JP4473511B2 - ナフトール配糖体の合成方法及びその中間体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はジヒドロキシナフタレンモノ配糖体の合成方法及びその合成中間体に関する。
【0002】
【従来の技術】
美白作用を目的とした医薬部外品、化粧品の場合、L−アスコルビン酸及びその誘導体をはじめとしてコウジ酸、アルブチン等がすでに美白剤として使用されており、ビタミン誌、1970年41号、387-398頁、特公昭56-18569号公報、J. Pharmacol. Exp. Ther.誌、1996年276号、765-769頁などに開示されている。
【0003】
一方、日焼けによる色素沈着や肝斑、雀卵班、老人性色素班等の表皮性色素沈着性は、メラニン生合成と排泄のバランスが崩れ、表皮内でメラニンが異常増加することが原因であると中山書店発行、色素増加症 肝班 現代皮膚科学大系、15巻に記述されている。
【0004】
これらの疾患の治療にはチロシナーゼ活性抑制作用を目的としたヒドロキノン、レゾルシン等フェノール誘導体のメラニン生合成抑制剤を配合した医薬品が以前より使用されていることがBiochim. Biophys. Acta.誌、1991年1073号、85-90頁をはじめとする多くの論文・書籍等に記載されている。
しかしながら、ヒドロキノンはメラニン細胞に対して刺激性を有している。そのため日本においては化粧品、医薬部外品への配合が禁止されている。
【0005】
また、ヒドロキシ−もしくはジヒドロキシナフタレン類も美白作用を有することが特開平7−309737号に開示されているが皮膚への刺激性等未解決な問題が存在しており、今後は効力の高いメラニン生合成抑制作用を有しかつ皮膚に対する刺激性のない美白剤が望まれていた。
【0006】
本発明者らは刺激性のない美白剤を検索した結果、新規物質である6−ヒドロキシ−2−ナフタレニル−β−D−グルコピラノサイドが優れた美白効果を示し、かつ、刺激性のないことを見いだした(非特許文献1)。しかしながら、その収率は全行程通して1.7%と極めて低く、満足のいくものではなかった。
【0007】
フェノール類の配糖体の合成方法は、酵素法によるものが一般的であり(例えば特許文献1)、上記6−ヒドロキシ−2−ナフタレニル−β−D−グルコピラノサイドは新規物質であるからこれに適用される酵素は未だ知られていない。また、特定の金属を含む求核性アニオンと、非求核性アニオンの金属錯塩の存在下にアノマー水酸基を有する保護された糖とアグリコンとを反応させる方法(特許文献2)も提案されているが、ジヒドロキシナフタレンに適用された例は知られていなかった。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−173183号公報
【特許文献2】
特開平5−202084号公報
【非特許文献1】
日本薬学会 第122年会(平成14年3月26日〜28日)講演要旨集−2 35頁
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の目的は、ジヒドロキシナフタレンモノ配糖体の効果的な合成法の提供にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、ルイス酸存在下にジヒドロキシナフタレンと、水酸基が保護された糖とを反応させ、次いで加溶媒分解することによりジヒドロキシナフタレンモノ配糖体が容易に、かつ、収率よく合成できることを見いだし本発明を完成させた。すなわち、本発明は、ルイス酸存在下にジヒドロキシナフタレンと、水酸基が保護された糖とを反応させ、次いで加溶媒分解することを特徴とするジヒドロキシナフタレンモノ配糖体の合成方法であり、詳しくは、ルイス酸が三弗化硼素エーテル錯体であることを特徴とする前記ジヒドロキシナフタレンモノ配糖体の合成方法であり、更に詳しくは、ジヒドロキシナフタレンが2,3−ジヒドロキシナフタレン又は2,6−ジヒドロキシナフタレン又は2,7−ジヒドロキシナフタレンであることを特徴とする前記ジヒドロキシナフタレンモノ配糖体の合成方法であり、更に詳しくは、水酸基が保護された糖がペンタアセチルグルコースであることを特徴とする前記ジヒドロキシナフタレンモノ配糖体の合成方法であり、更に詳しくは、加溶媒分解がアルコール存在下の加水分解であることを特徴とする前記ジヒドロキシナフタレンモノ配糖体の合成方法であり、また、ジヒドロキシナフタレンモノ配糖体の合成中間体であるヒドロキシナフタレニル−テトラ−O−アセチルグルコピラノサイドであり、また、ジヒドロキシナフタレンモノ配糖体の合成中間体である3−ヒドロキシ−2−ナフタレニル−2’,3’,4’,6’−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノサイドであり、また、ジヒドロキシナフタレンモノ配糖体の合成中間体である6−ヒドロキシ−2−ナフタレニル−2’,3’,4’,6’−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノサイドであり、また、ジヒドロキシナフタレンモノ配糖体の合成中間体である7−ヒドロキシ−2−ナフタレニル−2’,3’,4’,6’−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノサイドである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をその実施の形態に即して詳細に説明する。
