JP2007274236A - 導波管構造体の分岐構造およびアンテナ基板 - Google Patents

導波管構造体の分岐構造およびアンテナ基板 Download PDF

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Abstract

【課題】 信号を所期の電力分配比率で分岐することができ、かつ伝送損失の小さい導波管構造体の分岐構造およびこの導波管構造体の分岐構造を備えるアンテナ基板を提供する。
【解決手段】 導波管構造体の分岐構造1は、第1導波管路2aを形成する第1導波管構造体5aと、第2導波管路2bを形成し、第1導波管構造体5aの一端部に結合されて第1導波管構造体5aに接続される第2導波管構造体5bとを含む。第1導波管路2aの結合部位15から第1方向Xの一方に延びる第1領域17には、退避部位21が形成され、結合部位15からの第1方向Xの他方に延びる第2領域18には、突出部位22が形成される。突出部位22の第1方向Xに垂直な断面の面積は、退避部位21の第1方向Xに垂直な断面の面積よりも大きく形成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電磁波を伝搬させる導波管構造体の分岐構造およびアンテナ基板に関する。
マイクロ波帯域およびミリ波帯域などの高周波信号を用いた移動体通信装置、および車間距離を計測するレーダ装置などが実用に供されている。高周波信号を処理するための高周波回路には、高周波信号を伝送する伝送線路が必要であり、小形かつ伝送損失の小さい伝送線路が求められている。
高周波信号を伝送する伝送線路として、導波管、誘電体導波管、ストリップ線路、マイクロストリップ線路、およびコプレーナ線路などが用いられている。
導波管は、中空の金属管から成る。電磁波は、導波管の管路を伝搬する。第1の従来の技術では、1つの導波管を2つの導波管に分岐している(たとえば特許文献1参照)。導波管は、導波管の管路に誘電体を充填した構造の誘電体導波管に比べて大形である。具体的には、誘電体導波管の誘電体の比誘電率をεrとすると、誘電体内の電磁波の波長は、自由空間における電磁波の波長の1/(εr)1/2倍となるので、導波管の大きさは、誘電体導波管の(εr)1/2倍となる。このように導波管は、誘電体導波管に比べて大形になるので、高周波回路が大形になるという問題がある。また第1の従来の技術を誘電体導波管に適用した場合、高周波回路は、導波管を用いた場合に比べて小さくなるが、導波管および誘電体導波管は、高周波回路を構成する基板または基板上に形成することが困難なので、高周波回路全体の小形化を図ることが困難である。
ストリップ線路、マイクロストリップ線路、およびコプレーナ線路は、基板または基板上に形成することができるので、導波管および誘電体導波管に比べて高周波回路全体の小形化を図ることができる。ストリップ線路、マイクロストリップ線路およびコプレーナ線路は、誘電体基板と線路導体層とグランド(接地)導体層とをそれぞれ含んで構成される。高周波帯域の電磁波は、誘電体基板中と、線路導体層およびグランド導体層の周囲の空間とを伝搬する。これらの伝送線路は、30GHz以上帯域の信号に対する伝送損失が大きいので、30GHz以上の電磁波の伝送に好適に利用することができないという問題がある。
第2の従来の技術として、30GHz以上のミリ波帯域の電磁波に対する伝送損失の小さい誘電体導波管線路がある(たとえば特許文献2参照)。この誘電体導波管線路は、誘電体基板と、この誘電体基板の一表面上と他表面上とに形成される一対の導体層と、一対の導体層を結ぶ複数の導通穴とを含んで構成される。前記複数の導通穴は、高周波信号の伝搬方向に沿って2列に並んで配列される。高周波信号の伝搬方向に互いに隣接する導通穴の間隔は、遮断波長よりも小さい間隔に選ばれる。このような誘電体導波管線路では、前記複数の導通穴が擬似的に導波管路の側壁として機能し、伝送損失の小さい伝送線路が実現される。しかも導通穴を導波管として機能させるので、多層基板内に伝送線路を自由に形成することができる。このように構成が簡易な誘電体導波管線路を用いることによって、高周波回路の小形化を図ることができ、ひいては高周波回路を備える装置の小形化を図ることができる。
このような伝送線路を用いて高周波回路の信号配線を構成する場合、1つの高周波信号を複数の高周波信号に分岐する構成の配線においては、伝送線路を複数の導波線路に分岐する必要がある。
ストリップ線路、マイクロストリップ線路およびコプレーナ線路は、電磁波が伝搬する空間を導体で完全に覆う構成ではないので、分岐を設けた部位において電磁波の放射が発生し、伝送損失が大きくなる。したがってこのような伝送線路を用いて伝送損失の小さい分岐構造を構成することができない。
また第2の従来の技術の誘電体導波管線路を単純に複数の誘電体導波管線路に分岐した分岐構造では、分岐部位において電磁界が乱れて、伝送損失が大きくなる。
以上述べた問題に鑑みて、第3の従来の技術では、誘電体導波管線路の結合部位の形状を段階的に変化させることによって、分岐部位において誘電体導波管線路を滑らかに接続している。このように誘電体導波管線路を滑らかに接続することによって、分岐部位における電磁界の乱れを抑制し、伝送損失を低減している(たとえば特許文献3参照)。
また第4の従来の技術として、互いに隣接する層に形成された誘電体導波管線路を接続する分岐構造が提案されている。この分岐構造は、一方の層に構成された誘電体導波線路に、他方の層に構成された誘電体導波線路の少なくとも一部を重ね合わせ、重なる部分に電磁波を透過する結合用窓を形成したものである。このような構成の分岐構造によって、高周波信号を2つまたは3つの高周波信号に分岐することができる(たとえば特許文献4参照)。
伝送線路を用いて高周波回路を構成する場合、任意の電力分配比率で高周波信号を分岐する必要が生じる場合がある。たとえばアレイアンテナから放射される電磁波のサイドローブを低減するためには、各アンテナ素子に給電する電力の比率を変える必要がある。一般的にアレイアンテナの配列方向の中心部に配置されるアンテナ素子に給電すべき電力の比率は、アレイアンテナの配列方向の端部に配置されるアンテナ素子に給電すべき電力の比率に比べて高い。したがって伝送線路を用いてアレイアンテナの給電線を構成する場合、所期の電力分配比率で各アンテナに電力を給電する必要がある。この場合、各アンテナ素子に所期の電力を給電するために、高周波信号を任意の電力分配比率で分岐することができる伝送線路の分岐構造が必要となる。
前述した第3および第4の従来の技術では、任意の電力分配比率で高周波信号を分岐することができない。
第5の従来の技術では、第4の従来の技術の分岐構造において、結合部位から一方に延びる管路の幅を狭めることによって、任意の電力分配比率で高周波信号を分岐している。
米国特許第5532661号明細書 特開平6−53711号公報 特開平11−112210号公報 特開2000−77912号公報 特開平11−116816号公報
第5の従来の技術では、高周波信号を任意の電力分配比率で分岐することができるが、入力した高周波信号の一部が結合部位において反射するので、伝送損失が大きいという問題がある。
したがって本発明の目的は、信号を所期の電力分配比率で分岐することができ、かつ伝送損失の小さい導波管構造体の分岐構造およびこの導波管構造体の分岐構造を備えるアンテナ基板を提供することである。
本発明は、第1導波管路を形成する第1導波管構造体と、
第2導波管路を形成し、第2導波管路の延在方向の両端部間の中間部が、前記第1導波管路の延在方向の一端部に結合されて、第1導波管構造体に接続される第2導波管構造体とを含み、
