JP2007272177A - 光学フィルム並びにそれを用いた光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置。 - Google Patents
光学フィルム並びにそれを用いた光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置。 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】フィルムのレタ-デーションが下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする光学フィルム。(1)0≦Re(550)≦10、(2)−25≦Rth(550)≦25、(3)|I|+|II|+|III|+|IV|>0.5(nm)ここで、I=Re(450)−Re(550)、II=Re(650)−Re(550)III=Rth(450)−Rth(550)、IV=Rth(650)−Rth(550)である。(式中Re(450)、Re(550)、Re(650)は、それぞれ波長450nm、550nm、650nmの光で測定した面内レターデーション値(単位:nm)であり、Rth(450)、Rth(550)、Rth(650)はそれぞれ波長450nm、550nm、650nmの光で測定した厚み方向のレターデーション値(単位:nm)である。)
【選択図】なし
Description
一般に液晶表示装置は液晶セル、光学補償シート、偏光子から構成される。光学補償シートは画像着色を解消したり、視野角を拡大するために用いられており、延伸した複屈折フィルムや透明フィルムに液晶を塗布したフィルムが使用されている。例えば、特許文献1ではディスコティック液晶をトリアセチルセルロースフィルム上に塗布し配向させて固定化した光学補償シートをTNモードの液晶セルに適用し、視野角を広げる技術が開示されている。しかしながら、大画面で様々な角度から見ることが想定されるテレビ用途の液晶表示装置は視野角依存性に対する要求が厳しく、前述のような手法をもってしても要求を満足することはできていない。そのため、IPS(In−Plane Switching)モード、OCB(Optically Compensatory Bend)モード、VA(Vertically Aligned)モードなど、TNモードとは異なる液晶表示装置が研究されている。特にVAモードはコントラストが高く、比較的製造の歩留まりが高いことからTV用の液晶表示装置として着目されている。
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、広範囲にわたり高いコントラスト比を有し、カラーシフト(斜め方向から見た際の色味変化)を抑制可能な光学フィルム並びに該光学フィルムを用いた光学補償フィルム、偏光板などの光学材料及び液晶表示装置の提供を目的とする。
(1)0≦Re(550)≦10
(2)−25≦Rth(550)≦25
(3)|I|+|II|+|III|+|IV|>0.5(nm)
ここで、I=Re(450)−Re(550)
II=Re(650)−Re(550)
III=Rth(450)−Rth(550)
IV=Rth(650)−Rth(550)である。
(式中Re(450)、Re(550)、Re(650)は、それぞれ波長450nm、550nm、650nmの光で測定した面内レターデーション値であり、Rth(450)、Rth(550)、Rth(650)は波長450nm、550nm、650nmそれぞれの光で測定した厚み方向のレターデーション値である。)
[2]前記I、II、III、及びIVが下記式(4−A)〜(7−A)を満たすことを特徴とする[1]に記載の光学フィルム。
(4−A)−50≦I≦0
(5−A)0≦II≦50
(6−A)−50≦III<0
(7−A)0<IV≦50
[3]前記I、II、III、及びIVが下記式(4−B)〜(7−B)を満たすことを特徴とする[1]に記載の光学フィルム。
(4−B)−50≦I<0
(5−B)0<II≦50
(6−B)0≦III≦50
(7−B)−50≦IV≦0
[4]前記I、II、III、及びIVが下記式(4−C)〜(7−C)を満たすことを特徴とする[1]に記載の光学フィルム。
(4−C)0≦I≦50
(5−C)−50≦II≦0
(6−C)0<III≦50
(7−C)−50≦IV<0
[5]前記I、II、III、及びIVが下記式(4−D)〜(7−D)を満たすことを特徴とする[1]に記載の光学フィルム。
(4−D)0<I≦50
(5−D)−50≦II<0
(6−D)−50≦III≦0
(7−D)0≦IV≦50
[7]セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基のみからなり、その全置換度が2.56〜3.00であることを特徴とする[6]に記載の光学フィルム。
[8]セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなり、その全置換度が2.50〜3.00であることを特徴とする[6]に記載の光学フィルム。
[9]Rth(550)を低下させる化合物を、下記式(8)および(9)をみたす範囲で少なくとも一種含有することを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の光学フィルム。
(8)(Rth[A]−Rth[0])/A≦−1.0
(9)0.01≦A≦30
ここで、Rth[A]:Rth(550)を低下させる化合物をA%含有した光学フィルムの550nmにおけるRth(nm)Rth[0]:Rth(550)を低下させる化合物を含有しない光学フィルムの550nmにおけるRth(nm)A:光学フィルム原料ポリマーの質量を100としたときの化合物の質量(%)である。
[10]下記式(10)で表されるΔRthを増加させる化合物を、下記式(11)および(12)をみたす範囲で少なくとも一種含有することを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載の光学フィルム。
(10)ΔRth=Rth(450)−Rth(650)
(11)(ΔRth[B]−ΔRth[0])/B≧1.0
(12)0.01≦B≦30
ここで、ΔRth[B]:ΔRthを増加させる化合物をB%含有した光学フィルムのΔRth(nm)ΔRth[0]:ΔRthを増加させる化合物を含有しない光学フィルムのΔRth(nm)B:フィルム原料ポリマーの質量を100としたときの化合物の質量(%)である。
[12][1]〜[11]のいずれかに記載の光学フィルムおよび下記式(13)及び(14)を満たす光学異方性層を含むことを特徴とする光学補償フィルム。
(13)0≦Re≦400
(14)−400≦Rth≦400
(式中Re及びRthは、各々可視領域のいずれかの波長の光で測定した面内レターデーション値(単位:nm)及び厚み方向のレターデーション値(単位:nm)である。)
[13]光学異方性層がディスコティック液晶を含むことを特徴とする[12]に記載の光学補償フィルム。
[14]光学異方性層がコレステリック液晶を含むことを特徴とする[12]または[13]に記載の光学補償フィルム。
[15]光学異方性層が棒状液晶を含むことを特徴とする[12]〜[14]のいずれかに記載の光学補償フィルム。
[17]光学異方性層を形成するポリマー化合物が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、およびポリアリールエーテルケトン、からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を含有することを特徴とする[12]〜[16]のいずれかに記載の光学補償フィルム。
