JP4803869B2 - 誘電体導波管線路の接続構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波帯やミリ波帯等の高周波信号を伝達するための誘電体導波管線路の接続構造に関し、特に互いに直交して接するかまたは交差した2つの誘電体導波管線路の一方から他方に信号を伝達する際に信号を2つ以上の方向に所望の任意の比率で分岐して伝達する誘電体導波管線路の接続構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、マイクロ波帯やミリ波帯等の高周波信号を用いた移動体通信および車間レーダ等の研究が盛んに進められている。これらの高周波回路において高周波信号を伝送するための伝送線路には小型で伝送損失が小さいことが求められている。特に、高周波回路を構成する基板上または基板内に形成できると小型化の面で有利となることから、従来、そのような伝送線路としてストリップ線路やマイクロストリップ線路・コプレーナ線路・誘電体導波管線路等が用いられてきた。
【0003】
これらのうちストリップ線路・マイクロストリップ線路・コプレーナ線路は誘電体基板と線路導体層とグランド(接地)導体層とで構成されており、線路導体層とグランド導体層の周囲の空間および誘電体基板中を高周波信号の電磁波が伝播するものである。これらの線路は30GHz帯域までの信号伝送に対しては問題ないが、30GHz以上では伝送損失が生じやすいという問題点がある。
【0004】
これに対して導波管型の線路は30GHz以上のミリ波帯域においても伝送損失が小さい点で有利である。このような導波管の優れた伝送特性を活かした、誘電体多層基板内に形成可能な伝送線路として、誘電体導波管線路が提案されている。
【0005】
例えば特開平6−53711号公報において、誘電体基板を一対の主導体層で挟み、さらに主導体層間を接続する2列に配設された複数のビアホールによって側壁を形成した導波管線路が提案されている。この導波管線路は誘電体材料の四方を一対の主導体層とビアホールによる疑似的な導体壁で囲むことによって導体壁内の領域を信号伝送用の線路としたものである。このような構成によれば、構成がいたって簡単となって装置全体の小型化も図り得るというものである。
【0006】
また、本発明者は特開平10−75108号公報において誘電体基板中に形成した多層構造による誘電体導波管線路を提案した。これは積層型導波管と呼ばれるものであり、前述のような誘電体導波管線路を誘電体層と一対の主導体層と貫通導体群とで形成し、さらに貫通導体群に加えて副導体層を形成することにより、電気的な壁としての側壁を強化したものである。前述のような誘電体導波管線路では導波管内に貫通導体に平行でない電界が存在すると側壁から電界の漏れが発生するが、この積層型導波管では副導体層があるためにこのような電界の漏れが発生しない優れたものとなる。
【0007】
さらに、本発明者は特開平12−77912号公報において誘電体基板中に形成した多層構造による誘電体導波管線路の接続構造を提案した。これは2層の積層型導波管を直交させて接するかまたは交差させ、重ねた部位の主導体層に結合用窓を形成して接続したものであり、2層で接続するとともに高周波信号を2つまたは3つに分岐できるものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、伝送線路を用いて高周波回路を構成する場合、特にアレイアンテナの給電線等を形成する場合等には、伝送線路の配線回路において伝送線路同士を接続し、あるいは分岐を設けることが必要となる。
【0009】
しかしながら、ストリップ線路やマイクロストリップ線路・コプレーナ線路は線路導体層がグランド導体層で完全に覆われていないため、伝送線路の途中に分岐を設けるとその分岐から電磁波の放射が起こり、伝送損失が大きくなるという問題点があった。
【0010】
また、アンテナ特性としてサイドローブの低減が求められるときには、各アンテナ素子に給電する電力の比率を変える必要がある。一般にアレイの中心部に位置するアンテナ素子に給電される電力の比率は大きく、端部に位置する素子ほど給電される電力の比率は小さくなるように給電される。従って、これら多数のアンテナ素子に接続される給電線路同士の接続構造には、分岐後の電力比率を所望の任意の比率にできることが求められる。
【0011】
また、誘電体導波管線路としては、例えば誘電体線路を2枚のグランド導体板で挟持し、グランド導体板間の誘電体線路以外の部分に空気が満たされた構造のNRDガイドがある。これに分岐を設けるためには屈曲した2本の線路を結合させて方向性結合器を形成する方法が用いられる。
【0012】
しかし、NRDガイドにおいては、誘電体線路に屈曲部がある場合は、その形状によっては異なる伝播モードが発生して伝送損失が大きくなることがあるため設計上の制約が大きいという問題点があった。また、誘電体線路は通常フッ素樹脂等で作製されているが、特に高周波領域で使用するものは線路の寸法が小さくなるため、屈曲部等の加工が困難であり量産が難しいという問題点もあった。さらに、高周波回路の配線として誘電体基板上または基板内に形成することが困難であるという問題点もあった。
【0013】
また、通常の導波管は金属の壁で囲まれた空間を電磁波が伝播する構造となっており、誘電体による損失がないため高周波での損失が小さく、分岐があっても放射損失はないが、誘電体を利用した伝送線路と比較して寸法が大きくなるという問題点があった。これに対し、導波管内に比誘電率がεrの誘電体を充填した誘電体導波管は通常の導波管の1/√εrの寸法で作製できるが、これも誘電体基板上または基板内に形成することが困難であるという問題点があった。
【0014】
さらに特開平6−53711号公報に提案されたような誘電体導波管線路において、その一対の導体層と2列のビアホールによる疑似的な導体壁で囲まれた信号伝送用の線路に単純に分岐を設けた場合は、電磁界に乱れが生じるため伝送損失が大きくなるという問題点があった。
【0015】
