以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(欠陥検出装置の全体構成について)
まず、図1を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る欠陥検出装置10の全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係る欠陥検出装置10の構成を示した説明図である。
本実施形態に係る欠陥検出装置10は、管状体1の内表面を、管状体撮像装置が管状体の内部に送入される際、又は、管状体の内部から送出される際の少なくとも何れか一方で撮像して、撮像の結果得られる画像を画像処理することにより、管状体1の内表面に各種の表面欠陥が存在するか否かを検査する装置である。
なお、本実施形態に係る管状体1は、中空部を有する管状のものであれば特に限定されるわけではないが、かかる管状体1の例として、スパイラル鋼管、電縫鋼管、UO鋼管、継目無鋼管(シームレス鋼管)、鍛接鋼管、TIG溶接鋼管等の各種鋼管やパイプのみならず、熱間押出法で使用されるコンテナと称するシリンダー等の管状物を挙げることができる。
本実施形態に係る欠陥検出装置10は、図1に示したように、管状体1の内表面を撮像する管状体撮像装置100と、管状体撮像装置100の管軸方向に沿った移動を制御する駆動制御装置150と、撮像の結果得られる管状体の内表面画像に対して画像処理を行う演算処理装置200と、を備える。
管状体撮像装置100は、管状体1の中空部に設置される。この管状体撮像装置100は、2種類の照明光源を有しており、管状体1の軸方向に沿って位置を随時変更しながら、当該管状体1の内表面を軸方向に沿って順次撮像し、撮像の結果得られる撮像画像を、演算処理装置200に出力する装置である。管状体撮像装置100は、駆動制御装置150により軸方向に沿った位置が制御されており、管状体撮像装置100の移動に伴いPLG(Pulse Logic Generator:パルス型速度検出器)等からPLG信号が演算処理装置200に出力される。また、管状体撮像装置100は、演算処理装置200によって、管状体1の撮像タイミング等が制御されている。
なお、この管状体撮像装置100の具体的な構成については、以下で改めて詳述する。
駆動制御装置150は、管状体撮像装置100の管軸方向の移動、及び、管中心軸方向を回転軸とする管状体周方向の回転を制御するアクチュエータ等の装置である。駆動制御装置150は、演算処理装置200による制御のもとで、管状体撮像装置100の管軸方向の移動や管状体周方向の回転といった動作の制御を行う。
また、駆動制御装置150は、必要に応じて以下のような処理を行うことも可能である。すなわち、駆動制御装置150は、管状体撮像装置100を管状体内部に送入させるとともに、管状体撮像装置100が検査対象となる内表面の撮像を終了すると、管状体撮像装置100の送入動作を停止する。その後、駆動制御装置150は、管状体撮像装置100の中心軸を回転軸として管状体の周方向に管状体撮像装置100を回転させる。その後、駆動制御装置150は、管状体撮像装置100を管状体内部から送出させる。
演算処理装置200は、管状体撮像装置100によって生成された複数の撮像画像(管内表面画像)を利用して、後述するような各種の画像フレームを生成し、この画像フレームに対して以下で説明するような画像処理を行うことで、管状体1の内表面に存在している可能性のある各種の欠陥を検出する装置である。
この際、本実施形態に係る演算処理装置200は、管状体撮像装置100を構成している部材に起因する不感帯が後述する管内表面画像に存在する場合であっても、送入時又は送出時に撮像した撮像画像から生成された画像を利用して、送出時又は送入時に撮像した撮像画像から生成された画像を補間することができる。これにより、送入時又は送出時に撮像した撮像画像に不感帯が存在する場合であっても、管状体の内表面を、全周囲にわたって検査することが可能となる。
この演算処理装置200の詳細な構成についても、以下で改めて説明する。
管状体撮像装置100による管状体内表面の撮像処理や、演算処理装置200による表面欠陥の検出処理は、管状体撮像装置100の管状体軸方向に沿った移動にあわせてリアルタイムに実施することが可能である。欠陥検出装置10の使用者は、欠陥検出装置10(より詳細には、演算処理装置200)から出力される検査結果に着目することで、管状体1の内表面に存在する表面欠陥をリアルタイムに把握することが可能となる。
(管状体撮像装置100の構成について)
まず、図2A〜図4を参照しながら、本実施形態に係る管状体撮像装置100の構成について、詳細に説明する。
図2A及び図2Bは、本実施形態にかかる管状体撮像装置の構成の一例を模式的に示した説明図である。図3は、本実施形態にかかる管状体撮像装置について説明するための説明図である。図4は、本実施形態に係る管内表面画像について説明するための説明図である。
なお、以下の説明では、便宜的に図2A及び図2Bに示したような座標系を利用して、説明を行うものとする。より詳細には、図2A及び図2Bに示したように、管状体1の軸方向にz軸をとり、管状体の軸方向に直交する面をxy平面とする。
図2A及び図2Bに示したように、本実施形態に係る管状体撮像装置100は、管状体の内表面に対して環状のレーザ光(環状レーザ光)を照射する環状レーザ光源101と、管状体の内表面に対して円錐状の照明光(以下、「円錐状照明光」ともいう。)を照射する円錐状照明光源107と、公知の各種レンズを有するエリアカメラ113と、環状レーザ光源101及び円錐状照明光源107や、エリアカメラ113を保持する一対の保持部材115と、かかる一対の保持部材115を連結する連結部材117と、を備える。また、連結部材117により連結された環状レーザ光源110及び円錐状照明光源107と、エリアカメラ113とは、これらの設定位置が撮像中に変化しないように、公知の手段により固定されている。これらの部材が互いに一体となって、管状体1の内表面を撮像する撮像プローブとして機能する。
環状レーザ光源101は、管状体1の内表面の周方向に沿って環状のレーザ光(以下、「環状ビーム」とも称する。)を照射する装置であり、図2A及び図2Bに示したように、レーザ光源103と、円錐状の光学素子105と、を有する。
レーザ光源103は、所定の波長を有するレーザ光を発振する光源である。このようなレーザ光源103として、例えば、連続的にレーザ発振を行うCWレーザ光源を用いることが可能である。レーザ光源103が発振する光の波長は、例えば、400nm〜800nm程度の可視光帯域に属する波長であることが好ましい。レーザ光源103は、後述する演算処理装置200から送出される照射タイミング制御信号に基づいて、レーザ光の発振を行う。
円錐状の光学素子105は、円錐形状のミラー又はプリズムを備える光学素子であり、円錐部の頂点がレーザ光源103と対向するように設置されている。レーザ光源103から射出されたスポット状のレーザ光は、光学素子105の円錐部の頂点によって反射され、リング状にラインビームが発生することとなる。ここで、円錐部の円錐角が90°である場合には、図2A及び図2Bに示したように、レーザ光源103からのレーザ入射方向に対して直角方向に、環状レーザ光が照射されることとなる。
円錐状照明光源107は、例えば400nm〜800nm程度の可視光帯域に属する波長を有する円錐状照明光を、管状体内表面の全周にわたって広がり(内表面での広がり幅:d)を持ちながら照射する光源である。円錐状照明光源107は、例えば図3に示したように、円環状の基台109の円周に沿って、照明光の照射方向を制御するためのレンズが設けられた発光素子111が、等間隔に複数配設されている。円錐状照明光は、それぞれの発光素子111から、円環状の基台109の中心に対して放射状に(すなわち、円環の径方向に外側に向かって)射出される。
円環状の基台109に設けられる発光素子111の個数や設置間隔は特に限定されるものではなく、着目する内表面の視野が所望の均一な明るさを有するように決定すればよい。また、図3に示したような複数の発光素子111の代わりに、照明光の照射方向を制御するためのレンズが設けられた1つのリング状の発光素子を用いても良い。
以上のような環状レーザ光源101及び円錐状照明光源107は、互いに同心となるように、保持部材115に固定されている。
公知の各種レンズが装着されたエリアカメラ113には、もう一方の保持部材115の中心部に固定されており、環状レーザ光源101及び円錐状照明光源107が固定されている保持部材115と対向するように設けられている。かかるエリアカメラ113は、CCD(Charge Coupled Device)、又は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の二次元撮像素子が搭載されたものである。このようなエリアカメラ113としては、公知のものを使用することが可能である。
なお、エリアカメラ113に装着されるレンズの焦点距離や画角等は特に限定するものではないが、管状体1の内表面に照射された環状レーザ光の内表面での反射光、及び、円錐状照明光の内表面での反射光のそれぞれが同一の視野内に位置するように選択される。また、エリアカメラ113に搭載される撮像素子の大きさや画素サイズも特に限定するものではないが、生成される画像の画質や画像分解能等を考慮すると、サイズの大きな撮像素子を利用することが好ましい。また、以下で説明する画像処理の観点から、環状レーザ光のライン幅(線幅)が撮像素子上で1〜3画素程度となるように、エリアカメラ113を調整することが好ましい。
エリアカメラ113は、同一視野内に結像している環状レーザ光の内表面での反射光、及び、円錐状照明光の内表面での反射光を、それぞれ撮像する。これにより、エリアカメラ113は、環状レーザ光や円錐状照明光の内表面での反射光の強度を示すデータを特定することができる。管状体撮像装置100が管状体1の内部を一定距離進む毎にエリアカメラ113で撮像を行う結果、エリアカメラ113は、環状レーザ光の内表面での反射光の周方向の分布や、円錐状照明光の内表面での反射光の周方向の分布を特定することができる。