【0012】
本発明で用いられるルイス酸は、ルイス酸であれば特に限定されることはなく、例えば五塩化アンチモン、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズ、三弗化硼素、塩化亜鉛、塩化銅、塩化鉄などが例示され、三弗化硼素エーテル錯体が取り扱いに優れており特に好ましく用いられる。
【0013】
本発明で用いられるジヒドロキシナフタレンは、フェノール性水酸基を二個もつナフタレンであれば特に限定されることはなく、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン及びこれらのアルキル置換体などが例示されるが、好ましくは2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンが例示される。
【0014】
本発明で用いられる保護された糖は、糖であれば特に限定されることはなく、例えばグルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、キシロースおよびN−アセチルグルコサミンなどの単糖類、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、プリメベロース、ルチノース、ストロファントビオース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース、マルトトリオース、セロトリオースおよびマンニノトリオースなどの少糖類が例示され、好ましくは単糖類が用いられ、グルコースが最も好ましく用いられる。保護されるのは糖における全ての水酸基であり、保護基は特に限定されることはないが、酢酸エステルが好ましく用いることができる。したがって、本発明で特に好ましい保護された糖は、ペンタアセチルグルコースである。
【0015】
本発明でいう加溶媒分解とは、塩基性又は酸性条件下での、加水分解及び/又は加アルコール分解をいい、好ましくは含水アルコール溶媒中で塩基性条件下での加水分解が用いられ、含水メタノール中での水酸化カリウムによる加水分解が最も好ましく用いられる。
【0016】
本発明で、ルイス酸存在下にジヒドロキシナフタレンと、ペンタアセチルグルコースとを反応させて得られるヒドロキシナフタレニル−テトラ−O−アセチルグルコピラノサイドは、収率よく得られ、かつ、容易に加溶媒分解を受けて目的とするヒドロキシナフタレニル−β−D−グルコピラノサイドを生成するため、合成中間体として非常に有用である。それらの具体例としては、3−ヒドロキシ−2−ナフタレニル−2’,3’,4’,6’−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノサイド、6−ヒドロキシ−2−ナフタレニル−2’,3’,4’,6’−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノサイド、7−ヒドロキシ−2−ナフタレニル−2’,3’,4’,6’−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノサイドであり、これらはいずれも新規物質である。
【0017】
【実施例】
次に実施例を示して本発明を更に具体的に説明する。
【0018】
[実施例1]
6-ヒドロキシ-2-ナフタレニル-2',3',4',6'-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノサイドの合成。
2,6-ジヒドロキシナフタレン1.0 g、ペンタアセチル-β-D-グルコース3.17 gをジエチルエーテル25 mL、アセトニトリル6 mLに溶解し、三弗化硼素エーテル錯体2.34 mLを滴下して加え無水条件下、室温で36時間撹拌した。この間1時間半後にペンタアセチルグルコース0.18gと三弗化硼素エーテル錯体0.6 mL、5時間後にぺンタアセチルグルコース0.27 gと三弗化硼素エーテル錯体0.6 mL、12時間後にペンタアセチルグルコース0.19 gと三弗化硼素エーテル錯体0.6 mL、17時間後に三弗化硼素エーテル錯体0.6 mL、19時間後に三弗化硼素エーテル錯体0.6 mLを加えた。反応液にクロロホルム30mLを加え、飽和重曹水、食塩水の順で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。得られた油状物質をシリカゲルクロマトグラフィ−で分離精製し、6-ヒドロキシ-2-ナフタレニル-2',3',4',6'-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノサイド(I)を1.37 g 得た(収率 44.8%)。
