得た。以下、表1で示す名称で表わす。
(1)合成例3と同様にして、モノマーとしてCMS20部、St25部、MMA25部、BMA25部およびHEMA5部を使用して、合成例3と同様にして重合反応を行い、反応性のクロルメチル基を有する、CMS−St−MMA−BMA−HEMA共重合体溶液(固形分:40%)を得た。以下、「忌避性先駆重合体−1」と称する。
63.57部のポリエチレングリコール(PEG)(凡その平均重合度:9)のジグリシジルエーテル(エポキシ等量:268)と25部のオクチルアニリンと20部のn−ブタノールを仕込んだ。140℃にて4時間攪拌した。片末端がオクチルアニリン基であり、他末端がエポキシ基である分子量約4,000(GPCポリスチレン換算)のオリゴマーを得た(固形分:86%)。GPCによれば未反応のオクチルアニリンは認められなかった。各段階の反応の進行は赤外スペクトルで確認した。
重合容器にキシレン/n−ブタノール混合溶媒(7/3)150部を仕込み、90℃に加熱する。次いでMMA50部、メタクリル酸ブチル(BMA)35部、HEMA15部、およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1.5部のモノマー混合液を2時間にわたって滴下し、窒素ガス気流下で6時間反応し、MMA−BMA−HEMA共重合体のキシレン溶液を得た(固形分:40%)。以下、「比較用アクリル樹脂」と称する。
合成例1で得られた忌避性微粒子−1を下記の固着用アクリル樹脂のキシレン/n−ブタノール溶液と固形分質量比で65/35で、混合し、酢酸ブチルで固形分25%に調整した後、忌避性微粒子−1の粉末を超音波で微分散させ、塗料を調製した。防錆処理を施した試験用鋼板の周囲の上下左右および中央に境界を作り、それぞれ約1cmの幅でエポキシ系下塗り塗料を塗布し、保護と境界を作った。その下半分に上記の塗料を厚く塗布して常温下で10日間乾燥した。塗膜の厚みはほぼ110〜130g/m2であった。上半分は下記比較例2で示すように比較用のアクリル樹脂を塗布した。上記で使用した固着用アクリル樹脂は以下のようにして合成した。合成例1に使用した重合装置を使用し、重合容器にキシレン114部、n−ブタノール38部を仕込み、90℃に加熱する。次いでMMA35部、BMA35部、アクリル酸15部、HEMA15部、およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1.5部の混合液を2時間にわたって滴下し、窒素ガス気流下で6時間反応して得た(固形分:40%)。また、上記の試験用鋼板はテストパネル社製の中目両面サンドプラスト鋼板(幅×長さ×厚さ:70×150×1mm)にタールエポキシ系の下塗り塗料を乾燥後で約150g/m2で塗布し、風乾して準備した。
実施例1で調製した各塗板上の区分した上半分に、防汚性能の比較のための比較例1で得られた樹脂溶液を塗布し、常温下で10日間乾燥した。塗膜の厚みはほぼ110〜130g/m2であった。以下の実施例においても同様に上下に分けて塗布し、比較した。
表2の固形分での配合処方により実施例1で述べた塗料の調製方法および塗装方法に従い、塗装板を調製した。膜厚はほぼ110〜130g/m2であった。
合成例8(1)のクロルメチル基を有する忌避性先駆重合体−1を樹脂分で95部およびアニシジン5部を含む固形分50%に調整した塗料を調製した。この塗料を実施例1と同様にして試験用鋼板上に塗布して常温下で10日間乾燥した。塗膜の厚みはほぼ110〜130g/m2であった。同じ塗液をポリプロピレン製容器中で10日間乾燥して、フィルム(200g/m2膜)をヘキサンにて抽出試験を行った結果、ヘキサン可溶分は認められなかった。
