JP2007277136A - ビスアミノフェノール化合物 - Google Patents
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- FVMPMKUBOVRFGR-UHFFFAOYSA-N Cc(c(C)c(c(N)c1)O)c1OC(c(cc1N)ccc1O)=O Chemical compound Cc(c(C)c(c(N)c1)O)c1OC(c(cc1N)ccc1O)=O FVMPMKUBOVRFGR-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
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Abstract
Description
本発明は、ビスアミノフェノール化合物に関する。
一分子中に、2つのアミノフェノール構造を有するビスアミノフェノール化合物は、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂及びポリベンゾオキサゾール樹脂などの原料として用いられ、その用途に応じて、様々な構造を有する樹脂が合成され、使用されている。
これらの樹脂の主鎖に、エステル基などのメソゲン基を有する場合、液晶性を示すポリマーになり得るため、特に、高弾性、高強度及び高耐熱樹脂を必要とする用途へと広く検討されている(例えば、特許文献1参照。)。このような高弾性、高強度及び高耐熱性を有する樹脂として、半導体素子の分野で用いられる場合、優れた特性を示す芳香族ポリイミド樹脂などが挙げられる(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、近年、半導体素子の高集積化及び大型化が進む一方、半導体装置においては、その薄型化及び小型化が進んでおり、半導体装置の製造においては、半田リフローによる表面実装への移行等により、耐熱サイクル性及び耐熱ショック性等の特性に対する著しい向上の要求があり、更に高性能の樹脂が必要とされるようになってきた。
特表平8−509020号公報
特開平8−104811号公報
本発明は、高弾性、高強度及び高耐熱性を有する樹脂の原料として、好適に用いることができるビスアミノフェノール化合物を提供するものである。
即ち、下記第(1)項〜第(5)項の本発明により達成される。
(1) 2つのo−アミノヒドロキシフェニル基が、エステル結合を含む結合基で結合されてなるビスアミノフェノール化合物。
(2) 前記エステル結合を含む結合基は、一般式(1)で表されるものである、第(1)項に記載のビスアミノフェノール化合物。
(2) 前記エステル結合を含む結合基は、一般式(1)で表されるものである、第(1)項に記載のビスアミノフェノール化合物。
(3) 前記ビスアミノフェノール化合物は、一般式(2)で表されるビスアミノフェノール化合物である、第(1)項又は第(2)項に記載のビスアミノフェノール化合物。
(4) 前記ビスアミノフェノール化合物は、前記一般式(2)におけるR3として、単結合、置換基を有していても良いフェニレン基、置換基を有していても良いo−ベンゾイロキシ基及び置換基を有していても良いカルボフェニロキシ基から選択される一種を有するものである、第(3)項に記載のビスアミノフェノール化合物。
(5) 前記ビスアミノフェノール化合物は、一般式(3)で表されるものである、第(1)項〜第(4)項のいずれか1項に記載のビスアミノフェノール化合物。
(5) 前記ビスアミノフェノール化合物は、一般式(3)で表されるものである、第(1)項〜第(4)項のいずれか1項に記載のビスアミノフェノール化合物。
本発明によれば、高弾性、高強度及び高耐熱性を有する樹脂の原料として好適に用いることができるビスアミノフェノール化合物を提供することができる。
以下、本発明の好適実施形態について説明する。
本発明は、2つのo−アミノヒドロキシフェニル基が、エステル結合を含む結合基で結合されてなるビスアミノフェノール化合物である。
前記エステル結合を含む結合基としては、結合基の主鎖にエステル結合を有するものであればよいが、例えば、前記一般式(1)で表されるものを挙げることができる。
前記一般式(1)で表される基としては、式中のR1及びR2として、それぞれ、単結合、炭素数1−6のアルキル鎖よりなる基及び置換若しくは無置換の芳香環を有する有機基を有するものを挙げることができる。
前記炭素数1−6のアルキル鎖よりなる基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基及びヘキサメチレン基などが挙げられる。前記置換若しくは無置換の芳香環を有する有機基としては、フェニレン基、ベンジレン基、メチルフェニレン基、メトキシフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、フェニルカルボキシ基及びo−ベンゾイロキシ基などが挙げられる。前記芳香環を有する有機基における置換基としては、メチル基及びエチル基などのアルキル基、メトキシ基及びエトキシ基などのアルコキシ基、アセチル基及びベンゾイル基などのアシル基、メチロキシカルボニル基及びエチロキシカルボニル基などのエステル基などが挙げられる。
このような前記エステル結合を含む結合基を有するビスアミノフェノール化合物の具体例としては、2つのo−アミノヒドロキシフェニル基が、一般式(1)で表されるエステル結合を含む結合基で結合されてなるビスアミノフェノール化合物の他に、前記一般式(2)で表されるものを挙げることができる。