【0019】
(I) mp 198 ℃ 1H−NMR(500 MHz、CDCl3) δH:7.64(1H,d,J=8.9 Hz,H-8)、7.61(1H,d,J=9.0 Hz,H-4)、7.29(1H,d, J=2.4 Hz,H-5)、7.15(1H,dd,J=9.0,2.1 Hz,H-3)、7.12(1H,d,J=2.1 Hz,H-1)、7.10(1H,dd,J=8.9,2.4 Hz,H-7)、5.35-5.15(4H,m,H-1',2',3',4')、4.31(1H,dd,J=12.2,5.5 Hz,H-6')、4.20(1H,dd,J=12.2,2.4 Hz,H-6')、3.91(1H,ddd,J=10.1,5.5,2.4 Hz,H-5')、2.09-2.05(12H,0Ac-2',3',4',6') EI-MS m/z 490(M+)
【0020】
式(I):
【化1】
【0021】
[実施例2]
6-ヒドロキシ-2-ナフタレニル-β-D-グルコピラノサイドの合成。
6-ヒドロキシ-2-ナフタレニル-2',3',4',6'-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノサイド200 mg を5%水酸化カリウム溶液(メタノール/精製水=75:25)40 mL、メタノール10 mLに溶解し室温で2時間撹拌した。反応終了後、酢酸で中和し、溶媒を留去した後、残渣をイオン交換樹脂(Diaion HP−20カラムクロマトグラフィー)に付し、蒸留水、次いで精製水/メタノール(75:25)溶液で溶出させた。溶媒を留去し、6-ヒドロキシ-2-ナフタレニル-β-D-グルコピラノサイド(II)を123 mg 得た(収率93.8%)。全行程収率42.0%
【0022】
(II) dp 219-221℃、FAB-MS m/z 345[M+Na]+,322(M+)、1H-NMR (500MHz、pyridine-d5) δH:7.88(1H,d,J=2.14Hz,H-5)、7.69 (2H,d,J=8.85Hz,H-4,H-8)、7.54(1H,d,J=2.13Hz,H-1)、7.50 (1H,dd,J=2.14,8.85Hz,H-7)、7.44(1H,dd,J=2.13,8.85Hz,H-3)、5.75(1H,d,J=7.33,H-1')、4.45 (1H,m,H-2')、4.40(2H,m,H-6')、4.15(1H,m,H-5')、4.00(1H,t,J=5.04Hz,H-4')、3.78(1H,t,J=5.02Hz,H-3')
【0023】
式(II):
【化2】
【0024】
[実施例3]
3-ヒドロキシ-2-ナフタレニル-2',3',4',6'-テトラ-0-アセチル-β-D-グルコピラノサイドの合成。
2,3-ジヒドロキシナフタレン3.2g、ペンタアセチル-β-D-グルコース10.15gをアセトニトリル20mL、エーテル60mLに溶解し、三弗化硼素エーテル錯体7.5mLを滴下して加えて、室温で78時間撹拌した。この間36時間後に三弗化硼素エーテル錯体1mL、57時間後に三弗化硼素エーテル錯体1mLを追加した。反応液を半量になるまで減圧留去し、クロロホルム45mLを加え、飽和重曹水で中和し、蒸留水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。得られた油状物質をシリカゲルクロマトグラフィーで分離精製し、3-ヒドロキシ-2-ナフタレニル-2',3',4',6'-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノサイド(III)を5.05g得た(収率51.5%)。
【0025】
(III) mp 158〜160℃、FAB-MS m/z 513[M+Na]+,490(M+)、1H−NMR(500MHz、CDCl3) δH:7.68(1H,d,J=8.24,H-5),7.65(1H,d,J=8.24,H-8),7.38(1H,dt,J=8.2,1.5,H-7),7.30−7.34(1H,m,H-6),7.32(1H,s,H-4),7.30(1H,s,H-1),6.04(1H,s,OH-3),5.17−5.41(3H,m,H-2',3',4'),5.15(1H,d,J=7.6,H-1’),4.34(1H,dd,J=12.4,2.4,H-6'),4.23(1H,dd,J=12.4,5.5,H-6'),3.96(1H,ddd,J=10.1,5.5,2.4,H-5'),2.13(6H,s,OAc),2.07(6H,s,OAc)
【0026】
式(III):
【化3】
【0027】
[実施例4]
3-ヒドロキシ-2-ナフタレニル-β-D-グルコピラノサイドの合成。