[18][1]〜[11]のいずれかに記載の光学フィルム、又は[12]〜[17]のいずれかに記載の光学補償フィルムの少なくとも1枚と、偏光子とを有することを特徴とする偏光板。
[19][1]〜[11]のいずれかに記載の光学フィルム、[12]〜[17]のいずれかに記載の光学補償フィルム、及び[18]に記載の偏光板、の少なくともいずれかを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
[20][1]〜[11]のいずれかに記載の光学フィルム、[12]〜[17]のいずれかに記載の光学補償フィルム、及び[18]に記載の偏光板の少なくともいずれかを含み、かつ、下記式(15)及び(16)を満たす光学異方性層を少なくとも1層含むことを特徴とする液晶表示装置。
(15)0≦Re≦400
(16)−400≦Rth≦400
(式中Re及びRthは、各々可視領域のいずれかの波長の光で測定した面内レターデーション値(単位:nm)及び厚み方向のレターデーション値(単位:nm)である。)
[22]光学異方性層がコレステリック液晶を含むことを特徴とする[20]または[21]に記載の液晶表示装置。
[23]光学異方性層が棒状液晶を含むことを特徴とする[20]〜[22]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[24]光学異方性層がポリマーフィルムを含むことを特徴とする[20]〜[23]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[25]光学異方性層を形成するポリマー化合物が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、およびポリアリールエーテルケトン、からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を含有することを特徴とする[20]〜[24]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[27]黒表示時に液晶分子が垂直配向している液晶セルを含み、前記光学異方性層が下記式(17)および(18)を満たす層を少なくとも一層含むことを特徴とする[26]に記載の液晶表示装置。
(17)10≦Re≦150
(18)50≦Rth≦400
(式中Re及びRthは、各々可視領域のいずれかの波長の光で測定した面内レターデーション値(単位:nm)及び厚み方向のレターデーション値(単位:nm)である。)
[28]黒表示時に液晶分子が平行配向している液晶セルを含み、前記光学異方性層が下記式(19)〜(22)のいずれかを満たす層を少なくとも一層含むことを特徴とする[26]に記載の液晶表示装置。
(19)100≦Re≦400、−50≦Rth≦50
(20)0≦Re≦20、−400≦Rth≦−50
(21)60≦Re≦200、20≦Rth≦120
(22)30≦Re≦150、100≦Rth≦400
(式中Re及びRthは、各々可視領域のいずれかの波長の光で測定した面内レターデーション値(単位:nm)及び厚み方向のレターデーション値(単位:nm)である。)
[29]黒表示時に液晶分子がベンド配向している液晶セルを含み、前記光学異方性層がディスコティック液晶化合物を含有する層を少なくとも含むことを特徴とする[26]に記載の液晶表示装置。
(1)0≦Re(550)≦10
(2)−25≦Rth(550)≦25
(3)|I|+|II|+|III|+|IV|>0.5(nm)
ここで、I=Re(450)−Re(550)
II=Re(650)−Re(550)
III=Rth(450)−Rth(550)
IV=Rth(650)−Rth(550)である。
|I|+|II|+|III|+|IV|>2.0(nm)
であり、さらに好ましくは
|I|+|II|+|III|+|IV|>4.0(nm)
である。
(4―A)−50≦I≦0
(5―A)0≦II≦50
(6―A)−50≦III<0
(7―A)0<IV≦50
より好ましくは、
(4―A’)−25≦I≦0
(5―A’)0≦II≦25
(6―A’)−25≦III<0
(7―A’)0<IV≦25である。
(4―B)−50≦I<0
(5―B)0<II≦50
(6―B)0≦III≦50
(7―B)−50≦IV≦0
より好ましくは、
(4―B’)−25≦I<0
(5―B’)0<II≦25
(6―B’)0≦III≦25
(7―B’)−25≦IV≦0である。
(4―C)0≦I≦50
(5―C)−50≦II≦0
(6―C)0<III≦50
(7―C)−50≦IV<0
より好ましくは、
(4―C’)0≦I≦25
(5―C’)−25≦II≦0
(6―C’)0<III≦25
(7―C’)−25≦IV<0である。
(4―D)0<I≦50
(5―D)−50≦II<0
(6―D)−50≦III≦0
(7―D)0≦IV≦50
より好ましくは、
(4―D’)10≦I≦50
(5―D’)−50≦II≦−10
(6―D’)−50≦III≦−30
(7―D’)30≦IV≦50である。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。IPSモードの場合にはRth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフイルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフイルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の2方向からレタデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。ここで平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx-nz)/(nx-ny)が更に算出される。dはフィルムの膜厚を表す。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d −−− 式(2)
本発明の光学フィルムを形成する材料としては、光学性能、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるポリマーが好ましく、上述のRe、Rthが、上述した光学性能を満たす範囲であればどのような材料を用いても良い。例えば、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーを混合したポリマーも例として挙げられる。
本発明の光学フィルムに用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、セルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
次に上述のセルロースを原料に製造されるセルロースアシレートについて記載する。セルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。セルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538に詳細に記載されている。特に、アシル置換基が、実質的にアセチル基のみからなり、平均重合度が180〜550であるセルロースアシレートを用いて本発明の光学フィルムを作製すると、良好な性能を発揮できる。
本発明の光学フィルム溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、光学的異方性を低下させる化合物、光学異方性を上昇させる化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を加えることができ、これらについて以下に説明する。またその添加する時期はドープ作製工程において何れでも添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
