JP2007268252A - 滅菌装置及びそれを用いた滅菌方法 - Google Patents

滅菌装置及びそれを用いた滅菌方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プラズマを利用して生成される活性酸素を用いて、容器等の対象物を効率的に滅菌処理するための滅菌装置及びそれを用いた滅菌方法を提供すること。
【解決手段】酸素ガスをプラズマ化して生成される活性酸素又は、酸素以外のガスをプラズマ化し、該プラズマと酸素ガスとを接触させて生成される活性酸素との少なくともいずれかを含むガス100を対象物101に接触させ、該対象物に付着している菌を滅菌する滅菌装置において、プラズマ化するガスを導入し、大気中に排出する非導電性のガス流路管1と、該ガス流路管を取り巻く導電性アンテナ管2とを有し、該アンテナ管には、ガス流動管の管軸方向に沿って所定の長さのスリット3が形成されており、該アンテナ管にマイクロ波を照射し該ガス流動管中のガスをプラズマ化することを特徴とする。好ましくは、該スリットの長さは、照射するマイクロ波の半波長の整数倍に設定されていることを特徴とする。
【選択図】図9

Description

この発明は、滅菌装置及びそれを用いた滅菌方法に関し、特に、酸素ガスをプラズマ化して生成される活性酸素又は、酸素以外のガスをプラズマ化し、該プラズマと酸素ガスとを接触させて生成される活性酸素との少なくともいずれかを含むガスを対象物に接触させ、該対象物に付着している菌を滅菌する滅菌装置及びそれを用いた滅菌方法に関する。
従来、容器や医療用器具などを滅菌する方法として、紫外線や高圧水蒸気ガスなどが使用されているが、滅菌効果をより高めるため、過酸化水素をプラズマ化して滅菌処理に使用する方法も提案されている。
プラズマを用いた滅菌処理としては、プラズマ自体の高温特性を用いる方法と、プラズマ化したガスが通常気体に戻る際に一時的に変異する活性状態の気体を用いる方法に大別される。
特許文献1では、電極間に高周波電圧を印加し、アーク放電によりプラズマを発生させることが開示されており、特に、該プラズマにより、注射針先端を加熱成形すると共に殺菌処理を行うことが開示されている。
特開平6−197930号公報
アーク放電による問題は、電極間に発生した電子やイオンが電極に衝突し、電極自体が高温となり、電極が損耗することであり、また、電極を構成する金属材料の一部がプラズマ中に放出され、プラズマに不純物が混入する可能性があることが挙げられる。しかも、高温のプラズマで滅菌すると、滅菌される対象物自体の表面が変質するなどの問題を生じる。
これに対し、特許文献2に開示された過酸化水素プラズマを利用する方法では、滅菌対象物と共に過酸化水素を、マイクロ波透過性の袋に入れ、マイクロ波を照射することにより、過酸化水素をプラズマ化し活性酸素を発生させ滅菌することが開示されている。
過酸化水素は、高濃度(50%以上)の水溶液を使用する場合は、毒性がある上、衣類等が溶解するなど取扱者への安全性の問題がある。また、過酸化水素ガスの飛散を防ぐため、閉じた容器内で処理を行う必要があり、連続的な処理が困難となる問題がある。
特開2005−279042号公報
本出願人の一人である国立大学法人佐賀大学では、過酸化水素を用いることなく、酸素ガスをプラズマ化し酸素ラジカルを生成することにより、滅菌処理を行うことを、特許文献3において開示している。なお、特許文献3では、高密度の酸素ラジカルを発生させるため、滅菌装置内部を低気圧状態に維持している。
特開2006−20950号公報
プラズマ中の電子やイオンを滅菌に用いる方法では、電子やイオンは寿命がマイクロ秒のオーダーと短く、飛程はmmオーダー以下であるため、複雑な構造の細部(ボトルキャップ等)まで滅菌ができないが、特許文献3のように、酸素放電により得られる原子状の酸素、所謂、酸素ラジカルでは、寿命が数十ミリ秒、飛程が数cmであるため、複雑な構造を持つ容器の細部へも浸透し滅菌が可能となる。なお、酸素ラジカルは、活性酸素の一形態である。
しかしながら、上記プラズマを用いて生成される活性酸素で、飲料水や食品などを収容する容器を大量に滅菌するには、大気圧中で安定的にプラズマを生成する技術が不可欠であり、しかも、PET容器などを滅菌処理するには、70℃以下の低温処理を可能にすることが必要となる。
本発明が解決しようとする課題は、上述した問題を解消し、プラズマを利用して生成される活性酸素を用いて、容器等の対象物を効率的に滅菌処理するための滅菌装置及びそれを用いた滅菌方法を提供することである。特に、プラズマを利用して安定的に活性酸素を発生させる技術を提供し、必要に応じて、大気圧中で安定したプラズマ生成及び活性酸素の生成を可能とし、また、プラズマが滅菌対象物に与える熱的ダメージを抑制可能な滅菌装置及びそれを用いた滅菌方法を提供することである。
請求項1に係る発明は、酸素ガスをプラズマ化して生成される活性酸素又は、酸素以外のガスをプラズマ化し、該プラズマと酸素ガスとを接触させて生成される活性酸素との少なくともいずれかを含むガスを対象物に接触させ、該対象物に付着している菌を滅菌する滅菌装置において、プラズマ化するガスを導入し、大気中に排出する非導電性のガス流路管と、該ガス流路管を取り巻く導電性のアンテナ管とを有し、該アンテナ管には、ガス流動管の管軸方向に沿って所定の長さのスリットが形成されており、該アンテナ管にマイクロ波を照射し該ガス流動管中のガスをプラズマ化することを特徴とする。
本発明で用いる「活性酸素」とは、酸素ガスをプラズマ化して生成される活性酸素又は、酸素以外のガスをプラズマ化し、該プラズマと酸素ガスとを接触させて生成される活性酸素であり、通常の酸素分子(O)よりも活性化された状態の、原子状又は分子状の酸素あるいは酸素を含む分子を意味する。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の滅菌装置において、該スリットは、該ガス流路管のガスを排出する側に開口端を有していることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の滅菌装置において、該スリットは、該アンテナ管の内部に形成されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の滅菌装置において、該アンテナ管は、該ガス流路管のガスを排出する側の端部が、該ガス流路管に向かって折れ曲がっていることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の滅菌装置において、該スリットの長さは、照射するマイクロ波の半波長の整数倍に設定されていることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の滅菌装置において、該ガス流路管は、ガスの流路方向の下流側に、該アンテナ管の端部より突出しており、該突出部分の長さはプラズマトーチの長さより長いことを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の滅菌装置において、該ガス流路管と該アンテナ管とは、相対的に移動可能に構成されていることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の滅菌装置において、該ガス流路管の内部又は該ガス流路管の周囲に、酸素ガスを導入する酸素ガス管が配置され、該ガス流路管内で生成されたプラズマと、該酸素ガス管で導入される酸素ガスを接触させることを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の滅菌装置において、滅菌処理を行う対象物は、容器又は容器の蓋であることを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項9記載の滅菌装置において、該ガス流路管に対し、該対象物を相対的に移動又は回転させる移動・回転手段を有することを特徴とする。
請求項11に係る発明は、請求項10に記載の滅菌装置を用いた滅菌方法において、滅菌処理を行う対象物が容器であり、該容器内部の最深部付近まで該ガス流路管の先端を挿入する挿入工程と、該挿入工程を行った状態で該容器内部に該ガス流路管から排出されるガスを充填する充填工程と、該充填工程後に該ガス流路管を該容器内部の最深部付近から該容器の口部付近まで引出す引出工程とを有することを特徴とする。
請求項12に係る発明は、請求項11に記載の滅菌方法において、該挿入工程と該引出工程とは、該ガス流路管の管軸方向に対し、該ガス流路管と該容器とを相対的に移動させることにより行うことを特徴とする。
請求項13に係る発明は、請求項12に記載の滅菌方法において、該挿入工程より該引出工程は、該ガス流路管と該容器との相対的な移動速度が、遅いことを特徴とする。
請求項14に係る発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の滅菌装置を用いた滅菌方法において、滅菌処理を行う対象物が容器であり、該容器内部に該ガス流路管及び該アンテナ管の一部を収容すると共に、該容器を取り囲むシールド手段を配置し、該ガス流路管から該容器内にガスを排出しながら、該アンテナ管にマイクロ波を照射することを特徴とする。