前記一般式(2)で表されるビスアミノフェノール化合物としては、式中のR3として、単結合、炭素数1−6のアルキル鎖よりなる基及び置換若しくは無置換の芳香環を有する有機基を有するものを挙げることができる。ここで、炭素数1−6のアルキル鎖よりなる基及び置換若しくは無置換の芳香環を有する有機基としては、前記一般式(1)で表される基におけるR1及びR2としての炭素数1−6のアルキル鎖よりなる基及び置換若しくは無置換の芳香環を有する有機基と同様のものを挙げることができる。これらの中でも、熱安定性に優れ、溶剤溶解性に優れるビスアミノフェノール化合物を得る上では、前記一般式(2)におけるR3として、単結合、置換基を有していても良いフェニレン基、置換基を有していても良いo−ベンゾイロキシ基及び置換基を有していても良いカルボフェニロキシ基がより好ましい。
前記一般式(2)で表されるビスアミノフェノール化合物におけるR4及びR5は、それぞれ、水素原子、炭素数1−6のアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アシル基及びエステル基から選択される一種であり、これらは、互いに同一であっても異なっていても良い。
これらR4及びR5の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基及びt−ブチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピロキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基及びt−ブトキシ基などのアルコキシ基、フェニル基、アセチル基及びベンゾイル基などのアセチル基、メチルエステル基、エチルエステル基及びフェニルエステル基などのエステル基などが挙げられる。
これらR4及びR5の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基及びt−ブチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピロキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基及びt−ブトキシ基などのアルコキシ基、フェニル基、アセチル基及びベンゾイル基などのアセチル基、メチルエステル基、エチルエステル基及びフェニルエステル基などのエステル基などが挙げられる。
さらに、前記一般式(2)で表されるビスアミノフェノール化合物における具体例の一つとして、前記一般式(3)で表されるものを挙げることができる。
前記一般式(3)で表されるビスアミノフェノール化合物におけるR6及びR7は、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アシル基及びエステル基から選択される一種であり、これらは互いに同一であっても異なっていても良い。
これらR6及びR7の具体例としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基及びt−ブチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピロキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基及びt−ブトキシ基などのアルコキシ基、フェニル基、アセチル基及びベンゾイル基などのアセチル基、メチルエステル基、エチルエステル基及びフェニルエステル基などのエステル基などが挙げられる。
これらR6及びR7の具体例としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基及びt−ブチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピロキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基及びt−ブトキシ基などのアルコキシ基、フェニル基、アセチル基及びベンゾイル基などのアセチル基、メチルエステル基、エチルエステル基及びフェニルエステル基などのエステル基などが挙げられる。
ここで、本発明のビスアミノフェノール化合物の製造方法について説明する。
本発明のビスアミノフェノール化合物の製造方法としては、例えば、水酸基とカルボキシル基とを有する芳香族化合物と、少なくとも2つの水酸基を有する芳香族化合物とを、エステル化反応をさせることにより、エステル結合を形成した後、反応生成物を、ニトロ化剤によるニトロ化反応することにより、ビスニトロフェノール化合物を合成し、上記で得たビスニトロフェノール化合物を、還元反応することにより、ニトロ基をアミノ基へと変換してビスアミノフェノール化合物を製造する方法を挙げることができる。
上記の水酸基とカルボキシル基とを有する芳香族化合物としては、o−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ−4−メトキシ安息香酸、3−ヒドロキシ−4,5−ジメトキシ安息香酸、3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸、4−ヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2’−ヒドロキシ−2−ビフェニルカルボン酸及び4’−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸などを挙げることができ、ニトロ化反応の反応活性や生成したエステル結合の安定性の点から、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸、4−ヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸及び4’−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸がより好ましい。
上記の少なくとも2つの水酸基を有する芳香族化合物としては、カテコール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、5−メトキシレゾルシノール、ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、2,3−ジメチルヒドロキノン、2−イソプロピルヒドロキノン、2−メトキシヒドロキノン、1,3−ジヒドロキシアセトフェノン、2’,5’−ジヒドロキシアセトフェノン、ピロガロール、フロログルシノール、2,3−ジヒドロキシナフタレン及び1,5−ジヒドロキシナフタレンなどを挙げることができ、ニトロ化反応の反応活性や生成したエステル結合の安定性の点から、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、5−メトキシレゾルシノール、ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、2,3−ジメチルヒドロキノン、2−イソプロピルヒドロキノン、2−メトキシヒドロキノン、2’,5’−ジヒドロキシアセトフェノン及び1,5−ジヒドロキシナフタレンがより好ましい。
上記ビスアミノフェノール化合物の製造方法の例について、さらに詳細に述べる。
上記の水酸基とカルボキシル基とを有する芳香族化合物と、少なくとも2つの水酸基を有する芳香族化合物とのエステル化反応としては、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン及びN−メチルピロリドン等の有機溶媒中で、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールなどのトリアジン化合物と、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの脱水縮合剤を用いて、前記水酸基とカルボキシル基とを有する芳香族化合物と、前記少なくとも2つの水酸基を有する芳香族化合物とを反応させる、活性エステル化による反応を挙げることができる。
上記の水酸基とカルボキシル基とを有する芳香族化合物と、少なくとも2つの水酸基を有する芳香族化合物とのエステル化反応としては、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン及びN−メチルピロリドン等の有機溶媒中で、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールなどのトリアジン化合物と、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの脱水縮合剤を用いて、前記水酸基とカルボキシル基とを有する芳香族化合物と、前記少なくとも2つの水酸基を有する芳香族化合物とを反応させる、活性エステル化による反応を挙げることができる。
上記のエステル化反応は、反応の選択性の観点から、水酸基とカルボキシル基を有する芳香族化合物を1モルとした場合、水酸基を少なくとも2つ有する芳香族化合物とのモル比が1〜20の間であることが好ましく、2〜5の間であることがより好ましい。
上記のエステル結合を形成した反応生成物のニトロ化反応としては、例えば、該反応生成物を、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロホルム、ジクロロメタン及び無水酢酸等の溶媒中で、硝酸やその混酸、金属硝酸塩及びニトロニウム塩などのニトロ化剤を用いて、反応させる反応を挙げることができる。
上記のニトロ化反応で得たビスニトロフェノール化合物の還元反応としては、例えば、前記ビスニトロフェノール化合物を、エタノール、テトラヒドロフラン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン及びN−メチルピロリドン等の有機溶媒中、パラジウム活性炭素触媒やラネーニッケル触媒の存在下、水素雰囲気下のもとに還元反応させ、前記ビスニトロフェノール化合物のニトロ基を還元してアミノ基とする方法を挙げることができる。
上記の還元反応により得られるビスアミノフェノール化合物は、そのままでも用いることができるが、メタノールやエタノールなどのアルコール溶媒、N,N−ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシドなどの両親媒性溶媒、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及び水などの溶媒を、これら単独または複数の混合溶媒で、再結晶することにより、精製して純度を上げることも可能である。
なお、本発明のビスアミノフェノール化合物の製造方法は、上記の合成反応ルートが一般的であるが、これらに何ら限定されるものではない。
本発明のビスアミノフェノール化合物は、ジカルボン酸化合物や酸二無水物と重縮合させることで、ポリアミド樹脂を得ることができ、さらに加熱することにより、脱水閉環反応させることで、それぞれ、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリイミド樹脂を得ることができる。
