JP5920534B2 - 膜厚測定方法、膜厚測定装置及び記録媒体 - Google Patents

膜厚測定方法、膜厚測定装置及び記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、膜厚測定方法、膜厚測定装置及び記録媒体に関する。
金属の表面には、当該金属の保護や、美観を得ること等を目的として、樹脂皮膜が形成されることがある。
例えば、特許文献1には、ステンレス鋼板上に、有機・無機複合皮膜と、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体及び光安定剤を含み、前記複合皮膜の表面に形成された透明塗膜を有する透明塗装ステンレス鋼板が開示されている。この特許文献1では、この透明塗装ステンレス鋼板は、透明塗膜の耐光劣化を抑制できるために、外装用途の塗装鋼板として用いることができるとされている。
かかる特許文献1では、透明塗膜の厚さは0.1〜20μmにするべきことが記載されている。その理由として、膜厚を0.1μm以上とすることにより、ピンホール、未塗装部等の欠陥がない均一な樹脂塗膜が形成され、20μmを超える膜厚では、透明塗装ステンレス鋼板を成形加工する際、塗膜に亀裂、剥離等が生じやすくなるからであるとされている。
また、特許文献2では、研磨仕上げしたステンレス鋼板の表面に電解クロメート処理を施し、かかる電解クロメート処理後にポリ四フッ化エチレン粉末を含有する透明フッ素樹脂塗膜を形成したステンレス鋼板が開示されている。この特許文献2における透明フッ素樹脂被覆ステンレス鋼板は、耐摩耗性、耐指紋性及び意匠性に優れるとされている。
かかる特許文献2では、透明フッ素樹脂塗膜の厚さは、15〜30μmにするのが好ましいとされている。その理由として、15μmより薄いと、耐久性が劣り、一方、30μmより厚くすると、外観が低下するとされている。
しかしながら、上記の透明塗膜や透明フッ素樹脂塗膜を形成する際に、塗装不良があり、未塗装の部分や、これらの塗膜の厚さむらが生じたとしても、これらの塗膜が透明であることにより、肉眼で発見することは困難である。
特許文献3には、フイルムに透明や白色の塗工液を塗工する際、塗工不良部分を簡便に発見することが出来るとされる検査方法が開示されている。この検査方法は、塗工液中に蛍光増白剤を包含させ、塗工中又は塗工後、塗工面に紫外線を照射して塗工面を肉眼で観察するものである。この方法によれば、フイルム上で塗工液が設けられた部分は、紫外線照射下では青白く発光するので、当該部分を肉眼で観察することが可能とされている。
ところが、上述のように、特許文献1及び特許文献2に開示された透明塗膜や透明フッ素樹脂塗膜のような皮膜は、適正な膜厚を有するようにされるべきであるにもかかわらず、これらの文献には、皮膜の膜厚を測定するための具体的な方法は開示されていない。また、特許文献3の方法では、皮膜の有無を確認することができても、膜厚を定量的に測定することはできない。
ここで、光学式の膜厚計において透明皮膜の膜厚を測定可能なものは、存在する。このような膜厚計として、例えば、膜の表面で反射する赤外線と、膜及び下地の界面で反射する赤外線と、の光路差による干渉現象を利用するものがある。また、特許文献4には、コンプトン散乱したX線の強度を測定し、その強度から、塗膜の厚さを測定する方法が開示されている。
また、特許文献5及び特許文献6には、測定対象物の表面に形成されている皮膜に対して所定波長の光を照射することで、着目する皮膜から蛍光を発生させ、発生した蛍光の強度を測定することで、着目する皮膜の膜厚を測定する方法が開示されている。
特開2010−208278号公報 特開2000−279880号公報 特開平5−157706号公報 特開2008−292184号公報 特開平3−252512号公報 特開2007−57497号公報
しかしながら、光学式の膜厚計や、上記特許文献4に開示されている膜厚測定方法によっては、膜において、極めて狭い領域(数mmのスポット)の膜厚しか、一度に測定することはできず、このような膜厚計を用いて、透明皮膜において多数の部位の膜厚を測定するためには、極めて長い時間を要する。従って、透明皮膜において多数の部位の膜厚を測定し、各部位の膜厚が所定の基準を満たすか否かを判別するためには、極めて長い時間を有する。
また、上記特許文献5及び特許文献6に開示されている、蛍光を利用した方法では、測定対象物で発生する蛍光をより確実かつ安定的に蛍光を測定するためには、測定対象物における蛍光体の含有量をなるべく多くすることが好ましい。しかしながら、蛍光体の含有量を多くしてしまうと、皮膜に本来求められる性状が変化してしまう可能性がある。
そこで、この発明の目的は、多数の部位の膜厚を測定する場合であっても、透明皮膜の性状を変化させることなく、短時間でより安定的に透明皮膜の膜厚を測定可能な、膜厚測定方法、膜厚測定装置及び記録媒体を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者は、蛍光体を含有する透明皮膜では、蛍光による輝度と膜厚とに一定の関係があるとの予想のもとに、透明皮膜の膜厚測定対象領域について、蛍光による輝度分布に基づいて、より安定的に膜厚の分布を求めることを検討した。透明皮膜中に蛍光体が均一に分散していると、透明皮膜に含まれる蛍光体の量は透明皮膜の体積に比例する。透明皮膜が発する蛍光は、透明皮膜に含まれる蛍光体の量が多くなるに従って強くなるはずであるから、透明皮膜が発する蛍光による輝度から、透明皮膜の膜厚を求めることができると予想される。
蛍光体を含有する透明皮膜について、蛍光による輝度と膜厚との間に一定の関係があることを確認するために、一定の含有率で蛍光体を含有し膜厚が異なる複数の透明皮膜を作製し、この透明皮膜の蛍光による輝度を測定して、膜厚と輝度値との関係を調べた。透明皮膜は、数十cmの面積に渡って、ほぼ一定の膜厚を有するように形成した。透明皮膜の膜厚は、赤外線を用いた光学式膜厚計により測定した。
図1は、このような測定により得られたデータをまとめたものであり、透明皮膜の膜厚と輝度値との関係を示す図である。縦軸の輝度値は、任意目盛りで表しているが、いずれのサンプルについても同じ条件で測定して得た値をプロットしている。
透明皮膜として、顔料を含有しない無色のサンプル、赤色の顔料を5質量%含有し赤みを帯びたサンプル、及び、黄色の顔料を5質量%含有し黄色みを帯びたサンプル(それぞれ、図1に、「透明」、「赤色(5mass%)」、及び、「黄色(5mass%)」と記す。)を作製した。また、これら3種のサンプルは、全て、0.05質量%という、極めて微量の蛍光体を含有している。
いずれのサンプルについても、蛍光体の含有量が極めて微量であっても、膜厚と輝度値とは、ほぼ比例していることがわかる。したがって、透明皮膜の蛍光による輝度を測定することにより、透明皮膜において当該輝度を測定した領域の膜厚を求めることができる。透明皮膜の膜厚測定対象領域の全域に渡って輝度の分布を測定すれば、膜厚測定対象領域の全域に渡って膜厚の分布を求めることができる。
本発明は、上記の知見に基づき完成したものであり、その要旨は、以下の通りである。
[1]金属の表面に形成された透明皮膜の膜厚を測定する方法であって、前記透明皮膜は、励起波長が紫外線帯域に属し、かつ、蛍光波長が可視光帯域に属する蛍光体を含有しており、前記励起波長を含む帯域の照明光を前記透明皮膜に照射して、前記照明光を照射された前記透明皮膜の膜厚測定対象領域について、前記蛍光波長での蛍光輝度の分布を選択的に測定しつつ、赤外線帯域に属する測定光を前記膜厚測定対象領域の一部に照射し、当該膜厚測定対象領域の一部からの反射光の干渉度合いに基づいて前記膜厚測定対象領域の一部の膜厚を測定する測定工程と、前記膜厚測定対象領域の一部における前記膜厚の測定結果と前記蛍光輝度の分布の測定結果とに基づいて、前記透明皮膜の膜厚と前記蛍光輝度との相関関係を求める相関関係特定工程と、前記膜厚測定対象領域の一部での前記相関関係に基づき、前記膜厚測定対象領域の前記蛍光輝度の分布から、前記膜厚測定対象領域における前記透明皮膜の膜厚の分布を算出する膜厚分布算出工程と、を含む、膜厚測定方法。
[2]前記蛍光体の含有量は、前記透明皮膜の全固形分に対して、0.01〜0.05質量%である、[1]に記載の膜厚測定方法。
[3]前記測定工程では、前記膜厚測定対象領域と測定機器との離隔距離が一定となるように、前記金属の表面形状を表わした表面形状情報を利用して前記測定機器の位置が制御される、[1]又は[2]に記載の膜厚測定方法。
[4]前記相関関係特定工程に先立ち実施され、測定された前記蛍光輝度の分布に含まれる前記照明光の照明ムラに伴う蛍光輝度の乱れを補正する補正工程を更に含み、前記相関関係特定工程では、補正された前記蛍光輝度の分布を利用して、前記相関関係が特定される、[1]〜[3]の何れか1項に記載の膜厚測定方法。
[5]前記膜厚分布算出工程では、前記金属の表面形状に伴う前記透明皮膜の膜厚の局所的な変化に関するモデルデータに基づいて、算出した前記透明皮膜の膜厚の分布が補正される、[1]〜[4]の何れか1項に記載の膜厚測定方法。
[6]算出された前記膜厚の分布に基づいて、測定された前記膜厚が所定の基準を満たすか否かを判別する判別工程を更に含む、[1]〜[5]の何れか1項に記載の膜厚測定方法。
[7]前記判別工程では、前記膜厚測定対象領域に含まれる複数画素からなる領域での平均蛍光輝度及び蛍光輝度の標準偏差、並びに、前記蛍光輝度の分布の測定データの2値化データの少なくとも何れかを利用して、前記透明皮膜の膜形成状態を更に判別する、[6]に記載の膜厚測定方法。
[8]前記判別工程では、前記蛍光輝度の分布において所定の閾値以下の前記蛍光輝度を有している領域を、前記透明皮膜の欠損部として判別する、[6]又は[7]に記載の膜厚測定方法。
[9]前記金属の表面は、所定の間隔で凹部又は凸部の少なくとも何れかの形成された領域を含む、[1]〜[8]の何れか1項に記載の膜厚測定方法。
[10]前記照明光は、紫外線発光ダイオードから射出される、[1]〜[9]の何れか1項に記載の膜厚測定方法。
[11]金属の表面に形成された透明皮膜の膜厚を測定する装置であって、前記透明皮膜は、励起波長が紫外線帯域に属し、かつ、蛍光波長が可視光帯域に属する蛍光体を含有しており、前記励起波長を含む帯域の照明光を前記透明皮膜に照射して、前記照明光を照射された前記透明皮膜の膜厚測定対象領域について、前記蛍光波長での蛍光輝度の分布を選択的に測定しつつ、赤外線帯域に属する測定光を前記膜厚測定対象領域の一部に照射し、当該膜厚測定対象領域の一部からの反射光の干渉度合いに基づいて前記膜厚測定対象領域の一部の膜厚を測定する測定ユニットと、前記膜厚測定対象領域の一部における前記膜厚の測定結果と前記蛍光輝度の分布の測定結果とに基づいて、前記透明皮膜の膜厚と前記蛍光輝度との相関関係を求めるとともに、前記膜厚測定対象領域の一部での前記相関関係に基づき、前記膜厚測定対象領域の前記蛍光輝度の分布から、前記膜厚測定対象領域における前記透明皮膜の膜厚の分布を算出する演算処理ユニットと、を備える、膜厚測定装置。[12]前記蛍光体の含有量は、前記透明皮膜の全固形分に対して、0.01〜0.05質量%である、[11]に記載の膜厚測定装置。
[13]前記測定ユニットは、前記膜厚測定対象領域と測定機器との離隔距離が一定となるように、前記金属の表面形状を表わした表面形状情報を利用して前記測定機器の位置を制御する、[11]又は[12]に記載の膜厚測定装置。
[14]前記演算処理ユニットは、前記相関関係を特定するに先立ち、測定された前記蛍光輝度の分布に含まれる前記照明光の照明ムラに伴う蛍光輝度の乱れを補正し、補正された前記蛍光輝度の分布を利用して、前記相関関係を特定する、[11]〜[13]の何れか1項に記載の膜厚測定装置。
[15]前記演算処理ユニットは、前記金属の表面形状に伴う前記透明皮膜の膜厚の局所的な変化に関するモデルデータに基づいて、算出した前記透明皮膜の膜厚の分布を補正する、[11]〜[14]の何れか1項に記載の膜厚測定装置。
[16]前記演算処理ユニットは、算出された前記膜厚の分布に基づいて、測定された前記膜厚が所定の基準を満たすか否かを更に判別する、[11]〜[15]の何れか1項に記載の膜厚測定装置。
[17]前記演算処理ユニットは、前記膜厚測定対象領域に含まれる複数画素からなる領域での平均蛍光輝度及び蛍光輝度の標準偏差、並びに、前記蛍光輝度の分布の測定データの2値化データの少なくとも何れかを利用して、前記透明皮膜の膜形成状態を更に判別する、[16]に記載の膜厚測定装置。