ここで、図2A及び図2Bに示したように、円錐状照明光の照射領域は、広がりdを有している。そのため、あるタイミングで、環状レーザ光及び円錐状照明光の反射光を同時に撮像したとすると、その後、環状レーザ光が距離dだけ進む間は、円錐状照明光の反射光を撮像しても撮像しなくてもよい。なぜなら、環状レーザ光が距離dだけ進む間の円錐状照明光の反射光は、環状レーザ光と同時に撮像した円錐状照明光の反射光を利用可能だからである。そこで、本実施形態に係る管状体撮像装置100では、環状レーザ光の反射光を撮像する毎に、円錐状照明光の反射光を毎回撮像するようにしてもよいし、環状レーザ光の反射光をdライン分撮像する間(環状レーザ光の照射部分がdだけ進む間)に、円錐状照明光の反射光を1回撮像するようにしてもよい。後者のような構成とすることによって、リソースをより効果的に使用することが可能となるため、処理のより一層の高速化を図ることが可能となる。
続いて、環状レーザ光源101、円錐状照明光源107及びエリアカメラ113の位置関係について、説明する。本実施形態に係る管状体撮像装置100では、図2Aに模式的に示したように、管状体1の内表面での環状レーザ光の照射位置と、管状体1の内表面での円錐状照明光の照射位置と、が管状体の管軸方向の互いに異なる位置となるように、環状レーザ光源101及び円錐状照明光源107が配設されていてもよい。また、図2Bに模式的に示したように、管状体1の内表面での円錐状照明光の照射領域の内部に環状レーザ光の照射位置が含まれるように、環状レーザ光源101及び円錐状照明光源107が配設されていてもよい。
図2A及び図2Bに示した場合のいずれにおいても、円錐状照明光源107は、円錐状照明光が内表面に対して入射角θ1(θ1<90°)で入射するように配設されており、エリアカメラ113は、円錐状照明光の正反射光が結像するように配設されている。すなわち、エリアカメラ113は、内表面の法線方向とエリアカメラ113の光軸とのなす角がθ1と略等しくなるように配設されている。この際、円錐状照明光が照射されている内表面の管軸方向の長さをdと表わすこととする。
ここで、管状体撮像装置100は、図2Aに示したような構成を採る場合、円錐状照明光源107は、上記の条件に加えて、入射角θ1が環状レーザ光の反射角θ2よりも大きくなる(すなわち、θ1>θ2が成立する)ように配設される。また、環状レーザ光の照射部分と、円錐状照明光の照射領域とは、これらの照射領域がエリアカメラ113の同一視野内に位置する範囲で、なるべく離隔していることが好ましい。環状レーザ光の照射部分を、円錐状照明光の照射領域から離隔させることで、円錐状照明光が背景光になり生じる環状レーザ光のS/Nの低下を抑制することが可能となる。
また、管状体撮像装置100は、図2Bに示したような構成を採る場合、上記の条件に加えて、θ1≒θ2が成立するように、円錐状照明光源107及びエリアカメラ113は配設される。
また、環状レーザ光源101及び円錐状照明光源107から照射される各照明光の波長であるが、管状体撮像装置100が図2Aに示したような構成を採る場合には、環状レーザ光の波長、及び、円錐状照明光の波長は特に限定されるものではなく、環状レーザ光の波長と円錐状照明光の波長とが等しくても良い。なぜなら、環状レーザ光の照射位置と、円錐状照明光の照射位置と、がエリアカメラ113の視野内で異なるように設定されているために、両者の反射光の撮像結果を容易に区別することが可能だからである。この場合、エリアカメラ113としては、カラー撮像が可能なカラーカメラを使用しても良いが、モノクロカメラを使用する方が簡便である。
一方、管状体撮像装置100が図2Bに示したような構成を採る場合、環状レーザ光と、円錐状照明光と、は、エリアカメラ113によって互いに区別されながら撮像され、それぞれの反射光強度を別々に特定可能なように、例えば、波長、照射タイミング、又は、偏光が互いに異なるものとすることが必要である。
環状レーザ光と円錐状照明光との波長が異なる場合には、透過帯域の異なるカラーフィルタにより、環状レーザ光の強度と円錐状照明光の強度とを、別々に測定可能である。また、環状レーザ光と円錐状照明光との照射タイミングが異なる場合には、それぞれの照明光が管状体内表面を照射するタイミングが時分割されることとなり、一方の照明光が内表面に照射されている際には、もう一方の照明光は内表面に照射されないこととなる。そこで、環状レーザ光の照射されるタイミングに撮影した画像と円錐状照明光の照射されるタイミングに撮影した画像とを別々に扱うことで、環状レーザ光の強度と円錐状照明光の強度とを別々に測定できる。また、環状レーザ光及び円錐状照明光の偏光が互いに異なるようにするためには、各光源の光軸上に、偏光方向の互いに直交する偏光子を配設すればよい。エリアカメラ113にも互いに直交する検光子を配置することで、環状レーザ光の強度と円錐状照明光の強度とを別々に測定できる。
また、環状レーザ光及び円錐状照明光として、互いに波長の異なる可視光線を利用する場合には、環状レーザ光及び円錐状照明光の色相の組み合わせが、(赤・青)、(青・緑)、(赤・緑)のいずれかとなるように可視光光源を組み合わせることが好ましい。なお、可視光光源として連続スペクトルを有する光源を用いる場合には、発光波長の重なりが少なくなるような光源を選択することが好ましい。この場合、エリアカメラ113として、公知のカラーカメラを利用することが簡便であり、好ましい。これにより、環状レーザ光の反射光及び円錐状照明光の反射光に含まれる赤成分、緑成分、青成分の大きさを、互いに独立して同時に測定することが可能となる。
なお、赤は波長600〜700nmの光を指し、緑は波長500〜560nmの光を指し、青は波長430nm〜500nmの光を指す。
図4に、撮像される管内表面画像の一例を模式的に示した。本実施形態に係る管状体撮像装置100で生成される管内表面画像は、図4に模式的に示したように、円形状の撮像画像となる。このうち、画像の中心部分には、撮像装置の一部などが写り込む領域が存在しており、この領域の更に外側に、環状レーザ光の照射部分と、円錐状照明光の照射領域(z軸方向の大きさd)と、を含む管状体1の内表面が撮像された領域が存在する。この管状体の内表面に対応する領域のデータが、後述する画像処理装置200において利用されることとなる。
なお、連結部材117の素材については、管状体撮像装置100に求められる強度等に応じて適宜選択すればよい。また、連結部材117の本数は、管状体撮像装置100に求められる強度に応じて適宜設定すればよく、1本であってもよいし、複数本であってもよい。
連結部材117の太さ(例えば、円柱状の連結部材117である場合には管径)によっては、連結部材117によって、2種類の照明光や撮像視野が遮蔽されてしまう場合も生じうる。そのため、連結部材117の太さは、照明光の円周方向における照射領域が、照明光や撮像視野が連結部材117によって遮蔽される円周方向における領域(以下、遮蔽領域とも称する。)よりも広くなるように設定する。
ここで、複数本の連結部材117を設ける場合には、例えば図3に示したように、円環状の基台109の内縁部に対し、基台109の周方向に沿って等間隔に配置することが好ましい。また、連結部材117を複数本設置する場合には、遮蔽領域がなるべく狭くなるように本数を決定することが好ましい。
また、連結部材117の本数を1本とする場合には、例えば図3に示した4本の連結部材のうちいずれか1つの位置に対して、連結部材117を設置すればよい。
このような構成を有する管状体撮像装置100は、駆動制御装置150によって管状体1の中心軸に略一致するように軸方向に移動しながら、管状体1の内表面を、好ましくは送入時と送出時の双方で走査する。ここで、後述する演算処理装置200は、管状体撮像装置100が軸方向に所定距離移動する毎に、エリアカメラ113に対して撮像のためのトリガ信号を出力する。環状レーザ光源101、円錐状照明光源107及びエリアカメラ113の軸方向の移動間隔は、適宜設定することが可能であるが、例えば、エリアカメラ113の撮影画素サイズと同一にすることが好ましい。軸方向の移動間隔と撮影画素サイズとを一致させることで、撮像された画像の縦方向の分解能と横方向の分解能とを一致させることができる。
なお、管状体撮像装置100により送入時と送出時の双方で撮像処理を行う場合、駆動制御装置150は、管状体撮像装置100による送入時の管状体内表面の撮像が終了すると、連結部材117の本数に応じて管状体撮像装置100を周方向に回転させる。この回転角の大きさは、管状体内表面に仮想的に設定した基準線を基準として考えた場合に、連結部材117の配置により生じる遮蔽領域が送入時と送出時とで異なる位置となるように(換言すれば、送入時における遮蔽領域と、送出時における遮蔽領域とが重ならないように)設定される。具体的には、連結部材117の本数が1本である場合には、駆動制御装置150は、管状体撮像装置100を周方向に沿って例えば180度回転させる。また、駆動制御装置150は、連結部材117が等間隔に2本設置されている場合には、管状体撮像装置100を周方向に例えば90度回転させ、等間隔に3本設置されている場合には、周方向に例えば60度回転させる。また、図3に示したように、連結部材117が等間隔に4本設置されている場合には、駆動制御装置150は、管状体撮像装置100を周方向に例えば45度回転させる。
以下に、本実施形態に係る管状体撮像装置100の有する各装置について、その具体的な構成や設定値等を列挙する。かかる構成や設定値等はあくまでも一例であって、本発明に係る管状体撮像装置100が、以下の具体例に限定されるわけではない。
◎着目する管状体を内径100mm〜500mm、長さ10m〜20mの鋼管とした場合
○環状レーザ光源
赤色レーザダイオード(LD)光源と、円錐角90°のミラーとを使用したもの。100mWの赤色LD光源モジュールを使用した場合、環状レーザ光として機能するラインビームの強度は、内表面の位置で50mW程度となる。
○円錐状照明光源
赤色又は青色のレンズ付きLEDを円周状に配置したものであり、外径60mm、内径40mmとした。また、LEDは、18度間隔で20個設置した。
○レンズ:焦点距離1.81mm、水平方向画角180°
○エリアカメラ:1024bit×1024bitsのCCDを撮像素子として搭載。フレームレートは90fpsである。
○管状体撮像装置100が長さ0.5mmだけ軸方向に進む毎に、管状体の内表面を1回撮像する。
以上、図2A〜図4を参照しながら、本実施形態に係る管状体撮像装置100について、詳細に説明した。
(演算処理装置200の全体構成について)
続いて、再び図1に戻って、本実施形態に係る演算処理装置200の全体構成について説明する。
本実施形態に係る演算処理装置200は、例えば図1に示したように、撮像制御部201と、画像処理部203と、表示制御部205と、記憶部207と、を主に備える。
