JP2007271273A - 潤滑剤劣化検出装置およびセンサ付き軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 この潤滑剤劣化検出装置1では、平面的なエリアを撮像可能なエリア撮像素子4の撮像面に、表面に凹凸形状を持った透明の検出部材3を設ける。この検出部材3の前記凹凸面を測定対象の潤滑剤6の配置面とし、前記検出部材3に対面して光を投射する光源2を設ける。前記エリア撮像素子4の出力から、前記検出部材3の前記凹凸形状に応じた受光強度を測定して潤滑剤6の劣化具合を判定する判定手段5を設ける。
【選択図】 図1
Description
軸受の摩耗状態を検出するものとしては、軸受のシールの内側に電極やコイル等のセンサを配置し、摩耗粉の混入する潤滑剤の電気的特性(抵抗値や静電容量)を前記センサで検出するようにしたセンサ付き軸受が提案されている(例えば特許文献1)。
・ノイズの影響を受ける。
・軸受内部の温度変化による影響を受ける。
・コンパクトに出来ないため、取付位置に制約を受ける。
といった課題がある。
この場合、潤滑剤の厚さが透過光量に影響するので、潤滑剤の厚さが一定となるように、測定部に潤滑剤を存在させる構成が必要になる。
この構成によると、検出部材の潤滑剤の配置面を凹凸面としたため、前記配置面に配置された潤滑剤の厚さに凹部と突部とで違いが生じる。そのため、前記光源から照明光を照射し、透過光をエリア撮像素子で観測することにより、潤滑剤の厚さの違いによる光透過量の違いが検出され、この違いによって潤滑剤の透過率の測定等により潤滑剤の劣化状態が判定される。この場合に、透過光の強度そのものは、潤滑剤の厚さや光源の光強度によって変化するが、透過光の減衰比率はこれらの要因によっては変化しないので、潤滑剤の厚さの違いから透過光の減衰比率を求めることで、潤滑剤の安定した劣化検出が可能である。また、エリア撮像素子を用いるため、広い面積の測定を行って画像処理やフィルタ処理ができ、そのため細かなノイズや気泡や、ごみ等の影響を受けずに、安定した光透過率測定が可能になる。光源のむらや潤滑剤の厚さ分布のような大きな領域での変化は、補正によってキャンセルできるため、撮像面積が広くても検出が可能である。
このように、潤滑剤が広く分布する場合でも、潤滑剤の厚さやごみ・気泡などによる影響を受けずに、潤滑剤の劣化状態を安定して精度良く検出することができる。
また、エリア撮像素子の撮像面に検出部材を設けることから、検出部材の光透過画像をエリア撮像素子の撮像面に結像させる結像光学系を別に配置する必要がなく、それだけ潤滑剤劣化検出装置を小型化でき、軸受内部などの検出部への設置が容易となる。
また、前記検出部材の前記凹凸が、深さの異なる2種類以上の凹部を有するものであっても良い。この場合、潤滑剤の厚さの種類が増えるため、潤滑剤の光透過情報としてより広範囲のデータを得て、さらに精度の良い劣化検出を行うことが可能である。
この潤滑剤劣化検出装置では、検出部材の光透過画像をエリア撮像素子の撮像面に結像させる結像光学系が要らないことから、エリア撮像素子で撮像される画像の位置がずれることがない。そのため、エリア撮像素子で撮像された画像上に上記したように検出領域を設定して、各検出領域における輝度を平均化して輝度値を求め、輝度値によって潤滑剤の透過率を検出することとすれば、安定した検出が可能となる。
また、上記した各検出領域は、エリア撮像素子で撮像される画像の上に複数設定されるので、各検出領域の検出値を用いて画像全体における光強度を抽出してその強度比を求めることとすれば、広い面積にわたる潤滑剤の光透過率を測定することができ、より正確で安定した劣化検出が可能となる。
この構成によると、軸受内部に封入された潤滑剤の劣化を、リアルタイムで正確に検出することができる。これにより、軸受に動作異常が発生する前に潤滑剤の交換の必要性を判断でき、軸受の潤滑不良による破損を防ぐことができる。また、潤滑剤交換の必要性を潤滑剤劣化検出装置の出力によって判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤の量が減少する。
この発明のセンサ付き軸受は、上記発明の潤滑剤劣化検出装置を軸受に搭載したものであるため、軸受内部に封入された潤滑剤の劣化を、リアルタイムで正確に検出することができる。その結果、軸受に動作異常が発生する前に潤滑剤の交換の必要性を判断でき、軸受の潤滑不良による破損を防ぐことができる。また、潤滑剤交換の必要性を潤滑剤劣化検出装置の出力によって判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤の量が減少する。
(図2)のように検出部材3の凹凸段差d、つまり潤滑剤6の厚さの差に応じた値となる。この光強度の差が明暗の縞模様となったストライプ状のパターン画像として前記エリア撮像素子4で撮像される。
潤滑剤6に摩耗粉等の異物が混入していると、図2に曲線グラフで示す減衰量が変化する。そこで、判定手段5は、エリア撮像素子4で撮像された画像から、上記したように検出部材3の凹凸で厚さdだけ異ならせた潤滑剤6の透過光強度I1 ,I2 を比較することにより相対強度を求め、その相対強度から透過光の減衰比率を検出し、その検出値から潤滑剤6の内部に混入した混入物の量を推定する。透過光の強度そのものは、潤滑剤6の厚さや光源2の光強度によって変化するが、透過光の減衰比率はこれらの要因によっては変化しないので、安定した検出が可能である。また、混入物の増加は潤滑剤6の劣化状態の進行を意味するので、判定手段5は、推定した混入物の量から潤滑剤6の劣化状態を検出することができる。