[18]前記演算処理ユニットは、前記蛍光輝度の分布において所定の閾値以下の前記蛍光輝度を有している領域を、前記透明皮膜の欠損部として判別する、[16]又は[17]に記載の膜厚測定装置。
[19]前記金属の表面は、所定の間隔で凹部又は凸部の少なくとも何れかの形成された領域を含む、[11]〜[18]の何れか1項に記載の膜厚測定装置。
[20]前記照明光の光源は、紫外線発光ダイオードである、[11]〜[19]の何れか1項に記載の膜厚測定装置。
[21]励起波長が紫外線帯域に属し、かつ、蛍光波長が可視光帯域に属する蛍光体を含有した透明皮膜が表面に形成された金属に対し、前記励起波長を含む帯域の照明光を前記透明皮膜に照射して、前記照明光を照射された前記透明皮膜の膜厚測定対象領域について、前記蛍光波長での蛍光輝度の分布を選択的に測定しつつ、赤外線帯域に属する測定光を前記膜厚測定対象領域の一部に照射し、当該膜厚測定対象領域の一部からの反射光の干渉度合いに基づいて前記膜厚測定対象領域の一部の膜厚を測定する測定ユニットと通信可能なコンピュータを、前記透明皮膜の膜厚を測定する装置として機能させるためのプログラムであって、前記膜厚測定対象領域の一部における前記膜厚の測定結果と前記蛍光輝度の分布の測定結果とに基づいて、前記透明皮膜の膜厚と前記蛍光輝度との相関関係を求める相関関係特定機能と、前記膜厚測定対象領域の一部での前記相関関係に基づき、前記膜厚測定対象領域の前記蛍光輝度の分布から、前記膜厚測定対象領域における前記透明皮膜の膜厚の分布を算出する膜厚分布算出機能と、を実現させるためのプログラムが記録された記録媒体。
[22]前記蛍光体の含有量は、前記透明皮膜の全固形分に対して、0.01〜0.05質量%である、[21]に記載の記録媒体。
[23]前記プログラムは、前記膜厚測定対象領域と測定機器との離隔距離が一定となるように、前記金属の表面形状を表わした表面形状情報を利用して前記測定機器の位置を制御する制御機能を更に実現させる、[21]又は[22]に記載の記録媒体。
[24]前記プログラムは、測定された前記蛍光輝度の分布に含まれる前記照明光の照明ムラに伴う蛍光輝度の乱れを補正する補正機能を更に実現させ、前記相関関係特定機能は、補正された前記蛍光輝度の分布を利用して、前記相関関係を特定する、[21]〜[23]の何れか1項に記載の記録媒体。
[25]前記膜厚分布算出機能は、前記金属の表面形状に伴う前記透明皮膜の膜厚の局所的な変化に関するモデルデータに基づいて、算出した前記透明皮膜の膜厚の分布を補正する、[21]〜[24]の何れか1項に記載の記録媒体。
[26]前記プログラムは、算出された前記膜厚の分布に基づいて、測定された前記膜厚が所定の基準を満たすか否かを更に判別する判別機能を更に実現させる、[21]〜[25]の何れか1項に記載の記録媒体。
[27]前記判別機能は、前記膜厚測定対象領域に含まれる複数画素からなる領域での平均蛍光輝度及び蛍光輝度の標準偏差、並びに、前記蛍光輝度の分布の測定データの2値化データの少なくとも何れかを利用して、前記透明皮膜の膜形成状態を更に判別する、[26]に記載の記録媒体。
[28]前記判別機能は、前記蛍光輝度の分布において所定の閾値以下の前記蛍光輝度を有している領域を、前記透明皮膜の欠損部として判別する、[26]又は[27]に記載の記録媒体。
[29]前記金属の表面は、所定の間隔で凹部又は凸部の少なくとも何れかの形成された領域を含む、[21]〜[28]の何れか1項に記載の記録媒体。
蛍光輝度は、多数の部位を短時間で測定することができるため、膜厚測定対象領域が大面積の領域であっても、短時間で蛍光輝度を測定することができる。また、膜厚測定対象領域の一部については膜厚計により膜厚を測定しているため、膜厚と蛍光輝度との間の相関関係を、測定対象とする透明皮膜ごとに、より確実に特定することができる。その結果、透明皮膜の性状を変化させることなく、より安定的に透明皮膜の膜厚を測定可能となる。
透明皮膜の輝度と膜厚との関係を示すグラフ図である。 本発明の第1の実施形態に係る膜厚測定方法を実施するために使用される膜厚測定装置の構成を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る膜厚測定装置が備える測定ユニットの構成例を模式的に示した説明図である。 1つのライン状領域の構成を模式的に示す説明図である。 膜厚測定対象領域におけるライン状領域及び微小領域の分布を模式的に示す説明図である。 ブラックライトの光源の発光スペクトルの一例を示すグラフ図である。 ブラックライトにおいて、光源と併せて使用される紫外線透過フィルタの透過特性を示すグラフ図である。 紫外線発光ダイオードの発光スペクトルの一例を示すグラフ図である。 励起光フィルタ及び吸収フィルタの透過特性の一例を示すグラフ図である。 同実施形態に係る測定対象物の別の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る測定対象物の別の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る測定対象物の別の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る膜厚測定装置が備える演算処理ユニットの構成を模式的に示したブロック図である。 同実施形態に係る演算処理ユニットにおける演算処理を説明するための説明図である。 同実施形態に係る演算処理ユニットにおける演算処理を説明するための説明図である。 同実施形態に係る演算処理ユニットにおける演算処理を説明するための説明図である。 同実施形態に係る演算処理ユニットにおける演算処理を説明するための説明図である。 同実施形態に係る演算処理ユニットにおける演算処理を説明するための説明図である。 同実施形態に係る演算処理ユニットにおける演算処理を説明するための説明図である。 同実施形態に係る演算処理ユニットにおける演算処理を説明するための説明図である。 同実施形態に係る膜厚測定方法の流れの一例を示した流れ図である。 本発明の第2の実施形態に係る膜厚測定方法を実施するために使用される膜厚測定装置の構成を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る膜厚測定装置で得られた輝度データの例を示すグラフ図である。 同実施形態に係る膜厚測定装置に設けられた光学式膜厚計を用いて得られた膜厚データの例を示すグラフ図である。 同実施形態に係る膜厚測定装置が備える演算処理ユニットでのデータ処理方法を説明するための説明図である。 本発明の実施形態に係る膜厚測定装置が備える演算処理ユニットのハードウェア構成の一例を模式的に示したブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る膜厚測定方法により、平板上に設けられた透明皮膜の膜厚の分布を求め、膜厚を明度に対応付けて表した図である。 透明皮膜の形成部から非形成部に渡って、透明皮膜の蛍光による輝度を測定したときの、測定位置と輝度との関係を示す図であって、紫外線発光ダイオードによる照明光を透明皮膜に照射したときのものである。 透明皮膜の形成部から非形成部に渡って、透明皮膜の蛍光による輝度を測定したときの、測定位置と輝度との関係を示す図であって、ブラックライトによる照明光を透明皮膜に照射したときのものである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施形態)
<膜厚測定装置の全体構成について>
図2は、本発明の第1の実施形態に係る膜厚測定方法を実施するために使用される膜厚測定装置の構成を模式的に示した説明図である。
本実施形態に係る膜厚測定装置1は、測定対象物Sの膜厚を測定するために用いられるものであり、本実施形態では、各種の金属の表面に形成された透明皮膜の膜厚の分布を測定するものである。
ここで、本実施形態における金属は、特に限定されるものではなく、Feを主成分とする各種の鋼や合金であってもよいし、非鉄金属であってもよい。かかる金属の表面には、所定の厚みで透明皮膜が形成されている。
透明皮膜は、各種の樹脂を主成分とするものであり、微量の蛍光体を含有する。透明皮膜に含有される蛍光体の含有量は、透明皮膜の全固形分に対して、例えば、0.01質量%〜0.05質量%であることが好ましい。透明皮膜に含有される蛍光体の含有量を上記範囲とすることで、透明皮膜の性状を変化させることなく、透明皮膜に各種の蛍光体を含有させることが可能となる。
透明皮膜に含有される蛍光体は、励起波長が紫外線帯域(例えば、365nm等)に属し、かつ、蛍光波長が可視光帯域(蛍光顔料の発光色によって様々であるが、例えば450〜500nm等)に属するものである。かかる蛍光体は、公知の材料から適宜選択して用いることが可能である。
なお、「透明皮膜」とは、可視光を透過する皮膜をいい、必ずしも、無色のものに限定されず、例えば、図1に示す膜厚と輝度値との関係の測定対象とした着色皮膜も含む。ここで、金属の表面に形成する皮膜を透明皮膜としているのは、皮膜形成後においても、母材である金属の表面に発生しうる例えば錆等の変化を目視にて検査可能とするためである。
本実施形態に係る膜厚測定装置1は、図2に模式的に示したように、測定ユニット10と、演算処理ユニット20と、を主に備える。
測定ユニット10は、励起波長を含む帯域の照明光を、測定対象物Sである透明皮膜に照射して、照明光を照射された透明皮膜の膜厚測定対象領域について、蛍光波長での蛍光輝度の分布を選択的に測定する。また、測定ユニット10は、赤外線帯域に属する測定光を膜厚測定対象領域の一部に照射し、当該膜厚測定対象領域の一部からの反射光の干渉度合いに基づいて、膜厚測定対象領域の一部の膜厚を測定する。
この測定ユニット10の構成例については、以下で改めて詳細に説明する。
演算処理ユニット20は、測定ユニット10における測定処理の全般を制御しつつ、測定ユニット10によって測定された2つの測定データ(すなわち、膜厚測定対象領域の全域における蛍光輝度の分布の測定データと、膜厚測定対象領域の一部における膜厚の測定データ)と、を利用して後述する演算処理を実施し、透明皮膜の膜厚を算出する。
より詳細には、演算処理ユニット20は、膜厚測定対象領域の一部における膜厚の測定結果と蛍光輝度の分布の測定結果とに基づいて、透明皮膜の膜厚と蛍光輝度との相関関係を求める。また、演算処理ユニット20は、求めた膜厚測定対象領域の一部での相関関係に基づき、膜厚測定対象領域の蛍光輝度の分布から、膜厚測定対象領域における透明皮膜の膜厚の分布を算出する。
本実施形態に係る演算処理ユニット20では、測定ユニット10により測定された2つの測定データを利用して、その都度、透明皮膜の膜厚と蛍光輝度との相関関係を特定する。これにより、透明皮膜に含有される蛍光体や透明皮膜そのもの等が変化することで蛍光の発生状態が変化し、膜厚と蛍光輝度との相関関係が動的に変化する場合であっても、安定して透明皮膜の膜厚を算出することができる。
更に、演算処理ユニット20は、算出された透明皮膜の膜厚を利用して、透明皮膜の膜厚が所定の基準を満たすか否か、透明皮膜の膜形成状態、透明皮膜に欠損部が存在するか否か等の各種の判別処理を更に行うことも可能である。
本実施形態に係る演算処理ユニット20で実施される各種の演算処理の詳細については、以下で詳述する。
ここで、演算処理ユニット20は、各種の演算処理を行うに際して、測定対象物Sの製造工程を管理している管理サーバ3等のような各種のサーバやコンピュータと相互に通信を行って、これらの情報処理装置が保持している各種の情報を適宜利用することができる。
なお、演算処理ユニット20は、測定ユニット10に実装されている、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成される演算処理チップとして実現されていてもよいし、測定ユニット10と相互に通信が可能なように測定ユニット10の外部に設けられた、各種のコンピュータやサーバ等の情報処理装置として実現されていてもよい。
以上、図2を参照しながら、本実施形態に係る膜厚測定装置1の全体構成について説明した。
<測定ユニット10の構成について>
続いて、図3〜図10Cを参照しながら、本実施形態に係る膜厚測定装置1が備える測定ユニット10の構成の一例について、詳細に説明する。
