JP5339763B2 - 保湿剤、アルギナーゼ活性促進剤、肌荒れ防止、改善剤、抗炎症剤、美白剤、抗酸化剤、抗老化剤 - Google Patents

保湿剤、アルギナーゼ活性促進剤、肌荒れ防止、改善剤、抗炎症剤、美白剤、抗酸化剤、抗老化剤 Download PDF

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Description

本発明は、高い保湿効果、アルギナーゼ活性促進効果、肌荒れ防止、改善効果、抗炎症効果、美白効果、抗酸化効果、抗老化効果を発揮する保湿剤、アルギナーゼ活性促進剤、肌荒れ防止、改善剤、抗炎症剤、美白剤、抗酸化剤、抗老化剤に関する。
従来より、皮膚の美観を保つことに対する女性の関心は非常に高く、シワ、シミ、タルミなどは女性の肌に対する悩みの上位に常に位置する。これらの悩みのうち、シワやタルミは、加齢等による真皮線維芽細胞の機能低下や、それに伴うコラーゲンやエラスチン等の真皮マトリックスの減少や変性、さらには紫外線等の外来ストレスによる酸化障害などが重要な要因となっている。また、もう一方の大きな悩みである、皮膚の色黒は一部不明な点もあるがホルモンの異常や日光の紫外線の刺激によるメラニン色素の産生が原因であり、その中でも、シミやソバカスはメラニン色素が異常沈着することが、その要因である。
これまでの皮膚外用剤の分野では、上述の皮膚の美観を損なうような諸症状を防止、或いは改善するために、さまざまな細胞賦活剤や抗酸化剤、メラニン産生抑制剤の検索及び配合検討が成されてきた。
例えば、細胞賦活剤としては、ポンカンのエッセンス(特許文献1参照)、ツリガネニンジン属、クサギ及びそれらの抽出物(特許文献2参照)、有機溶媒によるクロレラ抽出物(特許文献3参照)等、抗酸化剤としては、キク科ヘテロテカ属植物抽出物(特許文献4参照)やカユンアンギンの抽出物(特許文献5参照)等、さらにメラニン産生抑制剤としては、ホンダワラの抽出物(特許文献6参照)、ショウガ属植物の抽出物(特許文献7参照)等が知られている。
特開2001−131045号公報 特開2000−178198号公報 特開平11−335293号公報 特開平11−180886号公報 特開平10−182413号公報 特開平10−330220号公報
天然由来成分は、様々な薬理作用や美容効果を有することが知られ、これまでにも数多くの植物や菌類などが皮膚外用剤や飲食品などの分野に幅広く応用されている。しかし、天然由来成分の中には未だその効果が知られていないものも数多く存在し、優れた保湿作用、細胞賦活作用、抗酸化作用、美白作用などを有する有効成分の開発が期待されていた。本発明は、このような有効成分を見出すためになされたものであり、皮膚外用剤や飲食品などの分野に幅広く応用が可能な保湿剤、アルギナーゼ活性促進剤、肌荒れ防止、改善剤、抗炎症剤、美白剤、抗酸化剤、抗老化剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、皮膚外用剤や飲食品などの分野に幅広く応用が可能な保湿剤、アルギナーゼ活性促進剤、肌荒れ防止、改善剤、抗炎症剤、美白剤、抗酸化剤、抗老化剤を見出すために、天然由来の種々の物質について検討を行った。その結果、シロダモ属植物の抽出物に優れた、保湿作用、アルギナーゼ活性促進作用、肌荒れ防止、改善作用、抗炎症作用、美白作用、抗酸化作用、抗老化作用を見出し、さらに検討を重ね、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、シロダモ属植物の抽出物を有効成分として含有する保湿剤、アルギナーゼ活性促進剤、肌荒れ防止、改善剤、抗炎症剤、美白剤、抗酸化剤、抗老化剤を提供するものである。
本発明によれば、優れた効果を有する保湿剤、アルギナーゼ活性促進剤、肌荒れ防止、改善剤、抗炎症剤、美白剤、抗酸化剤、抗老化剤を提供することができる。
本発明の原料として用いられる植物であるシロダモ属植物(Neolitsea)は、クスノキ科に属する常緑の高木で、東アジア暖温帯からマレーシア地域熱帯に約80種が分布する。シロダモ属植物としては、イヌガシ(Neolitsea aciculata(Bl.)Koisz.;Litsea aciculata Bl.)、シロダモ(Neolitsea sericea(Bl.)Koidz.)等を用いることができる。本発明においては、これらのシロダモ属植物の中のシロダモを用いることが、本発明の効果の点から好ましい。
