JP2007275745A - 静電噴霧装置 - Google Patents

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衛 奥本
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Abstract

【課題】噴霧用液体の物性と静電噴霧装置の仕様の両方を適切に設定することで、静電噴霧装置での適切な噴霧状態を実現する。
【解決手段】静電噴霧装置(10)には、噴霧カートリッジ(15)と電源(16)と制御器(17)とが設けられる。噴霧カートリッジ(15)では、溶液タンク(20)の下部にノズルユニット(30)が取り付けられる。電源(16)が噴霧ノズル(31)に電圧を印加すると、噴霧ノズル(31)の先端から噴霧用液体が噴霧される。静電噴霧装置(10)では、噴霧ノズル(31)の内径が所定の数値範囲内に設定される。また、溶液タンク(20)に貯留される噴霧用液体は、その表面張力が所定の数値範囲内に設定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気流体力学により液体を霧化して噴霧する静電噴霧装置に関するものである。
従来より、電気流体力学(EHD:Electro Hydrodynamic)により液体を霧化して噴霧する静電噴霧装置が知られている。この静電噴霧装置は、例えば細径管の開口端の近傍に電界を形成し、その電界の不平等性を用いて細径管内の液体を霧化して噴霧するものである。例えば、特許文献1や特許文献2には、静電噴霧装置で構成された吸入器が開示されている。この吸入器は、例えば喘息や気管支炎等の治療薬を霧化し、微細な液滴状になった薬剤を鼻から吸入させるために用いられる。
静電噴霧装置において液体が噴霧される原理を簡単に説明する。静電噴霧装置に設けられた細径管の開口端には、噴霧用液体と空気の境界面(即ち、気液界面)が形成されている。細径管内の噴霧用液体にはそれを細径管内に保持しようとする力が作用しており、その力の大きさは気液界面に作用する表面張力の大きさに影響される。一方、細径管の開口端の近傍に電界を形成すると、細径管の開口端の噴霧用液体には、それを細径管の開口端から引っ張り出す方向の力が作用する。そして、噴霧用液体を細径管の開口端から引っ張り出す力がそれを細径管内に保持する力を上回ると、噴霧溶液の一部が引きちぎられ、液滴となって放出されてゆく。
このことからも分かるように、静電噴霧装置における噴霧状態(例えば、噴霧のし易さや噴霧された液滴の状態)は、噴霧用液体の表面張力に大きな影響を受ける。そこで、特許文献2には、噴霧用液体に界面活性剤を添加し、その表面張力を調節することが開示されている。また、特許文献3には、噴霧用液体の表面張力について、望ましい数値範囲が開示されている。
特表2002−532163号公報 特表2003−528701号公報 特表2002−543165号公報
しかしながら、上記の静電噴霧装置において、噴霧用液体を細径管内に保持する力の大きさは、気液界面に作用する表面張力だけでなく、細径管の内径にも影響を受ける。
この点について説明する。噴霧用液体を細径管内に保持する力の大きさは、気液界面の液体側と気体側の圧力差に影響される。そして、気液界面の液体側と気体側の圧力差は、気液界面に作用する表面張力に比例し、気液界面の曲率半径に反比例することが知られている。一方、細径管の開口端に形成された気液界面の曲率半径は、細径管の内径に影響される。このため、仮に気液界面に作用する表面張力の大きさが同じでも、細径管の内径が異なれば噴霧用液体を細径管内に保持する力の大きさも異なることになり、静電噴霧装置における噴霧状態も相違することになる。従って、噴霧用液体の表面張力を特定の範囲内に設定しても、それだけでは静電噴霧装置での噴霧状態を適切に設定することができないおそれがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、噴霧用液体の物性と静電噴霧装置の仕様の両方を適切に設定することで、静電噴霧装置での適切な噴霧状態を実現することにある。
第1及び第2の発明は、 上記噴霧用液体が貯留された容器部材(20)と、上記容器部材(20)の内部空間に連通する管状のノズル部材(31)と、上記ノズル部材(31)内の上記噴霧用液体に接する第1電極(31,37)と、上記ノズル部材(31)内の上記噴霧用液体から絶縁された第2電極(60)とを備え、上記第1電極(31,37)と上記第2電極(60)の間に電位差が与えられると上記ノズル部材(31)の先端から上記噴霧用液体を噴霧するように構成された静電噴霧装置を対象としている。
そして、第1の発明は、記ノズル部材(31)の内径を0.2mm以上0.5mm以下とし、上記噴霧用液体の表面張力を21.6mN/m以上58.5mN/m以下とするものである。
また、第2の発明は、上記ノズル部材(31)の内径を0.2mm以上0.6mm以下とし、上記噴霧用液体の表面張力を29.7mN/m以上35.9mN/m以下とするものである。