請求項15に係る発明は、請求項14に記載の滅菌方法において、該シールド手段の一部には、該シールド手段内の気体を外部に排出するための排出口が形成されており、該排出口より気体を排出しながら、該ガス流路管にガスを供給することを特徴とする。
請求項16に係る発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の滅菌装置を用いた滅菌方法において、滅菌処理を行う対象物が容器であり、該ガス流路管から排出されるガスを一時的に滞留する空間を形成し、該容器を該空間を貫通するように搬送させることを特徴とする。
請求項17に係る発明は、請求項16に記載の滅菌方法において、該空間はトンネル形状の空間であり、該ガス流路管の排出口が該空間に接続されていることを特徴とする。
請求項18に係る発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の滅菌装置を用いた滅菌方法において、滅菌処理を行う対象物が容器であり、該容器の外表面に対向して該ガス流路管から排出されるガスを吹付けると共に、ガス流路管の管軸に対し略垂直な方向を中心に該容器を回転させることを特徴とする。
請求項19に係る発明は、請求項18に記載の滅菌方法において、該ガス流路管から排出されるガスを該容器に接触させるためのフードを該ガス流路管の排出口付近に配置することを特徴とする。
請求項20に係る発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の滅菌装置を用いた滅菌方法において、滅菌処理を行う対象物が容器の蓋であり、該ガス流路管の排出口を該蓋の内側に向けて配置し、該ガス流路管から該蓋にガスを供給すると共に、該蓋を回転させることを特徴とする。
請求項21に係る発明は、請求項20に記載の滅菌方法において、該蓋の回転速度又は回転方向を時間と共に変化させることを特徴とする。
請求項22に係る発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の滅菌装置を用いた滅菌方法において、滅菌処理を行う対象物が容器の蓋であり、該蓋を真空容器内に入れ、該真空容器内を排気しながら、該ガス流路管の排出口から該真空容器内にガスを供給することを特徴とする。
請求項23に係る発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の滅菌装置を用いた滅菌方法において、酸素ガスよりプラズマ化し易いガスを該ガス流路管に供給し、マイクロ波を照射してプラズマを点火するプラズマ点火工程と、該プラズマ点火工程後に、酸素ガスを先のガスと共に供給し、酸素ガスをプラズマ化することを特徴とする。
請求項24に係る発明は、請求項23に記載の滅菌方法において、該プラズマ点火工程で供給するガスは、アルゴンガスであることを特徴とする。
請求項1に係る発明により、プラズマ化するガスを非導電性のガス流路管に導入し、該ガス流路管を取り巻く導電性アンテナ管を配置すると共に、該アンテナ管には、ガス流動管の管軸方向に沿って所定の長さのスリットが形成されているため、該スリットにより、マイクロ波の励起電界を該スリット部分に集中させ、ガス流路管内を通過するガスを、該スリット部分で安定的にプラズマ化することが可能となる。
請求項2に係る発明により、スリットは、ガス流路管のガスを排出する側に開口端を有しているため、アンテナ管の先端より、ガス流路管のガスを排出する側に延びるプラズマトーチを安定的に形成することが可能となる。
請求項3に係る発明により、スリットは、アンテナ管の内部に形成されているため、アンテナ管の内部でプラズマを安定的に形成することが可能となる。
請求項4に係る発明により、アンテナ管は、ガス流路管のガスを排出する側の端部が、該ガス流路管に向かって折れ曲がっているため、アンテナ管の内部にプラズマを安定的に形成することが可能となる。
請求項5に係る発明により、上記スリットの長さは、照射するマイクロ波の半波長の整数倍に設定されているため、スリット部分で安定した定在波を形成でき、励起電界を効率的に集中させ、安定したプラズマを生成することが可能となる。
請求項6に係る発明により、上記ガス流路管は、ガスの流路方向の下流側に、アンテナ管の端部より突出しており、該突出部分の長さはプラズマトーチの長さより長いため、対象物がプラズマトーチに接触することを防止でき、プラズマによって生成される活性酸素のみを効率的に対象物に提供することが可能となる。
請求項7に係る発明により、上記ガス流路管と上記アンテナ管とは、相対的に移動可能に構成されているため、プラズマ点火時と滅菌処理時、又は滅菌処理中にガス流路管の先端部分を各工程に最適な位置に移動配置することが可能となる。
請求項8に係る発明により、ガス流路管の内部又はガス流路管の周囲に、酸素ガスを導入する酸素ガス管が配置され、該ガス流路管内で生成されたプラズマと、該酸素ガス管で導入される酸素ガスを接触させることにより、ガス流路管で生成したプラズマを利用して、安定的に活性酸素を生成することが可能となる。特に、プラズマの生成部分と活性酸素の生成部分を分離でき、プラズマ生成部分では、プラズマ化し易いガスを利用することも可能となる。
請求項9に係る発明により、滅菌処理を行う対象物が、容器又は容器の蓋であるため、これらの対象物に対しても活性酸素を利用した滅菌処理を行うことが可能となる。
請求項10に係る発明により、上記ガス流路管に対し、対象物を相対的に移動又は回転させる移動・回転手段を有するため、対象物のあらゆる表面を滅菌処理することが可能となると共に、活性酸素を効率的にこれらの表面に接触させることが可能となる。
請求項11に係る発明により、滅菌処理を行う対象物が容器であり、該容器内部の最深部付近まで該ガス流路管の先端を挿入する挿入工程と、該挿入工程を行った状態で該容器内部に該ガス流路管から排出されるガスを充填する充填工程と、該充填工程後に該ガス流路管を該容器内部の最深部付近から該容器の口部付近まで引出す引出工程とを有するため、容器内の気体を活性酸素に置換すると共に、容器内面を安定的に滅菌処理することが可能となる。
請求項12に係る発明により、上記挿入工程と上記引出工程とは、ガス流路管の管軸方向に対し、該ガス流路管と容器とを相対的に移動させることにより行うため、容器内部の必要な箇所に活性酸素を供給することが可能となる。
請求項13に係る発明により、上記挿入工程より上記引出工程は、ガス流路管と容器との相対的な移動速度が遅いため、挿入工程時には効率的に容器内の気体を活性酸素に置換でき、引出工程時には活性酸素を容器内面に沿って適切に供給することが可能となる。
請求項14に係る発明により、滅菌処理を行う対象物が容器であり、該容器内部にガス流路管及びアンテナ管の一部を収容すると共に、該容器を取り囲むシールド手段を配置し、該ガス流路管から該容器内にガスを排出しながら、該アンテナ管にマイクロ波を照射するため、容器内の深さが深い場合であっても、アンテナ管の先端を容器内部に収容でき、最深部まで安定的に活性酸素を供給することが可能となる。
請求項15に係る発明により、上記シールド手段の一部には、該シールド手段内の気体を外部に排出するための排出口が形成されており、該排出口より気体を排出しながら、ガス流路管にガスを供給するため、容器内の気体をより早く活性酸素で置換することが可能となる。
請求項16に係る発明により、滅菌処理を行う対象物が容器であり、ガス流路管から排出されるガスを一時的に滞留する空間を形成し、該容器を該空間を貫通するように搬送させるため、活性酸素が充満した空間内を容器を通過させるだけで、連続的に容器の滅菌、特に容器表面の滅菌処理を行うことが可能となる。
請求項17に係る発明により、上記空間はトンネル形状の空間であり、ガス流路管の排出口が該空間に接続されているため、容器がトンネル形状の空間を通過する際に、該空間内に充満した活性酸素により効率的に滅菌される。しかも、容器が通過することで空間内の気体が押出されると共に、ガス流路管により新たな活性酸素が供給され続けているため、該空間内に常に新鮮な活性酸素を保持することが可能となる。
請求項18に係る発明により、滅菌処理を行う対象物が容器であり、該容器の外表面に対向してガス流路管から排出されるガスを吹付けると共に、ガス流路管の管軸に対し略垂直な方向を中心に該容器を回転させるため、容器の外表面全体を滅菌処理することが可能となる。
請求項19に係る発明により、上記ガス流路管から排出されるガスを容器に接触させるためのフードを、該ガス流路管の排出口付近に配置するため、ガス流路管から排出されるガスを、効率的に容器の外表面へ供給することが可能となる。
請求項20に係る発明により、滅菌処理を行う対象物が容器の蓋であり、ガス流路管の排出口を該蓋の内側に向けて配置し、該ガス流路管から該蓋にガスを供給すると共に、該蓋を回転させるため、蓋の内部の隙間に保持された気体を排出しながら、活性酸素を蓋の内面に供給することが可能となる。
請求項21に係る発明により、上記蓋の回転速度又は回転方向を時間と共に変化させるため、蓋の内側に発生する気圧を変化させることが可能となり、該気圧の変化を利用して活性酸素の内部への浸透をより効率的に行うことが可能となる。
請求項22に係る発明により、滅菌処理を行う対象物が容器の蓋であり、該蓋を真空容器内に入れ、該真空容器内を排気しながら、ガス流路管の排出口から該真空容器内にガスを供給するため、真空処理で蓋の内部に残存する気体を最小限に抑え、活性酸素を蓋の内部に供給することが可能となると共に、常に新しい活性酸素を蓋に供給し続けることが可能となる。