従って、誘電体基板内にアレイアンテナの給電線等を形成するための分岐を設けた伝送線路の配線回路を作製して高周波回路を構成するために、誘電体基板内に形成でき、電磁波の放射が無く伝送損失が小さく、かつ分岐後の電力の比率が所望の任意の比率とできる誘電体導波管線路の接続・分岐構造が求められていた。
【0016】
また、誘電体導波管線路は誘電体基板の平面方向には自由に形成して配設できるが、小型化および高集積化のためには上下に配置して形成された誘電体導波管線路同士を容易に接続できる接続構造の実現が必要になる。
本発明は上記事情に鑑みて案出されたものであり、その目的は、従来の多層化技術によって容易に作製することのできる誘電体導波管線路において、誘電体基板内に互いに直交するように上下に積層して形成された誘電体導波管同士を容易に接続できる誘電体導波管線路の接続構造を提供することにある。
また、本発明の目的は、誘電体基板内に形成でき、高周波信号の電磁波の放射・漏洩が無く、2つの誘電体導波管線路を互いに直交させて接するかまたは交差させて結合させることにより、1本の線路をT字状あるいは直交する3本の線路に伝送損失が小さく良好な伝送特性で接続して所望の任意の電力比率で分岐できる誘電体導波管線路の接続構造を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の問題点に対して検討を重ねた結果、誘電体基板内において下層側に形成された誘電体導波管線路の上側の主導体層の一部と、それに直交するように上層側に形成された誘電体導波管線路の下側の主導体層の一部とを共有するように2つの誘電体導波管線路を上下に重ねて形成し、その共有させた主導体層の一部に高周波信号の結合用窓を主導体層の非形成部として設けることにより、上下の誘電体導波管線路を電磁的に結合して接続できることを見出した。
【0018】
この接続構造によれば、結合用窓として設ける主導体層の導体非形成部の大きさや位置・形状を調整することにより、一方の誘電体導波管線路より入力された高周波信号を、結合用窓を通して直交する他方の出力側の誘電体導波管線路において2方向に所望の任意の電力比率で伝播させることができる。このように2つの導波管線路の間に設ける導体非形成部結合用の窓は、従来より導波管線路においてベーテ孔と呼ばれ、分岐構造もしくは方向性結合器に利用されているものと同様のものである。
【0019】
また本発明者は、2つの誘電体導波管線路の接続部における誘電体導波管線路の幅を広くするかまたは厚みを薄くすることにより、その部分をインピーダンスマッチング用の整合部としてインピーダンスの不連続性による高周波信号の反射を低減できることも見出した。
【0020】
本発明の誘電体導波管線路の接続構造は、誘電体基板を挟持する一対の主導体層と、高周波信号の伝送方向に信号波長の2分の1未満の繰り返し間隔で、かつ前記伝送方向と直交する方向に所定の幅で前記主導体層間を電気的に接続して形成された2列の側壁用貫通導体群と、前記主導体層間に主導体層と平行に形成され、前記側壁用貫通導体群と電気的に接続された副導体層とを具備して成り、前記主導体層、側壁用貫通導体群および副導体層で囲まれた領域によって高周波信号を伝送する誘電体導波管線路を2つ、前記高周波信号の伝送方向が直交するように前記主導体層の一方を重ねて配置するとともに、この重ねた部位の主導体層に、平面視して前記伝送方向の中心線と重なり、該中心線に平行な一方の辺が、それに対向する他方の辺よりも前記側壁用貫通導体群に接近するように、前記伝送方向の中心線に対して非対称な開口形状の結合用窓を形成したことを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明の誘電体導波管線路の接続構造は、上記構成において、前記誘電体導波管線路を重ねた部位における前記2列の側壁用貫通導体群の幅を前記所定の幅よりも広くしたことを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明の誘電体導波管線路の接続構造は、上記構成において、前記誘電体導波管線路を重ねた部位における前記一対の主導体層の間隔を他の部位における間隔よりも狭くしたことを特徴とするものである。
【0023】
本発明の誘電体導波管線路の接続構造によれば、第1の誘電体導波管線路とそれに直交するように重ねて配置される第2の誘電体導波管線路とを設けて、両者の重ねた部位の主導体層に結合用窓を導体非形成部として設けたことから、2つの誘電体導波管線路は電磁界で結合され、一方の誘電体導波管線路から入力された高周波信号は結合用窓を介して他方の誘電体導波管線路にも伝播する。他方の誘電体導波管線路において伝播できる方向が2つあるので、高周波信号はその2つの方向に伝播して元の誘電体導波管線路の伝送方向と合わせて3方向に分岐されることとなる。そして、この結合用窓を高周波信号の伝送方向の誘電体導波管線路の中心線に対して非対称な開口形状のものとして形成したことから、結合窓の開口形状の非対称性に対応して、他方の誘電体導波管線路に伝播して分岐される高周波信号を所望の任意の電力比率でそれぞれに伝送することができる。
【0024】
また、本発明の誘電体導波管線路の接続構造によれば、上記構成において、誘電体導波管線路を重ねた部位における少なくとも一方の誘電体導波管線路についてその幅すなわち伝送方向と直交する方向の側壁用貫通導体群の幅を広げるか、またはその厚みを薄くすなわち一対の主導体層の間隔を狭くすることにより、接続部における誘電体導波管線路のインピーダンスの不連続を小さくして高周波信号の反射や伝送損失の小さい接続を実現することができる。このように幅を広げることおよび厚みを薄くすることは、両方の誘電体導波管線路に適用しても、これらを組み合わせて適用してもよい。そして、これら側壁用貫通導体群の幅を広げる部分および一対の主導体層の間隔を狭くする部分の長さをそれぞれ高周波信号の伝送方向の中心線に対して非対称なものとすることによっても、他方の誘電体導波管線路に伝播して分岐される高周波信号を所望の任意の電力比率としてそれぞれに伝送することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の誘電体導波管線路の接続構造について図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は本発明に用いる誘電体導波管線路の構成例を説明するための概略斜視図である。