JPH0640883A - 美白化粧品並びにその成分の製造方法 - Google Patents

美白化粧品並びにその成分の製造方法

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JPH0640883A
JPH0640883A JP4212126A JP21212692A JPH0640883A JP H0640883 A JPH0640883 A JP H0640883A JP 4212126 A JP4212126 A JP 4212126A JP 21212692 A JP21212692 A JP 21212692A JP H0640883 A JPH0640883 A JP H0640883A
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致之 中川
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明の美白化粧品は、(+)−カテキンの配
糖体を化粧品の主成分とすることを特徴とする。また本
発明の美白化粧品用成分の製造方法は、(+)−カテキ
ンの5,7,3′,4′位をそれぞれアセチル化し、場
合によっては3位をトリメチルシリル化したものと、水
酸基をアセチル基で保護し、1位を臭素化もしくは弗素
化した糖とを各種の縮合剤を用いて反応させた後、脱ア
セチル化して化1で示される(+)−カテキンの配糖体
を得ることを特徴とする。 【化1】 【効果】本発明では、従来法に比べて収量が3倍以上に
向上し、また糖を弗素化して(+)−カテキンの配糖体
を合成する手法の導入による配糖体の合成に成功し、収
量が大幅にアップできた。また合成した配糖体の中に
は、アルブチンを上まわるチロシナーゼ阻害活性が認め
られ、美白化粧品の成分として有望である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】
【産業上の利用分野】本発明は、いわゆる美白化粧品
(クリーム、乳状美容液、ファンデーション)に関す
る。
【0002】
【発明の背景】チロシナーゼの阻害物質は、生鮮食品の
褐変防止、メラニン色素生成抑制の作用をもち、化粧品
を含む幅広い応用が考えられる。この種の物質の一つで
あるアルブチン(ヒドロキノン−β−D−グルコシド)
は、感染性泌尿器疾患の治療薬として用いられてきた生
薬ウワウルシの有効成分として単離されたが、近年皮膚
炎等のアレルギー、及び炎症疾患に対しても用いられ、
その有効性が注目されている。
【0003】さらにこのものが最近大きくクローズアッ
プされてきたのは、美白化粧品の有効成分として、スキ
ンケアのためのクリーム,乳状美容液、日焼け防止用の
ファンデーション等の分野で、同じくチロシナーゼ阻害
活性を有するコウジ酸との共用を含めて、広範囲に使用
されるようになってきたことである。
【0004】一方、(+)-カテキンの配糖体の合成に関
しては、1991年船山等により、サイクロデキストリ
ングルコーストランスフェラーゼ(CG Tase) を
使用し、また1992年北尾等により、シュクロースホ
スホリラーゼを使用し、いずれも酵素的に(+)-カテキ
ンのモノグルコシドを合成した報告があるが収量は、必
ずしも高くない。
【0005】化学的な(+)-カテキンの配糖体の合成
は、K.Weingesが約30年前に(+)-カテキン
のモノグルコシドを合成した報告があるだけで、収量は
きわめて低かった。また船山等によると、CG Tas
eの利用により得られた(+)-カテキングルコシドのチ
ロシナーゼ阻害活性を検討した結果、アルブチンと同程
度であることが報告されている。
【0006】
【開発を試みた技術的事項】本発明はこのような背景に
鑑みなされたものであって、アルブチンよりもチロシナ
ーゼ阻害活性の高い物質を提供し、また(+)-カテキン
の配糖体の収率良い化学合成法の開発を試みたものであ
る。
【0007】
【発明の構成】
【目的達成の手段】即ち本出願に係る第一の発明たる美
