JP2007277100A - 保湿剤、細胞賦活剤、真皮線維芽細胞賦活剤、表皮細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、抗酸化剤、抗老化剤、美白剤、メラニン産生抑制剤 - Google Patents

保湿剤、細胞賦活剤、真皮線維芽細胞賦活剤、表皮細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、抗酸化剤、抗老化剤、美白剤、メラニン産生抑制剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 皮膚外用剤や飲食品などの分野に幅広く応用が可能な保湿剤、細胞賦活剤、真皮線維芽細胞賦活剤、表皮細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、抗酸化剤、抗老化剤、美白剤、メラニン産生抑制剤を提供する。
【解決手段】 モクマオウ科植物を有効成分とする、保湿剤、細胞賦活剤、真皮線維芽細胞賦活剤、表皮細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、抗酸化剤、抗老化剤、美白剤、メラニン産生抑制剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は、保湿剤、細胞賦活剤、真皮線維芽細胞賦活剤、表皮細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、抗酸化剤、抗老化剤、美白剤、メラニン産生抑制剤に関する。
従来より、皮膚の美観を保つことに対する女性の関心は非常に高く、シワ、シミ、タルミなどは女性の肌に対する悩みの上位に常に位置する。これらの悩みのうち、シワやタルミは、加齢等による真皮線維芽細胞の機能低下や、それに伴うコラーゲンやエラスチン等の真皮マトリックスの減少や変性、さらには紫外線等の外来ストレスによる酸化障害などが重要な要因となっている。また、もう一方の大きな悩みである、皮膚の色黒は一部不明な点もあるがホルモンの異常や日光の紫外線の刺激によるメラニン色素の産生が原因であり、その中でも、シミやソバカスはメラニン色素が異常沈着することが、その要因である。
これまでの皮膚外用剤の分野では、上述の皮膚の美観を損なうような諸症状を防止、或いは改善するために、さまざまな細胞賦活剤や抗酸化剤、メラニン産生抑制剤の検索及び配合検討が成されてきた。
例えば、細胞賦活剤としては、ポンカンのエッセンス(特許文献1参照)、ツリガネニンジン属、クサギ及びそれらの抽出物(特許文献2参照)、有機溶媒によるクロレラ抽出物(特許文献3参照)等、抗酸化剤としては、キク科ヘテロテカ属植物抽出物(特許文献4参照)やカユンアンギンの抽出物(特許文献5参照)等、さらにメラニン産生抑制剤としては、ホンダワラの抽出物(特許文献6参照)、ショウガ属植物の抽出物(特許文献7参照)等が知られている。
モクマオウ科植物の用途としては、モクマオウ抽出物をグルコース転移酵素阻害剤として含有する口腔用組成物(特許文献8参照)、モクマオウ灰と黒鉛ケイ石を焼成して得られる焼成物を有効成分として含有する植物生長剤、皮膚剤、植物鮮度保持剤(特許文献9〜11参照)、モクマオウ属植物に含まれるエラジタンニンを有効成分として含有する育毛剤(特許文献12参照)、リパーゼ阻害活性並びに抗酸化活性を有するモクマオウ抽出物を有効成分とする抗肥満剤(特許文献13参照)等が知られている。
特開2001−131045号公報 特開2000−178198号公報 特開平11−335293号公報 特開平11−180886号公報 特開平10−182413号公報 特開平10−330220号公報 特開2000−159626号公報 特開昭59−152313号公報 特開2002−238351号公報 特開2003−300889号公報 特開2003−250438号公報 特開2004−091390号公報 特開2005−060334号公報
