WO2014038168A1 - 機能性物質、生体活性用薬剤及び機能性物質の生体内への浸透方法、並びに機能性物質放散装置及び空気清浄装置 - Google Patents

機能性物質、生体活性用薬剤及び機能性物質の生体内への浸透方法、並びに機能性物質放散装置及び空気清浄装置 Download PDF

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Abstract

 生体内への浸透性に優れ、生体活性分子を効率良く生体内、例えば脳内に供給することができる機能性物質、この機能性物質を含む生体活性用薬剤及び機能性物質の生体内への浸透方法を提供する。 機能性物質1は、親水性部位3と疎水性部位2とが結合して形成される両親媒性部位23に、生体活性分子4が結合した構造を有する。親水性部位3と疎水性部位2との結合7、及び両親媒性部位23と生体活性分子4との結合8がいずれも加水分解により切断可能に形成されている。

Description

機能性物質、生体活性用薬剤及び機能性物質の生体内への浸透方法、並びに機能性物質放散装置及び空気清浄装置
 本発明は、例えば、アミノ酸等の生体活性分子を有する機能性物質、この機能性物質を含む生体活性用薬剤及び機能性物質の生体内への浸透方法に関するものであり、また、機能性物質を外部に放散させる機能性物質放散装置及び空気清浄装置に関する。
 アミノ酸等の生体活性分子は、美容・健康等に対して様々な特異的作用を示すものであることが従来から知られている。例えば、アミノ酸のような生体活性分子を脳内へ供給させれば、生体に対してリラックス作用をもたらすことができる。そのため、このような生体活性分子を含む生体活性用薬剤は、現代の生活において欠かすことができないものとなっている。
 通常、生体活性分子を生体内に供給するには、生体活性用薬剤を非侵襲的に生体に浸透あるいは供給させる方法、飲食により摂取する方法、ローションやクリーム剤などの形態にして、皮膚等に塗布して生体内に生体活性分子を浸透・供給する方法がある。そして、近年では、生体活性分子をより安全かつ効率的に生体内に供給することを目的として、種々の生体活性用薬剤の提案がなされている。例えば、皮膚刺激性が弱く、経皮吸収性に優れる高級アルコールや高級脂肪酸等の化合物を、アミノ酸等の生体活性分子や美白剤と共に配合して生体活性用薬剤を調製し、これを皮膚外用剤として皮膚の角質層に浸透させることが行われている(例えば、特許文献1等を参照)。
特開2006-16401号公報
 しかしながら、上記のように生体活性分子を混合配合して調製した生体活性用薬剤では、生体内への浸透が充分でない場合がある。皮膚や生体膜を通して体内へ生体活性用薬剤を浸透させるためには、生体活性分子自体の親水性及び疎水性の両方が、バランス良くコントロールされていることが必要であるところ、そのようなコントロールが必ずしも為されていないこともあるからである。具体的に説明すると、皮膚や生体膜を通して体内へ生体活性分子を浸透させるためには、まず、皮膚の最外層にあたる角質層を透過させる必要があるが、角質層中では疎水的な角質細胞間脂質が支配的であるため、この場合、生体活性分子は疎水性であることが好ましい。一方、角質層下部に存在する表皮・真皮・血液等は親水性であるので、角質層透過後に表皮等を通過する際には、生体活性分子は親水性を示すことが好ましいといえる。そのため、特許文献1のように、生体活性分子と、経皮吸収性に優れる化合物とを配合して生体活性用薬剤を調製するだけでは、角質層や表皮・真皮・血液のすべての領域で浸透しやすいものとは言い難いものであった。
 本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、生体内への浸透性に優れ、生体活性分子を効率良く生体内、例えば脳内に供給することができる機能性物質、この機能性物質を含む生体活性用薬剤及び機能性物質の生体内への浸透方法を提供することを目的とするものである。また、機能性物質を放散させることができる機能性物質放散装置及び空気清浄装置を提供することを目的とするものである。
 本発明に係る機能性物質は、親水性部位と疎水性部位とが結合して形成される両親媒性部位に、生体活性分子が結合した構造を有し、前記親水性部位と前記疎水性部位との結合、及び前記両親媒性部位と前記生体活性分子との結合がいずれも加水分解により切断可能に形成されていることを特徴とする。
 上記の機能性物質において、前記親水性部位と前記疎水性部位との結合、及び前記両親媒性部位と前記生体活性分子との結合がいずれもエステル結合であることが好ましい。
 また、上記の機能性物質において、前記親水性部位がポリエチレングリコール、前記疎水性部位がポリ乳酸グリコール酸共重合体で構成されていることも好ましい。
 また、上記の機能性物質において、前記生体活性分子が、アミノ酸、ペプチド及びタンパク質の群から選ばれるいずれか一種であることも好ましい。
 上記の機能性物質は、空気中又は液中において自己会合して会合体粒子を形成する性質を有していることが好ましい。
 また、前記会合体粒子は、前記親水性部位又は前記疎水性部位のいずれか一方が前記会合体粒子の表面に存在し、他方が前記会合体粒子の内部に存在していることが好ましい。
 また、上記の機能性物質は、加水分解により前記生体活性分子が遊離する性質を有していることが好ましい。
 また、上記の機能性物質は、生体の皮膚の表面から浸透して血液中に到達し、血液中で加水分解されて前記生体活性分子が遊離した後、この遊離した生体活性分子が前記血液中を流れて脳内に到達する性質を有していることも好ましい。
 また、上記の機能性物質は、前記会合体粒子の状態で空気中を介して前記皮膚の表面から角質層に浸透し、この角質層を通過した後、表皮及び真皮を通過して血液中に到達するものであり、前記会合体粒子は、前記角質層を通過するときは前記疎水性部位を表面、前記親水性部位を内部に存在させた状態で形成され、前記表皮及び前記真皮を通過するときは前記親水性部位を表面、前記疎水性部位を内部に存在させた状態で形成されていることも好ましい。