図1において、1は誘電体基板、2および3は誘電体基板1を挟持する一対の主導体層、4は信号伝送方向に信号波長の2分の1未満の繰り返し間隔cで、かつ信号伝送方向と直交する方向に所定の幅bで一対の主導体層2・3間を電気的に接続するように形成された2列の側壁用貫通導体群である。また、5は側壁用貫通導体群4の各列を形成する貫通導体同士を電気的に接続する、主導体層2・3と平行に形成された副導体層である。6はこれら一対の主導体層2・3と側壁用貫通導体群4および副導体層5により形成される誘電体導波管線路である。このように一対の主導体層2・3と側壁用貫通導体群4とで囲まれた領域に対してさらに副導体層5を形成することにより、誘電体導波管線路6の内部から見るとその側壁は側壁用貫通導体群4と副導体層5によって細かな格子状になり、様々な方向の電磁波が遮蔽される。
【0027】
図1に示すように、所定の厚みaの誘電体基板1を挟持する位置に一対の主導体層2・3が形成されており、主導体層2・3は誘電体基板1の少なくとも伝送線路形成位置を挟む上下面に形成されている。また、主導体層2・3間には主導体層2と3とを電気的に接続するスルーホール導体やビアホール導体等の貫通導体が多数設けられ、これら多数の貫通導体により2列の側壁用貫通導体群4を形成している。
【0028】
2列の貫通導体群4は、図示するように、高周波信号の伝送方向すなわち線路形成方向に信号波長の2分の1未満の所定の繰り返し間隔cで、かつ伝送方向と直交する方向に所定の一定の間隔(幅)bをもって形成されている。これにより、この誘電体導波管線路6における電気的な側壁を形成している。
【0029】
ここで誘電体基板1の厚みaすなわち一対の主導体層2・3間の間隔に対する制限は特にないが、シングルモードで用いる場合には間隔bに対して2分の1程度または2倍程度とすることがよく、図1の例では誘電体導波管線路6のH面にあたる部分が主導体層2・3で、E面に当たる部分が側壁用貫通導体群4および副導体層5でそれぞれ形成される。また、間隔bに対して厚みaを2倍程度とすれば、誘電体導波管線路6のE面に当たる部分が主導体層2・3で、H面に当たる部分が側壁用貫通導体群4および副導体層5でそれぞれ形成されることとなる。
【0030】
また、間隔cが信号波長の2分の1未満の間隔に設定されることで側壁用貫通導体群4により電気的な壁が形成できる。この間隔cは、望ましくは信号波長の4分の1未満である。
【0031】
平行に配置された一対の主導体層2・3間にはTEM波が伝播できるため、側壁用貫通導体群4の各列における貫通導体の間隔cが信号波長λの2分の1(λ/2)よりも大きいと、この誘電体導波管線路6に電磁波を給電しても電磁波は側壁用貫通導体群4の間から漏れてしまい、ここで作られる擬似的な導波管線路に沿って伝播しない。しかし、側壁用貫通導体群4の間隔cがλ/2よりも小さいと、電気的な側壁を形成することとなって電磁波は誘電体導波管線路6に対して垂直方向に伝播することができず、反射しながら誘電体導波管線路6の信号伝送方向に伝播される。その結果、図1のような構成によれば、一対の主導体層2・3と2列の側壁用貫通導体群4および副導体層5とによって囲まれる断面積がa×bのサイズの領域が誘電体導波管線路6となる。
【0032】
図1に示した態様では側壁用貫通導体群4は2列に形成したが、この側壁用貫通導体群4を4列あるいは6列に配設して、側壁用貫通導体群4による擬似的な導体壁を2重・3重に形成することにより導体壁からの電磁波の漏れをより効果的に防止することもできる。
【0033】
このような誘電体導波管線路6によれば、誘電体導波管による伝送線路となるので、誘電体基板1の比誘電率をεrとするとその導波管サイズは通常の導波管の1/√εrの大きさになる。従って、誘電体基板1を構成する材料の比誘電率εrを大きいものにするほど導波管サイズを小さくすることができて高周波回路の小型化を図ることができ、高密度に配線が形成される多層配線基板または半導体素子収納用パッケージあるいは車間レーダの伝送線路としても利用可能な大きさの誘電体導波管線路6とすることができる。
【0034】
なお、側壁用貫通導体群4を構成する貫通導体は前述のように信号波長の2分の1未満の繰り返し間隔cで配設されており、この間隔cは良好な伝送特性を実現するためには一定の繰り返し間隔とすることが望ましいが、信号波長の2分の1未満の間隔であれば、適宜変化させたりいくつかの値を組み合わせたりしてもよい。
【0035】
このような誘電体導波管線路6を構成する誘電体基板1としては、誘電体として機能し高周波信号の伝送を妨げることのない特性を有するものであればとりわけ限定するものではないが、伝送線路を形成する際の精度および製造の容易性の点からは、誘電体基板1はセラミックスからなることが望ましい。
【0036】
このようなセラミックスとしてはこれまで様々な比誘電率を持つセラミックスが知られているが、本発明に係る誘電体導波管線路によって高周波信号を伝送するためには常誘電体であることが望ましい。これは、一般に強誘電体セラミックスは高周波領域では誘電損失が大きく伝送損失が大きくなるためである。従って、誘電体基板1の比誘電率εrは4〜100程度が適当である。
【0037】
また、一般に多層配線基板や半導体素子収納用パッケージあるいは車間レーダに形成される配線層の線幅は最大でも1mmであることから、比誘電率が100の材料を用い、上部がH面すなわち磁界が上側の面に平行に巻く電磁界分布になるように用いた場合は、用いることのできる最小の周波数は15GHzと算出され、マイクロ波帯の領域でも利用可能となる。
【0038】
一方、一般的に誘電体基板1として用いられる樹脂からなる誘電体は、比誘電率εrが2程度であるため、線幅が1mmの場合、約100GHz以上でないと利用することができないものとなる。
【0039】