請求項23に係る発明により、酸素ガスよりプラズマ化し易いガスを該ガス流路管に供給し、マイクロ波を照射してプラズマを点火するプラズマ点火工程と、該プラズマ点火工程後に、酸素ガスを先のガスと共に供給し、酸素ガスをプラズマ化するため、プラズマ化し難い酸素ガスに対しても、プラズマの着火性を改善することが可能となる。
請求項24に係る発明により、プラズマ点火工程で供給するガスは、アルゴンガスであるため、プラズマが容易に点火できると共に、その後、酸素ガスを供給してもプラズマ状態を維持でき、さらに酸素ガスのプラズマ化を補助することも可能となる。
本発明の滅菌装置及びそれを用いた滅菌方法について、以下に詳細に説明する。
(プラズマ生成部)
図1(a)には、滅菌装置に使用されるプラズマ生成部の構造を示す。プラズマ生成部は、石英管などの非導電性のガス流路管1と、アルミ製パイプなどの導電性のアンテナ管2から構成され、該ガス流路管1を取り巻くように該導電性アンテナ管2が配置されている。
本発明に使用されるプラズマ生成部の特徴は、導電性アンテナ管2にスリット3を形成することである。このスリット部分により、プラズマ生成部に照射されたマイクロ波の励起電界が集中することとなり、該電界によりプラズマが生成・維持が可能となる。
該スリット3の形状として、スリット部分の長さLは、プラズマ生成部に照射するマイクロ波の波長λに対し、半波長の整数倍(nλ/2;nは1以上の整数)となるように設定されている。また、スリット部分の幅Dは、特に限定されるものではないが、幅Dが狭くなるに従い、スリット部分に発生する励起電界の強度が増加し、ガス流路管を通過するガスのプラズマ化を促進することが可能となるが、他方、ガス流路管の周囲における励起電界が発生する領域が減少することとなるため、プラズマ化できるガスの量が減少することにもなる。
アンテナ管2に設けられるスリット3の数は、図1(a)のように一つに限られるものではない。図1(b)は、図1(a)の矢印X−Xにおける断面図を示しており、ガス流路管1に対しアンテナ管2は同心状に配置されており、アンテナ管2の断面形状は、スリット3の関係でC字形状となる。スリット3の数を増やすことにより、各スリットにおいて励起電界が形成でき、ガス流路管を通過するガスをより多くの場所でプラズマ化することが可能となる。
上述したスリットの形状及び配置については、図1(a)示すように、アンテナ管の端部(ガス流路管のガスを排出する側の端部)に開口端を有するスリットを例示したが、このようなスリットを使用する場合には、アンテナ管の先端より、ガス流路管のガスを排出する側に延びるプラズマトーチを安定的に形成することが可能となる。
他方、アンテナ管の内部にプラズマを安定的に形成するためには、図17のように、アンテナ管202の内部にスリット203を形成する。これにより、スリット203の近傍のガス流路管201の内部にプラズマ204を生成することが可能となる。アンテナ管から、さらにはガス流路管から外部に延びるプラズマトーチは、プラズマを直接照射する場合には好適に利用可能であるが、プラズマが直接照射されないようにする場合には、後述するように、ガス流路管の先端とアンテナ管の先端との距離を十分に確保する必要がある。図17のアンテナ管202を使用することにより、当該距離を短くすることも可能となる。
アンテナ管の内部にプラズマを形成する他の方法として、図18に示すようなアンテナ管の形状を採用することも可能である。図18(a)のアンテナ管は、図1(a)のものと比較的類似した形状を示しているが、図18(a)の矢印X−Xの断面図である図18(c)のように、アンテナ202管の端部(ガス流路管201のガスを排出する側の端部)がガス流路管201に向かって折れ曲がっている。この折れ曲がり部205により、プラズマ204はアンテナ管202の内部に形成され、プラズマトーチを形成することが抑制される。
さらに、図18(b)に示すアンテナ管は、図17のものに類似し、アンテナ202管の端部に折れ曲がり部205を形成したものである。図18(b)の矢印X−Xの断面図は、図18(c)と同様となる。
図17や図18のように、スリットをアンテナ管の内部に形成したり、アンテナ管の端部に折り曲がり部を形成することで、アンテナ管内部にプラズマを形成するだけで無く、プラズマの着火性を向上できることが、本発明者により確認されている。
なお、以下の説明では、図1(a)に示された形状のスリットを有するアンテナ管の例を中心に説明するが、図17又は図18に示すようなスリットを有するアンテナ管であっても同様に適用できることは言うまでもない。
次に、プラズマ生成部の動作について説明する。
ガス流路管1にプラズマ化するガス9を導入し、一方向にガスを流し続ける。この状態で、マイクロ波7をプラズマ生成部に照射すると、アンテナ管2のスリット部分でマイクロ波の定在波が生成され、励起電界の集中が発生する。該励起電界は、ガス流路管内に侵入しガスを加熱しプラズマを生成する。生成されたプラズマはガスの流れに沿ってガラス流路管1の出口方向(図の左方向)に進み、特に、図1(a)に示した形状のスリットを用いた場合には、流路管1の出口よりトーチ状のプラズマ(「プラズマトーチ」という)が放出される。
本発明で使用されるガスは、酸素であるが、必要に応じてアルゴン、ヘリウム、水素など各種気体と混合して使用することが可能である。また、後述するように、プラズマの着火性を改善するため、アルゴンなど、酸素ガスよりプラズマ化し易いガスを最初にガス流路管へ導入し、プラズマ点火後、酸素ガスを供給するように構成することも可能である。
プラズマトーチの特性である、電子温度、ガス温度、プラズマ密度、ラジカルガスの密度、又はトーチの長さ(ガス流路管の開口部あるいはアンテナ管の端部からプラズマトーチ先端までの長さ)などは、プラズマ生成部に照射するマイクロ波の電力やガス流量等を調整することにより、変化させることが可能である。
(プラズマ発生装置)
図2に、上述のプラズマ生成部を含むプラズマ発生装置の基本的構成を概略図で示す。
プラズマ生成部を構成するガス流路管1には、酸素ガスなどプラズマを生成するガスを蓄積したガスボンベなどのガス供給源8より所定量のガス9が供給される。ガス流路管1を取り囲むアンテナ管2は、マイクロ波を閉じ込めるためのシールド手段5の中に収容されており、アンテナ管2の一端側(スリット3が形成されていない方の端部側であり、図17のようにアンテナ管の内部にスリットがある場合には両端部側。)は、シールド手段5と電気的に接続されている。シールド手段とは、従来のキャビティに相当する部分を意味し、以下では、キャビティを含む概念として「シールド手段」という表現を用いる。
シールド手段5内には、マイクロ波発生器6よりマイクロ波7が導入され、アンテナ管2にマイクロ波7が照射される。アンテナ管2のスリット3で、マイクロ波は定在波を形成し、励起電界を生成する。該励起電界により、ガス流路管1内を通過するガスはプラズマ化され、ガス流路管1の開口部から排出されるプラズマトーチ4を形成する。
シールド手段5は、マイクロ波を閉じ込めることが可能なものであれば、特に、材質や形状が限定されるものではないが、プラズマ生成部をシールド手段内に保持し、マイクロ波を効率的に反射するものとしてステンレス製の容器を使用することが好ましい。
また、シールド手段5内に効率的にマイクロ波を閉じ込めるためには、マイクロ波が共振し易い形状とすることが好ましく、シールド手段を構成する一部の壁面を移動可能とし、シールド手段内の容積や形状を可変調整可能とすることができる。
図3は、シールド手段5内に複数のプラズマ生成部を配置したものである。本発明に使用されるプラズマ生成の特徴として、プラズマは、アンテナ管2に形成されたスリット3に生じる励起電界により発生するため、シールド手段5内に複数のプラズマ生成部を配置した場合にでも、良好にプラズマを生成・維持することが可能である。なお、プラズマ生成部を構成する各ガス流路管1には、図3に示すように、ガス供給源8より供給されるガスを分岐して供給する方法や、各ガス流路管1に対応してガス供給源を配置することも可能である。
また、図4に示すように、各プラズマ生成部に対応してシールド手段5を個別に設けることも可能である。これは、複数のプラズマ生成部が離散的に配置されたり、各プラズマ生成部のアンテナ管が異なる向きに配置される場合などには、単一のシールド手段で全てのアンテナ管を包囲するより、各プラズマ生成部に対応したシールド手段を設ける方が、マイクロ波の損失を抑制し、効率的にプラズマを生成することができる。
複数のシールド手段5内にマイクロ波を供給する方法としては、個々のシールド手段に対応したマイクロ波発生器を設けることも可能であるが、図5に示すように、単一のマイクロ波発生器6からのマイクロ波11を分岐し、分岐したマイクロ波12,13を各シールド手段5に供給するよう構成することができる。ただし、シールド手段内に供給するマイクロ波を最適な強度とするため、少なくとも一方のマイクロ波12を導波する導波管の一部に、マイクロ波の強度を調整するための強度調整手段10を介在させることも可能である。なお、本発明のプラズマ発生装置において、マイクロ波発生器とシールド手段との間には、必要に応じて、アイソレータやチューナーを設置することが可能であることは、言うまでもない。
(補助点火手段)