白化粧品は、(+)-カテキンの配糖体を化粧品の主成分
とすることを特徴として成るものである。
【0008】また本出願に係る第二の発明たる美白化粧
品用成分の製造方法は、(+)-カテキンの5, 7,
3′, 4′位をそれぞれアセチル化したものと、水酸基
をアセチル基で保護し、1位を臭素化した糖とを過塩素
酸銀を用いて反応させた後、脱アセチル化して一般式化
1で示される(+)-カテキンの配糖体を得ることを特徴
として成るものである。
【0009】
【化1】
【0010】更に本出願に係る第三の発明たる美白化粧
品用成分の製造方法は、(+)-カテキンの5, 7,
3′, 4′位をそれぞれアセチル化したものと、水酸基
をアセチル基で保護し、1位を臭素化した糖とをシルバ
ートリフレート(CF3 SO3 Ag) を用いて反応させ
た後、脱アセチル化して、一般式化1で示される(+)-
カテキンの配糖体を得ることを特徴として成るものであ
る。
【0011】
【化1】
【0012】更にまた本出願に係る第四の発明たる美白
化粧品用成分の製造方法は、(+)-カテキンの5, 7,
3′, 4′位をそれぞれアセチル化し、3位をトリメチ
ルシリル化したものと、水酸基をアセチル基で保護し、
1位を弗素化した糖とを反応させた後、脱アセチル化し
て一般式化1で示される(+)-カテキンの配糖体を得る
ことを特徴として成るものである。
【0013】
【化1】これら発明により前記目的を達成せんとするも
のである。
【0014】以下本発明について説明する。(+)-カテ
キンを始めとするカテキン類は生薬阿仙薬(整腸薬) の
主要成分であり、また茶の一成分でもあり、近年このも
のは生理活性として、抗菌作用、抗う蝕作用、血圧上昇
抑制作用、血中コレステロール上昇抑制作用、抗ガン作
用、インフルエンザウイルス感染阻止作用等を有するこ
と、また機能性として強い抗酸化作用、消臭作用を示す
ことが多くの研究者によって報告されている。
【0015】しかし、カテキンの誘導体の合成、並びに
合成化合物の生理活性についての報告は、きわめて少な
くカテキンのフェノール基をメトオキシに置換したもの
が、イネゴマ葉枯病菌に対し、強い殺菌作用をもつとい
う報告がある程度である。従って、カテキンの誘導体を
合成し、機能性や生理活性の向上がみられるかどうかを
追求することは、大変興味深い研究対象であると考えら
れる。
【0016】本発明は(+)-カテキンを使用し、グルコ
ース、マンノース、キシロース、ガラクトース、マルト
ース、ラムノース等の3−0−β配糖体を化学的に合成
し、その生理活性、機能性等について究明したものであ
る。カテキンの合成に当たっては、過塩素酸銀およびシ
ルバートリフレートを使うことにより合成法を簡略化す
るとともに、収量を向上させ、また合成困難のマルトシ
ドの合成を可能にするものである。また(+)-カテキン
の配糖体を合成する全く新しい手法として、糖を弗素化
する合成法を導入した。またこれら合成法によって得ら
れた(+)-カテキンの配糖体のうち、(+)-カテキンキ
シロシドは、アルブチンに匹敵するといわれるカテキン
グルコシドを上回るチロシナーゼ阻害活性を有すること
と、他の配糖体もアルブチンに匹敵するか、あるいはそ
れを若干上回る阻害活性を有することが認められ、これ
らのものが美白化粧品の成分として有効であることがわ
かった。以下これら発明の実施例を示す。
【0017】
【実施例】まず各実施例共通として、(+)-カテキンの
5, 7, 3′, 4′位のアセチル化、即ち5, 7,
3′, 4′−テトラアセチル(+)-カテキンの合成を行
なう。
【0018】<5, 7, 3′, 4′−テトラアセチル
(+)-カテキンの合成>(+)-カテキン3gを乾燥アセ
トン6mlに加温しながら溶かし、9mlの無水酢酸を加
え、1. 5mlの無水ピリジンを、さらに加えた後、1分
間激しく攪拌する。そのものを300mlの氷水に注ぎ、
30分〜1時間放置後、上清をこぼしクロロホルムで抽
出する。抽出物を分液ろ斗に入れ5%塩酸で2回、水で
2回、飽和重曹水で2回とさらに水で3回程度洗浄し、