また、このような常誘電体セラミックスの中にはアルミナやシリカ等のように誘電正接が非常に小さなものが多いが、全ての常誘電体セラミックスが利用可能であるわけではない。誘電体導波管線路の場合は導体による損失はほとんどなく、信号伝送時の損失のほとんどは誘電体による損失である。その誘電体による損失α(dB/m)は下記のように表わされる。
α=27.3×tanδ/λ/{1−(λ/λc)21/2
式中、tanδ:誘電体の誘電正接
λ :誘電体中の波長
λc :遮断波長
規格化された矩形導波管(WRJシリーズ)形状に準ずると、上式中の{1−(λ/λc)21/2は0.75程度である。
【0040】
従って、実用に供し得る伝送損失である−100(dB/m)以下にするには、下記の関係が成立するように誘電体を選択することが必要である。
【0041】
f×εr1/2×tanδ≦0.8
式中、fは使用する周波数(GHz)である。
【0042】
このような誘電体基板1としては、例えばアルミナセラミックスやガラスセラミックス・窒化アルミニウムセラミックス等がある。これらによる誘電体基板1は、例えばセラミックス原料粉末に適当な有機溶剤・溶媒を添加混合して泥漿状になすとともにこれを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等を採用してシート状となすことによって複数枚のセラミックグリーンシートを得て、しかる後、これらセラミックグリーンシートの各々に適当な打ち抜き加工を施すとともにこれらを積層し、アルミナセラミックスの場合は1500〜1700℃、ガラスセラミックスの場合は850〜1000℃、窒化アルミニウムセラミックスの場合は1600〜1900℃の温度で焼成することによって製作される。
【0043】
また、一対の導体層2・3は、例えば誘電体基板1がアルミナセラミックスから成る場合には、タングステン等の金属粉末に適当なアルミナ・シリカ・マグネシア等の酸化物や有機溶剤・溶媒等を添加混合してペースト状にしたものを用いて厚膜印刷法により少なくとも伝送線路を完全に覆うようにセラミックグリーンシート上に印刷し、しかる後、約1600℃の高温で焼成し、厚み10〜15μm以上となるようにして形成する。なお、金属粉末としては、ガラスセラミックスの場合は銅・金・銀が、窒化アルミニウムセラミックスの場合はタングステン・モリブデンが好適である。また、導体層2の厚みは一般的に5〜50μm程度とされる。
【0044】
また、貫通導体群4を構成する貫通導体は、例えばビアホール導体やスルーホール導体等により形成すればよい。その断面形状も製作が容易な円形の他、矩形や菱形等の多角形であってもよい。これら貫通導体は、例えばセラミックグリーンシートに打ち抜き加工を施して作製した貫通孔に主導体層2・3と同様の金属ペーストを埋め込み、しかる後、誘電体基板1と同時に焼成して形成する。なお、貫通導体は直径50〜300μmが適当である。
【0045】
次に、このような誘電体導波管線路を用いた、本発明の誘電体導波管線路の接続構造の実施の形態の一例を図2に示す。
【0046】
図2は一方の誘電体導波管線路の端部の上に高周波信号の伝送方向が直交するように他方の誘電体導波管線路を重ねて接続したものであり、図2(a)は誘電体導波管線路を接続する前の状態を示す分解斜視図、図2(b)は誘電体導波管線路を接続した状態を示す斜視図、図2(c)は理解を容易にするために誘電体導波管線路を輪郭で表示した状態の斜視図である。なお、これらの図において図1と同様の箇所には同じ符号を付してある。ただし、誘電体基板は表示を省略してあり、図2(b)においては符号を省略している。また、主導体層2の一部を破断して透視した状態で示している。
【0047】
図2において2・3は一つの主導体層、4は2列の側壁用貫通導体群、5は副導体層であり、6A・6Bは誘電体導波管線路である。これら2つの誘電体導波管線路6A・6Bは高周波信号の伝送方向が直交するように主導体層の一方を重ねて配置される。この例では、誘電体導波管線路6Aの上側の主導体層2と誘電体導波管6Bの下側の主導体層3とを重ねて配置している。そして、重ねて配置された部位の両者の主導体層2および3には、導体層の非形成部として結合用窓7(主導体層2・3中に斜線を施して示した)が設けられている。
【0048】
ここで、誘電体導波管線路6Aの主導体層2と誘電体導波管線路6Bの主導体層3とは、重ねた部位において共有させておいてその共有させた主導体層に結合用窓7を誘電体導波管線路6Aの高周波信号の伝送方向の中心線に対して非対称な開口形状に形成することにより、接続部において高周波信号の良好な伝送特性が得られるとともに、ポート11とポート12とに出力されるそれぞれの電力の比率を非対称な開口形状に応じて所望の任意の値とできるものとなる。
【0049】
また、この例では一方の誘電体導波管線路6Aの端部に他方の誘電体導波管線路6Bを接続しており、誘電体導波管線路6Aには端面を形成するための端面用貫通導体群8と端面用副導体層9とが形成されている。端面用貫通導体群8は、誘電体導波管線路6Aの主導体層2に設けた結合用窓7の中心から伝送方向に高周波信号の管内波長以下の位置に、その誘電体導波管線路6Aの伝送方向の直交方向に信号波長の2分の1未満の繰り返し間隔で主導体層2・3間を電気的に接続して形成されている。また、端面用副導体層9は、主導体層2・3間を電気的に接続して形成され、副導体層5および端面用貫通導体群8と電気的に接続されている。
【0050】
このように2つの誘電体導波管線路6A・6Bを直交させ互いの主導体層2・3の一方を重ねて上下に配置し、この重ねた部位の主導体層2・3に誘電体導波管線路6Aの高周波信号の伝送方向と平行な中心線に対して非対称な開口形状の結合用窓7を形成することにより、2つの誘電体導波管線路6A・6Bは結合用窓7を介して電磁界で結合される。そして、この例ではT字状の誘電体導波管線路の分岐構造を構成することとなり、誘電体導波管線路6Aのポート10から入力された高周波信号は結合用窓7を介して誘電体導波管線路6Bに伝播するとともにその2つの方向に非対称な開口形状に応じて所望の異なる電力比率で分岐され、それぞれポート11・12へ出力される。