プラズマの点火時においては、ガス流路管1の内部の気圧を大気圧(10Pa程度)より低い状態(10〜10Pa程度。なお、マイクロ波の周波数や電力、さらにはプラズマ化するガスの種類に応じて設定圧力は変化する。)に維持することで、プラズマの点火性を改善することが可能である。この場合には、ガス流路管1の先端に排気管を接続し、プラズマ点火後に、該排気管を取り外し、ガス流路管内を大気圧状態とする。
このように低圧状態を設ける方法以外に、例えば、図5に示すようにアーク放電手段や、図6に示すようにマイクロ波加熱手段などの補助的な点火手段を組み合わせて用いることも可能である。このような補助点火手段は、大気圧中でのプラズマの点火を容易にすることが可能であり、低圧状態の場合のように排気用パイプや真空ポンプなどを使用することが不要となり、プラズマ発生装置の構成を簡便なものとすることができる。
アーク放電手段としては、図5に示すように2つの電極50を、ガス流路管1内に突出するように配置し、両者の間に高電圧源51によりアーク放電を行う。一度放電したガスは、アンテナ管2が形成する励起電界により容易にプラズマ化されるため、ガス流路管1内を大気圧より低い気圧状態に維持する必要が無い。また、アーク放電は連続放電である必要は無く、パルス状の放電であっても良い。当然、アンテナ管2によるプラズマが点灯した後は、アーク放電は停止される。
図6では、ガス流路管1の上流側に補助点火用の副アンテナ管2’を配置し、主アンテナ管2によるプラズマ化に先立ち、ガスの一部をプラズマ化させる方法を示すものである。
各アンテナ管2,2’を取り囲むシールド手段5,5’は、図12のように、個別に設けるだけでなく、単一のシールド手段で共通化することも可能である。ただし、各アンテナ管に適合したマイクロ波を照射させるためには、各シールド手段を別々に設けることが好ましい。
副アンテナ管2’では、ガス流路管内を通過するガスの一部を、プラズマ化することが可能であれば良く、例えば、スリットの幅を主アンテナ管2より狭くし、励起電界を局所的に高めるよう構成することができる。また、ガス流路管1の口径を副アンテナ管2’の場所では狭くし、副アンテナ管2’自体も主アンテナ管より狭い口径として、励起電界を高くする工夫を施すことも可能である。
2つのアンテナ管にマイクロ波を供給するためのマイクロ波発生器6を共有する場合には、図6に示すように、マイクロ波発生器6から出射されるマイクロ波61を分岐し、一方のマイクロ波62を主アンテナ管2に照射する。また、他方のマイクロ波63は、マイクロ波遮断手段60を介してマイクロ波64とし、副アンテナ管2’に照射するよう構成する。マイクロ波遮断手段60は、補助点火を行う際には、マイクロ波63を導波し、補助点火が不要になるとマイクロ波63を遮断する。また、分岐したマイクロ波の導波管には、必要に応じて、マイクロ波の強度を調整するための調整手段(不図示)を配置することも可能である。
図7は、プラズマの点火性を改善するための他の方法を示す図であり、ガスの種類によりプラズマ化するためのエネルギーが異なる特性を利用するものである。
70,71は、異なる種類のガスを供給するためのガス供給源であり、各ガスの供給は、バルブ72,73により制御されている。
最初に、ガス供給源70に入れられた、プラズマ化し易いガスを、バルブ72を介してガス流74として、ガス流路管1に供給する。そして、マイクロ波をアンテナ管2に照射してプラズマトーチ4を生成する。
次に、バルブ72を徐々に閉塞させると同時に、バルブ73を開放し、ガス流路管1に供給するガスを、ガス供給源70から酸素を含むガス供給源71に切り替える。ガス供給源71から供給されるガスはプラズマ化し難い特性を有していても、既にガス供給源70からのガスによりプラズマが発生しているため、容易にプラズマ化することが可能となる。当然、ガス供給源70及び71からのガスを、共に供給し続けることも可能である。
このようなプラズマ化し易いガスとしては、アルゴンガスなどが挙げられる。
(プラズマのパルス駆動)
本発明のプラズマ発生装置では、プラズマ生成部のアンテナ管に供給するマイクロ波の出力を調整することにより、発生するプラズマの量を調整することが可能であるが、スリット幅が固定されている場合には、照射されるマイクロ波の出力が一定以上でないと、プラズマの生成・維持が困難である。このため、プラズマの発生量を連続的に調整することが困難となるため、本発明のプラズマの生成方法では、パルス駆動によりこの欠点を補っている。また、このパルス駆動により、プラズマのガス温度の上昇を抑制でき、プラズマによる滅菌対象物への熱的ダメージを少なくすることが可能となる。
図8は、マイクロ波発生器から発生するマイクロ波の電力変化を模式的に示すグラフであり、マイクロ波発生器に供給される駆動電力波形の典型的な形状を示すものである。パルス駆動の周期Tは、ON期間t1とOFF期間(休止期間)t2からなり、パルスのデューティー比t1/Tを調整することにより、プラズマの発生量を連続的に変化させることが可能となる。
ただし、プラズマの消灯期間となる休止期間t2は、長くなり過ぎるとプラズマの再点火が困難となるため、安定的なパルス駆動を実現するには、該休止期間t2を、プラズマが残存する平均残存期間内とすることが好ましい。プラズマの平均残存期間とは、プラズマが生成されてから、プラズマが周囲のガスと接触しプラズマ状態が消滅するまでの時間の平均値を意味し、ガスの密度やプラズマ化されたガスの運動エネルギーなどに依存して変化する。
(プラズマへの酸素供給)
上述したプラズマ生成部並びにプラズマ発生装置では、プラズマ化するガスに酸素を供給する方法を中心に説明したが、本発明の滅菌装置に用いる活性酸素は、プラズマ化したガスと酸素とを接触させることにより生成することも可能である。
図19(a)に示すように、ガス流路管301の内部に酸素を供給するための酸素ガス管305を配置し、スリット303を有するアンテナ管302により、ガス流路管301に供給されるガス(酸素を含んでも良いが、アルゴンガスなどのプラズマ化し易いガスが好ましい。)306をプラズマ化し、プラズマガス308をガス流路管301から排出する。他方、酸素ガス管305には、酸素ガス307が供給されると共に、ガス流路管301からのプラズマガスと接触するように、酸素ガス307が排出される。プラズマガス308と酸素ガス307とは、互いに接触することで、プラズマガスのエネルギーにより酸素ガスが活性酸素に変換される。
酸素ガス管305の端部は、図19(a)のようにガス流路管301の端部と同じ位置に位置する必要は無く、ガス流路管301の内部に酸素ガス管305の端部が位置するように配置し、酸素ガスがガス流路管301の内部でプラズマガスと混在するよう構成することも可能である。
また、酸素ガス管305に供給する酸素ガスに代わり、酸素を含む分子でガス化できるものを供給することにより、活性酸素を生成することも可能であることは、言うまでもない。
図19(b)及び(c)は、プラズマガスに酸素を供給する他の例を示すものである。図19(b)は、アンテナ管302の内部に、プラズマ化するガス306を供給するガス流路管301と酸素ガス307を供給する酸素ガス管305を並べて配置し、アンテナ管302のスリット303の近傍にはガス流路管301を配置するものである。この構成により、ガス流路管301には効率的に励起電界が印加され、ガス流路管301の内部を流れるガスをプラズマ化することが可能となる。
さらに、図19(c)は、プラズマガス308を排出するガス流路管301の排出口付近に酸素ガスを供給する酸素ガス管305の排出口を配置するものであり、アンテナ管302の内部にはガス流路管301のみしか配置されないため、活性酸素を発生する構造をより簡素化することが可能なる。
なお、図19(b)又は(c)において、ガス流路管301と酸素ガス管305との排出口付近に、両者を取り囲む案内管(不図示)を設け、プラズマガス308と酸素ガス307とが効率よく混合できるよう構成することも可能である。
上述した例では、酸素ガスを供給する手段を別途必要としているが、そもそも大気中には酸素ガスが含まれており、例えば、プラズマ化したアルゴンを空気中に放射することで、空気中の酸素ガスから活性酸素を生成することも可能である。
(滅菌装置及び滅菌方法)
次に、上述したプラズマ発生装置を利用して滅菌処理について、説明する。
酸素を含むガスをプラズマ化すると、該プラズマ内には、電子、イオンおよび電子との衝突解離により生成された酸素ラジカル等の活性酸素が存在する。また、酸素を含まないガスをプラズマ化した後、酸素ガスなどの酸素を含むガスにプラズマガスを接触させた際にも、同様に、活性酸素を生成することが可能である。この活性酸素を容器などの対象物に照射することにより、対象物の表面等に付着した菌を酸化滅菌することが可能となる。しかも、プラズマはマイクロ波の供給を絶つとすぐに消滅し、それとともに活性酸素も消滅する。そのため、残留性が無く極めて安全に滅菌処理を行うことが可能となる。しかも、本発明に用いるプラズマは、上述したプラズマ発生装置により、大気圧中で安定したプラズマを連続的に発生させることが可能であるため、容器等の対象物を大量かつ連続的に滅菌処理することができる。
図9は、プラズマ生成部と滅菌処理を行う対象物101との関係を、模式的に示したものである。