 本発明に係る機能性物質の生体内への浸透方法は、上記の機能性物質を含む液体を空気中に噴霧して、前記機能性物質を生体の皮膚の角質層から生体内に浸透させることを特徴とする。
 本発明に係る生体活性用薬剤は、上記の機能性物質を含んでなることを特徴とするものである。
 本発明に係る機能性物質放散装置は、上記の機能性物質を空気中に放出させることを特徴とするものである。
 また、本発明に係る空気清浄装置は、上記の機能性物質及びマイナスイオンを空気中に放出させることを特徴とするものである。
 本発明の機能性物質によれば、親水性部位と疎水性部位とが結合して形成される両親媒性部位に、生体活性分子が結合した構造を有しているため、生体内への浸透性に優れるものである。また、上記機能性物質は、親水性部位と疎水性部位との結合、及び両親媒性部位と生体活性分子との結合がいずれも加水分解により切断可能に形成されているものである。そのため、上記機能性物質は、生体内において加水分解性に優れるものであり、生体活性分子を遊離させて、効率良く生体内の各組織に供給させることが可能である。
 また、本発明の機能性物質の生体内への浸透方法によれば、上記機能性物質を空気中に噴霧して生体の皮膚へ浸透させるものであることで、容易に生体内へ機能性物質を浸透させることができる。
 また、本発明の生体活性用薬剤によれば、上記機能性物質を含むものであるので、生体内への浸透性に優れ、生体活性分子を効率良く生体内に供給させることができる。
 また、本発明の機能性物質放散装置及び空気清浄装置によれば、上記機能性物質を空気中に放出させるので、空気中を介して機能性物質が生体内に浸透するようになり、リラックス空間を与えることができるようになる。
本発明の機能性物質の一例を示す模式図である。 同上の機能性物質が自己会合して形成された会合体粒子の一例を示し、(a)及び(b)はその模式図である。 同上の機能性物質を含む微粒子液の形態の一例を示す模式図である。 (a)~(d)は、同上の機能性物質が会合体粒子の状態で皮膚から血管内に浸透していく様子の一例を示す説明図である。
 以下、本発明を実施するための形態を説明する。
 図1は、機能性物質1の一例を模式的に表している。図1に示すように、機能性物質1は、親水性部位3と疎水性部位2と、生体活性分子4とを有してなるものである。親水性部位3と疎水性部位2とが化学結合して両親媒性部位23が形成され、この両親媒性部位23と生体活性分子4が化学結合して、機能性物質1が構成されている。そして、後述するように、機能性物質1は、ヒト、あるいはヒトを除く動物等の皮膚や生体膜から生体内に浸透することで、生体活性分子4を生体内の各組織に供給できるように構成されている。以下、この機能性物質1の構成について詳述する。
 疎水性部位2は、疎水性ポリマーで構成することができる。疎水性ポリマーとは、水やアルコール等の溶媒に対して親和性が低い(相分離しやすい)ものや、これらの溶媒に対して不溶であるものをいう。このような疎水性ポリマーの具体例としては、ポリ乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、疎水性のポリアミノ酸、疎水性の多糖類、ポリアクリルアミド誘導体等、いわゆる生体適合性を有するポリマーが挙げられる。疎水性ポリマーとしては、上記例示した種類以外にも、例えば、乳酸、グリコール酸、アミノ酸、アクリルアミド誘導体等のモノマー単位が複数組み合わされて重合されたようなポリマーであってもよく、また、疎水性を阻害しない程度であれば、上記モノマー単位にさらに親水性のモノマーが組み合わされて重合されたポリマーあってもよい。また、上記例示した各種の疎水性ポリマーにおいて、炭化水素基やその他の置換基が疎水性ポリマーの一部に結合されていてもよい。
 疎水性部位2を構成する疎水性ポリマーの分子量は、特に制限されるものではないが、100~500000Daであれば、生体内への浸透性がより優れるものとなり、また、生体内に浸透後も分解が促進されやすくなる。尚、本明細書でいう分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された重量平均分子量のことを指す。
 疎水性部位2を構成する疎水性ポリマーとしては、特に下記(1)式([化1])に示すポリ乳酸グリコール酸共重合体(以下、単にPLGAと表記する場合がある)、又はこれを含むポリマーであることが好ましい。疎水性ポリマーがPLGAを含む場合、疎水性部位2が生体親和性や生体適合性に優れるという利点があるためである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
  上記(1)式に示すように、PLGAは、乳酸ユニットで構成されるポリマー(又はオリゴマー)と、グリコール酸ユニットで構成されるポリマー(又はオリゴマー)とで構成されるジブロックポリマーである。(1)式ではPLGAの乳酸ユニット側末端及びグリコール酸ユニット側末端は省略しているが、例えば、それぞれ水素(H)及び水酸基(OH)とすることができる。また、式中のm、nはそれぞれ、0<m≦10000、0<n≦10000の数である。
 親水性部位3は、親水性ポリマーで構成することができる。親水性ポリマーとは、水やアルコール等の溶媒に対して親和性が高いものや、水やアルコール系溶媒に溶解又は膨潤することができるポリマーのことをいう。このような親水性ポリマーの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、親水性のポリペプチド、親水性多糖類、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリアクリルアミド系ポリマー、ポリアミドアミン系ポリマー等、生体適合性を有するポリマーが挙げられる。親水性ポリマーとしては、上記例示した種類以外にも、例えば、親水性モノマー単位(エチレングリコール、ビニルアルコール、エチレンオキサイド、アクリル酸等)が複数組み合わされて重合されたようなポリマーであってもよく、親水性を阻害しない程度であれば、上記親水性モノマー単位にさらに疎水性のモノマーが組み合わされて重合されたポリマーであってもよい。