本実施形態に係る膜厚測定装置1が備える測定ユニット10は、図3に模式的に示したように、照明装置101と、蛍光測定装置103と、光学式膜厚計105と、を主に備える。また、本実施形態に係る測定ユニット10は、距離計111と、各種の駆動機構Mと、を更に備えることが好ましい。本実施形態に係る測定ユニット10は、これらの機器が演算処理ユニット20による制御のもとで互いに連携して動作することにより、金属の表面に形成された厚さdの透明皮膜を、2種類の方法で測定する。
照明装置101は、透明皮膜に含まれる蛍光体を励起するための励起光として、かかる蛍光体の励起波長を含む波長帯域の照明光を射出する光源として機能する。本実施形態に係る照明装置101として用いる光源は、照度ムラの少ない光源であることが好ましい。照度ムラの少ない光源を用いることで、測定対象物である透明皮膜に照射される照明光の強度をより均一にすることが可能となり、より正確に透明皮膜の膜厚を測定することが可能となる。
かかる光源としては、蛍光体の励起波長である紫外光帯域の照明光を射出可能なものであれば、ハロゲンランプ等の各種ランプや、半導体レーザや固体レーザ等の各種レーザ光源とレンズ等の光学素子とを組み合わせたものや、各種の発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)等といった公知の光源を用いることが可能である。また、測定ユニット10に設ける照明装置101の個数は、1台に限定されるものではなく、測定対象とする領域の広さに応じて複数の照明装置101を用いてもよいし、照明装置101から射出される照明光の照度ムラを抑制するために、複数の光源を利用するようにしてもよい。なお、複数の光源を用いる際には、照度ムラが生じないように光源の配列を決定することが好ましいことは、言うまでもない。本実施形態に係る照明装置101としては、紫外線発光ダイオード(UV−LED)を用いることが好ましい。
蛍光測定装置103は、照明装置101から射出される照明光により透明皮膜中の蛍光体が励起されることで発生する可視光帯域に属する蛍光を測定して、蛍光輝度の分布を示した撮像画像を生成する装置である。この蛍光測定装置103は、膜厚測定対象領域の大きさに応じて適宜設定される視野を有するレンズと、かかるレンズの装着されたカメラと、から構成されている。
蛍光測定装置103として用いられるレンズは特に限定されるものではなく、可視光帯域に属する蛍光を透過可能なものであれば、公知のものを用いることが可能である。また、可視光帯域に属する蛍光を選択的に透過させるために、かかるレンズの前段又は後段(換言すれば、蛍光測定装置103に設けられるセンサの前段)には、発生する蛍光を選択的に透過させる波長選択フィルタが設けられることが好ましい。これにより、測定ユニット10による測定環境を暗室状態とすることなく、透明皮膜からの蛍光を選択的に測定することが可能となる。
また、蛍光測定装置103として用いられるカメラは、細長いライン状の領域(以下、「ライン状領域」という。)A1を連続的に撮影することができるラインセンサを備えていることが好ましい。ラインセンサは、一般的な画像撮影用のエリアイメージセンサ(CCD(Charge Coupled Device)や、C−MOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor))と比べて、非常に高速な撮影動作(たとえば、90KHzで動作するものであれば、1秒間に9万回のライン撮影)が可能であり、高速に移動する物体の撮影に適している。また、透明皮膜に含有される蛍光体の蛍光波長域に特に高い感度を有するイメージセンサを使用してもよい。かかるイメージセンサのタイプとしては、冷却式イメージセンサ、又は、電子増幅電荷結合素子(Electron Multiplying−CCD:EM−CCD)を採用することができる。
冷却式イメージセンサは、熱雑音の影響を少なくし、S/N比を向上させるために、冷却機構によりセンサ部を強制冷却するものである。電子増幅電荷結合素子は、冷却式イメージセンサと同様の冷却機構を備え、更に、イメージセンサ本体に、信号増幅素子を実装したものである。電子増幅電荷結合素子により、非常に微弱な蛍光発光現象まで観察することが可能となる。電子増幅電荷結合素子は、一般的な画像撮影用のイメージセンサと比べて、例えば、最大1000倍程度の感度を有する。このようなセンサを採用することにより、透明皮膜に含有させる蛍光体の量を大幅に低減することが可能である。
光学式膜厚計105は、膜厚測定対象領域の一部分の膜厚を測定する機器である。かかる光学式膜厚計105としては、例えば、膜の表面で反射する赤外線と、透明皮膜と下地をなす金属(例えば、鋼板)との界面で反射する赤外線と、の光路差による干渉現象を利用して膜厚を求めるものを用いることができる。このような膜厚計は、公知である。光学式膜厚計105により、透明皮膜の微小領域A2について、膜厚を、例えばnmオーダーの測定誤差の範囲内で正確に測定することができる。
なお、上記照明装置101、蛍光測定装置103及び光学式膜厚計105の設置条件については、特に限定されるものではなく、これらの機器を設置すべき場所の制約に応じて、適宜設置すればよい。
また、距離計111は、透明皮膜の形成された金属と、測定ユニット10との間の離隔距離(図3における距離L)を測定する機器である。このような距離計111としては、特に限定されるものではなく、レーザ距離計等の公知の機器を利用することが可能である。距離計111によって測定された測定対象との間の離隔距離は、例えば後述する演算処理ユニット20へと出力され、測定ユニット10と透明皮膜の形成された金属との間の離隔距離の制御に用いられる。
上記測定装置101、蛍光測定装置103及び光学式膜厚計105には、これら機器の設置位置を動的に変化させることが可能なように、アクチュエータ等のような公知の駆動機構Mが設けられていることが好ましい。これらの駆動機構Mは、距離計111からの出力に応じた演算処理ユニット20による制御のもとで動作して、金属の形状等や測定対象である金属そのものが変化した場合であっても測定ユニット10と金属との離隔距離が常に一定となるように、これらの機器の設置位置を随時変化させる。これにより、測定対象である金属の厚み等が変化した場合であっても、一定の条件で測定処理を行うことが可能となり、より正確に透明皮膜の膜厚を測定することが可能となる。
[測定ユニット10の動作]
かかる測定ユニット10を用い、本実施形態に係る膜厚測定方法により、金属の表面に設けられた透明皮膜の膜厚の分布を測定する方法について、その概略を説明する。測定ユニット10による測定に先立ち、較正用サンプル等を用いて、光学式膜厚計105により測定される膜厚値を較正しておく。以下では、透明皮膜は、金属の片面全面に形成されているものとして説明を行うが、透明皮膜は、金属の表面の一部の領域にのみ形成されていてもよい。また、膜厚測定対象領域は、透明皮膜の全面であってもよく、一部の領域であってもよい。
まず、照明装置103から照明光が発せられる。照明光は、透明皮膜の膜厚測定対象領域において金属の長手方向一端部であって、金属の幅方向に関して膜厚測定対象領域の全域を含む領域に当たるように設定される。膜厚測定対象領域が金属の幅方向の全域に渡っている場合には、照明光は、金属の幅方向の全域に渡って透明皮膜に照射される。
そして、蛍光測定装置103により撮影対象とされるライン状領域A1が、透明皮膜の膜厚測定対象領域において、金属の長手方向一端部に位置するように、金属と蛍光測定装置103との位置関係が駆動機構Mにより調整される。このとき、蛍光測定装置103が、膜厚測定対象領域において金属の幅方向の全域に渡って撮影可能なように、すなわち、ライン状領域A1に、膜厚測定対象領域において金属の幅方向の全域が入るように、蛍光測定装置103の位置が制御される。
また、光学式膜厚計105による膜厚測定対象領域である微小領域A2が、ライン状領域A1内に含まれるように、駆動機構Mにより金属と光学式膜厚計105との位置関係が調整される。
この状態で、蛍光測定装置103によるライン状領域A1内の蛍光輝度分布の測定、及び、光学式膜厚計105による微小領域A2の膜厚測定が、同時に開始される。輝度分布は、透明皮膜に含有される蛍光体の蛍光波長におけるものである。蛍光輝度は、蛍光測定装置103のカメラに備えられたイメージセンサの画素毎に測定される。
照明装置101から射出される照明光の波長帯域(紫外線帯域)と、透明皮膜に含まれる蛍光体の蛍光波長(可視光帯域)、すなわち、蛍光測定装置103で検出する電磁波の波長帯域と、光学式膜厚計105で使用する赤外線の波長帯域は、実質的に互いに重ならない。このため、蛍光測定装置103による蛍光輝度の測定と、光学式膜厚計105による膜厚の測定と、を同時に行っても、一方の測定が他方の測定に影響を与えることはない。
図4は、1つのライン状領域A1の構成を模式的に示す図である。蛍光輝度の測定にあたって、ライン状領域A1の長手方向に沿って配列された複数の区画pの各々を単位として、区画p毎に蛍光輝度が測定される。これらの複数の区画pのうちの1つに、微小領域A2が重なるように設定されている。微小領域A2が重なった区画pについては、蛍光測定装置103による蛍光輝度測定と、光学式膜厚計105による膜厚測定と、の双方が実施される。各区画pは、イメージセンサの1つの画素に対応していてもよい。また、各区画pは、イメージセンサの複数の画素に対応していてもよく、この場合、当該複数の画素毎に測定された輝度値の平均値を、当該区画pの輝度とすることができる。
そして、例えば鋼板等の金属が、長手方向に搬送される(図3に、搬送方向を白抜きの矢印で示した。)。これにより、ライン状領域A1及び微小領域A2が、透明皮膜の膜厚測定対象領域において、一方端側から他方端側へと移動する。ライン状領域A1及び微小領域A2が、膜厚測定対象領域の他方端部に達すると、ライン状領域A1での蛍光輝度測定及び微小領域A2での膜厚測定が終了し、金属の搬送が停止される。
これにより、図5に模式的に示すように、透明皮膜において膜厚測定対象領域の全体に、複数のライン状領域A1を隙間なく割り当てて、蛍光輝度分布を測定することができる。また、いずれのライン状領域A1も微小領域A2を含み、これらの微小領域A2に対応する区画pで、蛍光輝度及び膜厚の双方が測定される。
蛍光輝度分布の測定結果及び膜厚の測定結果を表わす測定データは、透明皮膜上の測定位置に関係する情報とともに、演算処理ユニット20へと出力される。なお、透明皮膜上の測定位置に関する情報は、PLG(Pulse Logic Generator:パルス型速度検出器)等から定期的に(例えば、搬送ラインによって金属がxミリ移動する毎に)出力されるPLG信号を利用する等といった公知の方法により、容易に生成することができる。
次に、以下で詳述する演算処理ユニット20により、蛍光輝度分布及び膜厚の測定データが解析され、蛍光輝度と膜厚との相関関係を表わす情報(例えば、回帰直線の式)が特定される。そして、かかる蛍光輝度と膜厚との相関関係に基づき、全てのライン状領域A1の全ての区画pについて、測定された蛍光輝度の分布から、膜厚dが算出される。これにより、透明皮膜において、膜厚測定対象領域の全体に渡って、膜厚の分布を安定的かつ正確に得ることができる。
光学式膜厚計105のみにより、膜厚測定対象領域の全体に渡って、膜厚の分布を求めようとすると、例えば、1つのライン状領域A1に含まれる区画pの数と同じ回数だけ金属を搬送して、膜厚の測定を行うこととなる。例えば、1つのライン状領域A1に、1000個の区画pが含まれる場合、金属の搬送を1000回(500往復)行うこととなり、膜厚測定対象領域全体に渡って膜厚の分布を求めるためには、極めて長い時間を要する。
これに対して、本実施形態に係る測定ユニット10を利用した膜厚測定方法によれば、金属の搬送を1回行うだけで、すなわち、極めて短い時間で、膜厚測定対象領域の全体に渡って、膜厚の分布を得ることができる。
蛍光測定装置103のカメラに備えられたイメージセンサを、例えば、電子増幅電荷結合素子のような高感度のものとすることにより、透明皮膜の蛍光体含有率を、上記のような極微量としても、上述の膜厚測定方法を実施することができる。このように透明皮膜の蛍光体含有率を少なくすることにより、透明皮膜に求められる物性が損なわれないようにすることができる。
以上の実施形態では、蛍光測定装置103として、ラインセンサを備えたものを用いているが、蛍光測定装置103として、エリアセンサを備えたものを用いてもよい。この場合、膜厚測定対象領域はライン状ではなくエリア(面状)となるため、検査対象が静止している条件での検査に適する。