本発明のビスアミノフェノール化合物を用いて得られた樹脂は、主鎖中に導入されたエステル結合により、液晶性を示すポリマーとして働き、特に、高弾性、高強度及び高耐熱樹脂を必要とする用途へ適用可能である。
特に、本発明のビスアミノフェノール化合物を用いて得られた樹脂は、半田リフローによる表面実装への移行等により、耐熱サイクル性及び耐熱ショック性等の特性に対する著しい向上が要求される半導体装置に好適である。
特に、本発明のビスアミノフェノール化合物を用いて得られた樹脂は、半田リフローによる表面実装への移行等により、耐熱サイクル性及び耐熱ショック性等の特性に対する著しい向上が要求される半導体装置に好適である。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
(実施例1)
冷却管および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、ヒドロキノン44.0g(0.40mol)、ピリジン7.9g(0.10mol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール13.5g(0.10mol)およびテトラヒドロフラン250mLを仕込み、テトラヒドロフラン50mLに溶解させた4−ヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸18.3g(0.10mol)を滴下して加えた。次いで、テトラヒドロフラン50mLに溶解させたN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド20.6g(0.10mol)を滴下して加え、攪拌下氷浴中で2時間反応した。その後、攪拌下4時間還流させて反応した。析出物を吸引濾過して除いた後、溶媒を減圧下で留去した。得られた個体を熱水200mLで2回洗浄し、真空乾燥後、黄緑色固体23.7gを得た。分析の結果、4−ヒドロキシフェニル−4’−ヒドロキシ−3’−ニトロベンゾエートであると確認した。
冷却管および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、ヒドロキノン44.0g(0.40mol)、ピリジン7.9g(0.10mol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール13.5g(0.10mol)およびテトラヒドロフラン250mLを仕込み、テトラヒドロフラン50mLに溶解させた4−ヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸18.3g(0.10mol)を滴下して加えた。次いで、テトラヒドロフラン50mLに溶解させたN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド20.6g(0.10mol)を滴下して加え、攪拌下氷浴中で2時間反応した。その後、攪拌下4時間還流させて反応した。析出物を吸引濾過して除いた後、溶媒を減圧下で留去した。得られた個体を熱水200mLで2回洗浄し、真空乾燥後、黄緑色固体23.7gを得た。分析の結果、4−ヒドロキシフェニル−4’−ヒドロキシ−3’−ニトロベンゾエートであると確認した。
次いで、撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、トルエン300mL、上記で得た4−ヒドロキシフェニル−4’−ヒドロキシ−3’−ニトロベンゾエートを23.7g(0.08mol)仕込み、60%硝酸水溶液9.02g(0.08mol)を、滴下ロートを用いて攪拌下0〜10℃で1時間かけてゆっくりセパラブルフラスコに滴下した。滴下終了後、0〜10℃でさらに5時間攪拌を続けた。析出固体を吸引濾過で回収し、真空乾燥後、黄色固体23.0gを得た。分析の結果、4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル−4’−ヒドロキシ−3’−ニトロベンゾエートであると確認した。
次いで、撹拌装置付きのナスフラスコ(容量:500mL)に、上記で得た4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル−4’−ヒドロキシ−3’−ニトロベンゾエートを23.0g(0.07mol)、テトラヒドロフラン200mLおよび10%パラジウム活性炭素1.53g(0.001mol)を仕込み、水素雰囲気下で12時間攪拌した。固体を吸引濾過で除いた後、溶媒を減圧下で留去した。真空乾燥後、白茶色固体17.8gを得た。この生成物をC1とした。化合物C1を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果は次の通りであった。
生成物の元素分析:
(実験値) C:60.1%,H:4.5%,N:10.9%,O:24.5%
(理論値) C:60.0%,H:4.6%,N:10.8%,O:24.6%
生成物C1の1H−NMRスペクトルを図1に示す。
分析結果より、得られた生成物C1は下記式(6)で表される目的のビスアミノフェノール化合物であることが確認された。得られたC1の収率は、72%であった。
生成物の元素分析:
(実験値) C:60.1%,H:4.5%,N:10.9%,O:24.5%
(理論値) C:60.0%,H:4.6%,N:10.8%,O:24.6%
生成物C1の1H−NMRスペクトルを図1に示す。