中性にする。クロロホルム層は、無水硫酸マグネシウム
で脱水し濃縮する。目的物は、シリカゲル:セライト
(2:1) のカラムクロマトグラフィ、展開溶媒、クロ
ロホルム:酢酸エチル(10:1) で分画、精製、無色
のシロップ状物質として得られる。収率19%であり、
NMRとIRで構造を確認した。
【0019】1H−NMR:δ2. 1〜2. 35(12
H、アセチル基) 、δ2. 5〜2.95(2H、H−4)
、δ3. 5(1H、H−3) 、δ4. 6〜4. 75
(1H、H−2) 、δ6. 4〜6. 6(2H、H−6、
H−8) 、δ7. 15〜7. 3(3H、H−2′,
5′, 6′)
【0020】次に実施例1〜5共通として、それぞれの
糖のアセチル化は、糖に無水酢酸ナトリウムと無水酢酸
とを加え、沸騰湯浴中で約2時間反応させた後、氷水中
に注ぐ常法に従って行なった。
【0021】またアセチル化した糖の1位の臭素化は、
臭化水素飽和氷酢酸を加え、密栓をして室温に放置後、
クロロホルムで抽出、濃縮する方法に従って行なった。
【0022】<実施例1>(+)-カテキン−3−グルコ
シドの過塩素酸銀使用による合成 0. 5gの5, 7, 3′, 4′テトラアセチル(+)-カ
テキンを無水クロロホルム10mlに溶かし、モレキュラ
シーブ4A600mgを加え、室温で1時間攪拌する。そ
の後、過塩素酸銀0. 5gを加え、無水クロロホルム1
2mlに溶かした2, 3, 4, 6−テトラ−O−アセチル
−α−D−グルコピラノシルブロマイドを分液ろ斗より
滴下しながら、1時間攪拌する。さらに3時間攪拌後、
反応液を飽和重曹水の入った容器に吸引ろ過し、ろ液を
飽和重曹水で1回、水で2〜3回洗浄し、中性にして塩
化カルシウムで脱水する。
【0023】脱水後ろ過したクロロホルム溶液を濃縮
し、できた油状物に0. 1Nのナトリウムメチラート2
5mlを加え、2時間反応させ、脱アセチルする。反応液
に蒸留水を10ml加え、さらにH+ イオン交換樹脂によ
り反応液を中性にし、ろ過、濃縮する。濃縮物は少量の
メタノールに溶かし、少量のシリカゲルに吸着させ、メ
タノールを蒸発させた後、シリカゲルカラムクロマトグ
ラフィにより分離する。展開液には、酢酸エチル:メタ
ノール:水=80:7:3を使用した。目的物は朱色の
シロップ状物質として得られた。収量約70mg、収率1
4%であり、構造はNMR、IRにより確認した。
【0024】1H−NMR:δ2. 4〜2. 9(2H、
H−4) 、δ4. 3(1H、H−2) 、δ4. 8(1
H、糖C−1) 、δ3. 3〜5. 3(糖の環もしくはO
Hのプロトン) 、δ5. 6(1H、H−6) 、δ5. 9
(1H、H−8) 、δ6. 4〜6. 85(3H、H−
2′, 5′, 6′) 、δ8. 3〜9. 35(4H、OH
−5, 7, 3′, 4′)
【0025】 <実施例2> (+)-カテキン−3−マンノシドの合成 5, 7, 3′, 4′−テトラアセチル(+)-カテキン
1. 26gを無水クロロホルム20mlに溶かし、モレキ
ュラシーブ4A4. 0gを加え、室温で1時間攪拌す
る。その後、過塩素酸銀1. 5gを加え、無水クロロホ
ルム20mlに溶かした2, 3, 4, 6−テトラ−O−ア
セチル−α−D−マンノピラノシルブロマイド1. 5g
を分液ろ斗より滴下しながら1時間攪拌する。さらに3
時間攪拌後、反応液を飽和重曹水を入れた容器に吸引ろ
過し、ろ液を飽和重曹水で1回、水で2〜3回洗浄し、
中性にして塩化カルシウムで脱水する。
【0026】脱水後ろ過したクロロホルム溶液を濃縮
し、できた油状物に0. 1Nのナトリウムメチラート5
0mlを加え、2時間反応させ、脱アセチルする。反応液
に蒸留水を10ml加え、さらにH+ イオン交換樹脂によ
り反応液を中性にし、ろ過、濃縮する。濃縮物は少量の
メタノールに溶かし、少量のシリカゲルに吸着させ、メ
タノールを蒸発させた後、シリカゲルカラムクロマトグ
ラフィ(展開溶媒、酢酸エチル:メタノール:水=8
0:2:1) により目的物を分離した。目的物はうすい
