JP5126148B2 - 潤滑剤の塗布状態検査装置及び塗布状態検査方法 - Google Patents
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Description
図10に示すフロントアクスルでは、ナックル21にはアーム(不図示)が複数本設けられており、ナックル21の内側に潤滑剤22を塗布した後にベアリング23を圧入し、そこにハブ29を圧入する。ベアリング23は、スナップリング25のような係止部材によって抜け止めが施される。
その後、キャリバーなどを組んでいった状態で車体のラインへフロントアクスルAssyという形で送り、ハブ29の内径スプラインへドライブシャフト27を組み付ける。
例えば、特許文献1(特開2007−240526号公報)には、潤滑剤が塗布された検査対象を撮像し、撮像画像に基づいて潤滑剤の塗布状態を検査する発明が提案されている。詳しくは、転がり軸受の保持器における、蛍光成分を有する潤滑剤の塗布状態を検査する検査装置であって、紫外光を照射する紫外光源と、前記紫外光源に照射された転がり軸受けを撮像する撮像手段とを備え、紫外光を照射した状態でベアリングを撮像し、撮像画像に対して二値化処理を行った後、潤滑剤の領域の面積に基づいて保持器における潤滑剤の塗布状態を判断するものである。
また、特許文献1には、潤滑剤の塗布状態がはみ出しであることを検知するものの、潤滑剤はみ出し状態の良い場合と悪い場合についての良否判定については述べられていない。
また、前記ベアリングの圧入によって前記圧入面から前記判定領域にはみ出す潤滑剤のはみ出し領域から前記圧入面に塗布された潤滑剤の塗布状態の良否を判定する良否判定手段を備えるため、従来技術のように作業者の目視比較確認による結果のバラツキや誤判定を減少して信頼性を向上させる潤滑剤の塗布状態検査装置を提供でき、検査工程の自動化が可能となる。
このように、前記良否判定手段として、切れ目有無計測手段と面積計測手段と幅計測手段とを備えて潤滑剤の塗布状態の良否を判定することにより、より詳しい潤滑剤の塗布状態を基に、的確且つ従来技術よりも検査時間を短縮させて潤滑剤の塗布状態を検査することができる。よって、検査の信頼性が向上し、低コスト化が図れる。
前記二値化処理が施された撮像画像の色の変化具合を数値化した潤滑剤の欠陥度合に基づいて、前記略円環形状の判定領域内における潤滑剤のはみ出し領域の周方向の切れ目の有無を計測することにより、潤滑剤はみ出し領域の全周にわたって1mm以下の微少な切れ目を検出することができる。よって、潤滑剤の塗布量の変化を検知して塗布状態の良否を的確に判定することができる。
このように、前記二値化処理が施された撮像画像に対してエッジ処理手段と、演算手段とを用いることにより、ナックル内径の潤滑剤が塗布される内面(圧入摺動面)の反射光による潤滑剤のはみ出し領域の誤判定を抑制することができる。よって、塗布状態検査の信頼性を向上させることができる。
このように、前記二値化処理が施された撮像画像における白領域を特定し、該白領域の面積が潤滑剤の領域の面積として計測されることにより、潤滑剤の識別を容易にして潤滑剤の有無を計測することができる。
また、前記切れ目有無計測手段において、滑剤の欠陥度合が小さな値となるのは潤滑剤に切れ目がなく正常である場合の他に、潤滑剤が塗布されていない領域が連続する異常である場合が考えられるが、前記切れ目有無計測手段とあわせて面積計測手段を用いることにより潤滑剤の塗布面積から正常か異常かを判断することができるので、潤滑剤の塗布状態を正しく検査することができる。
なお、図示しないが、測定ユニット1を挟んで昇降シリンダ7と対峙する位置に点検用開閉シャッターが備えられている。
本発明においてワークとは、ナックルの内径の内面(圧入摺動面)に予めグリスを塗布してベアリングを圧入した後の状態のものであり、図1に示す検査装置はナックルにベアリングを圧入したときにベアリングの圧入面に沿って押出されてはみ出す潤滑剤のはみ出し領域に基づき、前記圧入面に塗布される潤滑剤の塗布状態を検査するものである。
図2に示す測定ユニット1は、ワーク2の塗布状態を撮影するカメラ4と、カメラ4に取りつけられて用いられるレンズ6と、ワーク2に紫外光を照射する紫外光照明部8と、紫外光の外部への漏洩を防ぐゴム製の遮光カバー3とで構成されている。紫外光照明部8は、傾斜面を有しており、円環状に配置される発光素子(LED)群9からなり、ワーク2へ紫外光を照射する。符号5は、ワーク2を搬送する搬送コンベアである。
なお、図3に示す撮像画像では、ナックル11やベアリング13のような金属面は白色に、例えばベアリング13の端面側に設けられる車速検知用のABS磁気エンコーダー(不図示)は黒色に撮影されるため、紫外光を照射して得られる撮像画像は画像装置に取り込むことにより容易に色で識別し易くなる。よって、ABS磁気エンコーダーを内蔵して設けて、該ABS磁気エンコーダーと同系色である潤滑剤がはみ出して重なったとしても、紫外光を照射して識別することができる。
まず、予め登録された比較用の登録マスターモデルとの座標変換を行い、位置ずれを修正する。その後、撮像画像に対して二値化処理を施す。二値化処理は、画像を構成する各画素の明るさを、一定の基準値により、黒色と白色の2つの値に変換する作業のことである。ここで、一定の基準値のことを閾値という。基準とする閾値の値によって、2値化を施した画像は異なるが、本実施形態では、図3に示す撮像画像の二値化処理画像を図4に示す。