分析結果より、得られた生成物C1は下記式(6)で表される目的のビスアミノフェノール化合物であることが確認された。得られたC1の収率は、72%であった。
(実施例2)
実施例1において、4−ヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸の代わりに3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸18.3g(0.10mol)を用いた以外は、実施例1と同様にして、化合物C4を得た。
上記で得た化合物C2を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、得られた化合物C2は下記式(7)で表される目的のビスアミノフェノール化合物であることが確認された。得られた化合物C2の収率は、75%であった。
実施例1において、4−ヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸の代わりに3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸18.3g(0.10mol)を用いた以外は、実施例1と同様にして、化合物C4を得た。
上記で得た化合物C2を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、得られた化合物C2は下記式(7)で表される目的のビスアミノフェノール化合物であることが確認された。得られた化合物C2の収率は、75%であった。
(実施例3)
実施例1において、ヒドロキノンの代わりに、2,3−ジメチルヒドロキノン55.3g(0.40mol)を用いた以外は、実施例1と同様にして、化合物C5を得た。
上記で得た化合物C3を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、得られた化合物C3は下記式(8)で表される目的のビスアミノフェノール化合物であることが確認された。得られた化合物C3の収率は、70%であった。
実施例1において、ヒドロキノンの代わりに、2,3−ジメチルヒドロキノン55.3g(0.40mol)を用いた以外は、実施例1と同様にして、化合物C5を得た。
上記で得た化合物C3を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、得られた化合物C3は下記式(8)で表される目的のビスアミノフェノール化合物であることが確認された。得られた化合物C3の収率は、70%であった。
(実施例4)
実施例1において、ヒドロキノンの代わりに、1,3−ジヒドロキシアセトフェノン60.9g(0.40mol)を、4−ヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸の代わりに3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸18.3g(0.10mol)を用いた以外は、実施例1と同様にして、化合物C6を得た。
上記で得た化合物C6を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、得られた化合物C4は下記式(9)で表される目的のビスアミノフェノール化合物であることが確認された。得られた化合物C4の収率は、65%であった。
実施例1において、ヒドロキノンの代わりに、1,3−ジヒドロキシアセトフェノン60.9g(0.40mol)を、4−ヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸の代わりに3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸18.3g(0.10mol)を用いた以外は、実施例1と同様にして、化合物C6を得た。
上記で得た化合物C6を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、得られた化合物C4は下記式(9)で表される目的のビスアミノフェノール化合物であることが確認された。得られた化合物C4の収率は、65%であった。
(実施例5)
実施例1において、ヒドロキノンの代わりに1,5−ジヒドロキシナフタレン64.1g(0.40mol)を用いた以外は、実施例1と同様にして、化合物C5を得た。
上記で得た化合物C5を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、得られた化合物C5は下記式(10)で表される目的のビスアミノフェノール化合物であることが確認された。得られた化合物C5の収率は、68%であった。
実施例1において、ヒドロキノンの代わりに1,5−ジヒドロキシナフタレン64.1g(0.40mol)を用いた以外は、実施例1と同様にして、化合物C5を得た。
上記で得た化合物C5を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、得られた化合物C5は下記式(10)で表される目的のビスアミノフェノール化合物であることが確認された。得られた化合物C5の収率は、68%であった。
(実施例6)