撮像制御部201は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信装置等により実現される。撮像制御部201は、本実施形態に係る管状体撮像装置100による検査対象物の撮像制御を実施する。より詳細には、撮像制御部201は、管状体1の撮像を開始する場合に、管状体撮像装置100の環状レーザ光源101及び円錐状照明光源107が照明光を照射するための制御信号を送出するとともに、画像処理部203へ撮像開始位置を送出する。
また、管状体撮像装置100が管状体1の撮像を開始すると、管状体撮像装置100からPLG信号が定期的に(例えば、管状体撮像装置100が0.5mm移動する毎に1パルスのPLG信号が)送出されるが、撮像制御部201は、PLG信号を取得する毎にエリアカメラ113に対して撮像を開始するためのトリガ信号を送出する。
更に、撮像制御部201は、駆動制御装置150に対して、管状体撮像装置100の移動や回転を実施させるための制御信号を更に送出する
画像処理部203は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。画像処理部203は、管状体撮像装置100(より詳細には、管状体撮像装置100のエリアカメラ113)から取得した撮像データを利用して、後述する2種類の画像フレームを生成する。その後、生成した2種類の画像フレームに対して、以下で説明するような画像処理を行い、測定対象物である管状体の内表面に存在する可能性のある欠陥を検出する。画像処理部203は、管状体1の内表面の欠陥検出処理を終了すると、得られた検出結果に関する情報を、表示制御部205に伝送する。
また、本実施形態に係る管状体撮像装置100が撮像した画像には、上述のように連結部材117に起因する遮蔽領域が存在している場合がある。そこで、本実施形態に係る画像処理部203は、送入時に撮像した内表面画像から生成した画像を、送出時に撮像した内表面画像から生成した画像を利用して補間し、遮蔽領域の存在しない画像を生成した上で、内表面に存在する欠陥を検出する。
なお、画像処理部203の詳細な構成と、画像処理部203で実施される画像処理については、以下で改めて詳細に説明する。
表示制御部205は、例えば、CPU、ROM、RAM、出力装置等により実現される。表示制御部205は、画像処理部203から伝送された、検査対象物である管状体1の欠陥検出結果を、演算処理装置200が備えるディスプレイ等の出力装置や演算処理装置200の外部に設けられた出力装置等に表示する際の表示制御を行う。これにより、欠陥検出装置10の利用者は、検査対象物(管状体1)の内表面に存在する各種の欠陥に関する検出結果を、その場で把握することが可能となる。
記憶部207は、例えば本実施形態に係る演算処理装置200が備えるRAMやストレージ装置等により実現される。記憶部207には、本実施形態に係る演算処理装置200が、何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、または、各種のデータベースやプログラム等が、適宜記録される。この記憶部207は、撮像制御部201、画像処理部203、表示制御部205等が、自由に読み書きを行うことが可能である。
<画像処理部について>
続いて、図5〜図21を参照しながら、本実施形態に係る演算処理装置200が備える画像処理部203について、詳細に説明する。
図5は、本実施形態に係る演算処理装置が有する画像処理部の構成の一例を示したブロック図である。図6A〜図7Bは、本実施形態に係る演算処理装置における座標変換処理について説明するための説明図である。図8A及び図8Bは、本実施形態に係る光切断線画像フレームについて説明するための説明図であり、図8Cは、本実施形態に係る正反射画像について説明するための説明図である。図9Aは、実施形態に係る光切断線変位の二次元配列を示した説明図であり、図9Bは、本実施形態に係る輝度の総和の二次元配列を示した説明図であり、図9Cは、本実施形態に係る輝線の画素数の二次元配列を示した説明図である。図10〜図16は、本実施形態に係る演算処理装置における遮蔽領域特定処理について説明するための説明図である。図17は、光切断線の変位と欠陥の高さとの関係を示した説明図であり、図18は、本実施形態に係る光切断線の近似補正処理について説明するための説明図である。図19は、本実施形態に係る演算処理装置における遮蔽領域補間処理について説明するための説明図である。図20は、本実施形態に係る画像処理部が備える欠陥検出部の構成の一例を示したブロック図である。図21は、本実施形態に係る欠陥検出処理で用いられるロジックテーブルの一例を示した説明図である。
本実施形態に係る画像処理部203は、図5に示したように、A/D変換部211と、環状ビームセンター算出部213と、座標変換部215と、光切断画像フレーム生成部217と、光切断線処理部219と、深さ画像算出部221と、乱反射画像算出部223と、正反射画像生成部225と、画像補間部227と、欠陥検出部229と、結果出力部231と、を主に備える。
A/D変換部211は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。A/D変換部211は、エリアカメラ113から出力された撮像画像をA/D変換し、図4に示したようなデジタル多値画像データ(すなわち、管内表面画像)として出力する。かかるデジタル多値画像データは、記憶部207等に設けられた画像メモリに記憶される。これらのデジタル多値画像データを管状体の軸方向に沿って順次利用することにより、後述するような光切断画像フレーム及び正反射画像フレームが形成される。
図4に示したように、管内表面画像は、管状体1の内表面の軸方向に沿ったある位置において、管状体の内表面に照射された環状レーザ光及び円錐状照明光の反射光を撮像したものである。管内表面画像は、予めカメラのゲインやレンズの絞りを適切に設定することにより、環状ビーム及び円錐状照明光が照射された部分が例えば白く表示され、その他の部分は黒く表示されているような濃淡画像となる。
A/D変換部211は、エリアカメラ113から出力された撮像画像に基づいて、図4に模式的に示したような管内表面画像を生成すると、生成した管内表面画像に対応するデータを、後述する環状ビームセンター算出部213に出力する。
環状ビームセンター算出部213は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。環状ビームセンター算出部213は、A/D変換部211から出力された各管内表面画像について、環状ビームに対応する環の重心位置と半径をそれぞれ算出する。
環の重心位置及び半径を算出する方法は、特に限定されるわけではなく、公知のあらゆる方法を利用することが可能である。環の重心位置及び半径を算出する方法の具体例としては、例えば、管内表面画像における環状ビームの形状が真円に近い場合は、以下のような2つの方法を挙げることができる。
・2値化した管内表面画像における環状ビーム上の任意の3点を抽出し、この3点の位置座標の重心を算出する。得られた重心位置と3点のうち任意の1点との間の距離が環の半径となる。
・ハフ(Hough)変換による円抽出を行い、円(すなわち、環状ビーム)の重心と半径とを算出する。
環状ビームセンター算出部213は、各管内表面画像について環の重心位置及び半径を算出すると、環の重心位置及び半径に関する情報をそれぞれ生成して、後述する座標変換部215に出力する。
なお、本実施形態においては、管状体1の内面の断面形状が真円に近い場合について説明しているが、任意の断面形状に対して適用可能であり、例えば、断面形状が楕円や角丸長方形等であってもよい。このような場合の重心は、環状ビームの形状から求めることが可能であり、求めた重心との距離の最大値と最小値の平均値を半径として用いることで、後述する座標変換を同じ手順で実施することができる。
座標変換部215は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。座標変換部215は、算出された重心位置、及び、当該重心位置と環状ビームの照射部分との離隔距離に基づいて、管内表面画像の座標系を変換する。その後、座標変換部215は、環状ビームの照射部分を管状体の周方向に展開した線分として表した光切断画像を生成するとともに、円錐状照明光の照射領域を管状体の周方向に展開した正反射画像を生成する。
環状ビームの重心位置が算出されることで、環状ビームの照射位置に対応する画素の存在位置を、重心位置を原点とした極座標(r,θ)で表すことができる。座標変換部215は、図6A及び6Bに示したように、環状ビームセンター算出部213で算出された半径rに対して、動径方向に所定の余裕を設けたうえで、0°≦Ψ≦360°として、直交座標(rcosΨ,rsinΨ)への座標変換を実施する。
この際、管状体撮像装置100が図2Aに示したような構造を有している場合、管内表面画像における環状レーザ光や円錐状照明光の照射位置は、環状ビームの重心位置(半径rに対応する位置)に対して、図6Aに示したような位置関係となっている。そこで、座標変換部215は、図7Aに示したように、環状ビームセンター算出部213で算出された半径rに対して、動径方向に±Δrの余裕を設けた上で、動径方向のr−Δr〜r+Δr+dの範囲で、0°≦Ψ≦360°として座標変換を実施する。この際、余裕Δrの値は、環状ビームの照射部分を含む範囲で、プラス方向とマイナス方向とで異なった値であってもよい。かかる場合、例えば、座標変換を行う範囲は、r−Δr1〜r+Δr2などと表現することができる。ただし、本実施形態においては、プラス方向とマイナス方向とで同じ値Δrを用いる場合について、以降の説明を行う。
このような座標変換を行うことで、図7Aの右側に示したように、環状レーザ光照射部分については、動径方向には半径rを中心として2Δrの高さを有し、角度方向には360°分の長さを有する帯状の画像が抽出され、円錐状照明光照射領域については、動径方向にはdの高さを有し、角度方向には360°分の長さを有する帯状の画像が抽出される。以上の説明からも明らかなように、環状レーザ光照射部分から抽出された帯状の画像は、環状レーザ光の照射部分を管状体の周方向に展開した線分(以下、光切断線とも称する。)を含むこととなる。また、動径方向に関して、半径rを中心として2Δrの範囲を抽出することで、環状ビームの周に凹凸が存在していたとしても、かかる凹凸を含む環状ビームの周をもれなく抽出することが可能となる。このようにして得られた帯状の画像を、以下では光切断画像と称することとする。
また、円錐状照明光照射領域から抽出された帯状の画像は、正反射条件を満たすようにエリアカメラ113に結像した円錐状照明光の反射光に関する画像であり、円錐状照明光の正反射光の輝度分布を管状体の周方向に展開した画像となっている。このようにして得られた帯状の画像を、以下では正反射展開画像と称することとする。