天然由来成分は、様々な薬理作用や美容効果を有することが知られ、これまでにも数多くの植物や菌類などが皮膚外用剤や飲食品などの分野に幅広く応用されている。しかし、天然由来成分の中には未だその効果が知られていないものも数多く存在し、優れた保湿作用、細胞賦活作用、抗酸化作用、美白作用などを有する有効成分の開発が期待されていた。本発明は、このような有効成分を見出すためになされたものであり、皮膚外用剤や飲食品などの分野に幅広く応用が可能な保湿剤、細胞賦活剤、真皮線維芽細胞賦活剤、表皮細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、抗酸化剤、抗老化剤、美白剤、メラニン産生抑制剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、皮膚外用剤や飲食品などの分野に幅広く応用が可能な保湿剤、細胞賦活剤、真皮線維芽細胞賦活剤、表皮細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、抗酸化剤、抗老化剤、美白剤、メラニン産生抑制剤を見出すために、天然由来の種々の物質について検討を行った。その結果、モクマオウ科植物の抽出物に優れた保湿作用、細胞賦活作用、真皮線維芽細胞賦活作用、表皮細胞賦活作用、コラーゲン産生促進作用、抗酸化作用、抗老化作用、美白作用、メラニン産生抑制作用を見出し、さらに検討を重ね、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、モクマオウ科植物を有効成分とする保湿剤、細胞賦活剤、真皮線維芽細胞賦活剤、表皮細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、抗酸化剤、抗老化剤、美白剤、メラニン産生抑制剤を提供するものである。
本発明によれば、優れた効果を有する保湿剤、細胞賦活剤、真皮線維芽細胞賦活剤、表皮細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、抗酸化剤、抗老化剤、美白剤、メラニン産生抑制剤を提供することができる。
本発明の原料として用いられる植物であるモクマオウ科植物(Casuarinaceae)は、モクマオウ属(Casuarina)のみからなる双子葉植物に属する常緑高木であり、オーストラリアを中心に約60種が分布し、東南アジア、ポリネシアにも少数種が知られている。
かかるモクマオウ科植物としては、トキワギョリュウ(Casuarina equisetifolia L.)、モクマオウ(別名マオウヒバCasuarina stricta Ait.;Casuarina quadrivalvis Labill.)、カスアリナ・スマトラナ(Casuarina sumatrana Jungh.)、カスアリナ・コリナ(Casuarina collina Poisson)、ヤマモクマオウ(Casuarina junghuhniana Miq.)、ローズモクマオウ(Casuarina torulosa Ait.)、カスアリナ・パプアナ(Casuarina papuana S. Moore)、リバーオーク(Casuarina cunninghamiana)、スワンプオーク(Casuarina glauca)、シダレモクマオウ(Casuarina rumphiana)、スベロサモクマオウ(Casuarina suberosa)等が利用されている。
モクマオウ科植物を使用する際は、そのまま粉砕して使用することもできるが、抽出物を用いるとよい。抽出には、モクマオウ科植物の幹、枝、葉、花、種子、樹皮、樹液、根、茎、芽などのいずれの部位を用いても構わないが、簡便に利用するには、枝、葉、種子を用いるとよく、有効性の点からは枝や葉を用いるとよい。抽出の際は、生のまま用いてもよいが、抽出効率を考えると、細切、乾燥、粉砕等の処理を行った後に抽出を行うことが好ましい。抽出は、抽出溶媒に浸漬するか、超臨界流体や亜臨界流体を用いた抽出方法でも行うことができる。抽出効率を上げるため、撹拌や抽出溶媒中でホモジナイズしてもよい。抽出温度としては、5℃程度から抽出溶媒の沸点以下の温度とするのが適切である。抽出時間は抽出溶媒の種類や抽出温度によっても異なるが、1時間〜14日間程度とするのが適切である。
抽出溶媒としては、水の他、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール、1、3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、エチルエーテル、プロピルエーテル等のエーテル類、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類などの溶媒を用いることができ、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。また、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等を用いてもよい。さらに、水や二酸化炭素、エチレン、プロピレン、エタノール、メタノール、アンモニアなどの1種又は2種以上の超臨界流体や亜臨界流体を用いてもよい。また、オートクレーブなどを用いて、加圧下で抽出することも可能である。