上述のように、照明装置101としては、紫外線発光ダイオードを用いることが好ましい。以下に、照明装置101として、ブラックライト(光源、例えば、水銀ランプが発する光が紫外線透過フィルタを通過するように構成されたもの)を用いた場合と、紫外線発光ダイオードを用いた場合と、における照明光のスペクトル特性について説明する。
図6は、ブラックライトの光源の発光スペクトルの一例を示すグラフ図であり、図7は、ブラックライトにおいて、光源と併せて使用される紫外線透過フィルタの透過特性を示すグラフ図である。
光源は、紫外線帯域から可視光帯域に渡る極めて広い波長域のスペクトルを有する電磁波を発する。このような光源からの電磁波は、紫外線透過フィルタを通過することにより、主として、紫外線帯域の電磁波が透過され、可視光帯域の電磁波の大部分は遮断される。しかし、高性能な紫外線透過フィルタによっても、可視光を完全に遮断することはできない。このような光源及び紫外線透過フィルタにより構成されるブラックライトの発光スペクトルは、例えば図6に示したように365nmの中心波長を有するが、半値幅は、例えば60nmと広くなる。
照明装置101としてブラックライトを用いた場合、照明装置101から出る可視光が透明皮膜で反射されて蛍光測定装置103に入射し、S/N比の低下を招くことがある。
図8は、紫外線発光ダイオードの発光スペクトルの一例を示すグラフ図である。この紫外線発光ダイオードの発光スペクトルは、365nmの中心波長を有し、半値幅は、9nmである。この紫外線発光ダイオードは、実質的に可視光域の電磁波を発しない。照明装置101として紫外線発光ダイオードを用いた場合は、ブラックライトを用いた場合のようなS/N比の低下は、実質的に生じない。
また、紫外線発光ダイオードは、ブラックライトと比べて、寿命が長い。たとえば、紫外線発光ダイオードの連続点灯時間は、20000時間以上であり、ブラックライトの10倍以上である。更に、ブラックライトの光源からの電磁波は、フィルタを通過することにより減衰するため、エネルギー効率が低くなる。これに対して、紫外線発光ダイオードは、必ずしもフィルタとともに使用せずともよいので、かかる電磁波の減衰を生じないようにして、エネルギー効率を高くすることができる。その結果、照明装置の発熱を低減することが可能となり、冷却機構の簡素化にも繋がる。
照明装置101からの可視光の射出をより確実に防止するために、照明装置101に、可視光を遮断し紫外線帯域の励起光を透過させる励起光フィルタを設けてもよい。また、上述のように、蛍光測定装置103の入光部に、波長選択フィルタとして、蛍光波長帯域の電磁波を透過し、蛍光波長以外の波長帯域の電磁波を遮断する吸収フィルタを設けることが好ましい。このような吸収フィルタを設けることにより、外光、すなわち、照明装置101の照明光に起因しない光を遮断することができる。
高出力の紫外線発光ダイオードを用いることにより、透明皮膜から強い励起光が発せられるようにすることができる。この場合、蛍光の測定は、必ずしも暗所で行う必要はなく、上記蛍光測定装置103側の吸収フィルタと組み合わせれば、明所で行うことも可能である。
図9に、このような励起光フィルタ及び吸収フィルタの透過特性の一例を示す。このような励起光フィルタ及び/又は吸収フィルタを設けることにより、輝度の測定に対する不所望の電磁波の影響を少なくして、蛍光輝度の測定精度を更に向上させることができる。
また、先だって説明したように、上記膜厚測定方法により得られた膜厚分布に基づき、各区画pの膜厚が所定の基準を満たすか否かを、後述する演算処理ユニット20にて判別することができる。上記膜厚測定方法により、短時間で膜厚を測定することができることにより、このような検査を短時間で行うことができる。
[金属の表面形状について]
ここで、図3では、透明皮膜の形成される金属の表面が平坦である場合について図示しているが、本実施形態に係る測定ユニット10で測定対象となる金属の表面形状は、図3に示したような平坦な表面に限定されるものではない。
測定対象となる金属は、例えば図10Aに示したように、所定の間隔で凸部が形成されているような金属であってもよいし、例えば図10Bに示したように、所定の間隔で凹部が形成されているような金属であってもよい。また、図10Cに示したように、凸部と凹部とが共に存在しているような金属であってもよい。また、このような凸部や凹部は、金属の表面の全体にわたって形成されていてもよいし、表面の一部に形成されていてもよい。
すなわち、本実施形態に係る膜厚測定装置1で測定対象となる金属は、平坦な表面を有しているものだけでなく、例えば、ねじ部が設けられた金属や各種部品などのように、公知の塑性加工処理によって複雑な表面形状を有している金属であってもよい。
本実施形態に係る測定ユニット10では、測定対象となる金属の表面形状が複雑な形状を有している場合であっても、図3に示したような距離計111及び駆動機構Mが適切に動作することにより、金属表面に形成された透明皮膜を一定の条件で測定することができる。これにより、図10A〜図10Cに示したような複雑な表面形状を有している金属であっても、その表面に形成された透明皮膜の膜厚を正確に測定することが可能である。
以上、図3〜図10Cを参照しながら、本実施形態に係る膜厚測定装置1が備える測定ユニット10の構成について、詳細に説明した。
<演算処理ユニット20の構成について>
続いて、図11を参照しながら、本実施形態に係る膜厚測定装置1が備える演算処理ユニット20の構成について、詳細に説明する。図11は、本実施形態に係る演算処理ユニット20の構成の一例を模式的に示したブロック図である。
本実施形態に係る演算処理ユニット20は、図11に示したように、測定ユニット制御部201と、データ取得部203と、測定データ前処理部205と、画像処理部207と、膜厚算出部209と、判別部211と、結果出力部213と、表示制御部215と、記憶部217と、を主に備える。
測定ユニット制御部201は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。測定ユニット制御部201は、測定ユニット10で実施される測定処理を統括的に制御する。より詳細には、測定ユニット制御部201は、測定対象物である金属が所定の位置まで搬送されてくると、照明装置101に対して照明光を射出させるための制御信号を送出するとともに、蛍光測定装置103及び光学式膜厚計105に対して、測定処理を開始させるための制御信号を送出する。また、測定ユニット10による測定が開始した後に、測定対象物である金属が所定の位置まで搬送されると、測定ユニット10に対して、測定処理を終了させるための制御信号を送出する。
また、測定ユニット制御部201は、測定対象物の測定に先立ち、距離計111からの出力に応じて駆動機構Mの動作を制御して、測定対象物の測定に適した位置まで、照明装置101、蛍光測定装置103及び光学式膜厚計105を移動させる制御も実施可能である。更に、測定ユニット制御部201は、測定対象物の測定中は、距離計111からの出力に応じて駆動機構Mの動作を制御して、測定対象物と測定ユニット10との間の離隔距離が一定となるように、照明装置101、蛍光測定装置103及び光学式膜厚計105の位置を動的に制御することも可能である。
かかる制御に際して、測定ユニット制御部201は、管理サーバ3等から、搬送されている測定対象物を特定するための情報を取得したり、搬送されている測定対象物の形状等が数値データ等として記載されている設計情報等を取得したりすることが可能である。
また、測定ユニット制御部201は、測定ユニット10を制御するための制御情報や測定ユニット10から得られた各種情報を、演算処理ユニット20が備える各処理部に出力して、各処理部における演算処理に利用させてもよい。
データ取得部203は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。データ取得部203は、データ取得部203は、測定ユニット10から出力される2種類の測定データ(すなわち、膜厚測定対象領域の全域における蛍光輝度の分布の測定データと、膜厚測定対象領域の一部における膜厚の測定データ)を取得して、後述する測定データ前処理部205や、画像処理部207や、膜厚算出部209等に出力する。また、データ取得部203は、取得した各測定データに関する情報を、当該情報を取得した日時等に関する時刻情報と関連づけて、記憶部217等に履歴情報として格納し、演算処理ユニット20の有する各処理部が随時アクセスしてデータ処理を実施できるようにしてもよい。
測定データ前処理部205は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。測定データ前処理部205は、データ取得部203が取得した2種類の測定データに対して各種の前処理を実施して、測定データの補正を行う処理部である。測定データ前処理部205は、得られた測定データに対して、測定データの精度を更に向上させるための公知の前処理を実施することが可能であるが、測定データ前処理部205は、例えば以下のようなデータ補正処理を実施することが好ましい。
例えば、測定データ前処理部205は、測定された前記蛍光輝度の分布に含まれる前記照明光の照明ムラに伴う蛍光輝度の乱れを補正することが好ましい。
測定ユニット10に用いられる各種の照明装置101は、どのような照明光の発振機構に基づくものであれ、照明装置101の中心光軸に近い部分から中心光軸の周辺へと向かうに従って、射出される照明光の強度は少しずつ減衰していき、照明ムラが生じている。そのため、透明皮膜において照明光が照射されている領域においては、かかる照明ムラに応じて、励起される蛍光輝度にも乱れが生じることとなる。一方で、得られた蛍光輝度の分布の測定データを利用して演算処理を実施する際に、かかる照明ムラを考慮せずに透明皮膜の膜厚を算出すると、照明ムラに伴う蛍光輝度の乱れの結果、発生している蛍光輝度に変化が生じているにもかかわらず、透明皮膜に含まれる蛍光体の量が少ない(換言すれば、透明皮膜の膜厚が薄い)とみなされて膜厚の算出処理が実施されてしまう。その結果、算出される透明皮膜の膜厚には、照明ムラに伴う誤差が含まれてしまう可能性がある。
そこで、本実施形態に係る膜厚測定装置1では、測定ユニット10に設けられる照明装置101から射出される照明光の強度分布を、実際に測定ユニット10が用いられる使用状況下で予め特定しておき、照明光の強度分布を表わした情報(例えば、強度分布を表わした2次元マップ)を、後述する記憶部217等に予め登録しておく。その上で、測定データ前処理部205は、かかる照明光の強度分布を表わした情報を利用して、測定された蛍光輝度の分布の測定データを補正し、測定データに含まれる蛍光輝度を正規化する。このようにして補正された蛍光輝度の分布データを用いて、後述する演算処理が実施されることにより、最終的に算出される透明皮膜の膜厚の測定誤差を、数nmのオーダーに抑えることが可能となる。
測定データ前処理部205は、上記のような前処理(補正処理)を実施した後、補正後の測定データを、後述する画像処理部207及び膜厚算出部209に出力する。
画像処理部207は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。画像処理部207は、補正処理の行われた蛍光輝度の分布の測定データに対して各種の画像処理を実施する。より詳細には、画像処理部207は、補正処理の行われた蛍光輝度の分布の測定データを利用して、透明皮膜に対して各種の判別処理を行う際に利用される各種データを生成するための画像処理を実施する。そのために、画像処理部207は、かかる画像処理の処理範囲を特定したり、画像処理から除外する除外領域を特定したり、蛍光輝度の分布の測定データを所定の閾値に基づき2値化した2値化画像データを生成したり、蛍光輝度の分布の測定データを特徴づける各種の画像特徴量を算出したりする。
上記のような画像処理の処理範囲を特定する処理や、除外領域の特定処理や、2値化画像データの生成処理や、画像特徴量の算出処理は、特に限定されるものではなく、公知の様々な方法を利用することが可能である。なお、これらの処理の詳細については、以下で例を挙げながら具体的に説明する。
画像処理部207は、このようにして各種の画像処理を行うと、得られた画像処理結果を、後述する判別部211に出力する。
膜厚算出部209は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。膜厚算出部209は、膜厚測定対象領域の一部における膜厚の測定結果と、蛍光輝度の分布の測定結果とに基づいて、透明皮膜の膜厚と蛍光輝度との相関関係を特定する。また、膜厚算出部209は、膜厚測定対象領域の一部での相関関係に基づき、膜厚測定対象領域の蛍光輝度の分布から、膜厚測定対象領域における透明皮膜の膜厚の分布を算出する。