合成例8(1)のクロルメチル基を有する忌避性先駆重合体−1を樹脂分で60部および合成例9のオクチルアニリン基を持つオリゴマー50部を含む固形分40%に調整した塗料を調製した。この塗料を実施例1と同様にして試験用鋼板上に塗布して常温下で10日間乾燥した。塗膜はほぼ110〜130g/m2であった。
(1)試験方法および試験用塗装鋼板の海水浸漬試験は内湾の比較的海水流の少ない、幼魚の成育場に隣接する場所で、魚の餌の投与のあることから栄養分の多い環境で行った。水温は凡そ25〜28℃、COD濃度は4〜10mg/Lを示した。COD濃度については瀬戸内海の比較的海水のきれいなところで1〜2mg/L、港の中など水の色が緑から黄色に見えるところでは3〜5mg/Lと言われている。実施例1〜10および比較例2で調製した塗装した試験用鋼板をポリ塩化ビニル製の枠に上下固定して吊るした。塩ビ製枠を海面より1〜2mの深さに浸漬した。4週間にわたって1週間ごとに試験用鋼板を上げて試験用鋼板の上半分、下半分のフジツボの付着状態を観察し、状態の変化を評価した。
○:非放出性防汚塗料としての機能を有している。
△:非放出性ではあるが、防汚塗料としての機能はやや不十分である。
×:非放出性ではあるが、防汚塗料としての機能を有していない。
実施例と同様にして亜酸化銅を用いたポリシング型の塗装板を調製し、同様にして海水浸漬を行い、防汚性を評価した。フジツボは殆ど付着しておらず、非常に優れた防汚性を示していたが、試験用鋼板の周囲の上下左右、中央境界のエポキシ系下塗り塗料を塗装した部分にも同様にフジツボが付着していなかった。これは防汚塗料の塗装されていない部分を含めた隣接する環境も亜酸化銅の溶出の影響を受けていることを示している。それに対し、上記実施例1〜10の塗装物はエポキシ系下塗り塗料を塗装した部分にはフジツボが著しく多く、しかも強固に付着しており、使用された重合体が溶出していないことを示している。これによって、実施例に使用した各種重合体は環境への負荷が小さいことを示している。
Claims (10)
- 生物忌避性基を有する重合体と塗膜形成材料とを少なくとも含み、上記重合体が、アミノ基、アンモニウム基、ピリジン基、ピリジニウム基、フェノール基およびポリエチレングリコール基からなる群から選ばれた少なくとも1種の生物忌避性基が、実質的に加水分解しない連結基を介して結合している重合体であることを特徴とする生物防汚剤。
- 前記重合体が、線状重合体(A)および/または重合体微粒子(B)である請求項1に記載の生物防汚剤。
- 前記連結基が、アミン結合、アンモニウム結合、エーテル結合、チオエーテル結合および炭化水素結合からなる群から選ばれた少なくとも1種の実質的に加水分解しない結合基である請求項1に記載の生物防汚剤。
- 前記重合体が、ハロゲン化メチルスチレン共重合体に生物忌避性基を有する化合物を反応させて得られる重合体、またはハロゲン化メチルスチレンに生物忌避性基を有する化合物を反応させた単量体を重合して得られる重合体である請求項1に記載の生物防汚剤。
- 前記重合体(A)と塗膜形成材料(B)との配合質量比が、A:B=95:5〜5:95である請求項1に記載の生物防汚剤。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の生物防汚剤を基材に塗布または含浸し、あるいは基材に混練または内添することを特徴とする基材の生物防汚処理方法。
- 請求項7に記載の方法で処理されたことを特徴とする生物防汚処理物品。
- アミノ基、アンモニウム基、ピリジン基、ピリジニウム基、フェノール基およびポリエチレングリコール基からなる群から選ばれた少なくとも1種の忌避性基が、アミン結合、アンモニウム結合、エーテル結合、チオエーテル結合および炭化水素結合からなる群から選ばれた少なくとも1種の実質的に加水分解しない連結基を介して連結されていることを特徴とする単量体。
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