そこで、判定手段5では、画像の輝度を求める前に、画像全体の輝度分布を用いてシェーディング補正をかけ全体の輝度分布を一様にしてから、個別の領域における光強度を求めるのが望ましい。これにより、広く分布する潤滑剤6の光透過率を測定することができ、潤滑剤6の分布むらや、局所的な厚み変化などの影響を受けず、安定した劣化検出を行うことができる。
先ず、判定手段5の検出領域設定部8が、例えば、図6(A)のように前記パターン画像における円形暗部13a(凹部3aに相当する部分)以外の領域13b(突部3bに相当する部分)における所定部分を第1の検出領域10Aとして設定すると共に、各円形暗部13aにおける中央付近を第2の検出領域10Bとして設定する。なお、これらの検出領域10A,10Bは、前記パターン画像を用いて予め設定することができる。第2の検出領域10Bは、第1の検出領域10Aよりも潤滑剤6を透過した距離が長い光透過画像部分であるため、図6(B)に示すように第2の検出領域10Bの輝度I2 は第1の検出領域10Aの輝度I1 よりも低い。
上記した各検出領域10A,10Bはある程度の大きさがあるので、判定手段5の光透過率検出部9は、設定された第1の検出領域10Aの画像の輝度I1 を平均化し一種類の光強度I1 として抽出すると共に、第2の検出領域10Bの画像の輝度I2 も平均化してもう一種類の光強度I2 として抽出し、これら2種類の光強度I1 ,I2 の比から潤滑剤6の透過率を検出する。
また、上記した各検出領域10A,10Bは、エリア撮像素子4で撮像される画像の上に複数設定されるので、各検出領域10A,10Bの検出値を用いて画像全体における強弱の2種類の光強度度I1 ,I2 を抽出してその強度比を求めることで、広い面積にわたる潤滑剤6の光透過率を測定することができ、より正確で安定した劣化検出が可能となる。
なお、図3の検出部材3を使用した場合の説明では、判定手段5での信号処理として、検出領域設定部8や光透過率検出部9の機能について述べなかったが、上記と同様の信号処理を行って強弱の2種類の光強度度I1 ,I2 を抽出することができる。
また、エリア撮像素子4の撮像面に検出部材3を設けるので、検出部材3の光透過画像をエリア撮像素子4の撮像面に結像させる結像光学系を別に配置する必要がなく、それだけ潤滑剤劣化検出装置1を小型化できる。その結果、軸受内部などの検出部への潤滑剤劣化検出装置1の設置が容易となる。
後ろ蓋23は、車軸30に軸受21よりも中央側で取付けられて外周のオイルシール28を摺接させたものである。油切り22は、車軸30に取付けられて外周にオイルシール29を摺接させたものである。これら軸受21の両端部に配置される両オイルシール28,29により軸受21の内部に潤滑剤が封止され、かつ防塵・耐水性が確保される。
上記潤滑剤劣化検出装置1を搭載したこのセンサ付き軸受21では、軸受内部に封入された潤滑剤の劣化を、リアルタイムで正確に検出することができる。その結果、軸受21に動作異常が発生する前に潤滑剤の交換の必要性を判断でき、軸受21の潤滑剤不良による破損を防ぐことができる。これにより、設備の保守作業や交換の必要性を早期に判断することができ、装置の運転停止時間を最小限にすることもできる。また、潤滑剤交換の必要性を潤滑剤劣化検出装置1の出力によって判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤の量が減少する。
2…光源
3…検出部材
3a…凹部
3b…突部
4…エリア撮像素子
5…判定手段
6…潤滑剤
8…検出領域設定部
9…光透過率検出部
21…センサ付き軸受
Claims (7)
- 平面的なエリアを撮像可能なエリア撮像素子の撮像面に、表面に凹凸形状を持った透明の検出部材を設け、この検出部材の前記凹凸面を測定対象の潤滑剤の配置面とし、前記検出部材に対面して光を投射する光源を設け、前記エリア撮像素子の出力から、前記検出部材の前記凹凸形状に応じた受光強度を測定して潤滑剤の劣化具合を判定する判定手段を設けた潤滑剤劣化検出装置。
- 請求項1において、前記検出部材が前記エリア撮像素子の撮像面に直接に形成されてエリア撮像素子と一体化されたものである潤滑剤劣化検出装置。
- 請求項1または請求項2において、前記検出部材の前記凹凸が、凹部と突部が交互に並ぶストライプパターンとなったものである潤滑剤劣化検出装置。
- 請求項1または請求項2において、前記検出部材の前記凹凸が、丸孔形状の凹部を分散して配置したものである潤滑剤劣化検出装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記検出部材の前記凹凸が、深さの異なる2種類以上の凹部を有するものである潤滑剤劣化検出装置。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記判定手段は、前記検出部材の前記凹凸のパターンに応じて、エリア撮像素子で撮像された画像上に検出領域を設定する検出領域設定部と、この設定された検出処理内の画像の輝度を平均化して輝度値を求め、輝度値によって潤滑剤の透過率を検出する光透過率検出部とを有するものとした潤滑剤劣化検出装置。
- 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の潤滑剤劣化検出装置を軸受に搭載したセンサ付き軸受。
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