より詳細には、膜厚算出部209は、膜厚測定対象領域の全域における補正処理後の蛍光輝度の分布の測定データと、膜厚測定対象領域の一部における膜厚の測定データと、を利用して、透明皮膜の膜厚と蛍光輝度との間の相関関係(例えば、透明皮膜の膜厚と蛍光輝度との間の関係を示した関係式)を特定する。
先だって説明したように、本実施形態に係る膜厚測定装置1では、図4及び図5で模式的に示したように、膜厚測定対象領域の一部に、光学式膜厚計105により正確な膜厚が測定されるとともに、蛍光測定装置103により蛍光輝度が測定された領域が存在している。そこで、膜厚と蛍光輝度とが共に測定された領域における測定データを利用して、膜厚算出部209は、透明皮膜の膜厚と蛍光輝度との間の相関関係を特定することができる。
ここで、本実施形態に係る膜厚算出部209では、測定処理毎に上記のような相関関係が特定されるため、透明皮膜や透明皮膜に含まれる蛍光体が突発的に変化した場合や、測定ユニット10の経年変化によって照明光の強度が低下した場合であっても、かかる変化に影響されずに透明皮膜の膜厚を算出することができる。
また、膜厚算出部209は、膜厚測定対象領域の一部における膜厚と蛍光強度との間の相関関係を特定すると、かかる相関関係を利用して、膜厚測定対象領域の全域における蛍光輝度の分布の測定データ(より好ましくは、補正後の蛍光輝度の分布の測定データ)に基づいて、透明皮膜の膜厚を算出する。透明皮膜の膜厚と蛍光輝度との間の相関関係は、光学式膜厚計105によって測定された正確な膜厚と、蛍光輝度とを関連付けたものであるため、かかる相関関係を利用することで、光学式膜厚計105を用いたような正確な膜厚の測定処理を、膜厚測定対象領域の大きさに関わらず、膜厚測定対象領域の全域にわたって実施することが可能となる。
ここで、膜厚算出部209は、後述する記憶部217等に格納されている、金属の表面形状に伴う透明皮膜の膜厚の局所的な変化に関するモデルデータに基づいて、上記のようにして算出した透明皮膜の膜厚の分布を補正することが好ましい。
本実施形態で着目する透明皮膜は、液体である蛍光体を液体状態にある透明皮膜樹脂へと予め添加した上で、かかる透明皮膜樹脂を金属表面上に塗布することで形成される。この際、液体状態にある透明皮膜樹脂は表面張力の影響を受け、硬化後の透明皮膜に局所的な膜厚の変化が生じることとなる。また、かかる表面張力の影響は、金属の表面形状にも依存することは明らかである。そこで、本実施形態に係る膜厚測定装置1では、測定対象とする金属の表面形状及び表面張力に応じて局所的な膜厚がどのように変化するかを予めモデル化しておき、かかる金属の表面形状に伴う透明皮膜の膜厚の局所的な変化に関するモデルデータを、後述する記憶部217等に予め登録しておく。その上で、膜厚算出部209は、かかるモデルデータを利用して、算出した透明皮膜の膜厚を補正する。このようにして算出された透明皮膜の膜厚を補正することで、最終的に算出される透明皮膜の膜厚の測定誤差を、数nmのオーダーに抑えることが可能となる。
膜厚算出部209は、このようにして算出された透明皮膜の膜厚に関する情報を、後述する判別部211や結果出力部213に出力する。また、膜厚算出部209は、算出した透明皮膜の膜厚に関する情報を、当該情報を算出した日時等に関する時刻情報と関連づけて、記憶部217等に履歴情報として格納してもよい。
判別部211は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。判別部211は、画像処理部207によって生成された各種の画像及び情報や、膜厚算出部209によって算出された透明皮膜の膜厚に関する情報等を利用して、金属の表面に形成された透明皮膜に対して、各種の判別処理を実施する。
より詳細には、判別部211は、膜厚算出部209により算出された透明皮膜の膜厚の分布に基づいて、測定された膜厚が所定の基準を満たすか否かを判別することができる。判別に用いられる基準値は特に限定されるものではなく、製品として出荷される金属に求められる品質基準に応じて、適宜設定されればよい。判別部211は、透明皮膜の膜厚が基準を満たしているか否かに関する判別結果を示した情報を、後述する結果出力部213に出力することができる。
また、判別部211は、画像処理部207から、画像特徴量として、膜厚測定対象領域に含まれる複数画素からなる領域での平均蛍光輝度及び蛍光輝度の標準偏差に関する特徴量が出力された場合や、蛍光輝度の分布の測定データの2値化データが出力された場合に、かかる画像特徴量や2値化データを利用して、透明皮膜の膜形成状態を判別することができる。透明皮膜は、所定の樹脂と蛍光体とを含む処理液を金属表面に塗布し、その後適宜乾燥させることによって形成される。判別部211は、かかる判別処理を実施することによって、かかる膜形成処理により形成された透明皮膜の状態が適切であるのか否か、また、適切ではない場合には、どのような状態となっているのか、を判別することができる。判別部211は、透明皮膜の膜形成状態に関する判別結果を示した情報を、後述する結果出力部213に出力することができる。
更に、判別部211は、画像処理部207から、蛍光輝度の分布の測定データを2値化した2値化データが出力された場合に、かかる2値化データを利用して、透明皮膜の欠損部を抽出することができる。すなわち、欠損部の抽出に用いられる所定の閾値を利用して生成された2値化データを参照して、所定の閾値未満の蛍光輝度値を有している領域を、透明皮膜の欠損部として判別することができる。判別部211は、欠損部として区分される領域を特定すると、欠損部の存在位置を表わす情報を、後述する結果出力部211に出力することができる。
判別部211は、上記のような各種の判別処理の他にも、画像処理部207によって生成された各種の画像及び情報や、膜厚算出部209によって算出された透明皮膜の膜厚に関する情報等を利用して、各種の判別処理を実施することができる。
結果出力部213は、データ取得部203や測定データ前処理部205から出力された各種測定データや、画像処理部207から出力された各種の画像処理結果や、膜厚算出部209から出力された透明皮膜の膜厚に関する情報や、判別部211から出力された各種の判別結果を、後述する表示制御部215に出力する。これにより、演算処理ユニット20により生成された各種の情報が、膜厚測定装置1又は膜厚測定装置1の外部に設けられた表示部(図示せず。)に出力されることとなる。また、結果出力部213は、得られた各種結果を、各種コンピュータ等の外部の装置に出力してもよく、得られた各種結果を利用して、製品に関する各種の帳票を作成してもよい。また、結果出力部213は、得られた各種の情報を、当該情報を算出した日時等に関する時刻情報と関連づけて、記憶部217等に履歴情報として格納してもよい。
表示制御部215は、例えば、CPU、ROM、RAM、出力装置等により実現される。表示制御部215は、結果出力部213から伝送された各種の情報を、膜厚測定装置1が備えるディスプレイ等の出力装置や膜厚測定装置1の外部に設けられた出力装置等に表示する際の表示制御を行う。これにより、膜厚測定装置1の利用者は、金属の表面に存在する透明皮膜に関する各種の処理結果を、その場で把握することが可能となる。
記憶部217は、例えば本実施形態に係る演算処理ユニット20が備えるROM、RAMやストレージ装置等により実現される。記憶部217には、本実施形態に係る測定ユニット10や演算処理ユニット20が、何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、または、各種のデータベースやプログラム等が、適宜記録される。この記憶部217は、測定ユニット制御部201、データ取得部203、測定データ前処理部205、画像処理部207、膜厚算出部209、判別部211、結果出力部213、表示制御部215等が、自由にデータのリード/ライト処理を行うことが可能である。
以上、本実施形態に係る演算処理ユニット20の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
なお、上述のような本実施形態に係る演算処理ユニットの各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
[画像処理部207及び判別部211における演算処理の一例]
続いて、本実施形態に係る画像処理部207及び判別部211で実施される演算処理を、図12〜図14を参照しつつ、例を挙げながら具体的に説明する。なお、以下に示す演算処理は、本実施形態に係る画像処理部207及び判別部211で実施される演算処理のあくまでも一例であって、本実施形態に係る画像処理部207及び判別部211で実施される各種の演算処理が、下記の例に限定されるものではない。
以下では、図12に模式的に示したような表面加工の施された鋼板を用い、かかる鋼板の表面に形成された透明皮膜の膜厚を算出する場合の演算処理について具体的に説明する。かかる鋼板の表面は、図12に示したように、凸部が所定の間隔で設けられている部分と、平坦部と、から構成されており、平坦部の一部には、透明皮膜が設けられていない凹部が存在している。鋼板を用いた各種部品によっては、平坦部に意図的に凹部が存在することがあるが、以下で説明する演算処理では、かかる凹部を処理対象外として取り扱うものとする。
また、説明の便宜上、透明皮膜が形成されている平坦面を含む平面をXY平面とし、凸部の高さ方向(換言すれば、平坦部の法線方向)をZ軸方向とする。X方向が鋼板の板幅方向に対応し、Y方向が鋼板の長手方向であり、かつ、鋼板の搬送方向に対応する。
図13A〜図13Eは、図12に示した測定対象物の蛍光輝度の分布を測定した場合に得られる測定データの一部を模式的に示したものである。図13A〜図13Eにおいて、図面左端部は平坦部に対応しており、その他の部分は凸部に対応している。なお、これらの測定データを取得する際には、図12に模式的に示したような鋼板の断面形状に基づいて作成された表面形状を表わす情報を利用して、測定ユニット10において、鋼板と測定ユニット10との間の離隔距離が一定となるように制御しながら測定を行うことが好ましい。また、これらの測定データは、演算処理ユニット20の測定データ前処理部205により、照度ムラの補正処理が実施されることが好ましく、膜厚を算出する際には、膜厚算出部209により、表面形状に伴う局所的な膜圧変化の補正処理が実施されることが好ましい。
図13Aに示した蛍光輝度の分布を示す測定データは、上記で説明したような膜厚測定処理を実施した結果、適切な膜厚の透明皮膜が形成されていることが確認された測定データを模式的に示したものである。適切な膜厚の透明皮膜が形成されている場合には、画像全体にわたって蛍光輝度値が高く、特に、図13A中に矢印で示した凸部の天面に対応する部分が、はっきりと映し出される。
図13Bに示した蛍光輝度の分布を示す測定データは、上記で説明したような膜厚測定処理を実施した結果、透明皮膜の膜厚が所定の基準値よりも薄いことが確認された測定データを模式的に示したものである。透明皮膜の膜厚が所定の基準値よりも薄い場合には、透明皮膜中に含まれる蛍光体の含有量も低下するため、画像全体にわたって蛍光輝度値が低く、暗い画像となる。
図13Cに示した蛍光輝度の分布を模式的に示す測定データでは、透明皮膜を形成するための処理液の液だれが生じてしまい、図中に破線で囲った領域のように、互いに隣り合う凸部間に位置するはずの谷間まで高い蛍光輝度値が検出されている。
図13Dに示した蛍光輝度の分布を示す測定データでは、図中に破線で囲った領域に、透明皮膜の形成されていない欠損部が存在している場合の測定データを模式的に示したものである。また、図13Eに示した蛍光輝度の分布を示す測定データは、透明皮膜を形成する際に、表面の洗浄不足等に起因して処理液が均一に分布せず、透明皮膜にムラがある場合の測定データを模式的に示したものである。
本実施形態に係る演算処理ユニット20は、以下で詳述するような演算処理を得られた測定データに対して施すことで、透明皮膜の膜厚のみならず、図13A〜図13Eに示したような透明皮膜の状態や欠損部の有無等をも判別することができる。