モクマオウ科植物の上記溶媒による抽出物は、そのままでも使用することができるが、濃縮、乾固した物を水や極性溶媒に再度溶解して使用することもでき、これらの生理作用を損なわない範囲で脱色、脱臭、脱塩等の精製処理やカラムクロマトグラフィー等による分画処理を行った後に用いてもよい。モクマオウ科植物の前記抽出物やその処理物及び分画物は、各処理及び分画後に凍結乾燥し、用時に溶媒に溶解して用いることもできる。
モクマオウ科植物は、優れた保湿作用、細胞賦活作用、真皮線維芽細胞賦活作用、表皮細胞賦活作用、コラーゲン産生促進作用、抗酸化作用、抗老化作用、美白作用、メラニン産生抑制作用を有し、保湿剤、細胞賦活剤、真皮線維芽細胞賦活剤、表皮細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、抗酸化剤、抗老化剤、美白剤、メラニン産生抑制剤として利用することができる。また、モクマオウ科植物の抽出物を有効成分とする保湿剤、細胞賦活剤、真皮線維芽細胞賦活剤、表皮細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、抗酸化剤、抗老化剤、美白剤、メラニン産生抑制剤は、皮膚に外用するだけではなく、毛髪に利用することや経口摂取も可能であり、食品、飲料、あるいは医薬品などにも応用することが可能である。
モクマオウ科植物を有効成分とする保湿剤は、皮膚や毛髪に対して優れた保湿作用を発揮し、特に皮膚に対する保湿効果が高い。
モクマオウ科植物を有効成分とする細胞賦活剤は、種々の細胞に対して優れた賦活作用を発揮するが、特に真皮線維芽細胞、表皮細胞に対して優れた効果を発揮し、真皮線維芽細胞賦活剤、表皮細胞賦活剤として有用である。
モクマオウ科植物を有効成分とする抗老化剤は、優れたコラーゲン産生促進作用、抗酸化作用を発揮し、コラーゲン産生促進剤、抗酸化剤として有用である。
モクマオウ科植物を有効成分とする美白剤は、優れたメラニン産生抑制作用を発揮し、メラニン産生促進剤として有用である。
また、モクマオウ科植物を皮膚外用剤に配合することにより、シワ、タルミ、肌のハリ、シミ、クスミ、乾燥、小じわ等の皮膚症状の防止・改善に優れた効果を発揮する皮膚外用剤を得ることができ、保湿用皮膚外用剤、老化防止改善用皮膚外用剤、あるいは美白用皮膚外用剤としても用いることができる。さらに、モクマオウ科植物は、美容、健康維持、又は栄養補給を目的とするような食品や飲料にも用いることもできる。
モクマオウ科植物を皮膚外用剤に配合する際の配合量は、皮膚外用剤の種類や使用目的等によって調整することができるが、効果や安定性などの点から、全量に対して0.0001〜50.0質量%が好ましく、より好ましくは、0.001〜25.0質量%である。
モクマオウ科植物を配合する皮膚外用剤の剤型は任意であり、例えば、ローションなどの可溶化系、クリームや乳液などの乳化系、カラミンローション等の分散系として提供することができる。さらに、噴射剤と共に充填したエアゾール、軟膏剤、粉末、顆粒などの種々の剤型で提供することもできる。
なお、モクマオウ科植物を配合する皮膚外用剤には、モクマオウ科植物の他に、必要に応じて、通常医薬品、医薬部外品、皮膚化粧料、毛髪用化粧料及び洗浄料に配合される、油性成分、保湿剤、粉体、色素、乳化剤、可溶化剤、洗浄剤、紫外線吸収剤、増粘剤、薬剤、香料、樹脂、防菌防黴剤、アルコール類等を適宜配合することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲において、他の保湿剤、細胞賦活剤、あるいは抗酸化剤との併用も可能である。
以下にモクマオウ科植物の抽出物の製造例、各作用を評価するための試験、皮膚外用剤や食品としての処方例、使用試験についてさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれによってなんら限定されるものではない。