第1及び第2の発明では、容器部材(20)内の噴霧用液体がノズル部材(31)へ流入する。第1電極(31,37)と第2電極(60)の間に電位差を与えると、ノズル部材(31)の先端付近に電界が形成される。ノズル部材(31)の先端に存在する噴霧用液体は、この電界による力を受けてノズル部材(31)から引き出され、微細な液滴となってノズル部材(31)の先端から放出される。これらの発明では、ノズル部材(31)の内径と噴霧用液体の表面張力のそれぞれが適切な数値範囲に設定される。
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記噴霧用液体の導電率を2μS/cm以上320μS/cm以下とするものである。
第3の発明では、噴霧用液体の表面張力だけでなく、その導電率も適切な数値範囲に設定される。静電噴霧装置(10)では、ノズル部材(31)の先端付近に電界を形成することによって、ノズル部材(31)内の噴霧用液体に力を作用させている。このため、噴霧用液体の導電率も、ノズル部材(31)からの噴霧の状態に影響を与える。
第4の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記噴霧用液体の粘度を1.5mPa・s以上6.5mPa・s以下とするものである。
第4の発明では、噴霧用液体の表面張力だけでなく、その粘度も適切な数値範囲に設定される。静電噴霧装置(10)では、ノズル部材(31)の先端から噴霧用液体が引き出されてゆく。このため、噴霧用液体の粘度も、ノズル部材(31)からの噴霧の状態に影響を与える。
第5の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記ノズル部材(31)は、その先端が上記容器部材(20)内における液面(51)よりも低い位置となるように配置されるものである。
第5の発明では、ノズル部材(31)の先端が容器部材(20)の内部空間における液面(51)よりも低い位置に設けられており、ノズル部材(31)の先端と容器部材(20)内の液面(51)との間にヘッド差がある。液体が霧化されるノズル部材(31)の先端へは、このヘッド差によって容器部材(20)内の液体が供給される。
第6の発明は、上記第5の発明において、上記第1電極(31,37)と上記第2電極(60)が同電位となった状態では、上記ノズル部材(31)の先端の気液界面(52)において液圧と表面張力が均衡することによって該ノズル部材(31)の先端からの上記噴霧用液体の流出が阻止されるように構成されるものである。
第6の発明では、第1電極(31,37)と第2電極(60)の間に電位差が無い状態になると、ノズル部材(31)の先端に形成された気液界面(52)では、その気液界面(52)に作用する液圧と表面張力が均衡する。つまり、第1電極(31,37)と第2電極(60)が同電位であるときにノズル部材(31)の先端の気液界面(52)で液圧と表面張力が均衡するように、霧化される液体の粘度等の物性に応じて、例えば容器部材(20)における液面(51)高さの最大値やノズル部材(31)の内径などが設定される。そして、ノズル部材(31)の先端の気液界面(52)で液圧と表面張力が均衡している状態では、ノズル部材(31)の先端の気液界面(52)に液圧が作用していても、ノズル部材(31)の先端から液体が流出しない。
本発明では、静電噴霧装置(10)での噴霧状態に大きな影響を与えるパラメータであるノズル部材(31)の内径と噴霧用液体の表面張力とを、共に適切な数値範囲内に設定している。従って、ノズル部材(31)の先端から噴霧用液体を安定して噴霧することが可能となる。
また、上記第3の発明では噴霧用液体の導電率を、第4の発明では噴霧用液体の粘度を、それぞれ適切な範囲内の値に設定している。従って、これらの発明によれば、ノズル部材(31)からの噴霧用液体の噴霧状態を、一層安定化させることが出来る。
また、上記第5の発明では、ノズル部材(31)の先端を容器部材(20)内における液面(51)よりも低く配置し、ノズル部材(31)の先端と容器部材(20)内の液面(51)との間のヘッド差によってノズル部材(31)の先端へ容器部材(20)内の液体を供給している。そのため、この発明によれば、ポンプやモータを用いた押し出し機構などを用いずに、容器部材(20)内からノズル部材(31)の先端へ液体を供給することができる。従って、この発明によれば、容器部材(20)内からノズル部材(31)の先端へ液体を送り込むためのポンプ等を省略することができ、静電噴霧装置(10)の構成の簡素化や製造コストの低減を図ることができる。