本発明におけるシロダモ属植物は、シロダモ属植物の原体や乾燥物を用いてもよいが、各種溶媒を用いて抽出した抽出物を用いるのが好ましい。抽出には、シロダモ属植物の茎、葉、花、種子、根、地下茎、果実、芽などのいずれの部位を用いても構わないが、有効性の点からは葉を用いるとよい。抽出の際は、生のまま用いてもよいが、抽出効率を考えると、細切、乾燥、粉砕等の処理を行った後に抽出を行うことが好ましい。抽出は、抽出溶媒に浸漬するか、超臨界流体や亜臨界流体を用いた抽出方法でも行うことができる。抽出効率を上げるため、撹拌や抽出溶媒中でホモジナイズしてもよい。抽出温度としては、5℃程度から抽出溶媒の沸点以下の温度とするのが適切である。抽出時間は抽出溶媒の種類や抽出温度によっても異なるが、1時間〜14日間程度とするのが適切である。
抽出溶媒としては、水の他、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール、1、3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、エチルエーテル、プロピルエーテル等のエーテル類、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類などの溶媒を用いることができ、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。また、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等を用いてもよい。さらに、水や二酸化炭素、エチレン、プロピレン、エタノール、メタノール、アンモニアなどの1種又は2種以上の超臨界流体や亜臨界流体を用いてもよい。本発明においては、これらの抽出溶媒の中でも、本発明の効果の点から、水若しくはエタノール水溶液を用いることが好ましい。
シロダモ属植物の上記溶媒による抽出物は、そのままでも使用することができるが、濃縮、乾固した物を水や極性溶媒に再度溶解して使用することもでき、これらの生理作用を損なわない範囲で脱色、脱臭、脱塩等の精製処理やカラムクロマトグラフィー等による分画処理を行った後に用いてもよい。シロダモ属植物の葉の前記抽出物やその処理物及び分画物は、各処理及び分画後に凍結乾燥し、用時に溶媒に溶解して用いることもできる。
シロダモ属植物の抽出物は、優れた保湿作用、アルギナーゼ活性促進作用、肌荒れ防止、改善作用、抗炎症作用、美白作用、抗酸化作用、抗老化作用を有し、シロダモ属植物の抽出物を有効成分として含有する保湿剤、アルギナーゼ活性促進剤、肌荒れ防止、改善剤、抗炎症剤、美白剤、抗酸化剤、及び抗老化剤として利用することができる。シロダモ属植物の抽出物を有効成分とする保湿剤、アルギナーゼ活性促進剤、肌荒れ防止、改善剤、抗炎症剤、美白剤、抗酸化剤、抗老化剤は、皮膚に外用するだけではなく、毛髪に利用することや経口摂取も可能であり、食品、飲料、あるいは医薬品などにも応用することが可能である。
以下にシロダモ属植物抽出物の製造例、各作用を評価するための試験、皮膚外用剤や食品としての処方例、使用試験についてさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれによってなんら限定されるものではない。
[抽出物1]
シロダモの葉の乾燥粉砕物100gを、2.0kgの50容量%エタノール水溶液に、分散させ、撹拌しながら室温にて2時間抽出した。抽出上清を濾別したのち、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物1を得た。
[抽出物2]
シロダモの葉の乾燥粉砕物100gを、2.0kgの熱水で20分間加熱抽出した。抽出上清を濾別したのち、凍結乾燥を行い、抽出物2を得た。
上記抽出物1、抽出物2を用いて、真皮線維芽細胞賦活作用、真皮線維芽細胞I型コラーゲン産生促進作用、真皮線維芽細胞ATP産生促進作用、表皮角化細胞アルギナーゼ活性促進作用、DPPHラジカル消去作用、SOD様活性作用、表皮角化細胞を用いた過酸化脂質耐性作用、ホスホリパーゼA2阻害作用、B16細胞を用いたメラニン産生抑制作用の測定を行った。なお各評価結果に記載した*及び**は、t−検定における有意確率P値に対し、有意確率5%未満(P<0.05)を*で、有意確率1%未満(P<0.01)を**でそれぞれ表したものである。
[真皮線維芽細胞賦活作用]