 親水性部位3を構成する親水性ポリマーの分子量は、特に制限されるものではないが、100~500000Daであれば、生体内への浸透性がより優れるものとなり、また、生体内に浸透後も分解が促進されやすくなる。
 親水性部位3を構成する親水性ポリマーとしては、特にポリエチレングリコール(以下、単にPEGと表記する場合がある)であることが好ましい。親水性ポリマーとしてPEGを採用した場合、生体親和性に優れるという利点があるためである。
 上記の疎水性ポリマー及び親水性ポリマーはいずれも、一種のモノマー単位から構成されるホモポリマーであっても、複数のモノマー単位から構成されるコポリマー(共重合体)であってもよい。コポリマーの場合は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体等のいずれであってもよい。また、疎水性ポリマー及び親水性ポリマーは、架橋構造、非架橋構造、グラフト構造(枝分かれ構造)のいずれであってもよいが、生体内に浸透しやすいという点では、非架橋構造であることが好ましい。
 両親媒性部位23は、疎水性部位2及び親水性部位3が互いに結合して構成されるものである。例えば、両親媒性部位23は、疎水性部位2及び親水性部位3を構成している疎水性ポリマー及び親水性ポリマーの末端同士が化学結合して形成される。すなわち、図1に模式的に示しているように、疎水性ポリマー(疎水性部位2)の片末端と親水性ポリマー(親水性部位3)の片末端とが結合して両親媒性部位23が形成される。両親媒性部位23は、両親媒性ポリマーということができる。尚、図1においては、親水性部位3及び疎水性部位2との結合部位を、親水性部位3と疎水性部位2との結合7として図中に表記しているが、以下ではこの結合部位を「第一結合部位7」と表記する場合がある。
 生体活性分子4としては、生体に対してリラックス作用を及ぼす物質を好適に採用することができ、具体的には、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖類、多糖類等が挙げられる。上記例示した生体活性分子4は、天然(自然界)に存在する公知の物質であっても、人工的に合成された公知の物質であってもよい。より好ましい生体活性分子4は、アミノ酸、ペプチド、タンパク質のいずれかであり、この場合、優れたリラックス作用を与えることができ、また、生体内への浸透性にも優れるものである。そして、生体活性分子4が水溶性であれば、上記効果がさらに高まるものとなる。生体活性分子4がアミノ酸である場合は、そのアミノ酸の種類としては、疎水性アミノ酸、親水性アミノ酸、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸、中性アミノ酸などが例示されるが、これらのいずれのアミノ酸であってもよい。
 生体活性分子4は、両親媒性部位23に結合しているものである。特に、生体活性分子4は、図1の模式図に示しているように、両親媒性部位23(両親媒性ポリマー)の片末端に結合させることができる。もちろん、生体活性分子4の結合箇所は、両親媒性部位23の片末端に限られるものではなく、その他の部分、例えば、両親媒性ポリマーの側鎖に結合していても良い。また、両親媒性部位23に二以上の生体活性分子4が結合していてもよい。しかし、後述するように、機能性物質1が自己会合しやすいという点では、両親媒性部位23の末端に一つの生体活性分子4が結合していることが好ましい。ここで、図1の模式図では、両親媒性部位23における親水性部位3の末端に生体活性分子4が結合しているものであるが、これに限られるものではなく、両親媒性部位23における疎水性部位2の末端に生体活性分子4が結合していてもよい。尚、図1においては、両親媒性部位23及び生体活性分子4との結合部位を、両親媒性部位23と生体活性分子4との結合8として図中に表記しているが、以下ではこの結合部位を「第二結合部位8」と表記する場合がある。
 ここで、第一結合部位7(親水性部位3及び疎水性部位2との結合部位)及び第二結合部位8(両親媒性部位23及び生体活性分子4との結合部位)について説明する。
 本発明では、第一結合部位7及び第二結合部位8は、加水分解によって切断され得る官能基で形成される。そのため、機能性物質1を加水分解させた場合に、機能性物質1が第一結合部位7及び第二結合部位8で切断されて、疎水性部位2、親水性部位3及び生体活性分子4に分解され、それぞれ遊離(脱離ともいう)することになる。
 第一結合部位7及び第二結合部位8の具体例としては、エステル結合(-COO-)、アミド結合(-CONH-)、エーテル結合(-COC-)、シロキサン結合(-SiO-)等が挙げられる。第一結合部位7及び第二結合部位8は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
 より好ましい第一結合部位7及び第二結合部位8は、それぞれエステル結合であり、この場合、加水分解性に優れるものとなりやすく、特に、生体内においても加水分解起こりやすいものとなる。
 機能性物質1の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、両親媒性ポリマー及び生体活性分子4を準備し、これらを化学結合反応させる方法によって製造することができる。その他、濃度勾配等による浸透法、電荷等を用いた吸着法等の手段によって機能性物質1を製造することが可能である。
 下記(2)式([化2])には、機能性物質1を得る方法の一例として、エステル縮合反応による製造方法を示している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