黄色のシロップ状物質として得られた。収量約220m
g、収率18%で、構造はNMR、IRにより確認し
た。
【0027】1H−NMR:δ2. 4〜2. 96(2
H、H−4) 、δ4. 4(1H、H−2) 、δ4. 7
(1H、糖C−1) 、δ3. 3〜4. 9(糖の環もしく
はOHのプロトン) 、δ5. 65(1H、H−6) 、δ
5. 8(1H、H−8) 、δ6.4〜6. 7(3H、H
−2′, 5′, 6′) 、δ8. 6〜9. 2(4H、OH
−5, 7, 3′, 4′)
【0028】 <実施例3> (+)-カテキン−3−キシロシドの合成 5, 7, 3′, 4′−テトラアセチル(+)-カテキン
0. 5gを無水クロロホルム10mlに溶かし、モレキュ
ラシーブ4A600mgを加え、室温で1時間攪拌する。
その後、過塩素酸銀0. 5gを加え、無水クロロホルム
12mlに溶かした2, 3, 4−トリ−O−アセチル−α
−D−キシロピラノシルブロマイド0. 5gを分液ろ斗
より滴下しながら1時間攪拌する。さらに3時間攪拌
後、反応液を飽和重曹水を入れた容器に、吸引ろ過し、
ろ液を飽和重曹水で1回、水で2〜3回洗浄し、中性に
して塩化カルシウムで脱水する。
【0029】脱水後ろ過したクロロホルム溶液を濃縮
し、濃縮物に0. 1Nのナトリウムメチラート25mlを
加え、2時間反応させ、脱アセチルする。反応液に蒸留
水を10ml加え、さらにH+ イオン交換樹脂により反応
液を中性にし、ろ過、濃縮する。濃縮物は少量のメタノ
ールに溶かし、少量のシリカゲルに吸着させ、メタノー
ルを蒸発させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ
(展開溶媒:酢酸エチル:メタノール:水=80:2:
1) により目的物を分離した。目的物は黄色のシロップ
状物質として得られた。収量約90mg、収率19%で、
構造はNMR、IRにより確認した。
【0030】1H−NMR:δ2. 3〜2. 95(2
H、H−4) 、δ4. 2(1H、H−2) 、δ4. 8
(1H、糖C−1) 、δ3. 5〜4. 95(糖の環、も
しくはOHプロトン) 、δ5. 65(1H、H−6) 、
δ5. 8(1H、H−8) 、δ6. 4〜6. 7(3H、
H−2′, 5′, 6′) 、δ8. 3〜9. 3(4H、O
H−5, 7, 3′, 4′)
【0031】<実施例4> (+)-カテキン−3−ガラ
クトシドの合成 5, 7, 3′, 4′−テトラアセチル(+)-カテキン
0. 5gを無水クロロホルム10mlに溶かし、モレキュ
ラシーブ4Aを600mgを加え、室温で1時間攪拌す
る。その後、過塩素酸銀0. 5gを加え、無水クロロホ
ルム12mlに溶かした2, 3, 4, 6−テトラ−O−ア
セチル−α−D−ガラクトピラノシルブロマイド0. 5
g分液ろ斗より滴下しながら1時間攪拌する。さらに3
時間攪拌後、反応液を飽和重曹水を入れた容器に、吸引
ろ過する。ろ液を飽和重曹水で1回、水で2〜3回洗浄
し、中性にして塩化カルシウムで脱水する。
【0032】脱水後ろ過したクロロホルム溶液を濃縮
し、濃縮物に0. 1Nのナトリウムメチラート25mlを
加え、2時間反応させ、脱アセチルする。反応液に蒸留
水を10ml加え、さらにH+ イオン交換樹脂により反応
液を中性にし、ろ過、濃縮する。濃縮物は少量のメタノ
ールに溶かし、少量のシリカゲルに吸着させ、メタノー
ルを蒸発させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ
(展開溶媒:酢酸エチル:メタノール:水=80:1
5:10) により目的物を分離した。目的物は黄色のシ
ロップ状物質として得られた。収量約100mg、収率2
0%で、構造はNMR、IRにより確認した。
【0033】1H−NMR:δ2. 3〜2. 7(2H、
H−4) 、δ4. 3(1H、H−2) 、δ4. 6(1
H、糖C−1) 、δ3. 3〜4. 9(糖の環、もしくは
OHプロトン) 、δ5. 65(1H、H−6) 、δ5.