本発明の光学フィルムは、フィルム膜厚方向のレターデーションRth(550)を低下させる化合物(以下、Rth低下剤ともいう)を、下記式(8)および(9)をみたす範囲で少なくとも一種含有することが望ましい。
(8)(Rth[A]−Rth[0])/A≦−1.0
(9)0.01≦A≦30である。
上記数式(8)、(9)において、より望ましくは、
(8’):(Rth[A]−Rth[0])/A≦−2.0
(9’):0.01≦A≦20であり、さらに望ましくは、
(8”):(Rth[A]−Rth[0])/A≦−3.0
(9”):0.01≦A≦15である。
ここで、Rth[A]:Rth(550)を低下させる化合物をA%含有した光学フィルムの550nmでのRth(nm)Rth[0]:Rth(550)を低下させる化合物を含有しない光学フィルムの550nmでのRth(nm)A:光学フィルム原料ポリマーの質量を100としたときの化合物の質量(%)である。
本発明の光学フィルムにおけるRth低下剤の構造と機能について以下に説明する。光学異方性を十分に低下させ、Re、Rthがともにゼロに近くなるようにするためには、フィルム中の高分子ポリマーが、正面方向及び膜厚方向に配向するのを抑制する化合物を用いることが好ましい。また、光学異方性を低下させる化合物は、高分子ポリマーに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。
本発明の光学フィルムを作製するに当たって材料としてセルロースアシレートのような親水性ポリマーを用いる場合には、上記のように、フィルム中の高分子ポリマーが面内及び膜厚方向に配向するのを抑制するRth低下剤のうち、オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である化合物を選択することが好ましい。logP値が7以下の化合物であれば、高分子ポリマーとの相溶性に優れ、フィルムの白濁や粉吹きなどの不都合を生じない。またlogP値が0以上の化合物は、親水性が高くなりすぎることがなく、セルロースアセテートフィルムの耐水性を悪化させるなどの問題が生じないので好ましい。logP値としてさらに好ましい範囲は1〜6であり、特に好ましい範囲は1.5〜5である。
Rth低下剤は、好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、さらに好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。またRth低下剤は、高分子ポリマーフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
一般式(1):
一般式(2):
本発明の光学フィルムにおいて、短波長側の光学異方性を大きくしたい場合には下記式(10)で表されるΔRthを増加させる化合物(以下、波長分散調整剤ともいう)を、下記式(11)および(12)をみたす範囲で少なくとも一種含有することが好ましい。光学フィルム原料として使用するポリマーの種類や、前述のRth低下剤等の他の添加剤との組み合わせにもよるが、短波長側のRthを大きくしたい場合(前述の表3の分類Bまたは分類C)には、単位フィルム原料ポリマー量に対する波長分散調整剤の使用量を多くすることが好ましい。逆に短波長側のRthを小さくしたい場合(前述の表3の分類Aまたは分類D)には、その使用量は少なくするか、もしくは使用しないことが好ましい。(10)ΔRth=Rth(450)−Rth(650)(11)(ΔRth[B]−ΔRth[0])/B≧1.0(12)0.01≦B≦30
上記数式(11)、(12)において、より望ましくは、(11’):(ΔRth[B]−ΔRth[0])/B≧5.0(12’):0.05≦B≦20であり、さらに望ましくは、(11”):(ΔRth[B]−ΔRth[0])/B≧10.0(12”):0.1≦B≦10ここで、 ΔRth[B]:ΔRthを増加させる化合物をB%含有した光学フィルムのΔRth(nm)ΔRth[0]:ΔRthを増加させる化合物を含有しない光学フィルムのΔRth(nm)B:フィルム原料ポリマーの質量を100としたときの化合物の質量(%)である。
波長分散調整剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。またこれら波長分散調整剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
一般式(3):Q31−Q32−OH
(式中、Q31は含窒素芳香族ヘテロ環、Q32は芳香族環を表す。)
一般式(4):
一般式(4−1):
一般式(4−2):
一般式(5):
一般式(5−1):
一般式(5−2):
一般式(5−3):
本発明では、光学フィルムの製造方法は特に限定はされない。公知のあらゆる技術を用いることができ、溶融製膜法を用いても溶液製膜法を用いてもよい。ソルベントキャスト法により高分子からなる光学フィルムを製造することが好ましく、原料のポリマーを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムは製造される。本発明の主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
本発明の高分子ポリマー溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。本発明における高分子ポリマー溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
本発明の高分子ポリマー溶液のドープ透明度としては85%以上であることがのぞましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上であることがのぞましい。本発明においては高分子ポリマードープ溶液に各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、島津製作所)で550nmの吸光度を測定した。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比から高分子ポリマー溶液の透明度を算出した。
次に、本発明の高分子ポリマー溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明の光学フィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が好ましく用いられる。以下に、該方法の好ましい態様について述べる。
溶解機(釜)から調製されたドープ(高分子ポリマー溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。ドープ膜を金属支持体からフィルムとして剥離後、フィルムを延伸する工程を設けてもよい。この際、延伸温度や延伸倍率等を適宜調節することによりフィルムの光学特性の波長依存性を調節することもできる。本発明の光学フィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜やハロゲン化銀写真感光材料に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
本発明の光学フィルムは、下記式(13)〜(14)を満たす光学異方性層と積層してもよい。
(13)0≦Re≦400
(14)−400≦Rth≦400好ましくは、
(13’)0≦Re≦300