前記第2導波管構造体は、
前記第2導波管路のうち、前記第1導波管路と前記第2導波管路との結合部位と、前記第2導波管路の延在方向の一端部との間の第1領域の一部分における前記延在方向に垂直な断面の面積が、前記第1領域の残余の部分の前記延在方向に垂直な断面の面積よりも小さく形成され、
前記第2導波管路のうち、前記結合部位と、前記第2導波管路の延在方向の他端部との間の第2領域の一部分の前記延在方向に垂直な断面の面積が、前記第2領域の残余の部分の前記延在方向に垂直な断面の面積よりも大きく形成されることを特徴とする導波管構造体の分岐構造である。
また本発明は、前記第1および第2導波管構造体は、
誘電体から成る誘電体部と、
前記誘電体部の厚み方向の一表面上および他表面上に形成される一対の導体部と、
前記一対の導体部間にわたって形成され、かつ前記第1および第2導波管路のそれぞれの延在方向に沿って2列に配列される複数の導体柱から成り、それぞれの列において相互に隣接する導体柱が、導波される電磁波の波長の2分の1未満の間隔をあけて配置される導体柱群とを含み、
前記第1領域の一部分では、前記第1領域の残余の部分よりも前記延在方向に垂直な方向における導体柱の間隔が大きく、
前記第2領域の一部分では、前記第2領域の残余の部分よりも前記延在方向に垂直な方向における導体柱の間隔が小さく形成されることを特徴とする。
また本発明は、前記誘電体部は、低温焼成セラミックスから成ることを特徴とする。
また本発明は、前記導波管構造体の分岐構造を備え、前記第2導波管構造体にアンテナ素子が接続されることを特徴とするアンテナ基板である。
本発明によれば、第2導波管路の延在方向において、第1領域の一部分で、前記延在方向に垂直な断面の断面積が小さくなり、特性インピーダンスが変化する。また第2導波管路の延在方向において、第2領域の一部分で、前記延在方向に垂直な断面の断面積が大きくなり、特性インピーダンスが変化する。このように、第1領域および第2領域の一部分の延在方向に垂直な断面の断面積の大きさを調整することによって、第1領域および第2領域の一部分の特性インピーダンスを調整することができる。
第1領域および第2領域の一部分において特性インピーダンスが変化するので、第1領域および第2領域の一部分において第2導波管路を伝搬する信号の一部が反射される。この信号の反射率は、第1領域および第2領域の一部分の特性インピーダンスに依存するので、第1領域および第2領域の一部分の延在方向に垂直な断面の断面積の大きさを調整することによって、前記信号の反射率を任意に調整することができる。
第1導波管路を伝搬する信号は、第1領域を伝搬する信号と、第2領域を伝搬する信号との2つの信号に分波される。第1導波管路を伝搬する信号が分波されて2つの信号に分かれたときの電力の分配比率は、第1領域および第2領域の一部分における反射率に大きく依存する。第1領域および第2領域の一部分の延在方向に垂直な断面の断面積の大きさを調整することによって前記反射率を任意に調整することができるので、電力分配比率を任意の値に調整することができる。
また第1導波管路から見た第2導波管路のインピーダンスは、第1領域および第2領域のインピーダンスに依存し、第1領域および第2領域の一部分の特性インピーダンスを調整することによって調整可能である。したがって、第1領域および第2領域の一部分の延在方向に垂直な断面の断面積の大きさを調整することによって、第1導波管路のインピーダンスと、第1導波管路から見た第2導波管路のインピーダンスとをマッチングすることができる。これによって、第1導波管路を伝搬する信号の反射率を低減することができる。
このように第1領域および第2領域の一部分の延在方向に垂直な断面の断面積の大きさを調整することによって、導波管構造体の分岐構造のSパラメータを任意の値に調整することができる。これによって、入力した信号の反射率が小さく、かつ電力分配比率を所期の値に設定した導波管構造体の分岐構造を実現することができる。
また本発明によれば、前記第1および第2導波管路のそれぞれの延在方向に沿って2列にそれぞれ配列される複数の導体柱が形成される。この導体柱は、電磁波を反射する擬似的な導波管の側壁として機能する。このように導波管の側壁を導体柱によって形成することができるので、多層の誘電体基板の任意の層に、任意の形状の誘電体導波管路を形成することができ、高周波回路を構成する基板に誘電体導波管路を形成することができる。特に、複数の導体柱は、伝搬される電磁波の波長の2分の1未満の間隔をあけて配置される。このように相互に隣接する導体柱の間隔を小さくして、導体柱を密に配置するので、電磁波が第1および第2導波管路から漏れることを防ぎ、効率的に電磁波を第1および第2導波管路に閉じ込めることができる。これによって伝送損失の小さい導波管路が実現される。
また第1領域および第2領域の一部分の前記延在方向に垂直な断面の断面積を、導体柱の配置によって調整することができるので、導波管路の延在方向に垂直な断面の断面積が変化する形状の誘電体導波管線路を容易に形成することができる。
また電磁波が伝搬する第1および第2導波管路は、誘電体から成る誘電体部によって実現されるので、第1および第2導波管路を伝搬する電磁波の波長が、空気中を伝搬する電磁波の波長に比べて短くなる。したがって、導波管路が空気で満たされた導波管に比べて導波管路の形状を小さくすることができる。これによって、小形の導波管構造体の分岐構造を実現することができる。
また本発明によれば、誘電体部は、低温焼成セラミックスから成るので、この誘電体部を焼成するときの温度よりも融点の高い導体を用いて導体部および導体柱群を形成することができる。たとえば誘電体部を焼成するときの温度よりも融点の低く、かつ銀および銅などの高い電気伝導率を有する導体によって導体部および導体柱群を形成することができる。このように電気導電率の高い導体を用いて導体部および導体柱群を形成することができるので、電磁波に対して反射率の高い導波管路が形成され、導波管路に電磁波を確実に閉じ込めることができる。これによって伝送損失の小さい導波管路が実現される。
また本発明によれば、前述の導波管構造体の分岐構造を備えるアンテナ基板が実現される。導波管構造体の分岐構造は、基板の任意の層に任意の形状で形成することができるので、導波管構造体の分岐構造を用いてアンテナ基板を形成することができる。また伝送損失が小さく、かつ反射率の小さい導波管構造体の分岐構造を用いてアンテナ基板を形成するので、電力損失の小さいアンテナ基板を実現することができる。また所期の電力分配比率の値の導波管構造体の分岐構造を実現することができるので、アレイアンテナのアンテナ基板に適用した場合、各アンテナ素子に所期の電力分配比率で電力を給電することができ、所期の放射形状のビームを放射するアンテナを実現することができる。
図1は、本発明の実施の一形態の導波管構造体の分岐構造1を模式的に示す斜視図である。図2は、導波管構造体の分岐構造1を模式的に示す平面図である。なお図1および図2では、理解の容易のために導波管構造体の分岐構造1の導波管路2を模式的に示している。
導波管構造体の分岐構造1は、第1導波管路2aを形成する第1導波管構造体5aと、第2導波管路2bを形成し、第2導波管路2bの延在方向の両端部間の中間部が、前記第1導波管路2aの延在方向の一端部4に結合されて、第1導波管構造体5aに接続される第2導波管構造体5bとを含んで構成される。本実施の形態の導波管構造体の分岐構造1は、第1導波管構造体5aの延在方向と、第2導波管構造体5bの延在方向とが互いに垂直となるように、第1導波管構造体5aと第2導波管構造体5bとが接続されて構成される。すなわち第1導波管路2aを伝搬する電磁波の進行方向と、第2導波管路2bを伝搬する電磁波の進行方向とは、互いに垂直となる。