管状体撮像装置100が図2Aに示したような構造を有している場合、円錐状照明光照射領域と、環状レーザ光照射部分とは、予め互いに離隔量b+Δrで分離しているため、後述する光切断画像フレーム生成部217及び正反射画像算出部219は、光切断画像と、正反射展開画像と、を容易に切り分けることが可能である。
なお、Δrの大きさは、離隔量b>0を満足するように、管状体1に存在しうる凹凸の高さの範囲を過去の操業データ等に基づいて予め大まかに算出しておくことで、決定することが可能である。
一方、管状体撮像装置100が図2Bに示したような構造を有している場合、管内表面画像における環状レーザ光や円錐状照明光の照射位置は、環状ビームの重心位置に対して、図6Bに示したような位置関係となっている。そこで、座標変換部215は、図7Bに示したように、環状ビームセンター算出部213で算出された半径rに対して、動径方向に±d/2の余裕を設けた上で、動径方向のr−d/2〜r+d/2の範囲で、0°≦Ψ≦360°として座標変換を実施する。
このような座標変換を行うことで、図7Bの右側に示したように、動径方向には半径rを中心として高さdを有し、角度方向には360°分の長さを有する帯状の画像が抽出される。
管状体撮像装置100が図2Bに示したような構造を有している場合、円錐状照明光照射領域と環状レーザ光照射部分とは、互いに重畳している。しかしながら、管状体撮像装置100が図2Bに示したような構造を有している場合、円錐状照明光と環状レーザ光とは、互いに区別可能なように選択されているため、後述する光切断画像フレーム生成部217及び正反射画像算出部219は、光切断画像と、正反射展開画像と、を容易に分離することが可能となる。
上述のような管状体撮像装置100により撮像された管内表面画像は、約300画素に相当する半径rを有する環を含むこととなる。そこで、r=300画素、Δr=25画素として、0°≦Ψ≦360°の範囲で光切断画像の抽出を行うと、横2041画素×高さ50画素の光切断画像が生成されることとなる。また、d=25画素とすると、横2041画素×高さ50画素の正反射展開画像が生成されることとなる。なお、このときの画素サイズは、横0.5mm×縦0.5mmである。
なお、先だって説明したように、本実施形態に係る管状体撮像装置100は、円錐状照明光の照射領域を、環状レーザ光の反射光を撮像する毎に毎回撮像する(すなわち、円錐状照明光が毎回照射される)ようにしてもよいし、環状レーザ光がdだけ進む間に1度だけ円錐状照明光の照射領域を撮像する(すなわち、円錐状照明光を、環状レーザ光がdだけ進む間に1度だけ照射させる)ようにしてもよい。そのため、後者のような円錐状照明光源の照射制御を行っている場合には、円錐状照明光が照射されていない際の管内表面画像には、円錐状照明光の照射領域が存在しないこととなる。その場合、座標変換部215は、環状レーザ光の照射部分のみに対して、上記のような座標変換処理を実施して、光切断画像を生成すればよい。
また、円錐状照明光が毎回照射されている場合においても、環状レーザ光がdだけ進む間の1度だけ、環状レーザ光の照射部分及び円錐状照明光の照射領域の双方に対して、上記のような座標変換処理を実施する一方で、その他の場合には、環状レーザ光の照射部分に対してのみ、上記のような座標変換処理を実施するようにしてもよい。
また、座標変換部215は、抽出された光切断画像及び正反射展開画像における各画素の座標(r,Ψ)を利用することで、光切断画像及び正反射展開画像に含まれる画素の座標を直交座標(rcosΨ,rsinΨ)に変換する。ここで、座標変換部215が実施する座標値の変換は、極座標系から直交座標系への変換であるため、極座標系における格子点(すなわち、画素の中心位置)が、直交座標系において必ず格子点に対応するとは限らず、非格子点に対応するものも存在することとなる。そこで、座標変換部215は、直交座標系における非格子点の濃度(画素値)を補間するために、着目している点の近傍に位置する他の格子点の濃度に基づいて補間する、いわゆる画像補間法を併せて実施することが好ましい。
かかる画像補間法は、特に限定されるものではなく、例えば、「昭晃堂 画像処理ハンドブック」等に記載されている公知の画像補間法を利用することが可能である。このような画像補間法の例として、最近傍(nearest neighbor)法、双線形補間(bi−linear interpolation)法、3次補間(bi−cubic convolution)法等を挙げることができる。これらの方法のうち、前者ほど処理速度が速く、後者ほど高品質の結果を得ることができる。そこで、座標変換部215は、利用する画像補間法の種別を、処理に用いることのできるリソース量や処理時間等に応じて適宜決定すればよい。
座標変換部215は、上述のような座標変換処理や画像補間処理を終了すると、得られた光切断画像及び正反射展開画像に対応する画像データを、記憶部207等に設けられた画像メモリに、管状体の軸方向に沿って順次格納していく。
光切断画像フレーム生成部217は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。光切断画像フレーム生成部217は、記憶部207等に設けられた画像メモリから、管状体の軸方向に沿って格納された光切断画像を順に取得する。その後、光切断画像フレーム生成部217は、取得した各光切断画像を管状体の軸方向に沿って順に配列して、図8Aに模式的に示したような光切断画像フレームを生成する。
1つの光切断画像フレームを構成する光切断画像の個数は、適宜設定すればよいが、例えば、256個の光切断画像で1つの光切断画像フレームを構成するようにしてもよい。各光切断画像は、上述のように環状ビーム画像の撮像間隔毎(例えば、0.5mm間隔)に存在している。そのため、0.5mm間隔で撮像された管内表面画像に基づく、256個の光切断画像からなる1つの光切断画像フレームは、管状体の内表面の全周を、軸方向に沿って128mm(=256×0.5mm)の範囲で撮像した結果に相当する。
光切断画像フレーム生成部217は、光切断画像フレームを生成すると、生成した光切断画像フレームを、後述する光切断線処理部221に出力する。また、光切断画像フレーム生成部217は、生成した光切断画像フレームに対応するデータに、当該光切断画像フレームを生成した日時等に関する時刻情報を関連付けて、履歴情報として記憶部207等に格納してもよい。
光切断線処理部219は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。光切断線処理部219は、光切断画像フレームに含まれる各光切断線について、光切断線の変位量(輝線の曲がり具合)を含む光切断線特徴量を算出する。以下では、図8A及び図8Bを参照しながら、光切断線処理部221が実施する処理及び算出する光切断線特徴量について、詳細に説明する。
図8Aでは、1つの光切断画像フレームの中にN本の光切断線が存在しており、光切断画像フレームの横方向の長さは、M画素であるものとする。また、1本の光切断線を含む1つの光切断画像は、縦2Δr画素×横M画素から構成されている。
ここで、説明の便宜上、光切断画像フレームの周方向(図8Aにおける横方向)にX軸をとり、光切断画像フレームの軸方向(図8Aにおける縦方向)にY軸をとって、光切断画像フレーム中の画素の位置をXY座標で表すものとする。以下の説明では、光切断画像フレーム中に存在するj(1≦j≦N)番目の光切断線の左側からm画素目(1≦m≦M)の位置(すなわち、Xj,mで表される位置)に着目する。
光切断線処理部219は、まず、着目すべき光切断線(以下、単にラインとも称する。)の着目すべきX座標位置(本説明では、Xj,mで表される位置)を選択すると、図8Bに示したように、着目したラインの着目したX座標位置における画素に対応付けられている画素値(すなわち、環状ビームの輝度値)の分布を参照する。この際、光切断線処理部219は、光切断画像中の当該X座標位置における全ての画素について、以下で説明する処理を実施するのではなく、光切断画像中におけるY座標の基準位置Ysの前後Wの範囲に属する画素(すなわち、Ys−W〜Ys+Wの範囲に属する画素)について、以下で説明する処理を実施する。
ここで、Y座標の基準位置Ysは、光切断画像フレームのjライン目の光切断画像に対して予め指定される軸方向の位置であり、例えば光切断画像の軸方向の中心を指定すれば、先述のようにプラス方向とマイナス方向とで同じ余裕値Δrを用いる場合には、環状ビームセンター算出部213が算出した半径r(すなわち光切断線の位置)に等しくなる。また、処理範囲を規定するパラメータWは、管状体1に存在しうる凹凸の高さの範囲を過去の操業データ等に基づいて、光切断画像中におけるY座標の基準位置Ysの前後Wの範囲が光切断画像に収まるように、予め大まかに算出しておき、適宜決定すればよい。パラメータWの値を小さくすることができれば、光切断線処理部219の処理負荷の低減をはかることができる。
光切断線処理部219は、まず、Ys−W〜Ys+Wの範囲に含まれる画素の中から、光切断線に対応する画素を特定するための第1の閾値の一例である所定の閾値Th以上の画素値を有する画素を特定する。図8Bに示した例では、Yj,k、Yj,k+1、Yj,k+2で表される3つの画素が、それぞれ閾値Th以上の画素値Ij,k、Ij,k+1、Ij,k+2を有している。従って、光切断線処理部219は、所定の閾値Th以上の画素値を有する画素を線幅方向に加算した数pj,m=3と設定する。この所定の閾値Th以上の画素値を有する画素を線幅方向に加算した数pj,mは、いわば位置(j,m)における輝線の画素数に対応する値であり、光切断線特徴量の一つである。また、光切断線処理部219は、以下の処理において、抽出された画素に関する情報(Yj,k、Ij,k)、(Yj,k+1、Ij,k+1)、(Yj,k+2、Ij,k+2)(以下、単に(Y,I)と略記することもある。)の情報を利用して、更なる光切断線特徴量を算出していく。
また、光切断線処理部219は、パラメータpj,m及び抽出した画素に関する情報(Y,I)を利用して、抽出された画素の輝度の総和Kj,mを算出する。図8Bに示した例の場合、光切断線処理部219が算出する輝度の総和は、Kj,m=Ij,k+Ij,k+1+Ij,k+2となる。この輝度の総和Kj,mも、光切断線特徴量の一つである。
更に、光切断線処理部219は、抽出された画素に関する情報(Y,I)とY座標の基準位置Ysとを利用して、抽出された画素のY方向の重心位置YC(j,m)を算出するとともに、重心位置YC(j,m)の基準位置Ysからの変位量Δdj,m=Ys−YC(j,m)を算出する。