(14’)−300≦Rth≦300である。
尚、式(13)〜(14’)中のRe及びRthは、各々可視領域のいずれかの波長の光で測定した面内レターデーション値(単位:nm)及び厚み方向のレターデーション値(単位:nm)である。測定する波長は、400〜700nmであることが好ましく、450〜650nmであることがより好ましく、500〜600nmであることが最も好ましい。
上記(13)および(14)を満たす光学異方性層の作製にあたっては、光学異方性層の作製に液晶性化合物を用いた場合は、液晶性化合物には多様な配向形態があるので、液晶性化合物を特定の配向状態に固定して作製した光学異方性層は、単層でまたは複数層の積層体により、所望の光学的性質を発現する。即ち、前記光学異方性層は、支持体と該支持体上に形成された1以上の光学異方性層とからなる態様であってもよい。かかる態様の光学異方性層全体のレターデーションは、光学異方性層の光学異方性によって調整することができる。液晶性化合物は、その分子の形状から、ディスコティック液晶、コレステリック液晶、棒状液晶に分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがあり、いずれも使用することができる。
上記した様に、光学異方性層はポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステル(例、セルローストリアセーテート、セルロースジアセテート)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。
本発明の光学フィルムは、場合により表面処理を行うことによって、光学フィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10−3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
本発明の光学フィルムを偏光板の透明保護フィルムとして用いる場合、表面処理の有効な手段の1つとしてアルカリ鹸化処理が上げられる。この場合、アルカリ鹸化処理後のフィルム表面の接触角が55°以下であることがのぞましい。よりのぞましくは50°以下であり、45°以下であることがさらにのぞましい。接触角の評価法はアルカリ鹸化処理後のフィルム表面に直径3mmの水滴を落とし、フィルム表面と水滴のなす角をもとめる通常の手法によって親疎水性の評価として用いることができる。
本発明の光学フィルムは、偏光板の透明保護膜として好ましく用いることができる。偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られた光学フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号に記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面に保護フィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。保護フィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、保護フィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明の光学フィルムを適用した偏光板保護フィルムはどの部位に配置してもよい。全ての可視光波長領域で光学補償できるようにする本発明の目的からは、液晶セル側の偏光板保護フィルムとして本発明の光学フィルムを用いることが効果的であり好ましい。
本発明の光学フィルムを光学補償フィルムとして用いた場合、例えば本発明の光学フィルムの片面に光学異方性層を塗布または貼り合わせた場合は、すでに偏光子の両面を保護フィルムで貼り合わせて作製された偏光板に粘着剤を介して光学補償フィルムを貼り合わせてもよいし、もしくは、本発明の光学フィルムの光学異方性層を塗布または貼り合わせていない側を表面処理し、偏光板の保護フィルムとして、直接偏光子と貼り合わせてもよい。この場合、例えばポリビニルアルコール系の偏光板を作製する方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。たとえば、光学フィルムの表面をアルカリ鹸化処理、プラズマ処理、コロナ放電処理などにより表面改変し、ポリビニルアルコールフィルム(PVA)を沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に貼り合わせる方法を用いることができる。
本発明の光学フィルムを偏光板の保護膜とし、液晶表示装置に用いる場合、表面に各種の機能層を付与してもよい。それらは、例えば、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、防眩層、反射防止層、易接着層、光学補償層、配向層、液晶層帯電防止層、などで・BR> る。本発明の光学フィルムを用いることができるこれらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
本発明の液晶表示装置は、光学フィルム(光学補償フィルム)、液晶セル、偏光板を組み合わせて用いる。光学フィルム(光学補償フィルム)、液晶セル、偏光板は密着していることが好ましく、密着させるためには公知の粘着剤や接着剤を用いることができる。
例えば本発明の光学フィルム、光学補償フィルム、及び偏光板の少なくともいずれかを液晶表示装置に使用する場合、液晶表示装置は、光学異方性層を少なくとも一層含んでいてもよい。該光学異方性層は下記式(15)および(16)を満たすことが好ましい。(15)0≦Re≦400(16)−400≦Rth≦400
尚、(15)及び(16)式中、Re及びRthは、各々可視領域のいずれかの波長の光で測定した面内レターデーション値(単位:nm)及び厚み方向のレターデーション値(単位:nm)である。測定する波長は、400〜700nmであることが好ましく、450〜650nmであることがより好ましく、500〜600nmであることが最も好ましい。
光学異方性層は単層構造に限定されるものではなく、複数の層を積層した積層構造を有していてもよい。積層構造の態様では、各層の素材は同種でなくてもよく、例えば、ディスコティック液晶、コレステリック液晶、棒状液晶を用いた光学異方性層を単独または組み合わせて用いても良い。また、ポリマーフィルムと液晶性化合物からなる光学異方性層との積層体であってもよい。積層構造の態様では、厚さを考慮すると、高分子の延伸フィルムの積層体よりも、塗布によって形成された層を含む塗布型の積層体が好ましい。
光学異方性層については、例えば前述の積層型の光学補償フィルムの説明において挙げたものを使用することができる。
液晶表示装置が、黒表示時に液晶分子が平行配向する液晶セルを含むとき、斜め方向の光漏れが小さく、かつ色味変化が小さい良好な視野角特性を得るためには、下記式(19)〜(22)のいずれかを満たす光学異方性層を少なくとも一層含むことが好ましい。本発明の液晶表示装置のさらに好ましい態様の一つは、式(20)を満たす光学異方性層および式(21)を満たす光学異方性層を含む。もう一つのさらに好ましい態様は、式(20)を満たす光学異方性層および式(22)を満たす光学異方性層を含む。
(19)100≦Re≦400、且つ−50≦Rth≦50
(20)0≦Re≦20、且つ−400≦Rth≦−50
(21)60≦Re≦200、且つ20≦Rth≦120
(22)30≦Re≦150、且つ100≦Rth≦400