例えば図13Aに示したような蛍光輝度の分布の測定データが伝送されると、画像処理部207は、まず、膜厚算出処理の処理範囲を特定する。かかる場合、画像処理部207は、測定データに対応する蛍光輝度画像のエッジを検出するために、所定の垂直微分フィルタを用いたフィルタ処理を実施する。かかる垂直微分フィルタは、特に限定されるものではないが、例えば、以下の式1で表わされるような垂直微分フィルタを用いることが可能である。
Figure 0005920534
次に、画像処理部207は、垂直微分フィルタ適用後の蛍光輝度画像について、その輝度値を水平方向に合計して、図14に示したような水平方向プロジェクションデータを生成する。この水平方向プロジェクションデータは、図14に示したように、横軸が水平方向の位置に対応しており、縦軸が各水平方向位置における輝度値の合計に対応している。
次に、画像処理部207は、図14に示したような垂直方向プロジェクションデータについて、データの左端及び右端の双方から、合計輝度値が所定の閾値以上となる位置を探索していく。画像処理部207は、データの左端から探索を開始して、合計画素値が初めて所定の閾値以上となった位置と、データの右端から探索を開始して、合計輝度値が初めて所定の閾値以上となった位置と、で挟まれる領域を、膜厚算出処理の処理範囲と決定することができる。ここで、処理範囲を決定するために利用される閾値は、特に限定されるものではなく、測定ユニット10を利用した事前の検証を行って適宜設定すればよい。
上述のように、製品によっては、図12中の凹部のように、斜め方向に意図的に溝を設ける場合がある。判別部211は、このような凹部を膜厚算出処理の除外領域として抽出することが可能である。この場合、画像処理部207は、製品の設計情報等を管理サーバ3等から取得して、凹部が存在しうる位置の概略を予め把握しておく。その上で、凹部が存在しうる領域の蛍光輝度画像に対して、エッジ検出のために、以下の式2で表わされるような斜め微分フィルタを用いたフィルタ処理を実施する。
Figure 0005920534
画像処理部207は、上記式2のような斜め微分フィルタを必要に応じて複数回適用して、凹部のエッジを強調した後、除外領域抽出用の所定の閾値に基づく2値化処理を行う。判別部211は、画像処理部207によって生成された2値化画像において、画素値=1となっている領域(画素値が所定の閾値以上であった領域)を抽出し、かかる領域の外接長方形に着目する。その上で、判別部211は、外接長方形の大きさが所定の条件を満たすものを、凹部に対応する領域として抽出することができる。
また、判別部211は、蛍光輝度画像を所定の閾値を用いて2値化することで得られた2値化画像を利用して、図13Dに示したような欠損部を抽出することもできる。この場合、画像処理部207は、欠損部抽出用の閾値を用いて蛍光輝度画像を2値化する。判別部211は、画像処理部207によって生成された2値化画像において、画素値=0となっている領域(画素値が所定の閾値以下であった領域)を抽出する。その上で、判別部211は、抽出された領域のうち、所定の条件以上の大きさを有している領域を、図13Dに示したような欠損部として抽出することができる。
一方、判別部211は、図13Cに示したような液だれ状態(換言すれば、透明皮膜が厚膜となっている状態)を判別することも可能である。この場合、画像処理部207は、厚膜判別用の閾値を用いて蛍光輝度画像を2値化する。判別部211は、画像処理部207によって生成された2値化画像において、画素値=1となっている領域(画素値が所定の閾値以上であった領域)を抽出する。その上で、判別部211は、抽出された領域のうち、所定の条件以上の大きさを有している領域が存在しているものを、図13Cに示したような厚膜状態として判別することができる。
また、判別部211は、図13Bに示したような薄膜状態や、図13Eに示したようなムラが生じている状態を判別することも可能である。この場合、画像処理部207は、膜厚測定対象領域に含まれる複数画素からなる領域での平均蛍光輝度及び蛍光輝度の標準偏差を算出する。平均蛍光輝度や蛍光輝度の標準偏差を算出する領域の位置や大きさは、特に限定されるものではなく、図13Bや図13Eに示したような現象が生じやすい領域を事前の検証により特定しておき、かかる現象の生じやすい領域を画像処理部207の処理対象領域とすればよい。
判別部211は、画像処理部207によって算出された平均蛍光輝度が、薄膜判別用の所定の閾値以下である場合、着目している透明皮膜が薄膜状態であると判別することができる。また、判別部211は、画像処理部207によって算出された蛍光輝度の標準偏差が、ムラ判別用の所定の閾値以上である場合、着目している透明皮膜にムラが生じていると判別することができる。
以上、図12〜図14を参照しながら、本実施形態に係る画像処理部207及び判別部211で実施される演算処理の一例を具体的に説明した。
<膜厚測定方法の流れについて>
次に、図15を参照しながら、本実施形態に係る膜厚測定方法の流れの一例について、簡単に説明する。図15は、本実施形態に係る膜厚測定方法の流れの一例を示した流れ図である。
本実施形態に係る膜厚測定方法では、まず、演算処理ユニット20の制御下にある測定ユニット10により、膜厚測定対象領域の蛍光測定と、膜厚測定対象領域の一部の膜厚測定と、が実施される(ステップS101)。得られた2種類の測定データは、演算処理ユニット20に出力される。
演算処理ユニット20のデータ取得部203は、取得した2種類のデータを、測定データ前処理部205に出力する。測定データ前処理部205は、測定されたデータに対して、上記のような前処理を実施する(ステップS103)。測定データ前処理部205は、前処理後の測定データを、画像処理部207及び膜厚算出部209に出力する。
次に、膜厚算出部209は、前処理後の測定データ(より詳細には、膜厚の測定データと、膜厚測定位置における前処理後の蛍光輝度の分布の測定データ)を利用して、膜厚と蛍光輝度との間の相関関係を特定する(ステップS105)。
続いて、膜厚算出部209は、前処理後の測定データ(より詳細には、膜厚測定対象領域の全域における前処理後の蛍光輝度の分布の測定データ)と、特定した相関関係と、を利用して、透明皮膜の膜厚を算出する(ステップS107)。膜厚算出部209は、透明皮膜の膜厚を算出すると、膜厚の算出結果を表わした情報を、判別部211及び結果出力部213に出力する。
一方、画像処理部207は、前処理後の測定データに対して、上記のような各種の画像処理を実施し(ステップS109)、得られた各種のデータを判別部211に出力する。判別部211は、得られた画像処理結果や、膜厚の算出結果等を利用して、上記のような各種の判別処理を実施する(ステップS111)。判別部211は、各種の判別結果を表わした情報を、結果出力部213に出力する。
結果出力部213は、膜厚算出部209や判別部211によって得られた各種の結果を出力する(ステップS113)。これにより、膜厚測定方法を利用したユーザは、各種の判別結果を把握することが可能となる。
以上、図15を参照しながら、本実施形態に係る膜厚測定方法の流れを簡単に説明した。
なお、図15では、膜厚算出処理が行われた後に、各種の画像処理が行われる流れを示しているが、各種の画像処理は、膜厚算出処理に先立って実施されてもよい。また、膜厚算出処理と各種の画像処理は、並行して実施されてもよい。
(第2の実施形態)
以下で説明する本発明の第2の実施形態では、上記第1の実施形態で説明した膜厚測定装置及び膜厚測定方法を、管状の測定対象物に対して適用した場合について説明する。なお、以下では、表面に凹凸の存在しない鋼管を測定対象物とした場合を例に挙げて説明を行うが、以下で説明する第2の実施形態では、管状の測定対象物の表面に凹凸が存在する場合であっても、第1の実施形態と同様にして膜厚測定処理を実施可能であることは言うまでもない。
<膜厚測定装置の全体構成について>
本実施形態に係る膜厚測定装置の全体構成については、図2に示した本発明の第1の実施形態に係る膜厚測定装置の全体構成と同様に、測定ユニット10及び演算処理ユニット20から構成されるため、以下では詳細な説明は省略する。
<測定ユニット10の構成について>
図16は、本発明の第2の実施形態に係る膜厚測定方法を実施するために使用される測定ユニット10の構成を模式的に示す図である。なお、鋼管の外周面には、第1の実施形態で説明したものと同様の透明皮膜が形成されており、本実施形態に係る膜厚測定装置を用いて、この透明皮膜の膜厚の分布を測定することができる。また、透明皮膜は、第1の実施形態で測定対象とした透明皮膜と同様の蛍光体を含む。
この測定ユニット10は、第1の実施形態に係る測定ユニット10と同様に、透明皮膜に含まれる蛍光体の励起波長を含む波長帯域の照明光を射出する照明装置101と、透明皮膜において、照明装置101からの照明光を照射された領域の像を撮影することで、蛍光輝度の分布の測定データを生成する蛍光測定装置103と、透明皮膜の膜厚を測定する光学式膜厚計105と、を備える。また、図16には図示していないが、本実施形態に係る測定ユニット10には、図3に示した第1の実施形態に係る測定ユニット10と同様に、距離計111や駆動機構Mが設けられている。
照明装置101は、図3に示した測定ユニット10における照明装置101と同様の構成を有し、第1の実施形態に係る照明装置101と同様の波長帯域の照明光を射出する。また、蛍光測定装置103は、3に示した測定ユニット10における蛍光測定装置103と同様の構成を有しており、蛍光体からの蛍光の輝度を測定することができる。光学式膜厚計105は、3に示した測定ユニット10における光学式膜厚計105と同様の構成を有しており、透明皮膜の微小領域A2について膜厚を測定することができる。
図3に示したような各装置の配置により、図4等に示したように微小領域A2がライン状領域A1内に含まれるように構成することができない場合には、図16に模式的に示したように、照明装置101及び蛍光測定装置103と、光学式膜厚計105と、を鋼管の管軸に対して略対称となるように配置してもよい。図16に模式的に示したような配置を採用することにより、蛍光測定装置103による蛍光輝度の分布の測定と、光学式膜厚計105による膜厚測定とが、鋼管の透明皮膜形成部において、同時刻に、異なる部分に対して実施されることとなる。この場合、演算処理ユニット20の測定データ前処理部205により、以下で説明するような前処理が実施されて、透明皮膜において、膜厚の測定値と、当該膜厚の測定が行われた位置における蛍光輝度の測定値とが対応付けられる。
[測定ユニット10の動作]
かかる測定ユニット10を用い、本実施形態に係る膜厚測定方法により、金属の表面に設けられた透明皮膜の膜厚の分布を測定する方法について、その概略を説明する。まず、鋼管を、管軸周りに回転させながら、透明皮膜の膜厚測定対象領域について、蛍光測定装置103による蛍光輝度測定と、光学式膜厚計105による膜厚測定とを同時に行う。ライン状領域A1は、鋼管の軸方向に関して、膜厚測定対象領域の全域を含むようにする。また、ライン状領域A1の特定の区画pにおける蛍光測定装置103の蛍光輝度測定と、光学式膜厚計105による膜厚測定とは、透明皮膜の膜厚測定対象領域において、同じライン上で行われるようにする。これにより、同じライン上に位置する特定の区画pにおいて、蛍光輝度測定及び膜厚測定の双方が実施されることとなる。
蛍光輝度分布の測定結果及び膜厚の測定結果を表わす測定データは、透明皮膜上の測定位置に関係する情報とともに、演算処理ユニット20へと出力される。これにより、蛍光輝度値のデータ配列と、膜厚値のデータ配列とが生成されることとなる。
<演算処理ユニット20の構成について>
本実施形態に係る演算処理ユニット20の構成は、図11に示した第1の実施形態に係る演算処理ユニット20と同様の構成を有している。すなわち、本実施形態に係る演算処理ユニット20は、本発明の第1の実施形態に係る演算処理ユニット20と同様に、測定ユニット制御部201と、データ取得部203と、測定データ前処理部205と、画像処理部207と、膜厚算出部209と、判別部211と、結果出力部213と、表示制御部215と、記憶部217と、を主に備える。
ここで、測定ユニット制御部201、データ取得部203、画像処理部207、膜厚算出部209、判別部211、結果出力部213、表示制御部215及び記憶部217については、第1の実施形態に係る演算処理ユニット20における各処理部と同様の構成を有するものであるため、以下では詳細な説明は省略する。