正常ヒト真皮繊維芽細胞を1ウェル当り2.0×10個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に1質量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したものを用いた。24時間後、1質量%FBS添加DMEM培地にて各濃度に調整したサンプル培養液に交換しさらに48時間培養した。
次にMTT試薬を400μg/mLとなるように培地にて調整し、上清を除いた細胞に添加し約2時間培養した。最後に2−プロパノールにて生じたフォルマザンを抽出し、マイクロプレートリーダーにて550nmの吸光度を測定した。同時に濁度として650nmの吸光度を測定し、両測定値の差を用いて細胞賦活作用を評価した。評価では、サンプル培養液の他にネガティブコントロールとして1質量%FBS添加DMEM培地を、ポジティブコントロールとして5質量%FBS添加DMEM培地を用いた。評価は試料無添加時のコントロールにおける細胞賦活作用を100とした時の相対値を求めて行った。結果は、表1に示した通りであり、シロダモ葉のエタノール抽出物は、有意な真皮線維芽細胞賦活作用が認められた。
Figure 0005339763
[真皮線維芽細胞I型コラーゲン産生促進作用]
正常ヒト真皮繊維芽細胞を1ウェル当り2.0×10個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはダルベッコ改変イーグル(DMEM)培地に5質量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したものを用いた。24時間後、0.5質量%FBS添加DMEM培地にて各濃度に調整した抽出物1若しくは抽出物2を含有するサンプル培養液に交換しさらに24時間培養した。
培養上清中に分泌されたタイプ1コラーゲン量はELISA法を用い、最後は標識されたペルオキシダーゼに対し2、2’−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニウム塩(ABTS)及び過酸化水素を添加し反応させた後、マイクロプレートリーダーにて405nmの吸光度を測定した。評価ではサンプル培養液の他にネガティブコントロールとして0.5%FBS添加DMEM培地を用いた。
評価はネガティブコントロールにおける細胞賦活作用を100とした時の相対値を求めて行った。具体的には、PIERCE社製BCA Protein Assay Kitにてタンパク量を測定し単位細胞又は単位タンパク量当りのコラーゲン産生量を求め、ネガティブコントロールの単位当りI型コラーゲン産生量を100とした時の相対値を求めた。結果は、表2、表3に示した通りであり、シロダモ抽出物は、有意な真皮線維芽細胞I型コラーゲン産生促進作用が認められた。
Figure 0005339763
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[真皮線維芽細胞ATP産生促進作用]
正常ヒト真皮線維芽細胞を1ウェル当たり4.0×10個となるように48穴マイクロプレートに播種した。播種培地にはダルベッコ改変イーグル(DMEM)培地に1質量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したものを用いた。24時間培養後、1質量%FBS添加DMEM培地にて各濃度に調整した抽出物1若しくは抽出物2を含有するサンプル培養液に交換しさらに24時間培養した。次いで48穴マイクロプレートから細胞上清を除去し、PBSで洗浄した後、5mM硫酸マグネシウム,100μM EDTA,25mM トリシン緩衝液,pH7.8を添加し、超音波処理にて細胞を破砕し、細胞中のATPを溶出した。作成した細胞溶解液を試験管に分注し、更に0.5mM ルシフェリン,1.25μg/ml ルシフェラーゼ,1mM DTT,5mM 硫酸マグネシウム,100μM EDTA,25mM トリシン緩衝液,pH7.8を添加して、生じた化学発光を発光スペクトル560nm(ヤマト社製コンパクトルミVS501)にて測定した。試料無添加のブランクの値を100とした相対値にてATP産生促進能を評価し、その結果を表4、表5に示した。
Figure 0005339763
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[表皮角化細胞アルギナーゼ活性促進作用]