液晶表示装置が、黒表示時に液晶分子がベンド配向する液晶セルを含むとき、斜め方向の光漏れが小さく、かつ色味変化が小さい良好な視野角特性を得るためには、ディスコティック液晶化合物を含有する光学異方性層を少なくとも一層含むことが好ましい。該ディスコティック液晶化合物の配向状態は、円盤面が該光学異方性層面に対して傾斜していることが好ましく、該傾斜角は光学異方性層の厚さ方向において変化するハイブリッド配向であることがさらに好ましい。
尚、各光学異方性層のRe及びRthは、各々可視領域のいずれかの波長の光で測定した面内レターデーション値(単位:nm)及び厚み方向のレターデーション値(単位:nm)である。測定する波長は、400〜700nmであることが好ましく、450〜650nmであることがより好ましく、500〜600nmであることが最も好ましい。
なお、本発明を実施するにあたり、原料素材の選択の際の検討基準としてポリマー素材にセルロースアシレートを用いた場合は、そのアシル置換度が大きいほどレターデーションを低下させるのに有効なことを見出した。セルローストリアセテートのアシル置換度を変えた場合のRth(550)を図9に示した。
尚、本実施例において、Rth低下剤及び波長分散調整剤として示した化合物は、明細書中記載の化合物を表す。
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレートの溶液CA−1を調製した。
Ac置換度2.92のセルロースアセテート 100.0質量部
Rth低下剤 化合物119 14.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)を20質量部、メタノール80質量部を30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液MT−1を調製した。
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 10.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアシレート溶液CA−1 10.3質量部
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液AD−1を調製した。
波長分散調整剤 UV−208 7.6質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液CA−1 12.8質量部
上記セルロースアシレート溶液CA−1を94.6質量部、マット剤溶液MT−1を1.3質量部、添加剤溶液AD−1を2.3質量部それぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。上記組成でRth低下剤および波長分散調整剤のセルロースアシレートに対する質量比はそれぞれ14.0%、1.0%であった。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、135℃で20分間乾燥させセルロースアシレートフィルムを製造した。出来あがった光学フィルム001の残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は80μmであった。
実施例1のセルロースアシレート溶液CA−1中の化合物119の量を12.0質量部に、添加剤溶液AD−1中のUV−208の量を3.0質量部に変えた以外は実施例1と同様の操作により、膜厚80μm、表4に示す光学性能である光学フィルム002を得た。
実施例1のセルロースアシレート溶液CA−1中の化合物119の量を10.0質量部に、添加剤溶液AD−1中のUV−208の量を1.5質量部に変えた以外は実施例1と同様の操作により、膜厚80μm、表4に示す光学性能である光学フィルム003を得た。
実施例1の添加剤溶液AD−1中のUV−208をUV−20に変えた以外は実施例1と同様の操作により、膜厚80μm、表4に示す光学性能である光学フィルム004を得た。
実施例1の添加剤溶液AD−1中のUV−208をUV−3に変えた以外は実施例1と同様の操作により、膜厚80μm、表4に示す光学性能である光学フィルム005を得た。
実施例1のセルロースアシレート溶液CA−1中の化合物119の量を16.0質量部に、添加剤溶液AD−1中のUV−208をUV−3に、UV−3の量を15.2質量部に変えた以外は実施例1と同様の操作により、膜厚80μm、表4に示す光学性能である光学フィルム006を得た。
実施例6の添加剤溶液中のUV−3の量を12.2質量部に変えた以外は実施例1と同様の操作により、膜厚80μm、表4に示す光学性能である光学フィルム007を得た。
実施例1のセルロースアシレート溶液CA−1中の化合物119の量を12.0質量部に、添加剤溶液AD−1中のUV−208をUV−102に、UV−102の量を9.1質量部に変えた以外は実施例1と同様の操作により、膜厚80μm、表4に示す光学性能である光学フィルム008を得た。
比較例として、市販のセルロースアシレートフィルムであるフジタックTD80UL(富士写真フィルム社製、膜厚80μm)を用意した。このフィルムは表4に示す光学性能を持っていた。
比較例として、市販のシクロオレフィンのフィルムであるゼオノアZF−14(日本ゼオン社製、膜厚100μm)を用意した。このフィルムは表4に示す光学性能を持っていた。
(偏光板加工)
(偏光板の作製)
本発明の光学フィルム001の表面をアルカリ鹸化処理した。1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に55℃で2分間浸漬し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光膜を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、前記のアルカリ鹸化処理した光学フィルム001と、同様のアルカリ鹸化処理したフジタックTD80UL(富士写真フィルム社製)を用意し、これらの鹸化した面が偏光膜側となるようにして偏光膜を間に挟んで貼り合わせ、光学フィルム001とTD80ULが偏光膜の保護フィルムとなっている偏光板101を得た。この際、光学フィルム001およびTD80ULの遅相軸が偏光膜の吸収軸と平行になるように貼り付けた。同様にして本発明の光学フィルム002〜008についても偏光板を作製し、以下これら偏光板を偏光板102〜108という。これら偏光板はいずれも十分な偏光性能を持っていた。
(VAパネルへの実装)
液晶表示装置に用いる光学補償フィルムの光学特性の種類により、以下のA〜Dの4系統にてVAパネルへの実装評価を行った。
本発明の光学フィルムをVAモードの液晶表示装置にて実装評価を行った。VAモードの液晶TV(LC−20C5、シャープ(株)製)の表裏の偏光板および位相差板を剥して実装用の液晶セルとして用いた。上記実施例9と同様にして偏光膜を作製した。この偏光膜の一方の面に、表面を鹸化処理した光学補償フィルム4−Aを、他方の面に、表面を鹸化処理したセルローストリアセテートフィルム(フジタック TD80UL、富士写真フイルム(株)製)を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせ、偏光板4−Aを作製した。光学補償フィルム4−Aの光学特性を表5に示す。図5の構成で、光学補償フィルム4と偏光板1として偏光板4−A、液晶セル3として上記のVA液晶セル、光学フィルム5と偏光板2として上記実施例9で作製した偏光板101を用い、それぞれを粘着剤を用いて貼り合わせた。この際、偏光板4−Aの光学補償フィルム4−Aが液晶セル側になるように、かつ、偏光板101の光学フィルム001が液晶セル側になるように貼り合わせた。また光学補償フィルム4−Aの遅相軸は偏光板1の吸収軸と直交するように貼り合わせた。上記と同様にして、実施例9で得た偏光板102、比較例1、2を用いた偏光板201、202も表5に示す光学補償フィルム4−Aとの組合せで貼り合わせ実装した。