【0051】
なお、誘電体導波管線路6Aに端面用貫通導体群8および端面用副導体層9を形成せず、誘電体導波管線路6Aの途中と誘電体導波管線路6Bの途中とを接続すれば十字状の誘電体導波管線路の分岐構造を構成することとなる。この場合、誘電体導波管線路6Aのポート10から入力された高周波信号は、誘電体導波管線路6Aを伝送するものと、結合用窓7を介して誘電体導波管線路6Bに伝播してその2つの方向に分岐されてそれぞれポート11・12へ異なる電力比率で伝送されるものとに分かれることとなり、1本の線路を直交する3本の線路に分岐できる誘電体導波管線路の分岐構造となる。
【0052】
このような本発明の誘電体導波管線路の接続構造によれば、結合を給電ピンによって行なう従来の導波管線路の接続構造の場合に比べて、一方の誘電体導波管線路から他方へ接続されて分岐される高周波信号の電力比率を任意の値にでき、さらに誘電体基板1の厚さによる特性の制限はない。また、誘電体基板1となるグリーンシートの積層前に2つの誘電体導波管線路6A・6Bが重なる部位の主導体層2・3を印刷する際に結合用窓7のパターンを形成できるので、生産性が高く安価な製造が可能なものとなる。
【0053】
また、本発明の誘電体導波管線路の接続構造によれば、一方の誘電体導波管線路6Aを伝播してきた電磁波エネルギーは結合用窓7によって他方の誘電体導波管6Bの電磁波エネルギーと直接に結合するので、抵抗成分による発熱等のようなエネルギーロスが発生することがなく、伝送損失が小さい良好な伝送特性の接続構造となる。
【0054】
本発明の誘電体導波管線路の接続構造において結合用窓7を形成する場合、その位置・形状および大きさについては、接続構造に要求される周波数特性・結合量・分岐後の電力比率および反射量が複雑に関与する。このため、要求される周波数特性を満足するように電磁界解析により繰り返し計算をすることによって、所望の接続特性を有する結合用窓7の位置・形状および大きさ等が決定されることとなる。
【0055】
具体的には、結合用窓7の非対称な開口形状としては、要求特性に対応させて種々の形状を採り得るが、誘電体導波管線路による高周波信号の伝送方向に平行な中心線に対して非対称な矩形状の開口、すなわち中心線に対して左右の長さを異ならせた長方形状の開口の結合用窓7を形成することが好ましい。これにより、結合用窓7による不要な伝搬モードの発生を抑えて高周波信号の反射を抑制しつつ、所望の任意の電力比率で高周波信号を伝送させることができる。なお、結合用窓7の開口形状は、いずれか一方の誘電体導波管線路6Aまたは6Bの中心線に対して非対称としてもよく、両方の誘電体導波管線路6A・6Bの中心線に対して非対称となるようにしてもよい。
【0056】
また、本発明の誘電体導波管の接続構造において、図2に示した誘電体導波管線路6Aのように端面用貫通導体群8および端面用副導体層9を形成する場合、その位置は、要求された特性に応じて電磁界解析により求めればよく、その特性が満足できればどこでも良いが、結合用窓7の中心から管内波長以下の位置に最適な位置がある。これは、端面の位置により結合用窓7の中心における位相を調整するわけであるが、その位相は管内波長λg毎に繰り返されるためである。
【0057】
次に、図3に本発明の誘電体導波管線路の接続構造の実施の形態の他の例を示す。
【0058】
図3は、図2に示した例と同様の誘電体導波管線路の接続構造において、接続部における下層側の誘電体導波管線路の幅と結合用窓の幅とを広げたものであり、図3(a)は誘電体導波管線路を接続する前の状態を示す分解斜視図、図3(b)は誘電体導波管線路を接続した状態を示す斜視図、図3(c)は理解を容易にするために誘電体導波管線路を輪郭で表示した状態の斜視図である。なお、これらの図においても図1・図2と同様の場所には同じ符号を付してある。また、誘電体基板は表示を省略し、図3(b)においては符号を省略してある。また、主導体層2の一部を破断して透視した状態で示している。
【0059】
図3において2・3は一対の主導体層、4は2列の側壁用貫通導体群、5は副導体層であり、6A・6Bは誘電体導波管線路である。これら2つの誘電体導波管線路6A・6Bは高周波信号の伝送方向が直交するように主導体層の一方を重ねて配置される。この例では、誘電体導波管線路6Aの上側の主導体層2と誘電体導波管線路6Bの下側の主導体層3を重ねて配置している。また、8は端面用貫通導体群、9は端面用副導体層、10〜12はポートである。
【0060】
この例では、誘電体導波管線路6A・6Bを重ねた部位における下層側の誘電体導波管線路6Aの2列の側壁用貫通導体群4の幅を前記所定の幅(図1に示したb)よりも広くしてある。そして、重ねて配置された部位の両者の主導体層2および3には、導体層の非形成部として結合用窓7(主導体層2・3中に斜線を施して示した)が設けられている。この結合用窓7の幅、ここでは誘電体導波管線路6Aの2列の側壁用貫通導体群4の幅方向の開口寸法も、誘電体導波管線路6Aの2列の側壁用貫通導体群4の幅に合せるようにして、中心線に対して非対称な開口形状となるように、中心線に対して一方側を広くまたは狭くしてある。
【0061】
これにより2つの誘電体導波管線路6A・6Bは結合用窓7を介して電磁界で結合されて接続される。そして、このように誘電体導波管線路6A・6Bの接続部の幅、ここでは誘電体導波管線路6Aの2列の側壁用貫通導体群4の幅方向の間隔と、結合用窓7の大きさを誘電体導波管線路6Aの中心線に対して非対称な開口形状としつつ適切に変えることにより、誘電体導波管線路6A・6Bの接続部での高周波信号の反射を低減できるとともに、誘電体導波管線路6Bにおいて2つのポート11・12に分岐されて出力される高周波信号の電力比率を所望の任意の値とできる低損失な接続構造が得られる。
【0062】
なお、このように誘電体導波管線路6A・6Bを重ねた部位における2列の側壁用貫通導体群4の幅を前記所定の幅bより広くする構成は、下層側の誘電体導波管線路6Aでなく上層側の誘電体導波管線路6Bに適用してもよく、両方の誘電体導波管線路6A・6Bに適用してもよい。また、このように接続部において2列の側壁用貫通導体群4の幅を前記所定の幅bより広くする場合、その広くする幅はその所定の幅bの1〜2倍の範囲で設定すればよい。