また、上記第6の発明では、第1電極(31,37)と第2電極(60)が同電位になるとノズル部材(31)の先端に形成された気液界面(52)で液圧と表面張力が均衡し、それによってノズル部材(31)からの液体の流出が阻止される。そのため、この発明の静電噴霧装置(10)では、第1電極(31,37)と第2電極(60)への電位差の付与を停止するだけでノズル部材(31)からの液体の流出を停止させることができる。従って、この発明によれば、静電噴霧装置(10)の停止中におけるノズル部材(31)からの液体の漏洩を防ぐための構成を設ける必要が無くなり、静電噴霧装置(10)の構成を一層簡素化することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の静電噴霧装置(10)は、噴霧カートリッジ(15)と電源(16)と制御器(17)とを備えている。
図2及び図3に示すように、噴霧カートリッジ(15)は、溶液タンク(20)と、ノズルユニット(30)と、電極ホルダー(40)と、棒状電極(60)とを備えている。
上記溶液タンク(20)は、容器部材を構成するものであって、タンク本体(21)を備えている。タンク本体(21)は、やや扁平な直方体形状に形成された中空の容器である。タンク本体(21)の天板には、空気抜き孔(25)が形成されている。タンク本体(21)の底面(22)は、タンク本体(21)の背面(図1における右側面、図2における奥側の側面)からタンク本体(21)の前面(図1における左側面、図2における手前側の側面)へ向かって傾斜した傾斜面となっている。そして、タンク本体(21)では、その背面側よりも前面側の方が深くなっている。また、タンク本体(21)の側面は、概ね鉛直面となっている。
上記タンク本体(21)の前面には、管部(23)が設けられている。この管部(23)は、比較的短い円管状に形成されており、タンク本体(21)の前面から概ね水平方向へ突出している。タンク本体(21)の前面において、管部(23)は、該前面の下端寄りで、且つ該前面の幅方向の概ね中央に配置されている。また、タンク本体(21)の前面を形成する壁には貫通孔(24)が形成されており、この貫通孔(24)を介してタンク本体(21)の内部空間と管部(23)とが連通する。貫通孔(24)の下端は、タンク本体(21)の底面(22)よりも僅かに上方に位置している(図1を参照)。
図3及び図4に示すように、上記ノズルユニット(30)は、噴霧ノズル(31)とノズルホルダー(32)とを備えている。
上記噴霧ノズル(31)は、ステンレス製の円管であって、ノズル部材を構成している。一方、上記ノズルホルダー(32)は、円筒型で有底のキャップ状に形成されている。ノズルホルダー(32)は、その内径が管部(23)の外径と概ね等しくなっており、該管部(23)へ被せられている。つまり、ノズルホルダー(32)には、溶液タンク(20)の管部(23)が挿入されている。ノズルホルダー(32)では、その底部(図3における手前側の端部)の中央に噴霧ノズル(31)の基端部が挿入されている。噴霧ノズル(31)の基端部は、ノズルホルダー(32)の底部を貫通している。溶液タンク(20)にノズルユニット(30)を取り付けると、噴霧ノズル(31)がタンク本体(21)の前面から概ね水平方向へ突出した状態となり、更には、噴霧ノズル(31)が管部(23)及び貫通孔(24)を介してタンク本体(21)の内部空間に連通した状態となる。
上記ノズルホルダー(32)には、端子部(33)が設けられている。この端子部(33)は、ノズルホルダー(32)の外周面から突出しており、ノズルホルダー(32)の開口端側(図2における奥側)に配置されている。ノズルホルダー(32)は、端子部(33)を含む全体が導電性樹脂によって構成されている。そして、ノズルホルダー(32)の底部に挿入された噴霧ノズル(31)は、ノズルホルダー(32)と電気的に接続されており、第1電極を構成している。
上記電極ホルダー(40)は、内筒部(41)と外筒部(42)とを備えている。内筒部(41)と外筒部(42)とは、共に円筒状に形成されている。外筒部(42)の内径は、内筒部(41)の外径よりも大きくなっている。内筒部(41)と外筒部(42)とは、互いに同軸に配置されており、それぞれの基端側で互いに連結されて一体化されている。内筒部(41)の内径は、ノズルホルダー(32)の外径と概ね等しくなっている。電極ホルダー(40)は、内筒部(41)及び外筒部(42)の基端側が溶液タンク(20)のタンク本体(21)側を向く姿勢で、その内筒部(41)がノズルホルダー(32)と嵌合することによって、該ノズルホルダー(32)に取り付けられている。この電極ホルダー(40)は、その全体が非導電性の樹脂で構成されている。
上記棒状電極(60)は、断面が円形の棒状に形成された部材であって、第2電極を構成している。棒状電極(60)の材質は、金属等の導電性材料である。この棒状電極(60)は、電極ホルダー(40)の外筒部(42)の先端面(図1,図3における左端面)に突設されている。外筒部(42)から突出した棒状電極(60)の先端部分は、突端部(65)を構成している。棒状電極(60)の突端部(65)は、噴霧ノズル(31)の先端よりも溶液タンク(20)側へ後退した位置に設けられている。また、棒状電極(60)の突端部(65)は、噴霧ノズル(31)の側方に位置している。この棒状電極(60)は、電源(16)の負極端子と電気的に接続されている。上述したように、電極ホルダー(40)は、その材質が非導電性の樹脂となっている。従って、棒状電極(60)は、噴霧ノズル(31)から電気的に絶縁されている。