上記実施例10(分類A)と同様の構成にて、偏光板101の代わりに偏光板103、104、201、または202を用い、さらに光学補償フィルム4−Aの代わりに表6に示す光学性能を有する光学補償フィルム4−Bを用いて貼り合わせ実装した。
上記実施例10(分類A)と同様の構成にて、偏光板101の代わりに偏光板105、106、201、または202を用い、さらに光学補償フィルム4−Aの代わりに表7に示す光学性能を有する光学補償フィルム4−Cを用いて貼り合わせ実装した。
上記実施例10(分類A)と同様の構成にて、偏光板101の代わりに偏光板107、108、201、または202を用い、さらに光学補償フィルム4−Aの代わりに表8に示す光学性能を有する光学補償フィルム4−Dを用いて貼り合わせ実装した。
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレートの溶液CA−2を調製した。
Ac置換度2.81のセルロースアセテート 100.0質量部
TPP(トリフェニルフォスフェート) 7.8質量部
BDP(ビフェニルジフェニルフォスフェート) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)を20質量部、メタノール80質量部を30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液MT−2を調製した。
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 10.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアシレート溶液CA−2 10.3質量部
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液AD−2を調製した。
下記のレターデーション発現剤X 11.5質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液CA−2 12.8質量部
上記セルロースアシレート溶液CA−2を94.6質量部、マット剤溶液MT−2を1.3質量部、添加剤溶液AD−2を2.3質量部それぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。上記組成でレターデーション発現剤のセルロースアシレートに対する質量比は1.0%であった。残留溶剤量30%でフィルムをバンド から剥離し、140℃で40分間乾燥させセルロースアシレートフィルムを製造した。出来あがったセルロースアシレートフィルム401の残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は140μmであった。
上記で得たセルロースアシレートフィルム401を、連続した長尺フィルムをテンタークリップの長手方向の間隔が把持、搬送している間に狭くなる構造のテンターを用いて幅方向に延伸する工程を持っている延伸装置に送り出し、フィルム温度を180℃に設定して30秒後加熱ゾーンを通過した後に延伸を開始、フィルム長手方向は0.72倍緩和収縮させ、テンタークリップにより幅方向を1.23倍延伸し、延伸後の膜厚182μmの光学補償フィルム4−Aを得た。
上記光学補償フィルム4−Aの作製方法において、セルロースアシレート溶液CA−2組成中、Ac置換度2.81のセルロースアセテートをAc置換度2.92のセルロースアセテートにかえる以外は、同様の操作を行い、セルロースアシレートフィルム試料402を得た。これを用いて、上記光学補償フィルム4−Aの作製と同様の手法により光学補償フィルム4−Bを得た。
上記光学補償フィルム4−Aの作製方法において、セルロースアシレート溶液CA−2組成中、Ac置換度2.81のセルロースアセテートをAc置換度2.86のセルロースアセテートにかえる以外は、同様の操作を行い、セルロースアシレートフィルム試料403を得た。これを用いて、フィルム温度を180℃に設定して30秒後加熱ゾーンを通過した後に固定ニ軸延伸を開始、フィルム長手方向は1.2倍、幅方向を1.1倍延伸し、延伸後の膜厚180μmの光学補償フィルム4−Cを得た。
上記光学補償フィルム4−Aの作製方法において、添加剤溶液AD−2組成中、レターデーション発現剤である化合物Xの量を11.5質量部から8.6質量部に変える以外は、同様の操作を行い、セルロースアシレートフィルム試料404を得た。これを用いて、フィルム温度を180℃に設定して30秒後加熱ゾーンを通過した後に固定ニ軸延伸を開始、フィルム長手方向は1.2倍、幅方向を1.1倍延伸し、延伸後の膜厚180μmの光学補償フィルム4−Dを得た。
上記(分類A)〜(分類D)で作製したVAモードの実装パネルを、図5の構成で偏光板1側にバックライトを設置した液晶表示装置とし、各々のサンプルについて、画面を黒表示とした場合の方位角45度、極角60度からの斜め方向の色味変化を評価した。結果は表4に記載した。色味評価において、色味変化(黄色味または赤味)が全く見られない場合を○、極角60度で色味変化が見られるが極角を60度から30度まで戻すと色味変化はなくなる場合を△、いずれの極角でも色味変化が認められる場合を×、とした。結果を表4に示す。本実施例にて作製した本発明の光学フィルム001〜008を用いたサンプルはいずれも斜め方向見ても色味変化が無く、また光漏れが見られなかった。一方、比較例1および2のフィルムを用いた液晶パネルを斜め方向から見たところ光漏れが認められ、漏れている光の着色(やや赤み傾向あり)が確認できた。これは、比較例1のTD80ULはRe、Rthの光学性能、とくにRthの絶対値が大きく、十分な光学補償が行われていないためである。また、比較例2のゼオノアZF−14は、本発明の光学フィルムと異なり、波長依存性がないため、図6において液晶セルを通過した偏光状態がR、G、B各波長で異なる点に移動しているのを、図5の光学フィルム5で一致させることができないためである。また、画面を白表示とした際にも測定を行い、黒表示時とのコントラスト比を求めたところ、本発明の光学フィルムを用いた場合はいずれも優れたコントラスト比を有することがわかった。
(IPSパネルへの実装評価)
図2の構成で、偏光板1として、上記実施例9で作製した偏光板108、偏光板2として、上記実施例9で作製した偏光板201、液晶セル3として市販のIPS型の液晶セル、を用い、それぞれを粘着剤を用いて貼り合わせた液晶表示装置(IPS−1)を作製した。この際、液晶セルと偏光板108の光学フィルム008側を貼り合わせた。また上下の偏光板の透過軸を直交させ、上側の偏光板の透過軸は液晶セルの分子長軸方向と平行(すなわち光学補償層の遅相軸と液晶セルの分子長軸方向は直交)とした。液晶セルや電極・基板はIPSとして従来から用いられているものがそのまま使用できる。液晶セルの配向は水平配向であり、液晶は正の誘電率異方性を有している。一例として、IPSモードを用いた市販の液晶テレビ(松下電器製、TH−32LX500)から、偏光板やその他部材を取り除いた液晶セル、を好ましく用いることができる。
(光学補償フィルム5−Aの作製)
上記実施例10と同様にして、セルロースアシレートを含む溶液を調製した。セルロースアシレート溶液CA−2を100質量部とマット剤溶液MT−2を1.3質量部を混合し、さらに、セルロースアセテート100質量部に対してレタデーション発現剤Xが6質量部となるように添加剤溶液AD−2を混合し、製膜用ドープを調製した。
水酸化カリウム 4.7質量部
水 15.7質量部
イソプロパノール 64.8質量部
プロピレングリコール 14.9質量部
C16H33O(CH2CH2O)10H(界面活性剤) 1.0質量部