【0063】
さらに、接続部において2列の側壁用貫通導体群4の幅を前記所定の幅bより広くする場合、その広くする幅を誘電体導波管線路6A・6Bの伝送方向の中心線の両側で異なる幅となるように、すなわち中心線に対して非対称となるように設定することにより、磁界が周期的に方向を変えて渦を巻く中心が幅の広い側にずれる。それに伴い結合用窓7を介して誘電体導波管線路6Bと結合する比率がポート11側とポート12側とで異なることとなるので、これによっても分岐後の高周波信号の電力比率をこの幅の非対称な設定に応じて所望の任意の値とすることができる。
【0064】
なお、このように誘電体導波管線路6A・6Bの幅を非対称に広くする場合には、これと組み合わせる結合用窓7は必ずしも中心線に対して非対称な開口形状とする必要はなく、中心線に対して対称な開口形状の結合用窓7を用いてもよい。
【0065】
次に、図4に本発明の誘電体導波管線路の接続構造の実施の形態のさらに他の例を示す。
【0066】
図4は、図2に示した例と同様の誘電体導波管線路の接続構造において、接続部における上層側の誘電体導波管線路の厚みを薄くしたものであり、図4(a)は誘電体導波管線路を接続する前の状態を示す分解斜視図、図4(b)は誘電体導波管線路を接続した状態を示す斜視図、図4(c)は理解を容易にするために誘電体導波管線路を輪郭で表示した状態の斜視図である。なお、これらの図においても図1〜3と同様の箇所には同じ符号を付してある。また、誘電体基板は表示を省略してあり、図4(b)においては符号を省略している。また、主導体層2の一部を破断して透視した状態で示している。
【0067】
図4において2・3は一対の主導体層、4は2列の側壁用貫通導体群、5は副導体層であり、6A・6Bは誘電体導波管線路である。これら2つの誘電体導波管線路6A・6Bは高周波信号の伝送方向が直交するように主導体層の一方を重ねて配置される。この例では、誘電体導波管線路6Aの上側の主導体層2と誘電体導波管線路6Bの下側の主導体層3とを重ねて配置している。また、7は結合用窓で誘電体導波管線路6Aの高周波信号の伝送方向に平行な中心線に対して非対称な開口形状に設けられる。8は端面用貫通導体群、9は端面用副導体層、10〜12はポートである。
【0068】
この例では、誘電体導波管線路6A・6Bを重ねた部位における上層側の誘電体導波管線路6Bの主導体層2を階段状に主導体層3側に近づけて形成することにより、誘電体導波管線路6Bの厚みを薄く、すなわち一対の主導体層2・3の間隔を他の部位における間隔(図1に示したa)よりも狭くしている。
【0069】
ここで主導体層2は誘電体導波管線路6A・6Bの接続部における部分を他の部位における部分とは別の面、この例では副導体層5の1つと同じ平面に導体層を形成し、接続部における主導体層2と他の部位における主導体層2とを主導体層接続用貫通導体群13により電気的に接続している。このような主導体層接続用貫通導体群13は、側壁用貫通導体群4や端面用貫通導体群8と同様に、誘電体導波管線路6Bの伝送方向の直交方向に信号波長の2分の1未満の繰り返し間隔で高さの異なる主導体層2間を電気的に接続するように形成すればよい。
【0070】
なお、この主導体層接続用貫通導体群13に代えて、高さの異なる主導体層2間を高さ方向に形成した導体層により電気的に接続するようにしてもよい。
【0071】
これにより2つの誘電体導波管線路6A・6Bは結合用窓7を介して電磁界で結合されて接続される。
【0072】
そして、このように誘電体導波管線路の接続部近傍の厚み、ここでは誘電体導波管線路6Bの主導体層2側を異なる高さに形成して一対の主導体層2・3の間隔を他の部位における間隔よりも狭くして適切に変えることによっても、誘電体導波管線路6A・6Bの接続部での高周波信号の反射を低減でき、低損失な接続構造が得られる。
【0073】
以上のように、誘電体導波管線路6A・6Bを重ねた部位における一対の主導体層2・3の間隔を他の部位における間隔より狭くする構成は、下層側の誘電体導波管6Aまたは上層側の誘電体導波管線路6Bのいずれに適用してもよく、両方の誘電体導波管線路6A・6Bに同時に適用してもよい。また、下層側の誘電体導波管線路6Aの主導体層3の高さや上層側の誘電体導波管線路6Bの主導体層3の高さを変えることにより一対の主導体層2・3の間隔を変えてもよく、これらを適宜組み合わせてもよい。
【0074】
なお、このように接続部において一対の主導体層2・3の間隔を他の部位における間隔よりも狭くする場合、その狭くする間隔は、他の部位における間隔aの1/2〜1倍の範囲に設定すればよい。
【0075】
さらに、接続部において一対の主導体層2・3の間隔を他の部位における間隔よりも狭くする場合、その間隔を狭くする部分の長さを相手方の誘電体導波管線路6A・6Bの伝送方向の中心線の両側で異なる長さとなるように、すなわち相手方の中心線に対して非対称となるように設定することにより、結合用窓7の両側で誘電体導波管線路の特性インピーダンスが異なることとなるので、これによっても分岐後の高周波信号の電力比率をこの幅の非対称な設定に応じて所望の任意の値とすることができる。
【0076】
なお、このように誘電体導波管線路6A・6Bの厚みすなわち一対の主導体層2・3の間隔を非対称に狭くする場合には、これと組み合わせる結合用窓7は必ずしも中心線に対して非対称な開口形状とする必要はなく、中心線に対して対称な開口形状の結合用窓7を用いてもよい。
【0077】
【実施例】
〔例1〕
図2に示した構成の本発明の誘電体導波管線路の接続構造について、T字状の分岐を含む伝送線路の伝送特性として電力比および位相ずれを有限要素法により計算して算出した。計算のための条件としては、主導体層2・3および貫通導体の材料には導電率が5.8×107(1/Ωm)の純銅を用い、誘電体基板1にはホウ珪酸ガラス75重量%とアルミナ25重量%とを焼成して作製した比誘電率が5で誘電正接が0.001のガラスセラミックス焼結体を用い、誘電体基板1の厚みa=0.62mm、貫通導体3の直径を0.1mm、貫通導体群4の繰り返し間隔c=0.25mm、貫通導体群4の所定の幅d=1.2mmとし、線路の長さは2.25mm、高周波信号の周波数は76.5GHzとした。