[抽出方法1]
モクマオウ科植物の乾燥粉砕物100gを、2.0kgの50容量%エタノール水溶液に、分散させ、撹拌しながら室温にて2時間抽出した。抽出上清を濾別したのち、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物1を得た。
[抽出方法2]
モクマオウ科植物の乾燥粉砕物100gを、2.0kgの精製水に、分散させ、オートクレーブを用い120℃で20分間加熱抽出した。抽出上清を濾別したのち、凍結乾燥を行い、抽出物2を得た。
モクマオウ科植物抽出物の製造例を、表1にまとめた。
Figure 2007277100
上記製造例を用いて、モクマオウ科植物の真皮線維芽細胞賦活作用、表皮細胞賦活作用、コラーゲン産生促進作用、抗酸化作用、美白作用、メラニン産生抑制作用の評価を行った。
[真皮線維芽細胞賦活作用]
正常ヒト真皮線維芽細胞を1ウェル当り2.0×10個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に1質量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したものを用いた。24時間後、1質量%FBS添加DMEM培地に製造例1を添加し、各濃度に調整したサンプル培養液に交換しさらに48時間培養した。
次にMTT試薬を400μg/mLとなるように培地にて調整し交換し約2時間培養した。最後に2−プロパノールにて生じたフォルマザンを抽出し、マイクロプレートリーダーにて550nmの吸光度を測定した。同時に濁度として650nmの吸光度を測定し、両測定値の差を用いて細胞賦活作用を評価した。評価ではサンプル培養液の他にネガティブコントロールとして1%FBS添加DMEM培地を、ポジティブコントロールとして5質量%FBS添加DMEM培地を用いた。
評価結果を、試料無添加のブランクにおける細胞賦活作用を100とした相対値にて表2に示す。なお、表中の*及び**は、t検定における有意確率P値に対し、有意確率5%未満(P<0.05)を*で、有意確率1%未満(P<0.01)を**でそれぞれ表したものである。
Figure 2007277100
表2より明らかなように、モクマオウ科植物を添加した培地では、有意な真皮線維芽細胞賦活作用が認められた。このことから、モクマオウ科植物は、優れた細胞賦活作用を有することが明らかとなった。
[表皮細胞賦活作用]
ヒト表皮未全角化細胞(HaCaT cell)を1ウェルあたり2.0×104個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に5質量%のウシ胎児結成(FBS)を添加して用いた。24時間後、5質量%FBS添加DMEM培地にて各濃度に調整したサンプル培養液に培地を交換し、さらに24時間培養した。
次にMTT試薬を400μg/mLとなるように培地にて調整し交換し約2時間培養した。最後に2−プロパノールにて生じたフォルマザンを抽出し、マイクロプレートリーダーにて550nmの吸光度を測定した。同時に濁度として650nmの吸光度を測定し、両測定値の差を用いて細胞賦活作用を評価した。評価はコントロールにおける細胞賦活作用を100とした時の相対値を求めて行った。結果を表3に示す。
Figure 2007277100
表3より明らかなように、モクマオウ科植物を添加した培地では、有意な表皮細胞賦活作用が認められた。このことから、モクマオウ科植物は、優れた細胞賦活作用を有することが明らかとなった。
[I型コラーゲン産生促進作用]
正常ヒト真皮繊維芽細胞を1ウェル当り2.0×10個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に0.5質量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したものを用いた。24時間後、0.5質量%FBS添加DMEM培地に製造例2を添加し、各濃度に調整したサンプル培養液に交換しさらに24時間培養した。 培養上清中に分泌されたタイプ1コラーゲン量はELISA法を用い、最後は標識ペルオキシダーゼに対し2、2’−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニウム塩(ABTS)及び過酸化水素を添加し反応させた後、マイクロプレートリーダーにて405nmの吸光度を測定した。評価ではサンプル培養液の他にネガティブコントロールとして0.5%FBS添加DMEM培地を、ポジティブコントロールとして50μMのL−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩(VCPMg)を含有する0.5質量%FBS添加DMEM培地を用いた。PIERCE社製BCA Protein Assay Kitにて各ウェルのタンパク量を測定し単位タンパク量当りのコラーゲン産生量を求めた。評価はネガティブコントロールの単位当りコラーゲン産生量を100とした時の相対値を求めて行った。結果を表4に示す。