 この方法では、生体活性分子4((2)式中の化合物A)の末端のカルボキシル基と、両親媒性ポリマー((2)式中の化合物B)の末端水酸基とを縮合反応させている。そして、この反応により、エステル基を介して生体活性分子4と両親媒性ポリマーとを結合させることで、機能性物質1が得られる。尚、(2)式中の化合物AのR1は、生体活性分子4における末端の一つのカルボキシル基以外の部分を表し、化合物BのR2は、両親媒性部位23における末端の一つの水酸基以外の部分を表している。
 上記(2)式の反応は、例えば、エステル縮合触媒の存在下においてヘプタン中、80℃で行うことができる。エステル縮合触媒((2)式において「Cat.」と表記)としては、例えば、下記(3)式([化3])に示す化合物を使用することができる。もちろん、その他の公知のエステル縮合触媒も使用してもよい。また、反応溶媒や温度も上記に制限されるものではなく、原料の種類に応じて適宜、変更されるものである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
 (2)式に従って、機能性物質1を製造する場合、例えば、生体活性分子4として天然のL体のアミノ酸、両親媒性ポリマーとして、(1)式に示すPLGAと、PEGとのジブロックポリマー(PLGA-PEGと表す)を採用することができる。この場合、アミノ酸のカルボキシル基と、PLGA-PEG部位の末端の水酸基とが縮合反応することで、PLGA-PEGの末端にアミノ酸が導入された機能性物質1が製造される。尚、PLGA-PEGとしては、例えば、PLGA末端のカルボキシル基とPEG末端の水酸基とが縮合して形成されたものを使用することができる。上記のように得られるPLGA-PEGの末端にアミノ酸が導入された機能性物質1では、第一結合部位7及び第二結合部位8はいずれもエステル結合を形成している。
 上記(2)式の反応による機能性物質1の製造方法は、生体活性分子4と両親媒性ポリマーが縮合反応できる官能基を有している場合に有効な方法である。生体活性分子4がアミノ酸以外の場合、例えば、ペプチド、タンパク質であっても、これらの分子は分子中に縮合反応可能な官能基(例えば、カルボキシル基、アミノ基、水酸基等)を有している。そのため、生体活性分子4がペプチド、タンパク質であっても、(2)式の反応によって、両親媒性ポリマーに結合させることは可能である。
 ところで、(2)式の反応による機能性物質1の製造では、すべての両親媒性部位23に生体活性分子4が導入されるとも限らないものである。すなわち、得られた機能性物質1中には、生体活性分子4が結合していない両親媒性部位23(未反応物)が混入している場合もありうる。このような未反応物が混入する場合は、精製により除去してもよいし、本発明の効果が阻害されない程度であれば、未反応物が混入した状態で機能性物質1を得るようにしてもよい。
 両親媒性ポリマーは、市販されているものを使用してもよいし、あるいは、市販の親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを別途準備し、これらの末端同士を反応させることで得てもよい。また、親水性ポリマー及び疎水性ポリマーは、別途、公知の方法で合成したものを準備してもよい。
 機能性物質1は液体中において自己会合し得る性質を有する。ここでいう自己会合とは、複数の機能性物質1どうしが互いに集合して、例えば粒子や二分子膜等に会合した状態になることを示す。以下、機能性物質1の自己会合について説明する。
 図2(a)、(b)はいずれも、図1で模式的に表した機能性物質1が自己会合して粒子状になった場合の粒子断面を、模式的に示したものである。以下では、機能性物質1が自己会合して形成された粒子を「会合体粒子10」と表記する。尚、会合体粒子10を構成する機能性物質1は、すべて同一の種類であってもよいし、異なる種類のものであってもよい。
 会合体粒子10は、親水性部位3又は疎水性部位2のいずれか一方が会合体粒子10の表面(外側)に位置するように存在し、他方が会合体粒子10の内部(内側)に位置するように存在した状態で形成し得る。会合体粒子10の形態について以下に詳述する。
 図2(a)は、機能性物質1が自己会合して、親水性部位3が表面、疎水性部位2が内部にある状態で形成された会合体粒子10を示している。この会合体粒子10では、会合体粒子10のシェル層が親水性部位3、コアが疎水性部位2ということができる。親水性部位3が粒子の表面に存在していることで、図2(a)の形態の会合体粒子10は、表面は親水性となっており、これによって会合体粒子10は、親水性の物質に対して高い親和性を示す。以下、図2(a)の形態のように親水性部位3が表面、疎水性部位2が内部にある状態の会合体粒子10を「親水性会合体粒子10a」と表記する。生体活性分子4は、その親水性又は疎水性の強さにもよるが、例えば、親水性が強い生体活性分子4の場合は、図2(a)のように、親水性会合体粒子10aの表層部に配置して存在することになる。もちろん、親水性会合体粒子10aにおける生体活性分子4の位置は、図2(a)の模式図のものに限られるわけではなく、生体活性分子4の種類や結合箇所によっては、親水性会合体粒子10aの内部に存在することもあり得る。
 上述のように、例えば、機能性物質1の製造時に生体活性分子4が結合していない両親媒性部位23(すなわち、未反応物)が混入している場合、親水性会合体粒子10aは、上記未反応物も含まれた状態で形成されることになる。このような未反応物は、例えば、親水性会合体粒子10aにおいて、親水性会合体粒子10aを形成する複数の機能性物質1の間に挟まれるように配置される。また、機能性物質1に意図的に両親媒性ポリマー(両親媒性部位23)を添加するようにしてもよい。この場合も、両親媒性ポリマーは複数の機能性物質1の間に挟まれるように配置され、いわゆるスペーサーの役割を果たし得る。そして、このようなスペーサーによって、機能性物質1間の立体反発を抑えることができ、親水性会合体粒子10aがより安定に形成される。また、親水性会合体粒子10aの粒子径も制御しやすくなる。もちろん、親水性会合体粒子10aは、上記未反応物が含まれていなくてもよいし、両親媒性ポリマーが意図的に添加されていなくてもよく、上記の構成に限定されるものではない。