75(1H、H−8) 、δ6.3〜6. 65(3H、H
−2′, 5′, 6′) 、δ8. 4〜9. 0(4H、OH
−5, 7, 3′, 4′)
【0034】<実施例5> (+)-カテキン−3−マル
トシドのシルバートリフレート使用による合成 1. 35gの5, 7, 3′, 4′−テトラアセチル
(+)-カテキンを無水クロロホルム60mlに溶かし、モ
レキュラシーブ4Aを4.0g、シルバートリフレート
(CF3 SO3 Ag) 1. 5gを加え、室温で1時間攪
拌する。つぎに2,3, 6, 2′, 3′, 4′, 6′−
ヘプタ−O−アセチル−α−マルトシルブロマイド2.
0gを反応液に加えた後、0℃にして、さらに1時間攪
拌する。室温にもどして、1時間攪拌した後、飽和重曹
水を入れた容器に、吸引ろ過し、ろ液を飽和重曹水と水
で洗浄し、中性にした後塩化カルシウムで脱水する。
【0035】脱水後ろ過したクロロホルム溶液を濃縮
し、濃縮物に0. 1Nのナトリウムメチラート50mlを
入れ、2時間反応させ、脱アセチルする。反応液に蒸留
水を30ml加え、さらにH+ イオン交換樹脂で反応液を
中性にし、ろ過、濃縮する。濃縮物をシリカゲルカラム
クロマトグラフィ(展開溶媒、酢酸エチル:メタノー
ル:水=80:15:10) にかけ目的物を分離した。
目的物は朱色のシロップ状物質として得られた。収量約
270mg、収率13%で、構造はNMR、IRにより確
認した。
【0036】1H−NMR:δ2. 35〜2. 8(2
H、H−4) 、δ4. 3(1H、H−2) 、δ4. 7
(1H、糖C−1) 、δ3. 5〜5. 4(糖の環、もし
くはOHプロトン) 、δ5. 6(1H、H−6) 、δ
5. 8(1H、H−8) 、δ6. 4〜6. 8(3H、H
−2′, 5′, 6′) 、δ8. 3〜9. 3(4H、OH
−5, 7, 3′, 4′)
【0037】以下、請求項4の糖の弗素化手法による
(+)-カテキン配糖体の製造方法の実施例を掲げる。 <実施例6> 《5, 7, 3′, 4′−テトラアセチル(+)-カテキン
の3位のトリメチルシリル化》5, 7, 3′, 4′−テ
トラアセチル(+)-カテキン0. 74gを無水ピリジン
2mlに溶かし、ヘキサメチルジシルアザン0. 5mlとト
リメチルクロロシラン0. 5mlを加えたものを栓をして
室温に4〜5時間放置する。反応液を濃縮し、濃縮物を
四塩化炭素に溶かし、ろ過、ろ液を濃縮する。目的とす
る5, 7, 3′, 4′−テトラアセチル−3−(トリメ
チルシリロキシ)-(+)-カテキンは黄白色のシロップ状
物質として得られる。収量0. 85g、収率99%、ト
リメチルシリル化は、薄層クロマトグラフィ(展開溶
媒、トルエン:酢酸エチル=16.3) で、5, 7,
3′, 4′−テトラアセチル(+)-カテキンは原点にと
どまるのに対し、目的物はRf=0. 25であることに
より確認した。
【0038】《2, 3, 4−トリ−O−アセチル−L−
ラムノースの合成》無水酢酸40mlと無水ピリジン4
0mlを三角フラスコにとり、0℃に冷却、攪拌しなが
らα−L−ラムノース10.0gを加え、1日室温に放
置する。反応液を氷水中に滴下し、冷蔵庫に放置後、ク
ロロホルムで抽出し、希塩酸、飽和重曹水、水で洗い、
中性にして濃縮した。
【0039】《2, 3, 4−トリ−O−アセチル−α−
L−ラムノピラノシルフルオライドの合成》2, 3, 4
−トリ−O−アセチル−L−ラムノース1. 31gを無
水テトラヒドロフランに攪拌して溶解させ、ドライアイ
スで冷やしたアセトンバスで−30℃にする。DAST