Figure 2007277100
表4より明らかなように、モクマオウ科植物を添加した培地では、有意なコラーゲン産生量の向上が認めらた。
[メラニン産生抑制作用]
評価は、以下の手順で行った。B16メラノーマ細胞を90mmディッシュ1ディッシュ当り1.8×10個となるように播種し、5質量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を用いて培養した。24時間後に5質量%FBS添加DMEM培地に製造例1を添加して各濃度に調整した試料添加培地に交換した。さらに5日間培養し、培養終了後にトリプシンにより細胞を剥離して回収した。回収した細胞を遠心し、細胞沈殿物を得た。得られた沈殿物は表5に示した判定基準によりその黒化状況を目視で判定した。評価では、製造例1を添加せず5質量%FBS添加DMEM培地のみで培養し、ネガティブコントロールとし、製造例1のかわりに50mM乳酸ナトリウムを添加して培養し、ポジティブコントロールとした。また同時に、沈殿物に組織溶解剤(商品名Soluen−350)を添加して煮沸し、室温に戻して分光光度計(日立社製分光光度計U−3010)により500nmの吸光度を測定した。評価結果を表6に示す。
Figure 2007277100
Figure 2007277100
[チロシナーゼ活性阻害作用]
ヒト表皮メラニン細胞チロシナーゼ活性阻害評価
クラボウ社製正常ヒト表皮メラニン細胞を1ウェル当り3.0×10個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはクラボウ社製Medium154Sを用いた。24時間後Medium154Sによって各濃度に調整したサンプル液に交換しさらに48時間培養した。次に1質量%Triton−X含有リン酸緩衝液75μLに交換し細胞を完全に溶解させ内50μLを粗酵素液として使用した。粗酵素液に基質となる50μLの0.1質量%L−ドーパ含有リン酸緩衝液を加え37℃で2時間静置した。マイクロプレートリーダーにて基質添加直後と反応終了時の405nmの吸光度を測定し生成されたドーパメラニン量は両測定値の差を次式に導入して求めた。
反応後405nm値−反応後405nm値 = 5.238×(生成されたドーパメラニン量)+2.166
又、PIERCE社製BCA Protein Assay Kitにて各ウェルのタンパク量を測定し単位タンパク量当りのドーパメラニン生成量を求めた。コントロールとして試料を添加しなかった場合のドーパメラニン生成量を100とした相対値を表7に示す。
Figure 2007277100
表6、7に示した通りモクマオウ科植物は、高いメラニン産生抑制作用並びにヒト表皮メラニン細胞チロシナーゼ活性阻害効果を発揮した。
[抗酸化作用、DPPHラジカル消去作用]
製造例1を50質量%エタノールを用いて各濃度に調整し、96ウェルマイクロプレートに100μLずつ添加した。さらに0.2mMの1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)エタノール溶液を100μLずつ添加し、充分に混合後室温、暗所にて10分間静置後、516nmの吸光度を測定した。試料無添加のブランクの吸光度を(A)、試料を添加したときの吸光度を(B)としたとき、式(1)の値をラジカル消去率とした。評価結果を表8に示した。
式(1) {1−(B)/(A)}×100(%)
Figure 2007277100
表8に示した通りモクマオウ科植物は、高いDPPHラジカル消去作用を発揮した。
[抗酸化作用、SOD様活性作用] スーパーオキサイドアニオン消去能評価