以後、第2導波管路2bを電磁波が伝搬する方向を第1方向Xと記載し、第1導波管路2aを電磁波が伝搬する方向を第2方向Yと記載し、第1方向Xおよび第2方向Yに垂直な方向を第3方向Zと記載する場合がある。また第1導波管構造体5aと第2導波管構造体5bとを総称する場合には、単に導波管構造体5と記載する場合がある。また第1導波管路2aと第2導波管路2bとを総称する場合には、単に導波管路2と記載する場合がある。また第1導波管路2aの第2方向Yの他端部を第1ポート7と記載し、第2導波管路2bの第1方向Xの一端部を第2ポート8と記載し、第2導波管路2bの第1方向Xの他端部を第3ポート9と記載する場合がある。
本実施の形態では、第2導波管構造体5bは、第1導波管構造体5aの第2方向Yの一端部4の第3方向Zの一表面に積層されて形成される。
導波管構造体の分岐構造1は、入力される複数の信号を合波する、または入力される信号を複数の信号に分波する合分波器として機能する。具体的には、導波管構造体の分岐構造1は、第1ポート7から入力される信号を、第2ポート8から出力される信号と、第3ポート9から出力される信号とに分波する分波器として機能する。また導波管構造体の分岐構造1は、第1ポート7から入力される信号と、第2ポート8および第3ポート9のいずれか一方から入力される信号とを合波して、合波した信号を第2ポート8および第3ポート9のいずれか他方から出力する合波器として機能する。特に本実施の形態の導波管構造体の分岐構造1は、ミリ波帯域およびマイクロ波帯域などの高周波帯域の高周波信号の合分波器として機能する。
本実施の形態では、導波管路2をシングルモードの信号が伝搬する構成の導波管構造体の分岐構造1について説明する。具体的には、信号として使用する電磁波が、導波管路2をTE10モードで伝搬し、高次のモードが導波管路2において励起されない導波管路2の構成について説明する。
第1導波管路2aは、略直方体形状を有し、第2方向Yに延びる。第1導波管路2aの第2方向Yの一端には、電磁波を反射して遮断する終端面11が形成されている。信号として使用する電磁波は、第1ポート7から入力され、第2方向Yの一方に伝搬する。本実施の形態では、第1導波管路2aの第1方向Xの幅の寸法L1は、第1導波管路2aの第3方向Zの厚みの寸法L2の2倍に選ばれる(L1=2×L2)。以後、第1導波管路2aの第1方向Xの幅および第2導波管路2bの第2方向Yの幅を、導波管路2の幅と記載し、第1導波管路2aおよび第2導波管路2bの第3方向Zの厚みを導波管路2の厚みと記載する場合がある。
信号として使用する電磁波の、導波管路2内に充填された物質における波長をλとすると、第1導波管路2aの幅の寸法L1は、次式(1)を満たす。
λ/2<L1<λ …(1)
式(1)の関係を満たす形状の第1導波管路2aでは、信号として使用する電磁波は、シングルモードで伝搬する。このシングルモードの電界は、第3方向Zに振動する。したがって第1導波管路2aの第1方向Xに垂直な側面12は、電界の振動する方向に平行なE面に相当する。また第1導波管路2aの第3方向Zに垂直な一表面13および他表面14は、磁界の振動する方向に平行なH面に相当する。
第1導波管構造体5aと第2導波管構造体5bとが接続する接続部19には、結合窓16が形成される。この結合窓16は、電磁波が透過する材料を用いて形成される。第1導波管構造体5aに入力された信号は、この結合窓16を第3方向Zの一方に通過して第2導波管路2bを伝搬する。結合窓16は、板状の略直方体形状を有し、第1導波管構造体5aと第2導波管構造体5bとが重なる部分のほぼ中央に設けられる。結合窓16は、厚み方向が第3方向Zに一致し、第1方向Xに垂直な側面と第2方向Yに垂直な側面とを有する。強度などの問題がない限り、結合窓16の第3方向Zに垂直な断面は、第1導波管構造体5aと第2導波管構造体5bとが重なる部分と同程度の大きさに形成される。このように結合窓16を可能な限り大きくすることによって、第1導波管路2aを伝搬する信号を効率良く第2導波管路2bに伝えることができる。これによって第1ポート7から入射する信号の反射率を低減することができる。
第2導波管路2bは、第1導波管路2aと第2導波管路2bとの結合部位15と、この結合部位15と第2導波管路2bの延在方向の一端部である第2ポート8との間の第1領域17と、結合部位15と第2導波管路2bの延在方向の他端部である第3ポート9との間の第2領域18とを含んで構成される。第1領域17には、第1領域17の一部である退避部位21が形成される。第2領域18には、第2領域18の一部である突出部位22が形成される。
第2導波管路2bの第2方向Yの幅の寸法L3は、退避部位21、突出部位22および結合部位15を除いて、第1導波管路2aの第1方向Xの幅の寸法L1と等しく選ばれる(L3=L1)。また第2導波管路2bの第3方向Zの厚みの寸法L4は、第1導波管路2aの第3方向Zの厚みの寸法L2と等しく選ばれる(L4=L2)。このように第2導波管路2bは、第1導波管路2aと同様の形状なので、第2導波管路2bには、第1導波管路2aと同じモードの信号が励起される。したがって、第1導波管路2aを伝搬して結合窓16を透過する信号は、第2導波管路2bの電磁界のモードを効率的に励起する。すなわち第1導波管路2aと第2導波管路2bとが電磁界的に結合される。これによって第1導波管路2aを伝搬する信号を第2導波管路2bに効率良く伝えることができ、第1ポート7から入力された信号の反射を抑制することができる。また導波管路2は、シングルモードしか伝搬しないので、入力した信号の一部が高次のモードに変換されることがなく、伝送損失の小さい導波管路2が形成される。
第2導波管路2bは、結合部位15において、第2方向Yの幅の寸法L5が狭まるように、第2方向Yに退避して形成される(L5<L3)。結合部位15の第2方向Yの幅の寸法L5は、第1導波管路2aから見た第2導波管路2bのインピーダンスに影響する。結合部位15の第2方向Yの幅の寸法L5は、第1導波管路2aから見た第2導波管路2bのインピーダンスと、第1導波管路2aのインピーダンスとがマッチングするように選ばれる。このように結合部位15の第2方向Yの幅の寸法L5を選択することによって、第1導波管路2aを伝搬する信号が、結合部位15において反射されることを防ぐことができる。これによって、第1導波管路2aを伝搬する信号を第2導波管路2bに効率良く伝えることができる。
退避部位21の第1方向Xの断面の断面積は、第1領域17の退避部位21を除く部分の第1方向Xに垂直な断面の断面積よりも小さく形成される。本実施の形態では、退避部位21は、第1領域17のうちの退避部位21を除く残余の部分に対して、第2方向Yの両側から退避して形成される。すなわち退避部位21の第2方向Yの幅の寸法L6は、前記第2導波管路2bの第2方向Yの幅の寸法L3よりも小さい(L6<L3)。
また突出部位22の第1方向Xの断面の断面積は、第2領域18の突出部位22を除く部分の第1方向Xに垂直な断面の面積よりも大きく形成される。本実施の形態では、突出部位22は、第2領域18のうちの突出部位22を除く残余の部分に対して、第2方向Yの両側に突出して形成される。すなわち突出部位22の第2方向Yの幅の寸法L7は、前記第2導波管路2bの第2方向Yの幅の寸法L3よりも大きい(L7>L3)。