酸素を含むガスは、ガス流路管1を通過する際に、アンテナ管2のスリット3に発生する励起電界によりプラズマ化される。プラズマは、周りの中性ガスや電子などと衝突し、徐々に減少するため、図9のようなプラズマトーチ4が形成される。プラズマトーチ4から先では、ガスはプラズマ状態よりも、活性酸素を多く含む状態となり、矢印100のようにガス流路管1の先端から排出され、対象物101に照射される。
本発明の滅菌処理では、図9に示すように、プラズマトーチ4が、ガス流路管1内に位置するように、アンテナ管2とガス流路管1との関係が設定されている。具体的には、プラズマトーチの長さlpよりも、アンテナ管の先端(スリットが形成された側の端部)から突出したガス流路管1の長さlが長いことが必要である。このように設定することで、プラズマガス、特に、プラズマ密度が高いガスが、直接的に対象物に接触することを抑制し、対象物をプラズマの熱的ダメージなどから保護することが可能となる。ペットボトルなどの熱に弱い対象物を滅菌する際には、プラズマの熱的ダメージを回避することは、重要である。
また、アンテナ管からプラズマトーチが出ないようにするためには、前述した図17又は図18に示すようなアンテナ管を用いることが好ましい。
さらに、ガス流路管の突出部分の長さlをより長くすることで、プラズマや活性酸素などがガス流路管1の周囲の気体中に飛散せず、しかも周りの気体と接触することが避けられるため、より遠い場所にある対象物にまで活性酸素を照射することが可能となる。
プラズマトーチ4の先端から対象物101までの距離Sは、滅菌処理に必要な活性酸素を十分に供給することが可能な距離に設定する。活性酸素の量は、供給される酸素ガスなどのガス流量や、印加されるマイクロ波の電力量などに依存するが、数cm〜十数cm程度の範囲となる。
(容器内部の滅菌処理)
次に、滅菌処理の対象物として容器を滅菌処理する方法について説明する。
容器内面の滅菌処理は、以下の手順で行う。
(1)プラズマの点火工程
図10(a)に示すように、上述した各種方法を使用して、プラズマ生成部より活性酸素100を放出させる。
(2)容器へのガス流路管の挿入工程
図10(b)に示すように、ガス流路管1に対して、容器102を矢印Aの方向に移動し、容器内にガス流路管1の先端部を配置する。容器102内へのガス流路管1の挿入できる距離は、シールド手段5から突出したガス流路管1の長さに依存するが、容器内部の底面まで滅菌するためには、容器にプラズマの熱的ダメージを与えない範囲で、容器内部の最深部付近までガス流路管の先端を挿入することが好ましい。
なお、ガス流路管の挿入工程は、容器のみを移動させるだけでなく、必要に応じてガス流路管1の方を容器内に進入するよう移動させることも可能である。しかも、ガス流路管の移動の際には、アンテナ管2も併せて移動させたり、あるいは、アンテナ管は固定状態とし、ガス流路管1のみを移動させるなど、種々の形態を採用することが可能である。
(3)活性酸素の充填工程
図10(b)のように、容器内部の最深部付近までガス流路管の先端を挿入した状態を暫らく保持し、容器102の内部に、ガス流路管1から排出される活性酸素を含むガスを充填する。容器102の内部には、予め通常の大気が入っているが、ガス流路管の先端が容器の最深部付近に位置しているため、ガス流路管から排出されるガスにより、大気は、容器外に排出され、容器内の気体が活性酸素を含むガスに置換されることとなる。
なお、容器内の気体の排出を効率良く行うには、容器の開口部に容器内部の気体を吸引する吸引手段を設ける方法や、容器外部を真空状態にする方法などがある。
(4)ガス流路管の引出工程
容器内部の気体を全て活性酸素を含むガスで置換した後、図10(c)に示すように、容器102を徐々に矢印Bの方向に移動し、ガス流路管1を容器内部の最深部付近から容器の口部付近まで引出す。この引出工程の際に、ガス流路管から排出されるガスは、ガス流路管の先端付近に位置する容器の内面に接触し易くなり、結果として容器内面全体に渡り、活性酸素を含むガスを供給することが可能となる。
上記挿入工程時のガス流路管の挿入速度と、上記引出工程時のガス流路管の引出速度とは、特に限定されるものではないが、容器内の気体を活性酸素を含むガスで効率的に置換するためには、挿入速度は速く行い、引出工程時に容器内面全体に十分な活性酸素を含むガスを供給するため、引出速度はゆっくり行うことが、好ましい。なお、挿入速度も引出速度と同様にゆっくり行い、挿入工程時にも容器内面全体を滅菌処理するように構成することも可能である。
また、必要に応じて、同一の容器に対して、上記挿入工程から引出工程を複数回繰り返すことも可能である。
次に、容器内部を滅菌処理する他の方法について説明する。
図11に示すように、容器102の内部に、ガス流路管1及びアンテナ管2の一部を収容すると共に、該容器102を取り囲むシールド手段110を配置する。そして、ガス流路管1から容器内にガスを排出しながら、アンテナ管2にマイクロ波7を照射することにより、活性酸素を含むガス100を容器内部に供給することが可能となる。
このように、アンテナ管2の先端を容器内部に収容することができるため、容器内の深さが深い場合であっても、容器の最深部まで安定的に活性酸素を供給することが可能となる。ただし、アンテナ管2にマイクロ波を照射する必要があるため、容器102の素材はマイクロ波を透過可能な非導電性のものにしか、この方法を使用することができない。
図11に示す滅菌装置では、上記シールド手段110の一部に、シールド手段内の気体を外部に排出するための排出口が形成されており、該排出口より気体111を排出しながら、ガス流路管にガスを供給するよう構成することが好ましい。これにより、活性酸素を含むガスを供給する前に、まず容器内の気体を該排出口より排気し、容器内の真空度を高め、その後供給される活性酸素を含むガスにより、容器内の気体をより早く活性酸素で置換することが可能となる。しかも、プラズマ生成部によるプラズマ点火時の気圧を大気圧より低く保つことも可能となり、プラズマの点火性も改善することが可能となる。
さらに、シールド手段110の内部空間を十分に確保し、容器102を上述した図10に示すように、シールド手段110の内部で、ガス流路管1に対して相対的に移動可能に構成することも可能であることは、言うまでもない。
(容器外部の滅菌処理)
次に、容器外部の滅菌処理について説明する。
図12は、容器外部を滅菌処理する方法の一例を示したものであり、図12(a)は滅菌装置の斜視図を示し、図12(b)は図12(a)の矢印Xにおける断面図を示している。
図12の滅菌装置においては、容器102の外表面に対向してガス流路管1から排出されるガスを吹付けると共に、ガス流路管1の管軸に対し略垂直な方向を中心に容器102を回転させる手段を有している。回転手段として2つのローラ120を例示しているが、本発明はこれに限らず、ガス流路管1に対して容器102を回転させることが可能なものであれば、いかなる手段でも採用することができる。
このように、容器102を回転させながらガス流路管1より活性酸素を含むガスを容器の外面に供給することができるため、容器外面の全体に渡り滅菌処理を行うことが可能となる。
さらに、ガス流路管1から排出されるガスを容器102に効率的に接触させるため、ガス流路管の排出口付近にフード121を配置し、ガス流路管1から排出されるガスを、容器102の外表面へ案内するよう構成することも可能である。
また、容器外部の滅菌処理を行う他の方法としては、図13に示すように、ガス流路管1から排出されるガスを一時的に滞留する空間を形成し、容器102を該空間を貫通するように搬送させる。
ガスを滞留させる空間として、図13に示すように、トンネル130を使用することができる。トンネル130には、複数のプラズマ生成部が接続され、ガス流路管1から排出されるガスがトンネル130の内部に充満するよう構成されている。トンネルの長さは、容器102の搬送速度に応じて設定されており、容器102が該トンネル内を通過する際に、トンネル内に充満した活性酸素を含むガスと接触し、滅菌処理される程度に十分な長さを有している。
図13に示すように、容器102は矢印131の方向からトンネル130内に連続的に搬入され、矢印132の方向へと搬出されている。このように、容器を連続的に搬送しながら滅菌処理を行うことが可能となるため、極めて効率的に滅菌処理を実施することができる。また、必要に応じて、トンネル内で容器102を、例えば容器の中心軸に対して回転させることにより、容器の外面に活性酸素を含むガスを均一に照射することも可能である。さらに、プラズマ生成部を、図13のようにトンネル130の上部に配置するだけでなく、トンネル130の側部や下部に配置することも可能である。
図14は、ガスを滞留させる空間を略円筒状に変形した例を示すものである。トンネル140の周囲にはプラズマ生成部が配置されており、各ガス流路管1の先端はトネンル140の内部に連通している。トンネル140には容器102を搬送するためのガイド手段141が貫通している。該ガイド手段141に沿って容器102が移動する際に、トンネル140内に充満したガスで、容器102の外面は滅菌処理されることとなる。
図14(b)は、図14(a)の矢印Xにおける断面図であり、図14(b)の示すように、容器102の外面全体に渡り活性酸素を含むガス100が供給されるように、複数のプラズマ生成部が容器102の周囲に配置されている。
容器102は、トンネル140内を通過する際に、トンネル140の内部に充満する空間を押出す働きをする。このため、ガス流路管1からは、容器102により押出されるガス量より多い流量でガスを供給することが好ましく、このガスの押出し効果により、トンネル内の空間には、常に新鮮な活性酸素を含むガスが存在することとなる。