 一方、図2(b)は、機能性物質1が自己会合して、疎水性部位2が表面、親水性部位3が内部にある状態にて形成された会合体粒子10を示している。疎水性部位2がその粒子の表面に存在していることで、図2(b)の形態のような会合体粒子10では、表面は疎水性となっており、疎水性の物質に対して高い親和性を示す。以下、図2(b)の形態のように、疎水性部位2が表面、親水性部位3が内部にある状態の会合体粒子10を「疎水性会合体粒子10b」と表記する。生体活性分子4は、その親水性又は疎水性の強さにもよるが、例えば、親水性が強い場合は、図2(b)のように、疎水性会合体粒子10bの内側(内部)に配置して存在することになる。もちろん、疎水性会合体粒子10bにおける生体活性分子4の位置は、図2(a)の模式図のものに限られず、生体活性分子4の種類や結合箇所によっては、疎水性会合体粒子10bの表層部に存在することもあり得る。また、疎水性会合体粒子10bも親水性会合体粒子10a同様、上記未反応物が混入していてもよいし、あるいは意図的に両親媒性ポリマーを添加していてもよい。
 ここで、親水性会合体粒子10aのように「親水性部位3が会合体粒子10の表面に存在する」状態とは、会合体粒子10の表面もしくは表面近傍において、親水性部位3が疎水性部位2よりも多く存在する状態である、ということができる。また、「疎水性部位2が会合体粒子10の内部に存在する」状態とは、会合体粒子10の内部、特に中心部において、疎水性部位2が親水性部位3よりも多く存在する状態である、ということができる。従って、親水性会合体粒子10aでは、疎水性部位2は、粒子表面及び粒子表面付近には存在せず、粒子内部にのみ存在しているか、あるいは、粒子表面から内部に向かって疎水性部位2の濃度が徐々に高くなるような濃度傾斜を有している。逆に、疎水性会合体粒子10bでは、親水性部位3は、粒子表面及び粒子表面付近には存在せず、粒子内部にのみ存在しているか、あるいは、粒子表面から内部に向かって親水性部位3の濃度が徐々に高くなるような濃度傾斜を有している。
 機能性物質1が、親水性会合体粒子10a及び疎水性会合体粒子10bのいずれを形成するかは、機能性物質1が存在する液体が親水性か疎水性によって強く依存する。すなわち、機能性物質1が存在する液体が、親水性の高い液体である場合は、親水性会合体粒子10aとして形成される。親水性会合体粒子10aを形成させるための液体としては、水が代表的であり、その他、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の親水性の高いアルコール類、アセトン等の親水性の高いケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド等の水溶性溶媒が例示される。親水性会合体粒子10aを形成させるための液体は、上記例示した各種溶媒の混合溶媒であってもよい。このような親水性の高い液体においては、機能性物質1は、この液体との親和性の高い親水性部位3は粒子表面に配置し、親和性の低い疎水性部位2は、液体との接触を避けるために粒子内部に配置しながら会合する。そのため、機能性物質1は、親水性会合体粒子10aとなり得るのである。親水性会合体粒子10aの内側に集まっている疎水性部位2は、互いの分子間相互作用(例えば、疎水性相互作用)により、安定に凝集しているものと考えられている。従って、液体中において、機能性物質1が親水性会合体粒子10aを形成する原理は、例えば、界面活性剤が水中でミセルを形成する原理と同じであるといえる。
 一方、機能性物質1が存在する液体が、親水性の低い液体、もしくは疎水性の液体である場合は、疎水性会合体粒子10bとして形成される。疎水性会合体粒子10bを形成させる液体としては、水に難溶性や不溶性の有機溶媒等が挙げられ、例えば、高級アルコール、ケトン類、エーテル類、脂肪酸類、芳香族系溶媒等が例示される。このような疎水性の液体においては、疎水性部位2の方が親水性部位3よりも液体に対する親和性が低いため、疎水性会合体粒子10bとなり得る。機能性物質1が疎水性会合体粒子10bを形成する原理は親水性会合体粒子10aと同様である。
 会合体粒子10が親水性会合体粒子10aの状態であるか、疎水性会合体粒子10bの状態であるかについては、例えば、各粒子を乾燥した成膜状態としたときの濡れ性(接触角)測定や、蛍光ラベル化等の方法で判断することができる。
 会合体粒子10(10a又は10b)は、液体中のみならず、乾燥状態でも形成され得る。例えば、親水性会合体粒子10aが形成されている液体において、液体を蒸発などさせて乾燥させた場合は、親水性会合体粒子10aの形態で取り出すことができる。また、疎水性会合体粒子10bが形成されている液体において、上記同様に液体を乾燥させた場合は、疎水性会合体粒子10bの形態で取り出すことができる。もちろん、乾燥の条件や、乾燥状態における環境によっては、乾燥状態では親水性会合体粒子10a又は疎水性会合体粒子10bのいずれかの形態しか取り得ない場合もある。
 上記のように、機能性物質1は会合体粒子10を形成することが可能であり、さらに、環境に応じて、親水性会合体粒子10aや疎水性会合体粒子10bのいずれかの形態になり得るものである。すなわち、環境に応じて、会合体粒子10の親水性、疎水性(親疎水性)を変化させることが可能である。このように会合体粒子10は、親水性や疎水性が環境によって自在に変化可能である性質を有するため、以下に説明するように、生体への浸透性に優れるものとなる。
 会合体粒子10は、生体内に浸透させることができる。生体内に浸透させる方法としては、例えば、会合体粒子10を空気中に放散させて生体表面に付着させる方法がある。ここでは、一例として、空気中を介したヒト体内への会合体粒子10の浸透について説明する。