なお、上述した噴霧ノズル(31)及び棒状電極(60)の材質は、単なる一例である。つまり、噴霧ノズル(31)の材質は、ステンレス以外の導電性材料(例えば導電性樹脂など)であってもよい。また、棒状電極(60)の材質は、導電性樹脂以外の導電性材料(例えば金属など)であってもよい。
上記溶液タンク(20)のタンク本体(21)内には、噴霧用液体が貯留されている。タンク本体(21)内における液面(51)の位置は、タンク本体(21)の下部から水平方向へ延びる噴霧ノズル(31)の先端よりも高くなっている。タンク本体(21)内の液面(51)と噴霧ノズル(31)の先端との間にはヘッド差があり、このヘッド差によってタンク本体(21)内の水溶液が噴霧ノズル(31)の先端へ供給される。
溶液タンク(20)噴霧用液体は、人体に有益な物質の水溶液、例えばアミノ酸の一種であるGABA(γ−アミノ酪酸)の水溶液である。GABAは、神経伝達物質の一種であり、精神安定作用があると言われている。この噴霧用液体には、調整剤としてエタノールと乳化剤の一種であるショ糖脂肪酸エステルとが添加されている。これらの調整剤を添加することによって、噴霧用液体の表面張力と粘度と導電率のそれぞれが所定の範囲内の値に設定される。例えば、噴霧用液体におけるGABAの濃度が5質量%の場合には、エタノールを20質量%添加し、ショ糖脂肪酸エステルを0.1質量%添加すればよい。
第1電極を構成する噴霧ノズル(31)の詳細な形状や、該噴霧ノズル(31)と第2電極を構成する棒状電極(60)との詳細な位置関係について、図3及び図4を参照しながら説明する。噴霧ノズル(31)は、その外径が0.7mmであり、その内径(D)が0.4mmである。噴霧ノズル(31)の肉厚(t)は、0.15mmとなっている。噴霧ノズル(31)は、その全長に亘って肉厚が一定となっている。噴霧ノズル(31)の先端の外周縁から棒状電極(60)の突端部(65)の外周縁までの直線距離、即ち噴霧ノズル(31)の先端と棒状電極(60)の先端との距離L1(図3を参照)は、10.0mmとなっている。また、水平方向における噴霧ノズル(31)の先端から棒状電極(60)の突端部(65)までの距離、即ち噴霧ノズル(31)の先端からの棒状電極(60)の後退距離L2(図3を参照)は、2.0mmとなっている。
上記電源(16)は、直流高電圧電源である。この電源(16)は、その正極端子がノズルホルダー(32)の端子部(33)を介して噴霧ノズル(31)に電気的に接続され、その負極端子が棒状電極(60)に電気的に接続されている。また、電源(16)の負極端子は、接地(アース)されている。この電源(16)をオンすると、噴霧ノズル(31)に6kV程度の電圧が印加される。なお、図1は、ノズルホルダー(32)の端子部(33)の図示を省略したものであり、便宜的に電源(16)を噴霧ノズル(31)に接続した図となっている。
上記制御器(17)は、電源(16)のスイッチングを行うものであって、制御手段を構成している。具体的に、この制御器(17)は、電源(16)のオン/オフを交互に繰り返すように構成されている。また、制御器(17)は、電源(16)をオンしている時間(オン時間)と電源(16)をオフしている時間(オフ時間)の比率、すなわちデューティー比を、溶液タンク(20)内の液面(51)の高さに応じて調節するように構成されている。
−運転動作−
上記静電噴霧装置(10)の運転動作について説明する。この静電噴霧装置(10)では、いわゆるコーンジェットモードのEHD噴霧が行われる。
上述したように、噴霧カートリッジ(15)では、溶液タンク(20)内の液面(51)が噴霧ノズル(31)の先端よりも上に位置しており、溶液タンク(20)内の液面(51)と噴霧ノズル(31)の先端との間にヘッド差がある状態となっている。このため、噴霧ノズル(31)の先端に形成される気液界面(52)には、ヘッド差に起因する液圧が作用している。
電源(16)がオフになった状態(即ち噴霧ノズル(31)と棒状電極(60)とが同電位である状態)において、噴霧ノズル(31)の先端に形成された気液界面(52)では、図5(B)に示すように、表面張力とヘッド差に起因する液圧とが均衡した状態となっている。このため、電源(16)をオフした状態でも、噴霧ノズル(31)の先端から噴霧用液体が流出することはない。
電源(16)がオンになった状態(即ち噴霧ノズル(31)と棒状電極(60)との間に電位差が付与された状態)では、噴霧ノズル(31)の先端近傍に電界が形成される。また、噴霧ノズル(31)内の噴霧用液体が分極し、噴霧ノズル(31)の先端の気液界面(52)近傍に+(プラス)の電荷が集まる。そして、噴霧ノズル(31)の先端に存在する噴霧用液体には、それを噴霧ノズル(31)から引っ張り出す方向のクーロン力が作用する。その結果、噴霧ノズル(31)の先端では、図5(A)に示すように、気液界面(52)が引き延ばされて円錐状となり、この円錐状となった気液界面(52)の頂部から一部の噴霧用液体が引きちぎられるようにして液滴化する。