(容器の蓋の滅菌処理)
容器の蓋には、図15(a)に示すように、蓋150の内側にゴムやプラスチックなどの樹脂による密閉部材151が配置されている場合がある。このような密閉部材151がある場合には、密閉部材151と蓋150との間の隙間に菌が付着すると、単に活性酸素を含むガスを、蓋150の内部に吹付けただけでは、活性酸素が該隙間にまで十分入り込まず、滅菌処理が不十分なものとなることが危惧される。
このような不具合を解消するため、図15(b)及び(c)に示すように、蓋150を回転させながら、活性酸素を照射する。図15(c)は図15(b)の矢印Xにおける断面図を示したものである。
蓋150の周りにはローラ152が配置され、蓋を回転させるよう構成されている。回転手段は、ローラに限らず、蓋を回転させることが可能なものであれば良い。
蓋150は回転することにより、蓋150と密閉部材151との間の隙間にある気体は遠心力で蓋150の外部に排出されるが、回転速度を低下させたり回転を停止させた際には、蓋に照射されている活性酸素を含むガスが、該隙間に入り込み隙間に存在する菌を滅菌処理することが可能となる。このように、蓋150を回転させる速度や方向などを複数回変更することにより、繰り返し活性酸素を含むガスを隙間に侵入させ滅菌処理を行う。
図16は、蓋161を滅菌処理する他の方法を示すものである。
蓋161は、図15(a)と同様に、蓋の内部に不図示の密閉部材を有している。蓋を真空容器160の内部に配置された棚162の上に配置し、真空容器内部の気体を真空ポンプなどを利用して排気163し、真空容器内部を減圧する。この減圧工程で、蓋と密閉部材との隙間に残留する気体を排出し、その後、プラズマ生成部より活性酸素を含むガスを真空容器内160に供給し、該隙間に活性酸素を侵入させることが可能となる。
活性酸素を含むガス100の流量に対し、真空容器から排出する気体163の流量を変動させることにより、上記隙間にガス100を繰り返し侵入させることが可能となる。つまり、ガス100より気体163の流量が多い場合には上記隙間から気体を排出させ、ガス100より気体163の流量が少ない場合には上記隙間にガス100を侵入させる。
本発明に係る滅菌装置を用いた実験結果について、説明する。
図18(b)に示すようなプラズマ生成部として、ガス流路管には石英パイプ(内径20mm,外径22mm)を用い、アンテナ管にはアルミニウム製パイプ(内径26mm,外径28mm)を用いた。アンテナ管には、幅Dが5mm、長さLが60mmのスリットを1つ形成した。
アンテナ管及びガス流路管からなるプラズマ生成部を、シールド手段となる内径160mm、長さ1500mmのチャンバー内に配置した。
ガス流路管内を10Paに減圧すると共に、ガス流量0.3(l/min)の酸素ガスと、ガス流量3.0(l/min)のアルゴンガスとをガス流路管に導入し、さらに、マイクロ波入射電力1000Wのマイクロ波(周波数2.45GHz)をチャンバー内に導入した。
プラズマ点火後に、ガス流路管内を大気圧(10Pa)に開放し、アンテナ管のスリットから放射される酸素原子の発光スペクトルを観察したところ、777nmのスペクトル強度が2.9(a.u.)であった。上記ガス流路管に供給するガスを、アルゴンガスのみとした場合には、同様のスペクトル強度が1.0(a.u.)であったことから、前述の酸素ガスを含む場合には、酸素ガスが安定的に解離され、酸素ラジカルが生成されていることが確認された。
次に、PET素材の試験片の一方の表面に腐敗した豚肉の菌を付着させ、該試験片を半分に切断し、縦40mm×横25mmの大きさの試験片を2つ作成した。試験片の一つを、図9に示すように、アンテナ管端部より3cm離れた場所(lp+S)に配置し、3秒間、活性酸素を含むガスを照射した。
滅菌処理後、試験片を35℃で24時間培養し、コロニーをカウントした。滅菌効果を比較するため、残った他方の試験片を、活性酸素を含むガスを照射することなしに、同様に培養し、コロニーカウントを行った。以上の実験を2回行った結果を表1に示す。
Figure 2007268252
表1の結果より、本発明の滅菌装置で処理した場合には、100%の菌が滅菌されていることが確認された。このことから、本発明の滅菌装置及びこの装置を用いた滅菌方法が、短時間で極めて高い滅菌処理効果を有することが理解される。
次に、図20に示すプラズマ発生装置を用いて実験を行った。
プラズマ発生装置は、大きく二つの部分に分けることができ、一つは、プラズマ生成用チェンバー (Plasma Production Chamber)で、もう一つは、プロセス用チェンバー(Process Chamber)である。プロセスチェンバーを設けたことで、様々な対象物へのラジカル照射が可能となっている。プラズマ生成用チェンバーの内部はアルミニウム製シールド板で仕切られ、その中心軸を、石英管(内径10mm、外径13mm)が通り、プロセス用チェンバー内へ延びている。更に石英管は、図18(b)のような円筒状のアルミニウム製アンテナで覆われており、アンテナにはマイクロ波の半波長に相当する長さ60mm(幅は5mm)のスリットが、アンテナ管の周面に沿って対称となる位置に二本設けられ、その内の一本がマイクロ波の入射口を向いて設置されている。
プラズマ発生方法の一例は、石英管内及びプロセスチェンバー内をロータリーポンプで排気後、石英管内にアルゴンガスを流し、ガス圧を100〜200Paに維持した後、導波管を通じてマイクロ波(周波数 2.45GHz)を石英管へ向けて照射することで、アルゴンガスプラズマを生成する。その後、ロータリーポンプの切り替えレバーを操作し、ガス圧力を大気圧まで上げると、大気圧下で非平衡プラズマ(電子温度は、数万度以上の高温であるが、イオン温度又はガス温度が数十〜数百度程度の状態となるプラズマ状態)が維持される。プラズマ生成部で発生したプラズマはガス流と伴に、プラズマプロセスチェンバー内へ吹き出す。
(プラズマの発光スペクトル観察)
プラズマを生成維持し、アルゴンガスのみを使用した場合(図21(a))と、アルゴンガスと酸素ガスの混合ガスを使用した場合(図21(b))の発光スペクトルの様子を図21に示す。測定条件は、共にアルゴンガス流量6.0[l/min]とし、図18(b)では酸素ガス流量0.07[l/min](混合比約1%)とした。また、マイクロ波入射電力は、600Wである。
図21(a)では、波長763.5nmと波長772.4nmの位置でアルゴン原子のスペクトル線(ArI)が観測されたのに対し、図21(b)では図21(a)のスペクトル線に加えて、波長777.3nmの位置に酸素原子のかなり強いスペクトル線(OI)が観測された。本装置では酸素混合比が約1%であるにもかかわらず酸素原子からの強い発光が観測されており、これは、効率良く酸素分子の解離が進み、プラズマ中に多くの酸素原子(酸素ラジカル)が存在しているものと考えられる。
次に、ArI(763.5nm)とOI(777.3nm)の発光強度について、酸素ガス混合比、およびマイクロ波入射電力への各依存性を調べた。その結果を図22(酸素ガス混合比への依存性)、図23(マイクロ波入射電力への依存性)に示す。
(酸素ガス混合比への依存性)
酸素ガス混合比依存性について調べるため、マイクロ波入射電力を600W、アルゴンガス流量6.0[l/min]とし、酸素ガス流量(酸素の含有量)のみを変化させ、酸素ガス混合比を1〜15%の範囲で変化させた。図22より、酸素濃度が増加するにつれ、アルゴン及び酸素原子の発光強度が共に急激に減少していることが分かる。実際、プラズマ全体の発光強度が酸素ガスを混合することにより減少することが目視でも観測された。これは、酸素が分子状態で存在するため、マイクロ波のエネルギーが電離や励起だけではなく酸素分子の解離にも使われるためと考えられる。
(マイクロ波入射電力への依存性)
次に、プラズマ発生状態のマイクロ波入射電力への依存性について調べるため、アルゴンガス流量6.0[l/min]、酸素ガス流量0.07[l/min](酸素混合比約1%)とし、マイクロ波入射電力を300〜800Wの範囲で変化させた。図23より、マイクロ波入射電力を増加させた場合、アルゴン原子の発光強度は大きく変化しないのに対して、酸素原子の発光強度はマイクロ波入射電力と共に上昇しているのが分かる。酸素分子の解離エネルギーはアルゴン原子の電離エネルギーよりもかなり低いため、マイクロ波入射電力の増加分がアルゴン原子ではなく酸素分子の解離によって消費されていくためだと考えられる。
(活性酸素の到達距離の測定)
石英管から放出される活性酸素、特に酸素ラジカルが、どこまで到達しているのかを調べるため、酸素ラジカルに反応するケミカルインジケータストリップ(ASP社製,製品名:STERRAD Chemical Indicator Strip,製品番号:REF 14100)を、石英管の先端から石英管の延長方向に6cm〜10cmの範囲で離して配置し、該インジケータの反応を調べた。石英管の先端とアンテナ管の先端との距離は20mmであり、アンテナ管の先端とスリットの先端(ガスの排出側の先端)との距離は3mmである。また、アルゴンガスの流量は6.0[l/min]で一定とし、酸素ガスの流量を酸素ガス混合比が0〜2%の範囲で変化するよう調整した。また、マイクロ波入射電力は600Wであった。