(ジエチルアミノサルファートリフルオライド) 0. 6
6mlを加え、密栓し、室温で60分攪拌後、再び−30
℃に冷却し、0. 66mlのDASTを加え室温で60分
攪拌する。薄層クロマトグラフィ(展開溶媒、クロロホ
ルム:アセトン=9:1) でRf0. 71の目的物が合
成されていることを確認した後、−30℃に冷却、メタ
ノール0. 3mlを加える。さらに、3倍量のクロロホル
ムを加え、飽和重曹水、蒸留水で洗い、硫酸マグネシウ
ムで脱水し、ろ過、濃縮する。シリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(展開溶媒、ヘキサン:酢酸エチル:1,
2−ジクロロエタン=10:1:1) で目的物を分離す
る。目的物は無色のシロップ状物質として得られる。収
量は0. 64g、収率49%である。
【0040】《糖の弗素化手法による(+)-カテキン−
3−ラムノシドの合成》1mlの無水ベンゼン中に3フッ
化ホウ素ジエチルエーテル0. 2mlを溶かした溶液に、
2mlの無水ベンゼン中に2, 3, 4−トリ−O−アセチ
ル−α−L−ラムノピラノシルフルオライド0. 48
g、5, 7, 3′, 4′−テトラアセチル−3−(トリ
メチルシリロキシ)-(+)-カテキン0. 85gを溶かし
た溶液を混合し、12時間攪拌後、反応液をクロロホル
ムで希釈し、蒸留水、飽和重曹水、蒸留水で洗い、中性
にして硫酸マグネシウムで脱水する。
【0041】脱水後、クロロホルム溶液を濃縮し、0.
1Nのナトリウムメチラート25mlと2時間反応させ脱
アセチルする。反応液に蒸留水を10ml加え、H+ イオ
ン交換樹脂で中性にした後、ろ過、濃縮する。濃縮物は
少量のメタノールに溶かし少量のシリカゲルに吸着さ
せ、メタノールを蒸発させた後、シリカゲルカラムクロ
マトグラフィ(展開溶媒、酢酸エチル:メタノール:水
=80:7:3) で目的物を分離した。目的物は黄色の
シロップ状物質として得られた収量250mg、収率34
%で、構造はNMR、IRにより確認した。
【0042】1NMR、δ1. 1(3H、CH3 ) 、δ
2. 4〜2. 7(2H、H−4) 、δ4. 3(1H、H
−2) 、δ4. 5(1H、糖C−1) 、3. 3〜4. 8
(糖の環、もしくはOHプロトン) 、δ5. 6(1H、
H−6) 、δ5. 8(1H、H−8) 、δ6. 5〜6.
8(3H、H−2′, 5′, 6) 、δ8. 6〜9. 2
(4H、OH−5, 7, 3′, 4′)
【0043】以上が(+)-カテキンの配糖体の製造方法
の実施例であり、以下各(+)-カテキンの配糖体のチロ
シナーゼ阻害活性の検定について説明する。 《検定1》0. 9%NaClを含む2mM L−DOP
A含有、0. 1Mリン酸緩衝液(PH6. 5) 1. 5ml
と被験液0. 3ml:(+)-カテキン−3−グルコシド、
(+)-カテキン−3−ガラクトシド、アルブチン水溶液
(いずれも10mg/ml) を混合し、0. 2mlのマシュル
ームチロシナーゼ水溶液(100μg /ml:Sigma
社の3870unit/mg固形量) を加え、25℃でD
OPAクローム生成に由来する475nmにおける吸光度
の増加を15分間追跡し、その抑制効果から阻害活性を
検定した。なお、対照はサンプル水溶液のかわりに水を
置き換えたものとした。
【0044】その結果、第1図のように、テストした両
配糖体は、アルブチンを上まわるチロシナーゼ阻害活性
を示した。
【0045】《検定2》0. 9%Naclを含む2mM
L−DOPA含有、0. 1Mリン酸緩衝液(PH6.