0.25mM WST−1及び1mMハイポキサンチンを含有するHANK’S(+)溶液75μL、HANK’S(+)溶液にて各濃度に調整したサンプル溶液25μLを添加する。さらに、キサンチンオキシダーゼ25μL(0.0075ユニット)を添加し、37℃で15分間反応させた後、450nmの吸光度を測定した。サンプル溶液に替えてHANK’S(+)溶液のみを添加した場合の吸光度を(A)、サンプル溶液を添加した場合の吸光度を(B)としたとき、スーパーオキサイドアニオン消去率は次式によって求めた。
消去率(%)=[1−(B)/(A)]×100
Figure 2007277100
表9に示した通り、モクマオウ科植物は、高いスーパーオキサイドアニオン消去作用を発揮した。
本発明を実施した処方例を示す。
[処方例1]乳液
(1)スクワラン 10.0(質量%)
(2)メチルフェニルポリシロキサン 4.0
(3)水素添加パーム核油 0.5
(4)水素添加大豆リン脂質 0.1
(5)モノステアリン酸ポリオキシエチレン
ソルビタン(20E.O.) 1.3
(6)モノステアリン酸ソルビタン 1.0
(7)グリセリン 4.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)カルボキシビニルポリマー 0.15
(10)精製水 53.85
(11)アルギニン(1質量%水溶液) 20.0
(12)モクマオウ科植物の抽出物 5.0
製法:(1)〜(6)の油相成分を80℃にて加熱溶解する。一方(7)〜(10)の水相成分を80℃にて加熱溶解する。これに前記油相成分を攪拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に乳化する。乳化終了後、冷却を開始し、(11)と(12)を順次加え、均一に混合する。
[処方例2]化粧水
(1)エタノール 15.0(質量%)
(2)ポリオキシエチレン(40E.O.)硬化ヒマシ油 0.3
(3)香料 0.1
(4)精製水 78.38
(5)クエン酸 0.02
(6)クエン酸ナトリウム 0.1
(7)グリセリン 1.0
(8)ヒドロキシエチルセルロース 0.1
(9)モクマオウ科植物の抽出物[製造例2] 5.0
製法:(1)に(2)及び(3)を溶解する。溶解後、(4)〜(8)を順次添加した後、十分に攪拌し、(9)を加え、均一に混合する。
[処方例3]クリーム
(1)スクワラン 10.0(質量%)
(2)ステアリン酸 2.0
(3)水素添加パーム核油 0.5
(4)水素添加大豆リン脂質 0.1
(5)セタノール 3.6
(6)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(7)グリセリン 10.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)アルギニン(20質量%水溶液) 15.0
(10)精製水 40.7
(11)カルボキシビニルポリマー(1質量%水溶液) 15.0
(12)モクマオウ科植物の抽出物[製造例1] 1.0
製法:(1)〜(6)の油相成分を80℃にて加熱溶解する。一方(7)〜(10)の水相成分を80℃にて加熱溶解する。これに前記油相成分を攪拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に乳化する。乳化終了後、(11)を加え、冷却を開始し、40℃にて(12)を加え、均一に混合する。
[処方例4]美容液
(1)精製水 27.45(質量%)
(2)グリセリン 10.0
(3)ショ糖脂肪酸エステル 1.3
(4)カルボキシビニルポリマー(1質量%水溶液) 17.5
(5)アルギン酸ナトリウム(1質量%水溶液) 15.0
(6)モノラウリン酸ポリグリセリル 1.0
(7)マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 3.0
(8)N-ラウロイル-L-グルタミン酸
ジ(フィトステリル−2−オクチルドデシル) 2.0
(9)硬化パーム油 2.0
(10)スクワラン(オリーブ由来) 1.0
(11)ベヘニルアルコール 0.75
(12)ミツロウ 1.0
(13)ホホバ油 1.0
(14)1、3−ブチレングリコール 10.0
(15)L−アルギニン(10質量%水溶液) 2.0
(16)モクマオウ科植物の抽出物[製造例3] 5.0