ヒト皮膚角化細胞(HaCaT細胞)を1ウェル当たり2.0×104個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)にウシ胎児血清(FBS)を5質量%添加したものを用いた。24時間後1.2mMCaCl2を含む5質量%FBS添加DMEM培地によって、各濃度に調整した抽出物1若しくは抽出物2を含有するサンプル液に交換しさらに9日間培養した。培地は3日に1回交換した。培養終了後、培養上清を採取し、アルギナーゼ活性促進能の評価を行った。アルギナーゼはアルギニンを加水分解し、オルニチンと尿素を生成する。尿素はウレアーゼによってアンモニアに分解され、アンモニアはペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム二水和物(ニトロプルシッドナトリウム)存在下でサリチル酸、次亜塩素酸と反応し、インドフェノールが生成する。アルカリ性条件下でインドフェノールの吸収(570nm)を測定し、尿素濃度を求め、アルギナーゼ活性の定量を行った。尿素定量のため、和光純薬社製尿素窒素B−テストワコーを用いて測定を行い、検量線を作成した。また、BCAProteinAssayKitにて、各ウェルのタンパク量を測定し、単位タンパク量あたりのアルギナーゼ活性促進能を求めた。サンプルを添加しないブランクの値を100とした時の相対値により、アルギナーゼ活性促進能を評価した。結果は、表6、表7に示した通りであり、シロダモ抽出物は、高いアルギナーゼ活性促進作用が認められた。
Figure 0005339763
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[DPPHラジカル消去作用]
製造例1若しくは製造例2を50質量%エタノール水溶液を用いて各濃度に調整し、96ウェルマイクロプレートに100μLずつ添加した。さらに0.2mMの1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)エタノール溶液を100μLずつ添加し、充分に混合後室温、暗所にて10分間若しくは24時間静置後、516nmの吸光度を測定した。試料無添加のブランクの吸光度を(A)、試料を添加したときの吸光度を(B)としたとき、次式(2)の値をラジカル消去率とした。静置10分後の評価結果を表8、表9に、静置24時間後の評価結果を表10、表11に示した。表8〜11に示した通り、シロダモ抽出物は、高いDPPHラジカル消去作用を示した。
DPPHラジカル消去率={1−(B)/(A)}×100(%) (2)
Figure 0005339763
Figure 0005339763
Figure 0005339763
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[SOD様活性作用]
0.25mM WST−1及び1mMハイポキサンチンを含有するHANK’S(+)溶液75μLに、製造例1若しくは製造例2をHANK’S(+)溶液を用いて各濃度に調整したサンプル溶液25μLを添加する。さらに、キサンチンオキシダーゼ25μL(0.0075ユニット)を添加し、37℃で15分間反応させた後、450nmの吸光度を測定した。なお、ポジティブコントロールとして100μg/mLに調整したケルセチンを測定した。サンプル溶液に替えてHANK’S(+)溶液のみを添加した場合の吸光度を(A)、サンプル溶液を添加した場合の吸光度を(B)としたとき、スーパーオキサイドアニオン消去率は次式(3)によって求めた。結果は、表12、表13に示した通り、シロダモ抽出物は、高いスーパーオキサイドアニオン消去率を示した。
スーパーオキサイドアニオン消去率(%)=[1−(B)/(A)]×100 (3)
Figure 0005339763
Figure 0005339763
[表皮細胞を用いた過酸化脂質耐性作用]
ヒト表皮未全角化細胞(HaCaT細胞)を1ウェルあたり2.0×104個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に10質量%のウシ胎児結成(FBS)を添加して用いた。24時間後、10質量%FBS添加DMEM培地にて各濃度に調整した抽出物1若しくは抽出物2を含有する培養液に培地を交換し、さらに24時間培養した。
t−butylhydroperoxideを添加したHANK’S(+)溶液に交換し、2時間培養した。さらに150μg/mLニュートラルレッドを含有するPBS(−)に交換し37℃で2時間培養した。続いて1w/v%酢酸を含有する50質量%エタノール水溶液に交換し、細胞内に取り込まれたニュートラルレッドを抽出し、抽出液の540nmの吸光度を測定した。評価は、t−butylhydroperoxide無添加のコントロールの細胞生存率を100とした時の相対値を求めて行った。結果は、表14、表15に示した通りであり、シロダモ抽出物は、有意な過酸化脂質耐性作用が認められた。