表2に測定結果を示す。インジケータの色が紫から黄色に変化した場合には、酸素ラジカルの存在が認められるため、評価を○とし、変化が少ない又は全くないものは×と評価した。
Figure 2007268252
表2の結果から、酸素ガスの混合比に関わらず、酸素ラジカルは石英管の先端から9cmの位置まで存在していることが確認された。大気圧下であるにもかかわらず、長い距離にわたって酸素ラジカルが存在することが確認できた。
また、酸素ガスを加えず、アルゴンガスのみの場合にも6cmの位置で酸素ラジカルの存在が確認できた。これは、アンテナ部分で励起された長寿命の準安定状態アルゴン原子が、プロセスチェンバー内の空気に含まれる酸素分子を解離し、酸素原子(ラジカル)を発生させたものと考えられる。
(ガス温度の測定)
プロセスチャンバー内の温度分布を測定するため、石英管の先端から石英管の延長方向に0〜10cmの範囲で熱電対を配置し、ガス温度を測定した。測定結果を図24に示す。なお、アルゴンガスの流量は6.0[l/min]で一定とし、酸素ガスの流量を、酸素ガスの混合比が1〜5%の範囲で変化するよう調整した。また、マイクロ波入射電力は600Wであった。
図24より、いずれのガス混合比でも、吹き出し口から距離が離れるにつれ、ガス温度が急激に減少していることが分かる。アンテナ部分で発生した高温のガス粒子がプロセスチェンバー内を移動する際に、他の粒子と衝突して、急激にエネルギーを失ったためと考えられる。また、酸素の混合比が高くなるにつれて、ガス温度は全体的に減少する傾向がある。これは、図22の発光強度の酸素混合比依存性と同様に、酸素分子が増えるにつれ、マイクロ波が電子に与えたエネルギーが酸素分子の解離に消費され、電子によるガス粒子の加熱が抑えられたものと考えられる。また、図24より、9cmの位置では、酸素混合比に依存せず80℃以下の低いガス温度であることが分かる。
次に、酸素ガスの混合比を1%に固定し、ガス流量を変化させた場合のガス温度分布の変化を測定した。ガス流量は、酸素ガスを0.07〜0.21[l/min]の範囲で変化させ、アルゴンガスの流量も酸素ガスの混合比を1%に保つように、併せて調整した。マイクロ波入射電力は600Wであった。測定結果を図25に示す。
図25から、ガス流量を増やすことで、ガス温度が減少することが分かる。ガス流量が増加することによりガス流速が増すが、その場合、ガスがプラズマ生成領域(アンテナ部分)を通過するのに要する時間も短くなる。つまり、高エネルギー電子との衝突回数が減少するため、ガス流量を増加させるとガス温度が減少するものと考えられる。
(コロニーカウント法による滅菌効果の評価)
コロニーカウント法とは、滅菌処理後、対象物の表面についた菌を採取し、それを倍地で培養することにより生成されるコロニー(菌の集団)の数で滅菌率を評価する方法である。以下に本実験で行ったコロニーカウント法の手順を示す。
(1)指標菌となるBacillus atrophaeus菌(MicroBiologics社、KWIK-STIKTM 10PK 0953S)をアルミ板(2cm×2cm)へ満遍なく均一になるように塗布する。なお、ここで使用したBacillus atrophaeus菌は、芽胞形成菌であり、耐熱温度は80℃程度である。加熱滅菌やガス滅菌の指標菌として用いられる。
(2)次に綿棒でアルミ板の半分を拭き取り、その綿棒を培養液につける。
(3)アルミ板をプラズマ生成装置に設置し滅菌処理を行う。
(4)滅菌処理後、取り出したアルミ板の残り半分を同様に綿棒で拭き取り、別の培養液につける。
(5)2つの培養液を別々の培地(チッソ株式会社、Sanita-kun)に同じ量だけ滴下する。培地をBacillus atrophaeus菌の生育適温である35℃に設定されたインキュベータで48時間培養する。菌が存在する場合、その数に応じて倍地にコロニーが現れる。
(6)滅菌処理前(上記(2))のコロニー数と滅菌処理後のコロニー数(上記(3))から滅菌率を求める。
上記(3)のプラズマによる滅菌処理の条件は、マイクロ波入射電力600W、アルゴンガス流量6.0[l/min]、処理時間3秒、処理位置(石英管の先端から石英管の延長方向に離れた距離)9cmとし、酸素混合比濃度を0〜2%の範囲で変化させた。測定結果を表3に示す。
Figure 2007268252
表3より、3秒という非常に短い処理時間にもかかわらず、いずれの場合でも高い滅菌率を達成していることが分かる。なお、一般的に、滅菌原因としては、熱、紫外線、酸素ラジカルなどが挙げられるが、Bacillus属の菌は高温菌で80[℃]の温度でも死滅することがない。また、ガス温度測定の結果によると、滅菌処理位置でのガス温度は、酸素ガス混合比1%の場合は約55℃であり、同混合比2%の場合は約70℃である。さらに、紫外線による滅菌効率が高い波長である200〜280nmの紫外線は、観測されていない。そして、酸素ラジカルは表2より滅菌処理位置で存在が確認されていることから、これらの滅菌効果は、酸素ラジカルによるものと推定される。
また、表3より酸素混合比0%の場合でも滅菌が実現されているが、これは、アルゴンの高い内部エネルギーを持つ準安定原子が、それ自体あるいは空気中の酸素と反応して、滅菌に作用した可能性がある。
(バイオロジカルインジケータによる滅菌効果の評価)
ろ紙に多量の菌(1×106個)を付着させた試験紙(バイオロジカルインジケータ)を用いて滅菌の評価を行った。使用したバイオロジカルインジケータ(Raven社製)は、6.4mm×38.1mmのろ紙に、Bacillus stearothermophilus菌の胞子を10個付着させたものである。
実験では、このバイオロジカルインジケータを6等分になるように切断して使用した。また、今回使用した菌は芽胞形成菌であり、耐熱温度は120[℃]である。加熱滅菌の指標菌として用いられる。
以下にバイオロジカルインジケータを用いた滅菌手順を示す。
(1)切断したバイオロジカルインジケータをプロセスチェンバー内に設置し、プラズマ滅菌を行う。
(2)バイオロジカルインジケータを取り出し、培養液(トリプシン・ソイ・ブイヨン)の入った試験管へ投入する。
(3)試験管をインキュベータに入れ、60℃で72時間培養する。72時間後、試験管内の培養液の色が変化せず紫色の場合は菌が存在しない(表4の評価○)ことを示し、黄色に変化した場合は菌が生き残っている(表4の評価×)ことを示す。
プラズマによる滅菌処理の条件は、マイクロ波入射電力600W、アルゴンガス流量6.0[l/min]、照射位置(石英管の先端から石英管の延長方向に離れた距離)9cmとした。滅菌処理する際は、まず試験紙の一方の面を吹き出し口に向け設置して処理した後、次に試験紙の反対の面が吹き出し口に向くように設置しなおし、同様に処理を行った。どちらの面も同じ時間だけ処理を行った。表4中の処理時間は両面の処理にかかった合計時間を示している。
Figure 2007268252
処理位置でのガス温度(55〜75℃程度)は、菌の滅菌温度(120℃以上)よりも十分低く、また、紫外線はほとんど観測されなかったことより、本実験での滅菌は酸素ラジカルにより行われたものと考えられる。表4より、酸素混合比1〜3%では、菌を死滅させるためには50秒(片面25秒)の処理時間が必要であることが分かる。また、酸素混合比5%では、今回行った処理時間の範囲では菌を死滅させることができなかった。これは、酸素混合比の増加に伴い、励起された(内部エネルギーを持った)酸素ラジカルが減ったことが原因と推定される。
参考までに、実験条件を、マイクロ波入射電力600W、アルゴンガス流量8.6[l/min]、酸素混合比1%とし、試験紙の一方の面のみを滅菌処理した。処理位置を6〜9cmの範囲で変化させたが、いずれも25秒以上で滅菌に成功していることが確認されている。なお、各処理位置でのガス温度は、9cmで68.8℃、8cmで72.9℃、7cmで74.5℃、6cmで72.2℃であった。
以上の結果より、本発明に係る滅菌装置では、Bacillus atrophaeus菌の6D値(菌の生き残り株数が初期の10−6となる処理時間のこと)は、約9秒であり、Bacillus stearothermophilus菌の場合は、約30秒程度であることが理解できる。これは、現在多用されている高圧蒸気滅菌(オートクレーブ法)の3分と比較しても、極めて短時間に滅菌処理が実現できている。
本発明の滅菌装置及び滅菌方法は、上述した内容に限定されるものではなく、例えば、プラズマ発生装置や補助点火手段、又はプラズマのパルス駆動など上述した各種の技術を、上記滅菌装置や滅菌方法などで利用可能であることは言うまでもない。
なお、上述した滅菌装置及び滅菌方法では、酸素ガスを利用する例を中心に説明したが、酸素ガスによる酸素ラジカルに代えて、より酸化力の強いOHラジカルを用いることも可能である。OHラジカルを用いた場合には、滅菌処理時間の短縮を行うことが可能となる。ただし、OHラジカルを発生させるためには、プラズマ生成原料としてコストの低い水を気化したガスを用いることができる。
以上説明したように、本発明では、プラズマを利用して生成される活性酸素を用いて、容器等の対象物を効率的に滅菌処理するための滅菌装置及びそれを用いた滅菌方法を提供することができる。しかも、本発明によれば、大気圧中でも安定的にプラズマを形成でき、容器などの滅菌対象物を大量に滅菌処理することも可能となる。