製法:(1)〜(6)の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。一方、(7)〜(14)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。次いで、上記水相成分に油相成分を添加して予備乳化を行った後、ホモミキサーにて均一に乳化する。乳化終了後に冷却を開始し、50℃にて(15)を加える。さらに40℃まで冷却し、(16)を加え、均一に混合する。
[処方例5]水性ジェル
(1)カルボキシビニルポリマー 0.5(質量%)
(2)精製水 86.7
(3)水酸化ナトリウム(10質量%水溶液) 0.5
(4)エタノール 10.0
(5)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(6)香料 0.1
(7)モクマオウ科植物の抽出物[製造例4] 2.0
(8)ポリオキシエチレン(60E.O.)硬化ヒマシ油 0.1
製法:(1)を(2)に加え、均一に攪拌した後、(3)を加える。均一に攪拌した後、(4)に予め溶解した(5)を加える。均一に攪拌した後、予め混合しておいた(6)〜(8)を加え、均一に攪拌混合する。
[処方例6]クレンジング料
(1)スクワラン 81.0(質量%)
(2)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 15.0
(3)精製水 3.0
(4)モクマオウ科植物の抽出物[製造例5] 1.0
製法:(1)と(2)を均一に溶解する。これに、(3)と(4)を順次加え、均一に混合する。
[処方例7]洗顔フォーム
(1)ステアリン酸 16.0(質量%)
(2)ミリスチン酸 16.0
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(4)グリセリン 20.0
(5)水酸化ナトリウム 7.5
(6)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 1.0
(7)精製水 36.5
(8)モクマオウ科植物の抽出物[製造例6] 1.0
製法:(1)〜(4)の油相成分を80℃にて加熱溶解する。一方(5)〜(7)の水相成分を80℃にて加熱溶解し、油相成分と均一に混合撹拌する。冷却を開始し、40℃にて(8)を加え、均一に混合する。
[処方例8]メイクアップベースクリーム
(1)スクワラン 10.0(質量%)
(2)セタノール 2.0
(3)グリセリントリ−2−エチルヘキサン酸エステル 2.5
(4)親油型モノステアリン酸グリセリル 1.0
(5)プロピレングリコール 11.0
(6)ショ糖脂肪酸エステル 1.3
(7)精製水 69.4
(8)酸化チタン 1.0
(9)ベンガラ 0.1
(10)黄酸化鉄 0.4
(11)香料 0.1
(12)モクマオウ科植物の抽出物[製造例1] 1.2
製法:(1)〜(4)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。一方、(5)〜(7)の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解し、これに(8)〜(10)の顔料を加え、ホモミキサーにて均一に分散させる。この水相成分に前記油相成分を加え、ホモミキサーにて乳化する。乳化終了後に冷却を開始し、40℃にて(11)と(12)の成分を加え、均一に混合する。
[処方例9]乳液状ファンデーション
(1)メチルポリシロキサン 2.0(質量%)
(2)スクワラン 5.0
(3)ミリスチン酸オクチルドデシル 5.0
(4)セタノール 1.0
(5)ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタンモノステアリン酸エステル 1.3
(6)モノステアリン酸ソルビタン 0.7
(7)1、3−ブチレングリコール 8.0
(8)キサンタンガム 0.1
(9)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(10)精製水 57.4
(11)酸化チタン 9.0
(12)タルク 7.4
(13)ベンガラ 0.5
(14)黄酸化鉄 1.1
(15)黒酸化鉄 0.1
(16)香料 0.1
(17)モクマオウ科植物の抽出物[製造例2] 1.0