【0078】
また、副導体層5は主導体層3から0.154mm・0.308mm・0.462mmの3箇所の位置に設けて4層構造とした。さらに、結合用窓7の寸法および形状は、中心線方向の長さが1.2mmで中心線に直交する方向の幅Wが1.2mm(中心線の両側で0.6mmずつ)〜1.0mm(中心線の片側で0.6mm、反対側で0.4mm)の長方形とした。
【0079】
なお、誘電体導波管線路6Aの端面用貫通導体群8は、他方の誘電体導波管線路6Bの一方の側壁用貫通導体群4を延長するようにして形成し、貫通導体の直径および繰り返し間隔は側壁用貫通導体群4と同様とした。また、端面用副導体層9の位置は副導体層5と同様とした。
【0080】
これらの結果を図5に結合用窓7の寸法と電力比率および位相ずれの関係についてそれぞれ線図で示す。図5において横軸は結合用窓7の寸法W(mm)、縦軸はポート10より入力され、ポート11とポート12より出力される高周波信号の電力比率(−:単位なし)と位相ずれ(deg)を表しており、黒菱形とそれを結ぶ実線は電力比を、白四角とそれを結ぶ実線は位相ずれの変化を示している。
【0081】
図5に示した結果より、計算した結合用窓7の寸法内でポート11とポート12の電力比率は1〜12(−)の間で変化し、位相ずれは計算した結合用窓の寸法内で0〜24(deg)の間で変化することが分かる。電力比率が大きくなるほど位相ずれも大きくなり、位相ずれの影響を線路長の調整等で相殺する必要が出てくる。また、ポート10における反射係数も電力比率が大きくなるほど大きくなる傾向があった。
【0082】
〔例2〕
図3に示した構成の本発明の誘電体導波管線路の接続構造について、T字状の分岐を含む伝送線路の伝送特性として電力比および位相ずれを有限要素法により計算して算出した。計算のための条件としては、主導体層2・3および貫通導体の材料には導電率が5.8×107(1/Ωm)の純銅を用い、誘電体基板1にはホウ珪酸ガラス75重量%とアルミナ25重量%とを焼成して作製した比誘電率が5で誘電正接が0.001のガラスセラミックス焼結体を用い、誘電体基板1の厚みa=0.62mm、貫通導体3の直径を0.1mm、貫通導体群4の繰り返し間隔c=0.25mm、貫通導体群4の所定の幅d=1.2mmとし、線路の長さは2.25mm、高周波信号の周波数は76.5GHzとした。
【0083】
また、副導体層5は主導体層3から0.154mm・0.308mm・0.462mmの3箇所の位置に設けて4層構造とした。そして、接続部における誘電体導波管線路6Aの側壁用貫通導体群4の幅を1.5mmと広げた。さらに、結合用窓7の寸法および形状は、中心線方向の長さが1.2mmで中心線に直交する方向の幅Wが1.2mm(中心線の両側で0.6mmずつ)〜1.0mm(中心線の片側で0.6mm、反対側で0.4mm)の長方形とした。
【0084】
なお、誘電体導波管線路6Aの端面用貫通導体群8は、他方の誘電体導波管線路6Bの一方の側壁用貫通導体群4を延長するようにして形成し、貫通導体の直径および繰り返し間隔は側壁用貫通導体群4と同様とした。また、端面用副導体層9の位置は副導体層5と同様とした。
【0085】
これらの結果を図6に結合用窓7の寸法と電力比率および位相ずれの関係についてそれぞれ線図で示す。図6において横軸は結合用窓7の寸法W(mm)、縦軸はポート10より入力され、ポート11とポート12より出力される高周波信号の電力比率(−)と位相ずれ(deg)を表しており、黒菱形とそれを結ぶ実線は電力比を、白四角とそれを結ぶ実線は位相ずれの変化を示している。
【0086】
図6に示した結果より、計算した結合用窓7の寸法内でポート11とポート12の電力比率は1〜5.6(−)の間で変化し、位相ずれは計算した結合用窓の寸法内で0〜63(deg)の間で変化することが分かる。電力比率が大きくなるほど位相ずれも大きくなり、位相ずれの影響を線路長の調整等で相殺する必要が出てくる。また、ポート10における反射係数も電力比率が大きくなるほど大きくなる傾向があった。
【0087】
なお、この例において、結合用窓7の寸法を変化させる代わりに、接続部における誘電体導波管線路6Aの側壁用貫通導体群4の幅を中心線に対して非対称となるように広げて、それに対する電力比率および位相ずれの変化を調べたところ、同様に変化させて任意の値に設定することができた。
【0088】
〔例3〕
次に、図4に示した構成の本発明の誘電体導波管線路の接続構造について、T字状の分岐を含む伝送線路の伝送特性としてSパラメータのレベルおよび位相の周波数特性を有限要素法により計算して算出した。計算のための条件としては、〔例1〕と同様の材料を用い、誘電体基板1の厚みa=0.62mm、貫通導体の直径を0.1mm、側壁用貫通導体群4の繰り返し間隔c=0.25mm、側壁用貫通導体群4の所定の幅b=1.2mm、接続部における誘電体導波管6Bの一対の主導体層2・3の間隔(誘電体導波管線路6Bの厚み)を0.462mmとし、階段状に形成した主導体層2間は側壁用貫通導体群4と同様の直径および繰り返し間隔の貫通導体により接続した。伝送線路の長さは2.25mmとした。
【0089】
また、端面用貫通導体群8および端面用副導体層9は〔例1〕と同様に形成した。そして、接続部における誘電体導波管線路6Bの一対の主導体層2・3の間隔を、主導体層2を主導体層3側に近づけて形成することにより、0.4mmと狭くした。さらに、結合用窓7の寸法および形状は、中心線方向の長さが1.2mmで中心線に直交する方向の幅Wが1.2mm(中心線の両側で0.6mmずつ)〜1.0mm(中心線の片側で0.6mm、反対側で0.4mm)の長方形とした。
【0090】