冷却管および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、2−メチルヒドロキノン6.20g(0.05mol)、ピリジン7.9g(0.10mol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール13.5g(0.10mol)およびテトラヒドロフラン250mLを仕込み、テトラヒドロフラン50mLに溶解させた4−ヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸18.3g(0.10mol)を滴下して加えた。次いで、テトラヒドロフラン50mLに溶解させたN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド20.6g(0.10mol)を滴下して加え、攪拌下氷浴中で2時間反応した。その後、攪拌下4時間還流させて反応した。析出物を吸引濾過して除いた後、溶媒を減圧下で留去した。得られた個体をメタノール200mLで2回洗浄し、真空乾燥後、黄色固体20.0gを得た。分析の結果、ビス(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)メチルテレフタレートであると確認した。
冷却管および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、2−メチルヒドロキノン6.20g(0.05mol)、ピリジン7.9g(0.10mol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール13.5g(0.10mol)およびテトラヒドロフラン250mLを仕込み、テトラヒドロフラン50mLに溶解させた4−ヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸18.3g(0.10mol)を滴下して加えた。次いで、テトラヒドロフラン50mLに溶解させたN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド20.6g(0.10mol)を滴下して加え、攪拌下氷浴中で2時間反応した。その後、攪拌下4時間還流させて反応した。析出物を吸引濾過して除いた後、溶媒を減圧下で留去した。得られた個体をメタノール200mLで2回洗浄し、真空乾燥後、黄色固体20.0gを得た。分析の結果、ビス(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)メチルテレフタレートであると確認した。
次いで、撹拌装置付きのナスフラスコ(容量:500mL)に、上記で得たビス(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)メチルテレフタレートを20.0g(0.04mol)、N,N−ジメチルホルムアミド200mLおよび10%パラジウム活性炭素1.20g(0.001mol)を仕込み、水素雰囲気下で12時間攪拌した。固体を吸引濾過で除いた後、反応溶液を水500mLへ滴下し、析出固体を吸引濾過して回収した。真空乾燥後、白色固体16.7gを得た。この生成物をC6とした。化合物C6を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、得られた化合物C6は下記式(12)で表される目的のビスアミノフェノール化合物であることが確認された。得られた化合物C6の収率は、86%であった。
(実施例7)
実施例6において、2−メチルヒドロキノンの代わりにヒドロキノン5.51g(0.05mol)を、4−ヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸の代わりに3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸18.3g(0.10mol)を用いた以外は、実施例6と同様にして、化合物C7を得た。
上記で得た化合物C7を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、得られた化合物C7は下記式(13)で表される目的のビスアミノフェノール化合物であることが確認された。得られた化合物C7の収率は、82%であった。
実施例6において、2−メチルヒドロキノンの代わりにヒドロキノン5.51g(0.05mol)を、4−ヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸の代わりに3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸18.3g(0.10mol)を用いた以外は、実施例6と同様にして、化合物C7を得た。
上記で得た化合物C7を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、得られた化合物C7は下記式(13)で表される目的のビスアミノフェノール化合物であることが確認された。得られた化合物C7の収率は、82%であった。
実施例1〜7の合成結果と、得られた生成物のマススペクトル(MSスペクトル)及び元素分析による分析結果を表1にまとめた。
本発明によれば、高弾性、高強度、高耐熱樹脂の原料として好適に用いることができるビスアミノフェノール化合物を提供することができる。
Claims (5)
- 2つのo−アミノヒドロキシフェニル基が、エステル結合を含む結合基で結合されてなるビスアミノフェノール化合物。
- 前記ビスアミノフェノール化合物は、前記一般式(2)におけるR3として、単結合、置換基を有していても良いフェニレン基、置換基を有していても良いo−ベンゾイロキシ基及び置換基を有していても良いカルボフェニロキシ基から選択される一種を有するものである請求項3に記載のビスアミノフェノール化合物。
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