本発明に用いるプラズマ生成部の概略を示す図である。 本発明に用いるプラズマ発生装置の概略を示す図である。 本発明に用いるプラズマ発生装置において、複数のプラズマ生成部を有する場合を示す図である。 本発明に用いるプラズマ発生装置において、単一のマイクロ波発生器を用いて複数のプラズマ生成部を駆動する場合を示す図である。 プラズマ生成部の補助点火手段として、アーク放電を用いた場合を説明する図である。 プラズマ生成部の補助点火手段として、副アンテナ管を用いた場合を説明する図である。 複数種類のガスを使用してプラズマの点火性を改善する方法を説明する図である。 プラズマの生成時にマイクロ波をパルス駆動で導入する方法を説明するグラフである。 本発明の滅菌方法を説明する図である。 容器内部を滅菌する方法を説明する図である。 シールド手段内に容器を収容する場合の滅菌方法を説明する図である。 容器外部を滅菌する方法の一例を示す図である。 容器外部を滅菌する方法の他の例を示す図である。 円筒状のトンネルを利用して容器外部を滅菌する方法を示す図である。 容器の蓋を滅菌する方法を示す図である。 真空容器を用いて容器の蓋を滅菌する方法を示す図である。 スリットをアンテナ管の内部に形成したプラズマ生成部の概略を示す図である。 アンテナ管の端部を折り曲げた場合のプラズマ生成部の概略を示す図である。 生成したプラズマに酸素ガスを供給する方法を説明する図である。 実施例2で使用した滅菌装置(プラズマ発生装置)の概略図である。 プラズマの生成時の発光スペクトル分布を示すグラフである。 アルゴンガス中の酸素ガス含有量に対するプラズマからの発光強度の変化を示すグラフである。 入力するマイクロ波電力に対するプラズマからの発光強度の変化を示すグラフである。 酸素ガス含有量に対するガス温度分布の変化を示すグラフである。 ガス流量に対するガス温度分布の変化を示すグラフである。
符号の説明
1,201,301 ガス流路管
2,202,302 アンテナ管
2’ 副アンテナ管
3,203,303 スリット
4,204 プラズマトーチ
5,40,110 シールド手段
6 マイクロ波発生器
7,11,12,13,14,61,62,63,64 マイクロ波
8,70,71 ガス供給源
9,74,306 ガス
10 マイクロ波強度調整手段
50 アーク放電用電極
51 高圧電源
72,73 バルブ
80 マイクロ波入射電力のパルス波形
100 活性酸素を含むガス
101 対象物
102 容器
111,163 排気ガス
120,152 ローラ
121 フード
130,140 トンネル
131,132 容器搬送方向
141 ガイド手段
150,161 容器の蓋
151 密閉部材
160 真空容器
162 棚
205 折り曲げ部
305 酸素ガス管
307 酸素ガス
308 プラズマガス

Claims (24)

  1. 酸素ガスをプラズマ化して生成される活性酸素又は、酸素以外のガスをプラズマ化し、該プラズマと酸素ガスとを接触させて生成される活性酸素との少なくともいずれかを含むガスを対象物に接触させ、該対象物に付着している菌を滅菌する滅菌装置において、
    プラズマ化するガスを導入し、大気中に排出する非導電性のガス流路管と、
    該ガス流路管を取り巻く導電性のアンテナ管とを有し、
    該アンテナ管には、ガス流動管の管軸方向に沿って所定の長さのスリットが形成されており、
    該アンテナ管にマイクロ波を照射し該ガス流動管中のガスをプラズマ化することを特徴とする滅菌装置。
  2. 請求項1に記載の滅菌装置において、該スリットは、該ガス流路管のガスを排出する側に開口端を有していることを特徴とする滅菌装置。
  3. 請求項1に記載の滅菌装置において、該スリットは、該アンテナ管の内部に形成されていることを特徴とする滅菌装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の滅菌装置において、該アンテナ管は、該ガス流路管のガスを排出する側の端部が、該ガス流路管に向かって折れ曲がっていることを特徴とする滅菌装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の滅菌装置において、該スリットの長さは、照射するマイクロ波の半波長の整数倍に設定されていることを特徴とする滅菌装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の滅菌装置において、該ガス流路管は、ガスの流路方向の下流側に、該アンテナ管の端部より突出しており、該突出部分の長さはプラズマトーチの長さより長いことを特徴とする滅菌装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の滅菌装置において、該ガス流路管と該アンテナ管とは、相対的に移動可能に構成されていることを特徴とする滅菌装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の滅菌装置において、該ガス流路管の内部又は該ガス流路管の周囲に、酸素ガスを導入する酸素ガス管が配置され、該ガス流路管内で生成されたプラズマと、該酸素ガス管で導入される酸素ガスを接触させることを特徴とする滅菌装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の滅菌装置において、滅菌処理を行う対象物は、容器又は容器の蓋であることを特徴とする滅菌装置。
  10. 請求項9に記載の滅菌装置において、該ガス流路管に対し、該対象物を相対的に移動又は回転させる移動・回転手段を有することを特徴とする滅菌装置。
  11. 請求項10に記載の滅菌装置を用いた滅菌方法において、滅菌処理を行う対象物が容器であり、該容器内部の最深部付近まで該ガス流路管の先端を挿入する挿入工程と、該挿入工程を行った状態で該容器内部に該ガス流路管から排出されるガスを充填する充填工程と、該充填工程後に該ガス流路管を該容器内部の最深部付近から該容器の口部付近まで引出す引出工程とを有することを特徴とする滅菌方法。
  12. 請求項11に記載の滅菌方法において、該挿入工程と該引出工程とは、該ガス流路管の管軸方向に対し、該ガス流路管と該容器とを相対的に移動させることにより行うことを特徴とする滅菌方法。
  13. 請求項12に記載の滅菌方法において、該挿入工程より該引出工程は、該ガス流路管と該容器との相対的な移動速度が、遅いことを特徴とする滅菌方法。
  14. 請求項1乃至8のいずれかに記載の滅菌装置を用いた滅菌方法において、滅菌処理を行う対象物が容器であり、該容器内部に該ガス流路管及び該アンテナ管の一部を収容すると共に、該容器を取り囲むシールド手段を配置し、該ガス流路管から該容器内にガスを排出しながら、該アンテナ管にマイクロ波を照射することを特徴とする滅菌方法。
  15. 請求項14に記載の滅菌方法において、該シールド手段の一部には、該シールド手段内の気体を外部に排出するための排出口が形成されており、該排出口より気体を排出しながら、該ガス流路管にガスを供給することを特徴とする滅菌方法。
  16. 請求項1乃至8のいずれかに記載の滅菌装置を用いた滅菌方法において、滅菌処理を行う対象物が容器であり、該ガス流路管から排出されるガスを一時的に滞留する空間を形成し、該容器を該空間を貫通するように搬送させることを特徴とする滅菌方法。
  17. 請求項16に記載の滅菌方法において、該空間はトンネル形状の空間であり、該ガス流路管の排出口が該空間に接続されていることを特徴とする滅菌方法。
  18. 請求項1乃至8のいずれかに記載の滅菌装置を用いた滅菌方法において、滅菌処理を行う対象物が容器であり、該容器の外表面に対向して該ガス流路管から排出されるガスを吹付けると共に、ガス流路管の管軸に対し略垂直な方向を中心に該容器を回転させることを特徴とする滅菌方法。
  19. 請求項18に記載の滅菌方法において、該ガス流路管から排出されるガスを該容器に接触させるためのフードを該ガス流路管の排出口付近に配置することを特徴とする滅菌方法。
  20. 請求項1乃至8のいずれかに記載の滅菌装置を用いた滅菌方法において、滅菌処理を行う対象物が容器の蓋であり、該ガス流路管の排出口を該蓋の内側に向けて配置し、該ガス流路管から該蓋にガスを供給すると共に、該蓋を回転させることを特徴とする滅菌方法。
  21. 請求項20に記載の滅菌方法において、該蓋の回転速度又は回転方向を時間と共に変化させることを特徴とする滅菌方法。
  22. 請求項1乃至8のいずれかに記載の滅菌装置を用いた滅菌方法において、滅菌処理を行う対象物が容器の蓋であり、該蓋を真空容器内に入れ、該真空容器内を排気しながら、該ガス流路管の排出口から該真空容器内にガスを供給することを特徴とする滅菌方法。
  23. 請求項1乃至8のいずれかに記載の滅菌装置を用いた滅菌方法において、
    酸素ガスよりプラズマ化し易いガスを該ガス流路管に供給し、マイクロ波を照射してプラズマを点火するプラズマ点火工程と、
    該プラズマ点火工程後に、酸素ガスを先のガスと共に供給し、酸素ガスをプラズマ化することを特徴とする滅菌方法。
  24. 請求項23に記載の滅菌方法において、該プラズマ点火工程で供給するガスは、アルゴンガスであることを特徴とする滅菌方法。
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