また、本実施形態に係る演算処理ユニット20が備える測定データ前処理部205は、以下で説明する膜厚測定データのデータ配列修正処理を更に実施する以外は、第1の実施形態に係る測定データ前処理部205と同様の構成を有するものである。従って、以下では、測定データ前処理部205によって実施される、膜厚測定データのデータ配列修正処理について、図17〜図19を参照しながら簡単に説明する。
[膜厚測定データのデータ配列修正処理]
図17は、図16に示したような測定ユニット10により生成された蛍光輝度測定データの例を示す図であり、図18は、図16に示したような測定ユニット10により生成された膜厚測定データの例を示す図である。
演算処理ユニット20の測定データ前処理部205は、記憶部217等に記憶された蛍光輝度値のデータ配列から、所定のデータ長の配列を抽出し、記憶部217等のメモリに記憶する。そして、測定データ前処理部205は、膜厚値のデータ配列において、蛍光輝度値を抽出したデータ位置とは異なるデータ位置から、抽出された蛍光輝度値のデータ配列と同じデータ長の配列を抽出する。すなわち、抽出された蛍光輝度値のデータ配列と、抽出された膜厚値のデータ配列とは、抽出前のデータ配列におけるデータ位置がずれた状態となっている。
なお、測定データ前処理部205は、蛍光輝度値のデータ配列及び膜厚値のデータ配列について、配列内を複数の区間に分け、各区間内で、それぞれ、蛍光輝度値及び膜厚値を平均したものを採用してもよい。
次に、測定データ前処理部205は、抽出した蛍光輝度値のデータ配列及び抽出した膜厚値のデータ配列における同じデータ位置のものを互いに対応させて、輝度値と、膜厚値との相関係数を求め、記憶部217等のメモリに記憶する。そして、測定データ前処理部205は、膜厚のデータ配列の抽出位置を1つだけずらして、上記と同様に相関係数を求め、記憶部217等のメモリに記憶する。測定データ前処理部205は、このような操作を繰り返し、相関係数が最大になるときのデータ抽出位置のずらし量が、蛍光輝度の測定位置と膜厚の測定位置とのズレ量に対応すると判断する。このようにして、測定データ前処理部205は、透明皮膜において、膜厚の測定値と当該膜厚の測定が行われた位置における蛍光輝度測定値とを対応付ける。
以上の方法では、測定データ前処理部205は、抽出した蛍光輝度のデータ配列を固定したうえで、膜厚値のデータ配列から抽出するデータ位置をずらしながら、2つのデータ配列の相関係数を求めたが、測定データ前処理部205が実施するデータ配列の修正処理は、かかる例に限定されるものではない。例えば、測定データ前処理部205は、抽出した膜厚のデータ配列を固定して、蛍光輝度データを抽出するデータ位置をずらしながら、同様にして相関係数を求めてもよい。
膜厚測定対象領域における膜厚の分布は、相関係数が最大になるときの蛍光輝度値と膜厚値との相関関係を利用することで、第1の実施形態と同様にして、測定により得られた蛍光輝度の分布から求めることができる。図17及び図18には、このように相関係数が最大になるようにデータ位置をずらしたときの蛍光輝度及び膜厚をそれぞれ示しており、図17の横軸に示す測定位置と図18の横軸に示す測定位置とが同じ数値であるときの蛍光輝度と膜厚とは、鋼管の外周面上の同じ位置で測定されたと判断されることを示す。
また、測定データ前処理部205は、蛍光測定装置103と光学式膜厚計105とが図16に模式的に示したように鋼管を介して対向するように設けられている場合には、以下のような簡便な手法を用いて、データ配列の修正処理を実施してもよい。
すなわち、蛍光測定装置103及び光学式膜厚計105が、互いに対向するように設置されている場合、測定開始位置の違いや、測定開始タイミングのズレ等により、図19に示したようなデータ配列のズレが生じることとなる。この場合、膜厚測定データの後半部分に位置するデータを、前半部分に存在するデータの更に前方へと移動してやれば、蛍光輝度測定データのデータ位置と、移動後の膜厚測定データのデータ位置とは一致するようになる。
そこで、測定データ前処理部205は、オフセットをも考慮して、膜厚測定データの(N/2+offset)からの長さ(N/2−offset)のデータを、記憶部217等のメモリの新しいバッファの先頭に入れて、元の膜厚測定データの先頭からの長さ(N/2+offset)のデータを、バッファの(N/2−offset+1)の位置から入れればよい。
これにより、測定データ前処理部205は、より簡便にデータ位置の修正を行うことができる。
なお、測定データ前処理部205は、データ位置の修正を行う際に、0以上の値を有するデータの平均値と標準偏差とを算出しておき、所定の信頼度が実現されるように、算出した平均値と標準偏差とを利用して、異常値とみなすデータ値の上限値及び下限値を設定してもよい。例えば、95%の信頼度を与えるようなデータ配列とするためには、以下の式11及び式12に基づいて、異常値の下限値及び上限値を設定すればよい。
異常値の下限値=平均値−1.96×標準偏差 ・・・(式11)
異常値の上限値=平均値+1.96×標準偏差 ・・・(式12)
更に、測定データ前処理部205は、データ配列の修正後のデータを利用し、着目しているデータ点を含む前後2点の合計5点について平均値を求め、移動平均処理を実施してもよい。
以上、本実施形態に係る測定データ前処理部205によるデータ配列修正処理について、簡単に説明した。
測定データ前処理部205は、上記のようなデータ配列修正処理を実施した後に、第1の実施形態で説明したような各種の前処理を実施する。本実施形態に係る画像処理部207、膜厚算出部209及び判定部211は、測定データ前処理部205から出力された測定データを利用して、第1の実施形態で説明したような処理をそれぞれ実施する。これにより、本実施形態に係る演算処理ユニット20においても、第1の実施形態に係る演算処理ユニット20と同様にして、各種の演算処理結果が得られることとなる。
以上、本実施形態に係る演算処理ユニット20の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
なお、上述のような本実施形態に係る演算処理ユニットの各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
(ハードウェア構成について)
次に、図20を参照しながら、本発明の実施形態に係る演算処理ユニット20のハードウェア構成について、詳細に説明する。図20は、本発明の実施形態に係る演算処理ユニット20のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
演算処理ユニット20は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、演算処理ユニット20は、更に、バス907と、入力装置909と、出力装置911と、ストレージ装置913と、ドライブ915と、接続ポート917と、通信装置919とを備える。
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置913、またはリムーバブル記録媒体921に記録された各種プログラムに従って、演算処理ユニット20内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるバス907により相互に接続されている。
バス907は、ブリッジを介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バスに接続されている。
入力装置909は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置909は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、演算処理ユニット20の操作に対応したPDA等の外部接続機器923であってもよい。さらに、入力装置909は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。演算処理ユニット20のユーザは、この入力装置909を操作することにより、演算処理ユニット20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
出力装置911は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置や、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置911は、例えば、演算処理ユニット20が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、演算処理ユニット20が行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
ストレージ装置913は、演算処理ユニット20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置913は、例えば、HDD(Hard Disk
Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置913は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種のデータなどを格納する。
ドライブ915は、記録媒体用リーダライタであり、演算処理ユニット20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体921は、例えば、CDメディア、DVDメディア、Blu−ray(登録商標)メディア等である。また、リムーバブル記録媒体921は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体921は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
接続ポート917は、機器を演算処理ユニット20に直接接続するためのポートである。接続ポート917の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、RS−232Cポート等がある。この接続ポート917に外部接続機器923を接続することで、演算処理ユニット20は、外部接続機器923から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器923に各種のデータを提供したりする。
通信装置919は、例えば、通信網925に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置919は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置919は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置919は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置919に接続される通信網925は、有線または無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、社内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信等であってもよい。
以上、本発明の実施形態に係る演算処理ユニット20の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
以下では、実施例を示しながら、本発明の実施形態に係る膜厚測定方法及び膜厚測定装置について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明の実施形態に係る膜厚測定方法及び膜厚測定装置のあくまでも一例にすぎず、本発明に係る膜厚測定方法及び膜厚測定装置が下記の例に限定されるものではない。
(実験例1)
第1の実施形態に係る膜厚測定方法及び膜厚測定装置により、鋼板(平板)上に透明皮膜が形成された4つの試料について、当該透明皮膜の膜厚の分布を測定した。いずれの試料においても、透明皮膜は、全域に渡ってほぼ一様な膜厚を有していた。図21は、得られた測定結果を示したもので、膜厚を明度に対応付けて表したものである。すなわち、図21において、膜厚の差異は、明度の差異(明暗)で表されている。膜厚には規格値があり、下限値及び上限値は、それぞれ、10μm及び40μmであるものとする。