製法:(1)〜(6)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。一方、(7)〜(10)の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解し、これに(11)〜(15)の顔料を加え、ホモミキサーにて均一に分散する。油相成分を加え、乳化を行う。乳化終了後に冷却を開始し、40℃にて(16)と(17)の成分を順次加え、均一に混合する。
[処方例10]油中水型エモリエントクリーム
(1)流動パラフィン 30.0(質量%)
(2)マイクロクリスタリンワックス 2.0
(3)ワセリン 5.0
(4)ジグリセリンオレイン酸エステル 5.0
(5)塩化ナトリウム 1.3
(6)塩化カリウム 0.1
(7)プロピレングリコール 3.0
(8)1、3−ブチレングリコール 5.0
(9)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(10)モクマオウ科植物の抽出物[製造例3] 1.0
(11)精製水 47.4
(12)香料 0.1
製法:(5)と(6)を(11)の一部に溶解して50℃とし、50℃に加熱した(4)に撹拌しながら徐々に加える。これを混合した後、70℃にて加熱溶解した(1)〜(3)に均一に分散する。これに(7)〜(10)を(11)の残部に70℃にて加熱溶解したものを撹拌しながら加え、ホモミキサーにて乳化する。乳化終了後に冷却を開始し、40℃にて(12)を加え、均一に混合する。
[処方例11]パック
(1)精製水 58.9(質量%)
(2)ポリビニルアルコール 12.0
(3)エタノール 17.0
(4)グリセリン 5.0
(5)ポリエチレングリコール(平均分子量1000) 2.0
(6)モクマオウ科植物の抽出物[製造例4] 5.0
(7)香料 0.1
製法:(2)と(3)を混合し、80℃に加温した後、80℃に加温した(1)に溶解する。均一に溶解した後、(4)と(5)を加え、攪拌しながら冷却を開始する。40℃まで冷却し、(6)と(7)を加え、均一に混合する。
[処方例12]入浴剤
(1)香料 0.3(質量%)
(2)モクマオウ科植物の抽出物[製造例5] 1.0
(3)炭酸水素ナトリウム 50.0
(4)硫酸ナトリウム 48.7
製法:(1)〜(4)を均一に混合する。
[処方例15]飲料
(1)モクマオウ科植物の抽出物[製造例6] 8.0(質量%)
(2)エリスリトール 1.0
(3)クエン酸 0.1
(4)ステビア 0.01
(5)精製水 90.89
製法:(1)〜(5)を均一に混合する。
次に、モクマオウ科植物の抽出物を配合した処方を用いて使用試験を行い、乾燥による肌荒れについて改善効果を評価した。その際、処方例1に示した乳液の処方にモクマオウ科植物の抽出物の製造例1、2をそれぞれ配合し、実施例1、2として使用試験を行った。また、モクマオウ科植物の抽出物を精製水に代替し、比較例1として同時に使用試験を行った。
各試料について、肌荒れ症状が顕著に認められる30〜50才代の乾燥肌の女性パネラー20名をそれぞれ一群とし、ブラインドにて1週間使用させ、使用前後の皮膚状態の変化を観察して評価した。皮膚症状の指標として、乾燥による肌荒れについて、「改善」、「やや改善」、「変化なし」の三段階で評価し、表10に各評価を得たパネラー数にて示した。
Figure 2007277100
表10より、モクマオウ科植物の抽出物を含有しない比較例使用群においては、6割以上のパネラーに改善は認められなかったが、モクマオウ科植物の抽出物を配合した実施例使用群においては、6割以上のパネラーに明確な肌荒れの改善が認められた。このことから、モクマオウ科植物の抽出物は優れた保湿効果、肌荒れ改善効果を有することが明らかとなった。

Claims (9)

  1. モクマオウ科植物を有効成分とする、保湿剤。
  2. モクマオウ科植物を有効成分とする、細胞賦活剤。
  3. モクマオウ科植物を有効成分とする、真皮線維芽細胞賦活剤。
  4. モクマオウ科植物を有効成分とする、表皮細胞賦活剤。
  5. モクマオウ科植物を有効成分とする、コラーゲン産生促進剤。
  6. モクマオウ科植物を有効成分とする、抗酸化剤。
  7. モクマオウ科植物を有効成分とする、抗老化剤。
  8. モクマオウ科植物を有効成分とする、美白剤。
  9. モクマオウ科植物を有効成分とする、メラニン産生抑制剤。
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