5) 1. 5mlと被験液0. 2ml:(+)-カテキン−3−
グルコシド、(+)-カテキン−3−ガラクトシド、アル
ブチン水溶液(いずれも20mg/ml) を混合し、0. 2
mlのマシュルームチロシナーゼ水溶液(50μg /ml:
Sigma社の3870unit/mg固形量) を加え、
25℃でDOPAクローム生成に由来する475nmにお
ける吸光度の増加を60分間追跡し、その抑制効果から
阻害活性を検定した。なお、対照はサンプル水溶液のか
わりに水を置き換えたものとした。
【0046】その結果、第2図のように、60分間のテ
ストにおいても、テストした両配糖体は、アルブチンを
上まわるチロシナーゼ阻害活性を示した。
【0047】《検定3》0. 9%Naclを含む2mM
L−DOPA含有、0. 1Mリン酸緩衝液(PH6.
5) 1. 5mlと被験液0. 2ml:(+)-カテキン−3−
グルコシド、(+)-カテキン−3−ガラクトシド、
(+)-カテキン−3−キシロシド、アルブチン水溶液
(いずれも20mg/ml) を混合し、0. 2mlのマシュル
ームチロシナーゼ水溶液(50μg /ml:Sigma社
の3870unit/mg固形量) を加え、25℃でDO
PAクローム生成に由来する475nmにおける吸光度の
増加を60分間追跡し、その抑制効果から阻害活性を検
定した。なお、対照はサンプル水溶液のかわりに水を置
き換えたものとした。
【0048】その結果、第3図のように、テストした3
種の配糖体は、いずれもアルブチンを上まわるチロシナ
ーゼ阻害活性を示し、なかでも(+)-カテキン−3−キ
シロシドはグルコシド、ガラクトシドをさらに上まわっ
ていることが判明した。
【0049】《検定4》0. 9%Naclを含む2mM
L−DOPA含有、0. 1Mリン酸緩衝液(PH6.
5) 1. 5mlと被験液0. 2ml:(+)-カテキン−3−
マンノシド、(+)-カテキン−3−マルトシド、(+)-
カテキン−3−ラムノシド、アルブチン水溶液(いずれ
も20mg/ml) を混合し、0. 2mlのマシュルームチロ
シナーゼ水溶液(50μg /ml:Sigma社の387
0unit/mg固形量) を加え、25℃でDOPAクロ
ーム生成に由来する475nmにおける吸光度の増加を6
0分間追跡し、その抑制効果から阻害活性を検定した。
なお、対照はサンプル水溶液のかわりに水を置き換えた
ものとした。
【0050】その結果、第4図のように、テストした3
種の配糖体のうち、マンノシドとラムノシドがアルブチ
ンと同程度か、それを若干上まわる阻害活性、またマル
トシドがアルブチンを上まわる阻害活性を示した。
【0051】
【発明の効果】本発明では、カテキンの合成に当たって
過塩素酸銀またはシルバートリフレートを使うことによ
り合成法が簡略化できるとともに、従来法のように酸化
銀や炭酸銀を用いる場合に比べて収量が3倍以上に向上
し、また従来合成困難なマルトシドの合成を可能にし
た。また糖を弗素化して(+)-カテキンの配糖体を合成
する新しい手法の導入による配糖体の合成に成功し、収
量が大幅にアップできた。
【0052】また合成した配糖体について生理活性等を
検定した結果、(+)-カテキンのグルコシド、ガラクト
シド、キシロシド、マルトシドにアルブチンを上まわる
チロシナーゼ阻害活性が認められ、なかでもキシロシド
はグルコシドを若干上まわっていることが認められた。
他の配糖体のマンノシド、ラムノシドは、アルブチンと
同程度、もしくは若干上まわる阻害活性を示した。従っ
て(+)-カテキンの配糖体は、美白化粧品の成分として
有望であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(+)-カテキンの配糖体のチロシナーゼ阻害活
性の検定結果を示すグラフであって、検定1の結果を示
すものである。
【図2】同上検定2の結果を示すものである。
【図3】同上検定3の結果を示すものである。
【図4】同上検定4の結果を示すものである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年12月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正内容】
【化2】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正内容】
【化3】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】また本出願に係る第二の発明たる美白化粧
品用成分の製造方法は、(+)−カテキンの5,7,
3′,4′位をそれぞれアセチル化したものと、水酸基
をアセチル基で保護し、1位を臭素化した糖とを過塩素
酸銀を用いて反応させた後、脱アセチル化して一般式化
4で示される(+)−カテキンの配糖体を得ることを特
徴として成るものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】
【化4】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】更に本出願に係る第三の発明たる美白化粧
品用成分の製造方法は、(+)−カテキンの5,7,
3′,4′位をそれぞれアセチル化したものと、水酸基
をアセチル基で保護し、1位を臭素化した糖とをシルバ
ートリフレート(CFSOAg)を用いて反応させ
た後、脱アセチル化して、一般式化5で示される(+)
−カテキンの配糖体を得ることを特徴として成るもので
ある。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】
【化5】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】更にまた本出願に係る第四の発明たる美白