Figure 0005339763
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[ホスホリパーゼA2阻害作用]
60ng/mLとなるよう調整したホスホリパーゼA2(PLA2)と、任意の濃度に調整した試料(抽出物1)、10mMとなるように調整したDTNB(5,5−dithio−bis−(2−nitrobenzoic acid))を各10μLずつ混合し、室温で10分間静置した。さらに基質として1.66mMのDiheptanoyl Thio−PCを添加し、室温で45分間反応させ、414nmの吸光度を測定した。また、PLA2溶液にかえてバッフアーのみを添加した場合の吸光度を測定し、両測定値の差を求めた。コントロールとして蒸留水を、ポジティブコントロールとしては、0.1mg/mLに調整したThioethoramid−PCを用いた。コントロールの値を(A)、試料添加時の値を(B)とした時、PLA2酵素阻害作用は次式(4)によって求められる。評価結果は、表16に示した通り、シロダモ抽出物は、高いホスホリパーゼA2阻害作用を示した。
PLA2酵素阻害率(%)={1−(B)/(A)}×100 (4)
Figure 0005339763
[メラニン産生抑制作用]
B16マウスメラノーマ細胞を90mmディッシュ1ディッシュ当り1.8×10個となるように播種し、5質量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を用いて培養した。24時間後に5質量%FBS添加DMEM培地に抽出物2を添加して各濃度に調整したサンプル培養液に交換した。さらに5日間培養し、培養終了後にトリプシンにより細胞を剥離して回収した。回収した細胞を遠心し、細胞沈殿物を得た。得られた沈殿物は下記に示した判定基準によりその黒化状況を目視で判定した。評価では、抽出物2を添加せず5質量%FBS添加DMEM培地のみで培養し、ネガティブコントロールとし、抽出物2のかわりに50mM乳酸ナトリウムを添加して培養し、ポジティブコントロールとした。また同時に、沈殿物に組織溶解剤(商品名Solvable[パーキンエルマー製])を添加して煮沸し、室温に戻して分光光度計(日立社製分光光度計U−3010)により500nmの吸光度を測定した。評価結果は表17に示したとおり、シロダモ抽出物は、有意なメラニン産生抑制作用が認められた。
評価基準
判定1:ポジティブコントロールと同程度(ほぼ白色)
判定2:ポジティブコントロールより僅かに黒い(薄い褐色)
判定3:ポジティブコントロールとネガティブコントロールの中間(褐色)
判定4:ネガティブコントロールより僅かに白い(黒褐色)
判定5:ネガティブコントロールと同程度(ほぼ黒色)
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本発明を実施した処方例を示す。
[処方例1]乳液
(1)スクワラン 10.0(質量%)
(2)メチルフェニルポリシロキサン 4.0
(3)水素添加パーム核油 0.5
(4)水素添加大豆リン脂質 0.1
(5)モノステアリン酸ポリオキシエチレン
ソルビタン(20E.O.) 1.3
(6)モノステアリン酸ソルビタン 1.0
(7)グリセリン 4.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)カルボキシビニルポリマー 0.15
(10)精製水 53.85
(11)アルギニン(1質量%水溶液) 20.0
(12)抽出物1 5.0
製法:(1)〜(6)の油相成分を80℃にて加熱溶解する。一方(7)〜(10)の水相成分を80℃にて加熱溶解する。これに前記油相成分を攪拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に乳化する。乳化終了後、冷却を開始し、(11)と(12)を順次加え、均一に混合する。
[処方例2]化粧水
(1)エタノール 15.0(質量%)
(2)ポリオキシエチレン(40E.O.)硬化ヒマシ油 0.3
(3)香料 0.1
(4)精製水 78.38
(5)クエン酸 0.02
(6)クエン酸ナトリウム 0.1
(7)グリセリン 1.0
(8)ヒドロキシエチルセルロース 0.1
(9)抽出物2 5.0