このように導波管路2の形状が退避部位21および突出部位22において変化するので、退避部位21および突出部位22において特性インピーダンスが変化する。したがって、結合部位15から伝搬する信号の一部は、この退避部位21および突出部位22において反射する。断面が狭まる退避部位21における反射率は、断面が広がる突出部位22における反射率よりも高いので、第1ポート7から入力された信号のうちの、第3ポート9から出力される信号の比率は、第2ポート8から出力される信号の比率よりも高くなる。
退避部位21および突出部位22における信号の反射率は、退避部位21および突出部位22の第2方向Yの幅の寸法L6,L7に大きく依存する。また前記反射率は、退避部位21および突出部位22の第1方向Xの幅の寸法にも依存する。さらに前記反射率は、退避部位21および突出部位22の結合部位15から第1方向Xに離間する距離にも依存する。したがって、退避部位21および突出部位22が形成される位置および形状を調整することによって、退避部位21および突出部位22の特性インピーダンスを調整し、前記反射率を調整することができる。本実施の形態では、退避部位21を除いた第1領域17の第2方向Yの幅に対する退避部位21の第2方向Yの幅の退避量(L3−L6)は、突出部位22を除いた第2領域18の第2方向Yの幅に対する突出部位22の幅の突出量(L7−L3)と等しい(L3−L6=L7−L3)。また本実施の形態では、退避部位21と結合部位15との間の第1方向Xの距離は、突出部位22と結合部位15との間の第1方向Xの距離と等しい。
第1ポート7から入力された信号のうちの、第3ポート9から出力される信号の比率と、第2ポート8から出力される信号の比率とを表す電力分配比率は、突出部位22を伝搬する信号の反射率と、退避部位21を伝搬する信号の反射率とに依存する。退避部位21および突出部位22の形状および形成位置を調整することによって、退避部位21および突出部位22の反射率を適当に調整することができるので、前記電力分配比率を所期の値に調整することができる。また第1ポート7から入力された信号が反射されて第1ポート7に戻る反射率も、退避部位21および突出部位22を伝搬する信号の反射率に依存する。したがって、退避部位21および突出部位22の形状および形成位置を調整することによって、第1ポート7から入力された信号が反射されて第1ポート7に戻る反射率と前記電力分配比率とを同時に調整することができる。すなわち退避部位21および突出部位22の形状および形成位置を調整することによって、導波管構造体の分岐構造1のSパラメータを調整することができる。これによって第1ポート7から入力される信号の反射率が小さく、かつ電力分配比率を所期の値に設定した導波管構造体の分岐構造1を実現することができる。
本実施の形態では、導波管構造体5は、擬似的な誘電体導波管によって実現される。図3は、導波管構造体5を模式的に示す斜視図である。図4は、導波管構造体の分岐構造1を模式的に示す斜視図である。図5は、導波管構造体の分岐構造1を模式的に示す平面図である。導波管構造体5は、誘電体から成る誘電体部23と、誘電体部23の厚み方向の一表面上および他表面上に形成される一対の導体部である主導体層24と、前記一対の導体部間にわたって形成される複数の導体柱26から成る導体柱群である側壁用導体柱群27と、副導体層28とを含んで構成される。主導体層24は、誘電体部23の厚み方向の一表面上に形成される第1主導体層24aと、誘電体部23の厚み方向の他表面上に形成される第2主導体層25bとを含んで構成される。
第1主導体層24aの第3方向Zの他表面および第2主導体層25bの第3方向Zの一表面は、導波管路2の第3方向Zに垂直な一表面13と他表面14とにそれぞれ対応する。したがって第1主導体層24aの第3方向Zの他表面および第2主導体層25bの第3方向Zの一表面との距離は、前述した導波管構造体5の第3方向Zの厚みの寸法L2,L4と等しい。
複数の導体柱26は、スルーホールに導体を充填したスルーホール導体およびビアホールに導体を充填したビアホール導体などによって実現される。本実施の形態では、複数の導体柱26は、略円柱形状を有する。複数の導体柱26は、第1導波管路2aおよび第2導波管路2bのそれぞれの延在方向に沿って2列に配列される。具体的には、導体柱26は、第1導波管路2aおよび第2導波管路2bの側面に軸線が重なるように配置される。第1導波管路2aおよび第2導波管路2bの側面とは、第1導波管路2aおよび第2導波管路2bを覆う面のうち、第3方向Z垂直な一表面13および他表面14を除く面のことである。第1導波管構造体5aにおける第1方向Xの一方の導体柱26の軸線と他方の導体柱26の軸線との間の距離は、前述した第1導波管路2aの第1方向Xの幅の寸法L1と等しい。また第2導波管構造体5bにおける第2方向Yの一方の導体柱26の軸線と他方の導体柱26の軸線との間の距離は、前述した第2導波管路2bの第2方向Yの幅の寸法L3と等しい。
また複数の導体柱26は、それぞれの列において相互に隣接する導体柱26が、伝搬される電磁波の波長、すなわち管内波長の2分の1未満の等間隔L8をあけて配置される。伝搬される電磁波の波長とは、導波管路2を満たす物質中における電磁波の波長である。導体柱26は、電磁波を反射するので、擬似的に導波管の側壁として機能する。導波管構造体5は、前記第1主導体層24aと第2主導体層25bと側壁用導体柱群27とによって擬似的な誘電体導波管として機能し、電磁波を導波管路2に沿って伝搬させることができる。
伝搬される電磁波の波長の2分の1未満の間隔L8で導体柱26を配置する。このように相互に隣接する導体柱26の間隔を小さくして、導体柱26を密に配置するので、導波管路2を伝搬する電磁波を導波管路2に閉じ込めることができ、伝送損失の小さい擬似的な誘電体導波管を形成することができる。特に、導体柱26を密に配置し、導体柱26の配置される間隔L8を伝搬される電磁波の4分の1未満にすると、導体柱26はより有効に導波管の側壁として機能し、導波管路2の伝送損失をさらに小さくすることができる。
仮に伝搬される電磁波の波長の2分の1以上の間隔をあけて導体柱26を配置した場合、導体柱26は、導波管の側壁として有効に機能せず、電磁波を導波管路2に閉じ込めることができずに、導波管路2から電磁波が漏れてしまう。この場合、導波管路2内には、TEM波が励起され、導波管路2に入力された信号の一部が導波管路2から漏れてしまい、導波管路2の伝送損失が大きくなる。
副導体層28は、第1主導体層24aと第2主導体層25bとの間のうちの導波管路2を除く部分に、導波管路2に沿って形成され、前記2列に配列された導体柱26のうちの各列の導体柱26をそれぞれ相互に電気的に接続する。具体的には、副導体層28は、第1主導体層24aおよび第2主導体層25bとに平行な平板形状を有する。副導体層28は、導波管構造体5の延在方向および第3方向Zに垂直な幅方向の一端と導波管路2の幅方向の一端とにわたって伝搬方向の全域に形成される。また副導体層28は、導波管構造体5の前記幅方向の他端と、導波管路2の幅方向の他端とにわたって伝搬方向の全域に形成される。このように副導体層28を形成することによって、導波管路2の側面には、延在方向に延びる1本の導体が形成されたことになる。この副導体層28は、電磁波を反射するので、擬似的な誘電体導波管の側壁として機能する。
導波管路2内から導波管路2の側面を見た場合、副導体層28を設けることによって、第3方向Zに延びる複数の導体柱26に加えて、前記導体柱26に直交して延びる導体柱がさらに形成されたことになる。このように副導体層28を形成することによって、導波管路2内から導波管路2の側面を見た場合、細かな格子状の導体が設けられ、導体柱26および副導体層28が協働して誘電体導波管の側壁として機能し、伝送損失のより小さい導波管路2が形成される。