化粧品用成分の製造方法は、(+)−カテキンの5,
7,3′,4′位をそれぞれアセチル化し、3位をトリ
メチルシリル化したものと、水酸基をアセチル基で保護
し、1位を弗素化した糖とを反応させた後、脱アセチル
化して一般式化6で示される(+)−カテキンの配糖体
を得ることを特徴として成るものである。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】
【化6】 これら発明により前記目的を達成せんとするものであ
る。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年3月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【化1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正内容】
【化2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正内容】
【化3】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】また本出願に係る第二の発明だる美白化粧
品用成分の製造方法は、(+)−カテキンの5,7,
3′,4′位をそれぞれアセチル化したものと、水酸基
をアセチル基で保護し、1位を臭素化した糖とを過塩素
酸銀を用いて反応させた後、脱アセチル化して一般式化
4で示される(+)−カテキンの配糖体を得ることを特
徴として成るものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】
【化4】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】更に本出願に係る第三の発明たる美白化粧
品用成分の製造方法は、(+)−カテキンの5,7,
3′,4′位をそれぞれアセチル化したものと、水酸基
をアセチル基で保護し、1位を臭素化した糖とをシルバ
ートリフレート(CFSOAg)を用いて反応させ
た後、脱アセチル化して、一般式化5で示される(+)
−カテキンの配糖体を得ることを特徴として成るもので
ある。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】
【化5】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】更にまた本出願に係る第四の発明たる美白
化粧品用成分の製造方法は、(+)−カテキンの5,
7,3′,4′位をそれぞれアセチル化し、3位をトリ
メチルシリル化したものと、水酸基をアセチル基で保護
し、1位を弗素化した糖とを反応させた後、脱アセチル
化して一般式化6で示される(+)−カテキンの配糖体
を得ることを特徴として成るものである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】
【化6】 これら発明により前記目的を達成せんとするものであ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07H 17/065 // C07B 61/00 300

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (+)-カテキンの配糖体を化粧品の主成
    分とすることを特徴とする美白化粧品。
  2. 【請求項2】 (+)-カテキンの5, 7, 3′, 4′位
    をそれぞれアセチル化したものと、水酸基をアセチル基
    で保護し、1位を臭素化した糖とを過塩素酸銀を用いて
    反応させた後、脱アセチル化して一般式化1で示される
    (+)-カテキンの配糖体を得ることを特徴とする美白化
    粧品用成分の製造方法。 【化1】
  3. 【請求項3】 (+)-カテキンの5, 7, 3′, 4′位
    をそれぞれアセチル化したものと、水酸基をアセチル基
    で保護し、1位を臭素化した糖とをシルバートリフレー
    ト(CF3 SO3 Ag) を用いて反応させた後、脱アセ
    チル化して、一般式化1で示される(+)-カテキンの配
    糖体を得ることを特徴とする美白化粧品用成分の製造方
    法。 【化1】
  4. 【請求項4】 (+)-カテキンの5, 7, 3′, 4′位
    をそれぞれアセチル化し、3位をトリメチルシリル化し
    たものと、水酸基をアセチル基で保護し、1位を弗素化
    した糖とを反応させた後、脱アセチル化して一般式化1
    で示される(+)-カテキンの配糖体を得ることを特徴と
    する美白化粧品用成分の製造方法。 【化1】
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1994029404A1 (fr) * 1993-06-14 1994-12-22 Berkem Compositions de derives de polyphenols et leur preparation
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JP2007277100A (ja) * 2006-04-03 2007-10-25 Noevir Co Ltd 保湿剤、細胞賦活剤、真皮線維芽細胞賦活剤、表皮細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、抗酸化剤、抗老化剤、美白剤、メラニン産生抑制剤
CN104292201A (zh) * 2014-09-30 2015-01-21 浙江大学 3-酯基儿茶素的制备方法

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