 まず、会合体粒子10を空気中に放散させる。会合体粒子10を空気中に放散させるには、まず、機能性物質1を液体中に存在させて液体中で会合体粒子10を形成させ、この機能性物質1を含む液体を、例えば、静電霧化を利用する方式により噴霧するなどすればよい。これにより、会合体粒子10を空気中に放散させることができる。その他、会合体粒子10を空気中に放散させる手段として、超音波振動、スプレー式、発砲式、イオンスパッタ等の方式を採用してもよい。また、後述する機能性物質放散装置によって機能性物質1を含む液体を空気中に放散させてもよい。上記いずれかの方式によって会合体粒子10が存在する液体を空間へ放出させることで、会合体粒子10が空気中に放散される。このように、会合体粒子10が存在する液体を空間へ放出させる方式を採用した場合、会合体粒子10は、ミスト状の微粒子液滴20の状態として生成されて、この状態で空気中に存在することになる。
 図3は、その微粒子液滴20を模式的に表したものである。微粒子液滴20は、球状もしくは略球状(例えば、断面が略楕円形状)に形成された液滴である。微粒子液滴20は、液滴を形成する水等の媒質11と、媒質11中に存在する1個以上の会合体粒子10とを含んで形成される。媒質11は、上記のように会合体粒子10を分散する際に使用する液体である。微粒子液滴20には、本発明の効果を阻害しない程度にその他の溶媒等が含まれていてもよい。
 上述のように、会合体粒子10は、液体の種類によって親水性会合体粒子10aや疎水性会合体粒子10bのいずれかの形態を取り得るので、微粒子液滴20を形成する液体種によって、微粒子液滴20中の会合体粒子10の形態が決まり得る。ここでは、微粒子液滴20を構成する液体(媒質11)を水とし、会合体粒子10が親水性会合体粒子10aの状態で存在している場合について説明する。
 微粒子液滴20の大きさは、液体の種類や会合体粒子10(機能性物質1)の濃度、空気中の温度や湿度等の条件によって異なるものの、例えば3~300nmに形成させることができるが、もちろんこれに制限されるものではない。ここでいう微粒子液滴20の大きさとは、微粒子液滴20が球形であればその直径を、略球形状であれば長径(最も長い径)のことをいう。また、微粒子液滴20を形成する水のpHは特に制限されない。
 尚、会合体粒子10を空気中に放散させる方法は上記の他、あらかじめ乾燥させて得た会合体粒子10そのものを、直接空気中に放出させることで、会合体粒子10を空気中に放散させてもよい。
 次に、図4により、会合体粒子10の生体内(ヒト体内)への浸透について説明する。上述のように空気中に放出された微粒子液滴20は、空気中を浮遊しながら、やがて人体に付着する。ここで、微粒子液滴20中において、会合体粒子10は、図4(a)に示す親水性会合体粒子10aの状態で存在している。そのため、会合体粒子10は、図4(b)に示すように、親水性会合体粒子10aの状態でヒトの肌60表面に到達すると考えられる。
 そして、図4(c)に示すように、微粒子液滴20がヒトの肌60表面に到達すると、微粒子液滴20中に含まれる1又は複数の親水性会合体粒子10aは、肌60表面の細胞間を通って微粒子液滴20の媒質11と共に徐々に浸透していく。あるいは、微粒子液滴20の媒質11は肌60表面で蒸発することもあるので親水性会合体粒子10a単独で浸透する。ここで、ヒトの肌60の最外層である角質層61は、主に疎水性の脂質等で構成されるものであるため、角質層61は疎水性が強い層であり、疎水的な環境であるといえる。そのため、親水性会合体粒子10aが角質層61に浸透すると、図4(c)に示すように、親水性会合体粒子10aは、疎水性会合体粒子10bへの状態へと転移する。親水性会合体粒子10a(会合体粒子10)は、環境の親疎水性によってその形態が変化しうる性質を有するからである。このように、会合体粒子10は、肌60に到達したときは親水性会合体粒子10aの状態であるのに対し、角質層61中に浸透するときには疎水性会合体粒子10bの状態である。
 角質層61中を通過した後、疎水性会合体粒子10bは、角質層61より下部の表皮及び真皮で形成される層(真皮層62)に到達する。そして、真皮層62は主にコラーゲン線維などのタンパク質線維で満たされているので、親水性が強い層であり、親水的な環境であるといえる。そのため、真皮層62表面に到達した疎水性会合体粒子10bが、親水的な環境の真皮層62中に浸透すると、図4(c)に示すように、疎水性会合体粒子10bから親水性会合体粒子10aへと転移する。
 やがて、真皮層62中において親水性会合体粒子10aの状態で存在する会合体粒子10は、真皮層62中を通っている血管66の中へと浸透していく。尚、図4(c)では、血管66は省略している。
 図4(d)は、血管66に浸透して、この血管66中を循環している血液65中に到達した親水性会合体粒子10aの変化の様子を示している。血液65は、親水性であるので、血管66内に到達した直後は、親水性会合体粒子10aの状態が維持されている。そして、親水性会合体粒子10aが血液65中に到達すると、この血液65中に含まれる水分によって、親水性会合体粒子10aが加水分解される。これは、親水性会合体粒子10a(会合体粒子10)が、上述のように第一結合部位7及び第二結合部位8が加水分解され得るエステル結合等の官能基で形成されているためである。上記のように加水分解されると、親水性会合体粒子10aは、疎水性部位2、親水性部位3及び生体活性分子4に徐々に分解されていく。そのため、親水性会合体粒子10aは、加水分解の進行とともに粒子形状を維持できなくなり、粒子の崩壊が起こり始める。尚、図4(d)では、崩壊が始まっている親水性会合体粒子10aは、符号10cを付して表している。また、この図において、血管66の下側に付しているブロック矢印の方向は、血液65が流れている方向を示している。