3-ヒドロキシ-2-ナフタレニル-2',3',4',6'-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノサイド4.85gを5%水酸化カリウム溶液(メタノール/精製水=3/1)120mL、メタノール60mLに溶解し、室温で12時間撹拌した。酢酸で中和し、溶媒を留去した後、残渣をイオン交換樹脂(Diaion Hp−20カラムクロマトグラフィー)に付し、蒸留水、次いで精製水/メタノール(60/40)溶液で溶出させた。溶媒を留去し、3-ヒドロキシ-2-ナフタレニル-β-D-グルコピラノサイド(IV)を1.93g得た(収率60.6%)。全行程収率31.2%
【0028】
(IV) mp 188〜191℃、FAB-MS m/z 345[M+Na]+,322(M+)
1H-NMR(500MHz、DMSO-d6) δH:7.65(1H,d,J=7.8Hz,H-5),7.63(1H,d,J=7.8Hz,H-8),7.50(1H,s,H-4),7.28(1H,dt,J=1.5,7.8Hz,H-6),7.24(1H,dt,J=1.5,7.8Hz,H-7),7.19(1H,s,H-1),5.5(1H,s,OH-3),4.93(1H,d,J=7.63Hz,H-1'),4.69(1H,t,J=5.65Hz,OH-6'),3.77(1H,m,H-6'),3.52(1H,m,H-6'),3.44(1H,m,H-3'),3.37(1H,m,H-2'),3.33(1H,m,H-5'),3.23(1H,m,H-4')、13C-NMR(DMSO-d6) δ:60.8(C-6'),69.9(C-4'),73.3(C-2'),76.0(C-5'),77.3(C-3'),101.6(C-1'),110.0,111.4,123.3,124.4,125.7,126.8,128.2,130.1,146.5,146.9 (Ar-C) [α]20 d−93°(c 0.01,MeOH)
【0029】
式(IV):
【化4】
【0030】
[実施例5]
7-ヒドロキシ-2-ナフタレニル-2',3',4',6'-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノサイドの合成。
2,7-ジヒドロキシナフタレン1 g、ペンタアセチル-β-D-グルコース3.17 gをメチレンクロライド15 mL、ジエチルエーテル16 mLに溶解し、三弗化硼素エーテル錯体2.52 mLを滴下して加え、無水条件下に室温で48時間撹拌した。この間4時間後に三弗化硼素エーテル錯体を1.5 mL、36時間後にぺンタアセチルグルコース1.0 gと三弗化硼素エーテル錯体1.0 mLを加えた。反応液にクロロホルム 30 mLを加え、飽和重曹水、食塩水の順で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。得られた油状物質をシリカゲルクロマトグラフィ−で分離精製し、7-ヒドロキシ-2-ナフタレニル-2',3',4',6'-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノサイド(V)を1.20 g 得た(収率39.4%)。
【0031】
(V) mp 172-174 ℃ 1H−NMR(500MHz、DMSO-d6)δH:7.69(2H,d,J=8.9Hz,H-4,H-5),7.17(1H,d,J=2.4 Hz,H-8),7.05(1H,d,J=2.4Hz,H-1),7.01(2H,2dd,J=8.9,2.4Hz,H-3,H-6),5.33(2H,m,H-1',H-2'),5.20(2H,m,H-6'),4.31(1H,dd,J=5.3,12.7,H-5'),4.20(1H,dd,J=2.4,12.5,H-4'),3.93(1H,m,H-3'),2.09-2.04(12H,OAc-2',3',4',6') FAB-MS m/z 513[M+Na]+,490(M+)
【0032】
式(V):
【化5】
【0033】
[実施例6]
7-ヒドロキシ-2-ナフタレニル-β-D-グルコピラノサイドの合成。
7-ヒドロキシ-2-ナフタレニル-2',3',4',6'-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノサイド200 mg を5%水酸化カリウム溶液(メタノール/精製水=75:25)40 mL、メタノール10 mLに溶解し室温で2時間撹拌した。反応終了後酢酸で中和し、溶媒を留去した後、残渣をイオン交換樹脂(Diaion HP−20カラムクロマトグラフィー)に付し、蒸留水、次いで精製水/メタノール(75:25)溶液で溶出させた。溶媒を留去し、7-ヒドロキシ-2-ナフタレニル-β-D-グルコピラノサイド(VI)を124.4 mg を得た(収率94.7%)。全行程収率37.7%
【0034】