第1導波管構造体5aの第1主導体層24aと、第2導波管構造体5bの第2主導体層25bとには、前記結合窓16に相当する部分に貫通孔が形成されている。この貫通孔には、誘電体が充填されている。したがって、この結合窓16を通して第1導波管路2aを伝搬する信号が第2導波管路2bを伝搬する。
以上説明した導波管構造体5によれば、主導体層24と副導体層28と側壁用導体柱群27とによって擬似的な導波管路2が形成されるので、導波管構造体5は、擬似的な誘電体導波管として機能する。
誘電体部23の比誘電率をεrとすると、導波管構造体5の大きさは、導波管路2が空気によって満たされた導波管の大きさの1/(εr)1/2倍になる。したがって、誘電体部23を構成する材料の比誘電率εrが大きいほど導波管構造体5の小形化を図ることができ、この導波管構造体5を備える高周波回路の小形化を図ることができる。このような導波管構造体5を構成する誘電体部23としては、誘電体として機能し、かつ信号の伝送を妨げない特性を有するものであればよい。本実施の形態では、誘電体部23は、形状を精度よく、かつ容易に形成することができるセラミックによって実現される。
このようなセラミックスとして、さまざまな比誘電率を有する種類のものが知られている。一般に強誘電体セラミックスは、高周波領域において誘電損失が大きくなるので、強誘電体セラミックスを用いて誘電体部23を形成すると、高周波領域の信号の伝送損失が大きくなる。したがって、高周波領域において誘電損失が小さく、伝送損失の小さい常誘電体セラミックスを用いて誘電体部23を形成することが望ましい。誘電体部23の比誘電率εrは、4〜100程度が適当である。
一般に多層配線基板、半導体素子収納用パッケージおよび車間距離計測用レーダの基板に形成される配線層の線幅は、最大でも1mm程度である。仮に誘電体部23を比誘電率εrは2程度の一般的な誘電体基板に用いられる樹脂によって形成した場合、線幅が1mmのときの導波管構造体5の遮断周波数は、100GHz以上にもなり、伝送線路として実用的ではない。
導波管構造体5をシングルモードで使用する場合、誘電体部23の比誘電率εrが100で、線幅が1mmのときの遮断周波数は、15GHzである。したがって、誘電体部23を常誘電体セラミックスを用いて形成した場合、マイクロ波帯域でも、導波管構造体5を伝送線路として利用することができる。
誘電体導波管を伝搬する電磁波が導体を反射するときの損失は、誘電体中を伝搬するときの損失よりも小さく、誘電体導波管の伝送損失の大部分は、誘電体中を伝搬するときの電磁波の損失が占める。誘電体中を伝搬する電磁波の損失α(dB/m)は、次式(2)で表される。
Figure 2007274236
式(2)においてtanδは、誘電体の誘電正接を表し、λは、誘電体中の波長であり、λcは、誘電体導波管における遮断波長である。誘電体導波管の伝搬方向に垂直な断面の形状を、規格化された矩形導波管(WR15)の形状に準じて、3.76mm×1.880mmとすると、比誘電率が1のときの遮断波長λcは、7.52mmとなる。この誘電体導波管に、比誘電率が1での誘電体中の波長λが5mmの電波を伝搬したとすると、(2)式中の{1−(λ/λc)1/2は、0.75程度となる。したがって実用に供し得る−100(dB/m)以下の伝送損失を有する伝送線路を構成するためには、次式(3)を満たす誘電体を用いて誘電体部23を形成する必要がある。
f×(εr)1/2×tanδ≦0.8 …(3)
式(3)において記号fは、信号として使用する電磁波の周波数(GHz)である。上式(3)を満たすセラミックスとしては、アルミナセラミックス、ガラスセラミックス、および窒化アルミニウムセラミックスなどある。
導波管構造体5は、複数のセラミックグリーンシートを加工して積層し、低温焼成することによって形成される。誘電体部23は、本実施の形態では低温焼成セラミックスであるガラスセラミックスから成る。セラミックグリーンシートは、セラミックスの原料の粉末に有機溶剤および有機溶媒を添加して混合することによって泥漿状にし、この泥漿状の原料をドクターブレード法およびカレンダーロール法などによってシート状にして、所定の大きさに切り出すことによって形成される。
側壁用導体柱群27は、まずセラミックグリーンシートに打ち抜き加工を施して、側壁用導体柱群27を形成すべき部位に貫通孔を形成し、この貫通孔にペースト状の金属を充填し、後述する焼成工程において焼成することによって形成される。ペースト状の金属は、金属粉末に、アルミナ、シリカおよびマグネシアなどの酸化物および有機溶剤または有機溶媒などを添加して混合することによって作成される。金属粉末としては、後述する焼成工程において溶融せず、かつ電気伝導率の小さい金属が用いられ、ガラスセラミックスの場合には、銅、金および銀が好適に用いられ、窒化アルミニウムセラミックスおよびアルミナセラミックスの場合は、タングステンおよびモリブデンが好適に用いられる。導体柱26の直径は、50μm〜300μmに選ばれる。
主導体層24は、ペースト状の金属を印刷法を用いてセラミックグリーンシートの表面に印刷することによって形成される。このとき、ペースト状の金属は、結合窓16が形成される部分を除いて、少なくとも導波管路2の第3方向Zの一表面13および他表面14を完全に覆うように印刷される。主導体層24の厚みは、高周波信号を反射する必要があるので、少なくとも表皮厚さ程度の厚さが必要である。したがって、焼成工程の後の主導体層24の厚みが10μm〜15μm以上となるように、ペースト状の金属を印刷する。主導体層24を構成するペースト状の金属は、側壁用導体柱群27を構成するペースト状の金属と同じである。
副導体層28は、導波管路2が形成される部分を除く領域に、ペースト状の金属を印刷法を用いてセラミックグリーンシートの表面に印刷することによって形成される。副導体層28を構成するペースト状の金属は、側壁用導体柱群27を構成するペースト状の金属と同じである。ペースト状の金属は、焼成工程の後の副導体層28の厚みが5μm〜50μm程度になるように印刷される。
導波管構造体5は、加工を施した複数のセラミックグリーンシートを積層して、焼成することによって形成される。導波管構造体5は、アルミナセラミックスの場合には、1500℃〜1700℃、ガラスセラミックスの場合には、850℃〜1000℃、窒化アルミニウムセラミックスの場合には、1600℃〜1900℃の温度で焼成される。
以上述べた本実施の形態の導波管構造体の分岐構造1によれば、誘電体部23は、低温焼成セラミックスから成るので、この誘電体部を焼成するときの温度よりも融点の高い導体を用いて第1主導体層24a、第2主導体層25bおよび側壁用導体柱群27を形成することができる。たとえば誘電体部を焼成するときの温度よりも融点の低く、かつ電気伝導率の高い銀および銅などの導体によって導体部および導体柱群を形成することができる。このように電気導電率の高い導体を用いて第1主導体層24a、第2主導体層25bおよび側壁用導体柱群27を形成することができるので、電磁波に対して反射率の高い導波管路2が形成され、導波管路2に電磁波を確実に閉じ込めることができる。これによって伝送損失の小さい導波管路2が実現される。