噴霧ノズル(31)の先端からは、GABA水溶液の微細な液滴が放出され、この液滴が室内の空気中へ供給される。在室者は、呼吸する際に空気中の液滴を空気と共に吸い込む。在室者に吸い込まれた液滴は、肺胞の粘膜に付着する。液滴に含まれるGABAは、肺胞の粘膜を通って在室者の体内に取り込まれる。
ここで、吸気中に含まれる液滴を在室者の肺胞へ到達させるには、液滴の直径を所定の範囲内にすることが必要である。つまり、液滴の直径が大きすぎると、在室者に吸い込まれた液滴は、気道の粘膜に捕捉されてしまって肺胞まで到達しない。逆に、液滴の直径が小さすぎると、在室者に吸い込まれた液滴は、肺胞の粘膜に捕捉されずに呼気と共に排出されてしまう。これらの事情を考慮すると、上記静電噴霧装置(10)から噴霧される液滴の直径は、10nm以上5μm以下であるのが望ましく、更には50nm以上2μm以下であるのが一層望ましい。
上述したように、噴霧カートリッジ(15)では、噴霧ノズル(31)の先端から液滴化された噴霧用液体が放出されてゆく。このため、噴霧ノズル(31)内へ噴霧用液体が補給されなければ、噴霧ノズル(31)内の噴霧用液体の量が減少してしまって噴霧を継続できなくなる。一方、この噴霧カートリッジ(15)では、噴霧ノズル(31)の先端が溶液タンク(20)内の液面(51)よりも低い位置に設けられており、溶液タンク(20)内の液面(51)と噴霧ノズル(31)の先端との間にヘッド差がある。そのため、このヘッド差によって噴霧ノズル(31)内へ溶液タンク(20)内の噴霧用液体が噴霧ノズル(31)へ補給され、噴霧ノズル(31)からの噴霧が継続的に行われる。つまり、本実施形態の静電噴霧装置(10)において、溶液タンク(20)内の噴霧用液体を噴霧ノズル(31)へ供給するためのポンプ等の部材は不要である。
−噴霧ノズルの内径と噴霧用液体の表面張力−
上記噴霧カートリッジ(15)において、噴霧ノズル(31)の内径と、噴霧用液体の表面張力とは、それぞれ所定の数値範囲内の値に設定される。具体的に、この噴霧カートリッジ(15)では、噴霧ノズル(31)の内径が0.2mm以上0.5mm以下の値に設定されると共に、噴霧用液体の表面張力が21.6mN/m以上58.5mN/m以下の値に設定される。
噴霧ノズル(31)の内径と噴霧用液体の表面張力とを上記数値範囲内に設定するのが望ましい理由について、図6及び図7を参照しながら説明する。
図6及び図7は、本実施形態の静電噴霧装置(10)について行った噴霧試験の結果を示している。この噴霧試験は、内径が異なる6種類の噴霧ノズル(31)のそれぞれについて、表面張力の異なる11種類の噴霧用液体を用いた場合の噴霧状態を評価する試験である。
具体的に、この噴霧試験で用いた噴霧ノズル(31)の内径は、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、及び0.7mmである。なお、この噴霧試験で用いた噴霧カートリッジ(15)では、噴霧ノズル(31)の先端と棒状電極(60)の距離(図3における長さL1)を10.0mmとし、水平方向における噴霧ノズル(31)の先端と棒状電極(60)の距離(図3における長さL2)を2.0mmとしている。また、この噴霧試験において、噴霧ノズル(31)に印加する電圧は、2.8kV〜6.2kVとしている。
一方、この噴霧試験で用いた噴霧用液体の表面張力は、21.6mN/m、22.0mN/m、24.9mN/m、29.7mN/m、32.2mN/m、35.1mN/m、35.9mN/m、38.5mN/m、39.1mN/m、58.5mN/m、及び72.8mN/mである。
なお、この噴霧試験で用いた11種類の噴霧用液体は、それぞれの導電率が42.0μS/cm以上53.6μS/cm以下の値であり、それぞれの粘度が2.4mPa・s以上3.2mPa・s以下の値である。つまり、これら11種類の噴霧用液体は、それぞれの導電率と粘度が概ね同じ値となっている。
図6及び図7は、噴霧ノズル(31)から直径が1μm以下の液滴を噴霧できたかどうかを示している。これら図6及び図7において、「◎」は「上記範囲の直径の液滴を安定して発生させることができたこと」を、「○」は「上記範囲の直径の液滴を発生させることは可能だが外乱によって液滴の直径が不安定化しやすかったこと」を、「△」は「液滴を発生させることは可能だが発生した液滴のうち直径が上記範囲内となるものは少なかったこと」を、「×」は「液滴を発生させること自体が不可能であったこと」をそれぞれ意味している。