(VI) dp 255-258℃ 1H−NMR(500MHz、DMSO-d6) δH:7.66(2H,d,J=8.5Hz,H-4,H-5),7.21(1H,d,J=2.1Hz,H-8),6.98(2H,m,H-1,H-6),6.91(1H,dd,J=8.7,2.3 Hz,H-3),4.96(1H,d,J=7.3 Hz,H-1'),3.70(1H,m,H-6'),3.46(1H,m,H-6'),3.37(1H,m,H-3'),3.26(2H,m,H-2',H-5'),3.27(1H,m,H-4'), 13C−NMR(500MHz、DMSO-d6) δC:60.8(C-6'),69.8(C-4'),73.4(C-2'),76.7(C-5'),77.1(C-3'),100.5(C-1'),108.2,109.0,115.4,116.6,123.8,128.9,129.0,135.7,155.7,155.7(Ar-C) [α]20 d−75°(c 0.01,MeOH)
【0035】
式(VI):
【化6】
【0036】
[比較例1]
6-アセトキシ-2-ナフタレニル-2',3',4',6',-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノサイドの合成。
2,6-ジヒドロキシナフタレンを無水酢酸/ピリジンで処理して得られた(収率38%)2-O-アセチル-6-ヒドロキシナフタレンを1.0g、2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシルブロマイド6.6g、トリフルオロメタンスルホン酸銀3.3g、テトラメチル尿素2.0ml、およびモレキュラーシーブス4A(パウダー)1.0gを、ジクロロメタン20mlに懸濁し、遮光、無水、アルゴン気流下室温で48時間撹拌した。氷水を20ml加え、セライトでろ過した後、セライトをクロロホルムで洗浄した。クロロホルム層を水洗、乾燥した後、溶媒を留去し得られた油状物質をシリカゲルクロマトグラフィーで分離精製し、6-アセトキシ-2-ナフタレニル-2',3',4',6',-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノサイド(VII)を130mg得た(収率4.8%)。
【0037】
(VII) mp164℃ 1H-NMR (500MHz、CDCl3) δH: 7.74(2H,d,J=8.90Hz,H-4,H-8),7.52(1H,d,J=2.14Hz,H-5),7.35(1H,d,J=2.14Hz,H-1),7.23(1H,dd,J=2.14,8.90Hz,H-7),7.21(1H,dd,J=2.14,8.90Hz,H-3),5.26-5.20(4H,m,H-1',2',3',4'),4.32(1H,dd,J=5.50,12.21Hz,H-6'),4.20(1H,dd,J=2.44,12.21Hz,H-6'),3.94(1H,ddd,J=2.44,5.80,9.92Hz,H-5'),2.35(3H,s,OAc),2.10-2.00(12H,s,OAc-2',3',4',6')
【0038】
式(VII):
【化7】
【0039】
[比較例2]
6-ヒドロキシ-2-ナフタレニル-β-D-グルコピラノサイドの合成。
6-アセトキシ-2-ナフタレニル-2',3',4',6',-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノサイド(VII)100mgを5%水酸化カリウム溶液(メタノール/精製水=75:25)20ml、エタノール10mlに溶解して室温下12時間撹拌した。酢酸で中和し溶媒を留去した後、残渣をイオン交換樹脂(Diaion HP-20 カラムクロマトグラフィー)に付し、蒸留水、次いで精製水/メタノール(75:25)溶液で溶出させた。溶出液から溶媒を留去し、6-ヒドロキシ-2-ナフタレニル-β-D-グルコピラノサイド(II)を57mg得た(収率94%)。全行程収率1.7%
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、ジヒドロキシナフタレンモノ配糖体類合成収率は、化合物(II)の場合で全行程収率として1.7%から42%へと格段に高くなっており、効果的な合成法を提供することができた。
Claims (4)
- ルイス酸存在下に2,6−ジヒドロキシナフタレンと、ペンタアセチルグルコースとを反応させ、次いで加溶媒分解することを特徴とする6−ヒドロキシ−2−ナフタレニル−β−D−グルコピラノサイドの合成方法。
- ルイス酸が三弗化硼素エーテル錯体であることを特徴とする請求項1に記載の合成方法。
- 加溶媒分解がアルコール存在下の加水分解であることを特徴とする請求項1または2に記載の合成方法。
- 6−ヒドロキシ−2−ナフタレニル−β−D−グルコピラノサイドの合成中間体である6−ヒドロキシ−2−ナフタレニル−2',3',4',6'−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノサイド。
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