製法:(1)に(2)及び(3)を溶解する。溶解後、(4)〜(8)を順次添加した後、十分に攪拌し、(9)を加え、均一に混合する。
[処方例3]クリーム
(1)スクワラン 10.0(質量%)
(2)ステアリン酸 2.0
(3)水素添加パーム核油 0.5
(4)水素添加大豆リン脂質 0.1
(5)セタノール 3.6
(6)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(7)グリセリン 10.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)アルギニン(20質量%水溶液) 15.0
(10)精製水 40.7
(11)カルボキシビニルポリマー(1質量%水溶液) 15.0
(12)抽出物1 1.0
製法:(1)〜(6)の油相成分を80℃にて加熱溶解する。一方(7)〜(10)の水相成分を80℃にて加熱溶解する。これに前記油相成分を攪拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に乳化する。乳化終了後、(11)を加え、冷却を開始し、40℃にて(12)を加え、均一に混合する。
[処方例4]美容液
(1)精製水 27.45(質量%)
(2)グリセリン 10.0
(3)ショ糖脂肪酸エステル 1.3
(4)カルボキシビニルポリマー(1質量%水溶液) 17.5
(5)アルギン酸ナトリウム(1質量%水溶液) 15.0
(6)モノラウリン酸ポリグリセリル 1.0
(7)マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 3.0
(8)N-ラウロイル-L-グルタミン酸
ジ(フィトステリル−2−オクチルドデシル) 2.0
(9)硬化パーム油 2.0
(10)スクワラン(オリーブ由来) 1.0
(11)ベヘニルアルコール 0.75
(12)ミツロウ 1.0
(13)ホホバ油 1.0
(14)1、3−ブチレングリコール 10.0
(15)L−アルギニン(10質量%水溶液) 2.0
(16)抽出物1 5.0
製法:(1)〜(6)の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。一方、(7)〜(14)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。次いで、上記水相成分に油相成分を添加して予備乳化を行った後、ホモミキサーにて均一に乳化する。乳化終了後に冷却を開始し、50℃にて(15)を加える。さらに40℃まで冷却し、(16)を加え、均一に混合する。
[処方例5]水性ジェル
(1)カルボキシビニルポリマー 0.5(質量%)
(2)精製水 86.7
(3)水酸化ナトリウム(10質量%水溶液) 0.5
(4)エタノール 10.0
(5)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(6)香料 0.1
(7)抽出物2 2.0
(8)ポリオキシエチレン(60E.O.)硬化ヒマシ油 0.1
製法:(1)を(2)に加え、均一に攪拌した後、(3)を加える。均一に攪拌した後、(4)に予め溶解した(5)を加える。均一に攪拌した後、予め混合しておいた(6)〜(8)を加え、均一に攪拌混合する。
[処方例6]クレンジング料
(1)スクワラン 81.0(質量%)
(2)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 15.0
(3)精製水 3.0
(4)抽出物1 1.0
製法:(1)と(2)を均一に溶解する。これに、(3)と(4)を順次加え、均一に混合する。
[処方例7]洗顔フォーム
(1)ステアリン酸 16.0(質量%)
(2)ミリスチン酸 16.0
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(4)グリセリン 20.0
(5)水酸化ナトリウム 7.5
(6)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 1.0
(7)精製水 36.5
(8)抽出物2 1.0
製法:(1)〜(4)の油相成分を80℃にて加熱溶解する。一方(5)〜(7)の水相成分を80℃にて加熱溶解し、油相成分と均一に混合撹拌する。冷却を開始し、40℃にて(8)を加え、均一に混合する。
[処方例8]メイクアップベースクリーム
(1)スクワラン 10.0(質量%)
(2)セタノール 2.0
(3)グリセリントリ−2−エチルヘキサン酸エステル 2.5