図6及び図7から分かるように、噴霧ノズル(31)の内径が0.2mm以上0.5mm以下の場合において、噴霧用液体の表面張力を21.6mN/m以上58.5mN/m以下に設定すれば、噴霧ノズル(31)から噴霧用液体の液滴を発生させることができる。また、噴霧ノズル(31)の内径を0.2mm以上0.5mm以下とした場合には、噴霧用液体の表面張力を22.0mN/m以上38.5mN/m以下に設定するのが更に望ましく、噴霧用液体の表面張力を24.9mN/m以上35.9mN/m以下に設定するのが一層望ましい。噴霧ノズル(31)の内径が0.2mm以上0.5mm以下であり、噴霧用液体の表面張力が24.9mN/m以上35.9mN/m以下である場合には、直径が1μm以下の液滴を常に安定して発生させることができる。
なお、本実施形態では、噴霧ノズル(31)の内径を0.2mm以上0.6mm以下に設定すると共に、噴霧用液体の表面張力を29.7mN/m以上35.9mN/m以下に設定してもよい。図6及び図7から分かるように、この場合も、直径が1μm以下の液滴を常に安定して発生させることができる。
また、本実施形態では、噴霧ノズル(31)の内径を0.2mm以上0.4mm以下に設定すると共に、噴霧用液体の表面張力を22.0mN/m以上38.5mN/m以下に設定してもよい。図6及び図7から分かるように、この場合も、直径が1μm以下の液滴を常に安定して発生させることができる。
−噴霧用液体の導電率と粘度−
上述したように、上記静電噴霧装置(10)では、噴霧ノズル(31)の先端付近に電界を形成することによって噴霧ノズル(31)内の噴霧用液体にクーロン力を作用させ、噴霧ノズル(31)の先端の気液界面(52)を円錐状に変形させて微細な液滴を発生させている。
ここで、噴霧用液体の導電率は、液体中における誘導電荷の移動しやすさに影響を与える。導電率の値が高すぎると、液体中を電流が流れるだけとなり、噴霧用液体に充分なクーロン力が作用しなくなる。このため、噴霧用液体の導電率はなるべく低い方が望ましいということになるが、調整剤の添加による導電率の低減効果には限界がある。従って、噴霧用液体の導電率は、2μS/cm以上320μS/cm以下に設定するのが望ましく、更には30μS/cm以上55μS/cm以下に設定するのが望ましい。
また、噴霧用液体の粘度は、噴霧用液体の変形に対する抵抗度を表している。このため、噴霧用液体の粘度が高すぎると、噴霧ノズル(31)にかなりの高電圧を印加しなければ噴霧ノズル(31)の先端から気液界面(52)を充分に引っ張り出すことができず、液滴を発生させるために噴霧ノズル(31)に印加すべき電圧値が高くなり過ぎてしまう。一方、噴霧用液体の粘度が低すぎると、噴霧ノズル(31)の先端における気液界面(52)の変形量は大きくなるものの、気液界面(52)を鋭く尖った形状にすることができなくなり、発生する液滴の直径を充分に小さくできなくなる。従って、噴霧用液体の粘度は、1.5mPa・s以上6.5mPa・s以下に設定するのが望ましく、更には1.5mPa・s以上4.0mPa・s以下に設定するのが望ましい。
−噴霧ノズルと棒状電極の位置関係−
上記噴霧カートリッジ(15)において、水平方向における噴霧ノズル(31)の先端と棒状電極(60)の距離(図3における長さL2)、及び噴霧ノズル(31)の先端と棒状電極(60)の距離(図3における長さL1)は、それぞれ下記のような範囲に設定するのが望ましい。
先ず、水平方向における噴霧ノズル(31)の先端と棒状電極(60)の突端部(65)との距離、即ち噴霧ノズル(31)の先端に対する棒状電極(60)の後退距離L2について説明する。棒状電極(60)が噴霧ノズル(31)の先端よりも前方、あるいは該先端と同じ位置に設けられた状態では、噴霧ノズル(31)の先端から噴霧された液滴が棒状電極(60)へ引き寄せられてしまい、霧化した噴霧用液体を室内へ供給できなくなってしまう。また、棒状電極(60)が噴霧ノズル(31)の先端より後退した位置に設けられていても、噴霧ノズル(31)の先端に対する棒状電極(60)の後退距離L2が短すぎると、噴霧に適した電界を噴霧ノズル(31)の先端近傍に形成するのが困難となる。逆に、噴霧ノズル(31)の先端に対する棒状電極(60)の後退距離L2が長すぎると、噴霧ノズル(31)と棒状電極(60)の電位差を大きくしなければ噴霧用液体を安定して霧化させることができなくなる。このような事情を考慮すると、水平方向における噴霧ノズル(31)の先端に対する棒状電極(60)の後退距離L2は、3.0mm以上10.0mm以下であるのが望ましい。
次に、噴霧ノズル(31)の先端と棒状電極(60)の突端部(65)との距離L1について説明する。噴霧ノズル(31)の先端と棒状電極(60)の距離L1が短すぎると、噴霧ノズル(31)と棒状電極(60)の間でコロナ放電が起こり始める電位差が小さくなる。そして、オゾンの発生を抑えるためにコロナ放電を避けようとすると、噴霧ノズル(31)と棒状電極(60)の間に充分な電位差を与えることができなくなり、噴霧ノズル(31)の先端で噴霧用液体を安定して霧化させるのが困難となる。逆に、噴霧ノズル(31)の先端と棒状電極(60)の距離L1が長すぎると、噴霧ノズル(31)と棒状電極(60)の電位差を大きくしなければ噴霧用液体を安定して霧化させることができなくなる。このような事情を考慮すると、噴霧ノズル(31)の先端と棒状電極(60)の距離L1は、5.0mm以上20.0mm以下であるのが望ましい。