二値化処理後、ベアリング13の圧入によって前記圧入面からはみ出る潤滑剤12の略円環形状の領域上に、潤滑剤12の塗布状態を検査するための略円環形状の判定領域10を設定する。判定領域10は潤滑剤12の略円環形状の領域の全周に渡るように設定されるが、図4に示すように、ABS磁気エンコーダー設けるために円環形状の一部を欠けさせた形としても良い。
このようにして、判定領域10内の潤滑剤はみ出し領域の面積を計測し、その良否を判定する。本実施形態では、80ドット以下でNGとする。
前記面積計測手段と同様にして、二値化処理後、ベアリング13の圧入によって前記圧入面からはみ出る潤滑剤12の略円環形状の領域上に、潤滑剤12の塗布状態を検査するための略円環形状の判定領域10を設定する。
図6によれば、潤滑剤12のはみ出し領域に切れ目14が存在する。切れ目14では、色の変化が大きく欠陥度が大きくなる。よって、欠陥度により、判定領域10内の潤滑剤はみ出し領域の切れ目の有無を計測することができる。なお、切れ目が大きくなるほど欠陥度が大きくなるため、切れ目の有無だけでなく大きさも計測することができる。
潤滑剤はみ出し領域の径方向の幅を計測するために、前記面積計測手段と同様にして、画像処理装置へ送られた撮像画像について二値化処理を行った後、略円環形状の潤滑剤12のはみ出し領域上に計測範囲Bを複数設け、前記計測範囲Bで潤滑剤12のはみ出し幅を計測する。計測範囲Bは円周上に16箇所設けることが好ましいが、図7ではその記載を省略する。潤滑剤はみ出し領域の径方向の幅は、16箇所設けられる計測範囲Bでの径方向の幅を計測することにより算出される。
その後、良否判定されたワークは、次の工程へ搬送されたり、作業者による点検を行ったりする。なお、各計測手段において、一つでも不良(NG)が出ると対象のワークは不良品と判定される。
このようにして、各計測手段に基づいて良否判定を行うことにより、潤滑剤の塗布状態の良否判定を的確に行い、検査の信頼性を向上させることができる。
2 ワーク
3 遮光カバー
4 カメラ
5 搬送コンベア
6 レンズ
7 昇降シリンダ
8 紫外光照明部
9 発光素子(LED)群
10 判定領域
11 ナックル
12 潤滑剤(グリス)
13 ベアリング
Claims (6)
- 蛍光成分を含有する潤滑剤が塗布される被検査体に対して紫外光を照射する紫外光照射手段と、前記被検査体をカメラで撮影する撮影手段と、該撮影手段により得られる撮像画像に対して二値化処理を施して前記潤滑剤の塗布状態を得る画像処理手段とを備える潤滑剤の塗布状態検査装置において、
前記被検査体は、車両の懸架装置を構成するナックルと該ナックルに圧入されるベアリングと該ナックルのベアリング圧入面に塗布される潤滑剤よりなり、
前記塗布状態検査装置は、該ナックルの該ベアリング圧入面に沿って略円環形状の判定領域を設定する判定領域設定手段と、前記ベアリングの圧入によって前記圧入面から前記判定領域にはみ出す潤滑剤のはみ出し領域から前記圧入面に塗布された潤滑剤の塗布状態の良否を判定する良否判定手段とを備えることを特徴とする潤滑剤の塗布状態検査装置。 - 前記良否判定手段は、前記略円環形状の判定領域内における潤滑剤のはみ出し領域の周方向の切れ目の有無を計測する切れ目有無計測手段と、前記判定領域内における該はみ出し領域の面積を計測する面積計測手段と、前記はみ出し領域の径方向の幅を計測する幅計測手段とを備え、夫々の計測結果に基づいて前記圧入面に塗布された潤滑剤の塗布状態の良否を判定することを特徴とする請求項1記載の潤滑剤の塗布状態検査装置。
- 前記切れ目有無計測手段は、前記二値化処理が施された撮像画像の色の変化具合を数値化した潤滑剤の欠陥度合に基づいて計測されることを特徴とする請求項2記載の潤滑剤の塗布状態検査装置。
- 前記幅計測手段は、前記二値化処理が施された撮像画像に対してエッジ処理を行って前記潤滑剤のはみ出し領域の中心から内径までの距離を求めるエッジ処理手段と、該エッジ処理手段から得られる前記距離に基づいて演算処理にて前記はみ出し領域の径方向の幅を算出する演算手段とを具備することを特徴とする請求項2記載の潤滑剤の塗布状態検査装置。
- 前記面積計測手段は、前記二値化処理が施された撮像画像における白領域を特定し、該白領域の面積が潤滑剤の領域の面積として計測されることを特徴とする請求項2記載の潤滑剤の塗布状態検査装置。
- 蛍光成分を含有する潤滑剤が塗布される被検査体に対して紫外光を照射し、前記紫外光が照射される被検査体をカメラで撮影し、その撮像画像に対して二値化処理を施して前記潤滑剤の塗布状態を検査する潤滑剤の塗布状態検査方法において、
前記被検査体は、車両の懸架装置を構成するナックルと該ナックルに圧入されるベアリングと該ナックルのベアリング圧入面に塗布される潤滑剤とし、該ナックルの該ベアリング圧入面に沿って略円環形状の判定領域を設定し、前記ベアリングの圧入によって前記圧入面から該判定領域にはみ出す潤滑剤のはみ出し領域から前記圧入面に塗布された潤滑剤の塗布状態の良否を判定検査することを特徴とする潤滑剤の塗布状態検査方法。
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