ここで、重心位置YC(j,m)は、抽出された画素の集合をAと表すこととすると、以下の式101で表される値となる。従って、図8Bに示した例の場合、重心位置YC(j,m)は、以下の式101aで表される値となる。
ここで、画素に対応する軸方向の位置は、いわば管状体撮像装置100の移動幅(例えば、0.5mm)で量子化された値である。他方、上記式101で示したような演算により算出される重心位置YC(j,m)は、割り算という数値演算を利用することで算出される値であるため、管状体撮像装置100の移動幅(いわば量子化単位)よりも小さな値となりうる。従って、かかる重心位置YC(j,m)を利用して算出される変位量Δdj,mについても、移動幅よりも小さな値を有しうる値となる。このようにして算出される変位量Δdj,mも、光切断線特徴量の一つである。
光切断線処理部219は、以上のような3種類の特徴量を、各切断線に含まれるM個の要素に関して算出する。その結果、図9A〜図9Cに示したように、光切断線の変位量Δd、輝度の総和K、及び、輝線の画素数pに関して、M列×N行の二次元配列が生成される。
ここで、図2A及び図2Bに示したように、本実施形態に係る管状体撮像装置100では、連結部材117を用いて、一対の保持部材115を互いに連結しているため、エリアカメラ113によって撮像される実際の管内表面画像には、図10に模式的に示したように、連結部材117により環状レーザ光及び円錐状照明光の反射光が遮蔽された不感帯である遮蔽領域が存在する可能性がある。また、送入状態から送出状態へと切り替わる際に、管状体撮像装置100が管状体の周方向に所定の角度回転する(図11では時計方向に45度回転している)ため、管状体内表面のある基準点に着目すると、遮蔽領域の位置は送入時と送出時とで異なることとなる。
ここで、先だって説明した座標変換部215は、以下で詳述するような遮蔽領域の特定処理をより簡便なものとするために、座標系の変換を行う際に、管状体内表面に仮想的に設定された基準点を基準として、変換処理を実施することが好ましい。この基準点を管状体内表面のどの位置に設定するかは、特に限定されるわけではなく、任意の位置に設定することが可能である。例えば図11に示した例では、管状体内表面を送入方向に見た際の3時の方向に、基準点Kが設定されている。この基準点Kは、管軸方向の各位置で撮像された管内表面画像の間で互いに同一の位置となるように選択される。
なお、送入時の管内表面画像上で基準点Kの座標が特定された場合、送出時の管内表面画像における基準点Kの位置は、送入時における基準点Kの座標を所定の角度回転させることで特定することができる。すなわち、送出時において、時計方向を正方向とした場合に管状体撮像装置100が+X度回転される場合には、送入時における基準点Kの位置を−X度回転させることで、送出時における基準点Kの位置を特定することができる。
図12は、送入時及び送出時に管状体撮像装置100によって撮像される管内表面画像を模式的に図示したものである。図12に示した例の場合、管状体撮像装置100は、時計方向に45度回転された後に送出時の管内表面画像が生成される。ここで、管状体撮像装置100の環状レーザ光源101、円錐状照明光源107及びエリアカメラ113は一体に形成されているため、管状体撮像装置100の回転にあわせてエリアカメラ113も回転することとなる。従って、図12に示した管内表面画像では、基準点Kは反時計方向に45度回転する。
このような遮蔽領域のために、本実施形態に係る光切断線処理部219は、上記のような処理に加えて、以下で詳述する遮蔽領域の特定処理を実施することが好ましい。以下、図13〜図16を参照しながら、光切断線処理部219によって実施される遮蔽領域特定処理について、詳細に説明する。すなわち、本実施形態に係る光切断線処理部219は、遮蔽領域特定部としての機能を併せ持っている。
光切断画像フレーム生成部217により生成される送入時及び送出時の光切断画像フレームには、図13及び図14に示したように、管状体撮像装置100に設けられた連結部材117の本数に応じて、遮蔽領域が存在することとなる。また、各光切断画像フレームの周方向の原点は、座標変換部215により共通した基準点Kを起点として座標変換が実施されているため、図13及び図14に示したように、互いに等しく基準点Kとなる。
ここで、連結部材117による遮蔽領域では、エリアカメラ113によって環状レーザ光及び円錐状照明光の反射光が撮像されないため、図15に模式的に示したように、所定の閾値Thよりも輝度の大きい輝線は存在しない。従って、上記光切断線特徴量の算出過程において、遮蔽領域では輝線の画素数についての光切断線特徴量pj,mがゼロとなる。
そこで、本実施形態に係る光切断線処理部219は、それぞれの周方向(X方向)位置における輝線の画素数に着目して、遮蔽領域の範囲を示す周方向座標(X座標)を特定する。以下では、光切断画像フレーム画像において、左から1番目に存在する遮蔽領域の開始位置Xs1s及び終了位置Xs1eを算出する場合を例にとって、説明を行うものとする。
光切断線処理部219は、送入時の光切断画像フレームを構成するN本の光切断線それぞれについて、遮蔽領域が開始するX座標の位置Xs1js、及び、遮蔽領域が終了するX座標の位置Xs1je(j=1〜N)を特定する。その上で、管状体撮像装置100に生じた振動の影響等で、遮蔽領域の開始位置及び終了位置にズレが生じる場合を考慮して、特定されたN個の遮蔽領域開始位置Xs1jsのうちの最小値をXs1sとするとともに、遮蔽領域終了位置Xs1jeの最大値をXs1eとする。
また、jライン目における左から1番目の遮蔽領域の開始位置Xs1js及び終了位置Xs1jeは、以下のようにして特定することができる。以下、遮蔽領域の開始位置Xs1js及び終了位置Xs1jeの特定方法を、図16を参照しながら具体的に説明する。
光切断線処理部219は、jライン目の光切断線の各X座標において、輝線の画素数pj,m(m=1〜M)に着目する。その上で、光切断線処理部219は、各X位置における輝線の画素数pj,mについて、pj,m=0となるX位置が出現するかを判断していく。pj,m=0となったX位置が存在した場合、光切断線処理部261は、その座標Xmを記憶するとともに、それ以降のX座標についてpj,m=0である状態の連続数をカウントしていく。ここで、図16に模式的に示したように、pj,m=0である状態の連続数が、所定の閾値THs(例えば、THs=10等)以上となった場合、光切断線処理部219は、記憶しておいたX座標Xmを、jライン目における左から1番目の遮蔽領域の開始位置Xs1jsとして特定する。
また、遮蔽領域の開始位置Xs1jsが特定された状態の中で、X方向に輝線の画素数を探索していくうちに、pj,m≠0となるX座標Xnが出現したとする。この場合、光切断線処理部219は、その座標Xnを記憶するとともに、それ以降のX座標についてpj,m≠0である状態の連続数をカウントしていく。ここで、図23に模式的に示したように、pj,m≠0である状態の連続数が、所定の閾値THs(例えば、THs=10等)以上となった場合、光切断線処理部219は、記憶しておいたX座標Xnの一つ手前のX位置を、jライン目における左から1番目の遮蔽領域の終了位置Xs1jeとして特定する。ここで、上記閾値THsは、連続数判定用の第3の閾値、及び、連続数判定用の第4の閾値の一例であり、第3の閾値と第4の閾値とが同一の値である場合に相当する。なお、上記説明では、遮蔽領域の開始位置を特定するために用いられる閾値THsと、遮蔽領域の終了位置を特定するために用いられる閾値THsとが同一の値である場合について示したが、これら2つの閾値は互いに異なる値であってもよい。
また、遮蔽領域の開始位置Xs1s及び終了位置Xs1eを決定する別の方法として以下のようにしてもよい。
jライン目の光切断線の各X座標において、座標位置を移動させながら、輝線の画素数pj,m(m=1〜M)の所定の左右k個分(例えば、k=3等)の平均値qj,m(m=1〜M)を順次求める(移動平均処理)。次に、求めた平均値qj,mが予め設定した閾値A(例えばA=0.5等)未満となるX座標位置を遮蔽領域の開始位置Xs1sとする。また、遮蔽領域の開始位置Xs1sが特定されており、かつ、求めた平均値qj,mが予め設定した閾値A以上となるX座標位置を遮蔽領域の終了位置Xs1eとする。なお、上記閾値Aは、移動平均判定用の第5の閾値の一例である。
以上のような処理をj=1〜Nの各光切断線に対して実施することで、光切断線処理部219は、左から1番目の遮蔽領域の開始位置Xs1s及び終了位置Xs1eを決定することができる。また、左から2番目以降の遮蔽領域についても、同様の処理を行うことで、遮蔽領域の開始位置や終了位置を決定することができる。
なお、光切断線処理部219は、遮蔽領域における光切断線の変位量についての光切断線特徴量Δdj,m、及び、遮蔽領域における輝度の総和についての光切断線特徴量Kj,mは、それぞれゼロとして取り扱う。
従って、例えば左から1番目の遮蔽領域について、輝線の画素数pj,mの二次元配列、輝線の輝度の総和Kj,mの二次元配列、及び、輝線の変位量Δdj,mの二次元配列は、それぞれ以下のようになる。
pj,m=0(j=1〜N,m=Xs1s,・・・,Xs1e)
Kj,m=0(j=1〜N,m=Xs1s,・・・,Xs1e)
Δdj,m=0(j=1〜N,m=Xs1s,・・・,Xs1e)
光切断線処理部219は、例えば図13に示したような、4本の連結部材117が映りこんだ送入時の光切断画像フレームに対して、以上のような処理を実施することで、4カ所の遮蔽領域それぞれの開始位置及び終了位置を特定することができる。
また、光切断線処理部219は、図14に例示した送出時の光切断画像フレームについても、光切断線特徴量を算出する。しかしながら、送出時の光切断画像フレームについては、遮蔽領域の開始位置及び終了位置を特定しなくともよい。ここで、送出時の光切断画像フレームについて輝線の画素数pj,m=0であるX位置が出現すると、光切断線処理部219は、対応するX位置の輝度の総和Kj,m、及び、輝線の変位量Δdj,mをゼロとして取り扱う。
光切断線処理部219は、以上のようにして算出した光切断線特徴量のうち、光切断線の変位量Δdに関する特徴量を、後述する深さ画像算出部221に出力する。また、光切断線処理部219は、算出した光切断線特徴量のうち、輝度の総和K、及び、輝線の画素数pに関する特徴量を、後述する乱反射画像算出部223に出力する。更に、光切断線処理部219は、送入時の光切断画像フレームに存在する各遮蔽領域の開始位置及び終了位置を示した情報(例えば図13におけるXs1s〜Xs4eを示した情報)を、後述する画像補間部227に出力する。