また導波管路2の側壁を複数の導体柱26によって構成するので、複数層の基板の任意の層に、複雑な形状の導波管路2を構成することができる。また退避部位21および突出部位22の第1方向Xに垂直な断面の断面積を、導体柱26の配置によって調整することができるので、導波管路2の延在方向に垂直な断面の断面積が変化する形状の誘電体導波管線路を容易に形成することができる。導波管構造体の分岐構造1は、加工を施したセラミックグリーンシートを積層して焼成することによって形成されるので、複数の層から成る基板の任意の層に、任意の形状の導波管構造体の分岐構造1を形成することができる。すなわち複雑な形状の導波管構造体の分岐構造1を基板に一体に形成することができる。これによって、導波管構造体の分岐構造1を備える高周波回路の小形化を図ることができる。
本発明の他の実施の形態の導波管構造体の分岐構造では、前述の導波管構造体の分岐構造1において、第1導波管路2aの延在方向と第2導波管路2bの延在方向とが、垂直以外の角度をなして、第1導波管構造体5aと第2導波管構造体5bとが結合されてもよい。たとえば第1導波管路2aの延在方向と第2導波管路2bの延在方向とが、水平となるように第1導波管構造体5aと第2導波管構造体5bとが結合されてもよい。この場合でも、第1導波管路2a、第2導波管路2b、突出部位22、退避部位21および結合窓16の形状を調整することによって、導波管構造体の分岐構造1のSパラメータを任意に調整することができる。
また本発明の他の実施の形態の導波管構造体の分岐構造では、前述の導波管構造体の分岐構造1において、結合窓16の形状を調整することによって、結合窓16における特性インピーダンスを調整し、第1ポート7から入力されて反射される信号の反射率を低減するようにしてもよい。
また本発明の他の実施の形態の導波管構造体の分岐構造では、前述の導波管構造体の分岐構造1において、第2導波管構造体5bは、第1導波管構造体5aの第2方向Yの一端部4の第3方向Zの一表面に積層されずに、第1導波管構造体5aと同一の層において接続されてもよい。
また本発明の他の実施の形態の導波管構造体の分岐構造では、前述の導波管構造体の分岐構造1において、導波管路2の幅方向の寸法L1,L3は、厚み方向の厚みの寸法L2,L4の2倍に限られずに、たとえば導波管路2の厚み方向の厚みの寸法L2,L4の1/2倍であってもよい。また導波管路2を、シングルモードに限らずに高次のモードを伝搬させるような形状にしてもよい。この場合であっても、前述したように導波管構造体の分岐構造1のSパラメータを所期の値にすることができる。
また本発明の他の実施の形態の導波管構造体の分岐構造では、前述の導波管構造体の分岐構造1において、結合部位15における第2方向Yの幅の寸法L5を、第2導波管路2bの幅の寸法L3と等しくし(L5=L3)、第1導波管路2aの結合部位における第1方向Xの幅の寸法L9を第1導波管路2aの第1方向Xの幅の寸法L1よりも小さくしてもよい(L9<L1)。このように第1導波管路2aの結合部分の形状を調整することによっても、第1導波管路2aからみた第2導波管路2bのインピーダンスを調整することができる。これによって第1導波管路2aと第2導波管路2bとのインピーダンスをマッチングすることができ、第1ポート7から入力された信号の反射率を低減することができる。
また本発明の他の実施の形態の導波管構造体の分岐構造では、前述の導波管構造体の分岐構造1において、退避部位21は、第1領域17のうちの退避部位21を除く残余の部分に対して、第2方向Yの片方の面が第2方向Yに退避して形成されてもよい。また退避部位21は、第1領域17のうちの退避部位21を除く残余の部分に対して、第3方向Zに退避して形成されてもよい。
また本発明の他の実施の形態の導波管構造体の分岐構造では、前述の導波管構造体の分岐構造1において、突出部位22は、第2領域18のうちの突出部位22を除く残余の部分に対して、第2方向Yの片側の面が第2方向Yに突出して形成されてもよい。また突出部位22は、第2領域18のうちの突出部位22を除く残余の部分に対して、第3方向Zに突出して形成されてもよい。
また本発明の他の実施の形態の導波管構造体の分岐構造では、前述の導波管構造体の分岐構造1において、複数の導体柱26は、円柱形状でなくてもよい。たとえば複数の導体柱26は、多角柱形状であってもよい。
また本発明の他の実施の形態の導波管構造体の分岐構造では、前述の導波管構造体の分岐構造1において、副導体層28は、複数の層から構成されてもよい。複数の副導体層28を形成すると、導波管路2内から導波管路2の側面を見た場合、一層の副導体層28に比べてより細かな格子状の導体が設けられ、導体柱26および副導体層28が協働して誘電体導波管の側壁としてより有効に機能し、伝送損失のより小さい導波管路2が形成される。
また本発明の他の実施の形態の導波管構造体の分岐構造では、前述の導波管構造体の分岐構造1において、導体柱26は、等間隔に配置されなくてもよく、たとえば伝搬方向が急激に変化し、電磁波が導波管路2から漏れ易い部位において、導体柱26の配置間隔を狭くしてもよい。また導体柱26は、2列に配置されるとしたけれども、3列以上に配列されてもよい。この場合、擬似的な導波管の側壁が2重または3重と形成されるので、電磁波をより確実に導波管路2に閉じ込めることができ、伝送損失の小さい導波管路2を形成することができる。
図6は、導波管構造体の分岐構造1を備える本発明の実施の一形態のアンテナ基板31を模式的に示す斜視図である。図6では、理解の容易のためにアンテナ基板31の外周を2点鎖線で示している。アンテナ基板31には、複数のアンテナ素子32を含んで構成されるアレイアンテナ33と、複数の導波管構造体の分岐構造1とが形成されている。
各アンテナ素子32は、本実施の形態では、誘電体導波管の第3方向Zの一方の導体層に切り欠きを設けてスロットを形成したスロットアンテナによって実現される。各アンテナ素子32は、第2導波管構造体5bに誘電体導波管を介して接続される。アンテナ基板31は、本実施の形態では、給電線として機能する第1〜第3の導波管構造体の分岐構造1a,1b,1cを含んで構成される。第2の導波管構造体の分岐構造1bの第1導波管構造体5aの他端部は、第1の導波管構造体の分岐構造1aの第2導波管構造体5bの一端部の第3方向Zの一方に積層されて接続される。第3の導波管構造体の分岐構造1cの第1導波管構造体5aの他端部は、第1の導波管構造体の分岐構造1aの第2導波管構造体5bの他端部の第3方向Zの一方に積層されて接続される。第1〜第3の導波管構造体の分岐構造1a,1b,1cの導波管路2が結合される部位には、結合窓が形成されている。
アレイアンテナ33は、本実施の形態では4つのスロットアンテナを含んで構成され、各アンテナは、第2および第3の導波管構造体の分岐構造1b,1cの第2導波管構造体5bの一端部と他端部とにそれぞれ導波管構造体を介して接続される。アンテナ基板31では、所期の形状のビームを放射するために、各アンテナから放射される電磁波の放射比率を調整する必要がある。各アンテナ素子32の放射比率は、各アンテナ素子32にそれぞれ給電される電力の比率によって調整することができるので、電力分配比率を調整することができる本発明の導波管構造体の分岐構造1を用いることによって、各アンテナ素子32から放射される電磁波の放射比率を調整することができる。これによってたとえばサイドローブを低減した所期のビーム形状のビームを放射することができるアンテナ基板31を容易に形成することができる。また、前述したように反射率の低く、かつ伝送損失の小さい伝送線路を形成することができるので、第1の導波管構造体の分岐構造1aの第1ポート7から入力した電力の多くを各アンテナ素子32に伝達することができる。これによって電力損失の小さいアンテナ基板31を実現することができる。