これらの結果を図7に結合用窓7の寸法と電力比率および位相ずれの関係についてそれぞれ線図で示す。図7において横軸は結合用窓7の寸法W(mm)、縦軸はポート10より入力され、ポート11とポート12より出力される高周波信号の電力比率(−)と位相ずれ(deg)を表しており、黒菱形とそれを結ぶ実線は電力比を、白四角とそれを結ぶ実線は位相ずれの変化を示している。
【0091】
図7に示した結果より、計算した結合用窓7の寸法内でポート11とポート12の電力比率は1〜3.3(−)の間で変化し、位相ずれは計算した結合用窓の寸法内で0〜38(deg)の間で変化することが分かる。電力比率が大きくなるほど位相ずれも大きくなり、位相ずれの影響を線路長の調整等で相殺する必要が出てくる。また、ポート10における反射係数も電力比率が大きくなるほど大きくなる傾向があった。
【0092】
なお、この例において、結合用窓7の寸法を変化させる代わりに、接続部における誘電体導波管線路6Bの一対の主導体層2・3の間隔を狭くした部分の位置を、相手方の誘電体導波管線路6Aの中心線に対して非対称となるように設定して、それに対する電力比率および位相ずれの変化を調べたところ、同様に変化させて任意の値に設定することができた。
【0093】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の誘電体導波管線路の接続構造によれば、いずれの構成によっても分岐後の高周波信号の電力比率が所望の任意の値に調整可能なため、分岐部での高周波信号の反射が小さく、しかも高周波信号の分岐部における伝播モードに乱れが生じることがない、伝送損失の小さく、分岐後の高周波信号の電力比率を所望の任意の値とすることが可能な誘電体導波管線路の接続構造とすることができた。
【0094】
以上により、本発明によれば、従来の多層化技術によって容易に作製することのできる誘電体導波管線路において、誘電体基板内に互いに直交するように上下に積層して形成された誘電体導波管同士を容易に接続できる誘電体導波管線路の接続構造を提供することができた。また、誘電体基板内に形成でき、高周波信号の電磁波の放射・漏洩が無く、2つの誘電体導波管線路を互いに直交させて接するかまたは交差させて結合させることにより、1本の線路をT字状あるいは直交する3本の線路に伝送損失が小さく良好な伝送特性で接続して所望の任意の電力比率で分岐できる誘電体導波管線路の接続構造を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る誘電体導波管線路の例を説明するための概略斜視図である。
【図2】(a)は本発明の誘電体導波管線路の接続構造の実施の形態の一例について誘電体導波管線路を接続する前の状態を示す分解斜視図、(b)は誘電体導波管線路を接続した状態を示す斜視図、(c)は理解を容易にするために誘電体導波管線路を輪郭で表示した状態の斜視図である。
【図3】(a)は本発明の誘電体導波管線路の接続構造の実施の形態の他の例について誘電体導波管線路を接続する前の状態を示す分解斜視図、(b)は誘電体導波管線路を接続した状態を示す斜視図、(c)は理解を容易にするために誘電体導波管線路を輪郭で表示した状態の斜視図である。
【図4】(a)は本発明の誘電体導波管線路の接続構造の実施の形態のさらに他の例について誘電体導波管線路を接続する前の状態を示す分解斜視図、(b)は誘電体導波管線路を接続した状態を示す斜視図、(c)は理解を容易にするために誘電体導波管線路を輪郭で表示した状態の斜視図である。
【図5】本発明の誘電体導波管線路の接続構造における結合用窓の寸法と分岐後の高周波信号の電力比率および位相ずれとの関係を示す線図である。
【図6】本発明の誘電体導波管線路の接続構造における結合用窓の寸法と分岐後の高周波信号の電力比率および位相ずれとの関係を示す線図である。
【図7】本発明の誘電体導波管線路の接続構造における結合用窓の寸法と分岐後の高周波信号の電力比率および位相ずれとの関係を示す線図である。
【符号の説明】
1・・・・・誘電体基板
2、3・・・主導体層
4・・・・・側壁用貫通導体群
5・・・・・副導体層
6・・・・・誘電体導波管線路
6A・・・・第1(下層側)の誘電体導波管線路
6B・・・・第2(上層側)の誘電体導波管線路
7・・・・・結合用窓
8・・・・・端面用貫通導体群
9・・・・・端面用副導体層

Claims (4)

  1. 誘電体基板を挟持する一対の主導体層と、高周波信号の伝送方向に信号波長の2分の1未満の繰り返し間隔で、かつ前記伝送方向と直交する方向に所定の幅で前記主導体層間を電気的に接続して形成された2列の側壁用貫通導体群と、前記主導体層間に主導体層と平行に形成され、前記側壁用貫通導体群と電気的に接続された副導体層とを具備して成り、前記主導体層、側壁用貫通導体群および副導体層で囲まれた領域によって高周波信号を伝送する誘電体導波管線路を2つ、前記高周波信号の伝送方向が直交するように前記主導体層の一方を重ねて配置するとともに、この重ねた部位の主導体層に、平面視して前記伝送方向の中心線と重なり、該中心線に平行な一方の辺と前記側壁用貫通導体群の一方の側壁用貫通導体群との距離が、他方の辺と前記側壁用貫通導体群の他方の側壁用貫通導体群との距離よりも短くなるように、前記伝送方向の中心線に対して非対称な開口形状の結合用窓を形成し
    前記結合用窓は、矩形状であり、かつ、この矩形状の開口を形成する2対の辺のうち、前記伝送方向の中心線に対して非対称な一対の辺が短辺となっており、その辺の長さは前記2列の側壁用貫通導体の幅の84%以上であることを特徴とする誘電体導波管線路の接続構造。
  2. 前記誘電体導波管線路を重ねた部位における前記2列の側壁用貫通導体群の幅を前記所定の幅よりも広くしたことを特徴とする請求項1記載の誘電体導波管線路の接続構造。
  3. 前記誘電体導波管線路を重ねた部位における前記一対の主導体層の間隔を他の部位における間隔よりも狭くしたことを特徴とする請求項1記載の誘電体導波管線路の接続構造。
  4. 前記結合用窓は、矩形状の開口を形成する2対の辺のうち長辺の長さが、前記2列の側壁用貫通導体の幅と等しい、請求項1記載の誘電体導波管線路の接続構造。
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