深さ画像算出部221は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。深さ画像算出部221は、光切断線処理部219が生成した、送入時及び送出時における光切断線特徴量(特に、変位量Δdに関する特徴量)に基づいて、管状体の内表面の凹凸状態を表す2種類の深さ画像をそれぞれ算出する。
具体的には、深さ画像算出部221は、図9Aに示したような変位量Δdに関する特徴量(二次元配列)と、環状ビームの垂直成分入射角(図2A及び図2Bにおける角度θ2)と、を利用して、深さ画像を算出する。
まず、図17を参照しながら、管状体の内表面に存在する凹凸の高さと、光切断線の変位量Δdとの関係について説明する。
図17では、管状体1の内表面に凹みが存在した場合を模式的に示している。ここで、内表面に凹みが存在しない場合の表面位置の高さと凹みの底部の高さとの差分をΔhと表すこととする。垂直入射した環状レーザ光が表面反射をする場合に着目すると、内表面に凹みが存在しない場合には、図17の光線Aのように反射光は伝播することとなるが、内表面に凹みが存在する場合には、図17の光線Bのように反射光が伝播することとなる。光線Aと光線Bとのズレが、本実施形態において光切断線の変位量Δdとして観測されることとなる。ここで、幾何学的な位置関係から明らかなように、光切断線の変位量Δdと凹みの深さΔhとは、Δd=Δh・sinθ2の関係が成立する。
なお、図17では、管状体の内表面に凹みが存在する場合について説明したが、管状体の内表面に凸部が存在する場合であっても、同様の関係が成立する。
深さ画像算出部221は、以上説明したような関係を利用して、光切断線処理部219が算出した送入時及び送出時における光切断線の変位量Δdに関する特徴量にそれぞれ基づき、管状体の内表面の凹凸に関する量Δhを算出する。
ここで、深さ画像の算出に用いられる光切断線の変位量Δdは、先に説明したように光切断線の重心位置に基づいて算出されたものであり、移動幅よりも小さな値を有しうる値となっている。従って、深さ画像算出部221により算出される深さ画像は、撮像素子の画素サイズよりも細かい分解能で凹凸が再現されている画像となる。
本実施形態で示した光切断画像フレームが、例えば撮影ピッチ0.5mmで撮像された光切断線の変位を積み上げたものであるとすると、それぞれの変位量ΔdをΔhに変換すると、幅0.5mm×高さ0.5mmの深さ画像が算出されることとなる。また、角度θ2=45°であるとすると、Δd=(1/20.5)・Δhの関係が成立している。
なお、被検査体である管状体の内表面の形状の変化や、カメラ走査方向軸が管状体の中心からずれることにより、図18に示したように、光切断線に湾曲等の歪みが生じる場合がある。他方、本実施形態に係る欠陥検出方法では、光切断線に重畳している凹凸が、管状体の内表面の断面形状と内表面に存在する表面欠陥に関する情報となっている。そのため、深さ画像算出部221は、光切断線の変位量Δdに基づいて深さ画像を算出する際に、光切断線毎に歪み補正処理を行って、光切断線に重畳している凹凸に関する情報のみを抽出してもよい。このような歪み補正処理を実施することにより、カメラ走査方向軸が管状体の中心軸に正確に一致していない場合や、内表面の形状が円でない場合であっても、内表面に存在する凹凸疵の情報のみを得ることが可能となる。
かかる歪み補正処理の具体例として、(i)多次元関数や各種の非線形関数を利用したフィッティング処理を行い、得られたフィッティング曲線と観測された光切断線との差分演算を行う処理や、(ii)凹凸に関する情報が高周波成分であることを利用して、浮動フィルタやメディアンフィルタ等のローパスフィルタを適用する処理等を挙げることができる。このような歪み補正処理を実施することにより、内表面に存在する凹凸疵の情報を保持したまま、光切断線の平坦化を図ることが可能となる。
深さ画像算出部221は、以上説明したようにして算出した、送入時及び送出時の深さ画像に関する情報を、後述する画像補間部227に出力する。また、深さ画像算出部221は、算出した送入時及び送出時の深さ画像に関する情報を、当該情報を算出した日時等に関する時刻情報と関連づけて、記憶部207等に履歴情報として格納してもよい。更に、深さ画像算出部221は、算出した送入時及び送出時の深さ画像に関する情報を表示制御部205に出力して、表示部(図示せず。)に出力させてもよい。
乱反射画像算出部223は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。乱反射画像算出部223は、光切断線処理部219が生成した送入時及び送出時の光切断線特徴量(特に、輝度の総和K及び輝線の画素数pに関する特徴量)に基づいて、管状体の内表面における環状ビームの輝度の分布を表す輝度画像を算出する。図2A及び図2Bからも明らかなように、本実施形態に係る管状体撮像装置100では、エリアカメラ113に対しては、環状レーザ光の乱反射光が結像するようになっている。従って、以上のようにして算出される輝度画像を、以下では、乱反射画像とも称することとする。
具体的には、乱反射画像算出部223は、図9Bに示したような、送入時及び送出時における輝度の総和Kに関する特徴量(二次元配列)、及び、図9Cに示したような、送入時及び送出時における輝線の画素数pに関する特徴量(二次元配列)をそれぞれ利用して、送入時及び送出時について、総和輝度の線幅方向の平均値である平均輝度KAVE(j,m)=Kj,m/pj,m(1≦j≦N、1≦m≦M)を算出する。その後、乱反射画像算出部225は、算出した平均輝度KAVE(j,m)からなる2種類のデータ配列を、着目している管状体の送入時及び送出時の乱反射画像とする。
乱反射画像算出部223は、以上説明したようにして算出した送入時及び送出時の乱反射画像に関する情報を、後述する画像補間部227に出力する。また、乱反射画像算出部223は、算出した送入時及び送出時の乱反射画像に関する情報を、当該情報を算出した日時等に関する時刻情報と関連づけて、記憶部207等に履歴情報として格納してもよい。更に、乱反射画像算出部223は、算出した送入時及び送出時の乱反射画像に関する情報を表示制御部205に出力して、表示部(図示せず。)に出力させてもよい。
正反射画像生成部225は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。正反射画像算出部225は、記憶部207等に設けられた画像メモリから、管状体の軸方向に沿って格納された正反射展開画像を順に取得する。この際、光切断画像フレーム生成部217によって光切断画像がdライン分配列される間に対応する正反射展開画像は、先だって言及したように、1ライン目の光切断画像と同時に撮像された正反射展開画像1枚分で対応することが可能である。そこで、正反射画像算出部225は、dラインごとに正反射展開画像を取得して、取得した各正反射展開画像を管状体の軸方向に沿って順に配列し、図8Cに模式的に示したような正反射画像を、送入時と送出時のそれぞれについて生成する。
正反射画像生成部225は、以上のようにして正反射画像を生成すると、生成した正反射画像を、後述する画像補間部227に出力する。また、正反射画像生成部225は、生成した正反射画像に対応するデータに、当該正反射画像を生成した日時等に関する時刻情報を関連付けて、履歴情報として記憶部207等に格納してもよい。
画像補間部227は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。画像補完部227は、深さ画像算出部221が算出した送入時及び送出時の深さ画像を利用して、深さ画像において遮蔽領域に対応する部分の補間処理を実施する。また、画像補間部227は、乱反射画像算出部223が算出した送入時及び送出時の乱反射画像を利用して、乱反射画像において遮蔽領域に対応する部分の補間処理を実施する。更に、画像補間部227は、正反射画像生成部225が算出した送入時及び送出時の正反射画像を利用して、正反射画像において遮蔽領域に対応する部分の補間処理を実施する。
深さ画像算出部221、乱反射画像生成部223及び正反射画像生成部225がそれぞれ算出した送入時及び送出時の画像において、連結部材117による遮蔽領域に該当する部分は、画素値の変化が存在しない部分となっており、この部分からは管状体の内表面の状態に関する正確な知見を得ることができない。そこで、画像補間部227は、送入時及び送出時の画像を利用して、遮蔽領域に対応する深さ情報及び輝度情報を補間する処理を実施する。
以下では、図19を参照しながら、送入時の画像(送入時深さ画像や送入時乱反射画像)において左から1番目に存在する遮蔽領域に対応する部分の補間処理について、具体的に説明する。
本実施形態に係る管状体撮像装置100では、送入時の管内表面画像を撮像する状態から送出時の管内表面画像を撮像する状態へと切り替わる際に、管状体撮像装置100の全体が所定の角度だけ回転する。また、管状体撮像装置100では、各照明光の照射領域が遮蔽領域よりも広くなるように、連結部材117の太さや配置位置が決定されている。
以上のような設定のために、本実施形態に係る欠陥検出装置10では、図13及び図14の光切断画像フレームに示したように、送入時と送出時とでフレーム内での遮蔽領域の位置が変化することとなる。また、図14から明らかなように、各照明光の照射領域が遮蔽領域よりも広いため、一方の光切断画像フレーム(例えば送入時の光切断画像フレーム)における遮蔽領域は、他方の光切断画像フレーム(例えば、送出時の光切断画像フレーム)における非遮蔽領域に包含されることとなる。
そこで、本実施形態に係る画像補間部227は、例えば図19に示したように、送出時画像を利用して、送入時の画像の遮蔽領域を補間して、遮蔽領域に対応する部分が存在しない画像(深さ画像、乱反射画像及び正反射画像)を生成する。
図19では、左から1番目に存在する遮蔽領域を補間する処理について、模式的に図示している。
送入時の画像における遮蔽領域の開始位置Xs1s及び終了位置Xs1eは、光切断線処理部219により特定され、画像補間部227に通知されている。そこで、画像補間部227は、送出時の画像を参照して、送入時の画像の遮蔽領域に対応する部分(Xs1s〜Xs1e)の情報(深さ情報や輝度情報)を取得し、送入時の画像の遮蔽領域に対応する部分に、取得した情報を代入する。