 親水性会合体粒子10aが加水分解されると、生体活性分子4は、血液65中で遊離して存在するようになる、すなわち、第二結合部位で生体活性分子4が切断されて単独で存在するようになる。そして、このように遊離した生体活性分子4は、血液65中を流れて、各生体組織に運搬され、例えば、血液脳関門を通過して脳内へと運搬される。特に、生体活性分子4がリラックス作用を与えるアミノ酸で構成されている場合は、脳にそのようなアミノ酸が供給されることで、ヒトに対してリラックス感を与えることができるものとなる。通常、血液脳関門は、必要な成分のみを輸送体によって脳内へ取り込ませる役割を果たす部位であるので、その物質の種類によっては脳内への物質運搬が制限を受けやすいことがある。脳内に物質が運搬されるには、輸送体によって取り込むことのできる状態で血液脳関門に到達する必要がある。しかし、アミノ酸は血液脳関門の輸送体から取り込まれることのできる物質であるので、容易に血液脳関門を通過することができる。従って、機能性物質1を体内に取り込むことで、脳内へのアミノ酸の運搬効率を高くすることができ、ヒト等の生体に対して、より効率的にリラックス作用を与えることができるものである。
 もちろん、生体活性分子4は、上記のような脳内以外の各組織に到達することが可能である。例えば、生体内の各組織にアミノ酸等の生体活性分子4が運搬されると、この生体活性分子4は、体内で行われるタンパク質生合成の原料としての役割も果たすことができる。従って、必須アミノ酸が効率的に摂取される。また、生体活性分子4の効果としては、上記リラックス作用以外にも、例えば、肌への保湿作用や疲労回復等の効果も期待できるものである。
 上記の加水分解によって、親水性部位3や疎水性部位2も遊離することになるが、これらはやがて血液65中で分解される。特に、両親媒性部位23として、上記PLGA-PEGのように生体適合性の両親媒性ポリマーで構成されていれば、このポリマーは加水分解がされやすいので、血液65によって加水分解されると共に、分解して生成した物質も生体内に吸収されるなどして消失する。このような観点から、両親媒性部位23がPLGA-PEGであることが特に好ましいといえる。
 また、生体活性分子4がアミノ酸以外の場合、例えば、(ポリ)ペプチドやタンパク質である場合は、加水分解でこれらが遊離した後、さらに、(ポリ)ペプチドやタンパク質の加水分解が起こり、最終的にアミノ酸まで分解されることになる。このように生成したアミノ酸は、最終的に生体内の各組織に供給されることになる。
 会合体粒子10は、上記のように皮膚や生体膜から経皮吸収されるものであが、このように皮膚を標的部位とする場合は、経皮吸収経路のルートとしては主に、細胞ルート、細胞間隙ルート、付属器ルートが挙げられる。
 細胞ルートは、生体膜の角質細胞と細胞間隙脂質とを浸透していくものである。細胞間隙ルートは、細胞と細胞との間隙を通過して生体内に浸透していくものである。そして、付属器ルートは、例えば、毛穴、汗腺等を通じて生体内に浸透していくものである。会合体粒子10は、いずれのルートでも生体内に浸透可能であるが、特に、細胞間隙ルートや付属器ルートが好ましい。細胞間隙ルートや付属器ルートであれば、会合体粒子10の浸透性が、その粒子径に依存しにくいからである。細胞間隙ルートの場合であれば、会合体粒子10(親水性会合体粒子10a又は疎水性会合体粒子10b)の粒子径は、100nm以下であることが好ましく、この範囲であれば生体内への浸透性(浸透のしやすさ)がより高まるものとなる。尚、ここでいう会合体粒子10の粒子径とは、会合体粒子10を含む液体(分散液)を動的光散乱法により測定して得た平均粒子径のことをいう。この場合の粒子径の下限値は特に制限されるものではないが、例えば、0.1nmであれば、生体内への浸透性が低下しにくいものであるし、安定な会合体を形成することができる。また、付属器ルートの場合は、会合体粒子10の粒子径の範囲は特に制限されるものではない。付属器ルートでは、物質が透過する有効面積は小さいものの、物質の透過性が高く、また、比較的大きなサイズの物質が透過可能であるからである。
 会合体粒子10は、生体の粘膜を標的部位として生体内に浸透させることもできる。粘膜は吸収が容易であるという性質を有する。例えば、鼻粘膜であれば、機能性物質1の分子量が1000程度までは透過が可能である。また、鼻腔内には粒径が5μm以上の物質が捕捉されやすいため、粘膜を標的部位とする場合は、会合体粒子10の粒子径を5μm以上にすることができる。これに対して、肺を標的部位とした場合には、会合体粒子10の粒子径は1~2μm程度に設定することが好ましい。
 会合体粒子10は、上記いずれのルートで生体内に浸透させる場合でも、その環境、すなわち、親水性であるか疎水性であるかの環境に応じて、会合体粒子10の親水性、疎水性を自在に変化させることができる。このように周囲環境に応じて、その環境に適した構造に変化するものであるので、会合体粒子10は浸透性に非常に優れるものであり、しかも、血液65に到達すると加水分解されて生体活性分子4が遊離するので、生体活性分子4を効率的に生体内に供給することができる。その上、会合体粒子10を構成する機能性物質1自体を、上述のように、生体適合性の高い親水性部位3、疎水性部位2及び生体活性分子4で形成させている場合は、生体に対する毒性も低く、安全に生体内に取り込むことができる。
 さらに、会合体粒子10(機能性物質1)は、空気中に放散させることで空気中を介して生体内に浸透させることができるので、より効率的に生体活性分子4を生体内に取り入れることができる。すなわち、従来のようにクリームやローションにして皮膚に塗布して生体活性分子4を生体内に浸透させる方法に比べて非常に容易な方法で生体活性分子4を生体内に浸透でき、また、皮膚のあらゆる部分から浸透が起こるので、摂取率を高くすることができる。
 もちろん、機能性物質1は、会合体粒子10の状態のみならず、機能性物質1単独の状態や、粒子形状ではない会合状態でも生体内に浸透することは可能である。この場合も機能性物質1を空気中を介して生体内に浸透させることで、生体活性分子4を生体内に供給することができる。