−噴霧ノズルと棒状電極の電位差−
噴霧ノズル(31)と棒状電極(60)の間に与える電位差は、次のような範囲内の値であるのが望ましい。
噴霧ノズル(31)と棒状電極(60)の間の電位差が小さすぎると、噴霧ノズル(31)の先端で噴霧用液体を安定して霧化させることができない。このため、噴霧ノズル(31)と棒状電極(60)の間に与える電位差は、3kV以上であるのが望ましい。一方、噴霧ノズル(31)と棒状電極(60)の間の電位差が大きくなると、コロナ放電が生じるおそれがある。大気中でコロナ放電が生じると、それに伴って人体に有害なオゾンが発生してしまう。このため、噴霧ノズル(31)と棒状電極(60)の間に与える電位差は、コロナ放電が生じ始める値未満であるのが望ましい。
なお、コロナ放電が生じ始める電位差の値は、噴霧ノズル(31)と棒状電極(60)の距離によって異なる。本実施形態の静電噴霧装置(10)では、噴霧ノズル(31)と棒状電極(60)の間の電位差が7kV以上になると、コロナ放電が生じるおそれがある。従って、この静電噴霧装置(10)では、噴霧ノズル(31)と棒状電極(60)の間に与える電位差を3kV以上7kV未満とするのが望ましい。
−実施形態の効果−
本実施形態では、静電噴霧装置(10)での噴霧状態に大きな影響を与えるパラメータである噴霧ノズル(31)の内径と噴霧用液体の表面張力とを、それぞれ適切な数値範囲内に設定している。従って、噴霧ノズル(31)の先端から噴霧用液体を安定して噴霧することが可能となる。
また、本実施形態では、噴霧用液体の導電率と粘度を、それぞれ適切な範囲内の値に設定している。従って、本実施形態によれば、噴霧ノズル(31)からの噴霧用液体の噴霧状態を、一層安定化させることが出来る。
また、本実施形態では、噴霧ノズル(31)の先端を溶液タンク(20)内の液面(51)よりも低く配置し、噴霧ノズル(31)の先端と溶液タンク(20)内の液面(51)との間のヘッド差によって噴霧ノズル(31)の先端へ溶液タンク(20)内の液体を供給している。このため、ポンプやモータを用いた押し出し機構などを用いずに、溶液タンク(20)内から噴霧ノズル(31)の先端へ液体を供給することができる。従って、本実施形態によれば、溶液タンク(20)内から噴霧ノズル(31)の先端へ液体を送り込むためのポンプ等を省略することができ、静電噴霧装置(10)の構成の簡素化や製造コストの低減を図ることができる。
また、本実施形態では、噴霧ノズル(31)と棒状電極(60)が同電位になると噴霧ノズル(31)の先端に形成された気液界面(52)で液圧と表面張力が均衡し、それによって噴霧ノズル(31)からの液体の流出が阻止される。このため、本実施形態の静電噴霧装置(10)では、電源(16)をオフして噴霧ノズル(31)と棒状電極(60)と同電位とするだけで、噴霧ノズル(31)からの液体の流出を停止させることができる。従って、本実施形態によれば、静電噴霧装置(10)の停止中に噴霧ノズル(31)から噴霧用液体が漏洩するのを防ぐための構成が不要となり、静電噴霧装置(10)の構成を一層簡素化することができる。
−第1変形例−
上記実施形態の静電噴霧装置(10)は、空気清浄機(90)や空調機に設けられていても良い。ここでは、これら実施形態の静電噴霧装置(10)を空気清浄機(90)に取り付けた場合について、図8を参照しながら説明する。
この場合、静電噴霧装置(10)の電源と制御器は、空気清浄機(90)のケーシング(91)内に収納される。一方、静電噴霧装置(10)の噴霧カートリッジ(15)は、空気清浄機(90)のケーシング(91)に対して着脱自在となっている。空気清浄機(90)のケーシング(91)に噴霧カートリッジ(15)を取り付けた状態では、噴霧ノズル(31)の先端が空気清浄機(90)の吹出口(92)の上方に位置する。そして、噴霧ノズル(31)の先端から噴霧された水溶液の液滴は、空気清浄機(90)から吹き出された空気と共に室内へ供給される。溶液タンク(20)が空(カラ)になった場合には、噴霧カートリッジ(15)が新しいものに交換される。
本変形例では、噴霧カートリッジ(15)の全体ではなく、その一部だけが空気清浄機(90)や空調機に対して着脱自在になっていてもよい。例えば、溶液タンク(20)とノズルユニット(30)を一体化し、この一体化された溶液タンク(20)及びノズルユニット(30)だけを空気清浄機(90)に着脱自在となる構造であってもよい。この構造を採った場合は、交換部品の価格を抑えてユーザーの負担を軽減することができる。また、溶液タンク(20)と共に噴霧ノズル(31)も交換されることになるため、噴霧ノズル(31)を清潔な状態に保つことができる。
−第2変形例−