(4)親油型モノステアリン酸グリセリル 1.0
(5)プロピレングリコール 11.0
(6)ショ糖脂肪酸エステル 1.3
(7)精製水 69.4
(8)酸化チタン 1.0
(9)ベンガラ 0.1
(10)黄酸化鉄 0.4
(11)香料 0.1
(12)抽出物1 1.2
製法:(1)〜(4)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。一方、(5)〜(7)の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解し、これに(8)〜(10)の顔料を加え、ホモミキサーにて均一に分散させる。この水相成分に前記油相成分を加え、ホモミキサーにて乳化する。乳化終了後に冷却を開始し、40℃にて(11)と(12)の成分を加え、均一に混合する。
[処方例9]乳液状ファンデーション
(1)メチルポリシロキサン 2.0(質量%)
(2)スクワラン 5.0
(3)ミリスチン酸オクチルドデシル 5.0
(4)セタノール 1.0
(5)ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタンモノステアリン酸エステル 1.3
(6)モノステアリン酸ソルビタン 0.7
(7)1、3−ブチレングリコール 8.0
(8)キサンタンガム 0.1
(9)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(10)精製水 57.4
(11)酸化チタン 9.0
(12)タルク 7.4
(13)ベンガラ 0.5
(14)黄酸化鉄 1.1
(15)黒酸化鉄 0.1
(16)香料 0.1
(17)抽出物2 1.0
製法:(1)〜(6)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。一方、(7)〜(10)の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解し、これに(11)〜(15)の顔料を加え、ホモミキサーにて均一に分散する。油相成分を加え、乳化を行う。乳化終了後に冷却を開始し、40℃にて(16)と(17)の成分を順次加え、均一に混合する。
[処方例10]油中水型エモリエントクリーム
(1)流動パラフィン 30.0(質量%)
(2)マイクロクリスタリンワックス 2.0
(3)ワセリン 5.0
(4)ジグリセリンオレイン酸エステル 5.0
(5)塩化ナトリウム 1.3
(6)塩化カリウム 0.1
(7)プロピレングリコール 3.0
(8)1、3−ブチレングリコール 5.0
(9)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(10)抽出物1 1.0
(11)精製水 47.4
(12)香料 0.1
製法:(5)と(6)を(11)の一部に溶解して50℃とし、50℃に加熱した(4)に撹拌しながら徐々に加える。これを混合した後、70℃にて加熱溶解した(1)〜(3)に均一に分散する。これに(7)〜(10)を(11)の残部に70℃にて加熱溶解したものを撹拌しながら加え、ホモミキサーにて乳化する。乳化終了後に冷却を開始し、40℃にて(12)を加え、均一に混合する。
[処方例11]パック
(1)精製水 58.9(質量%)
(2)ポリビニルアルコール 12.0
(3)エタノール 17.0
(4)グリセリン 5.0
(5)ポリエチレングリコール(平均分子量1000) 2.0
(6)抽出物2 5.0
(7)香料 0.1
製法:(2)と(3)を混合し、80℃に加温した後、80℃に加温した(1)に溶解する。均一に溶解した後、(4)と(5)を加え、攪拌しながら冷却を開始する。40℃まで冷却し、(6)と(7)を加え、均一に混合する。
[処方例12]入浴剤
(1)香料 0.3(質量%)
(2)抽出物2 1.0
(3)炭酸水素ナトリウム 50.0
(4)硫酸ナトリウム 48.7
製法:(1)〜(4)を均一に混合する。
[処方例15]飲料
(1)抽出物2 8.0(質量%)
(2)エリスリトール 1.0
(3)クエン酸 0.1
(4)ステビア 0.01
(5)精製水 90.89
製法:(1)〜(5)を均一に混合する。

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  1. シロダモの抽出物を有効成分として含有する、美白剤。
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