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
下記の棒状液晶性化合物(I) 100質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
下記のフッ素系ポリマー 0.4質量部
下記のピリジニム塩 1質量部
メチルエチルケトン 172質量部
ポリカーボネートフィルムの両
面に、熱収縮性フィルムをアクリル系粘着層を介して接着し、これを加熱して熱収縮性フィルムを収縮させながら延伸装置を用いて延伸した後、熱収縮性のフィルムを剥がした。このようにして、Reが268nm、Rthが1nm、厚さが60μmである光学補償フィルム5−Bを作製した。
アートンフィルム(JSR(株)製)の両面に、熱収縮性フィルムをアクリル系粘着層を介して接着し、これを加熱して熱収縮性フィルムを収縮させながら延伸装置を用いて延伸した後、熱収縮性のフィルムを剥がした。このようにして、Reが195nm、Rthが−20nm、厚さが135μmである光学補償フィルム5−Cを作製した。
アートンフィルム(JSR(株)製)を一軸延伸して、Reが170nm、Rthが85nm、厚さが70μmであるフィルムA1を作製した。
アートンフィルムA1の表面にコロナ処理を施し、その上に、上記と同様にして配向膜を形成した。さらに、上記の棒状液晶化合物を含む塗布液を用いて光学異方性層B2を形成した。光学異方性層B2のみのReは0nmであり、Rthは−135nmであった。また、棒状液晶分子がフィルム面に対して実質的に垂直に配向している光学異方性層が形成されたことが確認できた。このようにして、アートンフィルムA1に光学異方性層B2が積層された光学補償フィルム5−Dを作製した。
上記実施例9と同様にして偏光膜を作製した。この偏光膜の一方の面に、上記作製した光学補償フィルム5−Aの光学異方性層B1が形成されていない面(即ち、セルロースアセテートフィルムT1の裏面)を、他方の面に、表面を鹸化処理したセルローストリアセテートフィルム(フジタック TD80UL、富士写真フイルム(株)製)を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせ、偏光板5−Aを作製した。このとき、偏光膜の吸収軸とセルロースアセテートフィルムT1の遅相軸とは直交となるようにした。
上記作製した光学補償フィルム5−Bと実施例9の偏光板104とをアクリル系粘着剤を用いて貼り合せた。このとき、偏光膜の吸収軸と光学補償フィルム5−Bの遅相軸とは平行となるようにした。このようにして、光学補償フィルム付き偏光板5−Bを作製した。
上記実施例9と同様にして偏光膜を作製した。この偏光膜の両方の面に、表面を鹸化処理したセルローストリアセテートフィルム(フジタック T40UZ、富士写真フイルム(株)製、Re=1nm、Rth=35nm、厚み40μm)を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせ、偏光板301を作製した。
上記作製した光学補償フィルム5−Cと偏光板301とをアクリル系粘着剤を用いて貼り合せた。このとき、偏光膜の吸収軸と光学補償フィルム5−Cの遅相軸とは直交となるようにした。このようにして、光学補償フィルム付き偏光板5−Cを作製した。
上記作製した光学補償フィルム5−Dと偏光板301とをアクリル系粘着剤を用いて貼り合せた。このとき、光学補償フィルム5−Dに含まれる光学異方性層B2が偏光板301側となるようにし、かつ、偏光膜の吸収軸と光学補償フィルム5−Dの遅相軸とは平行となるようにした。このようにして、光学補償フィルム付き偏光板5−Dを作製した。
液晶表示装置に用いる光学補償フィルムの光学特性の種類により、以下のA〜Dの4系統にてIPSパネルへの実装評価を行った。
図5の構成で、光学補償フィルム4と偏光板1として上記偏光板5−A、液晶セル3としてIPS液晶セル、光学フィルム5と偏光板2として、上記実施例9で作製した偏光板104を用い、それぞれを粘着剤を用いて貼り合わせた。この際、偏光板5−Aの光学補償フィルム5−Aが液晶セル側になるように、かつ、偏光板104の光学フィルム004が液晶セル側になるように貼り合わせた。また、上下の偏光板の吸収軸を直交させ、下側の偏光板の吸収軸は液晶セルの分子長軸方向と直交(すなわち光学補償フィルム5−Aの遅相軸と液晶セルの分子長軸方向は平行)とした。なお、液晶テレビTH-32LX500(松下電器産業(株)社製)から、液晶セルを取り出し、視認者側及びバックライト側に貼られてあった偏光板及び光学フィルムを剥したものを、液晶セル3として用いた。この液晶セルは、電圧無印加状態及び黒表示時では液晶分子はガラス基板間で実質的に平行配向しており、その遅相軸方向は画面に対して水平方向であった。同様にして、実施例9で得た比較例1、2の光学フィルムを本発明の光学フィルムの代わりに用いた偏光板を使用して同様の層構成で貼り合わせ実装した。
図5の構成で、光学補償フィルム4と偏光板1として上記偏光板5−B、液晶セル3としてIPS液晶セル、光学フィルム5と偏光板2として、上記実施例9で作製した偏光板104を用い、それぞれを粘着剤を用いて貼り合わせた。この際、偏光板5−Bの光学補償フィルム5−Bが液晶セル側になるように、かつ、偏光板104の光学フィルム004が液晶セル側になるように貼り合わせた。また、上下の偏光板の吸収軸を直交させ、下側の偏光板の吸収軸は液晶セルの分子長軸方向と直交(すなわち光学補償フィルム5−Bの遅相軸と液晶セルの分子長軸方向は直交)とした。液晶セルは上記分類Aと同じ平行配向セルを用いた。同様にして、実施例9で得た比較例1、2の光学フィルムを本発明の光学フィルムの代わりに用いた偏光板を使用して同様の層構成で貼り合わせ実装した。
図5の構成で、光学補償フィルム4と偏光板1として上記偏光板5−C、液晶セル3としてIPS液晶セル、光学フィルム5と偏光板2として、上記実施例9で作製した偏光板104を用い、それぞれを粘着剤を用いて貼り合わせた。この際、偏光板5−Cの光学補償フィルム5−Cが液晶セル側になるように、かつ、偏光板104の光学フィルム004が液晶セル側になるように貼り合わせた。また、上下の偏光板の吸収軸を直交させ、下側の偏光板の吸収軸は液晶セルの分子長軸方向と直交(すなわち光学補償フィルム5−Cの遅相軸と液晶セルの分子長軸方向は平行)とした。液晶セルは上記分類Aと同じ平行配向セルを用いた。同様にして、実施例9で得た比較例1、2の光学フィルムを本発明の光学フィルムの代わりに用いた偏光板を使用して同様の層構成で貼り合わせ実装した。
図5の構成で、光学補償フィルム4と偏光板1として上記偏光板5−D、液晶セル3としてIPS液晶セル、光学フィルム5と偏光板2として、上記実施例9で作製した偏光板104を用い、それぞれを粘着剤を用いて貼り合わせた。この際、偏光板5−Dの光学補償フィルム5−Dが液晶セル側になるように、かつ、偏光板104の光学フィルム004が液晶セル側になるように貼り合わせた。また、上下の偏光板の吸収軸を直交させ、下側の偏光板の吸収軸は液晶セルの分子長軸方向と直交(すなわち光学補償フィルム5−Dの遅相軸と液晶セルの分子長軸方向は直交)とした。液晶セルは上記分類Aと同じ平行配向セルを用いた。同様にして、実施例9で得た比較例1、2の光学フィルムを本発明の光学フィルムの代わりに用いた偏光板を使用して同様の層構成で貼り合わせ実装した。
(OCBパネルへの実装評価)
実施例1で得た本発明の光学フィルム001を用いて、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載のOCB型液晶表示装置での評価をしたところ、コントラスト視野角が良好な性能が得られ、この際の色味変化も上記の実施例10で行った同様の評価を行ったところ良好な結果を得た。また、比較例1、2の光学フィルムを用いて同様の評価を実施したところ、本発明よりも劣っていた。以上の結果を表4に示す。