本発明の実施の他の形態のアンテナ基板31では、各アンテナ素子32は、スロットアンテナに限られずに、たとえばスロットまたはビアホール導体を介して給電するパッチアンテナなどによって構成されてもよい。
(実施例1)
退避部位21および突出部位22の第2方向Yの幅の寸法L6,L7を変えて、Sパラメータのシミュレーションを行った。図7は、シミュレーションに用いた導波管構造体の分岐構造1を模式的に示す平面図である。
誘電体部23には、比誘電率εrが4.9のガラスセラミックスを用いた。導体柱26は、φ0.2mmのビアホール導体によって形成した。導波管路2の幅の寸法L1、L3は、導体柱26の軸線間の距離で、1.89mmとした。導波管路2の第3方向Zの厚みの寸法L2,L4は、0.6mmとした。第1導波管路2aの結合部位の第1方向Xの幅の寸法L9は、1.89mmとし、第2導波管路2bの結合部位の第2方向Yの幅の寸法L5は、1.337mmとした。結合窓16は、一辺の幅が1.387mmの正四角柱形状とした。また信号の伝搬方向に相互に隣接する導体柱26の軸線の間隔L8は、0.52mmとした。
以後、第1領域17の導体柱26のうちの、第1導波管路2aの第1方向Xの一方の側面34から第1方向Xの一方にn番目(記号nは、自然数)に配置される導体柱26をn番目の導体柱26と記載する。また第2領域18の導体柱26のうちの、第1導波管路2aの第1方向Xの他方の側面35から第1方向Xの他方にn番目に配置される導体柱26を−n番目の導体柱26と記載する。本実施例では、2番目の導体柱26の第1方向Xの間隔を狭めるときの導体柱26の移動を、+方向の移動と規定し、−2番目の導体柱26の第1方向Xの間隔を広げるときの導体柱26の移動を+方向の移動と規定する。
図8は、±2番目の導体柱26を第2方向Yに移動したときの移動量と、Sパラメータとの関係を表す図である。本実施例では、2番目の導体柱26の移動量と、−2番目の導体柱26の移動量とを同じにしてシミュレーションを行った。図8は、信号周波数が61.5GHzにおけるSパラメータを示している。
図8において横軸は、±2番目の導体柱26の間隔が、導波管構造体5の幅方向の間隔L3と同じ1.89mmとなる位置からの±2番目の導体柱26の移動量を表し、縦軸は、Sパラメータの大きさ(dB)を表す。図8において、第1ポート7から信号を入力したときの、第1ポート7に信号が反射されて戻ってくる反射率を表すS11を実線で表し、第1ポート7から信号を入力したときの、第2ポート8から出力される信号の割合を表すS21を破線で表し、第1ポート7から信号を入力したときの、第3ポート9から出力される信号の割合を表すS31を一点鎖線で表す。
図8に示されるように、移動量が約−0.3mm〜約0.3mmにおいて、S11は、原点における約―22dBよりも小さくなる。特に移動量が約±0.2mmにおいて、S11は、約−30dBにも低下する。このように±2番目の導体柱26の間隔を調整することによって、第1導波管路2aと第2導波管路2bとのインピーダンスをマッチングすることができ、入力信号の反射を低減することができることを確認した。
図9は、電力分配率を表す図である。図9において横軸は、±2番目の導体柱26の間隔が、導波管構造体5の幅方向の間隔L3と同じ1.89mmとなる位置からの±2番目の導体柱26の移動量を表し、縦軸は、S21/S31を表す。S21/S31は、S21およびS31の単位をそれぞれデシベルではなく電力として算出され、電力分配比率を表す。図9に示すように、±2番目の導体柱26の移動量を−0.6mm〜0.6mmの範囲において選択することによって、電力分配比率を約0から1に任意に設定することができることが確認された。
以上述べたように、±2番目の導体柱26を第2方向Yに移動することによって、反射率を抑制し、かつ所期の電力分配比率の値の導波管構造体の分岐構造1を実現することができることを確認した。
図10は、Sパラメータの周波数特性を示す図である。横軸は、周波数を表し、縦軸は、Sパラメータを表す。図10には、L6/L7=0.73のときのSパラメータの周波数特性を示す。図10に示すように、反射S11が−15dB以下の周波数帯域は、約3.1Ghzと帯域が広い。61.5GHzにおいてS21は、約−4.18dB、S31は約−2.17dBなので、電力分配比率としてS21:S31=0.63:1で電力を分配していることがわかる。
(実施例2)
退避部位21および突出部位22の第1方向Xにおける形成位置を変えて、Sパラメータのシミュレーションを行った。図11は、シミュレーションに用いた導波管構造体の分岐構造1を模式的に示す平面図である。
導波管構造体の分岐構造1のうちの、退避部位21および突出部位22を構成する導体柱26を除く部分については、実施例1と同様の構成である。±n番目の導体柱26をそれぞれ−方向に0.3mm移動することによって、n番目の導体柱26の幅方向の寸法を2.49mmとし、−n番目の導体柱26の幅方向の寸法を1.29mmとしてSパラメータのシミュレーションを行った。
表1は、±n番目の導体柱26をそれぞれ移動させたときの信号周波数が61.5GHzにおけるSパラメータのシミュレーション結果を表す。表1においてS21/S31は、S21およびS31の単位をそれぞれデシベルではなく電力として算出した値である。
Figure 2007274236
表1に示されるように、±1番目の導体柱26を移動させた場合に、S11が最も小さくなり、反射が最も少なくなることが確認された。このように、導体柱26の移動量を同じにしたとしても、退避部位21および突出部位22を形成する位置に応じてS11が変わり、第1導波管路2aからみた第2導波管路2bのインピーダンスが変わることが確認された。また退避部位21および突出部位22を形成する位置に応じて電力分配比率(S21/S31)も変わることが確認された。このように、退避部位21および突出部位22を形成する位置を調整することによっても、Sパラメータを調整することができることが確認された。
(実施例3)
2番目の導体柱26の片方を第2方向Yに移動し、かつ−2番目の導体柱26の片方を第2方向Yに移動した場合、および2番目の導体柱26の片方を第2方向Yに移動し、かつ−2番目の導体柱26の両方を第2方向Yに移動した場合について、信号周波数が61.5GHzにおけるSパラメータのシミュレーションを行った。導波管構造体の分岐構造1のうちの、退避部位21および突出部位22を構成する導体柱26を除く部分については、実施例1と同様の構成である。
図12は、±2番目の導体柱26を第2方向Yに移動したときのL6/L7と、Sパラメータとの関係を表す図である。図12において横軸は、導体柱26の移動量を表し、縦軸は、S11を表す。なお図12には、実施例1のS11も示している。2番目の導体柱26の片方を第2方向Yに移動し、かつ−2番目の導体柱26の片方を第2方向Yに移動した場合のS11(kata no kata)を破線で表し、2番目の導体柱26の片方を第2方向Yに移動し、かつ−2番目の導体柱26の両方を第2方向Yに移動した場合のS11(
kata no ryou)を一点鎖線で表し、実施例1のS11(ryou no ryou)を実線で表す。図12に示すように、±2番目の導体柱26のうちの、片方の導体柱26を移動させた場合であっても、S11を低減することができ、反射率が低減することが確認された。
(比較例)
突出部位22および突出部位22のいずれか一方のみを形成した場合の信号周波数が61.5GHzにおけるSパラメータのシミュレーションを行った。
(比較例1)