ここで、管状体撮像装置100の動作からも明らかなように、送入時の光切断画像フレームにおけるN本目の光切断線と、送出時の光切断画像フレームにおける1本目の光切断線とが、同一の管軸方向位置に対応している。そこで、画像補間部227は、送入時の画像の1ライン目に対応する情報を補間する場合には、送出時の画像のNライン目に対応する画像を利用して、補間処理を実施する。同様に、画像補間部227は、送入時の画像のjライン目に対応する情報を補間する場合には、送出時の画像の(N+1−j)ライン目に対応する画像を利用して補間処理を実施する。
画像補間部227は、このような補間処理を、深さ画像及び乱反射画像の1ライン目〜Nライン目に対応する部分に対して実施することで、送入時の画像において左から1番目に存在する遮蔽領域の情報を補間することができる。
また、画像補間部227は、同様の補完処理を、左から2番目以降に存在する遮蔽領域に対応する部分にも適用することによって、送入時の画像に存在する全ての遮蔽領域に対応する部分の情報を補間することができる。
画像補間部227は、以上説明したような補間処理により、遮蔽領域に対応する部分の情報を補間すると、補間後の深さ画像及び乱反射画像に関する情報を、後述する欠陥検出部229に出力する。
また、正反射画像についても、深さ画像や乱反射画像と同様な遮蔽領域が存在している。一方で、正反射画像における遮蔽領域の位置は、深さ画像や乱反射画像における遮蔽領域の位置と同じと考えられる。そこで、画像補間部227は、光切断線処理部219から出力された送入時の光切断画像フレームに存在する各遮蔽領域の開始位置及び終了位置を示した情報と、生成された送入時及び送出時の正反射画像と、を利用して、深さ画像や乱射画像と同様にして、正反射画像の補間処理を実施する。
画像補間部227は、このような補間処理により、遮蔽領域に対応する部分の輝度情報を補間すると、補間後の正反射画像に関する情報を、後述する欠陥検出部229に出力する。
また、画像補間部227は、補間後の深さ画像、乱反射画像及び正反射画像に関する情報を、当該情報を算出した日時等に関する時刻情報と関連づけて、記憶部207等に履歴情報として格納してもよい。更に、画像補間部227は、補間後の深さ画像、乱反射画像及び正反射画像に関する情報を表示制御部205に出力して、表示部(図示せず。)に出力させてもよい。
欠陥検出部229は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。欠陥検出部229は、補間処理後の正反射画像、乱反射画像及び深さ画像に基づいて、管状体の内表面に存在する凹凸疵及び凹凸無い有害疵を、無害の汚れ等と区別しながら検出する。
以下では、かかる欠陥検出部229の構成について、図20を参照しながら、簡単に説明する。
本実施形態に係る欠陥検出部229は、図20に示したように、二値化部241と、ラベリング部243と、特徴量抽出部245と、判定部247と、を有する。
二値化部241は、CPU、ROM、RAM等により実現される。二値化部241は、生成された正反射画像、乱反射画像及び深さ画像を参照し、これらのデータ群を、それぞれの画像に対して設定された所定の閾値(二値化閾値)に基づいて二値化する。二値化処理に利用する二値化閾値については、特に限定されるものではなく、過去の操業データ等を解析することで適宜決定することが可能である。
二値化部241は、上記のような3種類の画像データ群の二値化データを生成すると、生成した二値化データを後述するラベリング部243に出力する。
ラベリング部243は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。ラベリング部243は、二値化部241から出力された3種類の二値化データをそれぞれ参照し、周知の画像処理技術を用いて、表面欠陥の候補領域を3種類の二値化データのそれぞれから抽出する。この表面欠陥の候補領域は、二値化部241から出力された二値化データのうち、画素値(データ値)が「1」となっている部分に対応する。また、ラベリング部243は、表面欠陥の候補領域を抽出するに際して、フィルタ処理、エッジ抽出やエッジ追跡等といった公知の画像処理技術を組み合わせることも可能である。
次に、ラベリング部243は、画素値が「1」である部分が連続している領域のそれぞれに対して、領域内では同一のラベル番号であり、かつ、他の領域と重複しないラベル番号を順に付与していく。これにより、抽出された表面欠陥の候補領域に対して、これら候補領域を識別するための識別情報が付与されることとなる。
特徴量抽出部245は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。特徴量抽出部245は、ラベリング部243により抽出された3種類の二値化画像における各候補領域について、幅、長さ、面積(大きさ)、円形度、直線度、矩形度、明るさ、コントラスト、エッジ強度等といった、表面欠陥を特徴づける公知の特徴量を抽出する。特徴量抽出部245は、ラベリング部243により抽出された3種類の二値化画像における各候補領域について特徴量を抽出すると、抽出した特徴量を、候補領域のラベル番号に関連付けた上で、判定部247に出力する。
判定部247は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。判定部247は、予め記憶部207に格納されている、表面欠陥の種別と特徴量との対応関係を示した図21のようなデータベース等を参照して、表面欠陥の候補領域が表面欠陥に該当するか否かを判定する。この際、判定部247は、データベース等に格納されている特徴量と、特徴量抽出部245により抽出された特徴量との一致度合いに着目し、判定を行う。算出される一致度合いが所定の閾値以上であれば、判定部247は、着目している表面欠陥の候補領域には、一致度合いが所定の閾値以上となった種別の表面欠陥が存在すると判定する。また、着目している表面欠陥の候補領域が、いずれの種別の表面欠陥にも該当しない場合には、着目している表面欠陥の候補領域は、表面欠陥ではないと判定する。
ここで、本実施形態に係る円錐状照明光を利用した正反射照明では、表面粗度が小さい場合(鏡面に近い場合)は正反射成分が増して輝度が高くなり、本実施形態に係る環状レーザ光を利用した乱反射照明では、表面粗度が大きい場合に散乱成分が増して輝度が高くなる。本実施形態で着目する凹凸の無い踏み付け疵は、踏みつけられた部位表面は均されて粗度が小さくなっていることから、正反射画像で輝度が高く(白く光って)観測される。一方、従来のように乱反射画像を得るだけでは、かかる踏み付け疵は若干黒く撮像されるだけであるため、汚れ等の黒く撮像される過検要因と区別出来ない。そこで、正反射画像と乱反射画像の両法を組み合わせて相補的に利用することで、以下のように3種類の表面性状を、選別して検出することが可能となる。
踏み付け疵:正反射画像では白く観測され、乱反射画像では、黒く観察されるか、変化なし
汚れ/模様:正反射画像では、黒く観察されるか、変化なし。乱反射画像では、黒く観察される。
結果として、蓋のはずれた踏み付け疵は、深さ画像から検出でき、凹凸のない蓋付踏み付け疵は、正反射画像と乱反射画像との組み合わせから検出することができる。また、乱反射画像では輝度変化がほとんど生じない微細な擦り疵等も、正反射画像で、擦り疵のエッジ部が線状に白く光って撮像されることから、同様に検出が可能となる。
ここで、表面欠陥の種別と特徴量との対応関係を示した、図21に示したようなデータベースの形式は、特に限定されるものではなく、例えば、表面欠陥の種別と特徴量とが項目として設定されており、欠陥の種別及び特徴量により規定されるテーブルの各セルに判別条件式が記載されたルックアップテーブルの形のロジックテーブル等を用いることもできる。このようなロジックテーブルは、過去の操業データ及び当該操業データに基づく検定員による欠陥の種別及び有害度の特定結果を教師データとした学習処理により構築されたデータベースを利用して、公知の方法により生成することが可能である。
このような処理を行うことで、判定部247は、管状体の内表面に存在する各種の表面欠陥を検出し、検出された表面欠陥毎に欠陥の有害度を特定することが可能となる。
なお、以上の説明では、特徴量の一致度合いやロジックテーブルを利用して欠陥の種別や有害度を判別する場合について説明したが、欠陥の種別や有害度を判別する方法は上記例に限定されるわけではない。例えば、過去の操業データ及び当該操業データに基づく検定員による欠陥の種別及び有害度の特定結果を教師データとした学習処理により、ニューラルネットやサポートベクターマシン(SVM)等の判別器を生成し、かかる判別器を欠陥の種別や有害度の判別に利用してもよい。
判定部247は、以上のようにして管状体の内表面に存在する各種の表面欠陥を検出すると、得られた検出結果を、結果出力部231に出力する。
結果出力部231は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。結果出力部231は、判定部247から出力された表面欠陥の検出結果に関する情報を、表示制御部205に出力する。これにより、管状体の内表面に存在する表面欠陥に関する情報が、表示部(図示せず。)に出力されることとなる。また、結果出力部231は、得られた検出結果を、製造管理用プロコン等の外部の装置に出力してもよく、得られた検出結果を利用して、製品の欠陥帳票を作成してもよい。また、結果出力部231は、表面欠陥の検出結果に関する情報を、当該情報を算出した日時等に関する時刻情報と関連づけて、記憶部207等に履歴情報として格納してもよい。
以上、本実施形態に係る演算処理装置200が有する画像処理部203の構成について、詳細に説明した。
以上、本実施形態に係る演算処理装置200の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
なお、上述のような本実施形態に係る演算処理装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
(欠陥検出方法について)
続いて、図22を参照しながら、本実施形態に係る欠陥検出方法の流れを簡単に説明する。図22は、本実施形態に係る欠陥検出方法の流れの一例を示した流れ図である。
まず、欠陥検出装置10の管状体撮像装置100は、環状レーザ光源101から照射される環状レーザ光及び円錐状照明光源107から照射される円錐状照明光を利用して、プローブの送入及びプローブの送出時に管状体の内表面を撮像して、プローブ送入時及びプローブ送出時の2種類の撮像画像(管内表面画像)を生成し、生成した2種類の管内表面画像を演算処理装置200に出力する。演算処理装置200が備える画像処理部203のA/D変換部211は、取得した2種類の撮像画像に対してA/D変換処理を行い、送入時の管内表面画像及び送出時の管内表面画像をそれぞれ生成する(ステップS101)。