Claims (19)
- フィルムのレターデーションが下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする光学フィルム。
(1)0≦Re(550)≦10
(2)−25≦Rth(550)≦25
(3)|I|+|II|+|III|+|IV|>0.5(nm)
ここで、I=Re(450)−Re(550)
II=Re(650)−Re(550)
III=Rth(450)−Rth(550)
IV=Rth(650)−Rth(550)である。
(式中Re(450)、Re(550)、Re(650)は、それぞれ波長450nm、550nm、650nmの光で測定した面内レターデーション値(単位:nm)であり、Rth(450)、Rth(550)、Rth(650)はそれぞれ波長450nm、550nm、650nmの光で測定した厚み方向のレターデーション値(単位:nm)である。) - 前記I、II、III、及びIVが下記式(4−A)〜(7−A)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
(4−A)−50≦I≦0
(5−A)0≦II≦50
(6−A)−50≦III<0
(7−A)0<IV≦50 - 前記I、II、III、及びIVが下記式(4−B)〜(7−B)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
(4−B)−50≦I<0
(5−B)0<II≦50
(6−B)0≦III≦50
(7−B)−50≦IV≦0 - 前記I、II、III、及びIVが下記式(4−C)〜(7−C)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
(4−C)0≦I≦50
(5−C)−50≦II≦0
(6−C)0<III≦50
(7−C)−50≦IV<0 - 前記I、II、III、及びIVが下記式(4−D)〜(7−D)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
(4−D)0<I≦50
(5−D)−50≦II<0
(6−D)−50≦III≦0
(7−D)0≦IV≦50 - 光学フィルムの原料ポリマーに、セルロースアシレートが使用されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルム。
- セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基のみからなり、その全置換度が2.56〜3.00であることを特徴とする請求項6に記載の光学フィルム。
- セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなり、その全置換度が2.50〜3.00であることを特徴とする請求項6に記載の光学フィルム。
- Rth(550)を低下させる化合物を、下記式(8)および(9)をみたす範囲で少なくとも一種含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学フィルム。
(8)(Rth[A]−Rth[0])/A≦−1.0
(9)0.01≦A≦30
ここで、Rth[A]:Rth(550)を低下させる化合物をA%含有した光学フィルムの550nmにおけるRth(nm)Rth[0]:Rth(550)を低下させる化合物を含有しない光学フィルムの550nmにおけるRth(nm)A:光学フィルム原料ポリマーの質量を100としたときの化合物の質量(%)である。 - 下記式(10)で表されるΔRthを増加させる化合物を、下記式(11)および(12)をみたす範囲で少なくとも一種含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光学フィルム。
(10)ΔRth=Rth(450)−Rth(650)
(11)(ΔRth[B]−ΔRth[0])/B≧1.0
(12)0.01≦B≦30
ここで、ΔRth[B]:ΔRthを増加させる化合物をB%含有した光学フィルムのΔRth(nm)ΔRth[0]:ΔRthを増加させる化合物を含有しない光学フィルムのΔRth(nm)B:フィルム原料ポリマーの質量を100としたときの化合物の質量(%)である。 - 膜厚が20〜200μmであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の光学フィルム。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の光学フィルムおよび下記式(13)および(14)を満たす光学異方性層を含むことを特徴とする光学補償フィルム。
(13)0≦Re≦400
(14)−400≦Rth≦400
(式中Re及びRthは、各々可視領域のいずれかの波長の光で測定した面内レターデーション値(単位:nm)及び厚み方向のレターデーション値(単位:nm)である。) - 請求項1〜11のいずれかに記載の光学フィルム、又は請求項12に記載の光学補償フィルムの少なくとも1枚と、偏光子とを有することを特徴とする偏光板。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の光学フィルム、請求項12に記載の光学補償フィルム、及び請求項13に記載の偏光板、の少なくともいずれかを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の光学フィルム、請求項12に記載の光学補償フィルム、及び請求項13に記載の偏光板の少なくともいずれかを含み、かつ、下記式(15)および(16)を満たす光学異方性層を少なくとも一層含むことを特徴とする液晶表示装置。
(15)0≦Re≦400
(16)−400≦Rth≦400
(式中Re及びRthは、各々可視領域のいずれかの波長の光で測定した面内レターデーション値(単位:nm)及び厚み方向のレターデーション値(単位:nm)である。) - 黒表示時に液晶分子が垂直配向、平行配向、またはベンド配向している液晶セルを含むことを特徴とする請求項14または15に記載の液晶表示装置。
- 黒表示時に液晶分子が垂直配向している液晶セルを含み、前記光学異方性層が下記式(17)および(18)を満たす層を少なくとも一層含むことを特徴とする請求項16に記載の液晶表示装置。
(17)10≦Re≦150
(18)50≦Rth≦400
(式中Re及びRthは、各々可視領域のいずれかの波長の光で測定した面内レターデーション値(単位:nm)及び厚み方向のレターデーション値(単位:nm)である。) - 黒表示時に液晶分子が平行配向している液晶セルを含み、前記光学異方性層が下記式(19)〜(22)のいずれかを満たす層を少なくとも一層含むことを特徴とする請求項16に記載の液晶表示装置。
(19)100≦Re≦400、且つ−50≦Rth≦50
(20)0≦Re≦20、且つ−400≦Rth≦−50
(21)60≦Re≦200、且つ20≦Rth≦120
(22)30≦Re≦150、且つ100≦Rth≦400
(式中Re及びRthは、各々可視領域のいずれかの波長の光で測定した面内レターデーション値(単位:nm)及び厚み方向のレターデーション値(単位:nm)である。) - 黒表示時に液晶分子がベンド配向している液晶セルを含み、前記光学異方性層がディスコティック液晶化合物を含有する層を少なくとも含むことを特徴とする請求項16に記載の液晶表示装置。
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