図13は、シミュレーションに用いた導波管構造体の分岐構造41を模式的に示す平面図である。導波管構造体の分岐構造41のうちの、退避部位21および突出部位22を構成する導体柱26を除く部分については、実施例1と同様の構成である。本比較例では、−n番目の導体柱26の移動量を0mmとし、+2番目の導体柱26のうちの片方の導体柱26を移動させたときのSパラメータのシミュレーションを行った。
図14は、2番目の導体柱26のうちの片方を第2方向Yに移動したときの移動量と、Sパラメータとの関係を表す図である。図15は、2番目の導体柱26のうちの片方を第2方向Yに移動したときの電力分配率を表す図である。図14において横軸は、2番目の導体柱26の間隔が、導波管構造体5の幅方向の間隔L3と同じ1.89mmとなる位置からの2番目の導体柱26の片方の移動量を表し、縦軸は、Sパラメータの大きさ(dB)を表す。図14において、S11を、実線で表し、S21を、破線で表し、S31を、一点鎖線で表す。
図14に示すように、2番目の導体柱26のうちの片方を第2方向Yに移動したとしても、Sパラメータは変化するが、本発明の実施例1および実施例2に比べて、S11が大きくなり、反射率が高くなる。具体的には、実施例1では、S11が最小で約―30dBに低減されるのに対して、比較例1では、S11が最小で約−25dB程度までにしか下がらない。また図15に示すように、2番目の導体柱26のうちの片方を第2方向Yに移動することによって、電力分配比率(S21/S31)も変化するが、本発明の実施例1および実施例2に比べて、導体柱26の移動量に対する電力分配比率の変化が小さい。このように比較例1では、本実施の形態の実施例1および実施例2のように、反射率を低くし、かつ電力分配比率(S21/S31)を任意に調整することができない。
(比較例2)
図16は、シミュレーションに用いた導波管構造体の分岐構造42を模式的に示す平面図である。導波管構造体の分岐構造42のうちの、退避部位21および突出部位22を構成する導体柱26を除く部分については、実施例1と同様の構成である。本比較例では、−n番目の導体柱26の移動量を0mmとし、+n番目の導体柱26を移動させたときのSパラメータのシミュレーションを行った。
図17は、2番目の導体柱26を第2方向Yに移動したときの移動量と、Sパラメータとの関係を表す図である。図18は、2番目の導体柱26を第2方向Yに移動したときの移動量と、電力分配率を表す図である。図17において横軸は、2番目の導体柱26の間隔が、導波管構造体5の幅方向の間隔L3と同じ1.89mmとなる位置からの2番目の導体柱26の移動量を表し、縦軸は、Sパラメータの大きさ(dB)を表す。図17において、S11を、実線で表し、S21を、破線で表し、S31を、一点鎖線で表す。
図17に示すように、2番目の導体柱26を第2方向Yに移動したとしても、Sパラメータは変化するが、本発明の実施例1および実施例2に比べて、S11が大きくなり、反射率が高くなる。具体的には、実施例1では、S11が最小で約―30dBに低減されるのに対して、比較例1では、S11が最小で約−25dB程度までにしか下がらない。また図18に示すように、2番目の導体柱26を第2方向Yに移動することによって、電力分配比率(S21/S31)も変化する。このように比較例2では、本実施の形態の実施例1および実施例2のように、反射率を低くし、かつ電力分配比率(S21/S31)を任意に調整することができないことが確認された。
本発明の実施の一形態の導波管構造体の分岐構造1を模式的に示す斜視図である。 導波管構造体の分岐構造1を模式的に示す平面図である。 導波管構造体5を模式的に示す斜視図である。 導波管構造体の分岐構造1を模式的に示す斜視図である。 導波管構造体の分岐構造1を模式的に示す平面図である。 導波管構造体の分岐構造1を備える本発明の実施の一形態のアンテナ基板31を模式的に示す斜視図である。 シミュレーションに用いた導波管構造体の分岐構造1を模式的に示す平面図である。 ±2番目の導体柱26を第2方向Yに移動したときの移動量と、Sパラメータとの関係を表す図である。 電力分配率を表す図である。 Sパラメータの周波数特性を示す図である。 シミュレーションに用いた導波管構造体の分岐構造1を模式的に示す平面図である。 ±2番目の導体柱26を第2方向Yに移動したときの移動量と、Sパラメータとの関係を表す図である。 シミュレーションに用いた導波管構造体の分岐構造41を模式的に示す平面図である。 2番目の導体柱26のうちの片方を第2方向Yに移動したときの移動量と、Sパラメータとの関係を表す図である。 2番目の導体柱26のうちの片方を第2方向Yに移動したときの電力分配率を表す図である。 シミュレーションに用いた導波管構造体の分岐構造42を模式的に示す平面図である。 2番目の導体柱26を第2方向Yに移動したときの移動量と、Sパラメータとの関係を表す図である。 2番目の導体柱26を第2方向Yに移動したときの移動量と、電力分配率を表す図である。
符号の説明
1 導波管構造体の分岐構造
2 導波管路
2a 第1導波管路
2b 第2導波管路
5 導波管構造体
5a 第1導波管構造体
5b 第2導波管構造体
15 結合部位
16 結合窓
17 第1領域
18 第2領域
21 退避部位
22 突出部位
23 誘電体部
24 主導体層
24a 第1主導体層
24b 第2主導体層
26 導体柱
27 側壁用導体柱群
28 副導体層
31 アンテナ基板
32 アンテナ素子
33 アレイアンテナ

Claims (4)

  1. 第1導波管路を形成する第1導波管構造体と、
    第2導波管路を形成し、第2導波管路の延在方向の両端部間の中間部が、前記第1導波管路の延在方向の一端部に結合されて、第1導波管構造体に接続される第2導波管構造体とを含み、
    前記第2導波管構造体は、
    前記第2導波管路のうち、前記第1導波管路と前記第2導波管路との結合部位と、前記第2導波管路の延在方向の一端部との間の第1領域の一部分における前記延在方向に垂直な断面の面積が、前記第1領域の残余の部分の前記延在方向に垂直な断面の面積よりも小さく形成され、
    前記第2導波管路のうち、前記結合部位と、前記第2導波管路の延在方向の他端部との間の第2領域の一部分の前記延在方向に垂直な断面の面積が、前記第2領域の残余の部分の前記延在方向に垂直な断面の面積よりも大きく形成されることを特徴とする導波管構造体の分岐構造。
  2. 前記第1および第2導波管構造体は、
    誘電体から成る誘電体部と、
    前記誘電体部の厚み方向の一表面上および他表面上に形成される一対の導体部と、
    前記一対の導体部間にわたって形成され、かつ前記第1および第2導波管路のそれぞれの延在方向に沿って2列に配列される複数の導体柱から成り、それぞれの列において相互に隣接する導体柱が、導波される電磁波の波長の2分の1未満の間隔をあけて配置される導体柱群とを含み、
    前記第1領域の一部分では、前記第1領域の残余の部分よりも前記延在方向に垂直な方向における導体柱の間隔が大きく、
    前記第2領域の一部分では、前記第2領域の残余の部分よりも前記延在方向に垂直な方向における導体柱の間隔が小さく形成されることを特徴とする請求項1記載の導波管構造体の分岐構造。
  3. 前記誘電体部は、低温焼成セラミックスから成ることを特徴とする請求項2記載の導波管構造体の分岐構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の導波管構造体の分岐構造を備え、前記第2導波管構造体にアンテナ素子が接続されることを特徴とするアンテナ基板。
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