次に、環状ビームセンター算出部213は、A/D変換部211が生成した送入時及び送出時の管内表面画像を利用して、各管内表面画像の重心位置及び半径を算出し(ステップS103)、得られた算出結果を、座標変換部215に出力する。
続いて、座標変換部215は、算出された重心位置や半径等を利用して、送入時の管内表面画像及び送出時の管内表面画像を座標変換し、光切断画像と正反射展開画像とを生成する(ステップS105)。この際、座標変換部215は、基準点Kを基準として座標変換処理を実施する。これにより、後段で生成される送入時及び送出時の光切断線画像フレーム及び正反射画像において、各光切断線の周方向の位置座標の原点を統一するとともに、光切断画像と正反射展開画像とで、周方向の位置座標の原点を統一することが可能となる。生成された光切断画像及び正反射展開画像は、管状体の軸方向に沿って、記憶部207等に設けられた画像メモリに順次格納されていく。
その後、光切断画像フレーム生成部217は、生成された光切断画像を管状体の軸方向に沿って順に配列して、送入時及び送出時の光切断画像フレームをそれぞれ生成する(ステップS107)。光切断画像フレーム生成部217は、生成した送入時及び送出時の光切断画像フレームを、光切断線処理部219に出力する。
一方、正反射画像生成部225は、生成された正反射展開画像を管状体の軸方向に沿って順に配列して、送入時及び送出時の正反射画像をそれぞれ生成する(ステップS109)。正反射画像生成部225は、生成した送入時及び送出時の正反射画像を、画像補間部227に出力する。
光切断線処理部219は、生成された送入時及び送出時の光切断画像フレームを利用し、各光切断線について、閾値以上の輝度を有する画素の画素数、当該画素の輝度の総和及び光切断線の変位量を算出する(ステップS111)。これら算出結果が、光切断線特徴量として利用される。算出された光切断線特徴量は、深さ画像算出部221及び乱反射画像算出部223にそれぞれ出力される。
また、光切断線処理部219は、上記光切断線特徴量の算出とあわせて、送入時の光切断画像フレームについて、遮蔽領域の位置(すなわち、遮蔽領域の開始位置及び終了位置)を特定する(ステップS113)。その後、光切断線処理部219は、特定した遮蔽領域の位置に関する情報を、画像補間部227に出力する。
深さ画像算出部221は、算出された光切断線特徴量(特に、光切断線の変位量に関する特徴量)を利用して、送入時の深さ画像及び送出時の深さ画像をそれぞれ算出するとともに、乱反射画像算出部223は、算出された光切断線特徴量(特に、閾値以上の輝度を有する画素の画素数に関する特徴量、及び、輝度の総和に関する特徴量)を利用して、送入時の乱反射画像及び送出時の乱反射画像をそれぞれ算出する(ステップS115)。深さ画像算出部221は、算出した送入時の深さ画像及び送出時の深さ画像を、画像補間部227に出力する。また、乱反射画像算出部265は、算出した送入時の乱反射画像及び送出時の乱反射画像を、画像補間部227に出力する。
次に、画像補間部227は、光切断線処理部219から通知された遮蔽領域の位置に関する情報と、深さ画像算出部221、乱反射画像算出部223及び正反射画像生成部225により生成された送出時の各画像と、を利用し、送入時の各画像の補間処理を実施する(ステップS117)。その後、画像補間部227は、補完後の各画像を、欠陥検出部229に出力する。
続いて、欠陥検出部229は、補完後の深さ画像、正反射画像及び乱反射画像を利用して、管状体の内表面に存在する欠陥部位を検出し、検出した欠陥部位の欠陥の種別及び有害度を特定する(ステップS119)。以上のような流れにより、管状体の内表面に存在する欠陥が検出されることとなる。
以上、本発明の実施形態に係る欠陥検出装置及び欠陥検出方法について、詳細に説明した。
本発明の実施形態に係る欠陥検出装置及び欠陥検出方法によれば、簡便な装置構成で、管状体内面を周方向全周・全長に亘って、微小な凹凸形状の疵に加えて、凹凸が無い表面粗度の異なる疵や微細な擦り疵を、地肌模様や汚れ等の過検要因と区別しながら、高精度で、かつ、同時に検出することができ、疵の発生位置を正確に把握することができる。更に、管状体製造工程の途中であっても容易に迅速な検査の実施が行えるようになるため、管状体製造の生産性、歩留まり向上や、管状体の品質保証に大きく寄与することができる。
(ハードウェア構成について)
次に、図23を参照しながら、本発明の実施形態に係る演算処理装置200のハードウェア構成について、詳細に説明する。図23は、本発明の実施形態に係る演算処理装置200のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
演算処理装置200は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、演算処理装置200は、更に、バス907と、入力装置909と、出力装置911と、ストレージ装置913と、ドライブ915と、接続ポート917と、通信装置919とを備える。
CPU901は、演算処理装置及び制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置913、又はリムーバブル記録媒体921に記録された各種プログラムに従って、演算処理装置200内の動作全般又はその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるバス907により相互に接続されている。
バス907は、ブリッジを介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バスに接続されている。
入力装置909は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ及びレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置909は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、演算処理装置200の操作に対応したPDA等の外部接続機器923であってもよい。更に、入力装置909は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。欠陥検出装置10のユーザは、この入力装置909を操作することにより、演算処理装置200に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
出力装置911は、取得した情報をユーザに対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置及びランプなどの表示装置や、スピーカ及びヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置911は、例えば、演算処理装置200が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、演算処理装置200が行った各種処理により得られた結果を、テキスト又はイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
ストレージ装置913は、演算処理装置200の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置913は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、又は光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置913は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、及び外部から取得した各種のデータなどを格納する。
ドライブ915は、記録媒体用リーダライタであり、演算処理装置200に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体921は、例えば、CDメディア、DVDメディア、Blu−ray(登録商標)メディア等である。また、リムーバブル記録媒体921は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、又は、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体921は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)又は電子機器等であってもよい。
接続ポート917は、機器を演算処理装置200に直接接続するためのポートである。接続ポート917の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、RS−232Cポート等がある。この接続ポート917に外部接続機器923を接続することで、演算処理装置200は、外部接続機器923から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器923に各種のデータを提供したりする。
通信装置919は、例えば、通信網925に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置919は、例えば、有線もしくは無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、又はWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置919は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、又は、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置919は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置919に接続される通信網925は、有線又は無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、社内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信又は衛星通信等であってもよい。
以上、本発明の実施形態に係る演算処理装置200の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。