 上記の例では、微粒子液滴20を形成する液体(媒質11)が水である場合について説明したものであるが、これに限らず、上記液体はその他の親水性液体であってもよい。あるいは、微粒子液滴20を形成する液体は、水に難溶性や不溶性の有機溶媒等であってもよく、この場合は、会合体粒子10は微粒子液滴20中で疎水性会合体粒子10bの状態で存在しているので、この状態で、生体表面に付着することになる。尚、角質層61や真皮層62、血液65中における会合体粒子10の状態は、微粒子液滴20の液体が水である場合と同様である。
 機能性物質1は、その他の薬剤と配合して調整することで生体活性用薬剤とすることも可能である。例えば、公知の生体塗布用のクリームやローションなどに機能性物質1を混合配合させることで、生体活性用薬剤を調製することができる。この場合、生体活性用薬剤を皮膚に塗布する方式等を採用すれば、生体内に機能性物質1を浸透させることができる。
 機能性物質1は、粒子状物質や液体を空気中に放出(噴霧)させるような微粒子生成装置に取り入れることができる。このような微粒子生成装置は、公知の形態のものを使用することができ、例えば、静電霧化を利用する方式、超音波振動方式、スプレー方式、発砲方式、イオンスパッタ等の方式を備える装置を使用できる。そして、上記微粒子生成装置において、従来から当該装置内に収容されていた溶液の代わりとして、機能性物質1の溶液を収容させるようにすれば、空気中に微粒子液滴20や会合体粒子10を放出させることが可能な装置、いわゆる機能性物質放散装置とすることができる。機能性物質放散装置を、例えば、室内に設置して稼動させれば、微粒子液滴20や会合体粒子10がその室内空間に放散されると共に、空気中を浮遊しながらやがて室内にいるヒト等の生体内に浸透されるので、室内にいわゆるリラックス空間を提供することが可能となる。
 また、機能性物質1は、その他、公知の空気清浄装置、マイナスイオンを発生できる空気清浄装置、帯電した水滴(帯電微粒子水)を発生させる装置、加湿機、エアコン等、各種の装置に取り入れることが可能である。特に、上記のマイナスイオンを発生させる機能を有する空気清浄装置が、さらに機能性物質1も放出するように構成されている場合は、マイナスイオンによる除菌効果等に加えて、生体内にもリラックス作用を与えることのできる装置を提供できるものとなる。
 1  機能性物質
 2  疎水性部位
 3  親水性部位
 4  生体活性分子
 7  疎水性部位と親水性部位との結合(第一結合部位)
 8  両親媒性部位と生体活性分子との結合(第二結合部位)
 10 会合体粒子
 23 両親媒性部位
 61 角質層
 65 血液
66 血管

Claims (13)

  1.  親水性部位と疎水性部位とが結合して形成される両親媒性部位に、生体活性分子が結合した構造を有し、前記親水性部位と前記疎水性部位との結合、及び前記両親媒性部位と前記生体活性分子との結合がいずれも加水分解により切断可能に形成されていることを特徴とする機能性物質。
  2.  前記親水性部位と前記疎水性部位との結合、及び前記両親媒性部位と前記生体活性分子との結合がいずれもエステル結合であることを特徴とする請求項1に記載の機能性物質。
  3.  前記親水性部位がポリエチレングリコール、前記疎水性部位がポリ乳酸グリコール酸共重合体で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の機能性物質。
  4.  前記生体活性分子が、アミノ酸、ペプチド及びタンパク質の群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の機能性物質。
  5.  空気中又は液中において自己会合して会合体粒子を形成する性質を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の機能性物質。
  6.  前記会合体粒子は、前記親水性部位又は前記疎水性部位のいずれか一方が前記会合体粒子の表面に存在し、他方が前記会合体粒子の内部に存在していることを特徴とする請求項5に記載の機能性物質。
  7.  加水分解により前記生体活性分子が遊離する性質を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の機能性物質。
  8.  生体の皮膚の表面から浸透して血液中に到達し、血液中で加水分解されて前記生体活性分子が遊離した後、この遊離した生体活性分子が前記血液中を流れて脳内に到達する性質を有していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の機能性物質。
  9.  会合体粒子の状態で空気中を介して前記皮膚の表面から角質層に浸透し、この角質層を通過した後、表皮及び真皮を通過して血液中に到達するものであり、
     前記会合体粒子は、前記角質層を通過するときは前記疎水性部位を表面、前記親水性部位を内部に存在させた状態で形成され、前記表皮及び前記真皮を通過するときは前記親水性部位を表面、前記疎水性部位を内部に存在させた状態で形成されていることを特徴とする請求項8に記載の機能性物質。
  10.  請求項1乃至9のいずれか1項に記載の機能性物質を含む液体を空気中に噴霧して、前記機能性物質を生体の皮膚の角質層から生体内に浸透させることを特徴とする機能性物質の生体内への浸透方法。
  11.  請求項1乃至9のいずれか1項に記載の機能性物質を含んでなることを特徴とする生体活性用薬剤。
  12.  請求項1乃至9のいずれか1項に記載の機能性物質を空気中に放出させることを特徴とする機能性物質放散装置。
  13.  請求項1乃至9のいずれか1項に記載の機能性物質及びマイナスイオンを空気中に放出させることを特徴とする空気清浄装置。
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