図21に示す明度から、以下のことがわかる。図21(a)の試料では、透明皮膜の膜厚は、皮膜のほぼ全域に渡って、10μm未満であり、規格の下限値を下回っている。図21(b)の試料では、透明皮膜の膜厚は、皮膜のほぼ全域に渡って、40μmを超えており、規格の上限値を上回っている。すなわち、図21(a)及び図21(b)の試料は、不良品である。
図21(c)の試料では、透明皮膜の膜厚は、35〜40μm程度であり、規格の上限値に近いが、規格内(良品)である。図21(d)の試料では、透明皮膜の膜厚は、25〜35μm程度であり、規格内である。
このように、第1の実施形態に係る膜厚測定方法及び膜厚測定装置を用いることで、膜厚に関して、良品と不良品とを、容易に判別することができる。膜厚の分布をこのように明暗で表すことにより、1つの透明皮膜内で膜厚が大きく異なる場合であっても、同様に、膜厚が下限値未満の部位、及び、膜厚が上限値を超える部位を、容易に識別することができる。
また、膜厚は、色に対応付けて表すことも可能である。この場合、膜厚の差異は、色の違いで表される。透明皮膜の膜厚に、下限値及び/又は上限値の規格(所定の基準)がある場合、下限値を下回る部位、及び/又は、上限値を超える部位を、規格範囲内に入る部位とは、異なる色で表してもよい。規格の下限値より小さい膜厚を有する部位に対しては、例えば、適当な方法によりマーキングしておき、透明皮膜を付加形成して、膜厚が規格範囲内に入るようにしてもよい。
次に、鋼板上に形成された透明皮膜について、紫外線発光ダイオードによる照明光を照射した場合と、ブラックライトによる照明光を照射した場合とで、得られる輝度値の分布を比較した。測定対象の透明皮膜は、内方の部分から縁部に渡って、ほぼ一定の厚さを有していた。
図22A及び図22Bは、透明皮膜の形成部から非形成部に渡って、透明皮膜の蛍光による輝度を測定したときの、測定位置と輝度との関係を示す図である。図22Aは、紫外線発光ダイオードによる照明光を透明皮膜に照射したときのものであり、図22Bは、ブラックライトによる照明光を透明皮膜に照射したときのものである。
図22Aから明らかなように、紫外線発光ダイオードを用いた場合は、透明皮膜が存在する部分では、ほぼ一定の輝度が得られており、輝度と膜厚との相関が強いことがわかる。
一方、図22Bから明らかなように、ブラックライトを用いた場合は、透明皮膜の膜厚がほぼ一定であるにもかかわらず、透明皮膜が存在する部分内においても、輝度値が大きく変化する。具体的には、透明皮膜内で皮膜の縁部に近くなるほど、輝度値が増大する。これは、紫外線発光ダイオードと比べてブラックライトで照明むらが大きいことに起因しているものと考えられる。
なお、上記と同様にして、鋼管の表面に形成された透明皮膜の膜厚を第2の実施形態に示した方法に則して測定したところ、上記と同様に、精度よく透明皮膜の膜厚を測定することができた。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 膜厚測定装置
10 測定ユニット
20 演算処理ユニット
101 照明装置
103 蛍光測定装置
105 光学式膜厚計
111 距離計
201 測定ユニット制御部
203 データ取得部
205 測定データ前処理部
207 画像処理部
209 膜厚算出部
211 判別部
213 結果出力部
215 表示制御部
217 記憶部
M 駆動機構

Claims (29)

  1. 金属の表面に形成された透明皮膜の膜厚を測定する方法であって、
    前記透明皮膜は、励起波長が紫外線帯域に属し、かつ、蛍光波長が可視光帯域に属する蛍光体を含有しており、
    前記励起波長を含む帯域の照明光を前記透明皮膜に照射して、前記照明光を照射された前記透明皮膜の膜厚測定対象領域について、前記蛍光波長での蛍光輝度の分布を選択的に測定しつつ、赤外線帯域に属する測定光を前記膜厚測定対象領域の一部に照射し、当該膜厚測定対象領域の一部からの反射光の干渉度合いに基づいて前記膜厚測定対象領域の一部の膜厚を測定する測定工程と、
    前記膜厚測定対象領域の一部における前記膜厚の測定結果と前記蛍光輝度の分布の測定結果とに基づいて、前記透明皮膜の膜厚と前記蛍光輝度との相関関係を求める相関関係特定工程と、
    前記膜厚測定対象領域の一部での前記相関関係に基づき、前記膜厚測定対象領域の前記蛍光輝度の分布から、前記膜厚測定対象領域における前記透明皮膜の膜厚の分布を算出する膜厚分布算出工程と、
    を含む、膜厚測定方法。
  2. 前記蛍光体の含有量は、前記透明皮膜の全固形分に対して、0.01〜0.05質量%である、請求項1に記載の膜厚測定方法。
  3. 前記測定工程では、前記膜厚測定対象領域と測定機器との離隔距離が一定となるように、前記金属の表面形状を表わした表面形状情報を利用して前記測定機器の位置が制御される、請求項1又は2に記載の膜厚測定方法。
  4. 前記相関関係特定工程に先立ち実施され、測定された前記蛍光輝度の分布に含まれる前記照明光の照明ムラに伴う蛍光輝度の乱れを補正する補正工程を更に含み、
    前記相関関係特定工程では、補正された前記蛍光輝度の分布を利用して、前記相関関係が特定される、請求項1〜3の何れか1項に記載の膜厚測定方法。
  5. 前記膜厚分布算出工程では、前記金属の表面形状に伴う前記透明皮膜の膜厚の局所的な変化に関するモデルデータに基づいて、算出した前記透明皮膜の膜厚の分布が補正される、請求項1〜4の何れか1項に記載の膜厚測定方法。
  6. 算出された前記膜厚の分布に基づいて、測定された前記膜厚が所定の基準を満たすか否かを判別する判別工程を更に含む、請求項1〜5の何れか1項に記載の膜厚測定方法。
  7. 前記判別工程では、前記膜厚測定対象領域に含まれる複数画素からなる領域での平均蛍光輝度及び蛍光輝度の標準偏差、並びに、前記蛍光輝度の分布の測定データの2値化データの少なくとも何れかを利用して、前記透明皮膜の膜形成状態を更に判別する、請求項6に記載の膜厚測定方法。
  8. 前記判別工程では、前記蛍光輝度の分布において所定の閾値以下の前記蛍光輝度を有している領域を、前記透明皮膜の欠損部として判別する、請求項6又は7に記載の膜厚測定方法。
  9. 前記金属の表面は、所定の間隔で凹部又は凸部の少なくとも何れかの形成された領域を含む、請求項1〜8の何れか1項に記載の膜厚測定方法。
  10. 前記照明光は、紫外線発光ダイオードから射出される、請求項1〜9の何れか1項に記載の膜厚測定方法。
  11. 金属の表面に形成された透明皮膜の膜厚を測定する装置であって、
    前記透明皮膜は、励起波長が紫外線帯域に属し、かつ、蛍光波長が可視光帯域に属する蛍光体を含有しており、
    前記励起波長を含む帯域の照明光を前記透明皮膜に照射して、前記照明光を照射された前記透明皮膜の膜厚測定対象領域について、前記蛍光波長での蛍光輝度の分布を選択的に測定しつつ、赤外線帯域に属する測定光を前記膜厚測定対象領域の一部に照射し、当該膜厚測定対象領域の一部からの反射光の干渉度合いに基づいて前記膜厚測定対象領域の一部の膜厚を測定する測定ユニットと、
    前記膜厚測定対象領域の一部における前記膜厚の測定結果と前記蛍光輝度の分布の測定結果とに基づいて、前記透明皮膜の膜厚と前記蛍光輝度との相関関係を求めるとともに、前記膜厚測定対象領域の一部での前記相関関係に基づき、前記膜厚測定対象領域の前記蛍光輝度の分布から、前記膜厚測定対象領域における前記透明皮膜の膜厚の分布を算出する演算処理ユニットと、
    を備える、膜厚測定装置。
  12. 前記蛍光体の含有量は、前記透明皮膜の全固形分に対して、0.01〜0.05質量%である、請求項11に記載の膜厚測定装置。
  13. 前記測定ユニットは、前記膜厚測定対象領域と測定機器との離隔距離が一定となるように、前記金属の表面形状を表わした表面形状情報を利用して前記測定機器の位置を制御する、請求項11又は12に記載の膜厚測定装置。
  14. 前記演算処理ユニットは、前記相関関係を特定するに先立ち、測定された前記蛍光輝度の分布に含まれる前記照明光の照明ムラに伴う蛍光輝度の乱れを補正し、補正された前記蛍光輝度の分布を利用して、前記相関関係を特定する、請求項11〜13の何れか1項に記載の膜厚測定装置。
  15. 前記演算処理ユニットは、前記金属の表面形状に伴う前記透明皮膜の膜厚の局所的な変化に関するモデルデータに基づいて、算出した前記透明皮膜の膜厚の分布を補正する、請求項11〜14の何れか1項に記載の膜厚測定装置。
  16. 前記演算処理ユニットは、算出された前記膜厚の分布に基づいて、測定された前記膜厚が所定の基準を満たすか否かを更に判別する、請求項11〜15の何れか1項に記載の膜厚測定装置。
  17. 前記演算処理ユニットは、前記膜厚測定対象領域に含まれる複数画素からなる領域での平均蛍光輝度及び蛍光輝度の標準偏差、並びに、前記蛍光輝度の分布の測定データの2値化データの少なくとも何れかを利用して、前記透明皮膜の膜形成状態を更に判別する、請求項16に記載の膜厚測定装置。
  18. 前記演算処理ユニットは、前記蛍光輝度の分布において所定の閾値以下の前記蛍光輝度を有している領域を、前記透明皮膜の欠損部として判別する、請求項16又は17に記載の膜厚測定装置。
  19. 前記金属の表面は、所定の間隔で凹部又は凸部の少なくとも何れかの形成された領域を含む、請求項11〜18の何れか1項に記載の膜厚測定装置。
  20. 前記照明光の光源は、紫外線発光ダイオードである、請求項11〜19の何れか1項に記載の膜厚測定装置。
  21. 励起波長が紫外線帯域に属し、かつ、蛍光波長が可視光帯域に属する蛍光体を含有した透明皮膜が表面に形成された金属に対し、前記励起波長を含む帯域の照明光を前記透明皮膜に照射して、前記照明光を照射された前記透明皮膜の膜厚測定対象領域について、前記蛍光波長での蛍光輝度の分布を選択的に測定しつつ、赤外線帯域に属する測定光を前記膜厚測定対象領域の一部に照射し、当該膜厚測定対象領域の一部からの反射光の干渉度合いに基づいて前記膜厚測定対象領域の一部の膜厚を測定する測定ユニットと通信可能なコンピュータを、前記透明皮膜の膜厚を測定する装置として機能させるためのプログラムであって、
    前記膜厚測定対象領域の一部における前記膜厚の測定結果と前記蛍光輝度の分布の測定結果とに基づいて、前記透明皮膜の膜厚と前記蛍光輝度との相関関係を求める相関関係特定機能と、
    前記膜厚測定対象領域の一部での前記相関関係に基づき、前記膜厚測定対象領域の前記蛍光輝度の分布から、前記膜厚測定対象領域における前記透明皮膜の膜厚の分布を算出する膜厚分布算出機能と、
    を実現させるためのプログラムが記録された記録媒体。
  22. 前記蛍光体の含有量は、前記透明皮膜の全固形分に対して、0.01〜0.05質量%である、請求項21に記載の記録媒体。
  23. 前記プログラムは、前記膜厚測定対象領域と測定機器との離隔距離が一定となるように、前記金属の表面形状を表わした表面形状情報を利用して前記測定機器の位置を制御する制御機能を更に実現させる、請求項21又は22に記載の記録媒体。
  24. 前記プログラムは、測定された前記蛍光輝度の分布に含まれる前記照明光の照明ムラに伴う蛍光輝度の乱れを補正する補正機能を更に実現させ、
    前記相関関係特定機能は、補正された前記蛍光輝度の分布を利用して、前記相関関係を特定する、請求項21〜23の何れか1項に記載の記録媒体。
  25. 前記膜厚分布算出機能は、前記金属の表面形状に伴う前記透明皮膜の膜厚の局所的な変化に関するモデルデータに基づいて、算出した前記透明皮膜の膜厚の分布を補正する、請求項21〜24の何れか1項に記載の記録媒体。
  26. 前記プログラムは、算出された前記膜厚の分布に基づいて、測定された前記膜厚が所定の基準を満たすか否かを更に判別する判別機能を更に実現させる、請求項21〜25の何れか1項に記載の記録媒体。
  27. 前記判別機能は、前記膜厚測定対象領域に含まれる複数画素からなる領域での平均蛍光輝度及び蛍光輝度の標準偏差、並びに、前記蛍光輝度の分布の測定データの2値化データの少なくとも何れかを利用して、前記透明皮膜の膜形成状態を更に判別する、請求項26に記載の記録媒体。
  28. 前記判別機能は、前記蛍光輝度の分布において所定の閾値以下の前記蛍光輝度を有している領域を、前記透明皮膜の欠損部として判別する、請求項26又は27に記載の記録媒体。
  29. 前記金属の表面は、所定の間隔で凹部又は凸部の少なくとも何れかの形成された領域を含む、請求項21〜28の何れか1項に記載の記録媒体。
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