上記実施形態の噴霧カートリッジ(15)では、電源(16)の正極に接続される電極を、噴霧ノズル(31)とは別に設けるようにしてもよい。例えば、図9に示すように、第1電極を構成する針電極(37)を、噴霧ノズル(31)の内部に噴霧ノズル(31)と同軸に配置してもよい。この場合には、針電極(37)と棒状電極(60)とが導電性の材料で構成され、噴霧ノズル(31)は非導電性の材料で構成される。そして、噴霧ノズル(31)内の水溶液と接触する針電極(37)に電圧を印加すると、噴霧ノズル(31)の先端付近に電界が形成され、噴霧ノズル(31)の先端で水溶液が霧化する。
−第3変形例−
上記実施形態の静電噴霧装置(10)では、噴霧する液体として様々なものを用いることができる。
例えば、噴霧する液体として、アミノ酸の一種であるテアニンの水溶液を用いてもよい。テアニンには、興奮を抑えてリラックスさせる作用があるといわれている。 また、カテキンやプロアントシアニジン等の抗酸化剤の水溶液を用いてもよい。また、微生物の繁殖を抑制したり微生物を死滅させる機能の有る物質を含んだ液体を用いてもよい。また、空気中の臭気分子を中和などによる化学変化で無臭化する物質を含んだ液体を用いてもよい。また、アレルゲンとなるタンパク質の抗原部位を化学的に変化させる物質を含んだ液体を用いてもよい。また、空気中の有害成分を化学変化によって無害化する物質を含んだ液体を用いてもよい。また、各種の香料や害虫の忌避剤等をを含んだ液体を用いてもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、電気流体力学により液体を霧化して噴霧する静電噴霧装置(10)について有用である。
実施形態における静電噴霧装置の概略構成図である。 実施形態における噴霧カートリッジの斜視図である。 実施形態における噴霧カートリッジの要部を示す断面図である。 実施形態における噴霧ノズルと棒状電極の位置関係を示す噴霧カートリッジの要部の概略正面図である。 (A)は噴霧中における噴霧ノズルの先端を図示する断面図であり、(B)は噴霧の停止中における噴霧ノズルの先端を図示する断面図である。 噴霧試験の結果を示す表である。 噴霧試験の結果を示す表面張力と噴霧ノズル内径の関係図である。 実施形態の第1変形例の静電噴霧装置が取り付けられる空気清浄機の概略斜視図である。 実施形態の第2変形例における噴霧カートリッジの要部を示す断面図である。
符号の説明
20 溶液タンク(容器部材)
31 噴霧ノズル(ノズル部材、第1電極)
37 針電極(第1電極)
51 液面
52 気液界面
60 棒状電極(第2電極)

Claims (6)

  1. 上記噴霧用液体が貯留された容器部材(20)と、上記容器部材(20)の内部空間に連通する管状のノズル部材(31)と、上記ノズル部材(31)内の上記噴霧用液体に接する第1電極(31,37)と、上記ノズル部材(31)内の上記噴霧用液体から絶縁された第2電極(60)とを備え、
    上記第1電極(31,37)と上記第2電極(60)の間に電位差が与えられると上記ノズル部材(31)の先端から上記噴霧用液体を噴霧するように構成される一方、
    上記ノズル部材(31)の内径が0.2mm以上0.5mm以下となり、
    上記噴霧用液体の表面張力が21.6mN/m以上58.5mN/m以下となっている
    ことを特徴とする静電噴霧装置。
  2. 上記噴霧用液体が貯留された容器部材(20)と、上記容器部材(20)の内部空間に連通する管状のノズル部材(31)と、上記ノズル部材(31)内の上記噴霧用液体に接する第1電極(31,37)と、上記ノズル部材(31)内の上記噴霧用液体から絶縁された第2電極(60)とを備え、
    上記第1電極(31,37)と上記第2電極(60)の間に電位差が与えられると上記ノズル部材(31)の先端から上記噴霧用液体を噴霧するように構成される一方、
    上記ノズル部材(31)の内径が0.2mm以上0.6mm以下となり、
    上記噴霧用液体の表面張力が29.7mN/m以上35.9mN/m以下となっている
    ことを特徴とする静電噴霧装置。
  3. 請求項1又は2において、
    上記噴霧用液体の導電率が2μS/cm以上320μS/cm以下となっている
    ことを特徴とする静電噴霧装置。
  4. 請求項1又は2において、
    上記噴霧用液体の粘度が1.5mPa・s以上6.5mPa・s以下となっている
    ことを特徴とする静電噴霧装置。
  5. 請求項1又は2において、
    上記ノズル部材(31)は、その先端が上記容器部材(20)内における液面(51)よりも低い位置となるように配置されている
    ことを特徴とする静電噴霧装置。
  6. 請求項5において、
    上記第1電極(31,37)と上記第2電極(60)が同電位となった状態では、上記ノズル部材(31)の先端の気液界面(52)において液圧と表面張力が均衡することによって該ノズル部材(31)の先端からの上記噴霧用液体の流出が阻止されるように構成されている
    ことを特徴とする静電噴霧装置。
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